JPH05336962A - スーパーオキサイドディスムターゼの製造方法 - Google Patents

スーパーオキサイドディスムターゼの製造方法

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JPH05336962A
JPH05336962A JP17162492A JP17162492A JPH05336962A JP H05336962 A JPH05336962 A JP H05336962A JP 17162492 A JP17162492 A JP 17162492A JP 17162492 A JP17162492 A JP 17162492A JP H05336962 A JPH05336962 A JP H05336962A
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JP
Japan
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superoxide dismutase
sod
yeast
genus
kluypheromyces
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Application number
JP17162492A
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English (en)
Inventor
Masato Hara
正人 原
Masaki Watanabe
勝紀 渡辺
Junichi Mishima
淳一 三嶋
Kenichiro Takayama
健一郎 高山
Makoto Shoda
誠 正田
Hideyuki Furukawa
秀之 古川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
SHIKISHIMA SEIPAN KK
Original Assignee
SHIKISHIMA SEIPAN KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 食品などに利用されている酵母によるSOD
の製造方法を提供する。 【構成】 食品に利用されている酵母であるサッカロマ
イセス・エグジグーズ、クルイフェロマイセス・マルキ
シアヌス・バライティ・ラクチス、クルイフェロマイセ
ス・サーモトレランス、トルラスポラ・デルブルエキ、
キャンディダ・ミレリの中から選択される一種を好気的
に培養し、得られた菌体からSODを採取する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、スーパーオキサイド
ディスムターゼ(superoxide dismut
ase、以下SODと略す)に関し、特に食品に利用さ
れている酵母の生産するSODの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】SODはスーパーオキサイドアニオンラ
ジカル(O2 - )の不均化反応; 2O2 - +2H+ →H2 2 + O2 を触媒する酵素であり、広く動植物、微生物にその存在
が知られている。SODは活性中心に金属を有し、その
金属の種類によって銅・亜鉛−SOD、マンガン−SO
D、鉄−SODの3種類に大別される。銅・亜鉛−SO
Dは動植物や酵母等の真核生物に、マンガン−SODは
真核生物のミトコンドリアや一部の好気性細菌に、鉄−
SODは一般細菌に含まれている。
【0003】近年、活性酸素の様々な生理的機能が明ら
かになるのに伴い、SODの生体防御酵素としての役割
が注目されている。ヒトのSODに関しては、主として
組換え微生物によって生産され、医薬の分野において抗
炎症剤等として利用されている。一方、食品や化粧品の
分野では、食品等の被酸化物質の酸化抑制や健康増進
剤、化粧品の一成分として皮膚、毛髪の保護、皮膚への
色素沈着抑制、皮膚に対する抗炎症作用もしくは化粧品
成分中の変敗防止作用が見出されており、今後これらの
分野における発展が期待されている。通常、SODを工
業的規模で生産する場合、その供給源を微生物に求める
ことが一般的に考えられ、従来サッカロマイセス・セレ
ビシエ、カビ類、細菌類などについて報告されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の微生物
は人間に対する安全性、例えば、人間に対して病原性を
有する菌であることもあり、また、その微生物の生産す
る物質が人間に対して毒性を有する場合も考えられる。
したがって、食品等にSODを添加して使用する場合に
は、永年にわたって食品や飼料等に使用されて安全性が
確認された微生物を供給源とするのが安全性の点からも
望ましい。特に、食品に添加して使用する場合には、食
品用酵母を使用することができれば、酵母菌体そのもの
が人間にとっても安全でしかも有用であるため、酵母菌
体とともに食品に添加することも可能であり、酵素及び
酵素を含む酵母菌体について幅広い用途が期待できる。
さらに、工業的規模で製造する際において、菌体収量の
多い酵母を利用することは一般に菌体内酵素であるSO
Dを製造する際に有利である。
【0005】一方、従来よりサッカロマイセス・セレビ
シエのSODについてはその性質及び製造方法が明らか
であるが、それ以外のサッカロマイセス属の酵母及びサ
ッカロマイセス属以外の酵母のSODについては明らか
になっていない。そこで、本発明においては、上記のご
とき技術の現状に鑑みて、食品などに利用されている酵
母によるSODの製造方法を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明では上記技術課題
を解決するため、鋭意研究し、食品に利用されている酵
母によるSODについて検討した結果、食品に利用され
ているサッカロマイセス属(サッカロマイセス・セレビ
シエを除く)、クルイフェロマイセス属、トルラスポラ
属、キャンディダ属、チゴサッカロマイセス属に属する
酵母によりSODを製造する方法を確立するとともに、
これらのSODがサッロマイセス・セレビシエのSOD
と異なる新規な銅・亜鉛−SODであることを見出し、
本発明に到った。すなわち、本発明では、食品に利用さ
れているサッカロマイセス・エグジグーズ、クルイフェ
ロマイセス・マルキシアヌス・バライティ・ラクチス、
クルイフェロマイセス・サーモトレランス、トルラスポ
ラ・デルブルエキ、キャンディダ・ミレリのなかから選
択される一種を好気的に培養し、得られた菌体から新規
なSODを採取することを特徴とする。また、サッカロ
マイセス属以外のクルイフェロマイセス属、トルラスポ
ラ属及びキャンディダ属から新規なSODを採取するこ
とを特徴とする。
【0007】本発明の製造方法に用いられる酵母として
は、食品等に利用されSOD産生能を有する酵母であれ
ばよいが、例としてサッカロマイセス・エグジグーズ
(Saccharomyces exiguus)、ク
ルイフェロマイセス・マルキシアヌス・バライティ・ラ
クチス(Kluyveromyces marxian
us var.lactis)、クルイフェロマイセス
・サーモトレランス(Kluyveromyces t
hermotolerans)、トルラスポラ・デルブ
ルエキ(Torulaspora delbrueck
ii)、キャンディダ・ミレリ(Candida mi
lleri)、キャンディダ・バーサティリス(Can
dida versatilis)、チゴサッカロマイ
セス・ルキシィ(Zygosaccharomyces
rouxii)に属する酵母、例えばサッカロマイセ
ス・エグジグーズ IFO 1170、クルイフェロマ
イセス・マルキシアヌス・バライティ・ラクチス AT
CC 8585、クルイフェロマイセス・サーモトレラ
ンス ATCC 20309、トルラスポラ・デルブル
エキ ATCC 10664、キャンディダ・ウチリス
ATCC 9226、キャンディダ・ミレリ NRR
L Y−7245、キャンディダ・バーサティリス I
FO 10038、チゴサッカロマイセス・ルキシィ
IFO 0686等が挙げられる。
【0008】上記のIFO番号は、財団法人発酵研究所
(IFO)における菌株番号を、上記ATCC番号は、
American Type Culture Col
lection(ATCC)における菌株番号を、上記
NRRL番号は、ARS Culture Colle
ction,Northern RegionalRe
search Center,U.S.Departm
ent of Agriculture(NRRL)の
菌株番号を、また表3に記載したCBS番号は、Cen
traalbureau voor Schimmel
cultures(CBS)の菌株番号をそれぞれ示
す。またこれらの変異株の使用も可能である。変異の手
段としては、紫外線照射、あるいはニトロソグアニジン
やエチレンイミン等の人工変異剤等を使用することがで
きる。
【0009】目的とするSODの製造は炭素源、窒素
源、無機物、その他の栄養素を適当に含有する培地なら
ば合成培地、天然培地のいずれでも使用することができ
る。炭素源としては、例えばぶどう糖、蔗糖、麦芽糖、
乳糖、澱粉加水分解物、廃糖密等の糖類、酢酸などの有
機酸類及び油脂等が単独または組み合わせて用いられ
る。窒素源としては、例えばペプトン、酵母エキス、肉
エキス、カゼイン加水分解物、コーンスティープリカー
などの天然含窒素物及び硫酸アンモニウム、リン酸アン
モニウム、尿素などの無機窒素化合物が単独あるいは組
み合わせて用いられる。無機塩としては、例えばリン酸
塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、マン
ガン塩、カルシウム塩、鉄塩、銅塩、亜鉛塩などが単独
あるいは組み合わせて用いられる。鉄または銅の添加は
SODの生成にとって有効である。その他の微量要素と
しては、各種ビタミン、例えばチアミン、ビオチン、ニ
コチン酸、パントテン酸、イノシトール等が用いられ
る。さらに、油脂類や合成消泡剤などを消泡の目的で添
加してもよい。
【0010】培養の手段としては、菌株の種類、培地の
組成や手段によって異なるが、通常の通気攪拌培養が適
しており、回分、連続、流加いずれの培養法でも差し支
えない。培養温度は、20〜40°C、好ましくは25
〜35°Cである。培養時のpHは4〜9、好ましくは
5〜7に保持する。pHの修正には、アンモニア水、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、尿素、炭酸カルシウ
ムなどが用いられる。培養時間は通常の回分培養の場
合、10〜100時間、好ましくは20〜48時間であ
る。
【0011】目的の酵素は主として菌体内に蓄積され
る。したがって、培養終了後、培養液から遠心分離法あ
るいはろ過法によって集菌し、通常用いられている公知
の分離精製法によって該酵素は分離精製される。
【0012】例えば、得られた菌体を超音波処理、溶菌
酵素処理、ガラスビーズによるグラインディング破砕
法、有機溶媒や界面活性剤による自己消化法などによっ
て酵素を抽出する。この酵素含有破砕物から遠心分離法
あるいはろ過法によって菌体などの残査物などを除去し
て、上清またはろ液を得る。この上清あるいはろ液を粗
抽出液とし、この液に硫酸アンモニウムあるいはアセト
ン等を加えて、生じた沈澱物を遠心分離法で集めた後、
これを少量の水や緩衝液で溶解し、透析などで脱塩し凍
結乾燥することにより粗酵素粉末を得ることができる。
【0013】酵素の精製は、前記粗抽出液あるいは粗酵
素粉末を通常の酵素の精製に用いられている手段を利用
することにより達成できる。例えば、硫酸アンモニウム
等による塩析法、有機溶媒による沈澱法、等電点沈澱
法、透析、電気透析等による膜処理法、リン酸カルシウ
ムやアルミナ等による吸着法、セファデックスやウルト
ラゲルなどによるゲルろ過法、ジエチルアミノエチルセ
ルロースなどによるイオン交換カラムクラマトグラフィ
ーなどを適宜組み合わせて精製し、使用目的に応じた任
意純度の標品に導かれる。
【0014】なお、本発明における酵素活性はMcCo
rdとFridovichの方法[ザ ジャーナル オ
ブ バイオロジカルケミストリー(The Journ
alof Biological Chemistr
y)、244巻、6049〜6055頁、1969年]
に準じて行った。すなわち、キサンチンにキサンチンオ
キシダーゼを作用させ、活性酸素を生成させるO2 -
成系と、生成したO2 - によるチトクロームCの還元速
度を測定するO2 - 検出系をカップリングさせ、チトク
ロームCの還元速度を50%阻害する酵素量を1単位と
定義する方法である。タンパク質の定量はローリー法
(ザ ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリ
ー(The Journal of Biologic
al Chemistry)193巻、265〜275
頁、1951年)に記載の方法により行った。
【0015】また、電気泳動における活性染色は、アナ
リティカル バイオケミストリー(Analytica
l Biochemistry)44巻、276〜28
7頁、1971年)に記載の方法により行った。すなわ
ち、電気泳動終了後、ゲルを2.45mMニトロブルー
テトラゾリウム(NBT)溶液に20分間浸す(Mn−
SODのみの検出の場合には2mMシアン化カリウムを
加え、Cu・Zn−SODを失活させておく)。次に、
30μMリボフラビン及び30mMテトラメチルエチレ
ンジアミンを含む50mMリン酸カリウム緩衝液に浸
し、蛍光灯を照射して反応を開始する。SOD活性のな
い部分(リボフラビンの光還元により発生したO2 -
存在する)はNBTが還元されてブルー・ホルマザンを
形成して青く染色されるが、SOD活性を有する部分は
NBTは還元されず白く残る。適当なコントラストにな
った時点で蛍光灯の照射を止める。
【0016】このようにして本発明の製造方法によって
サッカロマイセス・エグジグーズIFO 1170、ク
ルイフェロマイセス・サーモトレランス ATCC 2
0309、クルイフェロマイセス・マルキシアヌス・バ
ライティ・ラクチス ATCC 8585、キャンディ
ダ・ミレリ NRRL Y−7245、トルラスポラ・
デルブルエキ ATCC 10664から得られた5種
類のSODの酵素化学的及び理化学的性質は以下の通り
であり、表1にその概要を示す。また、表2には各SO
Dのアミノ酸組成の分析結果を示す。なお、参考まで
に、同様の方法によってサッカロマイセス・セレビシエ
IFO 2044から得られたSODの理化学的性質
及びアミノ酸組成も併せて表1及び表2に示す。
【0017】(a)作用 スーパーオキサイドイオンを過酸化水素水分子と酸素分
子とに不均化する。 (b)基質特異性 スーパーオキサイドイオンに作用する。 (c)作用至適pH 各SODの作用至適pHは表1に示すとおりである。 (d)pH安定性 各SODのpH安定性の範囲は表1に示すとおりであ
る。 (e)熱安定性 1%ウシ血清アルブミンを含む各SOD試料溶液(0.
1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)を各温度にて
1時間作用させた後、SODの活性測定を行った結果に
より作成した熱安定性曲線から90%以上活性が残存す
る温度を算出した。その結果は表1に示すとおりであ
る。 (f)吸収スペクトル 紫外吸収スペルトルの一例を図1に示す。各SODは表
1に示す極大吸収及び極小吸収を示す。 (g)分子吸光係数 各SODの280nmにおける分子吸光係数は表1に示
す通りである。 (h)分子量 本SODの分子量は、カラムとしてプロテインパック3
00(内径7.8mm、長さ30cm、2カラム、ウォ
ーターズ社製)を用い、溶出溶媒として0.1M塩化ナ
トリウムを含む0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH
7.0)を用いて、ゲルろ過高速液体クロマトグラフィ
ーを使用して測定した。また、ラウリル硫酸ナトリウム
(以下、SDSと略す)で処理した後、SDS存在下の
ポリアクリルアミド電気泳動を使用して測定した。その
結果を表1に示す。表記したSODのうち、サッカロマ
イセス・エグジグーズ IFO 1170以外に由来す
るSODは2個のサブユニットからなる二量体であり、
また、サッカロマイセス・エグジグーズ IFO 11
70由来のSODは高塩濃度では四量体でも存在してい
た。 (i)等電点 等電点電気泳動により測定した。結果を表1に示す。 (j)N末端アミノ酸の種類 キャンディダ・ミレリ NRRL Y−7245のSO
Dのみアラニンであり、その他のSODはバリンであっ
た。 (k)アミノ酸組成 各SODを6N−HCl、100°Cで一定時間(24
〜72時間)加水分解した後、アミノ酸分析装置により
構成アミノ酸を定量する。表2の値は、算出された分子
量から換算したSODサブユニットあたりの各アミノ酸
残基数で示す。アスパラギンは加水分解によりアスパラ
ギン酸として検出され、グルタミンはグルタミン酸とし
て検出される。なお、トリプトファンの残基数はMCD
スペクトルにより求めたものである。 (l)原子吸光分析 サブユニット当たりCu、Znが各1原子存在している
ことがわかった(表示せず)。 (m)結晶構造及び元素分析 結晶は得られていない。元素分析はまだ測定していない
ため不明である。
【0018】本発明の製造方法によって得られる5種類
のSODは、分子構造、特にアミノ酸組成の点で公知の
いずれのSODとも異なり、新規なSODである。すな
わち、サッカロマイセス・セレビシエのSODが50°
Cにおいてほぼ完全に失活したのに対し、クルイフェロ
マイセス・マルキシアヌス・バライティ・ラクチスのS
ODは60°Cにおいても80%以上の活性を有してお
り、高い熱安定性を有している。また、サッカロマイセ
ス・セレビシエの比活性が4980ユニット/mgタン
パク質であったのに対し、キャンディダ・ミレリのSO
Dの比活性は6990ユニット/mgタンパク質であ
り、強力なSOD活性を有している。なお、表2に示す
ようにサッカロマイセス・エグジグーズは菌体当たりの
SOD含量が高く、効率よく菌体からSODが製造する
ことが可能である。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】本製造方法におけるSODの供給源として
用いるこれらの酵母は、サッカロマイセス・セレビシエ
と同様永年にわたって食品などに利用されてきた酵母で
ある。したがって、これらのSODは安全性の点から、
食品などへの使用が期待できるとともに、一方ではサッ
カロマイセス・セレビシエと分子構造及び酵素化学的特
徴が異なっているため、用途的にもその特徴を生かすこ
とができる。また、クルイフェロマイセス属、トルラス
ポラ属、キャンディダ属に属する酵母によるSODの製
造方法は従来にない新規なものである。
【0022】
【実施例】以下に実施例をもって、本発明の内容を具体
的に説明するが、これは本発明を例示するものに過ぎ
ず、本発明の範囲を限定するものではない。なお、培地
組成における%は特に限定しない限り[%(w/v)]
を示す。 〔実施例1〕酵母として、表3に例示した酵母菌株を使
用した。YPG培地(ペプトン2%、酵母エキス1%、
ブドウ糖2%)300mlを2L容の三角フラスコに入
れ、120°C,20分蒸気殺菌した後、pHを6.0
に調整し、これに、YPG寒天培地(ペプトン2%、ブ
ドウ糖2%、pH;6.0、寒天2%)で、30°C、
24時間培養菌体を植菌し、30°C、回転数200r
pmで、24時間攪拌培養を行った。その培養液から遠
心分離により集菌、水洗し、酵母菌体を得た。
【0023】得られた菌体3gを50mMリン酸カルシ
ウム緩衝液(pH7.8)50mlに懸濁し、クライオ
・クリーン・ブラスター(太陽酸素社製)を使用して菌
体を破壊しSOD粗抽出液を得た。なお、クライオ・ク
リーン・ブラスターは菌体の懸濁物に低温の高圧窒素ガ
スを噴射して瞬時に凍結して、スプレー状とし、この凍
結体をそのまま高圧窒素ガスに乗せて金属製の壁に衝突
させて、菌体を破砕する装置である。
【0024】得られた粗抽出液についてSODの活性を
測定し、算出した前記菌体(湿重量)あたりのSOD活
性を表3に示す。また、粗抽出液をアナリティカル バ
イオケミストリー(Analytical Bioch
emistry 第44巻、276〜287頁、197
1年)に記載の方法によりゲル電気泳動及び活性染色を
行い、得られた銅・亜鉛−SODの相対移動度を表3に
示す。また、同様にしてマンガン−SODについても活
性染色によって相対移動度を測定したところ、従来知ら
れているサッカロマイセス・セレビシエのマンガン−S
ODの相対移動度とは異なっており、新規なマンガン−
SODであることがわかった。なお、本実施例において
示されたチゴサッカロマイセス属に属する酵母からSO
Dを採取する方法は従来知られていない。
【0025】
【表3】
【0026】〔実施例2〕菌株としてキャンディダ・ミ
レリ NRRL Y−7245を用い、前記YPG寒天
培地で25°、24時間培養した菌体を、予め滅菌され
た、2L容の三角フラスコに入った300mlの前記Y
PG培地に植菌し、25°Cで、回転数200rpm
で、24時間の攪拌培養を行い、種培養とした。これ
を、予め滅菌された上記組成の培地3Lの入った5L容
のジャーファーメンターに植菌し、通気量2vvm〔単
位容積あたりの毎分の通気容量〕、回転数500rp
m、温度25°Cで30時間通気攪拌培養した。
【0027】この培養液中には、培養16時間目にブド
ウ糖及びペプトンをそれぞれ培養液に対して4%及び1
%となるように添加した。また、培養期間を通じて、培
養液のpHを5以上に保持するように、2N水酸化ナト
リウム溶液で調整した。なお、使用された培地はすべて
120°C、20分の蒸気殺菌が行われているものであ
る。培養終了後、遠心分離により集菌、水洗、脱水を行
い、180gの酵母菌体(湿重量)を得た。
【0028】酵母菌体からのSODの抽出は、有機溶媒
を用いるGoscinとFridovichの方法、す
なわち、ビオヒミカ エト ビオフィジカ アクタ(B
iochimica et Biophysica A
cta 289巻、276〜283頁、1972年)に
記載の方法を参考にして行った。すなわち、前記酵母菌
体180gを0.1M炭酸ナトリウム水溶液340ml
で懸濁した後、エタノール・クロロホルム混合液(5:
3)240mlを加え室温で4時間攪拌することにより
菌体を破壊した。
【0029】つぎに遠心分離(5000rpm、20
分)を行い、菌体残査を取り除いた黄色上清液(タンパ
ク質重量15g、比活性43ユニット/mgタンパク
質)560mlに固形リン酸水素二カリウムを180g
添加し、2層分離させた。分液ロートで上層を回収後、
回収液と同容量のアセトンを加え、生じた沈澱を遠心分
離により回収した。沈澱は10mMトリス−塩酸緩衝液
(pH8.0)300mlに溶解し、該緩衝液を外液と
し、外液を攪拌・放置して透析後、硫酸アンモニウム
(飽和度60〜90%)による塩析を行い、沈澱物を得
た。
【0030】沈澱物は、遠心分離(15000rpm、
20分)により回収し、最少量の前記10mMトリス−
塩酸緩衝液、本例においては50mlに溶解し、該緩衝
液で透析後、予め該緩衝液で平衡化したDEAE−セフ
ァセル(ファルマシアLKB社)が充填されたカラム
(内径3cm×長さ15cm)に負荷し、該緩衝液で溶
出した。SODは、このDEAEカラムには完全吸着さ
れず、特にSODを溶出させるように調製された溶出液
を使用しないでそのままカラムから徐々に溶出された。
この溶出液からSOD活性画分(タンパク質17mg、
比活性4120ユニット/mgタンパク質)80mlを
回収し、限外ろ過(アミコン社)により5mlまでに濃
縮した。
【0031】濃縮後、予め50mM塩化ナトリウムを含
む50mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.8)で平衡
化されたセファクリルS−200HRが充填されたカラ
ム(内径2.5cm×長さ150cm)にこの濃縮液を
負荷し、ゲルろ過クロマトグラフィーを行った。この溶
出液からSOD活性画分(タンパク質8.3mg、比活
性6990ユニット/mgタンパク質)20mlを回収
した。この液につきSDS−ポリアクリルアミド電気泳
動を行ったところ、単一なタンパク質のバンドとして検
出され、かつ活性染色により銅・亜鉛−SODであるこ
とがわかった。この精製されたSODの酵素化学的特性
は前述の表1及び表2中に示した通りである。
【0032】〔実施例3〕サッカロマイセス・エグジグ
ーズ IFO 1170、クルイフェロマイセス・マル
キシアヌス・バライティ・ラクチス ATCC 858
5、クルイフェロマイセス・サーモトレランス ATC
C 20309及びトルラスポラ・デルブルエキ AT
CC 10664並びに対照菌としてサッカロマイセス
・セレビシエ IFO 2044のSODを実施例2と
同様の培養方法、分離精製法によって調製した。得られ
た上記5菌株の銅・亜鉛−SODの酵素化学的性質は表
1及び表2に示す通りである。
【0033】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、食品
に使用される酵母からSODを製造することができるた
め、食品等に添加して使用する場合に安全性が高いSO
Dを提供することができる。また、食品酵母を利用して
SODの工業的規模の生産を図る際には、菌の取扱い、
処理及び汚染等に関して生産工程での安全性が高いとと
もに、菌体収量の多い酵母を使用することにより効率的
なSODの生産が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】表1に示した6種類に酵母から採取された各S
ODの50mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)中
〔タンパク質含量1mg/ml〕における紫外吸収スペ
クトル図である。
【図2】表1に示した6種類の酵母から採取された各S
ODの熱安定性を示すグラフ図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 9/02 C12R 1:72) (72)発明者 高山 健一郎 愛知県名古屋市東区白壁5丁目3番地 敷 島製パン株式会社内 (72)発明者 正田 誠 神奈川県横浜市緑区長津田4259 東京工業 大学資源化学研究所内 (72)発明者 古川 秀之 愛知県名古屋市天白区大字八事字裏山15 名城大学薬学部内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 食品に利用されている酵母であるサッカ
    ロマイセス・エグジグーズ、クルイフェロマイセス・マ
    ルキシアヌス・バライティ・ラクチス、クルイフェロマ
    イセス・サーモトレランス、トルラスポラ・デルブルエ
    キ又はキャンディダ・ミレリの中から選択される一種を
    好気的に培養し、得られた菌体からスーパーオキサイド
    ディスムターゼを採取することを特徴とするスーパーオ
    キサイドディスムターゼの製造方法。
  2. 【請求項2】 食品に利用されている酵母がサッカロマ
    イセス属であり、加水分解により得られるサブユニット
    あたりのアミノ酸組成モル比が、アスパラギン酸又はア
    スパラギン20、トレオニン15、セリン8、グルタミ
    ン酸又はグルタミン12、プロリン7、グリシン23、
    アラニン10、システイン2、バリン15、メチオニン
    1、イソロイシン6、ロイシン6、チロシン2、フェニ
    ルアラニン6、ヒスチジン7、リジン7及びアルギニン
    5であるスーパーオキサイドディスムターゼを採取する
    ことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載のスーパー
    オキサイドディスムターゼの製造方法。
  3. 【請求項3】 酵母がクルイフェロマイセス属であり、
    加水分解により得られるサブユニットあたりのアミノ酸
    組成モル比が、アスパラギン酸又はアスパラギン18、
    トレオニン11、セリン12、グルタミン酸又はグルタ
    ミン11、プロリン6、グリシン26、アラニン10、
    システイン2、バリン17、イソロイシン5、ロイシン
    8、チロシン1、フェニルアラニン5、ヒスチジン8、
    リジン9及びアルギニン4であるスーパーオキサイドデ
    ィスムターゼを採取することを特徴とする特許請求の範
    囲第1項記載のスーパーオキサイドディスムターゼの製
    造方法。
  4. 【請求項4】 酵母がクルイフェロマイセス属であり、
    加水分解により得られるサブユニットあたりのアミノ酸
    組成モル比が、アスパラギン酸又はアスパラギン21、
    トレオニン8、セリン10、グルタミン酸又はグルタミ
    ン13、プロリン4、グリシン21、アラニン12、シ
    ステイン2、バリン12、イソロイシン7、ロイシン
    8、チロシン1、フェニルアラニン5、ヒスチジン7、
    リジン8、アルギニン4及びトリプトファン1であるス
    ーパーオキサイドディスムターゼを採取することを特徴
    とする特許請求の範囲第1項記載のスーパーオキサイド
    ディスムターゼの製造方法。
  5. 【請求項5】 酵母がトルラスポラ属であり、加水分解
    により得られるサブユニットあたりのアミノ酸組成モル
    比が、アスパラギン酸又はアスパラギン15、トレオニ
    ン13、セリン10、グルタミン酸又はグルタミン1
    4、プロリン3、グリシン25、アラニン12、システ
    イン2、バリン13、イソロイシン6、ロイシン8、チ
    ロシン1、フェニルアラニン4、ヒスチジン6、リジン
    11、アルギニン5及びトリプトファン1であるスーパ
    ーオキサイドディスムターゼを採取することを特徴とす
    る特許請求の範囲第1項記載のスーパーオキサイドディ
    スムターゼの製造方法。
  6. 【請求項6】 酵母がキャンディダ属であり、加水分解
    により得られるサブユニットあたりのアミノ酸組成モル
    比が、アスパラギン酸又はアスパラギン18、トレオニ
    ン13、セリン5、グルタミン酸又はグルタミン11、
    プロリン7、グリシン23、アラニン14、システイン
    2、バリン13、メチオニン1、イソロイシン6、ロイ
    シン5、チロシン2、フェニルアラニン7、ヒスチジン
    7、リジン5及びアルギニン4であるスーパーオキサイ
    ドディスムターゼを採取することを特徴とする特許請求
    の範囲第1項記載のスーパーオキサイドディスムターゼ
    の製造方法。
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EP1693447A1 (en) * 2005-02-18 2006-08-23 Gnosis S.p.A. Procedure for the preparation of superoxide dismutase
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