JPH05335099A - 荷電粒子蓄積装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 この発明は、真空チェンバの直線部を無分散
領域とし、アンジュレータ、ウィグラー等の挿入光源を
挿入できる荷電粒子蓄積装置を得ることを目的とする。 【構成】 荷電粒子蓄積装置は、レーストラック形状の
真空チェンバ中を通過する荷電粒子を１８０度偏向する
偏向電磁石が真空チェンバの曲線部に設けられ、４極電
磁石が真空チェンバの直線部に設けられて構成されてい
る。さらに偏向電磁石は、真空チェンバの曲線部を挟ん
でビーム軌道軸方向に沿って配設された主コイル１０お
よび４極シムコイル１１により構成されている。ここ
で、４極シムコイル１１は偏向電磁石の中心部付近のみ
に配設されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、荷電粒子、例えば電
子を加速蓄積するレーストラック形状の荷電粒子蓄積装
置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図５は例えば「THE BROOKHAVEN SUPERCO
NDUCTING X-RAY LITHOGRAPHY SOURCE(SXLS)」（EPAC 9
0,JUNE(1990)VOL.2 P.1828-1830）に記載された従来の
荷電粒子蓄積装置の一例を示す概略構成図、図６の
（ａ）、（ｂ）はそれぞれ従来の荷電粒子蓄積装置にお
ける偏向電磁石の主コイルおよび４極シムコイルのコイ
ル形状を示す斜視図である。

【０００３】図において１はレーストラック状の真空チ
ェンバ、２は真空チェンバ１の曲線部のそれぞれに配設
された偏向電磁石、３は真空チェンバ１の直線部にそれ
ぞれ配設された４極電磁石、４は真空チェンバ１に設け
られた荷電粒子、例えば電子の入射用のインフレクタ、
５は真空チェンバ１中を回転する荷電粒子、例えば電子
の加速用のＲＦキャビティである。６は真空チェンバ１
の曲線部を挟んでビーム軌道軸方向に沿って配置された
主コイル、７はビーム軌道軸方向に主コイル６とほぼ同
じ長さをもち、真空チェンバ１の曲線部を挟んでビーム
軌道軸方向に沿って配置された４極シムコイルであり、
主コイル６と４極シムコイル７とから偏向電磁石２を構
成している。

【０００４】つぎに、上記従来の荷電粒子蓄積装置の動
作について説明する。まず、インフレクタ４から真空チ
ェンバ１内に入射した電子は、偏向電磁石２により曲げ
られ、４極電磁石３により集束されながら、真空チェン
バ１中を回転する。ついで、ＲＦキャビティ５に高周波
をかけることで、電子を加速し、その後電子を蓄積する
構成となっている。ここで、真空チェンバ１の曲線部で
は、主コイル６が電子をビーム軌道軸に沿って１８０度
曲げるように働き、４極シムコイル７が４極電磁石３と
同様に電子を集束させるように働いている。

【０００５】ところで、上記従来の荷電粒子蓄積装置の
ラティス（ツイス）パラメータのリング半周分の分布
は、図７で示される。図中、水平方向のビームの広がり
βｘを７１で、垂直方向のビームの広がりβｙを７２
で、分散関数ηｘを７３で表している。エネルギが中心
エネルギよりΔＰ／Ｐずれているビームの平衡軌道はΔ
ｘ＝ηｘ・ΔＰ／Ｐだけずれる。図７から分かるよう
に、ηｘ＝０となる位置は存在しない。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】従来の荷電粒子蓄積装
置は以上のように、偏向電磁石２全体にわたって４極シ
ムコイル７を配置しているので、荷電粒子蓄積装置の直
線部を無分散（ηｘ＝０）にすることができず、そのた
め、一般に無分散領域に挿入する、アンジュレータ、ウ
ィグラー等の挿入光源を入れることができないという課
題があった。

【０００７】この発明は、上記のような課題を解決する
ためになされたもので、真空チェンバの直線部を無分散
領域（ηｘ＝０）とするレーストラック形状の荷電粒子
蓄積装置を得ることを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この発明に係る荷電粒子
蓄積装置は、レーストラック形状の真空チェンバと、真
空チェンバの曲線部に設けられ、真空チェンバ中を通過
する荷電粒子を１８０度偏向する偏向電磁石と、真空チ
ェンバの直線部に設けられた４極電磁石とを備えた荷電
粒子蓄積装置であって、１８０度の偏向電磁石の中心部
付近にのみ４極シムコイルを配設したものである。

【０００９】

【作用】この発明においては、１８０度の偏向電磁石の
中心部付近に４極シムコイルを配設しているので、偏向
電磁石の中央部にあらたに４極電磁石を設けることと同
等に、偏向電磁石の中央部で強集束するように作用し、
レーストラック形状の真空チェンバの直線部にηｘ＝０
の無分散状態をつくることができる。

【００１０】

【実施例】以下、この発明の実施例を図について説明す
る。図１および図２はそれぞれこの発明の一実施例を示
す荷電粒子蓄積装置の概略構成図および偏向電磁石のコ
イル配置の平面図、図３は図２のIIIーIII線に沿った断
面図であり、図において図５に示した従来の荷電粒子蓄
積装置と同一または相当部分には同一符号を付し、その
説明を省略する。

【００１１】図において、８はレーストラック形状の真
空チェンバ１の曲線部にそれぞれ配設された偏向電磁
石、９は真空チェンバ１の直線部にそれぞれ４つ配設さ
れた４極電磁石である。１０は真空チェンバ１の曲線部
を挟んでビーム軌道軸方向に沿って配置された主コイ
ル、１１は真空チェンバ１の曲線部を挟んでビーム軌道
軸方向に沿って配置された４極シムコイルであり、この
４極シムコイル１１はビーム軌道軸方向に主コイル１０
より短い長さをもち、真空チェンバ１の曲線部の中心部
付近にのみ配設され、主コイル６とともに偏向電磁石８
を構成している。

【００１２】つぎに、上記実施例の動作について説明す
る。上記実施例では、従来の荷電粒子蓄積装置と同様
に、インフレクタ４から真空チェンバ１内に入射した電
子は、偏向電磁石８により曲げられ、４極電磁石９によ
り集束されながら、真空チェンバ１中を回転する。ＲＦ
キャビティ５に高周波をかけることで、電子を加速し、
その後電子を蓄積する構成となっている。さらに、真空
チェンバ１の曲線部では、主コイル１０が電子をビーム
軌道軸に沿って１８０度曲げるように働き、４極シムコ
イル１１が４極電磁石９と同様に電子を集束させるよう
に働いている。

【００１３】ところで、上記実施例の荷電粒子蓄積装置
におけるラティス（ツイス）パラメータのリング半周分
の分布は、図４で示される。図中、水平方向のビームの
広がりβｘを４１で、垂直方向のビームの広がりβｙを
４２で、分散関数ηｘを４３で表している。エネルギが
中心エネルギよりΔＰ／Ｐずれているビームの平衡軌道
はΔｘ＝ηｘ・ΔＰ／Ｐだけずれる。図４から分かるよ
うに、真空チェンバ１の直線部（偏向電磁石（ＢＭ）８
以外の部分）ではηｘ＝０となっている。

【００１４】このように、上記実施例によれば、１８０
度偏向する偏向電磁石８の中心部付近にのみ４極シムコ
イル１１を配設しているので、４極シムコイル１１に大
電流を流し、偏向電磁石８の中央部に４極電磁石９をあ
らたに配置したことと同等に、偏向電磁石８の中央部で
荷電粒子を強集束させることができ、真空チェンバ１の
直線部を無分散領域とすることができ、アンジュレー
タ、ウィグラー等の挿入光源を簡単に挿入することがで
きるという効果がある。

【００１５】ここで、偏向電磁石８の中心部付近に配設
される４極シムコイル１１の長さは、真空チェンバ１の
直線部に設けられた４極電磁石９を構成する電磁石の長
さとほぼ同じ長さとするとよい。

【００１６】

【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、１８０
度の偏向電磁石の中心部付近にのみ４極シムコイルを配
設しているので、真空チェンバの直線部を無分散領域と
でき、アンジュレータ、ウィグラー等の挿入光源を簡単
に挿入することができる荷電粒子蓄積装置が得られる効
果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例を示す荷電粒子蓄積装置の
概略構成図である。

【図２】この発明の一実施例を示す荷電粒子蓄積装置の
コイル配置の平面図である。

【図３】図２のIIIーIII線に沿った断面図である。

【図４】この発明の一実施例の荷電粒子蓄積装置におけ
るラティス（ツイス）パラメータのリング半周分の分布
を示す図である。

【図５】従来の荷電粒子蓄積装置の一例を示す概略構成
図である。

【図６】（ａ）、（ｂ）はそれぞれ従来の荷電粒子蓄積
装置における偏向電磁石の主コイルおよび４極シムコイ
ルのコイル形状を示す斜視図である。

【図７】従来の荷電粒子蓄積装置におけるラティス（ツ
イス）パラメータのリング半周分の分布を示す図であ
る。

【符号の説明】

１ 真空チェンバ ８ 偏向電磁石 ９ ４極電磁石 １１ ４極シムコイル

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 レーストラック形状の真空チェンバと、
   前記真空チェンバの曲線部に設けられ、前記真空チェン
   バ中を通過する荷電粒子を１８０度偏向する偏向電磁石
   と、前記真空チェンバの直線部に設けられた４極電磁石
   とを備えた荷電粒子蓄積装置であって、１８０度の前記
   偏向電磁石の中心部付近にのみ４極シムコイルを配設し
   たことを特徴とする荷電粒子蓄積装置。