JPH0532873U - 金属積層ガスケツト - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 締め代による当り幅の変化を抑制してシール
性の安定化を図ると共に、フランジの変形に対する追従
性を向上し、シール面圧の低下による流体の洩れを防止
する。 【構成】 二枚の表面プレート４間に、平板部３ａに対
し断面略矩形状のビード部３ｂを突出せしめたビードプ
レート３を複数段に積層すると共に、該ビードプレート
３間にインナプレート６を介在せしめて金属積層ガスケ
ット５を構成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、金属積層ガスケットに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、図４（ａ）、図５（ａ）に示される如く、高温の流体、例えば、自動 車エンジンの排ガス等を流す管路１を接続するためのフランジ２の間には、平板 部３ａに対し断面円弧状のビード部３ｂを突出せしめたビードプレート３を二枚 の表面プレート４間に介在せしめて一体化した金属積層ガスケット５を設け、前 記ビードプレート３の弾性を利用してシール面圧を確保しようとすることが行わ れている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、前述の如き金属積層ガスケット５では、図５（ａ）に示される 如く、自由時においては、表面プレート４に対するビード部３ｂの接触状態が線 接触であり、締付時には図５（ｂ）に示される如く面接触となるものの、締め代 により当り幅は大きく変化するため、シール性が非常に不安定であると共に、図 ５（ｂ）に示される如く、弾性変形量Ａが小さいため、図４（ｂ）に示される如 く、高温の流体の熱によりフランジ２が熱変形し初期の平面度が失われると、該 フランジ２の熱変形に対し金属積層ガスケット５が追従しきれなくなり、シール 面圧が低下し、管路１を流れる流体が洩れることがあった。

【０００４】 又、管路１に対しフランジ２を溶接により取付けるものでは、溶接熱によりフ ランジ２が熱変形し初めから平面度が失われている場合もあり、このような場合 には、管路１を流れる流体の温度にかかわらず、シール面圧を確保できず、流体 の洩れが発生する虞れがあった。

【０００５】 本考案は、斯かる実情に鑑み、締め代による当り幅の変化を抑制してシール性 の安定化を図り得ると共に、フランジの変形に対する追従性を向上し得、シール 面圧の低下による流体の洩れを防止し得る金属積層ガスケットを提供しようとす るものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は、二枚の表面プレート間に、平板部に対し断面略矩形状のビード部を 突出せしめたビードプレートを該ビードプレート間にインナプレートを介在せし めて複数段積層して成ることを特徴とするものである。

【０００７】

【作用】

従って、自由時において、表面プレートに対するビード部の接触状態は既に面 接触となっており、締付時においても面接触となり、締め代により当り幅はほと んど変化しないため、シール性が非常に安定すると共に、金属積層ガスケットの 弾性変形量が大きく且つビードプレートの積層状態が安定しているため、金属積 層ガスケットが介装されるフランジが高温の流体の熱により熱変形し初期の平面 度が失われても、或いは、初めからフランジの平面度が失われていても、該フラ ンジの熱変形に対し金属積層ガスケットが追従することが可能となり、シール面 圧が低下せず、流体の洩れが発生しない。

【０００８】

【実施例】

以下、図面に基づいて本考案の実施例を説明する。

【０００９】 図１（ａ）（ｂ）、図２（ａ）（ｂ）は本考案の一実施例であり、二枚の表面 プレート４間に、平板部３ａに対し断面略矩形状のビード部３ｂを突出せしめた ビードプレート３を複数段（図の例では二段）に積層すると共に、該ビードプレ ート３間にインナプレート６を介在せしめ、更に前記ビード部３ｂの左右両側部 における平板部３ａと表面プレート４との間にスペーサ７を介在せしめて金属積 層ガスケット５を構成し、該金属積層ガスケット５を管路１を接続するためのフ ランジ２の間に設ける。

【００１０】 前述の如く構成したので、図２（ａ）に示す如く、自由時において、表面プレ ート４に対するビード部３ｂの接触状態は既に面接触となっており、締付時にお いても図２（ｂ）に示す如く面接触となり、しかも、スペーサ７を介在させてい ることによりビード部３ｂがつぶれすぎることが予防され、締め代により当り幅 はほとんど変化しないため、シール性が非常に安定すると共に、図２（ｂ）に示 す如く、弾性変形量ＢがＢ＞Ａとなって大きくなるため、図１（ｂ）に示す如く 、高温の流体の熱によりフランジ２が熱変形し初期の平面度が失われても、該フ ランジ２の熱変形に対し金属積層ガスケット５が追従することが可能となり、シ ール面圧が低下せず、管路１を流れる流体が洩れることがなくなる。

【００１１】 又、管路１に対しフランジ２を溶接により取付けるものにおいて、溶接熱によ りフランジ２が熱変形し初めから平面度が失われている場合であっても、本実施 例の金属積層ガスケット５を使用すれば、シール面圧を確保でき、流体の洩れが 発生しない。

【００１２】 尚、仮に、図３（ａ）に示す如く、二枚の表面プレート４間に単にビードプレ ート３を積層して金属積層ガスケット５を構成し、インナプレート６を省略した 場合、該金属積層ガスケット５を締付けると、図３（ｂ）に示す如く、ビードプ レート３が押し潰されてその積層状態が崩れてしまうが、本実施例においては、 図１（ａ）（ｂ）、図２（ａ）（ｂ）に示す如く、ビードプレート３間にインナ プレート６を介在させているため、金属積層ガスケット５締付時におけるビード プレート３の崩れを防止することができる。

【００１３】 尚、本考案の金属積層ガスケットは、上述の実施例にのみ限定されるものでは なく、本考案の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論 である。

【００１４】

【考案の効果】 以上説明したように、本考案の金属積層ガスケットによれば、締め代による当 り幅の変化を抑制してシール性の安定化を図り得ると共に、フランジの変形に対 する追従性を向上し得、シール面圧の低下による流体の洩れを防止し得るという 優れた効果を奏し得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）は本考案の一実施例においてフランジが
熱変形する前の状態を表わす全体側断面図であり、
（ｂ）はフランジが熱変形した後の状態を表わす全体側
断面図である。

【図２】（ａ）は本考案の一実施例の締付前の自由時を
表わす要部拡大側断面図であり、（ｂ）は締付時を表わ
す要部拡大側断面図である。

【図３】（ａ）は本考案の一実施例においてインナプレ
ートを省略した場合の締付前の自由時を表わす要部拡大
側断面図であり、（ｂ）は締付時を表わす要部拡大側断
面図である。

【図４】（ａ）は従来例においてフランジが熱変形する
前の状態を表わす全体側断面図であり、（ｂ）はフラン
ジが熱変形した後の状態を表わす全体側断面図である。

【図５】（ａ）は従来例の締付前の自由時を表わす要部
拡大側断面図であり、（ｂ）は締付時を表わす要部拡大
側断面図である。

【符号の説明】

３ ビードプレート ３ａ 平板部 ３ｂ ビード部 ４ 表面プレート ５ 金属積層ガスケット ６ インナプレート

フロントページの続き (72)考案者 本村 優 東京都日野市日野台３丁目１番地１ 日野 自動車工業株式会社内 (72)考案者 相沢 収 東京都千代田区神田佐久間町３丁目21番地 17 株式会社丸三パツキング製作所内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 二枚の表面プレート間に、平板部に対し
   断面略矩形状のビード部を突出せしめたビードプレート
   を該ビードプレート間にインナプレートを介在せしめて
   複数段積層して成ることを特徴とする金属積層ガスケッ
   ト。