JPH0533750Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、消防用ポンプ等の給水ポンプの呼水
装置の改良に関するものである。

［従来の技術］ 第２図に示すように、呼水装置ａが取付けられ
る給水ポンプｂは、内部にポンプ室ｃを有するケ
ーシングｄと、該ポンプ室ｃにそれぞれ連通する
吸込口ｅ及び吐出口ｆとを備えている。

このような給水ポンプｂに設けられている呼水
装置ａは、第２図に示すように、給水ポンプｂの
吸込口ｅ側のケーシングｄに一体に設けられてい
るケーシング１を有する。このケーシング１内に
は一端が給水ポンプｂのポンプ室ｃに連通する連
通口１Ａに接続されてポンプ室ｃ内の空気を外部
に排出するための排気通路２が形成されている。
排気通路２の途中には、ダイヤフラム式止水弁３
と、逆止弁４とが配設され、排気通路２の終端に
は真空ポンプ５が取付けられている。ダイヤフラ
ム式止水弁３は呼水が真空ポンプ５内に侵入する
のを阻止するためのもので、逆止弁４は真空ポン
プ５を停止した際に排気通路２の逆流を阻止して
呼水の落下を阻止するためのもので、且つ真空ポ
ンプ５は給水ポンプｂの呼水を行うためのもので
ある。

ダイヤフラム式止水弁３は、排気通路２の一部
を拡げて形成された弁室３Ａと、排気通路２の一
部をなしていて弁室３Ａに隣接する逆止弁４側に
形成された負圧圧力室３Ｂと、弁室３Ａと負圧圧
力室３Ｂとを連通するように形成された弁孔３Ｃ
とを有している。これらの弁室３Ａと負圧圧力室
３Ｂと弁孔３Ｃとは共にケーシング１内に形成さ
れている。弁室３Ａの弁孔３Ｃに対向する部分に
は開口部３Ｄが形成されており、この開口部３Ｄ
には栓体３Ｅが螺着されている。弁室３Ａ側の弁
孔３Ｃの開口部周縁には弁座３Ｆが形成されてい
て、弁座３Ｆに対向するようにして弁室３Ａには
弁体３Ｇが収納されている。弁体３Ｇには弁孔３
Ｃを貫通する弁棒３Ｈが固着され、該弁棒３Ｈは
ケーシング１に形成された負圧圧力室３Ｂの開口
部３Ｉを貫通するようになつている。該開口部３
Ｉの外側には該開口部３Ｉを塞ぐダイヤフラム３
Ｊがダイヤフラム押えキヤツプ３Ｋによつて固定
されている。

逆止弁４は、ケーシング１の排気通路２に配設
された弁座４Ａと、排気通路２の一部をなしてい
て弁座４Ａを貫通する弁孔４Ｂと、排気通路２を
流れる空気が給水ポンプｂのポンプ室ｃ側に逆流
しようとした時に弁孔４Ｂを閉じる動作をするボ
ール弁体４Ｃとを有している。

真空ポンプ５は、第１の管継手６と第２の管継
手７とを介して排気通路２の出口側に取付けられ
ている。この真空ポンプ５は内部にポンプ室５Ａ
を備えており、該ポンプ室５Ａには複数の羽根５
Ｂを放射状に配置したロータ５Ｃが回転自在に収
納されている。

逆止弁４の真空ポンプ５側に隣接する排気通路
２には自動ドレン手段８が設けられている。この
自動ドレン手段８は、排気通路２に弁孔８Ａを開
口させて設けられた弁座８Ｂと、ケーシング１に
形成されていて一端が弁孔８Ａを介して排気通路
２に連通し他端が外部に開口する孔８Ｃを有する
弁室８Ｄと、弁室８Ｄに収納されていて排気通路
２が負圧になつた時弁孔８Ａを自動的に閉じるボ
ール弁体８Ｅとからなつている。

このような従来の呼水装置ａでは、先ず、真空
ポンプ５を適宜な手段により起動して排気通路２
内を負圧状態にすると、逆止弁４が開き、また止
水弁３のダイヤフラム３Ｊが負圧圧力室３Ｂ内に
突出するように変形されて止水弁３が開かれる。
このように逆止弁４と止水弁３とが開かれると、
給水ポンプｂのポンプ室ｃ内の空気が真空ポンプ
５によつて吸い出されて呼水が行われる。この
際、給水ポンプｂの吐出口ｆは適宜な手段で塞が
れている。

［考案が解決しようとする問題点］ しかしながら、このような従来の呼水装置で
は、逆止弁４と止水弁３とが開かれて呼水が開始
されると、止水弁３が開く前よりも負圧圧力室３
Ｂ内の負圧の度合は低下するため、止水弁３の開
度が狭められて空気の吸込み効率が低下し、呼水
作業に長い時間が掛かる問題点があつた。

本考案の目的は、呼水に要する時間を短縮でき
る給水ポンプの呼水装置を提供することにある。

［問題点を解決するための手段］ 本考案を、第１図に示す実施例をもとに説明す
ると、給水ポンプｂのポンプ室ｃに一端が接続さ
れた排気通路２を有し、該排気通路２の他端には
真空ポンプ５が接続され、排気通路２には呼水が
吸上げられた時に該呼水により弁体３Ｇが押上げ
られて排気通路２を閉じるダイヤフラム式止水弁
３と真空ポンプ５が停止した時に排気通路２を閉
じる逆止弁４とが配設されている給水ポンプの呼
水装置であつて、本考案においては、ダイヤフラ
ム式止水弁３を、排気通路２から独立して形成さ
れている負圧圧力室３Ｂと、該負圧圧力室３Ｂに
一端が接続されて他端が真空ポンプ５のポンプ室
５Ａの負圧側部分５Ｄに接続されて該負圧圧力室
３Ｂを負圧にするための止水弁駆動用負圧通路９
と、前記負圧圧力室３Ｂの圧力変化で作動するダ
イヤフラム３Ｊと、該ダイヤフラム３Ｊの作動に
より排気通路２を開閉動作する弁体３Ｇと、負圧
圧力室３Ｂに設けられて該負圧圧力室３Ｂが大気
圧になつたときに開く自動ドレン抜き弁１０とで
構成している。

［作用］ 上記のように、ダイヤフラム式止水弁３の負圧
圧力室３Ｂを排気通路２から独立させ、該負圧圧
力室３Ｂと真空ポンプ５のポンプ室５Ａの負圧側
部分５Ｄとを止水弁駆動用負圧通路９で接続する
と、真空ポンプ５を起動して呼水を行う際、真空
ポンプ５で給水ポンプｂのポンプ室ｃ内の空気を
吸引したときに排気通路２内の負圧の度合が低下
しても負圧圧力室３Ｂはその影響を受けず、従つ
て止水弁２の開度は変化せず、呼水を効率よく行
うことができ、呼水に要する時間を短縮できる。
また、止水弁３の負圧圧力室３Ｂに自動ドレン抜
き弁１０を設けているので、真空ポンプ５が停止
して負圧圧力室３Ｂが大気圧になつた時に該自動
ドレン抜き弁１０が開き、真空ポンプ５側から負
圧圧力室３Ｂ内に水及び潤滑油等が侵入してもそ
れらを外部に自動的に排出できる。

［実施例］ 以下、本考案の一実施例を第１図を参照して詳
細に説明する。

本実施例の給水ポンプの呼水装置ａは、その止
水弁３の構成が第２図に示されている従来の呼水
装置の止水弁と異なつているので、次に従来のも
のと相違する部分について説明する。本実施例で
は、ダイヤフラム式止水弁３の負圧圧力室３Ｂが
従来のように排気通路２の一部として形成されて
いず、ケーシング１内に排気通路２から独立して
形成されている。即ち、負圧圧力室３Ｂは、弁孔
３Ｃに対向する位置で排気通路２から独立して設
けられ、排気通路２と該負圧圧力室３Ｂとの間の
ケーシング１の部分には弁棒３Ｈを貫通させる弁
棒貫通孔３Ｌが設けられている。弁棒貫通孔３Ｌ
には、弁棒３Ｈを摺動自在に支持して該弁棒貫通
孔３Ｌを気密に封止するシール部材３Ｍが装着さ
れている。負圧圧力室３Ｂの開口部３Ｉは前述し
たと同様にダイヤフラム３Ｊで塞がれている。負
圧圧力室３Ｂには止水弁駆動用負圧通路９の一端
が接続されていて、該止水弁駆動用負圧通路９の
他端は真空ポンプ５のポンプ室５Ａの負圧側部分
５Ｄに接続されている。即ち、止水弁駆動用負圧
通路９は、負圧圧力室３Ｂに開口するようにケー
シング１に形成された連通孔９Ａと、この連通孔
９Ａに取付けられたニツプル９Ｂと、ニツプル９
９Ｂに一端が連結されたパイプ９Ｃ（第１図に一
点鎖線で示されている。）と、パイプ９Ｃの他端
を真空ポンプ５のポンプ室５Ａの負圧側部分５Ｄ
に連結するニツプル９Ｄとから構成されている。
止水弁３の負圧圧力室３Ｂの底部には該負圧圧力
室３Ｂが大気圧になつた時に開く自動ドレン抜き
弁１０が設けられている。この自動ドレン抜き弁
１０は、負圧圧力室３Ｂの底部に開口する貫通孔
１０Ａと、該貫通孔１０Ａに連通してケーシング
１に設けられた弁室１０Ｂとを有している。弁室
１０Ｂ内の貫通孔１０Ａ側には中心に弁孔１０Ｃ
を有する弁座１０Ｄが配設され、弁室１０Ｂ内に
は該弁室１０Ｂに嵌合する筒状体１０Ｅと該筒状
体１０Ｅに一体に形成された継手部１０Ｆとから
なるニツプル１０Ｇが嵌着されている。ニツプル
１０Ｇにはその貫通孔の貫通方向に直交するよう
にしてピン１０Ｈが配設されている。ニツプル１
０Ｇ内には負圧圧力室３Ｂが負圧になつた時に弁
孔１０Ｃを自動的に閉じ且つ負圧圧力室３Ｂが大
気圧になつた時に開くボール弁体１０Ｉが収納さ
れている。弁孔１０Ｃが開いた時にボール弁体１
０Ｉは２本のピン１０Ｈに当接し、これにより該
ボール弁体１０Ｉはニツプル１０Ｇから脱出しな
いようになつている。

上記実施例の呼水装置ａを駆動して給水ポンプ
ｂの呼水を行うには、先ず、給水ポンプｂを駆動
する駆動源を起動する。次に該駆動源の動力をク
ラツチ等を介して真空ポンプ５に繋いで、真空ポ
ンプ５を駆動する。このようにして真空ポンプ５
が駆動されると、排気通路２と共に止水弁駆動用
負圧通路９が負圧になる。止水弁駆動用負圧通路
９が負圧になると、ダイヤフラム式止水弁３の負
圧圧力室３Ｂが負圧になつてダイヤフラム３Ｊが
弁体３Ｇ側に凸の状態に変形される。このように
ダイヤフラム３Ｊが変形されると、弁体３Ｇが弁
座３Ｆから離間して止水弁３が開かれる。止水弁
３が開かれると、排気通路２が開通して給水ポン
プｂのポンプ室ｃ内の空気を吸引排気して呼水を
行う。このようにして呼水を行う場合、給水ポン
プｂのポンプ室ｃ内の空気を吸引排気する際に、
負圧圧力室３Ｂは排気通路２とは独立して吸引排
気されているので、排気通路２の負圧の度合が止
水弁３を開く前よりも低下しても、その影響を受
けない。そのため、負圧圧力を略一定に維持でき
る。従つてダイヤフラム３Ｊが下に凸の状態を維
持するので、止水弁５の開度は変化せず、効率の
よい呼水を行うことができる。特に、本実施例の
呼水装置ａにおいては、呼水の吸い上げ高さが低
くて、呼水時に排気通路２内の負圧の度合が高ま
らないときにも、止水弁３を開くために負圧圧力
室３Ｂを負圧にする負圧力は呼水の吸上げ高さに
関係なく高められるため、止水弁３の開度を拡げ
て効率よい呼水を行え、呼水に要する時間を短縮
できる。このように本考案の呼水装置は呼水に要
する時間を短縮できるので、放水までの時間をで
きるだけ短縮したい消防用ポンプに好適である。
また、真空ポンプ５を停止した際、止水弁３の負
圧圧力室３Ｂが大気圧になろうとして真空ポンプ
５のポンプ室５Ａ内の空気を吸込もうとするが、
この時、真空ポンプ５内に水及び潤滑油等が溜つ
ていると、これが負圧圧力室３Ｂ内に入り込む。
これらの水及び潤滑油等が負圧圧力室３Ｂ内に溜
つたままだと、負圧圧力室３Ｂの内壁等が腐食さ
れたり、寒冷地などでは水の氷結により止水弁３
を破壊されたりすることがある。しかるに、本実
施例では、自動ドレン抜き弁１０があるので、負
圧圧力室３Ｂ内が大気圧になると止水弁３が開い
て、これらの水及び潤滑油等を外部に排出させ
る。

尚、上記実施例においては、弁室３Ａ、排気通
路２及び負圧圧力室３Ｂが呼水装置ａのケーシン
グ１に形成されているが、本考案はこれに限定さ
れるものではなく、弁室及び排気通路をケーシン
グ１とは別体の管状体で構成し、負圧圧力室をケ
ーシング１に形成しないで別個にしてもよいのは
勿論である。

また、上記実施例においては、自動ドレン式弁
１０をボール弁体１０Ｅを有するボール式逆止弁
としたが、本考案はこれに限定されるものではな
く、リード弁或いは他の逆止弁を用いてもよい。

［考案の効果］ 以上のように、本考案によれば、ダイヤフラム
式止水弁の負圧圧力室を排気通路から独立させ、
該負圧圧力室と真空ポンプのポンプ室の負圧側部
分とを止水弁駆動用負圧通路で接続したので、真
空ポンプを起動して呼水を行う際、真空ポンプで
給水ポンプのポンプ室内の空気を吸引したときに
排気通路内の負圧の度合が低下しても負圧圧力室
はその影響を受けず、従つて止水弁の開度は変化
せず、呼水を効率よく行うことができ、呼水に要
する時間を短縮できる。また、止水弁の負圧圧力
室に自動ドレン抜き弁を設けたので、真空ポンプ
が停止して負圧圧力室が大気圧になつた時に自動
ドレン抜き弁が開き、真空ポンプ側から負圧圧力
室内に水及び潤滑油等が侵入してもそれらを自動
的に排出でき、負圧圧力室の内壁等を腐蝕劣化さ
せたり、寒冷地などで起り易い水の氷結によつて
止水弁を破壊させたりすることを防止できる利点
がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の呼水装置の一実施例を示す一
部断面正面図、第２図は従来の呼水装置を示す一
部断面正面図である。 ａ……呼水装置、ｂ……給水ポンプ、ｃ……給
水ポンプのポンプ室、２……排気通路、３……ダ
イヤフラム式止水弁、３Ｂ……止水弁の負圧圧力
室、３Ｇ……止水弁の弁体、３Ｊ……ダイヤフラ
ム、４……逆止弁、５……真空ポンプ、５Ａ……
真空ポンプのポンプ室、５Ｄ……真空ポンプのポ
ンプ室の負圧側部分、９……止水弁駆動用負圧通
路、１０……自動ドレン抜き弁。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 給水ポンプのポンプ室に一端が接続された排気
   通路を有し、該排気通路の他端には真空ポンプが
   接続され、前記排気通路には呼水が吸上げられた
   時に該呼水により弁体が押上げられて前記排気通
   路を閉じるダイヤフラム式止水弁と前記真空ポン
   プが停止した時に前記排気通路を閉じる逆止弁と
   が配設されている給水ポンプの呼水装置におい
   て、 前記ダイヤフラム式止水弁は、前記排気通路か
   ら独立して形成されている負圧圧力室と、前記負
   圧圧力室に一端が接続されて他端が前記真空ポン
   プのポンプ室の負圧側部分に接続されて前記負圧
   圧力室を負圧にするための止水弁駆動用負圧通路
   と、前記負圧圧力室の圧力変化で作動するダイヤ
   フラムと、前記ダイヤフラムの作動により前記排
   気通路の開閉動作をする弁体と、前記負圧圧力室
   に設けられて該負圧圧力室が大気圧になつた時に
   開く自動ドレン抜き弁とを備えていることを特徴
   とする給水ポンプの呼水装置。