JPH053394B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

（産業上の利用分野） 本発明は、画像保存性に優れた感熱記録シート
に関し、さらに詳しくは、支持体に、発色剤とし
て (イ) 式（）で示される芳香族イソシアナート
と、 (ロ) 式（）で示されるイミノ化合物 （式中、Ｘはハロゲン原子、ｎは０から４の整
数、ＡはＣ＝０またはＣ＝NHを表わす。） を含有する発色層を設けてなる画像保存性に優れ
た感熱記録シートに関する。 （従来の技術） 近年、例えば、フアクシミリ、プリンター、レ
コーダーなどの各種情報機器において、熱エネル
ギーによつて記録を行なう感熱記録方式が多く採
用されるようになつた。これら記録方式の主流
は、ともに、２成分化学発色剤を含有する発色層
を支持体上に設けてなる記録シートを用い、これ
に記録エネルギーとして熱を加えることにより、
記録シート上で発色剤成分を相互に接触させ、発
色記録する方式である。中でも、発色剤として、
ロイコ染料と酸性物質を用いるものが多い。 （発明が解決しようとする問題点） これら従来公知のロイコ染料を用いた記録シー
トは、白色度が高い、外観、感触が普通紙に近
い、発色感度等の記録適性が良い等、多くの優れ
た特性を備えていることから、その用途を拡大し
てきた。反面、これらロイコ染料を用いた記録シ
ートは、例えば、クリスタルバイオレツトラクト
ンと４，4′−イソプロピリデンジフエノール（ビ
スフエノールＡ）を発色剤とする感熱紙（米国特
許第3539375号など参照）で代表されるように、
発色して得られる記録部分の耐薬品性が劣ること
から、プラスチツクシートや消しゴムに含まれる
可塑剤あるいは食品や化粧品に含まれる薬品に接
触して、記録が容易に消失したり、また、記録部
分の耐光性が劣ることから、比較的短期間の日光
曝露で記録が退色したり、さらには消失するな
ど、記録の保存安定性に劣るという欠点を有し、
この欠点の故に、その用途に一定の制約を受けて
いるのが現状であり、その改良が強く望まれてい
る。既に、このような要望に対して多くの提案が
なされており、幾分の成果をおさめているが、な
お保存安定性において不充分であつたり、記録適
性とのバランスをそこねたり、コストが高くつく
などの問題がある。 （問題点を解決するための手段） 本発明者らは、画像保存性に優れた感熱記録シ
ートを得るため鋭意研究の結果、特定のイミノ化
合物とイソシアナート化合物からなる発色剤系を
使用することにより、従来の発色剤系では達せら
れない優れた特性を備えた感熱記録シートを得る
ことに成功した。 従来、イミノ化合物とイソシアナート化合物の
２成分からなる感熱記録材料が、特開昭59−
115887号、特開昭59−115888号等に開示されてい
る。この発色剤系は、２成分の接触反応により発
色物を生成する。この発色物の耐薬品および耐光
性は優れる。この発色物の色相は、用いるイミノ
化合物およびイソシアナート化合物の選択により
広範囲に変化させられるが、赤系、橙系、黄系で
ある場合が多い。例えば、記録において多くの場
合に要求される黒発色についても、赤味を帯びた
黒である場合が多く、紫味を帯びた黒の発色は比
較的難しい。本発明者らは、かかる知見をベース
に研究を重ねた結果、記録の保存安定性および発
色可能な色相の自由度ともに満足できる記録シー
トに関する発明を完成した。 かくして、本発明は、画像保存性に優れ、か
つ、発色可能な色相が紫味である感熱記録シート
を提供する。 本発明の記録シートは、シート状の支持体上に
発色剤を分散含有させた発色層を形成したもので
ある。支持体としては、一般的には紙が用いられ
るが、紙のほかに合成樹脂フイルム、ラミネート
紙、不織布シート等も目的に応じて用いられる。
発色層は、公知の記録材料におけると同様に、例
えば、発色剤を適当な結合剤の水溶液および／ま
たは水分散液に分散し塗布、乾燥することにより
形成される。 発色層は単一の層であつても、複数の層であつ
てもよい。複数層とする場合は、各層の間に不活
性の隔離層を介在させることもできる。各各の発
色前駆物質が熱の印加を受けない限り反応しない
ようにバインダー層内に分散されておれば、いか
なる層構造の態様も採用できる。 本発明に使用されるイソシアナートは、式
（）で示される２，５−ジメトキシ−４，4′，
4″−トリイソシアナト−トリフエニルアミンであ
る。このイソシアナートは、必要に応じて、フエ
ノール類、ラクタム類、オキシム類等との付加化
合物である、いわゆるブロツクインシアナートの
かたちでも用いることができる。 本発明に使用されるイミノ化合物は、式（）
で示される化合物である。そして、それらの具体
例としては、例えば、３−イミノイソインドリン
−１−オン、３−イミノ−４，５，６，７−テト
ラクロロイソインドリン−１−オン、３−イミノ
−４，５，６，７−テトラプロモイソインドリン
−１−オン、３−イミノ−４，５，６，７−テト
ラフルオロイソインドリン−１−オン、３−イミ
ノ−５，６−ジクロロイソインドリン−１−オ
ン、１，３−ジイミノイソインドリン、１，３−
ジイミノ−４，５，６，７−テトラクロロイソイ
ンドリン、１，３−ジイミノ−４，５，６，７−
テトラフロロイソインドリン、１，３−ジイミノ
−５，６−ジクロロイソインドリン等がある。 本発明の式（）で示される芳香族イソシアナ
ートと式（）で示されるイミノ化合物よりなる
感熱記録シートは、イミノ化合部の種類により発
色物の色相は若干異なるが、従来公知のイソシア
ナートとの組合せに比べ、色相が相対的に紫味に
寄つており、色相の選択の巾が広範囲となり、場
合によつては紫味の黒が得られるようになつた。 本発明の記録シートを製造するには、用いる発
色剤の成分を異にするほかは、公知のロイコ染料
と酸性物質から記録シートを得る方法と同様の方
法がとられる。例えば感熱記録シートは、一般的
には次のような方法で製造される。まず、発色剤
を、それぞれ別個に、それらを溶解しない媒体中
で結合剤とともによく混合または粉砕を行なつて
分散液をつくる。結合剤としては、ポリビニルア
ルコール、変性澱粉、カゼイン、ゼラチン、アラ
ビアゴム、メチルセルロース、エチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、無水マレイン
酸−スチレン共重合体、イソブチレン−無水マレ
イン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体
等公知の結合剤が用いられる。得られた分散液を
支持体上に塗布乾燥して、感熱シートを作成す
る。各分散液はあらかじめ混合して支持体に塗布
するのが一般的であるが、発色剤成分を適当に複
数回に分割して塗り重ねることもできる。このよ
うにして得られる発色層に、必要に応じて、Ｎ，
Ｎ−ジフエニルホルムアミド、ステアリン酸アミ
ド、ジフエニル、トリフエニルメタン、ステアリ
ン酸アニリド等の感度向上剤、タルク、クレー、
シリカ、酸化チタン、炭酸カルシウム等の顔料あ
るいは充填剤、ワツクス、ステアリン酸カルシウ
ム、ステアリン酸亜鉛等の滑剤、圧力発色防止剤
等を含ませることができる。 （実施例） 以下、実施例をあげて説明する。以下の例にお
いて、部とあるのは重量部を意味する。 実施例 １ １，３−ジイミノ−４，５，６，７−テトラク
ロロイソインドリン10ｇを１％ポリビニルアルコ
ール水溶液40ｇと共に、ボールミルで24時間分散
した。一方、２，５−ジメトキシ−４，4′，4″−
トリイソシアナートリフエニルアミン10ｇを１％
ポリビニルアルコール水溶液40ｇと共に、ボール
ミルで24時間分散した。これら２種類の分散液を
混合した後、炭酸カルシウムの50％分散液60ｇを
加え、さらに、ステアリン酸亜鉛の25％分散液40
ｇ、10％ポリビニルアルコール水溶液140ｇ、水
60ｇを加え、充分撹拌して塗液とした。この塗液
を坪量55ｇ／m²の原紙上に、固形分塗布量として
６ｇ／m²となるように塗布乾燥し、スーパーカレ
ンダーで処理して感熱記録シートを得た。 実施例 ２ 実施例１で用いた１，３−ジイミノ−４，５，
６，７−テトラクロロイソインドリンの代りに３
−イミノ−４，５，６，７−テトラクロロイソイ
ンドリン−１−オンを用いた以外は、実施例１と
同様にして感熱記録シートを得た。 実施例 ３ 実施例１で用いた１，３−ジイミノ−４，５，
６，７−テトラクロロイソインドリンの代りに
１，３−ジイミノイソインドリンを用いた以外
は、実施例１と同様にして感熱記録シートを得
た。 実施例 ４ 実施例１で用いた１，３−ジイミノ−４，５，
６，７−テトラクロロイソインドリンの代りに３
−イミノ−４，５，６，７−テトラフロロ−イソ
インドリン−１−オンを用いた以外は、実施例１
と同様にして感熱記録シートを得た。 実施例 ５ 実施例１で用いた１，３−ジイミノ−４，５，
６，７−テトラクロロイソインドリンの代りに３
−イミノ−イソインドリン−１−オンを用いた以
外は、実施例１と同様にして感熱記録シートを得
た。 比較例 １〜５ 実施例１〜５で用いた２，５−ジメトキシ−
４，4′，4″−トリイソシアナト−トリフエニルア
ミンの代りに表１に示すイソシアナート化合物を
用いた以外は、実施例１〜５と同様にして感熱記
録シートを得た。

【表】 （発明の効果） 試 験 実施例１〜５、比較例１〜５で得た感熱記録シ
ートを、それぞれ感熱フアクシミリ試験機〔松下
電子部品(株)製〕を用いて、印加パルス3.0ミリ秒、
印加電圧16Vの条件で印字し、得られた発色画像
の色相を目視で判定し、その結果を表２に示し
た。

【表】 以上のように本発明のイソシアナート化合物を
用いると、今までのイソシアナート化合物を用い
るのに比べ、相対的に色相が紫味になり、選択の
自由度が広がり、イミノ化合物に適当なものを選
べば紫味の黒も得られるようになつた。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 支持体に、発色剤として (イ) 式（）で示される芳香族イソシアナート
   と、 (ロ) 式（）で示されるイミノ化合物 （式中、Ｘはハロゲン原子、ｎは０から４の整
   数、ＡはＣ＝０またはＣ＝NHを表わす。） を含有する発色層を設けてなる記録シート。