JPH05331322A - オレフィン系熱可塑性エラストマーの難燃性組成物 - Google Patents

オレフィン系熱可塑性エラストマーの難燃性組成物

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JPH05331322A
JPH05331322A JP3242828A JP24282891A JPH05331322A JP H05331322 A JPH05331322 A JP H05331322A JP 3242828 A JP3242828 A JP 3242828A JP 24282891 A JP24282891 A JP 24282891A JP H05331322 A JPH05331322 A JP H05331322A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 オレフィン系熱可塑性エラストマーから、そ
の熱分解時に腐食性のガス又は有毒のガスを発生し難い
難燃性組成物を開発する。 【構成】 結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合
体[エチレン成分7.5重量%含有、MFR(230℃;2.16kg
f)0.6g/10min]2.5kg及びエチレン−プロピレン-5-
エチリデン-2-ノルボルネン共重合体エラストマー[エ
チレン成分74重量%含有、ムーニー粘度88、エチリ
デンノルボルネン成分含量(沃素価で)15]2.5kg
を2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン50g等の存
在で180℃で溶融混練した組成物3.5kgにポリ燐酸
アンモニウム1kg及び2-ピペリジニレン-4-モルホリノ-
1,3,5-トリアジンポリマー(n=11)0.5kgを加えて溶融
押出により、部分架橋物(MFR140g/10min)を得た。 【効果】 酸素指数32、全毒性指数3.32(実施例
3)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はオレフィン系熱可塑性エ
ラストマーの難燃性組成物に関する。詳しくはポリオレ
フィン系樹脂、特にポリプロピレン系樹脂及びエチレン
・プロピレン共重合体エラストマーもしくはエチレン・
プロピレン・非共役ジエン共重合体エラストマーを主成
分とし、組成物の熱分解時に腐食性のガス又は有毒性の
ガスを殆ど発生しないオレフィン系熱可塑性エラストマ
ーの難燃性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】通常のエラストマー(ゴム)を成形する
場合には、エラストマーに添加剤を配合して混練後に金
型に充填し、加硫する工程が必要である。その結果とし
て成形サイクルが長く、しかも工程も複雑であるという
問題が伴っている。また、押出成形においても、同様な
問題が伴っている。
【0003】従って、加硫せずに成形可能であるという
熱可塑性樹脂的な性能と共に、エラストマー的な性能を
も兼備した素材であってエラストマーに代替し得る組成
物が検討されている。この様な性能を備えた素材の中
で、軟質塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、
低密度ポリエチレン等のプラスチックは成形性、柔軟性
共に良好である。その反面では、耐熱性、機械的強度及
び反発弾性等に劣ることから、その用途が制限されてい
る。
【0004】そこで近年、加硫ゴムとプラスチックとの
中間的性能を備えたものとして、熱可塑性エラストマー
群の中でオレフィン系共重合体ゴムとオレフィン系プラ
スチックからなる組成物が注目されている。例えば、特
開昭49-53938号公報に開示されている様に、エチレン・
プロピレンラバーにポリオレフィン系樹脂を溶融混練し
たもの、特開昭60-71652号公報に開示されている様にオ
レフィン系共重合体ゴムとオレフィン系プラスチックと
のブレンドを2段階で行わせて耐衝撃性を改良したもの
等のポリプロピレンとエチレン−プロピレン系共重合体
ゴムとを中心に検討が行われている。
【0005】オレフィン系熱可塑性エラストマーの中で
も、溶融混練時にエラストマー部分を部分的に架橋させ
たオレフィン系熱可塑性エラストマーは耐熱性及びゴム
弾性に優れ、最も有望な材料として開発が進められてい
る。部分的に架橋されたオレフィン系熱可塑性エラスト
マーは通常、次の様な手順で作成される:バンバリー・
ミキサー、ニーダー等を用いてオレフィン系エラストマ
ー例えば、エチレン−プロピレン共重合体エラストマー
又はエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体エラ
ストマーとポリプロピレンとを機械的に溶融混練し、同
時に架橋剤例えば、有機過酸化物等を添加して部分的に
架橋させる方法が一般的である。
【0006】この様な作成方法は例えば、特公昭53-342
10号公報に開示されている。これは混練時にエラストマ
ー部分を部分的に架橋させたもの等を開示している。本
来、オレフィン系熱可塑性エラストマーは可燃性の成形
材料である。処が、使用される用途の拡大に伴って、ポ
リオレフィン系熱可塑性エラストマー成形材料にも難燃
材料としての性能が要求され始め、それに応じて種々の
組成物が呈示されている。例えば特開昭55-110139 号公
報、同60-155250 号公報、特公昭 60-35372 号公報等に
開示されているが、これらは何れもハロゲン系難燃剤の
配合によって難燃性能を付与したものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】処が、最近では従来の
難燃化技術の主流であるハロゲン化合物の配合において
は、難燃性組成物の燃焼時又は成形時に発生するハロゲ
ン系ガスの毒性が問題視されている。そこで、燃焼時又
は成形時の何れにおいてもこれらのハロゲン系ガスを発
生しないオレフィン系熱可塑性エラストマーの難燃性組
成物が要望されている。
【0008】
【課題を解決しようとする手段】本発明者らは組成物の
加工時又は燃焼時に腐食性のガス又は有毒性のガスを殆
ど発生せず、成形加工性の低下を実用上問題になる程に
は生じないオレフィン系熱可塑性エラストマーの難燃性
組成物を得るべく鋭意研究を行なった。その結果、ポリ
燐酸アンモニウム(A)及び下記の群から選ばれる(B)の1
種以上: 2個以上の窒素原子を環内に含有する五員以上の複素
環からなる環状ケトンとホルムアルデヒドとの反応生成
物群、 2個以上の窒素原子を環内に含有する五員以上の複素
環からなる環状チオケトンとホルムアルデヒドとの反応
生成物群、又は 下記の一般式(「化2」=「化1」)で表わされる構
造を含有する1,3,5-トリアジン誘導体群
【0009】
【化2】
【0010】[式中、Xはモルホリノ基もしくはピペリ
ジノ基、Yはピペラジンから誘導される2価の基、nは
1以上、好ましくは2〜50の正数である]を基材であ
るオレフィン系熱可塑性エラストマーに配合した組成物
が前述の問題点を実質的に伴わないことを見出し、その
知見に基づいて更に検討を重ねた結果、本発明を完成し
た。
【0011】上記のオレフィン系熱可塑性エラストマー
の難燃性組成物は配合されている各成分の相乗作用によ
り、熱分解によっても非引火性ガスの発生及び炭素質の
残渣が生ずるだけである。
【0012】以上の記述から明らかな様に、本発明の目
的は上述の課題を解決し、高度の難燃性を備えた成形品
の素材となり得るオレフィン系熱可塑性エラストマー、
特にプロピレン系熱可塑性エラストマーの難燃性組成物
を提供することにある。
【0013】本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマ
ー、特にポリプロピレン系熱可塑性エラストマーの難燃
性組成物は下記の構成を有する: (1) オレフィン系熱可塑性エラストマー 95.
5〜65重量部に対して、下記成分(A) 及び(B) からな
る各添加成分を下記の量で配合してその合計を全体で1
00重量部としたオレフィン系熱可塑性エラストマーの
難燃性組成物: (A)ポリ燐酸アンモニウム 3 〜25重量部 (B)下記の群から選ばれる1種以上 1.5〜10重量部 2個以上の窒素原子を環内に含有する五員以上の複素
環からなる環状ケトンとホルムアルデヒドとの反応生成
物群、 2個以上の窒素原子を環内に含有する五員以上の複素
環からなる環状チオケトンとホルムアルデヒドとの反応
生成物群又は 下記の一般式(「化3」=「化1」)で表わされる構
造を含有す1,3,5-トリアジン誘導体群
【0014】
【化3】
【0015】[式中、Xはモルホリノ基もしくはピペリ
ジノ基、Yはピペラジンから誘導される2価の基、nは
2〜50の正数である]。本発明組成物の基材となるオレ
フィン系熱可塑性エラストマーを構成するポリオレフィ
ン系樹脂としては、次のものを例示できる: ・エチレンの単独重合体樹脂、エチレン主成分とプロピ
レン以上の副成分との共重合体樹脂; ・プロピレンの結晶性単独重合体樹脂、プロピレン主成
分とエチレンもしくは1−ブテン以上の1−オレフィン
との結晶性共重合体樹脂; ・1−ブテンの単独重合体樹脂、1−ブテン主成分とエ
チレン、プロピレンもしくは1−ペンテン以上の1−オ
レフィンとの共重合体樹脂; ・4−メチル−1−ペンテンの単独重合体樹脂;4−メ
チル−1−ペンテンとエチレン、プロピレン、1−ブテ
ンもしくは1−ヘプテン以上の1−オレフィンとの共重
合体樹脂; ・上記樹脂の2種類以上からなる樹脂ブレンド; ・上記樹脂の変性物。
【0016】本発明で好ましい樹脂セグメントであるポ
リプロピレン樹脂セグメントとしては、以下のものを例
示できる: ・結晶性プロピレン単独重合体、 ・プロピレンを主成分とし、下記の1−オレフィンの1
種以上を副成分とする結晶性ランダム共重合体もしくは
結晶性ブロック共重合体:エチレン、1−ブテン、1−
ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、
1−ヘプテン、1−オクテン及び1−デセン。
【0017】これら結晶性重合体の2以上の混合物も好
適樹脂セグメント形成用ブレンドとして、挙げることが
できる。型物の成形材料としては、結晶性プロピレン−
エチレンブロック共重合体が特に望ましい。
【0018】本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマ
ー難燃性組成物のハードセグメントとして好適な結晶性
ポリプロピレン系樹脂は上記の様な結晶性の単独重合体
及びプロピレンを主成分とする共重合体の何れでも良
い。
【0019】中でも好ましいものはプロピレン−エチレ
ン・ブロック共重合体であって、そのエチレン成分の含
有量1.5 重量%以上で、そのメルトフローレート[M
FR(230 ℃,2.16kgf)]通常0.5 〜50g/10min、好
ましくは 1〜30g/10min のものである。
【0020】ハードセグメントとして結晶性ポリプロピ
レンブロック共重合体樹脂を用いると、ソフトセグメン
トの使用量を減少させることができる。本発明のオレフ
ィン系熱可塑性エラストマー組成物のソフトセグメント
として好適なオレフィン系エラストマーは好ましくは、
エチレン−プロピレン共重合体エラストマー(EPM)及び
/又はエチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体エ
ラストマー(EPDM)である。エチレン−プロピレン共重合
体エラストマーはプロピレン成分含有量20〜50重量
%で、そのムーニー粘度[ML1+4(100℃)]通常10〜1
00のものである。エチレン−プロピレン−非共役ジエ
ン共重合体エラストマーは第三成分である非共役ジエン
成分を沃素価で表わして通常5〜30含有し、そのムー
ニー粘度[ML1+4(100℃)]通常10〜120のもので十
分である。
【0021】非共役ジエンとしては、5-エチリデン-2-
ノルボルネン、ジシクロペンタジエン又は1,4-ヘキサジ
エンの群から選ばれる1種以上を用いることが好まし
い。有機ラジカル発生剤としては、有機過酸化物を用い
ることができる。その中でも、170 ℃における半減期1
min 以上を実現できる有機過酸化物例えばビス(t-ブチ
ルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5-ジメチル-
2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパ
ーオキサイド等を好適に用いることができる。有機過酸
化物の添加量(配合量)はオレフィン系熱可塑性エラス
トマー100重量部に対して0.1〜3重量部、好まし
くは0.5〜2重量部に選ぶ。添加量が0.05重量部以
下では改善効果不足を来し、4 重量部以上では、それ
を超える改善効果を期待し難くなる外、機械的強度の低
下を往々にして生ずる。
【0022】本発明の難燃性組成物を構成するオレフィ
ン系熱可塑性エラストマーを作成するには、次の様に行
うことができる:ハードセグメントとして、ポリオレフ
ィン系樹脂、20〜60重量%並びにソフトセグメント
として、エチレン−1−オレフィン共重合体エラストマ
ー及び/又はエチレン−1-オレフィン−非共役ジエン共
重合体エラストマー80〜40重量% (ハードセグメントの量とソフトセグメントの量との和
が100重量%になるように選ぶ)からなるポリマーブ
レンド100重量部に対して、 有機ラジカル発生剤0.1〜 3重量部及び 伸展油 0 〜100重量部 を添加した素材組成物を適当な溶融混練手段例えば、バ
ンバリー・ミキサー又は二軸押出機等に装入し、動的に
部分架橋を行なわせる。
【0023】所定量の上述の難燃剤(A) 及び(B) 並びに
有機ラジカル発生剤及び伸展油を添加した混合物を適切
な攪拌混合装置、例えばヘンシェルミキサー(商品
名)、スーパーミキサー又はタンブラーミキサー等に装
入する。次いで、1〜10分間攪拌混合した後、得られ
た混合物をスクリュー押出機等を用いて溶融混練温度1
70〜220℃で溶融混練し、ペレット化することによ
って目的の難燃性組成物を得ることができる。
【0024】上記の溶融混練処理はハードセグメントと
ソフトセグメントとの配合物を溶融混練後に、ラジカル
開始剤を添加して再度溶融混練する方式、ソフトセグメ
ントにハードセグメントの一部分を添加して溶融混練後
に、ハードセグメントの残部を添加して、更に溶融混練
する方式等によって行なうこともできる。これらの方式
は得られる部分架橋物の機械的強度及びゴム的性質の面
で好結果を齎す。
【0025】好適なハードセグメントとして用いるポリ
プロピレン系樹脂はペレット状で用いることもできる。
しかし、パウダー状で用いる方が分散性の点で好まし
い。本発明者等は得られるオレフィン系熱可塑性エラス
トマーが機械的強度、ゴム弾性及び加工流動性の何れを
も温存していることを利用して、これに難燃性付与剤で
ある添加剤(A) 及び添加剤(B) を添加することによっ
て、所期の成形材料を作成できることを見出した。
【0026】本発明で用いるポリ燐酸アンモニウム(A)
として好ましいものは一般式 (NH4PO3)n(n≧50 )で表わ
されるものである。通常の市販品がこの範囲のものであ
れば、そのまま用いることができる。
【0027】好ましいポリ燐酸アンモニウムの市販品の
例としては、以下に示すものを挙げることができる: 商品名:スミセーフP(住友化学社製)及び 商品名:Exolit 422(ヘキスト社製)を挙げることがで
きる。
【0028】該ポリ燐酸アンモニウム(A) の配合割合は
組成物基準(含有量)で通常、3〜25重量%、好まし
くは14〜21重量%である。該配合割合が10重量%
以下では高度の難燃性を発揮する組成物が得られず、ま
た28重量%以上配合してもそれを超える難燃性の向上
が殆ど期待できない。
【0029】本発明で用いる成分(B) (以下、「窒素含
有複素環状有機化合物」と略称することがある)とは、
以下のものをいう。 ・2個以上の窒素原子を環内に含有する五員以上の複素
環からなる環状ケトンとホルムアルデヒドとの反応生成
物群、 ・2個以上の窒素原子を環内に含有する五員以上の複素
環からなる環状チオケトンとホルムアルデヒドとの反応
生成物群、又は ・下記の一般式(「化4」=「化1」)で表わされる構
造を含有する1,3,5-トリアジン誘導体群
【0030】
【化4】
【0031】[式中、Xはモルホリノ基もしくはピペリ
ジノ基、Yはピペラジンから誘導される2価の基、nは
1以上、好ましくは2〜50の正数である]。これら
はポリ燐酸アンモニウム(A) と共にオレフィン系熱可塑
性エラストマー中に存在する場合に、発火又は炎の接触
等による熱分解によっても、非引火性ガス(水、二酸化
炭素、アンモニア、窒素等)を発生すると共に炭素質残
渣のみを生じ得る有機化合物の1種もしくは2種以上の
混合物又は反応生成物である。
【0032】これらの化合物の例としては、エチレン尿
素、エチレンチオ尿素、ヒダントイン、ヘキサヒドロピ
リミジン-2-オン、ピペラジン-3,6-ジオン、バルビツル
酸並びにこれらとアルデヒドとの反応生成物、2-ピペラ
ジニレン-4-モルホリノ-1,3,5-トリアジンのオリゴマー
もしくはポリマー又は2-ピペラジニレン-4-ピペリジノ-
1,3,5-トリアジンのオリゴマーもしくはポリマー等を挙
げ得る。
【0033】これらの中で高度の難燃性を付与する点か
ら好ましいものは次の通りである: ・エチレン尿素とホルムアルデヒドの反応生成物、 ・エチレンチオ尿素とホルムアルデヒドとの反応生成物
又は ・下記一般式(「化5」=「化1」)で表される構造を
有する1,3,5- トリアジン誘導体である2-ピペラジニレ
ンー4-モルホリノ-1,3,5-トリアジンのオリゴマーもしく
はポリマ−並びに ・2-ピペラジニレン-4-ピペリジノ-1,3,5-トリアジンの
オリゴマーもしくはポリマー。
【0034】
【化5】
【0035】[式中、Xはモルホリノ基もしくはピペリ
ジノ基Yはピペラジンから誘導される2価の基、nは1
以上、好ましくは 2〜50の正数である]。該窒素含
有複素環状有機化合物(B) の配合割合は組成物基準で
1.5〜10重量%である。該配合割合が1.5重量%未
満では高度の難燃性を発揮する組成物が得られず、また
10重量%を超える量で配合してもそれを超える難燃性
の向上を期待し難い。
【0036】また、該窒素含有複素環状有機化合物(B)
の1種である上述のエチレン尿素とホルムアルデヒドと
の反応生成物又はエチレンチオ尿素とホルムアルデヒド
との反応生成物、又は 2-ピペラジニレン-4-モルホリノ
-1,3,5-トリアジンのオリゴマーもしくはポリマー並び
に2-ピペラジニレン-4-ピペリジノ-1,3,5-トリアジンの
オリゴマーもしくはポリマーは例えば以下の方法によっ
て得ることができる。
【0037】エチレンチオ尿素とホルムアルデヒドとの
反応生成物を得るには、エチレンチオ尿素の50gを1
の量の水に溶解し、希酸(例えば硫酸又は燐酸)を混合
することによって溶液中のpHを2に調整する。該反応液
を90℃に加熱し、濃度37重量%のホルムアルデヒド
の水性溶液をエチレンチオ尿素溶液に対して、「CH2
O/エチレンチオ尿素」のモル比が2に等しくなるまで
滴下し、90℃に保ちながら強力に攪拌する。非常に細
かい粉末の形で得られた沈殿物をろ過し、水で洗浄し
て、次に乾燥することによって目的物を得ることができ
る。また、エチレン尿素とホルムアルデヒドとの反応生
成物を得る場合にも、上記と同様の方法を適用すること
ができる。
【0038】2-ピペラジニレン-4- モルホリノ-1,3,5-
トリアジンのオリゴマーもしくはポリマーを得るには、
次の様に操作する:等モルの2,6-ジハロ-4-モルホリノ-
1,3,5-トリアジン(例えば2,6-ジクロロ-4-モルホリノ-
1,3,5-トリアジンもしくは2,6-ジブロモ-4-モルホリノ-
1,3,5-トリアジン)とピペラジンとを有機塩基(例えば
トリエチルアミン、トリブチルアミン)又は無機塩基
(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又は炭酸
ナトリウム等)の共存下に、キシレン等の不活性溶媒中
で加熱下、好ましくは該不活性溶媒の沸点以下で反応さ
せる。反応終了後、該反応混合物をろ過して固形物を分
離し、該固形物を沸騰水で洗浄して副生物の塩を該沸騰
水に溶解して除去したのち、残存する固形物を乾燥す
る。反応終了後に、該反応混合物をろ過して固形物を分
離し、次に該固形物を沸騰水で洗浄して副生物の塩を該
沸騰水に溶解して除去した後、残存する固形物を乾燥す
る。
【0039】得られた1,3,5-トリアジン誘導体のの性状
は以下の通りである: ・溶解性:水及び通常の有機溶剤に不溶; ・融点 :なし(分解点310℃付近); ・嵩密度:0.3g/cc ; ・名称 :2-ピペラジニレン-4-モルホリノ-1,3,5-トリ
アジンのポリマー; ・構造式:下記(「化6」)の通り
【0040】
【化6】
【0041】本発明の組成物に含有され得る伸展油(展
開油)はパラフィン系、ナフテン系又は芳香族系の何れ
でも良い。これらの中でも、パラフィン系プロセスオイ
ルが最適である。パラフィン系伸展油は色相及び臭い等
の点で好ましい。
【0042】伸展油の添加量はポリマーブレンド100
重量部に対して0〜100重量部、好ましくは0〜5
0重量部である。柔軟性を重視する用途においては10
0重量部を超えて配合しても差支え無い。しかし、11
0重量部以上を配合すると、強度を却って低下させる外
に難燃性低下を来す。
【0043】本発明の組成物にあっては、ポリオレフィ
ン樹脂に通常添加される各種の添加剤例えば酸化防止
剤、帯電防止剤、銅害防止剤、滑剤、中和剤(ステアリ
ン酸金属塩、ハイドロタルサイトもしくはマナセアイト
等)又は顔料等を併用することができる。
【0044】
【実施例】本発明の難燃性ポリオレフィン樹脂組成物は
例えば、次のような手順によって作成することができ
る。 <好適な実施態様>以下に、実施例及び比較例を用いて
本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定され
るものではない。実施例及び比較例において行なった評
価は次の方法によった。 1)難燃性 ULサブジェクト94(アンダーライター
・ラボラトリーズインコーポレーテッド)の「機器の部
品用プラスチック材料の燃焼試験」に規定された垂直燃
焼試験に準拠。試験片の肉厚1.6mm。 2)MFR JIS K7210 に準拠 温度:230℃ 荷重:10kgf 単位:g/10min 。 3)100%永久伸び(%) 試験機:商品名「テンシロンUTM-1 型」 試験片:JIS K7113 I 号試験片 チャック間:115mm 標線間:50mm 引張速度:200mm/min 。 標線間が100mm に達した時点で10min 間保持後、
チャックを開放し、10min 間静置後に標線間の長さを
測定して永久伸びを算出した。 4)引張破断点応力及び伸び 試験機:商品名「ストログラフWI型」 試験片:JIS K7113 I 号試験片 チャック間:115mm 標線間:50mm 引張速度:50mm/min 単位:応力 kgf/cm2 5)100%伸び応力 100%永久伸び測定時に100%伸張時の応力から算
出した。 単位:kgf/cm2 6)曲げ弾性率 試験機:商品名「テンシロンSTM-T-100 型」 JIS K7203 に準拠 単位:kgf/cm2 7)酸素指数(O. I. ) 所定の試験条件下において、材料が燃焼を持続する為に
必要な酸素と窒素との混合気体の容量%で表される最低
酸素濃度の数値であり、この値が大きな程、難燃性に優
れていることになる。 8)全毒性係数(I. T. ) ΣCn /Cf で求められる。 Cn :成分ガス濃度である。 Cf :人間が当該ガスに30min 間曝露された際の致死
濃度。 得られたペレットのMFRを測定後、続いて射出成形機
「商品名:IS-100 (東芝機械社製)」を用いて物性評価
用の試験片を射出成形した(射出温度200℃;金型温
度50℃)。
【0045】また、商品名「ラボプラストミル」で作成
した試料を熱プレスして試験片を作成した。得られた試
験片を用いて前記1)〜8)の測定及び評価を実施し
た。
【0046】
【実施例1】ハードセグメントとして、結晶性プロピレ
ン−エチレンブロック共重合体[エチレン成分含有量
7.5 重量%、MFR(温度230 ℃;荷重2.16kgf)0.
60g/10min]2.5kg 及びソフトセグメントとして、
エチレン−プロピレン-5-エチリデン-2-ノルボルネン共
重合体エラストマー[エチレン成分含有量74重量%、
ムーニー粘度[ML1+4(100℃)]88; エチリデンノルボ
ルネン成分含有量(沃素価で15)]2.5kg に対し
て、有機ラジカル発生剤として2,5-ジ(t-ブチルパーオ
キシ)ヘキサン50g 、加工安定剤としてフェノール系
安定剤[商品名:IrganoX1010(チバ・ガイギー社製)]
5g、他種のフェノール系安定剤(BHT)5g 及びステアリ
ン酸カルシウム5gを添加し、ヘンシェル・ミキサーで
10min 間撹拌混合した。得られた混合物を二軸押出機
[L/D=30; 商品名:PCM-45(池貝鉄工社製)]に装入
して180℃において溶融混練及び押出し、ミストカッ
ター[商品名:ミストカッターペレタイザーPHR100(池
貝鉄工社製)]を用いてペレット化した。
【0047】得られたペレット3.5kgにポリ燐酸アン
モニウム[商品名:Exolit422(ヘキスト社製)]1kg
及び窒素含有複素環状有機化合物として2-ピペジニレン
-4-モルホリノ-1,3,5-トリアジンのポリマー(n=11)
0.5kg を添加してタンブラー・ミキサーで混合後に、
スクリュー押出機で押出して最終的な部分架橋オレフィ
ン系熱可塑性エラストマーの難燃性組成物を得た。
【0048】得られたペレットの MFRを測定後、射
出成形機[商品名:IS-100(東芝機械社製)]を用いて
物性評価用の試験片を射出成形した(シリンダー温度2
00℃;金型温度50℃)。作成された試験片を用いて
前記の評価を実施した。
【0049】
【実施例2】押出機[L/D=30; 商品名:PCM-45(池貝鉄
工社製)]の2個の原料供給口の上流側から見て、供給
口1から表1記載のソフトセグメント2.5kg 及びハー
ドセグメント2kg を、供給口2からハードセグメント
0.5kg及び有機ラジカル発生剤[2,5-ジメチル-2,5-ビ
ス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン]50gを供給して
溶融混練及び押出してペレット化した。得られたペレッ
ト3.5kgにポリ燐酸アンモニウム(A)1kg及び窒素含有
複素環状化合物[2-ピペラジニレン-4-モルホリノ-1,3,
5-トリアジン(n=11)](B)0.5kgを加えてタンブラー
・ミキサーで10min 間混合し、二軸押出機で押出して
最終的な部分架橋オレフィン系熱可塑性エラストマーの
難燃性組成物を得た。
【0050】
【実施例3】押出機[L/D=44;商品名:PCM-45(池貝鉄
工社製)]の原料供給口1から表1に記載のソフトセグ
メント及びハードセグメントを、供給口2からハードセ
グメント、有機ラジカル発生剤、添加剤(A) 及び添加剤
(B)を供給し、溶融混練(温度200℃)の後に押出し
て、最終的な部分架橋オレフィン系熱可塑性エラストマ
ーの難燃性組成物を得た。
【0051】
【実施例4】混合手段として、商品名「ラボプラストミ
ル30C150ミキサーB75」(東洋精機社製)を用いて表1
に記載のソフトセグメント42重量部、ハードセグメン
ト21重量部を投入し、混練した(温度200℃;3mi
n)。引続きハードセグメント7重量部、有機ラジカル
発生剤[2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキ
シ)ヘキサン]1.0部、ポリ燐酸アンモニウム20重
量部及び窒素含有複素環状化合物[2-ピペラジニレン-4
-モルホリノ-1,3,5-トリアジン(n=11)]10重量部を
投入し、更に5min 間混練した後、熱プレスで成形し
た。
【0052】
【実施例5】混合手段として、商品名「ラボプラストミ
ル30C150ミキサーB75」(東洋精機社製)を用いて表1
に記載のソフトセグメント42重量部、ハードセグメン
ト28重量部及び有機ラジカル発生剤[2,5-ジメチル-
2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン]1.0部、
ポリ燐酸アンモニウム(A)20部及び窒素含有複素環状
化合物[2-ピペラジニレン-4-モルホリノ-1,3,5−トリ
アジン(n=11)](B)10部を投入し、温度200 ℃で5
min間混練した後に、熱プレスで成形した。
【0053】
【実施例6】混合手段として、商品名「ラボプラストミ
ル30C150ミキサーB75」(東洋精機社製)を用い表2に
記載のソフトセグメント51重量部、ハードセグメント
34重量部を投入し、混練した(温度200℃;3mi
n)。引続き有機ラジカル発生剤[2,5-ジメチル-2,5-ビ
ス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン]1.0部、ポリ燐
酸アンモニウム(A)10部及び窒素含有複素環状化合物
[2-ピペラジニレン-4-モルホリノ-1,3,5-トリアジン(n
=11)](B)5部を投入し、更に5min間混練した後、熱
プレスで成形した。
【0054】
【実施例7】混合手段として、商品名「ラボプラストミ
ル30C150ミキサーB75」(東洋精機社製)を用い、表2
に記載のソフトセグメント53.7重量部、ハードセグ
メント35.8重量部を投入し、混練した(温度200
℃;3min)。引続き有機ラジカル発生剤[2,5-ジメチ
ル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン]1.0
部、ポリ燐酸アンモニウム(A)7部及び窒素含有複素環
状化合物[2-ピペラジニレン-4-モルホリノ-1,3,5-トリ
アジン(n=11)](B)3.5部を投入し、更に5min間混練
した後、熱プレスで成形した。
【0055】
【実施例8】混合手段として、商品名「ラボプラストミ
ル30C150ミキサーB75」(東洋精機社製)を用いて表2
に記載のソフトセグメント42重量部、ハードセグメン
ト28重量部及び伸展油[商品名:出光ダイアナプロセ
スオイルPS-430(出光興産社製)](F)10部を投入
し、混練した(温度200℃;3min)。引続き有機ラ
ジカル発生剤[2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパー
オキシ)ヘキサン]1.0部、ポリ燐酸アンモニウム(A)
20部及び窒素含有複素環状化合物[2-ピペラジニレン
-4-モルホリノ-1,3,5-トリアジン(n=11)](B)10部を
投入し、更に5min間混練した後、熱プレスで成形し
た。
【0056】
【比較例1】実施例3の成分の中で、ポリ燐酸アンモニ
ウム(A) 及び窒素含有複素環状化合物[2-ピペラジニレ
ン-4-モルホリノ-1,3,5-トリアジン](B) に代えてデカ
ブロモジフェニルエーテル20部及び三酸化アンチモン
8部を配合した以外には、実施例3に準拠して試料片を
作成した。
【0057】実施例3の燃焼ガス及び比較例1の燃焼ガ
スとの分析結果を表3に示す。この実験においては、試
料1g を空気流速120リットル/minの条件下に800℃で
20min 間燃焼させた。
【0058】この表によれば、本発明の難燃性組成物は
ハロゲン化水素を発生させず、全毒性指数(I.T.)の
値もハロゲン系難燃剤を配合した組成物の場合に比し
て、格段に低い。また、本発明の難燃性組成物は酸素指
数の値からも、難燃性能に優れたものであることが判
る。
【0059】
【発明の効果】本発明の難燃処方によれば、特に車両等
の内装材、カーペット等の多くの分野の用途に有用なオ
レフィン系熱可塑性エラストマーの難燃性組成物を提供
することができる。特に、ポリプロピレン系樹脂をハー
ドセグメントとし、エチレン−プロピレン系エラストマ
ーをソフトセグメントとする基材からなる難燃性組成物
はハロゲン化水素等を発生せず、しかも全毒性指数を低
く抑えた難燃性組成物を形成することができる。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オレフィン系熱可塑性エラストマー9
    5.5〜65重量部に対して、下記成分(A) 及び(B) か
    らなる 各添加成分を下記の量で配合して合計を全体で
    100重量部としたオレフィン系熱可塑性エラストマー
    の難燃性組成物:(A)ポリ燐酸アンモニウム
    3 〜25重量部、(B)下記の群から選ばれる1
    種以上 1.5 〜10重量部、 2個以上の窒素原子を環内に含有する五員以上の複素
    環からなる環状ケトンとホルムアルデヒドとの反応生成
    物群、 2個以上の窒素原子を環内に含有する五員以上の複素
    環からなる環状チオケトンとホルムアルデヒドとの反応
    生成物群又は 下記の一般式(「化1」)で表わされる構造を含有す
    る1,3,5-トリアジン誘導体群 【化1】 [式中、Xはモルホリノ基もしくはピペリジノ基、Yは
    ピペラジンから誘導される2価の基、nは1以上の正数
    である]。
  2. 【請求項2】 2個以上の窒素原子を環内に含有する五
    員以上の複素環からなる環状ケトンがエチレン尿素であ
    るか、2個以上の窒素原子を環内に含有する五員以上の
    複素環からなる環状チオケトンがエチレンチオ尿素であ
    るか、上記の「化1」で表わされる構造を含有する1,3,
    5-トリアジン誘導体がピペリジノ基もしくはモルホリノ
    基の何れかと結合すると共に、2個以上の1,3,5-トリア
    ジン環が2価のピペラジン基によって相互に結合された
    構造のものであることを特徴とする請求項1に記載の難
    燃性組成物。
  3. 【請求項3】 伸展油がパラフィン系プロセスオイルで
    あることを特徴とする請求項1に記載の難燃性組成物。
  4. 【請求項4】 オレフィン系熱可塑性エラストマーがハ
    ードセグメントとして、ポリプロピレン系樹脂成分20
    〜60重量%並びにソフトセグメントとして、エチレン
    ・プロピレン共重合体エラストマー成分及び/又はエチ
    レン・プロピレン・ジエン共重合体エラストマー成分8
    0〜40重量%(ハードセグメントの量及びソフトセグ
    メントの量の和が95.5〜65重量部になる様に選
    ぶ)を含有するものである請求項1に記載の難燃性組成
    物。
  5. 【請求項5】 ポリプロピレン系樹脂が結晶性プロピレ
    ン単独重合体、プロピレンを主成分とするプロピレンと
    エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、
    4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテ
    ン、1−デセンの中から選ばれた1以上との結晶性共重
    合体もしくはこれらの2以上の混合物である請求項1に
    記載の難燃性組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の難燃性組成物からなる
    内装材、天井材又はカーペット等。
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