JPH0532653Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、スクイーズフイルム軸受構造に係
り、特に、高振動荷重に適したスクイーズフイル
ム軸受構造に関する。

〔従来の技術〕

スクイーズフイルム軸受は、回転軸を直接支持
する軸受と固定面との間に高圧な流体膜を形成し
て、この流体膜圧力により回転を支持する方式の
軸受であり、特に振動を低減させる特長があり、
ターボ圧縮機、ターボ膨張器、ターボチヤージ
ヤ、ターボ冷凍機等の高速回転軸の軸受として極
めて有効なものである。

ここで、従来のスクイーズフイルム軸受を添付
図面に基づいて説明する。

第４図に示す如く、１は回転軸であり、この回
転軸１はころがり軸受２により支持されている。
このころがり軸受２の外輪３には、円環状の外輪
支持リング４がこれと一体的に取付けられてい
る。この外輪支持リング４は、軸方向に沿つて配
置されると共に、軸周方向に沿つて適宜間隔で設
けられた複数のバネピン５を介して軸受ケース６
の支承面７に支持されている。支承面７には、給
油穴８から給油を施すようになつている。そし
て、バネピン５の中央部が外方に屈曲することに
よりバネ機能を発揮し、また、これに押されて僅
かに上下動することにより、支承面７にスクイー
ズ効果による流体圧力が発生するようになつてい
る。

また、第５図に示す従来例の場合は、外輪支持
リング４の外周面に、支承面７に形成した給油穴
８から直接給油を施してこの部分にスクイーズ作
用を生ぜしめ、更に、外輪支持リング４つてから
軸の長さ方向に沿つて複数の板バネ９を延出させ
てこの端部を固定体１０に取付けることにより板
バネ９にバネ作用を発揮させるようになつてい
る。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところで、上記従来例にあつては、ともにバネ
作用及びスクイーズ作用を同時に発揮し得るもの
である。しかしながら、両実施例ともにスクイー
ズ作用において間隙の大きさに限度があり、たと
えば、回転数100000rpmという高速回転機におい
て非常に大きな振動荷重が発生し、軸受がスクイ
ーズ膜の間隙いつぱいに振れて回転するような場
合には、有効な減衰効果を発揮することができ
ず、高振動荷重の軸受には不適当という問題点が
あつた。

〔考案の目的〕

本考案は、以上のような問題点に着目し、これ
を有効に解決すべく創案されたもので、その目的
は、高荷重振動に対しても安定した減衰能力を発
揮し得るスクイーズフイルム軸受構造を提供する
ことにある。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は補正したとおり、回転軸に取付けられ
た軸受の外輪支持リングと、該外輪を支持リング
を覆うべく設けられた軸受ケースの支承面との間
に間隙を形成して、流体膜圧により上記外輪支持
リングを支承面上に支持させるスクイーズフイル
ム軸受構造において、上記間隙に、上記回転軸の
振動を吸収しつつこれを上記支承面上に支持すべ
く周方向に沿つて適宜間隔をもつてエツチングに
より形成した複数の凹部を設けると共に、該凹部
に小孔を設けたフイルムダンパを前記外輪支持リ
ングを囲繞するように複数層配設し、上記支承図
には前記フイルムダンパの小孔に対応して油溝を
環状に形成したことを要旨とする。

〔実施例〕

以下に、本考案の好適一実施例を添付図面に基
づいて詳述する。

第１図は本考案の好適一実施例を示す縦断面
図、第２図は第１図のＡ−Ａ矢視断面図、第３図
はフイルムダンパを示す斜視図である。

図示する如く１はターボ圧縮機等の回転軸であ
り、この回転軸１の外周には、これより適宜間隔
隔てられてこれを囲繞するように環状の固定側の
軸受ケース１１が設けらている。

回転軸１には、球軸受の如きころがり軸受２が
圧入されて固定されており、その内輪２ａが回転
軸１と一体的に回転するようになつている。

軸受２の外輪３は、その外周を環状の外輪支持
リング４により保持されており、外輪支持リング
４は軸の長さ方向に延出した複数の板バネ９を介
して固定体１０に固定されている。

外輪支持リング４の外周面は、上記軸受ケース
１１の内周面、すなわち支承面１２と一定の間隙
１３を形成するように配置され、支承面１２には
給油口１４から給油された油を全周へ導く油溝１
５が設けられている。

そして、支承面１２と外輪支持リング４の外周
面との間〓１３に本考案の特長とするフイルムダ
ンパ１７が周方向にわん曲させて２枚２重に介設
されており、その側部にはダンパの脱落を防止す
るために、ダンパ抜け止め１６が取付けられてい
る。

上記フイルムダンパ１７は、第３図斜視図に示
すように軸周方向、すなわちダンパの長手方向に
沿つて一方の面に交互に配置された凹部１８、凸
部１９が適宜間隔で連続的に形成され、凹部１８
には小孔２０が穿設されている。

上記凹部１８を形成するためには、帯状の金属
の両面に所定の模様を描き、凹部に相当する不必
要部分を化学的方法により取り除くフオトエツチ
ングなどを用い、不要部分を取り除いて必要部分
のみを残すことにより凹部１８を形成する。

次に、以上のように構成された本考案の作用に
ついて述べる。

回転軸１が回転すると、これに一体的に取付け
たころがり軸受２の内輪２ａも一体的に回る。と
ころで、外輪３及び外輪支持リング４は回転しな
いように回り止めが設けられている。

ここで、フイルムダンパ１７には給油口１４か
ら潤滑油が油溝１５を経て供給されており、これ
が、フイルムダンパ１７の外周面に均等に配分さ
れ、フイルムダンパ１７の小孔２０を経て凹部１
８内を流れ、外輪支持リング４と軸受ケース１１
あるいはダンパ抜け止め１６とのスキマを通つて
外部へ排出される。

回転軸１から軸受２に力が伝達されると、この
力は外輪支持リング４に延出して取付けられた板
バネ９のバネ作用により一部吸収される一方、フ
イルムダンパ１７の周囲を流れる潤滑油（油膜）
に伝えられ、フイルムダンパ１７の凹部１８内を
流れる油膜に圧力が生じ、この油膜圧力（流体膜
圧）によりスクイーズ作用が生じて減衰効果が発
揮されることになる。凹部１８には適宜小孔２０
を設けて油の流れをよくし応答を迅速にする。

また、このスクイーズ作用は、フイルムダンパ
１７に設けた凹部１８内の油膜により生ずるので
ダンパ１７の枚数を増せば、多層に区画されるた
めスクイーズ作用は倍加され、その減衰効果は更
に大きくなる。

この時の減衰効果の大きさは、フイルムダンパ
の枚数、凹部の深さ、個数、幅等を適宜選択する
ことにより所望の値を得ることができる。

なお、上記実施例においては、凹部をフイルム
ダンパ１７の内周面に形成するようにしたが外周
面に設けるようにしてもよい。

また、フイルムダンパ１７をエンドレス状に成
形したものを用いたが周端部を一部重ね合せるよ
うにして帯状のものを装填してもよい。

また、フイルムダンパ１７を２枚用いた場合を
示したが、これに限らず多数枚積層し用いてもよ
い。

〔考案の効果〕

以上のように構成したので、本考案によれば次
のような優れた効果を発揮する。

(1) フイルムダンパにより複数層に区画してスク
スーズ作用を効果的に発揮させるように構成し
たので、高振動荷重の軸受にも使用可能であ
る。

(2) フイルムダンパの一方の面に凹凸部を設ける
構成であるので、簡単な構成で効果的に減衰作
用を発揮させることができる。

(3) 前項の凹凸部はエツチングで形式するので容
易に製作できる。

(4) また、凹部に小孔を設け、該小孔に対応して
軸受ケースの支承面に環状の油溝を設けたの
で、油が該凹部に容易に到達し圧力の均一化が
迅速に行え、応答も迅速にすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の好適一実施例を示す縦断面
図、第２図は第１図のＡ−Ａ矢視断面図、第３図
はフイルムダンパを示す斜視図、第４図及び第５
図は従来のスクイーズフイルム軸受構造を示す縦
断面図である。 尚、図中１は回転軸、２は軸受（ころがり軸
受）、３は外輪、４は外輪支持リング、５はバネ
ピン、６は軸受ケース、７は支承面、８は給油
穴、９は板バネ、１０は固定体、１１は軸受ケー
ス、１２は支承面、１３は間〓、１４は給油口、
１５は油溝、１６はダンパ抜け止め、１７はフイ
ルムダンパ、１８は凹部、１９と凸部、２０は小
孔である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 回転軸に取付けられた軸受の外輪支持リング
   と、該外輪支持リングを覆うべく設けられた軸受
   ケースの支承面との間に間隙を形成して、流体膜
   圧により上記外輪支持リングを支承面上に支持さ
   せるスクイーズフイルム軸受構造において、上記
   間隙に、上記回転軸の振動を吸収しつつこれを上
   記支承面上に支持すべく周方向に沿つて適宜間隔
   をもつてエツチングにより形成した複数の凹部を
   設けると共に、該凹部に小孔を設けたフイルムダ
   ンパを前記外輪支持リングを囲繞するように複数
   層配設し、上記支承面には前記フイルムダンパの
   小孔に対応して油溝を環状に形成したことを特徴
   とするスクイーズフイルム軸受構造。