JPH0533746Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の利用分野〕 この考案は自吸式ポンプの改良に関し、その目
的は、簡単な構造で任意の場所に取付可能とした
ことにある。

〔従来技術〕

従来から、自吸式ポンプは地下水を汲み上げて
飲用に供したり、あるいは、温水栽培の野菜等へ
の散布用に広く利用されている。この自吸式ポン
プはその構造上、電動機による運転開始時には自
吸作用を円滑に行うために、ポンプ室内に必ず定
量の呼び水を充満しておく必要があつた。この呼
び水がポンプ室内に充満されていないと、即ち、
ポンプ室内が空の場合、ポンプが空転して地下水
あるいは水槽内の水を所定の場所に給水できなく
なる。このため、自吸式ポンプの設置に際して
は、ポンプの吸込側と吐出側とを必ず上向きに
し、しかも、ポンプの吸込側と水源とを接続する
通水管には逆止弁を設け、ポンプ室内の呼び水が
ポンプの運転停止後水源側に逆流してポンプ室が
空になるのを防止していた。

しかし、自吸式ポンプの取付けに際し、その取
付場所が必ず前述のように吸込及び吐出側を上向
きにして取付けることができるとは限らず、ポン
プの吸込、吐出側を、ポンプ駆動用電動機の取付
場所によつては横向きや下向きに取付けなければ
ならないことがあつた。この場合、ポンプ室内の
呼び水はその大部分が吐出側に流出して定量充満
しておくことができず、ポンプの運転に際して
は、必ず外部から呼び水を補給する必要があつ
た。ところが、ポンプを使用する度に呼び水を補
給することは、手間がかかり面倒であるため、一
般には、ポンプの取付場所を特別に改修したり、
あるいは、水槽を内蔵してこの水槽内の水を加熱
供給する機器に取付けるような場合は、自吸式ポ
ンプの取付スペースを確保して加熱供給機器の設
計や製作を行つていたので、機器自体が大形化す
る欠点があつた。

更に、前述の欠点を解消するために、ポンプ駆
動用の電動機の取付場所が、例えば、壁体のよう
なときは、ポンプの吸込、吐出側は横向きとなる
ため、電動機の取付後ポンプのみを一旦解体し、
吸込、吐出側が上向きとなるようにポンプを再組
立して自吸式ポンプを使用することも考えられる
が、この場合、狭隘な場所でのポンプの解体、組
立に手間と時間がかかるとともに、解体等によつ
てポンプ内に異物が侵入して不衛生になるととも
に、ポンプ特性が損われるおそれがあつた。

〔考案の目的〕

この考案は前記の欠点を除去して、取付場所に
関係なく、ポンプの吸込側と吐出側とを常に上向
きに取付けることができるようにした自吸式ポン
プを提供することにある。

〔考案の概要〕

この考案は、ポンプ駆動用の電動機に、この電
動機に取付けられるポンプ本体を電動機から取外
したり、解体することなく所定の角度回動できる
ように取付け、電動機を床面ばかりでなく、壁
体、あるいは取付機器内に反転した状態で取付け
ても、ポンプ本体の吸込側と吐出側が常に上向き
位置になるように自吸式ポンプを設置できるよう
にしたことを特徴とする。

〔考案の実施例〕

以下、この考案の実施例を第１図ないし第４図
により説明する。

第２図において、１はこの考案の自吸式ポンプ
で、２はポンプ駆動用の電動機、３は前記電動機
２の一方のブラケツト１ａに取付腕４を介して取
付けられたポンプ本体で、インペラ５を回転可能
に収容するほぼ円筒形状のポンプ室６を備えたポ
ンプ箱７と、ポンプ箱７のインペラ取付用の開口
部８を閉鎖するカバー９とによつて構成される。
１０は取付腕４に、この取付腕４と一体的に取付
けた円環状の支持ガイドで、電動機２側に位置す
るポンプ箱７の側壁に凹設した嵌合溝１１に嵌合
することにより、ポンプ箱７は電動機２の回転子
軸２ａを中心として前記支持ガイド１０に沿つて
円周方向に回動するよう取付腕４に取付けられ
る。そして、ポンプ箱７にインペラ５を取付ける
場合は、ポンプ箱７中央部において電動機２側に
膨出する膨出部７ａに回転子軸２ａの先端を挿入
し、この膨出部７ａ内にはその開口部８側から回
転子軸２ａを通してメカニカルシール１２を圧入
するとともに、コイルばねを挿入して、前記回転
子軸２ａの先端にインペラ５を、コイルばねを押
圧した状態で嵌め込み、回転子軸２ａの突端にイ
ンペラ抜止用のワツシヤ等を介して取付ボルト１
３を螺着するととにより、インペラ５を回転子軸
２ａに止着する。前記のようにしてインペラ５を
取付けたあと、ポンプ箱７の開口部８をカバー９
にて覆い、このカバー９の周縁に穿孔したボルト
孔から締付ボルト１４を挿入し、この締付ボルト
１４を、ポンプ箱７周縁のカバー９側に位置する
部分のみに螺設したねじ孔部７ｂ及び支持ガイド
１０に螺合させてから取付腕４に螺着することに
より、ポンプ本体３は支持ガイド１０に嵌合保持
された状態で取付腕４に回動自在に取付けられ
る。

図中、１６はポンプ本体３の吸込側に連結した
通水管、１７は同じく吐出側に連絡した吐出管、
１８はポンプ本体３の注水口１９を閉塞する密栓
である。

次に、ポンプ本体３の取付位置を変更する場合
について説明する。

即ち、第１図に示すように、電動機２を床面２
０に設置した場合は、ポンプ本体３の上部側に通
水管１６、吐出管１７が位置する。しかし、前記
の状態で電動機２を例えば、第３図に示すよう
に、壁面２１に取付けるようなときは、ポンプ本
体３に連接する通水管１６等が横向けになつてし
まう。このような場合は、自吸式ポンプ１の電動
機２を壁面２１に取付けたあと、第２図におい
て、ポンプ本体３を電動機２に止着している締付
ボルト１４をそれぞれ緩める。この場合、前記締
付ボルト１４はポンプ本体３から抜き取ることな
く、締付ボルト１４を取付腕４及び支持ガイド１
０との螺合のみを解く、（従つて、締付ボルト１
４はポンプ箱７のねじ孔部７ｂのみに螺合させて
おく）。前記のようにして締付ボルト１４を緩め
ることにより、ポンプ本体３と電動機３（取付腕
４）との固定が解けるので、この状態でポンプ本
体３を、回転子軸２ａを中心として円環状の支持
ガイド１０に沿つて通水管１６、吐出管１７を第
３図のように上向きとなる方向に約90°回転させ
る。そして、ポンプ本体３を回動させたあと、締
付ねじ１４をそれぞれ支持ガイド１０を経て取付
腕４に螺着すると、ポンプ本体３の上部が、第１
図に示すように、電動機２の取付脚２３と対称と
なる位置から、第３図に示すように、直角方向と
なる位置に変更することができる。前記のよう
に、ポンプ本体３の取付位置を変更するとき、締
付ボルト１４はポンプ箱７のねじ孔部７ｂに螺合
されており、この結果、カバー９はポンプ箱７の
開口部８に被着されたままになつているので、異
物等が侵入することは全くなく、しかも、ポンプ
本体３はインペラ５に支持された状態で支持ガイ
ド１０に脱落することなく嵌合保持されているた
め、締付ボルト１４を緩めた状態で円滑、良好に
回動させることができる。

なお、電動機２の取付位置の変更により、ポン
プ本体３の取付け位置を変更する場合は、電動機
２の取付位置に応じてあらかじめポンプ本体３の
取付位置を変更してから、電動機２を所定の取付
場所に取付けるようにしてもよい。

更に、第４図に示すように、自吸式ポンプ１を
取付部材２２に垂設する場合は、ポンプ本体３の
上部を第１図の状態から180°回動させて、電動機
２の取付脚２３の方向と一致させる。この場合の
ポンプ本体３の位置変更は、前述のように、ポン
プ本体３を90°回動して変更したときと同様の操
作を行えばよいので、説明は省略する。

〔考案の効果〕

この考案は以上説明したように構成されている
ので、次のような効果を有する。

本考案は、自吸式ポンプのポンプ本体を、そ
のポンプ箱側壁に形成した嵌合溝を、電動機の
取付腕先端に取付けた円環状の支持ガイドに回
動自在に嵌合させて電動機に取付けることがで
きるように構成してあるので、本考案の自吸式
ポンプは、電動機の取付場所の関係から、電動
機を床面、壁面、天井面等に取付けるような場
合でも、前記支持ガイドを利用して回動させる
ことにより、通水管と吐出管とを電動機の取付
位置に関係なく常に上向きとした状態で電動機
に取付けることができるため、電動機の取付場
所に何等拘束されることもなく、しかも、ポン
プ自体の自吸作用を損なうことなく、任意の場
所に取付けて使用することができるので至便で
ある。

本考案において、前記ポンプ本体の取付位置
を変更する場合は、ポンプ本体と電動機とを固
定している締付ボルトを緩めて、ポンプ本体側
の嵌合溝に嵌合している電動機側の支持ガイド
を支点としてポンプ本体を、電動機２の回転子
軸を中心として前記支持ガイドに沿つてポンプ
本体の通水管と吐出管とが、常に上向きとなる
ように所定の角度回動させてポンプ本体を電動
機に固定することができるので、前記ポンプ本
体の取付位置の変更は、ポンプ本体を解体した
り、あるいは、電動機をその取付場所から取外
したりする必要が全くないため、狭隘な場所で
のポンプ本体の取付位置変更作業を迅速・容易
に行うことができる。

更に、ポンプ本体の取付位置の変更が任意に
行えることにより、ポンプ本体を駆動する電動
機は、その取付場所をポンプ本体の取付けにあ
わて取付ける必要が全くなく、この結果、電動
機の取付場所を変更したり、改修する必要もな
く、しかも、自吸式ポンプの取付スペースをポ
ンプ本体の取付位置の関係から特別に広くして
ポンプ使用機器の設計等を行う必要がないの
で、自吸式ポンプ内蔵形の機器は自吸式ポンプ
の使用により、機器自体が大形化するという問
題を確実に解消することができる。

又、本考案は、ポンプ本体の取付位置変更に
際し、ポンプ本体を解体することなく、電動機
との固定を緩めるだけでよいので、ポンプ本体
の解体に伴い異物等の侵入によるポンプ使用機
器の衛生上の問題や、ポンプ性能を損なうとい
う問題が全くないため、信頼性の高い自吸式ポ
ンプの提供が可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の自吸式ポンプの正面図、第
２図は第１図のＡ−Ａ線に沿つてポンプの要部を
縦断して示す側面図、第３図及び第４図はこの考
案の使用状態を示す正面図と側面図である。 １……自吸式ポンプ、３……ポンプ本体、５…
…インペラ、７……ポンプ箱、９……カバー、１
０……支持ガイド。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. インペラ５を備えた自吸式ポンプ１において、
   前記自吸式ポンプ１を駆動する電動機２の一方の
   ブラケツト１ａには、該ブラケツト１ａの周方向
   に沿つて複数本の取付腕４を配設し、これら取付
   腕４の先端には環状の支持ガイド１０を一体的に
   取付け、前記インペラ５を内蔵したポンプ本体３
   には、ポンプ箱７の側壁に前記支持ガイド１０と
   嵌合する嵌合溝１１を形成し、前記ポンプ本体３
   を支持ガイド１０に嵌合溝１１を介して回動自在
   に嵌合し、前記ポンプ本体３を、電動機２の取付
   位置に拘らず通水管１６、吐出管１７を上向きと
   して取付腕４に取外し自在に取付けるようにした
   ことを特徴とする自吸式ポンプ。