JPH05331534A - 含b鋼板の焼鈍方法 - Google Patents

含b鋼板の焼鈍方法

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JPH05331534A
JPH05331534A JP16427692A JP16427692A JPH05331534A JP H05331534 A JPH05331534 A JP H05331534A JP 16427692 A JP16427692 A JP 16427692A JP 16427692 A JP16427692 A JP 16427692A JP H05331534 A JPH05331534 A JP H05331534A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 性質改善元素として添加されたBの有効性を
損なうことなく、鋼板を焼鈍する。 【構成】 0.10〜0.80重量%のC及び0.00
05〜0.01重量%のBを含有する含B鋼板を、窒素
含有量を10体積%以下に抑制した水素雰囲気中で焼鈍
する。焼鈍雰囲気としては、窒素含有量を10体積%以
下に抑制し、還元性ガスを混合したAr雰囲気を使用す
ることもできる。焼鈍は、箱焼鈍又は連続焼鈍の何れで
あっても良い。 【効果】 焼鈍雰囲気から鋼板への窒素吸収が抑制さ
れ、Nに対して大きな親和力をもつBが窒化物となるこ
とが防止される。そのため、固溶状態のBが確保され、
鋼板の焼入れ性,結晶粒微細化等が改善される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、焼入れ性、組織改質等
のためにBが添加された鋼板を焼鈍する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】焼入れ焼戻し等の調質熱処理が施される
鋼,熱間加工後に直接焼入れが施される鋼では、焼入れ
性を改善するためにBを添加した鋼種が使用されるよう
になっている。Bは、ごく少量の添加であっても、著し
く焼入れ性を向上させる。そのため、他の合金元素に比
べて比較的安価に焼入れ性の向上が図られ、工業的に有
利な鋼が得られる。また、B添加によって焼戻し脆性の
抑制を図り、機械特性を向上させる場合もある。
【0003】B添加の対象となる鋼種は、条鋼や厚板に
分類されるものが多く、薄板の場合でも比較的板厚が大
きな熱延鋼板が対象とされていた。この種の材料は、通
常熱間圧延のまま、或いは酸洗等によってデスケールし
た状態で使用されるものがほとんどであった。
【0004】しかし、最近では、自動車等の機械部品用
材料として比較的薄いものや、従来の熱延鋼板と同等な
板厚であっても良好な成形加工性を要するものに含B鋼
板の適用が考えられている。このような用途において
は、従来の熱延鋼板を使用することは困難であり、熱延
鋼板に焼鈍を施した焼鈍熱延材,更には引き続いて冷間
圧延を施した冷延材等が必要とされる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】鋼板のバッチ焼鈍とし
ては、コイル状に巻かれた鋼板をベル型焼鈍炉等に装入
し、箱焼鈍する方法が通常である。箱焼鈍の雰囲気に
は、DXガス,HNガス,HNXガス等の非酸化性ガス
が使用されている。これら非酸化性ガスは、鋼板の酸化
を防止するために一酸化炭素,水素等の還元性ガスを5
0体積%程度まで含有しており、その他の主な組成は窒
素等の不活性ガスである。合金元素の含有量が少ない機
械構造用鋼の場合、易酸化性合金元素であるCrを多量
に含むステンレス鋼と異なり、このようなガス組成の焼
鈍雰囲気によって酸化を十分防止することができ、実用
上問題のない光輝度の鋼板が得られる。
【0006】含B鋼板を同様な焼鈍雰囲気で焼鈍する
と、雰囲気ガス中の窒素が鋼板に吸収される問題があ
る。鋼板に吸収された窒素は、鋼中のBと結合して鋼板
内部にBNを形成する。そのため、B添加の作用が損な
われる。
【0007】含B鋼は、BとNとの親和力が強いことか
ら、BNが形成されないような成分調整が本来必要とさ
れる鋼種である。たとえば、焼入れ性の向上に寄与する
Bの作用は、焼入れ時のオーステナイト粒界に固溶状態
のBが偏析することによって発揮されるものである。他
方、化合物状態のBは、鋼中に含まれていても、焼入れ
性を向上させる作用を呈さない。そのため、焼入れ性向
上に有効な固溶状態のBを確保するため、製鋼段階にお
いてAl,Ti等の含有量を調整し、これら元素によっ
て鋼中の窒素を固定している。
【0008】しかし、製鋼段階で化合物状態のBが生成
しないように成分調整を行っても、焼鈍工程で雰囲気ガ
スから吸収された窒素が鋼中のBと反応してBNが形成
されると、有効な固溶状態のBが確保できない。その結
果、後続する焼入れ等の熱処理においてBの焼入れ性向
上作用が全く発揮されないことになる。また、他の性質
改善を狙ってBを含有させた鋼種でも、同様なBの消費
によって所期の特性が得られない。
【0009】本発明は、このような問題を解消すべく案
出されたものであり、焼鈍時の雰囲気ガスの窒素含有量
を低下させることにより、雰囲気ガスから鋼板への窒素
吸収を抑制し、所期の作用を呈する有効Bの確保を図る
ことを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の焼鈍方法は、そ
の目的を達成するため、0.10〜0.80重量%のC
及び0.0005〜0.01重量%のBを含有する含B
鋼板を、窒素含有量を10体積%以下に抑制した水素雰
囲気中で焼鈍することを特徴とする。雰囲気ガスとして
は、同じく窒素含有量を10体積%以下に抑制し、還元
性ガスを混合したArを主成分とするものを使用するこ
ともできる。
【0011】本発明によって焼鈍される鋼としては、
C:0.10〜0.80重量%,Si:0.05〜0.
50重量%,Mn:0.20〜2.00重量%,P:
0.20重量%以下,S:0.020重量%以下,A
l:0.005〜0.10重量%及びN:0.001〜
0.01重量%の基本組成にB:0.0005〜0.0
1重量%を含有させたものである。基本組成は、0.0
1〜0.10重量%のTiを含むこともできる。また、
所定の性質を改善させるため、Ni:0.20〜2.0
重量%,Cr:0.05〜1.0重量%,Mo:0.0
5〜0.5重量%,V:0.01〜0.2重量%及びN
b:0.01〜0.2重量%から選ばれた1種又は2種
以上の合金元素を含ませることもできる。これらの合金
元素は、Tiと併用添加することも可能である。
【0012】
【作 用】通常の箱焼鈍に使用される雰囲気ガスは、不
活性ガスとして窒素を主成分としたものである。また、
還元性を付与するため、一酸化炭素や水素等を窒素に混
合する場合もある。この窒素を主成分とする雰囲気ガス
では、焼鈍時に雰囲気ガスから鋼板への窒素吸収が生
じ、鋼中の有効BがBNとして消費される。
【0013】この点、本発明においては、窒素含有量を
10体積%以下に抑えた雰囲気ガスを使用する。雰囲気
ガスの主成分としては、水素及びArがある。窒素含有
量を規制した雰囲気ガスは、鋼板の連続焼鈍においても
有効な作用を呈するが、以下では箱焼鈍を例にとって説
明する。
【0014】水素を主成分とする雰囲気ガスを使用する
とき、水素が爆発性の強いガスであることから、焼鈍炉
の密閉性を高める等のように焼鈍設備を特殊なものにす
る必要がある。しかし、雰囲気ガスが窒素を含まないこ
とから、雰囲気ガスから鋼板への窒素吸収がないことは
勿論、還元性が高いため焼鈍後の光輝性に優れた焼鈍材
が得られる。また、冷却能が高いことから、焼鈍後の冷
却時間を短くすることができ、1バッチ当りの焼鈍時間
の短縮が図られる。なお、水素を主成分とする雰囲気ガ
スは、必ずしも水素100体積%である必要はなく、酸
化促進等の有害な作用を及ぼすガスでない限り、一酸化
炭素,Ar等を含んでも良い。
【0015】窒素を含まない他の雰囲気ガスとして、還
元性ガスを混合したArを使用することができる。Ar
は、不活性ガスの代表的なものであり、純粋なArガス
でも焼鈍がある程度可能である。しかし、焼鈍炉内の脱
気を完全にすることは困難であり、大気が炉内に混入す
ることが避けられない。混入した大気に含まれている酸
素は、鋼板表面に酸化膜を形成する原因となる。そのた
め、Arを主成分とする雰囲気ガスを使用する場合に
は、混入大気による酸化を防止するため、還元性ガスを
混合することが必要である。この場合の還元性ガスに
は、通常の雰囲気ガスとして使用されている一酸化炭
素,水素等がある。還元性ガスの含有量は、鋼の組成等
に起因する酸化の難易性,製品に要求される表面品質等
を考慮し、数%〜数十%の範囲で適宜定められる。
【0016】雰囲気ガスに窒素が含まれていると、窒素
の吸収によって焼鈍材中の窒素含有量が増加し、焼入れ
性に対するBの効果が減少する傾向にある。しかし、雰
囲気ガスの窒素含有量が10体積%以下になると、窒素
吸収量が微量となり、Bによる焼入れ性向上作用が確保
される。そこで、本発明においては、目標とするBの効
果を得るため、雰囲気ガスの窒素含有量を10体積%以
下に規定した。
【0017】次いで、本発明に従って熱処理される鋼板
の合金成分について説明する。 C: 調質処理後の鋼板の強度を得るために必要な元素
である。0.10重量%未満のC含有量では、機械構造
用鋼板として要求される強度が得られず、また焼入れ性
も低下して熱処理性が失われる。しかし、0.80重量
%を超える多量のCが含有されると、BとCとの化合物
が生成し易くなり、却って焼入れ性を低下させるだけで
なく、熱処理後における靭性等の機械的性質が劣化す
る。したがって、0.10〜0.80重量%の範囲にC
含有量を定めた。
【0018】Si: 鋼の脱酸剤として使用される元素
であり、焼入れ性を高める上でも有効である。この作用
を得るためには、0.05重量%以上のSiを含有させ
ることが必要である。しかし、Si含有量の増加に伴っ
て、熱間圧延時のスケール疵等に起因して表面性状の劣
化を招くと共に、溶接部の健全性も低下する。そこで、
Si含有量は、上限を0.50重量%に設定した。
【0019】Mn: 鋼の焼入れ性を高め、強靭化を図
る上で有効な元素である。しかし、過剰にMnを含有さ
せると、Mn系の非金属介在物が増加し、且つ凝固時の
ミクロ偏析による縞状組織を発達させる。そのため、M
n含有量は、0.20〜2.00重量%の範囲に規定し
た。
【0020】P: 本発明が対象とする機械構造用鋼板
は、焼入れ焼戻し処理を施されることから、焼戻し脆性
等によって靭性の劣化を招く元素であるPを低減させる
必要がある。そこで、P含有量の上限を0.020重量
%とした。
【0021】S: 鋼中に非金属介在物の生成を促進さ
せ、成形加工性や熱処理後の靭性等を劣化させる有害な
元素である。そこで、S含有量を、0.020重量%以
下に規制した。
【0022】Al: 溶鋼に対する脱酸剤として働くと
共に、AlNの形成によって鋼中Nを固定し、焼入れ性
の改善に有効な作用をもつ固溶状態のBを確保する上で
有効な元素である。この作用を得るためには、0.00
5重量%以上のAlが必要である。しかし、0.10重
量%を超える多量のAlを含有させるとき、鋼の清浄度
が損なわれると共に、表面疵が発生し易くなる。したが
って、0.005〜0.10重量%の範囲にAl含有量
を定めた。
【0023】N: Bと結合して窒化物を生成し、Bの
焼入れ性向上作用を無効にする。この点から、N含有量
は低いほど好ましい。しかし、0.001重量%未満に
N含有量を低減することは、工業的に多大のコストが必
要になる。他方、N含有量が0.01重量%を超えると
き、Nを固定する元素としてAlやTiを添加しても、
十分なNの固定が困難になると共に、生成したAlN,
TiN等の窒化物が非金属介在物として鋼中に分散し、
靭性等の機械的性質を劣化させる。したがって、N含有
量を0.001〜0.01重量%の範囲に定めた。
【0024】B: 鋼の焼入れ性は、Bの添加により大
きく向上する。Bを0.0005重量%とごく微量のB
を添加した場合でも、B添加の作用がみられる。しか
し、0.01重量%を超える多量のBを含有させると、
鋼中にB系の化合物が生成され、逆に焼入れ性の低下を
招くばかりでなく、靭性にも悪影響を及ぼす。したがっ
て、0.0005〜0.01重量%の範囲にB含有量を
定めた。
【0025】また、選択成分として添加されるTi,N
i,Cr,Mo,V,Nb等は、それぞれ次の作用を呈
する。Ti: 熱処理時に固溶しにくい炭窒化物を形成
し、焼入れ時に結晶粒の粗大化を防止する作用を呈す
る。また、鋼中に固溶しているNを窒化物として固定す
る。そのため、固溶NによるBの消費が抑制され、Bに
よる焼入れ性改善作用が効率よく発揮される。これらの
作用は、0.01重量%以上のTiを含有させるとき顕
著にみられる。しかし、0.10重量%を超える多量の
Tiを含有させると、粗大な窒化物が形成され、靭性の
劣化を招く。したがって、Tiを含有させる場合には、
その含有量を0.01〜0.10重量%の範囲に定め
る。
【0026】Ni: 鋼の焼入れ性を向上させ、靭性の
劣化を抑えながら高強度化を図る上で有効な元素であ
る。この作用を得るためには、0.20重量%以上のN
iを含有させることが必要である。しかし、2.00重
量%を超えてNiを含有させても、性質改善効果が飽和
し、鋼材のコスト上昇を招く。したがって、Niを含有
させる場合には、その含有量を0.20〜2.00重量
%の範囲に定める。
【0027】Cr: 鋼の焼入れ性を向上させる有効な
元素であり、0.05重量%以上の含有によってCrの
効果が顕著になる。しかし、1.00重量%を超えるC
r含有量では、Crの増量に見合った効果が得られず、
鋼のコストを上昇させることになる。そこで、Crを含
有させる場合には、その含有量を0.05〜1.00重
量%の範囲に定める。
【0028】Mo: 鋼の焼入れ性を向上させる有効な
元素であり、0.05重量%以上の含有によってMoの
効果が顕著になる。しかし、Moは、高価な合金元素で
あり、0.5重量%を超えて含有させても、それに見合
った性質改善効果がみられず、経済的に不利になる。そ
こで、Moを含有させる場合には、その含有量を0.0
5〜0.5重量%の範囲に定める。
【0029】V: 安定な炭窒化物を形成し、焼入れ時
に結晶粒の粗大化を抑制すると共に、靭性の劣化を防止
する等の有効な作用を呈する。このような作用は、0.
01重量%以上のVを含有させるとき顕著に現れる。し
かし、V含有量が0.20重量%を超えると、ごく短時
間で鋼材が焼入れ温度までに加熱される高周波焼入れで
は炭化物の固溶不足に起因してマトリックスのC濃度が
低下する。その結果、必要な強度が得られない。そこ
で、Vを含有させる場合には、その含有量を0.01〜
0.20重量%の範囲に定める。
【0030】Nb: Vと同様に結晶粒の粗大化を抑制
する有効な元素である。しかし、マトリックスに対する
炭化物の固溶を減少させ、強度低下を招く欠点をもって
いる。したがって、Nbを含有させる場合、Vと同様に
Nb含有量を0.01〜0.20重量%の範囲に定め
る。
【0031】
【実施例】
実施例1:表1に示した各種組成の鋼板を使用し、種々
の焼鈍雰囲気の下で箱焼鈍のテストを行った。焼鈍後の
鋼板について、化学分析すると共に、焼入れ処理後の硬
さを測定した。表1における鋼種A及びCは、転炉で溶
製した溶鋼から連鋳スラブを得、連鋳スラブをホットス
トリップミルで熱間圧延し、酸洗によってデスケールし
た厚さ2.3mmの鋼板である。鋼種B,D,E及びF
は、高周波溶解炉で製造した鋼塊に熱間鍛造及び熱間圧
延を施した後、表面を研削して得た厚さ3.0mmの鋼
板である。
【0032】
【表1】
【0033】各鋼板から切り出した試験片をステンレス
鋼製の反応管中にセットし、各種のガスを反応管内に供
給しながら700℃まで昇温し5時間保持した後で炉冷
することにより、箱焼鈍のテストを行った。焼鈍後の各
試験片は、ソルトバス中で780〜850℃の温度に加
熱した後、油中に焼入れした。次いで、各試験片を切断
し、表面から50μmの深さ位置における硬さを測定
し、また表層の組織を観察した。各試験片表層部の硬さ
及び組織を表2に示す。また、試験No.6の表層部の組
織を図1に示す。
【0034】
【表2】
【0035】C含有量が0.1重量%未満の鋼種Aを使
用した試験No.1では、焼入れ後の表層は、焼鈍雰囲気
に拘らずフェライト組織となっており、焼入れ処理の目
標とするマルテンサイト組織が得られていない。そのた
め、硬さが低くなっている。また、C含有量及びB含有
量に関し本発明の規定を満足する鋼種B〜Eであって
も、窒素含有量が10体積%を超える雰囲気ガス中で焼
鈍したとき、試験No.2,3,5,6,7,9,11及
び13では、図1に試験No.6の試験片を代表例として
示すように、表層部にベーナイトやフェライトが部分的
に生成され。目標とするマルテンサイト単一の組織が得
られていない。その結果、比較的低い硬度をもったもの
となる。
【0036】これに対し、本発明に従った試験No.4,
8,10,12,14及び15の各試験片では、焼鈍中
に窒素の吸収がなく固溶状態のBが有効に機能し、正常
な焼入れ組織であるマルテンサイト単相組織をもつ表層
部が形成された。その結果、表層部の硬さは、試験No.
2,3,5,6,7,9,11及び13に比較して格段
に高くなっている。このことから、焼鈍雰囲気の窒素含
有量を規制することにより、固溶状態のBが焼鈍後にお
いても有効に確保されることが判る。
【0037】実施例2:実施例1で使用した鋼種のう
ち、鋼種Cの鋼板を用いて窒素含有量が異なるアルゴン
−水素混合ガスの雰囲気下で焼鈍テストを行い、鋼中に
吸収される窒素量に与える雰囲気中の窒素量の影響を調
査した。使用した混合ガスの組成は、水素含有量を10
体積%とし、窒素含有量を0,4,8,15,30及び
50体積%に変化させたものである。なお、残部は、ア
ルゴンとした。
【0038】焼鈍後の鋼板表層部における窒素含有量を
調査したところ、焼鈍雰囲気ガスの窒素含有量との間に
図2に示す関係があることが判った。図2から明らかな
ように、雰囲気ガスの窒素含有量が0の場合、鋼板表層
部の窒素含有量は、焼鈍前の試料と焼鈍後の試料とでほ
ぼ同じ値になっている。鋼板表層部の窒素含有量は、雰
囲気ガスの窒素含有量に従って増加する傾向にある。雰
囲気ガスの窒素含有量が10体積%以下であると、焼鈍
後の鋼板表層部の窒素含有量は、0.01重量%以下に
保たれており、それほど顕著な増加がみられない。とこ
ろが、雰囲気ガスの窒素含有量が10体積%を超える
と、吸窒現象が激しくなり、鋼板表層部の窒素含有量が
急激に増加している。
【0039】このことから、B添加の作用を発揮させる
ために、雰囲気ガスの窒素含有量を10体積%以下に抑
えることが必要である。これにより、吸収された窒素に
よって鋼中のBが書ぷひされることなく、所期のB添加
の効果が得られた。
【0040】以上の例においては、箱焼鈍を例に説明し
た。しかし、本発明は箱焼鈍に特定されるものではな
く、焼鈍雰囲気を本発明に従って制御する限り、連続焼
鈍に対しても同様に適用されることはもちろんである。
この場合にも、雰囲気ガスからの窒素吸収が抑えられ、
焼入れ性向上,組織微細化等に有効な固溶状態のBが連
続焼鈍された鋼板中に確保される。
【0041】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、性質改善のためにBが添加された鋼板を焼鈍すると
き、焼鈍雰囲気を制御することによって、雰囲気ガスか
ら鋼板への窒素吸収を抑制し、鋼中にある固溶状態のB
が窒化物として析出することを防止している。これによ
り、有効Bが確保され、焼入れ性等に優れた鋼板が得ら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 50体積%H2 −50体積%N2 の雰囲気ガ
スの下で熱処理した試験片の表面層
【図2】 雰囲気ガスの窒素含有量が表層部の組織に与
える影響を示したグラフ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0.10〜0.80重量%のC及び0.
    0005〜0.01重量%のBを含有する含B鋼板を、
    窒素含有量を10体積%以下に抑制した水素雰囲気中で
    焼鈍することを特徴とする含B鋼板の焼鈍方法。
  2. 【請求項2】 0.10〜0.80重量%のC及び0.
    0005〜0.01重量%のBを含有する含B鋼板を、
    窒素含有量を10体積%以下に抑制し、還元性ガスを混
    合したAr雰囲気中で焼鈍することを特徴とする含B鋼
    板の焼鈍方法。
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