JPH0533651U - モータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案は、偏心量を皆無として重量バランス
の修正工程等の製造工程を削減することができ、容易に
製造することのできるモータで、必要に応じた磁気特性
を示すマグネットを使用することができるモータを提供
することである。 【構成】 本考案のモータでは、マグネットがヨークと
一体に成形されている。これは、鋳造および熱間加工に
より成形されるものや、焼結により成形されるもの、さ
らにプラスチックマグネットと共に成形されるもの等が
ある。これらの方法により形成されたマグネットは異方
性化を示すため、必要に応じた磁気特性を示す、ヨーク
と一体に成形されたマグネットを得ることができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、モータの改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、ブラシレスモータは界磁を永久磁石として回転子とし、電機子を固定 子として、半導体素子により各電機子コイルへの電流切換えを行うものである。 この様なブラシレスモータの一例として、図５に示すインナーロータモータ１や 、 インナーロータモータ１では、回転子となるインナーロータとその周囲の固 定子３とにより構成される。このインナーロータは、シャフト４の外周面に金属 性のヨーク５を介してマグネット６が固定され、シャフト４と共に回転自在とな っている。一方、アウタロータモータ２では、回転子となるアウタロータとその 内部の固定子とにより構成される。このアウタロータは、樹脂性のロータカップ ７の内周面にヨーク５を介してマグネット６が固定されている。また、ロータカ ップ７の中心部が回転自在に設けられたシャフト４に固定され、シャフト４と共 に回転自在となっている。

【０００３】 従来、この様なモータでは、マグネットとしてリングマグネットまたはセグメ ントマグネットを使用し、接着によってヨークに固定されている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、この様なモータでは、マグネット６やヨーク５及びロータカッ プ７がそれぞれに形成され、これらを接着によって固定してロータとしているた め、重量の不均一が生じ易くなる。この様な重量バランスの精度が良くない状態 では、ロータの回転時に回転むらが生じて、このままではロータの端部が固定子 に接触する等となり、モータに負担がかかり、モータの寿命を縮めることにもな る。このため、モータでは、マグネット６を固定した後に重量バランスを修正す る工程が必要となる。この工程では、ロータを回転させて偏心量をはかり、重量 の不均一部分を削る等により重量バランスを修正している。この結果、モータ製 造のためにコストが高くなり、経済的に不都合である。特に、アウタロータモー タ６の場合には、マグネット６をヨーク５と共にロータカップ７の内周面にはめ 込んでいるため、製造工程が複雑になっている。

【０００５】 さらに、従来のモータでは、使用するマグネット６が限られているため時期特 性が限定され、モータの特性がマグネット６により制限されることになる。

【０００６】 本考案は、上記のような従来技術の課題を解決するために提供されたもので、 その目的は、偏心量を皆無として重量バランスの修正工程等の製造工程を削減す ることができ、容易に製造することのできるモータで、必要に応じた磁気特性を 示すマグネットを使用することができるモータを提供することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

請求項１記載の本考案は、マグネットがヨークを介して設けられたモータにお いて、ヨークとマグネットとが一体に成形されたことを特徴とする。

【０００８】 また、請求項２記載の本考案は、アウタロータカップを有する請求項１記載の モータにおいて、マグネットヨークおよびアウタロータカップが一体に成形され たことを特徴とする。

【０００９】

【作用】

以上のような構成を有する本考案の請求項１記載のモータは、ヨークとマグネ ットとが一体に成形されているため、重量の不均一部分が低減され、ロータの偏 心量が皆無となっている。このため、重量バランスの修正工程が必要なくなる。

【００１０】 また、請求項２記載のモータは、マグネットとヨークおよびアウタロータカッ プが一体に成形されているため、重量の不均一部分が低減され、ロータの偏心量 が皆無となり、さらに、従来のマグネットとヨークをアウタロータカップにはめ 込む工程が無くなるため、製造工程が大幅に削減される。

【００１１】

【実施例】

以下、本考案のモータの一実施例を図面に基づいて説明する。

【００１２】 即ち、本実施例のモータでは、マグネットがヨークと一体に成形されている。 この様なマグネットの製造工程は、使用するマグネットの製造工程中にヨークを 挿入して一体に加工することによって行われている。例えば、その一例として、 鋳造により製造されるマグネットの工程を図１に示す。マグネット原料としては 、例えばＰｒ−Ｆｅ−Ｂ等の希土類マグネット等が使用される。これは、先ず鋳 型にヨークがセットされ、これに溶解したマグネット原料が流し込まれる。これ を１０００℃以下の熱間加工（圧延加工）、及び４００℃〜１０００℃間の２点 の温度による熱処理が行われる。この後、後加工として外周面の研磨やコーティ ング、着磁等の加工が行われ、マグネットとヨークが一体に成形される。

【００１３】 上述した製造工程により、マグネットがヨークと一体に成形される。この時、 熱間加工により塑性変形され、この時の磁場の方向により、マグネットが図２に 示す様な異方性を示すようになる。

【００１４】 以上のような本実施例によれば、マグネットがヨークと同時に鋳型により成形 されているため、最初にこのロータの偏心量をはかり、重量の不均一となる部分 の鋳型を削る等により、次からは重量バランスの取れたロータを得ることができ る。すなわち、個々のモータ製造時の重量バランス修正工程が不必要となる。し たがって、モータ製造のためにコストを低減することができ、経済的に効果のあ るものである。しかも、マグネットが熱間加工により異方性化されるため、それ ぞれのモータに応じた磁気特性を示す、ヨークと一体に成形されたマグネットを 得ることができる。

【００１５】 なお、本考案は上述した実施例に限定されるものではなく、具体的な各部材の 形状、或いは各々の取付け位置及び方法等は適宜変更可能である。

【００１６】 例えば、インナーロータの場合には、マグネットとヨークを一体に成形すると 共に、シャフトをヨーク内部に一体に成形して設けることもできる。

【００１７】 また、鋳型に挿入するヨークは、すでに形成されたものに限定されず、ヨーク の原材料をセットし、マグネットと共に形成することも可能である。これにより 、ヨークの材料として他部材の残部等を粉砕して使用する等も可能になり、材料 を効率良く使用することができ、モータ製造のためコストを大幅に低減すること ができる。

【００１８】 さらに、マグネットは上述した実施例の鋳造により製造される以外に、焼結に より形成されるマグネットや、プラスチックにより形成されるマグネット等を、 モータに応じて適宜選択し、ヨークと一体成形することができる。

【００１９】 すなわち、マグネットとヨークとを焼結により一体成形したものの一例として 、図３に示す工程により製造されたものがある。このマグネットは、原料として ＳｍＣｏ等の希土類コバルトマグネット等が使用される。この場合には、粉砕さ れたマグネット原料とヨーク材料とが圧縮成形され、磁場形成後に高温で焼結さ れる。そして、焼結に比べて低い温度で加熱された後、着磁等の加工によりマグ ネットがヨークと一体に成形される。

【００２０】 また、プラスチックマグネットとヨークとを一体に成形したものの一例として 、図４に示す工程により製造されたものがある。このマグネットは、原料として Ｓｍ² Ｃｏ¹⁷系やＮｄ−Ｆｅ−Ｂ系等の磁性粉に、エポキシ系やナイロン系等の 樹脂が混合されたもので、ヨーク材料と共に磁場中で加圧成形或いは射出成形さ れる。そして、エポキシ系樹脂を使用した場合には樹脂硬化処理を、ナイロン系 樹脂の場合には給水防止処理等の処理が行われ、さらに、着磁等の加工によりマ グネットがヨークと一体に成形される。このプラスチックマグネットの場合には 、磁性粉と樹脂の組み合わせにより各種の異方性を得ることができる。したがっ て、モータに応じた異方性を示す、ヨークと一体成形のマグネットを容易に得る ことができる。また、このプラスチックマグネットでは、アウターロータモータ のロータカップも一体に形成することができる。すなわち、ロータカップにマグ ネットとヨークとが一体に設けられるため、ロータの形成工程は大幅に削減され て容易となる。

【００２１】

【考案の効果】

本考案の請求項１記載のモータによれば、マグネットとヨークとが一体に成形 され、偏心量が皆無となるので製造工程が削減され、容易に製造することのでき る。したがって、製造コストを低減することができる。しかも、必要に応じた磁 気特性を示すマグネットを使用することができる。

【００２２】 請求項２記載のモータによれば、マグネットとヨークおよびアウタロータカッ プが一体に成形されているため、重量の不均一部分が低減され、ロータの偏心量 が皆無となり、さらに、従来のマグネットとヨークをアウタロータカップにはめ 込む工程が無くなるため、製造工程が大幅に削減される。したがって、製造コス トを大幅に低減することができる。しかも、必要に応じた磁気特性を示すマグネ ットを使用することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のモータの一実施例であるロータの製造
工程を示し、鋳造による製造工程を示す図である。

【図２】マグネットの異方性を示す図である。

【図３】焼結によるロータの製造工程を示す図である。

【図４】プラスチックマグネットを使用し一体成形を行
うロータの製造工程を示す図である。

【図５】インナーロータモータを示す側面断面図であ
る。

【図６】アウタロータモータを示す側面断面図である。

【符号の説明】

１ インナーロータモータ ２ アウタロータモータ ３ 固定子 ４ シャフト ５ ヨーク ６ マグネット ７ ロータカップ

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 マグネットがヨークを介して設けられた
   モータにおいて、ヨークとマグネットとが一体に成形さ
   れたことを特徴とするモータ。
2. 【請求項２】 アウタロータカップを有するモータにお
   いて、マグネットとヨークおよびアウタロータカップが
   一体に成形されたことを特徴とする請求項１記載のモー
   タ。