JPH021519Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この考案は消防ポンプ車での放水ポンプの始動
用揚水装置に関する。

〈従来の技術〉 一般に消防ポンプ車は渦巻型放水ポンプと、上
記ポンプの吸込口に一端を水平に接続した剛性吸
水管と、該剛性吸水管の他端に接続して水源に達
する可撓吸水管と、前記渦巻ポンプを始動するた
めに該ポンプ内部に水を呼水するための真空ポン
プを備え、上記放水ポンプと真空ポンプはエンジ
ンで駆動される駆動軸に夫々電磁クラツチを介し
て断接可能につないである。この渦巻型放水ポン
プを始動するには、そのポンプの内部及びこれに
連なつた吸水管の内部を満水にして置くことが必
要である。

そのため従来は真空ポンプと放水ポンプの内部
の天井を通気管で接続し、先ず真空ポンプを運転
して放水ポンプの内部及びこれに連らなる吸水管
の内部を負圧にして水源から水を呼水し、満水に
なつたら真空ポンプの運転を停め、それから放水
ポンプを運転して放水を開始する。

〈考案が解決しようとする問題点〉 真空ポンプを運転する際に放水ポンプの内部に
残水があると、真空ポンプは運転によりその水を
吸い、摺動部を潤滑する油を洗い流して焼付くな
ど故障する虞がある。このため消防法では出動し
て直ちに真空ポンプを運転し、放水態勢がとれる
ようポンプ車の走行中は放水ポンプから完全に排
水して置くことを定めている。

さて、そのようにして放水中、何らかの原因で
吸水管に先端から空気が入つて吸水管内の水が先
端から落水し、放水が中断した場合、放水を再開
するには放水ポンプ内の残水をドレンや放水口か
ら排水し、再び真空ポンプを運転してポンプの内
部及び吸水管の内部を満水にしなければならな
い。この様に消火活動中、放水ポンプ内の残水の
排水、真空ポンプを運転しての呼水に要する長い
放水中断時間は被害を大きくするため、なるべく
短縮することがのぞまれる。

〈問題点を解決するための手段〉 そこで本考案は渦巻型放水ポンプと、上記ポン
プの吸込口に一端を水平に接続した剛性吸水管
と、該剛性吸水管の他端に接続して水源に達する
可撓吸水管と、前記渦巻ポンプを始動するために
該ポンプ内部に水を呼水するための真空ポンプを
備えた消防ポンプ始動用揚水装置において、前記
剛性吸水管に斜め上向きに延び、前記放水ポンプ
の内部の天井よりも内壁上面が高い上位管路部分
を設け、該上位管路部分の内壁上面と前記真空ポ
ンプの間を通気管で接続し、この通気管には前記
真空ポンプの運転により発生する負圧で開く差圧
開閉弁を取付け、又、前記上位管路部分の内壁上
面上には前記真空ポンプの運転を停止させる信号
を発信する水検出器を取付けたことを特徴とす
る。

〈作用〉 放水ポンプ及び吸水管の内部を満水にして放水
中、何等かの事情で吸水管が先端から空気を吸込
むと、上位管路部分から吸水管の先端までの内部
の水は水源に落水するが、放水ポンプの内部と、
該ポンプから上位管路部分に至る迄の吸水管の内
部には水が残る。

そして、上位管路部分内には水が無いため真空
ポンプは運転できる。真空ポンプを運転すると通
気管内に生起する負圧で差圧開閉弁が開くため、
その負圧を上位管路部分の内部から吸水管に及ぼ
し、水源の水を吸水管の先端から吸込むことがで
きる。そして、吸込まれた水の水位が上位管路部
分の内壁上面近くに達すると、そこに取付けた水
検出器がその水位を検出して真空ポンプの運転を
停め、これによる通気管内の圧力変化で差圧開閉
弁は閉じる。

こうして吸水管内は再び満水になつたので放水
を再開できる。

〈実施例〉 第１図の実施例において、１は渦巻型の放水ポ
ンプ、２はその吸込口に一端を水平に接続した剛
性吸水管、３は上記剛性吸水管の他端に接続して
先端が水源Ｗに達する可撓吸水管、４は真空ポン
プを示す。

剛性吸水管２は一端から他端に向かつて斜め上
向きに延びるほヾＳ字形で、その他端部に前記放
水ポンプ１の内部の天井よりも内壁上面が上位の
上位管路部分５を有する。そして、この上位管路
部分５の内壁上面と前記真空ポンプ４の間を、真
空ポンプの運転により生起する負圧で開く差圧開
閉弁６を取付けた通気管７で接続する。又、上位
管路部分５の内壁上面上には真空ポンプ４の運転
を停止させる水検出器８を取付ける。

第１図は落水して放水が中断した状態を示し、
中断前に吸水した水ωは放水ポンプの内部を満た
し、剛性吸水管２の内部の途中（上位管路部分の
内壁下面）まで残つているが、上位管路部分５の
内部には水源に落水して水は無い。

つまり、放水が中断した場合、剛性吸水管２は
内壁上面が放水ポンプの内部の天井よりも上位の
上位管路部分５を有するため、放水ポンプの内部
に満水の状態に吸水した水を残し、自身の内部に
も途中までその水を残して置くことができる。

放水ポンプ１の放水を再開するには、剛性吸水
管の上位管路部分５の内部には水がないので真空
ポンプ４を支障なく運転することができ、これに
より通気管内に生起する負圧で差圧開閉弁６を開
いてその負圧を吸水管内に及ぼし、水源の水を上
位管路部分５に吸い上げ、吸水管の内部全体は再
び満水になる。こうして、吸水管内の水位が上位
管路部分の内壁上面近くに達すると、この水を水
検出器８が検出して真空ポンプを運転状態にして
いる電磁クラツチのスイツチを開に切換え、真空
ポンプの運転を停め、通気管内の圧力変化で差圧
開閉弁６は閉じる。

この状態で放水ポンプの内部及び吸水管の内部
は満水なので放水ポンプを運転し、放水を再開す
ることができる。

この様に放水が何等かの事情で中断して再開す
る際は、放水ポンプの内部と、ポンプから上位管
路部分５に至るまでの吸水管の途中に前の水を残
したまゝ真空ポンプを運転し、吸水管から落水し
た分量だけの水を吸上げるだけで放水を再開で
き、再開に要する時間は著しく短縮する。

尚、当初の放水の際は、放水ポンプと吸水管の
内部には水が無いので、真空ポンプを運転し、上
位管路部分５に吸上げた水を自重で放水ポンプに
流し落してポンプ内部を満水にし、次いで吸水管
内全体を満水にする。

第１図では通気管７に差圧開閉弁６と、吸水管
内が負圧になつたことを示す揚水表示灯点滅装置
９と、可撓吸水管の先端を消火栓につないだこと
を示す圧力スイツチ１０を夫々別々に接続した
が、揚水表示灯点滅装置９と圧力スイツチ１０は
第２，３図の実施例に示す様に差圧開閉弁６に一
体に組込んで同様に実施することができる。

この差圧開閉弁６は内部に水検出器７からの通
気管を接続する開口１１ａを有する室１２ａと、
剛性吸水管の上位管路部分５からの通気管を接続
する開口１１ｂを有する室１２ｂと、両室１２ａ
と１２ｂを連通させたり、隔離するための弁体１
３を備えている。この弁体１３は、室１２ａの内
壁沿いに移動可能なピストン１４に軸１５で連結
され、上記ピストン１４は室１２ａ内に設けたバ
ネ１６により常時は第３図で左側に押され、これ
により軸１５を介して弁体１３を左に引き、室１
２ａと１２ｂの連通を遮断する。

真空ポンプ４を運転すると、真空ポンプに開口
１１ａで通じている室１２ａ内が負圧になり、こ
の負圧によつてピストン１４はバネ１６に抗し右
に移動し、これに伴い弁体１３も右に移動して室
１２ａと１２ｂは連通し、真空ポンプの負圧を上
位管路部分５から吸水管２内に及ぼし、水源の水
を吸水管内に吸上げる。

こうして上位管路部分５を含んで吸水管内が満
水になると前述の水検出器８がこれを検出して真
空ポンプの運転を停め、弁体１３はバネ１６で両
室１２ａ，１２ｂの連通を断つ。揚水表示灯点滅
装置９と、圧力スイツチ１０はともに室１２ｂに
通じた上部に組込まれ、揚水表示灯点滅装置９は
常時はバネ１７で押上げられているピストン１８
を付属している。真空ポンプの運転で前述のよう
に室１２ｂが１２ａに通じると、その負圧で上記
ピストン１８はバネ１７に抗して下に移動し、こ
れにより揚水表示灯点点滅装置のスイツチは表示
灯を点灯させて吸水管内が負圧状態にあることを
表示する。又、可撓吸水管を消火栓につなぐと、
有圧水はその水圧で吸水管の上位管路部分から通
気管７から弁体１３で閉ざされた室１２ｂに侵入
し、圧力スイツチ１０を閉にして可撓吸水管が消
火栓につながれていることを表示する。

〈考案の効果〉 放水活動中、放水が一時中断して再開する場
合、再開に要する所要時間を従来に較べて著しく
短縮でき、被害の拡大防止に大きく役立つ。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の側面図、第２図は
他の一実施例の要部の側面図、第３図は第２図に
示した差圧開閉弁の拡大断面図である。 図中、１は渦巻型放水ポンプ、２は剛性吸水
管、３は可撓吸水管、４は真空ポンプ、５は剛性
吸水管の上位管路部分、６は差圧開閉弁、７は通
気管、８は水検出器を示す。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 渦巻型放水ポンプと、上記ポンプの吸込口に一
   端を水平に接続した剛性吸水管と、該剛性吸水管
   の他端に接続して水源に達する可撓吸水管と、前
   記渦巻ポンプを始動するために該ポンプ内部に水
   を呼水するための真空ポンプを備えた消防ポンプ
   の始動用揚水装置において、 前記剛性吸水管に斜め上向きに延び、前記放水
   ポンプの内部の天井よりも内壁上面が高い上位管
   路部分を設け、該上位管路部分の内壁上面と前記
   真空ポンプの間を通気管で接続し、この通気管に
   は前記真空ポンプの運転により発生する負圧で開
   く差圧開閉弁を取付け、又、前記上位管路部分の
   内壁上面上には前記真空ポンプの運転を停止させ
   る信号を発信する水検出器を取付けたことを特徴
   とする消防ポンプの始動用揚水装置。