JPH05339784A - 経時安定性に優れた亜鉛被覆アルミニウム板材およびその製造方法 - Google Patents
経時安定性に優れた亜鉛被覆アルミニウム板材およびその製造方法Info
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Abstract
ンケ−ト処理により亜鉛被覆する方法において、ジンケ
−ト処理後の水洗乾燥工程を、水洗後30秒以内に加熱乾
燥し、緻密な酸化皮膜を有する粒状の亜鉛粒子が積層さ
れた亜鉛層を形成する。 【効果】 Al系板の表面に経時安定性に優れたZn被
覆層が形成され、りん酸亜鉛処理性を向上し、塗装耐食
性が優れたものとなる。
Description
板材およびその製造方法、詳しくは自動車外板用アルミ
ニウム板材の塗装耐食性を改善するために行われるりん
酸亜鉛処理性とりん酸亜鉛処理までの経時安定性に優れ
た亜鉛被覆アルミニウム板材およびその製造方法に関す
る。
材(アルミニウム合金板材を含む)が自動車用外板とし
て注目されている。自動車外板用アルミニウム板材につ
いても、従来使用されている鋼板と同様塗装が必要とさ
れ、塗装耐食性の改善のため、塗装前処理としてりん酸
亜鉛処理およびクロム酸クロメ−ト処理が実用化されて
いる。
ウム板材の塗装前処理として優れていることが基本的に
は知られているが、りん酸亜鉛処理はもともと鋼板ある
いは表面処理鋼板を対象として開発された処理技術であ
るため、アルミニウムに適用した場合には、品質上種々
の問題がある。
するりん酸亜鉛処理性を向上させるために、予めアルミ
ニウム板材に亜鉛被覆を行う方法が提案されている。例
えば、特開昭61-157693 号公報には電気めっきあるいは
浸漬めっき法が、特開昭63-153262 号公報には蒸着めっ
き法が、特開昭63-166964 号公報には真空蒸着めっき法
が開示されている。亜鉛皮膜はりん酸亜鉛の化成性を改
善し、Alイオンの溶出を抑制するものであるが、前記公
報に示されためっき法は必ずしも工業上量産に適した方
法ではない。本発明者等はさらに簡便な亜鉛被覆方法と
して、アルミニウム板材コイルを巻き戻しながら、該板
材表面にアルカリ系処理剤のスプレ−を供給することに
よりジンケ−ト処理して亜鉛皮膜を形成し、水洗乾燥後
巻き取る方法を提案した。
亜鉛被覆方法は処理工程が簡単で量産にも適しており、
例えばZn86%,Al8 %,その他の成分6 %からなる皮膜
が形成されるが、ジンケ−ト処理されたものは経時安定
性に欠け、自然環境下に放置すると比較的速やかに変質
して、後工程のりん酸亜鉛処理性を害し、塗装耐食性を
低下させることが少なくない。
ジンケ−ト処理皮膜の大気中での変質現象について種々
検討した結果として開発されたもので、その目的は、自
然環境下に長時間放置しても変質しない、経時安定性に
優れた亜鉛被覆アルミニウム板材およびその製造方法を
提供することにある。
めの本発明による経時安定性に優れた亜鉛被覆アルミニ
ウム板材およびその製造方法は、アルミニウムまたはア
ルミニウム合金板材を巻き戻しながら、該板材表面をア
ルカリ系処理剤によりジンケ−ト処理して亜鉛皮膜を形
成し、水洗乾燥後巻き取ることによりアルミニウム板材
を連続して亜鉛被覆する方法において、水洗乾燥工程を
水洗後30秒以内に乾燥することにより行うこと、および
アルミニウム板材が酸化皮膜を有する粒状の亜鉛粒子が
積層された亜鉛層で被覆され、該亜鉛層には塩基性炭酸
亜鉛が存在しないことを構成上の特徴とする。
状で使用し、主要合金成分としてMg3 〜7 %を含むAl-M
g 系合金、Mg0.2 〜0.6 %、Si1.0 〜1.5 %を含むAl-M
g-Si系合金等が適用される。アルミニウムは一般に強固
な酸化皮膜に覆われており、特にMgを含むアルミニウム
合金の場合は、製造過程における加熱処理でMgO に富む
酸化皮膜が形成される。ジンケ−ト処理の良否は、これ
ら酸化皮膜の影響を受け易いため、ジンケ−ト処理に先
立って酸化皮膜を除去しておくことが必要である。酸化
皮膜を除去するにはスプレ−方式による酸洗が好まし
く、硫酸、硝酸、りん酸その他の酸を使用することがで
きる。使用する酸の種類、濃度、温度、処理時間などは
処理する材料に応じて適宜に選定する。代表的な酸洗条
件例としては、50〜70℃の3 〜5 %硫酸溶液を10秒間ス
プレ−によって適用する方式がある。
るが、次工程に至までの間アルミニウム板材表面を乾燥
させないことが望ましい。なお、アルカリ洗浄は処理む
らが発生し易いため好ましくない。次工程のジンケ−ト
処理は、移送される板材表面にアルカリ系処理剤をスプ
レ−方式で供給することにより行われる。基本的な処理
液組成は、NaOH,ZnO, キレ−ト剤などにより構成され
る。この場合、析出する亜鉛皮膜を緻密化するためにFe
イオンを添加しても差し支えない。代表的なジンケ−ト
処理条件は、液組成をNaOH20〜200g/l,ZnO2 〜20g/l と
し、10〜50℃で3 〜30秒間、スプレ−圧力0.3〜2kg/cm
2,スプレ−パタ−ンを楕円形もしくは円形としてスプレ
−処理し、0.3〜1.5g/m2 の亜鉛皮膜を形成する。自動
車外板用アルミニウム板材に対するりん酸亜処理性を向
上させるための亜鉛被覆量は0.3 〜1.5g/m2 が適切であ
り、0.3g/m2より少なすぎるとりん酸亜鉛処理の前処理
としての効果を発揮できず、多すぎると塗装耐食性が低
下して膨れが発生い易くなる。また、スプレ−圧力が上
記の値より大きすぎると処理液の飛散が多くなり、スポ
ット状の不均一が生じ易い。スプレ−パタ−ンは、過不
足なく正しくオ−バ−ラップしてスプレ−の隙間がない
状態が望ましい。
洗の効果を高め、乾燥を速めるために適宜湯洗を併用し
てもよい。乾燥後、アルミニウム板材はコイルに巻き取
られ、後工程に応じて矯正、スリッティング、切断など
の処理が施される。本発明の目的である経時安定性に優
れたジンケ−ト処理皮膜を得るには、水洗後30秒以内に
加熱乾燥させることが必要である。
われた場合は、亜鉛皮膜は大気中の酸素と反応して緻密
な酸化皮膜を形成し、耐湿性に富んだ保管性の良い皮膜
が形成されるが、水洗後ジンケ−ト皮膜上に薄い水膜が
残存した状態で30秒以上大気中に放置された場合は、皮
膜上の水分と水膜を通して拡散してくる炭酸ガスにより
塩基性炭酸亜鉛が形成され、耐湿性のない保管性が劣る
皮膜となる。コイル処理においては、水洗後液切りロ−
ルで水洗水を絞った直後の状態が最も変質し易く、変質
が生じるかどうかはジンケ−ト処理後30秒以内において
決定される。
ミニウム板材の連続亜鉛被覆において、水洗乾燥工程を
水洗後30秒以内に行うことにより水膜の残存時間を短く
して塩基性炭酸亜鉛の形成を防ぎ、亜鉛皮膜に緻密な酸
化皮膜を形成させるから、耐湿性の良い保管性に優れた
亜鉛被覆が得られることとなる。
明する。 実施例1 Mg4.5 %,Cu0.3 %を含み、残部Alおよび不可避的不純
物からなる5000系アルミニウム合金板材( 板厚1mm,板幅
500mmコイル) を試験材とし、試験用連続表面処理設備
を使用してコイル処理を行った。前処理として3 %硫酸
溶液を温度70℃で10秒間スプレ−し、水洗後直ちにジン
ケ−ト処理を実施した。ジンケ−ト処理は、処理液とし
てZn5g/l,NaOH50g/lからなる組成のものを使用し、20℃
で15秒間スプレ−する条件で行った。亜鉛被覆量を蛍光
X線法によって測定したところ、0.6g/m2 であった。ジ
ンケ−ト処理されたコイル材は、水洗後エアブロ−によ
り水切りを行い、表1に示す条件で加熱乾燥した。加熱
乾燥には熱風循環式オ−ブンを使用した。
に水を張った密閉箱内に置いて40℃で24時間保つことに
より形成された亜鉛皮膜を促進劣化させた。促進劣化試
験後の実施例による試料No.1〜3 の表面はいずれも促進
劣化試験前と全く同様、均一な灰色を呈していた。促進
劣化試験後の試料No.1〜3 の表面を電子顕微鏡(SE
M)で観察したところ、代表例を図1に示すように、ジ
ンケ−ト皮膜は劣化試験前に形成された粒状の亜鉛粒子
が積層した皮膜が維持され、表面状態に変化を生じてい
ないのが認められた。
場所を変えて数カ所から試験片を採取し、これらの試験
片について、市販のりん酸亜鉛処理剤(日本パ−カライ
ジング株式会社製「パルボンドPBL-3020」)を用
い、浸漬処理によりりん酸亜鉛皮膜を形成し、さらにそ
の表面に市販の自動車外板用塗料によりカチオン電着塗
装、中塗り塗装および上塗り塗装を順次施して厚さ90μ
m の塗膜を形成した。塗膜の塗装耐食性を調べるため
に、試験片にアルミニウム合金素材に達するクロスカッ
トを入れた後、塩水噴霧6 時間−乾燥50℃×7 時間−50
℃恆温、80%恒湿で10時間−冷風乾燥1 時間を1 サイク
ルとして60サイクルの耐食試験を行い、膨れの発生状況
を観察した。結果を表2に示す。表2にみられるよう
に、本発明の条件により亜鉛皮膜を形成した試料No.1〜
3 はりん酸亜鉛処理性、塗装耐食性ともに優れていた。
料から採取した試験片にりん酸亜鉛処理を行った後の試
験片表面の電子顕微鏡(SEM)による観察例である。
表面構造は鱗片状を呈し、優れた塗装耐食性を示した。
また、試料No.1についてりん酸亜鉛処理を行う前の亜鉛
皮膜を粉末として、フ−リエ変換赤外分光法で吸光度の
スペクトル線図を求めた結果を示したのが図5である
が、全域にわたり吸光度のピ−クは認められなかった。
1と同様の前処理、ジンケ−ト処理を行ったコイル材
(試料No.4〜6)を表1に示す条件で乾燥した。これらの
試料コイルを実施例1と同様の条件で促進劣化させたと
ころ、促進劣化試験後の試料コイルNo.4〜6 は表面の亜
鉛被覆層がいずれも黒色化し変質していた。つぎに、促
進劣化試験後の試料コイルから数カ所場所を変えて試験
片を採取し、実施例1と同条件でりん酸亜鉛皮膜を形成
し塗装した後、実施例1と同様な方法で塗装耐食性を調
べた。結果を表2に示す。試料No.4〜6 はいずれもりん
酸亜鉛処理性に劣り、表2に示されるように塗膜に膨れ
が生じた。
ジンケ−ト皮膜表面の電子顕微鏡(SEM)による観察
例である。表面は非粒状組織を示し変質しているのが認
められる。図4は、ジンケ−ト処理後の試料No.4〜6 か
ら採取した試験片にりん酸亜鉛処理を行った後の試験片
表面の電子顕微鏡 (SEM)による観察例である。表面
構造は立方体状を呈し、塗装耐食性に劣るものであっ
た。また、No.4試料についてりん酸亜鉛処理を行う前の
亜鉛皮膜を粉末として、フ−リエ変換赤外分光法で吸光
度のスペクトル線図を求めた結果は、図5に示されるよ
うに多くのピ−クがあらわれた。これらのピ−クは塩基
性炭酸亜鉛のものと一致し、ジンケ−ト皮膜が水洗後長
時間放置された結果、炭酸ガスにより塩基性炭酸亜鉛に
変質しりん酸亜鉛処理皮膜の塗装耐食性劣化の原因とな
ることが確認された。
定性に優れた亜鉛皮膜が形成される。従って、アルミニ
ウム板材コイルによる連続亜鉛被覆処理が可能となり、
自動車外板用アルミニウム板材の量産技術の確立が期待
される。
化試験後の金属亜鉛の粒子構造を示す電子顕微鏡写真で
ある。
化試験後の金属亜鉛の粒子構造を示す電子顕微鏡写真で
ある。
電子顕微鏡写真である。
電子顕微鏡写真である。
試料のフ−リエ変換赤外分光法で求めた吸光度のスペク
トル線図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 アルミニウムまたはアルミニウム合金板
材コイルを巻き戻しながら板材表面にジンケ−ト処理し
て亜鉛皮膜を形成し、水洗乾燥後巻き取ることによりア
ルミニウム板材を連続して亜鉛被覆する方法において、
水洗乾燥工程を、水洗後30秒以内に加熱乾燥することに
より行うことを特徴とする経時安定性に優れた亜鉛被覆
アルミニウム板材の製造方法。 - 【請求項2】 アルミニウム合金がAl-Mg 系合金または
Al-Mg-Si系合金である請求項1記載の経時安定性の優れ
た亜鉛被覆アルミニウム板材の製造方法。 - 【請求項3】 アルミニウムまたはアルミニウム合金板
材が酸化皮膜を有する粒状の亜鉛粒子が積層された亜鉛
層で被覆され、該亜鉛層には塩基性炭酸亜鉛が存在しな
いことを特徴とする経時安定性の優れたアルミニウム板
材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4174950A JP2579868B2 (ja) | 1992-06-09 | 1992-06-09 | 経時安定性に優れた亜鉛被覆アルミニウム板材およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH05339784A true JPH05339784A (ja) | 1993-12-21 |
JP2579868B2 JP2579868B2 (ja) | 1997-02-12 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4174950A Expired - Fee Related JP2579868B2 (ja) | 1992-06-09 | 1992-06-09 | 経時安定性に優れた亜鉛被覆アルミニウム板材およびその製造方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2579868B2 (ja) |
-
1992
- 1992-06-09 JP JP4174950A patent/JP2579868B2/ja not_active Expired - Fee Related
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