JPH0533507A - ユニツト構造物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 複数のユニットを用いた場合にも、床に溜ま
る水を確実に排水することができ、しかも施工が容易な
ユニット構造物を得る。 【構成】 フラットな床面の床板４６、４８の端部は梁
部材５４、５６に載置されており、両梁部材４６、４８
の側面及び梁部材５４、５６の上端面とで囲まれた空間
部５８には若干の勾配が付けられた排水溝５０が嵌着さ
れている。排水溝５０には多数の小孔を有する蓋６０が
被せられ、床板４６、４８に敷き詰められたタイル４４
の表面に溜まった清掃時の水を排水溝５０内へ流入させ
ている。従って、排水するために床板に勾配を付ける等
の構造に比し、施工が容易となり、しかもタイル４４の
表面に溜まった水は確実に排水溝５０によって排水する
ことができる。また排水溝５０の設置も簡単でありメン
テナンスも容易である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ユニットを複数個連結
することにより構成されるユニット構造物に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から複数のユニットを互いに隣接さ
せて連結し、建物を構築するユニット工法が行われてお
り、構築された建物の用途も様々となっている。例え
ば、水回り用のユニット構造物としては、便所ユニット
と洗面ユニットとを連結して構成したものが案出されて
いる（一例として、実開昭５９−１０７６７１号公報参
照）。

【０００３】この構造では、便所ユニット及び洗面ユニ
ットの互いに隣接する壁部の内、一方の死隅部を傾斜さ
せてこれらの壁部間に三角形状のパイプスペースを形成
することで、給排水用の集合本管を配置可能とし、各種
水回り配管の短絡化を図り、集合本管用のパイプスペー
スを不要にする等の効果をあげている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このユ
ニット構造物は個人用に用いられるもので、公共設備用
のユニット構造物ではないため、各ユニットも小さいも
のを使用している。ところが、例えば公衆トイレのよう
な公共の構造物をユニット構造で構成する場合、床等を
洗う清掃作業が当然必要となるが、比較的大きなユニッ
トを用いることから、清掃時に使用される水も多くな
る。このため、床に溜まる水の排水構造が必要となる
が、単体のユニットで公衆トイレを構成する場合には床
に勾配を付けて排水口に水が排水されるように構成する
ことで対処することが可能である。

【０００５】ところが、更に大きな公衆トイレを構築す
る場合、単体の大きなユニットを別途製造することは生
産上不利であることから、複数のユニットを使用するこ
とが考えられている。この場合、床勾配がそれぞれ付け
られた各ユニットを用いると、施工が難しくなりコスト
アップにも繋がるという問題点が生じる。

【０００６】本発明は上記事実を考慮し、複数のユニッ
トを用いた場合にも、床に溜まる水を確実に排水するこ
とができ、しかも施工が容易なユニット構造物を得るこ
とが目的である。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、底部周縁に沿
って配置された梁部材と、該梁部材におけるユニット外
方側の側縁から所定距離だけユニット内方側へ離間した
位置に載置される床部材と、を備えたユニットを複数個
連結することにより構成されるユニット構造物であっ
て、前記複数個のユニットを隣接して配置した状態で形
成される前記梁部材と前記床部材の側部とで囲まれる空
間部に排水溝を設けたことを特徴としている。

【０００８】

【作用】本発明によれば、ユニットを複数個連結するこ
とにより、ユニット構造物が構成される。

【０００９】ここで、各ユニットにおいては、梁部材が
ユニットの底部周縁に沿って配置され、また床部材が梁
部材におけるユニット外方側の側縁から所定距離だけユ
ニット内方側へ離間した位置に配置されている。従っ
て、このようなユニットが複数個隣接して配置された状
態では、梁部材と床部材の側部とで囲まれる空間部が形
成される。

【００１０】本発明に係るユニット構造物では、この空
間部に排水溝を設けたので、例えば床等の清掃時に使わ
れた水は清掃者によって排水溝へ落とし込むことが可能
となる。従って、ユニットの床部材に勾配を付けなくて
も確実に床部材に溜まった水の排水が可能となる。ま
た、床部材に勾配を付けなくてもよいことから、複数の
ユニットを用いてユニット構造物を構成しても、その施
工は容易に行うことができる。

【００１１】

【実施例】以下、図１〜図５を用いて、本発明に係るユ
ニット構造物の一実施例である公衆トイレ１０について
説明する。

【００１２】図５に示されるように、この公衆トイレ１
０は二個の直方体形状のユニットを隣接させた状態（図
４に示される状態）で連結することにより構成されてい
る。図５において紙面上側に位置するユニットは男子用
トイレとして用いられ（以下、このユニットを「男子用
ユニット１２」という）、紙面下側に位置するユニット
は男子用及び女子用トイレとして用いられる（以下、こ
のユニットを「男女用ユニット１４」という）。

【００１３】男子用ユニット１２及び男女用ユニット１
４は共に四隅に鉄骨柱１６を有しており、各鉄骨柱１６
間には外壁パネル１８が嵌め込まれている。また、男子
用ユニット１２及び男女用ユニット１４の一方の側壁に
はそれぞれ入口２０、２２が設けられており、通路２４
と連通されている。通路２４には仕切り板２６が設けら
れており、男子用トイレの入口２０と女子用トイレの入
口２２とを区画している。また、男子用ユニット１２及
び男女用ユニット１４の他方の側壁にはルーバ２８がそ
れぞれ設けられている。さらに、男女用ユニット１４に
はＬ字形状の間仕切り３０が設けられており、女子用ト
イレと男子用トイレとを区画している。この男子用ユニ
ット１２の男女用ユニット１４側の側面及び男女用ユニ
ット１４における男子用トイレに相当する部分の男子用
ユニット１２側の側面は共に開放されており、両者が連
結された状態では男子用ユニット１２の内部空間と男女
用ユニット１４の男子用トイレに相当する空間とが連通
されている。

【００１４】男子用ユニット１２内には化粧台３２及び
複数の男子用小便器３４が配設され、また男女用ユニッ
ト１４内には化粧台３２、女子用便器３６及び複数の男
子用大便器３８が配設されている。男子用及び男女用ユ
ニット１２、１４にはそれぞれ配管スペース４０が設け
られており、各便器と連通されたし尿排出用の管路（図
示省略）が配置されている。また、男女用ユニット１４
には、清掃道具収納用の収納部４２が設けられており、
この清掃道具を用いて男子用及び男女用ユニット１２、
１４の後述する床部材としての床板４６、４８に敷き詰
められたタイル４４の表面が清掃され、男子用ユニット
１２と男女用ユニット１４との境界部分に設けられた排
水溝５０へ清掃時の水が排水されるようになっている。
なお、この排水溝５０は男女用ユニット１４の入口２０
側端部の側縁に沿っても配設されている。以下、排水溝
５０及びその周辺構造について詳述する。

【００１５】図１及び図２に示されるように、男子用及
び男女用ユニット１２、１４の床板４６、４８は、複数
の中空矩形断面の鉄骨梁５２と複数の中空かつ略コ字形
断面の鉄骨梁５３とによって支承されている。鉄骨梁５
２は排水溝５０の長手直角方向に沿って所定間隔で配置
され、鉄骨梁５３は排水溝５０の長手方向に沿って所定
間隔で配置されている。また、男子用ユニット１２と男
女用ユニット１４との境界部分には、Ｉ型断面の梁部材
５４、５６が互いに平行に配置されている。これらのＩ
型断面の梁部材５４、５６の上端面に中空成形セメント
板で形成された各床板４６、４８がそれぞれ載置されて
いる。各床板４６、４８の表面はフラットな面とされて
おり、梁部材５４、５６の中心線を端部位置として載置
されている。従って、各床板４６、４８の端部間には矩
形断面の長尺状の空間部５８が形成されることになる。
この空間部にステンレス製の排水溝５０が嵌着されてい
る。

【００１６】排水溝５０は長尺状とされ、その両端部５
０Ａ、５０Ｂが互いに離反する方向へ屈曲されたコ字形
断面とされている。排水溝５０の両端部５０Ａ、５０Ｂ
は、床板４６、４８の側部上端面にそれぞれ係止されて
いる。排水溝５０には僅かな勾配が付けられており、排
水溝５０内へ流入した水が図５の矢印Ａ方向に沿って流
下していくようになっている。排水溝５０の屈曲端部
（男女用ユニット１４側）は、図示しない地中の排水管
へ案内されている。

【００１７】また、排水溝５０には複数枚のステンレス
製の蓋６０が被せられており、各蓋６０には排水用の多
数の小孔６２が形成されている（図２参照）。図３に示
されるように、蓋６０と排水溝５０の両端部５０Ａ、５
０Ｂとの間には板ゴム６４が配設されている。この板ゴ
ム６４により、蓋６０と排水溝５０の両端部５０Ａ、５
０Ｂとの接触による異音発生が防止されると共に蓋６０
とタイル４４の表面とを面一にする高さ調節を行ってい
る。

【００１８】なお、板ゴム６４に隣接する位置には、長
手直角断面が矩形状の仕切り材６６が敷設されており、
この仕切り材６６とタイル４４側面との間には目地材６
８が塗り込まれている。

【００１９】以下に、本実施例の作用を説明する。男子
用ユニット１２及び男女用ユニット１４が現場に搬入さ
れて互いに連結され、通路２４が接続されることによ
り、公衆トイレ１０の外郭が構成される。男子用ユニッ
ト１２と男女用ユニット１４とが連結された状態では、
梁部材５４、５６の上端面と双方の床板４６、４８の側
面とに囲まれた長尺状の空間部５８が形成される。この
空間部５８に排水溝５０が嵌着され、蓋６０が必要枚数
被せられる。

【００２０】公衆トイレ１０の使用状態において、清掃
者が清掃する場合には、収納部４２から清掃道具（例え
ば、モップ等）を用いてタイル４４の表面等が清掃され
る。このとき、比較的多い水が用いられタイル４４の表
面上に溜まるが、清掃者が清掃道具で溜まった水を排水
溝５０へ落とし込むことにより、水が小孔６２から排水
溝５０内へ流入される。流入した水は、排水溝５０内を
その勾配によって図５の矢印Ａ方向へと流れていき、排
出される。

【００２１】このように本実施例では、男子用ユニット
１２及び男女用ユニット１４というように複数のユニッ
トを用いてユニット構造物である公衆トイレ１０を構築
した場合にも、清掃時にタイル４４の表面に溜まる水を
排出するための排水溝５０が設けられているので、確実
に排水することができる。このため、床板４６、４８に
勾配を付ける必要もなく床面はフラットな面とすること
ができるので、複数のユニットを連結する際にも、通常
の連結作業を行うだけでよい。従って、各々のユニット
に床勾配を付け、双方のユニットを連結する場合に比
し、施工が容易であり、コストダウンを図ることができ
る。

【００２２】また、本実施例では、男子用ユニット１
２、男女用ユニット１４共に床板４６、４８等の如くユ
ニット躯体関係は従来通りの仕様とすることができるの
で、床板に勾配を付ける等の特別仕様にする場合に比
し、ユニットの工場生産率を向上させることができる。

【００２３】さらに、この排水溝５０は床板４６、４８
の側面とこれを支承する梁部材５４、５６の上端面とで
囲まれる空間部５８に設置されるため、排水溝５０の設
置作業を簡単に行うことができると共にメンテナンスも
容易になる。

【００２４】また、排水溝５０のような排水手段をユニ
ットの内部空間に所定スペースを割いて設ける場合に比
し、ユニットの内部空間を広く使うことができる。

【００２５】なお、本実施例では、男子用ユニット１２
と男女用ユニット１４との二個のユニットを用いて公衆
トイレ１０（ユニット構造物）を構成したが、これに限
らず、三個以上のユニットを用いてユニット構造物を構
成してもよい。この場合、排水溝５０が互いに隣接する
ユニットの連結部分に設けられるので、排水溝５０の設
置自由度が大きくなるというメリットがある。

【００２６】また、本実施例では、排水溝５０として両
端部５０Ａ、５０Ｂが互いに離反する方向へ屈曲された
断面コ字形状のものを用いたが、排水溝の形状はこれに
限られず、半円形の開渠や円形、矩形、馬蹄形等の管渠
であってもよい。

【００２７】

【発明の効果】上述したように本発明に係るユニット構
造物は、複数のユニットを用いた場合にも、床に溜まる
水を確実に排水することができ、しかも施工が容易であ
るという優れた効果を有する。

【００２８】上記効果に加え、排水溝は床板の側面とこ
れを支承する梁部材の上端面とで囲まれる空間部に設置
されるため、排水溝の設置作業を簡単に行うことができ
ると共にメンテナンスも容易になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施例に係る公衆トイレの排水溝及びこの周
辺部を示す図４の１−１線断面図である。

【図２】図１の排水溝及びこの周辺部を示す斜視図であ
る。

【図３】図１の３線矢視部分の拡大図である。

【図４】男子用ユニットと男女用ユニットとが互いに隣
接して配置された状態を示す概略斜視図である。

【図５】図１の排水溝を備えた公衆トイレを床板の面方
向に沿って切断した状態を示す平面図である。

【符号の説明】

１０ 公衆トイレ（ユニット構造物） １２ 男子用ユニット（ユニット） １４ 男女用ユニット（ユニット） ４６ 床板（床部材） ４８ 床板（床部材） ５０ 排水溝 ５４ 梁部材 ５６ 梁部材 ５８ 空間部

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】 底部周縁に沿って配置された梁部材と、 該梁部材におけるユニット外方側の側縁から所定距離だ
   けユニット内方側へ離間した位置に載置される床部材
   と、 を備えたユニットを複数個連結することにより構成され
   るユニット構造物であって、 前記複数個のユニットを隣接して配置した状態で形成さ
   れる前記梁部材と前記床部材の側部とで囲まれる空間部
   に排水溝を設けたことを特徴とするユニット構造物。