JPH05320816A - 複合材料 - Google Patents

複合材料

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JPH05320816A
JPH05320816A JP15151092A JP15151092A JPH05320816A JP H05320816 A JPH05320816 A JP H05320816A JP 15151092 A JP15151092 A JP 15151092A JP 15151092 A JP15151092 A JP 15151092A JP H05320816 A JPH05320816 A JP H05320816A
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nib
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Noritoshi Horie
則俊 堀江
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】複硼化物−Ni合金系複合材料の特性を向上さ
せて、より広範な用途への適用と、耐久性の延長を可能
とする。 【構成】(Mo2 NiB2 )および/または((Mo、
W)2 NiB2 )からなる硬質相と、Moを固溶するN
i合金の金属結合相とから構成し、硬質相を30〜95
重量%とし、切断面で測定される硬質相の結晶粒子の平
均粒径を6μm以下とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属材料やタングステン
カーバイドコバルト系超硬合金などが強度を維持できな
い800℃の高温域においても優れた強度と硬度を保持
し、アルミニウムや亜鉛などの溶融金属に対して耐食性
を有し、ダイカスト用などの型材、加工用工具、摺動
材、機械部品などに好適な複合材料に関する。
【0002】
【従来の技術】モリブデンニッケル複硼化物(Mo2
iB2 )−ニッケル基合金系およびモリブデンタングス
テンニッケル複硼化物((Mo,W)2 NiB2 )−ニ
ッケル基合金系の複合材料は特公昭62−196353
号公報や特公昭63−143236号公報などにおいて
800℃という高温域においても優れた特性を維持する
複合材料として提案されている。
【0003】しかし、その製造方法はいずれも出発原料
であるMoB、Mo25 、NiB、MoあるいはBな
どの原料粉末を始めに最終組成となるように混合し、反
応焼結を伴う焼結プロセスによって最終的な複合材料と
されている。すなわち、従来の上記組成の複合材料は反
応焼結の結果として生成するMo2 NiB2 あるいは
(Mo,W)2 NiB2 を硬質相として含むものであ
る。
【0004】従来の技術による複合材料の焼結に伴う反
応を詳しく調べてみたところ、下記(1)〜(3)の反
応式からなる第1段階の反応と(4)の反応式の第2段
階の反応を経て焼結が進行していることが突き止められ
た。
【0005】ここで、先に挙げた出発原料の粉末が80
0〜1150℃において第1段階の反応により先ずMo
2 NiB2 もしくは(Mo,W)2 NiB2 からなる複
硼化物の硬質相が形成される。次に1200℃前後にお
いて第2段階の反応が始まり、この硬質相と残っている
モリブデンとニッケルとの間で共晶反応が起き、液相の
存在下で緻密化すなわち焼結が進行する。
【0006】第1段階の反応: MoB+Ni+Mo→Mo2 NiB2 +Ni+Mo・・
・・・・・(1) Mo+Ni+B→Mo2 NiB2 +Ni+Mo・・・・
・・・・・(2) Mo+NiB→Mo2 NiB2 +Ni+Mo・・・・・
・・・・・(3) 第2段階の反応: Mo2 NiB2 +Ni+Mo→Mo2 NiB2 +(M
o)Ni・・(4)
【0007】すなわち、従来の反応焼結による複合材料
の製造方法では、硬質相の結晶粒子の形成がこのように
2段階の反応を経て進行しており、最終的な焼結体中の
硬質相の結晶粒径、結晶粒子の形状およびその金属結合
相中における分散状態はこれらの反応によって規制され
ている。そして従来の反応焼結による製造方法では、こ
れらの反応が使用される原料粉末の性状と焼結時の温度
履歴(特に後者の影響が大きい)の要素により左右され
ていると推定している。しかし、これらの要素への依存
性を手がかりとし、原料粉末の粒子径の調整や焼成時の
温度制御などを種々試みても硬質相の結晶の分布状態や
異方的な結晶成長などを思うように制御することができ
なかった。
【0008】ここで異方的な結晶成長というのは、複硼
化物からなる硬質相結晶の生成時に、各結晶の成長面に
おける活性化エネルギーの差異によって特定方向への異
方的な結晶成長が生じる現象であり、その結果として複
硼化物結晶の成長が急速に進むとともに、柱状もしくは
板状をした硬質相の結晶が成長してアスペクト比(ここ
では焼結体の切断面に現れる組織で調べ、硬質相の結晶
粒子の断面の長径と短径を測定して長径/短径の比をア
スペクト比とする。)が大きい硬質相の結晶粒子が生
じ、複合材料の焼結体の材料特性を改善する上で障害と
なっていた。
【0009】つまり従来の複合材料においては、金属結
合相の合金組成と同様に複合材料の機械的特性に対して
影響が大きい硬質相の結晶粒子の粒径と形状およびその
分散状態の最適化制御はなされていなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は金属結合相の
成分とともに複合材料の材料特性を左右している複硼化
物からなる硬質相の結晶粒子と金属結合相の分布状態を
制御し、より微細な複硼化物結晶が均等に分散した緻密
な組織からなる複合材料とすることにより、従来の同じ
組成の複合材料と比べて顕著に優れた特性を有する複合
材料とその製造方法を提案するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は前述の課題を達
成すべくなされたものであり、本発明の複合材料は、モ
リブデンニッケル複硼化物(Mo2 NiB2 )および/
またはモリブデンタングステンニッケル複硼化物((M
o、W)2 NiB2 )からなる硬質相と、モリブデンを
固溶しているニッケル基合金の金属結合相とから構成さ
れ、硬質相を30重量%以上95重量%以下含み、切断
面で測定される硬質相の結晶粒子の平均粒径が6μm以
下であることを特徴とする。
【0012】本発明による複合材料は、従来の複合材料
の製造において採用されている反応焼結を避けて焼結を
行うことにより、複硼化物からなる硬質相の分散状態が
意図的に制御されたものである。すなわち、前記第1段
階の複硼化物の合成反応を原料を準備する段階で完結し
ておき、合成した複硼化物を粉砕して平均粒径が5μm
以下の粉末とし、これを焼結用の原料として使用して焼
結に伴う反応と異方的な結晶成長を抑制し、最終的に平
均結晶粒径が6μm以下である複硼化物の結晶粒子の分
散状態の良い微細で緻密な組織からなる高硬度、高強度
でかつ高靭性を有する複合材料を得るものである。
【0013】かくして複合材料の焼結時に生じる複硼化
物結晶の異方的な結晶成長を抑えて硬質相の結晶粒子の
分布状態を均等化し、かつ硬質相の結晶粒子の平均粒径
を6μm以下に制御することによって曲げ強度が210
kg/mm2 以上もしくは破壊靭性値が20MN/m
3/2 以上の複合材料を得ることができる。ここでいう平
均粒径は、材料の切断面に見られる硬質相の結晶粒子に
ついて光学顕微鏡やSEMなどによる観察を行い、切断
面に露出している硬質相結晶粒子の大きさを測定し、ア
スペクト比が1であると仮定して統計処理により求めた
複硼化物結晶の体積平均粒径である。
【0014】本発明の複合材料の好ましい態様では、硬
質相の結晶粒子のアスペクト比が1以上5以下となって
おり、焼結時におけるアスペクト比の増大を伴う反応焼
結による結晶成長を避け、かつ過剰な焼結の進行を避け
ることによって平均アスペクト比が5以下の強度と硬度
の大きい複合材料を得る。
【0015】本発明において、硬質相の結晶粒子の平均
アスペクト比は、複合材料の切断面に見られる硬質相の
結晶粒子の断面について測定し、その算術平均を求める
ことにより得られる値である。
【0016】本発明の複合材料の他の好ましい態様で
は、金属結合相中にタンタル(Ta)および/またはニ
オブ(Nb)が合せて0.5重量%以上10重量%以下
固溶されており、金属結合相中にTaやNbが固溶して
いることで金属結合相が強化されて強度と硬度、さらに
は靭性の優れた複合材料となっている。
【0017】これらの金属の固溶量は、金属結合相中に
合せて0.5重量%以上固溶しているとこれらの特性の
向上効果が確保でき、TaとNbを合せて10重量%以
上加えるとその一部分が金属結合相中に固溶できなくな
り、一部がTaやNbの化合物の形で合金中に残存す
る。この残存化合物は実質的に合金特性の向上に寄与し
ない。また、Ta、Nbは高価な原料であるため、必要
以上の添加を避けるのが好ましい。
【0018】本発明の複合材料の他の好ましい態様で
は、硬質相が50〜90重量%含まれており、複合材料
中の硬質相の含有量を50重量%以上とすることによっ
て実用性のある高い硬度が確保できるとともに、焼結体
の焼成時の歪みを小さくでき、90重量%以下の含有量
とすることによって緻密な焼結体を得ることができ、か
くして高い硬度、強度および靭性を有する複合材料を提
供することができる。
【0019】本発明による複合材料の製造方法は、概ね
Mo2 NiB2 または(Mo,W)2 NiB2 の組成と
なるように混合された原料粉末を1000〜1150℃
において反応させ、Mo2 NiB2 または(Mo,W)
2 NiB2 の化学式からなる複硼化物を合成し、この複
硼化物を粉砕して5μm以下の平均粒径を有する合成粉
末とし、この合成粉末30重量%以上95重量%以下
と、モリブデンを固溶しているニッケル基合金の金属結
合相となる金属粉末5重量%以上70重量%以下とを混
合して成形体とし、成形体を非酸化性雰囲気中において
1200℃以上1350℃以下の温度範囲で焼成するこ
とを特徴とする。
【0020】本発明による複合材料の製造方法では、こ
のように原料の準備段階で複硼化物を合成し、平均粒径
が5μm以下となるように粉砕した複硼化物結晶の粉末
に金属結合相となる金属粉末を混合して成形し、次いで
焼成して複合材料を得ている。すなわち、この手順を踏
むことによって前記第1段階の反応に伴う複硼化物結晶
の顕著な成長、さらには異方的な結晶成長を避け、複硼
化物の結晶粒子の平均粒径が小さく、アスペクト比が小
さい硬質相の結晶粒子が均一に分散された組織の焼結体
からなる複合材料を得ることができる。
【0021】平均粒径が5μm以下となるように粉砕さ
れた複硼化物結晶の粉末を使用することにより、複合材
料中の複硼化物結晶の平均粒径を6μm以下とすること
ができる。また、非酸化性雰囲気としてはアルゴン雰囲
気などの不活性ガス雰囲気、あるいは真空雰囲気とする
と再現性よく材料特性の優れた複合材料が得られるので
好ましい。
【0022】本発明による複合材料の製造方法を具体的
に説明すると、使用する出発原料は従来の製造方法の場
合と同様に、MoB、Mo25 、NiB、Mo、W、
Ni、およびBなどの原料粉末、つまりMo、Ni、W
およびB成分を複硼化物の化学組成となるように組み合
せることが可能な単体と化合物の粉末を使用し、これら
の出発原料を組み合せて複硼化物であるMo2 NiB2
もしくは(Mo,W)2 NiB2 を合成し得る組成の混
合粉体とする。
【0023】これらの出発原料の中で入手が可能なMo
Bなどの硼化物は必ずしも化学量論的組成のものとなっ
ていないので、使用に先立って成分分析を行い、所要の
組成になるように原料の配合をする。
【0024】反応式(1)〜(3)によって複硼化物を
合成する仮焼成の段階では、所定の組成となるように調
合した出発原料の混合粉末を、たとえばステンレス鋼製
のポットとステンレス鋼製のボールを用いる回転ボール
ミルや振動ミルに中に装入し、好ましくはエタノールや
アセトンなどの有機溶媒を分散媒として加えて混合と粉
砕を行い、次いでたとえばエバポレータによる減圧乾燥
により有機溶媒を除去する。そしてこの混合粉末を、好
ましくは成形体としてから、非酸化性雰囲気中もしくは
真空中で仮焼成して複硼化物を合成する。
【0025】この仮焼成では、混合粉末を成形体として
おくことによって粉末粒子の接触状態が良くなって複硼
化物の合成反応がより完全に進行する。仮焼成の温度に
は工程の次の段階との関係で適切な温度範囲が存在す
る。すなわち、仮焼成温度が1000℃より低いと複硼
化物の合成反応が不完全となりやすく、1150℃より
高いと粉末の焼結が進行して次の粉砕工程で手間がかか
り、粉砕機の器壁などから導入される好ましからざる不
純物の量が増加することになる。このため仮焼成の温度
は1000〜1150℃に設定するのが好ましい。仮焼
成の保持時間は処理温度や成形体の大きさにもよるが通
常120分程度とされる。
【0026】次に得られた合成複硼化物の固まりを5μ
m以下の平均粒径となるように粉砕するが、粉砕には回
転ボールミル、振動ミル、アトリションミルなどの各種
の粉砕機が使用できる。
【0027】この段階の合成粉末の平均粒径は1〜4μ
mとするのが好ましい。平均粒径を1μm以上とするこ
とによって粉砕時間を実用的な時間内にとどめることが
でき、不純物の混入量も多くならずに済み、成形体の密
度もあまり小さくならないので焼成収縮がそれほど大き
くならず、焼結体のひずみも小さくて済む。また、平均
粒径を4μm以下とすることによって、微細で均等な組
織を有し、材料特性の優れた複合材料を得ることができ
る。
【0028】この粉砕は合成された複硼化物粉末の酸化
が防げ、かつ粉砕の効率の良い湿式粉砕(エタノールや
アセトンなどの有機溶媒を分散媒に使用)とするのが好
ましい。有機溶媒を分散媒として使用する代りに、不活
性ガス雰囲気中において混合粉砕を行って酸化を防ぐ方
法もある。
【0029】粉砕中の機器、つまりポットやボールなど
からの不純物の混入は(ステンレス鋼の機器からは鉄や
クロムが不純物として導入される)少量であればそのま
までも特に問題とならないが、多い場合には除去を必要
とし、その除去の手間を考慮すると、これらの粉砕され
る原料と同じ材質もしくは類似の材質からなる機器を使
用して混合粉砕を行うことが好ましい。一方、ステンレ
ス鋼製の機器から導入される不純物は粉砕後酸洗いによ
って除去することができ、除去すれば不純物の混入によ
る材料特性の劣化の問題は避けられる。
【0030】次に平均粒径が5μm以下となるように微
粉砕された複硼化物の原料粉末に金属結合相の成分であ
るNi、Mo、Ta、Nbなどの粉末を所定量配合し、
再びエタノールなどの分散媒とともに回転ボールミル中
で混合粉砕し、次いでエバポレータやスプレードライヤ
ーなどで乾燥し、乾燥された粉末を好ましくは篩に通し
て成形用の原料粉体とする。次いでラバープレスなどで
成形し、必要な場合には生加工を行って所望の形状を有
する成形体とする。ここまでの一連の手順は先に述べた
複硼化物を合成する手順とほぼ同じである。
【0031】成形体の最適焼成条件は、配合された硬質
相となる複硼化物の量と金属結合相の量との比率によっ
て多少異なるが、最高焼成温度を1200〜1350℃
に設定すると、硬質相の結晶粒子が小さくて分散状態が
良く、材料特性の優れた複合材料が得られる。最高焼成
温度が1200℃より低いと焼結が進み難く緻密な焼結
体となりにくい。最高焼成温度が1350℃超では結晶
成長が進みやすくなり、材料特性が劣化したり、焼結体
が変形する傾向があって好ましくない。最高焼成温度に
おける保持時間は温度と成形体形状により適宜決定さ
れ、温度が低いと保持時間を長くする必要があり、肉厚
の薄いものでは保持時間を短くできる。
【0032】硬質相の割合が30重量%未満であると共
晶反応温度(液相出現温度)以上で液相が多く生成する
ので焼結が進みやすくなるが、焼結体が変形しやすく寸
法精度の良い焼結体を得難い。焼結体のままで寸法精度
を良くして仕上げ加工の手間を省くためには、硬質相の
量を50重量%以上とするのが好ましい。
【0033】一方、硬質相を95重量%超含む焼結体で
は、焼結時に硬質相の粒子が互いに接触し合って金属結
合相が硬質相を取り囲むのが難しくなるので緻密化が進
みにくくなり、強度と靭性が比較的小さい焼結体となり
やすい。充分に緻密化して特性の優れた複合材を得るに
は、好ましくは硬質相を90重量%以下とする。
【0034】以上に説明した方法により得られる複合材
料は複硼化物からなる硬質相の6μm以下の結晶粒子が
金属結合相中に均等に分布した緻密な組織となり、この
組織によって室温での材料特性のみならず高温における
材料特性が顕著に向上し、室温および高温において硬
度、強度、靭性などが要求されるより広範な用途への使
用が可能となった。本発明の複合材料は、特に溶融アル
ミニウムの成形加工、たとえばダイカスト成形機の部材
として好ましい性質を有している。
【0035】以下、本発明を実施例によって具体的に説
明するが、本発明は以下の実施例によってなんら限定さ
れるものではない。
【0036】
【実施例】
試験例1、2 入手した出発原料のMoB粉末のB含有量は10.13
重量%で、化学量論比よりMoが若干少ないものであっ
た。原料を分析して配合計算を行い、MoB粉末77.
042重量%、Mo粉末1.387重量%、Ni粉末2
1.572重量%を配合し、ステンレス鋼製のポット
(容量1リットル)とボールを使用して、分散媒にエタ
ノールを用い、回転ボールミルにて5時間の混合粉砕を
行った。
【0037】混合粉砕した粉末をエバポレータにより減
圧下で乾燥し、取り出して篩を通し、成形型に入れて2
00kg/cm2 でプレス成形し、概ね40mm×30
mm×20mmの成形体とした。この成形体を真空炉中
に入れ、1100℃において2時間の仮焼成を行い、複
硼化物を合成した。
【0038】合成された複硼化物は粉末X線回折法によ
りほとんどMo2 NiB2 の複硼化物のみからなること
が確認された。また、化学分析により主たる混入不純物
と考えられる鉄を分析したところ、機器からの鉄の混入
量は0.03重量%以下であり、除去処理は不要と判断
した。次に、得られた複硼化物を乳鉢中で粗砕きし、バ
ッチ量0.4kgの73.8重量%分の粗砕き複硼化物
を秤取して前記回転ボールミルに入れ、エタノールを分
散媒として48時間の粉砕を行った。得られた粉末を少
量取り出して粒度分布を調べたところ、粉末のレーザ散
乱法による累積重量平均粒径は3.2μmであった。
【0039】次に金属結合部となるMo粉末7.1重量
%分とNi粉末19.1重量%分とを回転ボールミル中
に追加し、引き続いてエタノール中で48時間粉砕し、
エバポレータで減圧乾燥後、150メッシュの篩を通し
て成形用の原料粉末とし、この原料粉末をゴム製の型に
入れてCIPにより1500kg/cm2 の圧力で成形
し、真空雰囲気の焼成炉中で1290℃において1時間
焼成し、概ね30mm×25mm×10mmの焼結体を
得た。
【0040】得られた焼結体を切断して試験片とし、試
験片の表面(焼結体の切断面)を鏡面に研磨し、塩酸酸
性の塩化第二鉄水溶液で表面をエッチングし、この表面
のSEM写真を撮った。得られた写真上で複硼化物結晶
(硬質相)が切断された表面に露出している面積の比率
から硬質相の体積%を求めたところ約87体積%であっ
た。硬質相の比重と金属結合相の比重(いずれも固溶し
ている元素の種類と量によって変化するが概ね等しい)
を同じであると仮定し、複合材料中の硬質相の割合は約
87重量%であると見積もられた。
【0041】また、得られた試験例1の焼結体(実施
例)の断面の組織を調べたところ複硼化物の結晶粒子の
平均粒径は4μmで、平均アスペクト比が2.5の均一
な組織を有するものであった。
【0042】また、複合材料の特性を従来の反応焼結法
により同じ温度で焼成して得た試験例2の複合材料の焼
結体(比較例)の結果と比較して表1に示した。これら
の結果から試験例1(実施例)の複合材料の特性は結晶
粒径が大きくアスペクト比が大きい従来の方法による複
合材料の焼結体と比較して顕著に材料特性が優れている
ことが分かる。
【0043】なお、以下の表に示す曲げ強度は超硬合金
の評価に一般的に適用されているCIS法に準拠して測
定したものであり、破壊靭性はシェブロンノッチ法によ
って測定されたもの、硬度はビッカース硬度計によって
測定したものである。
【0044】
【表1】
【0045】試験例3〜12 奇数番号の試験例(実施例)では試験例1と同様にし
て、先ず出発原料を複硼化物の組成比を有する調合のバ
ッチとして混合粉砕し、成形後仮焼成して複硼化物を合
成し、これをエタノールを分散媒として2μm以下に湿
式粉砕してから、これに全体の組成が表2に示す組成と
なるように金属粉末を加え、さらに混合粉砕してから減
圧下で乾燥し、150メッシュの篩を通して成形用の原
料粉末とした。この原料粉末を2000kg/cm2
ラバープレス成形し、1265℃において2時間焼成し
て概ね50mm×50mm×15mmの試験片を得た。
【0046】偶数番号の試験例(比較例)では前記実施
例と同じ組成の複合材料を従来の反応焼結法で製作し
た。すなわち、最初に最終組成の配合組成で出発原料を
湿式で混合粉砕し、ラバープレス成形後前記と同じ条件
で焼成し、概ね同じ寸法の焼結体を得た。
【0047】
【表2】
【0048】得られたそれぞれの複合材料の焼結体を切
断して試験片を作成し、試験例1と同じ方法で調べた結
果を表3にまとめて示す。これらの結果から、本発明に
よる複合材料が、6μm以下の平均結晶粒径を有する複
硼化物を硬質相として含み、硬度も曲げ強度も顕著に優
れていることが分かる。また、NbとTaを金属結合相
中に含む複合材料の特性が特に優れていることも明らか
である。
【0049】
【表3】
【0050】
【発明の効果】従来からWC−Co系の超硬合金と比べ
て高温域(〜800℃)での特性が優れていることが知
られているモリブデンニッケル硼化物−ニッケル合金系
あるいはモリブデンタングステンニッケル複硼化物−ニ
ッケル合金系の複合材料について、本発明では従来の複
合材料では達成されていなかった組織の制御を行って顕
著な材料特性の向上に成功した。
【0051】本発明の複合材料を使用すると、アルミニ
ウム、亜鉛などの溶融非鉄金属用の成形型やその周辺部
材、各種金属材料の熱間、温間および冷間域での鍛造、
圧延、押出しもしくは引抜き用の耐摩耗、耐衝撃性、耐
熱衝撃性を要する金属加工用部材などの耐用が顕著に向
上する他、従来の複合材料では使用できなかった箇所の
部材としても使用できるようになった。
【0052】したがって、本発明の複合材料を各種工具
や型その他の部材として使用することで金属製品、特に
アルミニウムを始めとする非鉄金属製品の品質、生産性
および歩留りの顕著な向上、製造コストの低減などがも
たらされ、その産業上の利用価値は多大である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】モリブデンニッケル複硼化物(Mo2 Ni
    2 )および/またはモリブデンタングステンニッケル
    複硼化物((Mo、W)2 NiB2 )からなる硬質相
    と、モリブデンを固溶しているニッケル基合金の金属結
    合相とから構成され、硬質相を30重量%以上95重量
    %以下含み、切断面で測定される硬質相の結晶粒子の平
    均粒径が6μm以下であることを特徴とする複合材料。
  2. 【請求項2】請求項1において、複合材料の切断面で測
    定される硬質相の結晶粒子の平均アスペクト比(長径/
    短径の比の平均値)が1以上5以下である複合材料。
  3. 【請求項3】請求項1または2において、金属結合相中
    にタンタル(Ta)および/またはニオブ(Nb)を合
    わせて0.5重量%以上10重量%以下含む複合材料。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれか一つにおいて、該
    硬質相を50重量%以上90重量%以下含む複合材料。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれか一つにおいて、曲
    げ強度が210kg/mm2 以上である複合材料。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれか一つの複合材料を
    使用して作られた溶融アルミニウム製品成形用の部材。
  7. 【請求項7】概ねMo2 NiB2 または(Mo,W)2
    NiB2 の組成となるように混合された原料粉末を10
    00〜1150℃において反応させ、Mo2 NiB2
    たは(Mo,W)2 NiB2 の化学式からなる複硼化物
    を合成し、この複硼化物を粉砕して5μm以下の平均粒
    径を有する合成粉末とし、この合成粉末30重量%以上
    95重量%以下と、モリブデンを固溶しているニッケル
    基合金の金属結合相となる金属粉末5重量%以上70重
    量%以下とを混合して成形体とし、成形体を非酸化性雰
    囲気中において1200℃以上1350℃以下の温度範
    囲で焼成することを特徴とする複合材料の製造方法。
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