JPH0532583A - ソルビン酸又はその塩の製造法 - Google Patents
ソルビン酸又はその塩の製造法Info
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- JPH0532583A JPH0532583A JP21473291A JP21473291A JPH0532583A JP H0532583 A JPH0532583 A JP H0532583A JP 21473291 A JP21473291 A JP 21473291A JP 21473291 A JP21473291 A JP 21473291A JP H0532583 A JPH0532583 A JP H0532583A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は、クロトンアルデヒドとケテンとの
重合反応生成物であるポリエステルから、ソルビン酸又
はそのアルカリ塩を工業的に有利に製造する方法を提供
する。 【構成】(A)上述のポリエステルを低級アルコールの
存在下に希薄な酸で分解する工程、(B)前記の(A)
工程の分解液を蒸留する工程、(C)水と低級アルコー
ルとの混合溶媒中で、前記の(B)工程の目的留分をア
ルカリでアルカリ塩完全中和物とする工程、(D)前記
の(C)工程のアルカリ塩溶液をアルカリの存在下に低
級アルコールを留去しながら加熱し、異性化する工程か
らなることを特徴とする。 【効果】(C)工程で、2,4−ヘキサジエン酸異性体
類を完全にアルカリ塩にした後にソルビン酸へ異性化す
ることによって、ハルツ分を少なくし、ソルビン酸又は
その塩の収率を向上させる。
重合反応生成物であるポリエステルから、ソルビン酸又
はそのアルカリ塩を工業的に有利に製造する方法を提供
する。 【構成】(A)上述のポリエステルを低級アルコールの
存在下に希薄な酸で分解する工程、(B)前記の(A)
工程の分解液を蒸留する工程、(C)水と低級アルコー
ルとの混合溶媒中で、前記の(B)工程の目的留分をア
ルカリでアルカリ塩完全中和物とする工程、(D)前記
の(C)工程のアルカリ塩溶液をアルカリの存在下に低
級アルコールを留去しながら加熱し、異性化する工程か
らなることを特徴とする。 【効果】(C)工程で、2,4−ヘキサジエン酸異性体
類を完全にアルカリ塩にした後にソルビン酸へ異性化す
ることによって、ハルツ分を少なくし、ソルビン酸又は
その塩の収率を向上させる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、クロトンアルデヒドと
ケテンとの重合反応生成物であるポリエステルから、ソ
ルビン酸またはそのアルカリ塩を工業的に有利に製造す
る方法に関するものである。
ケテンとの重合反応生成物であるポリエステルから、ソ
ルビン酸またはそのアルカリ塩を工業的に有利に製造す
る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ソルビン酸またはその塩は、抗微生物作
用を有するため、食品等の保存剤として有用である。ソ
ルビン酸の製造法としては種々の方法が知られている
が、以下に述べるように、クロトンアルデヒドをケテン
と反応させることにより中間体としてのβ−ラクトンを
経てポリエステルを得、ついでこのポリエステルを酸で
分解してソルビン酸を得るルートが工業的には重要であ
る。ポリエステルの製造に関し、本出願人の出願にかか
る特公昭42−13849号公報には、クロトンアルデ
ヒドとケテンとを反応させる際の反応触媒として亜鉛、
酸化亜鉛、カドミウムまたはニッケルを用いることが示
されており、同じく本出願人の出願にかかる特公昭45
−9368号公報には、反応触媒として銅、酸化銅また
はコバルトを用いる方法が示されている。
用を有するため、食品等の保存剤として有用である。ソ
ルビン酸の製造法としては種々の方法が知られている
が、以下に述べるように、クロトンアルデヒドをケテン
と反応させることにより中間体としてのβ−ラクトンを
経てポリエステルを得、ついでこのポリエステルを酸で
分解してソルビン酸を得るルートが工業的には重要であ
る。ポリエステルの製造に関し、本出願人の出願にかか
る特公昭42−13849号公報には、クロトンアルデ
ヒドとケテンとを反応させる際の反応触媒として亜鉛、
酸化亜鉛、カドミウムまたはニッケルを用いることが示
されており、同じく本出願人の出願にかかる特公昭45
−9368号公報には、反応触媒として銅、酸化銅また
はコバルトを用いる方法が示されている。
【0003】特公昭45−5789号公報には、クロト
ンアルデヒド・ケテン付加反応物を得る際の反応触媒と
して亜鉛アセチルアセトナートまたはその錯塩を用いる
方法が示されており、同様に特公昭45−36315号
公報には、反応触媒としてアセチルアセトンのカドミウ
ム錯塩を用いることが示されている。上に引用した文献
の中で言及されている従来法によれば、クロトンアルデ
ヒドとケテンとを反応させる際の反応触媒として、従来
は三フッ化ホウ素、塩化亜鉛、フリーデルクラフツ型触
媒、イソ吉草酸亜鉛、イソ酪酸亜鉛、ステアリン酸コバ
ルト、炭素数4〜18の脂肪族のニッケル・亜鉛・コバ
ルト塩、2価の遷移金属の脂肪酸塩、炭素数3以下の有
機酸の亜鉛塩、ソルビン酸亜鉛などが提案されていたこ
とがわかる。
ンアルデヒド・ケテン付加反応物を得る際の反応触媒と
して亜鉛アセチルアセトナートまたはその錯塩を用いる
方法が示されており、同様に特公昭45−36315号
公報には、反応触媒としてアセチルアセトンのカドミウ
ム錯塩を用いることが示されている。上に引用した文献
の中で言及されている従来法によれば、クロトンアルデ
ヒドとケテンとを反応させる際の反応触媒として、従来
は三フッ化ホウ素、塩化亜鉛、フリーデルクラフツ型触
媒、イソ吉草酸亜鉛、イソ酪酸亜鉛、ステアリン酸コバ
ルト、炭素数4〜18の脂肪族のニッケル・亜鉛・コバ
ルト塩、2価の遷移金属の脂肪酸塩、炭素数3以下の有
機酸の亜鉛塩、ソルビン酸亜鉛などが提案されていたこ
とがわかる。
【0004】上記ポリエステルを酸で分解してソルビン
酸とする方法としては、従来、濃塩酸で熱分解する方法
が行われてきたが、タール状のハルツが多く生成すると
いう問題を生じるので、本出願人は特開平2−9103
9号公報で、該ポリエステルをアルコールで分解する方
法、即ちポリエステルを低級アルコールの存在下に希薄
な酸で分解する方法を提案した。従来の濃塩酸法では加
水分解反応、異性化反応および脱水反応が連続して進行
するので、反応生成液中に2,4−ヘキサジエン酸の種
々の異性体が存在していてもソルビン酸(2,4−ヘキ
サジエン酸のトランス−2,トランス−4型異性体)が
かなり多量に生成しているので、これを単離すれば工業
的には充分採算がとれるのであるが、前記アルコール分
解法では分解液中の異性体化合物におけるソルビン酸の
含量が少ないので、分解液に酸又はアルカリを加えて異
性化反応を行うことが必要となる。
酸とする方法としては、従来、濃塩酸で熱分解する方法
が行われてきたが、タール状のハルツが多く生成すると
いう問題を生じるので、本出願人は特開平2−9103
9号公報で、該ポリエステルをアルコールで分解する方
法、即ちポリエステルを低級アルコールの存在下に希薄
な酸で分解する方法を提案した。従来の濃塩酸法では加
水分解反応、異性化反応および脱水反応が連続して進行
するので、反応生成液中に2,4−ヘキサジエン酸の種
々の異性体が存在していてもソルビン酸(2,4−ヘキ
サジエン酸のトランス−2,トランス−4型異性体)が
かなり多量に生成しているので、これを単離すれば工業
的には充分採算がとれるのであるが、前記アルコール分
解法では分解液中の異性体化合物におけるソルビン酸の
含量が少ないので、分解液に酸又はアルカリを加えて異
性化反応を行うことが必要となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、該製造
法では、前述のポリエステル分解に濃塩酸を使用しない
のでハルツ分は著しく減少させることはできるものの、
新たな工程である異性化中にもかなりのハルツ分の生成
が認められ、かかるハルツ分を減少させれば更にソルビ
ン酸の収率を向上させえることが判明した。本発明はか
かる観点に基づき、異性化工程を改善し、更に全体とし
てのソルビン酸の収率を向上させる製造法を提供するこ
とを目的になされたものである。
法では、前述のポリエステル分解に濃塩酸を使用しない
のでハルツ分は著しく減少させることはできるものの、
新たな工程である異性化中にもかなりのハルツ分の生成
が認められ、かかるハルツ分を減少させれば更にソルビ
ン酸の収率を向上させえることが判明した。本発明はか
かる観点に基づき、異性化工程を改善し、更に全体とし
てのソルビン酸の収率を向上させる製造法を提供するこ
とを目的になされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者は、前記
アルコール分解法におけるハルツ生成の原因が異性体混
合物中の2,4−ヘキサジエン酸類が遊離酸の型、アル
カリ部分中和型あるいはエステル型であるための知見を
得、該酸を異性化する前にアルカリにより完全にアルカ
リ塩中和物としておくとハルツ分の生成が減少すること
を見いだし、本発明を完成した。
アルコール分解法におけるハルツ生成の原因が異性体混
合物中の2,4−ヘキサジエン酸類が遊離酸の型、アル
カリ部分中和型あるいはエステル型であるための知見を
得、該酸を異性化する前にアルカリにより完全にアルカ
リ塩中和物としておくとハルツ分の生成が減少すること
を見いだし、本発明を完成した。
【0007】即ち、本発明は、「(A)クロトンアルデ
ヒドとケテンとの重合反応生成物であるポリエステル
を、低級アルコールの存在下に希薄な酸で分解して、ヘ
キセン酸又はヘキサジエン酸あるいはこれらの低級アル
キルエステルを生成させる工程、(B)前記(A)工程
で得られる分解液を蒸留に供し、目的留分を得る工程、
(C)水と低級アルコールとの混合溶媒中で、前記
(B)工程で得られる留分をアルカリでヘキセン酸又は
ヘキサジエン酸のアルカリ塩とする工程、(D)前記
(C)工程のアルカリ塩溶液をアルカリの存在下に低級
アルコールを留去しながら加熱し、異性化する工程の組
合わせからなることを特徴とするソルビン酸又はその塩
の製造法。」である。
ヒドとケテンとの重合反応生成物であるポリエステル
を、低級アルコールの存在下に希薄な酸で分解して、ヘ
キセン酸又はヘキサジエン酸あるいはこれらの低級アル
キルエステルを生成させる工程、(B)前記(A)工程
で得られる分解液を蒸留に供し、目的留分を得る工程、
(C)水と低級アルコールとの混合溶媒中で、前記
(B)工程で得られる留分をアルカリでヘキセン酸又は
ヘキサジエン酸のアルカリ塩とする工程、(D)前記
(C)工程のアルカリ塩溶液をアルカリの存在下に低級
アルコールを留去しながら加熱し、異性化する工程の組
合わせからなることを特徴とするソルビン酸又はその塩
の製造法。」である。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。 ○(A)工程 本発明の(A)工程は、クロトンアルデヒドとケテンと
の重合反応生成物であるポリエステルを、低級アルコー
ルの存在下に希薄な酸で分解して、ヘキセン酸又はヘキ
サジエン酸あるいはこれらの低級アルキルエステルを生
成させる工程からなる。クロトンアルデヒドとケテンと
を反応させて、その重合反応生成物であるポリエステル
を得るには、従来の技術の項でも述べた種々の触媒を用
いることができる。本発明においては、得られたポリエ
ステルを低級アルコールの存在下に希薄な酸で分解す
る。
の重合反応生成物であるポリエステルを、低級アルコー
ルの存在下に希薄な酸で分解して、ヘキセン酸又はヘキ
サジエン酸あるいはこれらの低級アルキルエステルを生
成させる工程からなる。クロトンアルデヒドとケテンと
を反応させて、その重合反応生成物であるポリエステル
を得るには、従来の技術の項でも述べた種々の触媒を用
いることができる。本発明においては、得られたポリエ
ステルを低級アルコールの存在下に希薄な酸で分解す
る。
【0009】典型的な反応操作にあっては、まず反応器
にポリエステル、低級アルコールおよび酸を仕込み、撹
拌下に所定の温度まで昇温し、低級アルコールを吹き込
みながら副生する水を低級アルコールと共に留出させる
ようにする。反応温度は50〜130℃程度、低級アル
コールの吹き込み時間は1〜12時間程度とすることが
多い。場合によっては、低級アルコールを一括仕込みし
て反応を行うことも可能である。
にポリエステル、低級アルコールおよび酸を仕込み、撹
拌下に所定の温度まで昇温し、低級アルコールを吹き込
みながら副生する水を低級アルコールと共に留出させる
ようにする。反応温度は50〜130℃程度、低級アル
コールの吹き込み時間は1〜12時間程度とすることが
多い。場合によっては、低級アルコールを一括仕込みし
て反応を行うことも可能である。
【0010】低級アルコールとしては、メタノール、エ
タノール、n−プロパノール、イソプロパノールなどが
あげられ、通常はメタノールを用いる。反応器に最初に
仕込む低級アルコールの量はポリエステル100重量部
に対し0〜100重量部、殊に5〜50重量部、反応中
に吹き込む低級アルコールの量は、ポリエステル100
重量部に対し80〜1000重量部、殊に100〜50
0重量部とするのが適当である。ただしこの範囲は典型
的な場合であり、この範囲外でも反応は進む。酸として
は、塩酸、硫酸、カチオン交換樹脂などが用いられ、特
に硫酸が重要である。
タノール、n−プロパノール、イソプロパノールなどが
あげられ、通常はメタノールを用いる。反応器に最初に
仕込む低級アルコールの量はポリエステル100重量部
に対し0〜100重量部、殊に5〜50重量部、反応中
に吹き込む低級アルコールの量は、ポリエステル100
重量部に対し80〜1000重量部、殊に100〜50
0重量部とするのが適当である。ただしこの範囲は典型
的な場合であり、この範囲外でも反応は進む。酸として
は、塩酸、硫酸、カチオン交換樹脂などが用いられ、特
に硫酸が重要である。
【0011】(A)工程の分解反応におけるポリエステ
ルと酸の割合は、ポリエステル100重量部に対し酸を
0.1〜5重量部、殊に0.3〜3重量部の割合で用いる
ことが好ましく、酸の割合が余りに小さいと分解反応が
円滑に進まないか反応時間が極端に長くなり、一方酸の
割合が余りに大きいとタール状のハルツを生じやすくな
る。酸は反応当初に仕込むのが通常であるが、一部を反
応中に追加仕込みするようにしてもよい。 (A)工程の分解反応における系中の酸の濃度は、仕込
み当初で0.1〜10重量%、殊に0.2〜3重量%とす
るのが適当であり、低級アルコールの吹き込み中もおお
むねこの範囲内の割合が保たれるようにすることが望ま
しい。酸の濃度が低すぎる場合は分解反応が円滑に進ま
ないか反応時間が極端に長くなり、一方酸の濃度が高す
ぎる場合はタール状のハルツが生成しやすく、またその
ハルツの生成量も多くなり、その後の操作が行いにくく
なる。
ルと酸の割合は、ポリエステル100重量部に対し酸を
0.1〜5重量部、殊に0.3〜3重量部の割合で用いる
ことが好ましく、酸の割合が余りに小さいと分解反応が
円滑に進まないか反応時間が極端に長くなり、一方酸の
割合が余りに大きいとタール状のハルツを生じやすくな
る。酸は反応当初に仕込むのが通常であるが、一部を反
応中に追加仕込みするようにしてもよい。 (A)工程の分解反応における系中の酸の濃度は、仕込
み当初で0.1〜10重量%、殊に0.2〜3重量%とす
るのが適当であり、低級アルコールの吹き込み中もおお
むねこの範囲内の割合が保たれるようにすることが望ま
しい。酸の濃度が低すぎる場合は分解反応が円滑に進ま
ないか反応時間が極端に長くなり、一方酸の濃度が高す
ぎる場合はタール状のハルツが生成しやすく、またその
ハルツの生成量も多くなり、その後の操作が行いにくく
なる。
【0012】従って、酸の添加量を上述の範囲内に設定
すると共に、系中の酸の濃度も上述の範囲内となるよう
に低級アルコールの量を設定すべきである。上で述べた
ポリエステルの分解反応により、ヘキセン酸またはヘキ
サジエン酸あるいはこれらの低級アルキルエステル、さ
らに詳しくは、 2,4−ヘキサジエン酸またはそのエステルの種々
の異性体 トランス−2,トランス−4型異性体(つまりソルビン
酸)、シス−2,トランス−4型異性体、トランス−
2,シス−4型異性体、シス−2,シス−4型異性体、 2,5−ヘキサジエン酸またはそのエステルの種々
の異性体、 3−メトキシ−4−ヘキセン酸またはそのエステル
の種々の異性体、 などが生成する。
すると共に、系中の酸の濃度も上述の範囲内となるよう
に低級アルコールの量を設定すべきである。上で述べた
ポリエステルの分解反応により、ヘキセン酸またはヘキ
サジエン酸あるいはこれらの低級アルキルエステル、さ
らに詳しくは、 2,4−ヘキサジエン酸またはそのエステルの種々
の異性体 トランス−2,トランス−4型異性体(つまりソルビン
酸)、シス−2,トランス−4型異性体、トランス−
2,シス−4型異性体、シス−2,シス−4型異性体、 2,5−ヘキサジエン酸またはそのエステルの種々
の異性体、 3−メトキシ−4−ヘキセン酸またはそのエステル
の種々の異性体、 などが生成する。
【0013】○(B)工程 (B)工程は、前記の(A)工程の分解液を蒸留に供
し、目的留分を得る工程からなる。 (A)工程の分解液を蒸留に供することにより、未反応
物やハルツを含まない目的留分が得られる。蒸留は、分
解液中の溶媒等の初留分、未反応物およびハルツを除く
フラッシュ蒸留、一定の温度巾で留出する留分ごとに分
画する分留法のいずれもが採用される。通常、蒸留は減
圧下に行われ、例えば60〜120℃/20mmHgの留分
が補集される。
し、目的留分を得る工程からなる。 (A)工程の分解液を蒸留に供することにより、未反応
物やハルツを含まない目的留分が得られる。蒸留は、分
解液中の溶媒等の初留分、未反応物およびハルツを除く
フラッシュ蒸留、一定の温度巾で留出する留分ごとに分
画する分留法のいずれもが採用される。通常、蒸留は減
圧下に行われ、例えば60〜120℃/20mmHgの留分
が補集される。
【0014】該蒸留により得られる留分の組成(エステ
ル)は、おおよそ次の如くである。 2,4−ヘキサジエン酸異性体 トランス−2,トランス−4型異性体 35〜45重量% シス−2,トランス−4型異性体 10〜20重量% トランス−2,シス−4型異性体 1〜5重量% シス−2,シス−4型異性体 微量 2,5−ヘキサジエン酸異性体 20〜25重量% 3−メトキシ−4−ヘキセン酸異性体 80〜15重量% (B)工程で得られた留分をそのまま使用して、次の
(C)工程に供してもよく、各留分をさらに分留して次
の(C)工程に供してもよい。
ル)は、おおよそ次の如くである。 2,4−ヘキサジエン酸異性体 トランス−2,トランス−4型異性体 35〜45重量% シス−2,トランス−4型異性体 10〜20重量% トランス−2,シス−4型異性体 1〜5重量% シス−2,シス−4型異性体 微量 2,5−ヘキサジエン酸異性体 20〜25重量% 3−メトキシ−4−ヘキセン酸異性体 80〜15重量% (B)工程で得られた留分をそのまま使用して、次の
(C)工程に供してもよく、各留分をさらに分留して次
の(C)工程に供してもよい。
【0015】○(C)工程 (C)工程は水と低級アルコールとの混合溶媒中で、前
記(B)工程の目的留分をアルカリでヘキセン酸又はヘ
キサジエン酸のアルカリ塩完全中和物とする工程からな
る。低級アルコール溶媒としては、メタノール、エタノ
ール、n−プロパノール、イソプロパノールなどが好適
に用いられる。アルカリとしては、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム等が実用的に使用される。かかるアルカ
リは、通常、水溶液として使用され、アルカリの濃度が
30重量%以上、好ましくは40〜50重量%のものが
良い。30重量%未満の水溶液では異性化時にハルツ化
しやすくなる。
記(B)工程の目的留分をアルカリでヘキセン酸又はヘ
キサジエン酸のアルカリ塩完全中和物とする工程からな
る。低級アルコール溶媒としては、メタノール、エタノ
ール、n−プロパノール、イソプロパノールなどが好適
に用いられる。アルカリとしては、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム等が実用的に使用される。かかるアルカ
リは、通常、水溶液として使用され、アルカリの濃度が
30重量%以上、好ましくは40〜50重量%のものが
良い。30重量%未満の水溶液では異性化時にハルツ化
しやすくなる。
【0016】アルカリの添加量としては、目的留分に対
し1.0〜1.50倍モル、好ましくは1.0〜1.20倍
モルである。かかる範囲より小さい場合は異性化収率が
低下する。またかかる範囲を越えて添加しても本工程に
おいてはあまり効果をしめさず、あまりに加えすぎると
次工程で副反応がおこる恐れがある。 目的留分、水及びアルコール溶媒の混合比率は、重量比
で1:(0〜0.6):(0〜0.6)、好ましくは1:
(0〜0.4):(0〜0.4)である。通常は(B)工
程で得られた目的留分の0〜0.4倍重量の低級アルコ
ールを混合し、かかる溶液に前述の濃度30重量%以上
のアルカリ水溶液を加え、目的留分、水及び低級アルコ
ールの混合比率が前記の範囲になるようにする。水及び
低級アルコールが上述の範囲を逸脱すると後工程で異性
化収率が低下する。反応温度は0〜50℃、好ましくは
10〜40℃である。0℃未満にするのは設備的に実用
的ではなく、50℃を越えると、目的留分が完全にアル
カリ塩にならないうちに異性化がはじまり、ハルツ分の
生成が多くなる。反応時間は通常、0〜30分である。
し1.0〜1.50倍モル、好ましくは1.0〜1.20倍
モルである。かかる範囲より小さい場合は異性化収率が
低下する。またかかる範囲を越えて添加しても本工程に
おいてはあまり効果をしめさず、あまりに加えすぎると
次工程で副反応がおこる恐れがある。 目的留分、水及びアルコール溶媒の混合比率は、重量比
で1:(0〜0.6):(0〜0.6)、好ましくは1:
(0〜0.4):(0〜0.4)である。通常は(B)工
程で得られた目的留分の0〜0.4倍重量の低級アルコ
ールを混合し、かかる溶液に前述の濃度30重量%以上
のアルカリ水溶液を加え、目的留分、水及び低級アルコ
ールの混合比率が前記の範囲になるようにする。水及び
低級アルコールが上述の範囲を逸脱すると後工程で異性
化収率が低下する。反応温度は0〜50℃、好ましくは
10〜40℃である。0℃未満にするのは設備的に実用
的ではなく、50℃を越えると、目的留分が完全にアル
カリ塩にならないうちに異性化がはじまり、ハルツ分の
生成が多くなる。反応時間は通常、0〜30分である。
【0017】○(D)工程 (D)工程は、前記(C)工程のアルカリ塩溶液をアル
カリの存在下に低級アルコールを留去しながら加熱し、
異性化する工程である。アルカリとしては、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム等が用いられ、前(C)工程で
用いられたものと同じ条件のアルカリ水溶液が通常使用
される。アルカリの添加量はアルカリ塩に対し0.01
〜0.5倍モル、好ましくは0.05〜0.35倍モルで
ある。アルカリの添加量が少ないと異性化または脱アル
コール反応速度の低下を招き、多いと副反応やハルツ分
の増大を招く。また該(D)工程で必要なアルカリは
(C)工程で一緒に加えておくことも可能である。
カリの存在下に低級アルコールを留去しながら加熱し、
異性化する工程である。アルカリとしては、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム等が用いられ、前(C)工程で
用いられたものと同じ条件のアルカリ水溶液が通常使用
される。アルカリの添加量はアルカリ塩に対し0.01
〜0.5倍モル、好ましくは0.05〜0.35倍モルで
ある。アルカリの添加量が少ないと異性化または脱アル
コール反応速度の低下を招き、多いと副反応やハルツ分
の増大を招く。また該(D)工程で必要なアルカリは
(C)工程で一緒に加えておくことも可能である。
【0018】(D)工程の反応温度は60〜140℃、
好ましくは100〜120℃であり、反応時間は1〜5
時間、好ましくは2〜3時間である。(D)工程では低
級アルコールを留分しながら反応することも必須であ
る。留去する低級アルコールの量としては、系中のアル
コール量が10重量%以下になる様コントロールする。
10重量%以上のアルコールの存在下で異性化を行って
も収率は向上しない。
好ましくは100〜120℃であり、反応時間は1〜5
時間、好ましくは2〜3時間である。(D)工程では低
級アルコールを留分しながら反応することも必須であ
る。留去する低級アルコールの量としては、系中のアル
コール量が10重量%以下になる様コントロールする。
10重量%以上のアルコールの存在下で異性化を行って
も収率は向上しない。
【0019】○単離、精製 前記(D)工程でソルビン酸のアルカリ塩が得られる。
通常は該ソルビン酸アルカリ塩を硫酸、塩酸、酢酸等の
酸でソルビン酸とし、常法に従い、晶析などの操作を行
ってソルビン酸結晶を単離する。ソルビン酸塩を得る場
合には、通常、かかるソルビン酸を水媒体中もしくは有
機溶媒中においてアルカリと反応させ、晶析法、噴霧乾
燥法等の常法に従い固体状として取り出す。または場合
によっては(C)工程で目的とするソルビン酸アルカリ
塩が生成する様にアルカリを選択し、(D)工程終了
後、反応液から直接上述の常法によりソルビン酸塩とし
て取り出してもよい。
通常は該ソルビン酸アルカリ塩を硫酸、塩酸、酢酸等の
酸でソルビン酸とし、常法に従い、晶析などの操作を行
ってソルビン酸結晶を単離する。ソルビン酸塩を得る場
合には、通常、かかるソルビン酸を水媒体中もしくは有
機溶媒中においてアルカリと反応させ、晶析法、噴霧乾
燥法等の常法に従い固体状として取り出す。または場合
によっては(C)工程で目的とするソルビン酸アルカリ
塩が生成する様にアルカリを選択し、(D)工程終了
後、反応液から直接上述の常法によりソルビン酸塩とし
て取り出してもよい。
【0020】
【作 用】(A)工程においてはポリエステルの分解
が起こり、2,4−ヘキサジエン酸またはその低級アル
キルエステルの種々の異性体、2,5−ヘキサジエン酸
またはその低級アルキルエステルの種々の異性体、3−
メトキシ−4−ヘキセン酸またはその低級アルキルエス
テルの種々の異性体などが生成する。分解液には、これ
らの生成物の他に、低級アルコール、不完全分解物、副
反応物、未反応のポリエステル、ハルツなども含まれ
る。
が起こり、2,4−ヘキサジエン酸またはその低級アル
キルエステルの種々の異性体、2,5−ヘキサジエン酸
またはその低級アルキルエステルの種々の異性体、3−
メトキシ−4−ヘキセン酸またはその低級アルキルエス
テルの種々の異性体などが生成する。分解液には、これ
らの生成物の他に、低級アルコール、不完全分解物、副
反応物、未反応のポリエステル、ハルツなども含まれ
る。
【0021】(B)工程において分解物を蒸留に供する
と、2,4−ヘキサジエン酸またはその低級アルキルエ
ステルの種々の異性体、2,5−ヘキサジエン酸または
その低級アルキルエステルの種々の異性体、3−メトキ
シ−4−ヘキセン酸またはその低級アルキルエステルの
種々の異性体からなる目的留分が分離される。フラッシ
ュ蒸留を行えばこれらの目的留分全部が含まれたものが
得られ、分留を行えばこれらの留分のうち特定成分に富
むものが得られる。
と、2,4−ヘキサジエン酸またはその低級アルキルエ
ステルの種々の異性体、2,5−ヘキサジエン酸または
その低級アルキルエステルの種々の異性体、3−メトキ
シ−4−ヘキセン酸またはその低級アルキルエステルの
種々の異性体からなる目的留分が分離される。フラッシ
ュ蒸留を行えばこれらの目的留分全部が含まれたものが
得られ、分留を行えばこれらの留分のうち特定成分に富
むものが得られる。
【0022】(C)工程においては、主として、(B)
工程で得られたヘキセン酸やヘキサジエン酸の低級アル
キルエステルをアルカリによって中和又は加水分解を行
い、アルカリ塩完全中和物を得る。 (D)工程においては、2,4−ヘキサジエン酸アルカ
リ塩のシス体からソルビン酸アルカリ塩への異性化、
2,5−ヘキサジエン酸アルカリ塩から2,4−ヘキサジ
エン酸アルカリ塩へ、更にはソルビン酸アルカリ塩への
異性化、3−メトキシ−4−ヘキセン酸アルカリ塩から
2,4−ヘキサジエン酸アルカリ塩へ、更にはソルビン
酸アルカリ塩への異性化が起こり、ソルビン酸アルカリ
塩に富む生成物が得られる。
工程で得られたヘキセン酸やヘキサジエン酸の低級アル
キルエステルをアルカリによって中和又は加水分解を行
い、アルカリ塩完全中和物を得る。 (D)工程においては、2,4−ヘキサジエン酸アルカ
リ塩のシス体からソルビン酸アルカリ塩への異性化、
2,5−ヘキサジエン酸アルカリ塩から2,4−ヘキサジ
エン酸アルカリ塩へ、更にはソルビン酸アルカリ塩への
異性化、3−メトキシ−4−ヘキセン酸アルカリ塩から
2,4−ヘキサジエン酸アルカリ塩へ、更にはソルビン
酸アルカリ塩への異性化が起こり、ソルビン酸アルカリ
塩に富む生成物が得られる。
【0023】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明をさらに説明す
る。以下「%」とあるのは重量基準で表したものであ
る。 実施例1 〈ポリエステルの製造〉反応器に精製クロトンアルデヒ
ド1450kgと亜鉛粉末5kgを仕込み、30〜40℃に
保ちながらケテン420kgを吹き込んで反応させた。反
応終了後、30〜40mmHgの減圧下、120℃まで加熱
して未反応のクロトンアルデヒドおよび副生物を留去
し、ポリエステル1030kgを得た。
る。以下「%」とあるのは重量基準で表したものであ
る。 実施例1 〈ポリエステルの製造〉反応器に精製クロトンアルデヒ
ド1450kgと亜鉛粉末5kgを仕込み、30〜40℃に
保ちながらケテン420kgを吹き込んで反応させた。反
応終了後、30〜40mmHgの減圧下、120℃まで加熱
して未反応のクロトンアルデヒドおよび副生物を留去
し、ポリエステル1030kgを得た。
【0024】〈(A)工程〉上記で得たポリエステル2
00kgに濃硫酸1kgとメタノール50kgとを加え、撹拌
しながら内温が85℃になるまで昇温した。以下内温を
この温度に維持し、約4時間半かけてメタノール350
kgを吹き込みながら常圧で副生水とメタノールを留出さ
せた。
00kgに濃硫酸1kgとメタノール50kgとを加え、撹拌
しながら内温が85℃になるまで昇温した。以下内温を
この温度に維持し、約4時間半かけてメタノール350
kgを吹き込みながら常圧で副生水とメタノールを留出さ
せた。
【0025】〈(B)工程〉(A)工程の反応液を、当
初は常圧で、ついで減圧下にフラッシュ蒸留し、下記組
成の主留分205kgを得た。 ☆主留分の組成(ガスクロマトグラフィー分析値) ◎2,4−ヘキサジエン酸メチル ○トランス−2,トランス−4型(すなわちソルビン酸
メチル)35.0% ○トランス−2,シス−4型 2.5% ○シス−2,トランス−4型 12.5% ○シス−2,シス−4型 1.5% ◎5−メトキシ−3−ヘキセン酸メチル ○トランス型 22.5% ◎3−メトキシ−4−ヘキセン酸メチル ○トランス型 22.5% ◎3,5−ジメトキシヘキサン酸メチル 1.5% ◎その他 2.0%
初は常圧で、ついで減圧下にフラッシュ蒸留し、下記組
成の主留分205kgを得た。 ☆主留分の組成(ガスクロマトグラフィー分析値) ◎2,4−ヘキサジエン酸メチル ○トランス−2,トランス−4型(すなわちソルビン酸
メチル)35.0% ○トランス−2,シス−4型 2.5% ○シス−2,トランス−4型 12.5% ○シス−2,シス−4型 1.5% ◎5−メトキシ−3−ヘキセン酸メチル ○トランス型 22.5% ◎3−メトキシ−4−ヘキセン酸メチル ○トランス型 22.5% ◎3,5−ジメトキシヘキサン酸メチル 1.5% ◎その他 2.0%
【0026】〈(C)工程〉上記の組成を有する主留分
85.0kg(総モル数583.12モル)にメタノール2
7.4kgを加えてメタノール溶液とし、撹拌下、温度6
0℃で48.6%水酸化ナトリウム水溶液を主留分に対
して1.01倍モル(48.5kg)加え、30分間反応さ
せた。混合溶媒の重量比は留分:水:メタノール=1:
0.293:0.322であった。
85.0kg(総モル数583.12モル)にメタノール2
7.4kgを加えてメタノール溶液とし、撹拌下、温度6
0℃で48.6%水酸化ナトリウム水溶液を主留分に対
して1.01倍モル(48.5kg)加え、30分間反応さ
せた。混合溶媒の重量比は留分:水:メタノール=1:
0.293:0.322であった。
【0027】〈(D)工程〉前記(C)工程のアルカリ
塩の溶液に、更に48.6%水酸化ナトリウム水溶液を
アルカリ塩に対して0.10倍モル(4.7kg)加え、撹
拌下に温度110℃に昇温し、110℃に到達後メタノ
ールを留去していった。60分間でメタノールを38.
1kg留出させ、その後2時間110℃で反応させ、スラ
リー液を得た。反応終了後、水40kgを加え該塩を溶解
し、濃硫酸でPH3.0に中和した。中和後、結晶を濾
過し、粗ソルビン酸60.0kg(536.49モル)を得
た。 (C)工程の主留からのソルビン酸の収率は92.0%
であった。
塩の溶液に、更に48.6%水酸化ナトリウム水溶液を
アルカリ塩に対して0.10倍モル(4.7kg)加え、撹
拌下に温度110℃に昇温し、110℃に到達後メタノ
ールを留去していった。60分間でメタノールを38.
1kg留出させ、その後2時間110℃で反応させ、スラ
リー液を得た。反応終了後、水40kgを加え該塩を溶解
し、濃硫酸でPH3.0に中和した。中和後、結晶を濾
過し、粗ソルビン酸60.0kg(536.49モル)を得
た。 (C)工程の主留からのソルビン酸の収率は92.0%
であった。
【0028】実施例2 (A)、(B)工程は実施例1と同様に行った。 〈(C)工程〉主留分85.0kgにメタノール8.5kgを
加えてメタノール溶液とし、撹拌下、温度60℃で5
0.0%水酸化カリウム水溶液を主留分に対して1.02
倍モル(66.7kg)加え、30分間反応させた。混合
溶媒の重量比は留分:水:メタノール=1:0.39
2:0.10であった。
加えてメタノール溶液とし、撹拌下、温度60℃で5
0.0%水酸化カリウム水溶液を主留分に対して1.02
倍モル(66.7kg)加え、30分間反応させた。混合
溶媒の重量比は留分:水:メタノール=1:0.39
2:0.10であった。
【0029】〈(D)工程〉アルカリとして50.0%
水酸化カリウム水溶液をアルカリ塩に対して0.30倍
モル(19.6kg)使用した以外は実施例1の(D)工
程と同じ方法を行った。また留出させるメタノールの量
を20.0kgに変更した。その結果、粗ソルビン酸59.
76kg(533.55モル)を得た。 (C)工程の主留からのソルビン酸の収率は91.5%
であった。
水酸化カリウム水溶液をアルカリ塩に対して0.30倍
モル(19.6kg)使用した以外は実施例1の(D)工
程と同じ方法を行った。また留出させるメタノールの量
を20.0kgに変更した。その結果、粗ソルビン酸59.
76kg(533.55モル)を得た。 (C)工程の主留からのソルビン酸の収率は91.5%
であった。
【0030】実施例3 (A)、(B)工程は実施例1と同様に行った。 〈(C)工程〉主留分85.0kgにメタノール33kgを
加えてメタノール溶液とし、撹拌下、温度60℃でフレ
ーク状の水酸化ナトリウムを主留分に対して1.10倍
モル(25.7kg)を加え、30分間反応させた。混合
溶媒の重量比は留分:水:メタノール=1:0:0.3
88であった。 〈(D)工程〉フレーク状の水酸化ナトリウムをアルカ
リ塩に対して0.2倍モル(4.7kg)使用し、留出させ
るメタノールの量を44.0kgにする他は実施例1の
(D)工程と同様の操作を行い、粗ソルビン酸58.8
5kg(525.39モル)を得た。 (C)工程の主留からのソルビン酸の収率は90.1%
であった。
加えてメタノール溶液とし、撹拌下、温度60℃でフレ
ーク状の水酸化ナトリウムを主留分に対して1.10倍
モル(25.7kg)を加え、30分間反応させた。混合
溶媒の重量比は留分:水:メタノール=1:0:0.3
88であった。 〈(D)工程〉フレーク状の水酸化ナトリウムをアルカ
リ塩に対して0.2倍モル(4.7kg)使用し、留出させ
るメタノールの量を44.0kgにする他は実施例1の
(D)工程と同様の操作を行い、粗ソルビン酸58.8
5kg(525.39モル)を得た。 (C)工程の主留からのソルビン酸の収率は90.1%
であった。
【0031】実施例4 (A)、(B)工程は実施例1と同様に行った。 〈(C)工程〉主留分85.0kgに撹拌下、温度60℃
で45.0%水酸化ナトリウム水溶液を主留分に対して
1.18倍モル(61.2kg)加え、30分間反応させ
た。混合溶媒の重量比は留分:水:メタノール=1:
0.396:0であった。 〈(D)工程〉45.0%水酸化ナトリウム水溶液をア
ルカリ塩に対して0.02倍モル(1.0kg)使用し、留
出させるメタノールの量を10.1kgにする他は実施例
1の(D)工程と同様の操作を行い、粗ソルビン酸5
9.84kg(534.22モル)を得た。(C)工程の主
留からのソルビン酸の収率は91.6%であった。
で45.0%水酸化ナトリウム水溶液を主留分に対して
1.18倍モル(61.2kg)加え、30分間反応させ
た。混合溶媒の重量比は留分:水:メタノール=1:
0.396:0であった。 〈(D)工程〉45.0%水酸化ナトリウム水溶液をア
ルカリ塩に対して0.02倍モル(1.0kg)使用し、留
出させるメタノールの量を10.1kgにする他は実施例
1の(D)工程と同様の操作を行い、粗ソルビン酸5
9.84kg(534.22モル)を得た。(C)工程の主
留からのソルビン酸の収率は91.6%であった。
【0032】実施例5 (A)、(B)工程は実施例1と同様に行った。 〈(C)工程〉主留分85.0kgにメタノール5.0kgを
加えてメタノール溶液とし、撹拌下、温度80℃で5
0.0%水酸化カリウム水溶液を主留分に対して1.01
倍モル(66.1kg)を加え、30分間反応させた。混
合溶媒の重量比は留分:水:メタノール=1:0.38
9:0.059であった。
加えてメタノール溶液とし、撹拌下、温度80℃で5
0.0%水酸化カリウム水溶液を主留分に対して1.01
倍モル(66.1kg)を加え、30分間反応させた。混
合溶媒の重量比は留分:水:メタノール=1:0.38
9:0.059であった。
【0033】〈(D)工程〉前記(C)工程のアルカリ
塩の溶液に、更に50.0%水酸化カリウム水溶液をア
ルカリ塩に対して0.02倍モル(1.3kg)加え、撹拌
下に温度110℃に昇温し、110℃に到達後メタノー
ルを留去していった。60分間でメタノールを15kg留
出させ、その後2時間110℃で反応させた。反応終了
後、反応終了液を減圧下(30mmHg)、ジャケット温
(130℃〜140℃)で、連続濃縮してドライアップ
した(設備、ドラムドライヤー)。得られたケーキ88
kgをメタノール(85%)/水(15%)系溶媒で40
%溶液とし、再結晶して、ソルビン酸カリウム52.8k
g(352.00モル)を得た(純度99.8%)。
(C)工程の主留からのソルビン酸カリウムの収率は6
0.4%であった。
塩の溶液に、更に50.0%水酸化カリウム水溶液をア
ルカリ塩に対して0.02倍モル(1.3kg)加え、撹拌
下に温度110℃に昇温し、110℃に到達後メタノー
ルを留去していった。60分間でメタノールを15kg留
出させ、その後2時間110℃で反応させた。反応終了
後、反応終了液を減圧下(30mmHg)、ジャケット温
(130℃〜140℃)で、連続濃縮してドライアップ
した(設備、ドラムドライヤー)。得られたケーキ88
kgをメタノール(85%)/水(15%)系溶媒で40
%溶液とし、再結晶して、ソルビン酸カリウム52.8k
g(352.00モル)を得た(純度99.8%)。
(C)工程の主留からのソルビン酸カリウムの収率は6
0.4%であった。
【0034】実施例6 実施例1の(B)工程で得られた留分を使用し、主留分
85.0kgにメタノール27.4kgを加えてメタノール溶
液とし、撹拌下、温度80℃で48.6%水酸化ナトリ
ウム水溶液を主留分に対して1.30倍モル(62.4k
g)加え、〔(D)工程に必要なアルカリもこの工程で
一括仕込みした〕、30分間反応させた。混合溶媒の重
量比は留分:水:メタノール=1:0.377:0.32
2であった。続いて温度を110℃に昇温し、110℃
に到達後、60分間でメタノールを38.0kg留出させ
ながら反応を行い、その後2時間110℃で反応を続け
た。反応終了後、得られたスラリー液に水40kgを加え
溶解し、濃硫酸でPH3.0に中和する。中和後、濾過
し、粗ソルビン酸59.43kg(530.64モル)を得
た。主留からのソルビン酸の収率は91.0%であっ
た。
85.0kgにメタノール27.4kgを加えてメタノール溶
液とし、撹拌下、温度80℃で48.6%水酸化ナトリ
ウム水溶液を主留分に対して1.30倍モル(62.4k
g)加え、〔(D)工程に必要なアルカリもこの工程で
一括仕込みした〕、30分間反応させた。混合溶媒の重
量比は留分:水:メタノール=1:0.377:0.32
2であった。続いて温度を110℃に昇温し、110℃
に到達後、60分間でメタノールを38.0kg留出させ
ながら反応を行い、その後2時間110℃で反応を続け
た。反応終了後、得られたスラリー液に水40kgを加え
溶解し、濃硫酸でPH3.0に中和する。中和後、濾過
し、粗ソルビン酸59.43kg(530.64モル)を得
た。主留からのソルビン酸の収率は91.0%であっ
た。
【0035】対照例 実施例5で48.6%水酸化ナトリウムの添加量を主留
分に対して、0.36倍モル(17.5kg)に加え主留分
を部分中和にとどめ、更に水を18.3kg加える以外は
同例に準じて実験を行った結果、ソルビン酸の収率は8
8.0%であった。
分に対して、0.36倍モル(17.5kg)に加え主留分
を部分中和にとどめ、更に水を18.3kg加える以外は
同例に準じて実験を行った結果、ソルビン酸の収率は8
8.0%であった。
【0036】
【効 果】本発明においては、(A)工程においてポリ
エステルを低級アルコールの存在下に希薄な酸で分解す
るようにしているので、従来汎用されている濃塩酸によ
る分解方法のようにハルツがタール状とならず、またハ
ルツの生成量も少なく、取り扱いが著しく行いやすくな
る。ポリエステルの分解により、ソルビン酸またはその
エステルだけでなくヘキセン酸またはヘキサジエン酸あ
るいはこれらの低級アルキルエステルも生成するが、
(B)工程の蒸留に続き、(C)工程でこれらのヘキセ
ン酸またはヘキサジエン酸等を完全にアルカリ塩とし、
(D)工程で異性化反応を行うようにしたので、ソルビ
ン酸またはそのアルカリ塩の収率が向上する。よって本
発明は産業上極めて有用である。
エステルを低級アルコールの存在下に希薄な酸で分解す
るようにしているので、従来汎用されている濃塩酸によ
る分解方法のようにハルツがタール状とならず、またハ
ルツの生成量も少なく、取り扱いが著しく行いやすくな
る。ポリエステルの分解により、ソルビン酸またはその
エステルだけでなくヘキセン酸またはヘキサジエン酸あ
るいはこれらの低級アルキルエステルも生成するが、
(B)工程の蒸留に続き、(C)工程でこれらのヘキセ
ン酸またはヘキサジエン酸等を完全にアルカリ塩とし、
(D)工程で異性化反応を行うようにしたので、ソルビ
ン酸またはそのアルカリ塩の収率が向上する。よって本
発明は産業上極めて有用である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】(A)クロトンアルデヒドとケテンとの重
合反応生成物であるポリエステルを、 低級アルコールの存在下に希薄な酸で分解して、ヘキセ
ン酸又はヘキサジエン酸あるいはこれらの低級アルキル
エステルを生成させる工程、 (B)前記(A)工程で得られる分解液を蒸留に供し、
目的留分を得る工程、 (C)水と低級アルコールとの混合溶媒中で、前記
(B)工程で得られる留分をアルカリでヘキセン酸又は
ヘキサジエン酸のアルカリ塩とする工程、 (D)前記(C)工程のアルカリ塩溶液をアルカリの存
在下に低級アルコールを留去しながら加熱し、異性化す
る工程の組合わせからなることを特徴とするソルビン酸
又はその塩の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21473291A JPH0532583A (ja) | 1991-07-30 | 1991-07-30 | ソルビン酸又はその塩の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21473291A JPH0532583A (ja) | 1991-07-30 | 1991-07-30 | ソルビン酸又はその塩の製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0532583A true JPH0532583A (ja) | 1993-02-09 |
Family
ID=16660694
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21473291A Pending JPH0532583A (ja) | 1991-07-30 | 1991-07-30 | ソルビン酸又はその塩の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0532583A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000018819A1 (fr) * | 1998-09-29 | 2000-04-06 | Daicel Chemical Industries, Ltd. | Procedes de production de polyester et d'acide sorbique |
JP2002187940A (ja) * | 2000-12-21 | 2002-07-05 | Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The | ポリエステルの連続的製造法 |
JP2014503476A (ja) * | 2010-10-29 | 2014-02-13 | ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー | ソルビン酸無水物の製造方法及びその食品保存料としての使用 |
-
1991
- 1991-07-30 JP JP21473291A patent/JPH0532583A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000018819A1 (fr) * | 1998-09-29 | 2000-04-06 | Daicel Chemical Industries, Ltd. | Procedes de production de polyester et d'acide sorbique |
JP2002187940A (ja) * | 2000-12-21 | 2002-07-05 | Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The | ポリエステルの連続的製造法 |
JP2014503476A (ja) * | 2010-10-29 | 2014-02-13 | ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー | ソルビン酸無水物の製造方法及びその食品保存料としての使用 |
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