JPH05321502A - 沈埋式駐車場設備 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、都市部等において過密化、地下
高、用地不足、環境条件の悪化等から増設又は新設が困
難になりつつある駐車場を比較的容易に供給出来るよう
にした沈埋式駐車場設備を提供することを目的とする。 【構成】 河川等の陸岸に近い水底地下に沈埋手段によ
り設置され、少くとも一層の駐車場空間を内蔵する自動
車駐車用函体部と、同函体部から陸上の出入道路に接続
し人及び／または自動車の出入設備を内蔵する出入り用
函体部とから構成されることにより、地上又は水面上に
広い面積を占有することなく広い駐車場を建設できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、水底地下に沈埋して設
置される沈埋式駐車場設備に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、駐車場設備は平地を使用した駐車
場、地上、地下の建造物を使用し又は新たに建設した立
体駐車場等が私営、公営あるいは施設に付属する駐車場
として一般的に用いられている。また、特定の都市にお
いては河川上に公営の駐車場を新設することも行われて
いる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このような従来型の駐
車場は、都市部等において過密化、地価高、用地不足、
環境上の条件などから、次第に増設や新設が困難にな
り、増加した自動車の数に比較し相対的に駐車場の数が
減少して来て、路上駐車が増加し全国的に慢性的な道路
交通の渋滞を生じさせる原因を作っている。本発明は上
記のような従来の問題に対し、用地不足や、環境上の阻
害条件をなくし大規模な駐車場の建設を容易にすること
をその目的とした。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明の沈埋式駐車場設備においては、駐車場を河
川、海、湖などの陸岸に近い水底地下に沈埋工法により
設置され、少なくとも一層の水平に拡がる駐車場設備を
内蔵する自動車駐車用函体部と、同函体部から延長して
陸上の出入り道路に接続し人及び又は自動車の出入設備
を内蔵している出入り用函体により構成した。

【０００５】

【作用】本発明による沈埋式駐車場設備は、自動車駐車
用函体部と出入り用函体部を一体に工場製作し、水面に
浮べて設置場所へ運び、あらかじめ一定深さに掘削し平
らに敷きならした水底土上に函体部の浮力を調節して着
底させる。

【０００６】函体部の浮力調節着底は函体内への注水、
重錘載荷、又は水底アンカに繋いだアンカーケーブルを
函体上のウインチで巻取る方法の流用等を用いる等して
行う。着底した函体は上部に掘削土を埋戻し、函体内の
水、重錘等を取除いて軟着状態に函体を固定させる。こ
のため設置場所の水底には特別の補強は必要ない。函体
部は鉄筋コンクリートあるいは鋼板に鉄筋コンクリート
を貼り詰めたハイブリッド構造などによって製作され
る。函体内に注水して着底する場合は函体内部への機器
取付け、配線その他の装備は排水後に行なう。

【０００７】沈埋設置した函体の上方水面は一般水面と
同様に船が通行し、その水面を使用できる。また埋戻し
土を取除くことにより函体を半浮揚させ移動して他の位
置へ再設置することが可能である。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の沈埋式駐車場設備を図に示す
実施例に基づき説明する。図１は、本発明の第１の実施
例を示し図において１は遊園地などの施設を有するウォ
ーターフロント地域の陸地、２は陸地の岸に接する河、
海、又は湖など（以下これを河川等と呼ぶ）、３は河川
等２の水底土、５は陸地１の岸に近い水底地下に沈埋設
置された２階建構成で水平に拡がる駐車場設備を内蔵す
る自動車駐車用函体部、６は上記函体部５と一体に形成
され函体部５から垂直方向へ延長する人用出入設備及び
下部に水平通り抜け自動車出入設備を内蔵している出入
り用函体部、７は出入用函体部６の地下部分に接続した
陸側の地下自動車出入り道路である。函体部５、６は鉄
筋コンクリート構造又は鋼板／鉄筋コンクリートハイブ
リッド構造等により工場で一体に製作し、図の設置位置
へ浮揚状態で移動させる。

【０００９】設置場所の水底はあらかじめ所要深さに区
画線８で示すように掘削排土し底面９を水平に敷きなら
しする。また陸側の地下自動車出入道路７も併行的に施
工される。設置位置に移動した函体部５、６は内部への
注水あるいは重錘の載荷あるいはアンカーラインの巻込
み等により浮力を減じて着底させ、函体部５、６の周囲
及び函体５の上面へ土３を埋め戻し函体部５６を固定さ
せる。

【００１０】函体部５、６内に注水した場合は排水後、
電源設備、給排気系、給排水系、消化系、照明系、人用
出入設備系１０を取付け、陸側地下自動車出入道路７と
の接続を行なう。出入用函体部６内には上述した設備系
と共に管理棟を設け自動車の出入りは陸側地下自動車道
路７から人の出入りは出入用函体部６から行なう。自動
車は道路７から函体部６を通り函体５へ入る。

【００１１】図２は、本発明の第２の実施例を示し、自
動車駐車用函体部５及び出入用函体部６を陸岸１から若
干離して沈埋設置し、出入用函体部６と陸岸１を出入用
桟橋１１で接続し、函体部６内に人及び自動車兼用エレ
ベータ１２、人専用エレベータ、非常階段等の人用出入
設備の両方を一括して組込み、他の管理棟及び設備系を
一緒に設けたものである。この場合には桟橋１１前まで
陸上の出入自動車道路を延長して設け、運転者が車と一
緒に人荷用エレベータ１２に乗って自動車駐車用函体部
５内へ入り、自動車を駐車したのち出入用函体部６内の
人専用エレベータ又は非常階段により地上へ出る。駐車
場から車を出すときは上記と逆の要領となる。

【００１２】図３は、更に本発明の第３の実施例を示
す。この実施例は第１回実施例と同じように出入用函体
部６を陸岸１に掘割り状に接して沈埋設置し、出入用函
体部６内に螺旋状の自動車出入道路１３と人専用の出入
設備及びその他の必要設備系を設けた場合である。車は
函体部６の地上入口から螺旋状道路１３を通って函体部
５内の駐車場へ入り運転者が車を駐車して函体部６の人
用エレベータ又は非常階段で地上へ戻る。自動車の出庫
時は逆のルートで他の螺旋道路を上昇し地上へ出る。

【００１３】図４及び図５は、上記図２及び図３実施例
における概略的なレイアウトの１例を示している。図４
において、函体部５は１階、２階の何れか函体部６は地
表レベルでの平面を示す。図において１４は函体部６の
地表の入口、１５、１６は入口１４に接続して設けた道
路と歩道、１２は左右各２車線の道路の正面で函体部６
内に配置されている人及び自動車用エレベータ、１７は
人用エレベーター、１８は非常階段、１９は機械室及び
管理棟用スペースである。入庫する自動車は入口１４で
１階又は２階を指定されてエレベータ１２に乗込み地下
の駐車場へ入る。地下函体部５内において矢印２０は車
の誘導標識、２１は駐車区画の表示線、２２は壁で区切
られた歩行道路である。エレベータ１２から函体部５内
の駐車場へ出た自動車は誘導標識２０に沿って右まわり
に移動して空いた区画２１へ車を駐車し、運転者は歩行
用道路２２を通り最側部通路２２から入口側へ歩き人用
エレベータ１７で地上へ出る。駐車場から出るときは人
用エレベータ１７で駐車場へ降り誘導標識２０沿いに車
を運転して出口用自動車エレベータ１２に乗って地上へ
出る。人用エレベータ１７場所への誘導標識も適宜に設
けられる。

【００１４】次に図５の例は、地上の車道１５に接続し
て出入用函体部６内に入庫用出庫用の一対の螺旋道路１
３、１３′を駐車場２階床まで連続して設けている。図
では駐車用函体部５は２階平面を示す。１３ａ、１３
ａ′は螺旋道路１３、１３′の２階床への入口と出口、
１３ｂは２階から１階への入口、１３ｃ′は１階から２
階への出口である。１階から２階への入口１３ｃは２階
出口１３ａ′の直下にまた２階から１階への出口１３
ｂ′は２階入口１３ａの直下で１階部に設けられてい
る。駐車区画内のレイアウトは上記入口、出口部の誘導
路配置が異なるが大部分は第４図の例と同様で良い。こ
のようなレイアウトは第１図の実施例にも組合せ適用で
きる。レイアウトはこのほか任意に構成されて良い。

【００１５】次に図６は、駐車用函体部５の断面構成の
１例を示す。函体部５は外側を鋼板で２３で形成し、内
側に鋼板の補強材あるいはスタッド２４を介し鉄筋２５
を入れたコンクリートの壁、天井、床、梁、柱等２６を
一体に形成したハイブリッド構造にし、駐車区画２１と
車道区画２０′には実に適当間隔で支柱２７を設ける。
歩行通路２２上部は給排気、給排水、消火管及び電線等
のダクトスペース２８とし、また函体部５の上面全体に
保護コンクリート層２９を設け、上部水面を使用する船
その地からの衝撃や洗掘などに備える。３０はスプリン
クラーを示す。

【００１６】上述した構成によると、広い面積を占める
駐車場の大部分を河川等の水底地下に収容し、その上部
水面を普通の状態と変りなく利用できるから水面及び陸
面を占有する割合いは著しく縮小され、用地不足、ある
いは環境上の駐車場建設阻害要因は解消され、広い駐車
場を建設し易くなる。また函体部５、６の浮力を埋戻し
土を上載してバランスさせ、固定設置する沈埋方式とす
ることにより、水底地盤の補強工事の必要もなく設置工
事が簡単になり、また再浮上させて他の場所へ移動し設
置することができる利点がある。

【００１７】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明
は、駐車場設備を河川等の陸岸に近い水底地下に沈埋工
法により設置され少なくとも一層の水平に拡がる駐車場
設備を内蔵する自動車駐車用函体部と、同函体部から延
長して陸上の出入り道路に接続し、人及び又は自動車の
出入り設備を内蔵している出入用函体部により構成した
ことにより、地上又は水面上に広い面積を占有しないで
広い駐車場設備を建設できるようにして用地不足や環境
上の阻害条件を解消し、工場で製作した函体を比較的水
深の小さい水底地下に地盤補強の必要なしに沈埋する易
しい設置作業のもとで建設できるものとした効果を奏
し、都市部等における駐車場不足の解決に役立つもので
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の沈埋式駐車場設備の第１実施例に係る
駐車場設備の全体概略説明図

【図２】本発明の第２の実施例に係る全体概略説明図

【図３】本発明の第３の実施例に係る全体概略説明図

【図４】図２に示す第２実施例における駐車場設備の水
平断面図

【図５】図に示す第３実施例における駐車場設備の水平
断面図

【図６】図４の６〜６線で示す断面の函体構成の一例を
示す図である。

【符号の説明】

１ 陸地 ２ 河川岸 ３ 水平土砂 ５ 自動車駐車用函体部 ６ 出入用函体部 ７、１５ 自動車出入り車道 ８ 排土区画 ９ 敷きならし面 １０ 人用出入口設備 １１ 桟橋 １２ 人荷兼用エレベータ １３ 螺旋状自動車出入道路 １４ 入口 １６ 歩道 １７ 人用エレベータ １８ 非常階段 １９ 機械室管理棟スペース ２１ 駐車区画 ２２ 歩行道路 ２８ ダクトスペース

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 河川、海、湖などの陸岸に近い水底地下
   に沈埋手段により設置され、少なくとも一層の水平に拡
   がる駐車場設備を内蔵する自動車駐車用函体部と、同函
   体部から延長して陸上の出入道路に接続し人及び／また
   は自動車の出入設備を内蔵している出入り用函体部によ
   り構成されることを特徴とする沈埋式駐車場設備。