JPH05339395A - ポリカーボネート系樹脂の延伸フィルムまたはシート - Google Patents

ポリカーボネート系樹脂の延伸フィルムまたはシート

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JPH05339395A
JPH05339395A JP4174925A JP17492592A JPH05339395A JP H05339395 A JPH05339395 A JP H05339395A JP 4174925 A JP4174925 A JP 4174925A JP 17492592 A JP17492592 A JP 17492592A JP H05339395 A JPH05339395 A JP H05339395A
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film
sheet
stretched film
polycarbonate resin
hydrocarbon group
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 特定の繰返し単位から構成され、数平均分子
量が10000以上200000以下である脂環式ポリ
カーボネート系樹脂からなる、延伸されたフィルムまた
はシートである。 【効果】透湿性および吸湿寸法変化が小さく、透明性、
耐候(光)性、複屈折性などの光学特性および耐熱性に
優れ、かつ機械的性質に優れた、光学用途に好適なフィ
ルムまたはシ−トが達成された。このフィルムまたはシ
−トは、例えば、偏光板支持板、光デイスクなどの光記
録媒体の保護フィルムまたはシート、反射鏡用基板の用
途等に好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、偏光板支持板、光ディ
スクなどの光記録媒体の保護フィルムまたはシートある
いは反射鏡基板などの光学用途に好適なフィルムまたは
シ−トに関する。
【0002】
【従来の技術】LCD(液晶デスプレイ)に使用される
偏光板は、偏光フィルム単独では耐久性等実用に耐えな
いため、片面あるいは両面に透明な合成樹脂のフィルム
またはシートが保護用に貼着された構造になっている。
偏光板支持板と呼称されているこの保護用のフィルムま
たはシートとして、従来、セルローストリアセテート樹
脂(以下TACと略記する)の透明フィルムまたはシー
トが使用されてきた。
【0003】しかしながら、TACのフィルムまたはシ
ートの透湿性が高いため、透過した水分による偏光フィ
ルムの劣化の防御が満足できるものでなく、高温高湿条
件で偏光板が脱色するなどの問題があり、LCDの車載
化などLCDの使用環境の拡大に伴い、透湿性の低い偏
光板支持板が望まれていた。
【0004】偏光板支持板として、透明性に優れたアク
リル樹脂の延伸フィルムまたはシート、またエチレン−
酢酸ビニル共重合体ケン化物を流延製膜して得られるフ
ィルムも提案されているが、アクリル樹脂の延伸フィル
ムまたはシートはそれ自体が耐熱性に劣る欠点があり、
エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物のフィルムは透
明性に劣り、また製法が流延法に限られ、溶剤回収など
環境上問題があるなどの欠点があり、いずれも満足でき
るものではない(特開昭55−155307号、特公平
3−23881号)。
【0005】ビスフェノールA系のポリカーボネート樹
脂のフィルムまたはシートも透明なフィルムまたはシー
トであるが、吸湿性は比較的低いものの、意外に透湿性
が高く、偏光板の耐久性向上効果は十分とは言えず、更
に複屈折性が大きいためLCD特性に悪影響を及ぼす問
題がある。
【0006】また、透明フィルムまたはシートを、光デ
イスクなどの光記録媒体の記録面の傷つき防止に用いる
試みも行われているが、TACでは吸湿によりしわが生
じるため適用できなく、他のフィルムまたはシートにも
適当なものがないのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来の問題点を解決することにあり、すなわち透湿性お
よび吸湿寸法変化が小さく、透明性、耐候(光)性、複
屈折性などの光学特性および耐熱性に優れ、かつ着色が
少なく、例えば偏光板支持板、光デイスクなどの光記録
媒体の保護フィルムまたはシートあるいは反射鏡基板な
どの光学用途に好適なフィルムまたはシートを開発する
ことである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記問題の
解決に関し鋭意検討した結果、ある種の脂環式ポリカー
ボネート系樹脂の延伸フィルムまたはシートが、驚くべ
きことに、透湿性および吸湿寸法変化が小さく、透明
性、耐候(光)性、複屈折性などの光学特性および耐熱
性に優れ、かつ機械的性質に優れていることを見出し本
発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明の目的は、下記一般式
[1]〜[3]で表される繰返し単位から構成され、単
位[1]のモル分率(x)は単位[2]のモル分率
(y)と単位[3]のモル分率(z)の合計モル分率
(y+z)に実質的に等しく、単位[2]のモル分率
(y)は20モル%以上50モル%以下の範囲であっ
て、数平均分子量が10000以上200000以下で
ある脂環式ポリカーボネート系樹脂からなる延伸された
フィルムまたはシートによって達成される。
【0010】
【化2】 ただし、式[1]において、nは0、1または2であ
り、式[3]において、Aは炭素数が20以下の2価の
飽和脂肪族炭化水素基、飽和脂環式炭化水素基または芳
香族炭化水素基である。
【0011】一般式[1]の構造単位の含有量(x)は
実質的に50モル%である。一般式[2]の構造単位の
含有量(y)は20〜50モル%であり、好ましくは3
0〜50モル%である。含有量が20モル%未満では透
湿性および吸湿寸法変化が大きくなる傾向があり好まし
くない。一般式[3]の構造単位の含有量(z)は基本
的に50−yモル%である。
【0012】一般式[1]の構造単位は具体的には以下
のものであり、特にnが1または2である繰返し単位で
ある場合、フィルムまたはシートの耐熱性が高く好まし
い。
【0013】n=0の場合
【0014】
【化3】 n=1の場合
【0015】
【化4】 n=2の場合
【0016】
【化5】 また、一般式[3]の構造単位は具体的には、例えば以
下のものが挙げられる。
【0017】Aが飽和脂肪族炭化水素の場合
【0018】
【化6】 Aが飽和脂環式炭化水素の場合
【0019】
【化7】 Aが芳香族炭化水素の場合
【0020】
【化8】 偏光板支持板など、特に低複屈折性であることが要求さ
れる用途においては、複屈折性の少ない飽和脂肪族炭化
水素または飽和脂環式炭化水素構造が好ましく選択され
る。特にAが飽和脂環式炭化水素の場合耐熱性が高く、
また吸湿寸法変化が小さく好ましい。複屈折性が特に問
題とならない用途においては、配向複屈折性が大きいが
芳香族炭化水素構造を選択することができ、この場合、
例えば耐熱性が高くなるなど有利となる点がある。
【0021】一般式[1]および一般式[3]で表され
る構造単位はそれぞれ1種類だけであっても2種類以上
が混合されていてもよい。また本発明の効果を損わない
範囲で他の構造単位を含んでいてもよい。その置換量は
通常10モル%以下である。
【0022】脂環式ポリカーボネート樹脂の分子量は数
平均分子量で10000〜200000(ポリスチレン
換算)であることがよく、さらに好ましくは20000
〜150000がよい。分子量が低いと本発明のフィル
ムまたはシートの機械的強度が不十分となり、大きすぎ
ると製膜が困難となる。
【0023】また、脂環式ポリカーボネート樹脂中のア
ルカリ金属、アルカリ土類金属、チタン、亜鉛、鉛、マ
ンガン、アンチモン、ゲルマニウムまたはこれら金属の
化合物の含有量が金属元素濃度で5ppm以下である場
合、着色の少ないフィルムまたはシートが得られ、特に
低着色の要求される用途に好ましい。従来、樹脂の製造
においてこれらの金属または金属の化合物が重合触媒と
して使用され樹脂中に混入したまま使用されていたが、
本発明者等は、これらの金属または金属化合物がフィル
ムまたはシートにわずかであるが存在する着色の原因に
なっており、これらの混入を実質的になくすることで着
色が改善できることを見出した。このようなものは、例
えば樹脂の製造においてテトラフェニルホウ素酸テトラ
−n−ブチルアンモニウム等のホウ素酸エステルを重合
触媒として使用する新規な方法で達成できる。
【0024】脂環式ポリカーボネート樹脂は、対応する
酸やそのエステル、酸塩化物(一般式[2]であらわさ
れる構造単位にはホスゲン)、酸無水物、ジオールやそ
のエステルもしくはアルコキシド等の原料より、公知の
方法により製造することができる(特開平2−6951
9号)。触媒としては、テトラアルキルオルソチタネー
ト、酢酸亜鉛、酸化アンチモン、酸化ゲルマニウム、カ
リウム−t−ブトキシドやナトリウムメトキシド等の種
々のアルコキシド、リチウムやナトリウム等のアルカリ
金属、水素化リチウムや水素化ナトリウム等のアルカリ
金属の水素化物などの公知の触媒が使用できる。また、
テトラフェニルホウ素酸テトラ−n−ブチルアンモニウ
ム等のホウ素酸エステルを触媒とする新規な方法で製造
できる。
【0025】本発明の効果を損わない範囲で、脂環式ポ
リカーボネート樹脂に可塑剤、染顔料、紫外線吸収剤、
酸化防止剤および滑剤などの樹脂改質剤が添加、あるい
は他の樹脂がブレンドされていてもよい。
【0026】本発明のフィルムまたはシートは延伸され
ている必要がある。未延伸フィルムまたはシートでは耐
折強度や引張強度及び引張伸度等の機械的性質が劣った
ものとなる。
【0027】用途によっては、例えば一方向の機械的性
質の改善で十分で、一軸延伸フィルムまたはシートが使
用できる場合もあるが、一般には二軸延伸したフィルム
またはシートが好ましい。
【0028】本発明の延伸フィルムまたはシートは、脂
環式ポリカーボネート樹脂からまず未延伸フィルムまた
はシートを作製し、これを延伸することにより製造する
ことができる。
【0029】未延伸フィルムまたはシートは公知の方法
により製造することができ、例えばプレス成形、溶融押
出成形及び溶液キャステング法が挙げられる。工業的な
方法としては押出成形法が好ましく、押出温度として
は、通常180〜350℃の範囲の温度が使用され、特
に200〜300℃が好ましく使用される。
【0030】延伸されたフィルムまたはシートの延伸方
向におけるオリエンテーションリリースストレス(AS
TM D1504、以下ORSと略記する)は一般的に
は3〜30Kg/cm2 であるのが好ましく、特に5〜
25Kg/cm2 がよい。ORSは延伸フィルムまたは
シートに凍結されている、延伸により生じた内部応力で
ある。
【0031】ORSが小さいフィルムまたはシートにお
いては加熱形状安定性は良いが耐折強度や引張伸度及び
引張強度等の機械的性質が劣り、ORSが高すぎると機
械的性質は良いが加熱形状安定性が劣ったものとなる。
【0032】延伸方法は、公知の方法、例えばロール一
軸延伸法、テンター一軸延伸法、同時二軸延伸法、逐次
二軸延伸法、インフレーション法が使用できる。延伸温
度は、樹脂のTgより10℃高い温度からTgより50
℃高い温度の範囲が適当であり、低すぎると延伸が困難
で、高すぎると延伸ムラの大きいものとなる。延伸倍率
は1.1〜3.5倍、特に1.5〜2.5倍が好ましく
用いられる。延伸倍率が大きすぎると破断しやすくなり
また延伸ムラも大きくなる。延伸速度は、通常100〜
5000%/分が使用される。一般に延伸終了後速やか
に冷却される。
【0033】本発明のフィルムまたはシートの厚みは、
本質的に制限されるものではないが、製造上10μ〜5
mm、特に20μ〜2mmが好ましい。厚みが薄いと成形中
破断しやすく、また厚すぎると延伸時、大きな延伸荷重
が必要となる。
【0034】
【作用】本発明の延伸フィルムまたはシートは、透湿性
および吸湿寸法変化が小さく、透明性、耐候(光)性、
複屈折性などの光学特性及び耐熱性に優れ、かつ機械的
性質に優れていることに特長がある。
【0035】透湿性が小さいことは、通過してくる水分
によって起こる性能劣化が問題であるヨウ素を偏光素子
とするポリビニルアルコール偏光板の支持板として非常
に望ましい性質であり、これを偏光板支持板として使用
することで耐久性の改善された偏光板が可能となった。
この用途においては、例えば、式[1]のnが1で、式
[2]のモル分率が50%である樹脂の二軸延伸フィル
ムが好ましい例として挙げられる。このフィルムは10
0厚みで透湿度が4g/m2 /24hrと非常に低く、
従来使用されているTACの約1/100であり、耐久
性が大きく改善される。この特性は、同じポリカーボネ
ート系樹脂であるビスフェノールAポリカーボネート樹
脂の100μのフィルムの透湿度が、35g/m2 /2
4hrと高いことから全く予想外のことであった。
【0036】本用途には、透湿度が20g/m2 /24
hr以下、特に15g/m2 /24hr以下の他の本発
明のフィルムまたはシートも好ましく使用される。
【0037】本発明の延伸フィルムまたはシートはまた
吸湿寸法安定性に優れており、湿度変化に伴う寸法変化
による問題に対処できる。例えば、コンパクトディスク
やレーザーディスク等の光ディスクの保護フィルムまた
はシートとしてTAC製の保護フィルムが提案された
が、環境湿度の変化により、しわが発生するため実用化
には致らなかった。本発明のフィルムまたはシートは吸
湿寸法変化が少なく、かつ複屈折性も小さく、この用途
に好適である。具体的には、例えば、式[1]のnが1
で、式[2]のモル分率が50%である樹脂の二軸延伸
フィルムが、乾燥後、23℃、95%の湿度の環境に7
日間放置したときの寸法変化が0.01%と小さく、好
ましく使用される。この値はTACのフィルムの吸湿寸
法変化の約1/50であり、苛酷な湿度条件でもしわの
発生が抑えられる。
【0038】本用途には、乾燥後、23℃、95%の湿
度の環境に7日間放置したときの寸法変化が0.1%以
下、更に好ましくは、0.05%以下である以下の他の
本発明のフィルムまたはシートも好ましく使用される。
【0039】保護フィルムまたはシートとして使用する
場合、本発明の延伸フィルムまたはシートに接着材が積
層された形態で使用されるのが便利であり、接着剤とし
て、透明な接着剤が用途に応じ選択でき、例えば、ポリ
ウレタン系、エポキシ系、アクリル系のものが使用でき
る。保護される面に接着剤を積層し、これに保護フィル
ムまたはシートを貼着する方法も可能である。
【0040】本発明の延伸フィルムまたはシートは、ま
た変形、変質することなく、100℃以上の温度に耐
え、また耐候(光)性に優れるため、フィルムまたはシ
ート上に金属膜を形成し、照明器具の効率向上に照明の
裏側に使用される反射鏡として好適に使用できる。
【0041】また耐熱性、吸湿寸法安定性、透明性に優
れた本発明のフィルムまたはシートは、光学用途以外の
透明フィルムまたはシートの用途、例えば銘板用途にも
好ましいものである。
【0042】尚、本発明においては254μ未満の厚み
のものをフィルム、254μ以上のものをシートと区別
した。
【0043】以下に特性値の測定方法を示す。 ・透明性:全光線透過率、ヘイズ(ASTM D100
3)により評価した。 ・測色:JIS K7105に従い測定した(C光源、
10゜視野、透過法)。 ・金属分析:原子吸光法により分析した。 ・複屈折性:東芝硝子(株)製歪検査器SVP−10型
により観察した。 ・吸湿寸法安定性:オーブンで80℃、48時間乾燥
後、23℃、95%の湿度の環境に7日間放置後の寸法
変化で評価した。 ・透湿度:JIS Z0208に従い測定した。 ・数平均分子量:GPC測定により、ポリスチレンの分
子量標準品と比較し求めた(ポリスチレン換算)。 ・ガラス転移温度(Tg):示差熱分析法(窒素中、昇
温温度10℃/分)により測定した。 ・ORS:ASTM D1504に従い測定した。 ・引張強度、引張伸度:ASTM D882−64Tに
従い測定した。 ・耐折強度:被測定物を15mm巾の短冊にして、MI
T型耐折疲労試験機{(株)東洋精機製作所製、折曲げ
速度30回/分}により破断せずに折曲げられた回数を
求めた。
【0044】
【実施例】本発明を実施例により具体的に説明する。
【0045】実施例1 トランス−2、3−ジ(ヒドロキシメチル)−ペルヒド
ロ−1、4:5、8−ジメタノナフタレン13.4Kg
とジフェニルカーボネート12.9Kgおよび触媒とし
てテトラフェニルホウ素酸テトラ−n−ブチルアンモニ
ウム0.7gを用い、溶融縮合反応により、式[4]で
表される繰返し構造単位からなる脂環式ポリカーボネー
ト樹脂を得た。得られた樹脂の数平均分子量は2900
0であり、Tgは125℃であった。
【0046】
【化9】 この樹脂を200℃の温度でプレス成形して、約400
μの未延伸シートを作製した。これをパンタグラフ式二
軸延伸試験機{東洋精機(株)製}により、155℃の
延伸温度、一方向1000%/分の延伸速度、一方向2
倍の延伸倍率で同時二軸延伸し、100μの厚みの延伸
フィルムを作製した。この二軸延伸物のORSは両方向
とも9Kg/cm2 であった。耐折強度は30回、引張
強度が350Kg/cm2 、引張伸度が2.0%と機械
的強度に優れており、取扱うに十分な強度を有してい
た。
【0047】このフィルムを原子吸光法で金属分析した
が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、チタン、亜鉛、
鉛、マンガン、アンチモン、ゲルマニウム元素の含有量
はいずれも1ppm以下であった。
【0048】全光線透過率が93%、ヘイズが0.3%
であり、また、測色値は、L* が96.42、a* が−
0.01、b* が0.17と着色のほとんど認められな
い透明性に優れた無色のフィルムであった。透湿度は4
g/m2 /24hrと低く、また乾燥後、23℃、95
%の湿度の環境に7日間放置したが寸法変化は0.01
%と小さかった。
【0049】歪検査器を用い、互いに直交する一対の偏
光板の間にフィルムをおいて回転しても直交する偏光板
の明るさおよび色相に変化はなく、複屈折性は認められ
なかった。また、115℃に加熱したが変形は認められ
なかった。
【0050】このフィルムを厚さ30μのヨウ素を偏光
素子としたポリビニルアルコール偏光フィルムの両面に
ウレタン系接着剤で接着して偏光板を作製した。偏光板
は2枚平行透過率が40%、偏光度が99.9%以上と
偏光性能が優れていた。80℃、90%の湿度の条件で
耐久テストを行ったが350時間経過後も2枚平行透過
率が45%、偏光度が98.9%と変化は軽微であっ
た。
【0051】比較例1 偏光板の支持板として使用されている80μのトリアセ
テートフィルム(富士写真フィルム(株)製、FT−8
0)の透湿度は480g/m2 /24hrであった。これ
を支持板として実施例1と同様にして偏光板を作製し、
80℃、90%の湿度の条件で耐久テストを行った。初
期偏光性能は2枚平行透過率が41%、偏光度が99.
9%以上であったが、100時間経過後、2枚平行透過
率が51%、偏光度が75.3%となり偏光板としての
使用に耐えないものとなった。
【0052】比較例2 実施例1と同様の方法により、プレス成形により150
μの未延伸フィルムを作製した。耐折強度は最初の折曲
げによって破断し、また引張強度が200Kg/c
2 、引張伸度が0.9%と機械的強度に劣ったフィル
ムであった。
【0053】実施例2 実施例1において、トランス−2、3−ジ(ヒドロキシ
メチル)−ペルヒドロ−1、4:5、8−ジメタノナフ
タレン13.4Kgの代りにトランス−2、3−ジ(ヒ
ドロキシメチル)−ペルヒドロ−1、4:5、10:
6、9−トリメタノアントラセン17.4Kgを使用し
た以外同様の方法により式[5]で表される繰返し構造
単位からなり、数平均分子量が69000、Tgが16
0℃の脂環式ポリカーボネート樹脂を製造した。
【0054】
【化10】 この樹脂から押出成形により約500μの未延伸シート
を作製した。これをパンタグラフ式二軸延伸試験機{東
洋精機(株)製}を用いて、190℃の延伸温度、一方
向1000%/分の延伸速度、一方向2.2倍の延伸倍
率で同時二軸延伸し、105μの厚みの延伸フィルムを
作製した。この二軸延伸物のORSは両方向とも12K
g/cm2 であった。耐折強度は26回、引張強度が4
20Kg/cm2 、引張伸度が2.8%と機械的強度に
優れていたこのフィルムを原子吸光法で金属分析した
が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、チタン、亜鉛、
鉛、マンガン、アンチモン、ゲルマニウム元素の含有量
はいずれも1ppm以下であった。
【0055】全光線透過率が93%、ヘイズが0.3%
であり、また、測色値は、L* が96.24、a* が−
0.02、b* が0.29と着色のほとんど認められな
い透明性に優れた無色のフィルムであった。透湿度は3
g/m2 /24hrと低いものであった。乾燥後、23
℃、95%の湿度の環境に7日間放置したが寸法変化は
0.01%と小さかった。
【0056】複屈折性は認められず、また、150℃に
加熱したが変形は認められなかった。
【0057】このフィルムにレーザーデイスクの内周部
と外周部のみ貼着されるように部分的に接着剤をつけ、
レーザーデイスクに貼りつけた。25℃において湿度を
10%から95%に変化させたが、しわは発生しなかっ
た。保護フィルムをつけた状態でレーザーデイスクを再
生したが、異常は認められなかった。
【0058】比較例3 80μのトリアセチルセルロース樹脂のフィルム{フジ
タック(富士写真フィルム(株)製、FT−80}を乾
燥後、23℃、95%の湿度の環境に7日間放置したが
寸法変化は0.6%であった。
【0059】このフィルムを実施例2と同様にしてレー
ザーデイスクに貼りつけ、25℃において湿度を10%
から95%に変化させたところ、しわが発生し、再生が
不能となった。
【0060】実施例3 実施例1において、トランス−2、3−ジ(ヒドロキシ
メチル)−ペルヒドロ−1、4:5、8−ジメタノナフ
タレン13.4Kgの代りにトランス−2、3−ジ(ヒ
ドロキシメチル)−ペルヒドロ−1、4:5、8−ジメ
タノナフタレン6.7Kgおよびトランス−2、3−ジ
(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン
4.7Kgを使用した以外同様の方法により式[6]で
表される構造単位からなり、数平均分子量が4800
0、Tgが118℃の脂環式ポリカーボネート樹脂を製
造した。
【0061】
【化11】 この樹脂から押出成形により約900μの未延伸シート
を作製した。これをパンタグラフ式二軸延伸試験機{東
洋精機(株)製}を用いて、140℃の延伸温度、一方
向500 %/分の延伸速度、一方向1.75倍の延伸倍率
で同時二軸延伸し、300μの厚みの延伸シートを作製
した。この二軸延伸物のORSは両方向とも11Kg/
cm2 であり、機械的強度に優れていた。
【0062】このシートを原子吸光法で金属分析した
が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、チタン、亜鉛、
鉛、マンガン、アンチモン、ゲルマニウム元素の含有量
はいずれも1ppm以下であった。
【0063】全光線透過率が93%、ヘイズが0.4%
であり、また、測色値は、L* が96.39、a* が−
0.02、b* が0.23と着色のほとんど認められな
い透明性に優れた無色のシートであった。乾燥後、23
℃、95%の湿度の環境に7日間放置したが寸法変化は
0.02%と小さかった。複屈折性は認められず、また
100℃に加熱したが変形は認められなかった。
【0064】実施例4 トランス−2、3−ジ(ヒドロキシメチル)−ペルヒド
ロ−1、4:5、8−ジメタノナフタレン13.4K
g、ジフェニルカーボネート9.0Kg、ジフェニルテ
レフタレート3.5Kgおよび触媒として水素化リチウ
ム0.5gを用いて、実施例1と同様の方法により式
[7]で表される構造単位からなる数平均分子量が43
000、Tgが137℃の脂環式ポリカーボネート樹脂
を製造した。
【0065】
【化12】 この樹脂から押出成形により約200μの未延伸シート
を作製した。これをパンタグラフ式二軸延伸試験機{東
洋精機(株)製}を用いて、165℃の延伸温度、一方
向500%/分の延伸速度、一方向1.75倍の延伸倍
率で逐次二軸延伸し、65μの厚みの延伸フィルムを作
製した。この二軸延伸物のORSは最初に延伸した方向
が9Kg/cm2 、後で延伸した方向が12Kg/cm
2 であった。耐折強度は、最初に延伸した方向に沿って
折曲げたときが55回、後で延伸した方向に沿って折曲
げたときが39回と機械的強度に優れていた。
【0066】全光線透過率が92%、ヘイズが0.4%
と透明性の良好なフィルムであり、また、125℃に加
熱したが変形は認められなかった。
【0067】
【発明の効果】脂環式構造単位を有するポリカーボネー
ト樹脂のフィルムまたはシートにより、透湿性および吸
湿寸法変化が小さく、透明性、耐候(光)性、複屈折性
などの光学特性および耐熱性に優れ、かつ機械的性質に
優れた、光学用途に好適なフィルムまたはシ−トが得ら
れる。このフィルムまたはシ−トは、例えば、偏光板支
持板、光デイスクなどの光記録媒体の保護フィルムまた
はシートあるいは反射鏡用基板等の用途に好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 69/00 LPU 9363−4J // B29K 69:00 B29L 7:00 4F

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式[1]〜[3]で表される繰返
    し単位から構成され、単位[1]のモル分率(x)は単
    位[2]のモル分率(y)と単位[3]のモル分率
    (z)の合計モル分率(y+z)に実質的に等しく、単
    位[2]のモル分率(y)は20モル%以上50モル%
    以下の範囲であって、数平均分子量が10000以上2
    00000以下である脂環式ポリカーボネート系樹脂か
    らなる延伸されたフィルムまたはシート。 【化1】 ただし、式[1]において、nは0、1または2であ
    り、式[3]において、Aは炭素数が20以下の2価の
    飽和脂肪族炭化水素基、飽和脂環式炭化水素基または芳
    香族炭化水素基である。
  2. 【請求項2】フィルムまたはシートが二軸延伸フィルム
    またはシートである請求項1に記載の延伸フィルムまた
    はシート。
  3. 【請求項3】延伸方向のオリエンテーションリリースス
    トレスが3〜30Kg/cm2 の範囲にある請求項1〜
    2に記載の延伸フィルムまたはシート。
  4. 【請求項4】脂環式ポリカーボネート樹脂中のアルカリ
    金属、アルカリ土類金属、チタン、亜鉛、鉛、マンガ
    ン、アンチモン、ゲルマニウムまたはこれら金属の化合
    物の含有量が金属元素濃度で5ppm以下である請求項
    1〜3に記載の延伸フィルムまたはシート。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002236212A (ja) * 2001-02-08 2002-08-23 Nitto Denko Corp 偏光板及びそれを用いた液晶表示装置
JP2020033419A (ja) * 2018-08-28 2020-03-05 日東電工株式会社 表面保護フィルム用基材、該基材の製造方法、該基材を用いた表面保護フィルム、および表面保護フィルム付光学フィルム

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JP2020033419A (ja) * 2018-08-28 2020-03-05 日東電工株式会社 表面保護フィルム用基材、該基材の製造方法、該基材を用いた表面保護フィルム、および表面保護フィルム付光学フィルム

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