JPH05319871A - 混合被膜付きガラス及びその製造方法 - Google Patents

混合被膜付きガラス及びその製造方法

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JPH05319871A
JPH05319871A JP13083892A JP13083892A JPH05319871A JP H05319871 A JPH05319871 A JP H05319871A JP 13083892 A JP13083892 A JP 13083892A JP 13083892 A JP13083892 A JP 13083892A JP H05319871 A JPH05319871 A JP H05319871A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ガラス基材上に密着性に優れた撥水性を有する
被膜を形成する。 【構成】ガラス基材1表面に、蒸着法により少なくとも
金属酸化物と炭素、もしくは、少なくとも金属酸化物と
炭素とフッ素が混合してなる撥水性を有する混合被膜2
を形成させ、前記ガラス基材1と前記混合被膜2の界面
において、前記混合被膜における前記金属酸化物のモル
分率が5%以上であることを特徴とする混合被膜付きガ
ラスおよびその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガラス基材上に形成さ
れる、撥水性被膜に関するものであり、例えば、撥水ガ
ラスとして用いることができる。
【0002】
【従来の技術】従来、ガラスや反応管等に撥水性を持た
せる場合に、炭素やフッ素をガラス表面に被覆させてい
た。例えば特開平2−188447号公報においては、
ガラス表面を水素ガスで還元処理した後に、炭素膜形成
原料を含むキャリアガスをガラス表面に供給して、炭素
被膜を形成する方法を開示している。
【0003】
【発明が解決する課題】しかし、上記方法においてはガ
ラス基材と炭素被膜の密着性が十分ではなく、炭素被膜
が剥離しやすいという欠点がある。密着性が優れないの
は、ガラス基材と炭素が分子間力で結合しているためで
あると考えられる。そこで本発明においては、ガラス基
材と混合被膜を分子間力より大きい結合力を有する共有
結合で結合することにより、ガラス基材と混合被膜との
密着性を向上させることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の混合被膜付きガ
ラスは、ガラス基材表面に、少なくとも金属酸化物と炭
素、もしくは、少なくとも金属酸化物と炭素とフッ素が
混合してなる撥水性を有する混合被膜を形成させ、前記
ガラス基材と前記混合被膜の界面において、前記混合被
膜における前記金属酸化物のモル分率が5%以上である
ことを特徴とし、さらに本発明に係る製造方法は蒸着法
であることを特徴とする。ここでガラス基材というの
は、成分中に金属酸化物を有するものとし、例えばホウ
ケイ酸ガラス、ソーダライムガラス等からなるものを採
用することができる。また、混合被膜中の金属酸化物と
しては、SiO2 、TiO2 、ZrO2 、Y 2 3 、A
2 3 、PbO、CaO、MgO、B2 3 、Fe2
3 、Na2O 、K2 O、Li2 O等の一種または二
種以上を採用することができる。なお、モル分率は物質
系の組成を表す量で、1成分のモル数と全成分のモル数
との比をその1成分のモル分率という。各成分のモル分
率の総和は1(100%)に等しい。また、蒸着法と
は、化学蒸着法(CVD)や、イオンプレーティングや
真空蒸着等の物理蒸着法(PVD)である。
【0005】
【作用】本発明において、基材となるガラスと、ガラス
基材表面に形成される混合被膜は、金属酸化物を含有し
ており、ガラス基材と混合被膜の界面における結合状態
は、混合被膜中の金属と、基材中の金属が酸素を介して
共有結合をしていると考えられる。よってガラス基材と
混合被膜は強い結合力を示すのである。
【0006】
【実施例】以下本発明を具体化した実施例を図面を参照
しつつ説明する。 (実施例1)2元RFマグネトロンスパッタリング装置
の真空槽にSiO2 とCの2つのターゲットを備えると
ともに、被膜基材としてソーダライムガラスも装備し
た。そして、その真空槽を2×10-3Pa以下まで真空
引きし、ソーダライムガラスを300℃まで加熱した。
次いでArガスを真空槽内の圧力が0.1Paになるよ
うに導入し、各ターゲットに電圧を図2に示すように印
加し、スパッタリング成膜を行った。このようにして図
1に示すように、ソーダライムガラス1上にSi、O、
C、混合被膜2を得た。
【0007】この混合被膜付きガラスの表面から深さ方
向のSi、O、C、をAES(オージェ電子分光分析)
により定量分析した結果を図3に示す。図3は、混合被
膜最表面からの距離(nm)と、各原子の原子濃度(a
t%)との関係を示しており、ソーダライムガラス上に
約60nmのSi、O、C混合被膜が形成されているこ
とがわかる。尚、ガラス基材と混合被膜界面において炭
素のモル分率は55%であり、SiO2 のモル分率は4
5%である。この混合被膜付きガラスに水滴を落とし、
混合被膜付きガラスと水滴との接触角を調べたところ8
0度であり、良好な撥水性能を示した。また、この混合
被膜とソーダライムガラスとの密着性を調べるために、
混合被膜付きガラスの表面を、300g/cm2 の荷重を
かけながら、乾燥したネル布で3000往復摩擦する条
件で堅牢度試験をおこなった。その結果、3000往復
の摩擦条件で、乾燥したネル布により擦った膜は、試験
前と比べ何ら変化はみられず、密着性が良好であること
が示された。ところでこの膜の可視光線透過率は85%
と非常に高い値を示している。 (試験1)実施例1は、炭素の原子濃度が20at%で
一定であるが、一定とする炭素の原子濃度を変えた種々
の混合被膜を形成するため、種々のRF電力を設定し、
いずれも膜厚を100nmにすること以外は実施例1と
同様にし、スパッタリング成膜を行った。そしてそれぞ
れの混合被膜の可視光線透過率を調べその結果を図4に
示す。図4より、本試験のような条件のもとでは、一定
とする炭素原子濃度が70%以下で、可視光線透過率が
70%以上となり、自動車における安全性の面から視認
性を確保するのに必要とされる規格値に適合する。つま
り炭素濃度が低いほど、透光性に優れることがわかる。 (実施例2)RF電力を60分間印加すること以外は実
施例1と同様にしてスパッタリング成膜を行いソーダラ
イムガラス上に約190nmのSi、O、C混合被膜を
得た。この厚膜の可視光線透過率は70%を示してい
る。本実施例のように混合被膜中に含まれる金属酸化物
が透光性を有していて、透光性に優れない炭素濃度を低
くした混合被膜を形成した場合、透光性を維持しつつ、
非常に膜厚を厚くすることができるために、耐摩耗性に
優れた撥水性を有するガラスの作製が可能となる。 (比較例)比較のため、ターゲットをCのみとすること
以外は実施例1と同様にして、スパッタリング成膜を1
0分間行い、炭素被膜付きガラスを得た。こうして得ら
れた炭素被膜付きガラスの表面から、深さ方向のC、S
i、OをAESにより定量分析したところ、図5に示す
ソーダライムガラス上にほとんど直接的に約20nmの
炭素被膜が形成されていた。この炭素被膜付きガラスと
水滴水滴との接触角を実施例1と同様にして調べたとこ
ろ、90度の接触角であり、良好な撥水性を示した。ま
た、この炭素被膜付きガラスの表面を、実施例1と同様
にして堅牢度試験を行った。その結果、50往復目に全
ての炭素被膜が剥離し、接触角は50度となった。 (試験2)ソーダライムガラスと混合被膜との界面にお
ける、混合被膜中の金属酸化物のモル濃度が異なった種
々の試料を得るために、RF電力(W)を異ならせるこ
とで、混合被膜中のC、Si、Oの存在比を変化させ、
他は実施例1と同様にして、スパッタリング成膜を行っ
た。このようにして得られた種々の試料を用いて、実施
例1と同様な堅牢度試験を行った前後の接触角を測定し
た結果を図6に示す。図6の混合被膜中のSiO2 のモ
ル分率が20%にいたるまでは、堅牢度試験の前後にお
いて接触角が小さくなっている。これは、基材と混合被
膜との密着性が十分ではなく、堅牢度試験によって混合
被膜が剥離したためと考えられる。また、混合被膜中の
SiO2 のモル分率が70%を超えても接触角が小さく
なっているが、これは混合被膜中における撥水性を有す
る元素である炭素のモル分率が低くなったためである。
よって、SiO2 つまり金属酸化物のモル分率が5%以
上で良好な密着性が得られ、さらに好ましくは20%以
上で得られ、炭素のモル分率が10%以上、さらに好ま
しくは30%以上において最も良好な撥水性を示す。 (実施例3)この混合被膜付きガラスは、実施例1のも
のとRF電力を異ならせて得たものである。他の構成は
実施例1と同様である。すなわち、この混合被膜付きガ
ラスでは、図7に示すようにRF電力(W)を時間とと
もに変化させ、スパッタリング成膜を行った。こうして
得られた混合被膜付きガラスの表面から深さ方向のC、
Si、OをAESにより定量分析したところ、図8に示
すように、ガラス基材上に約60nmのC、Si、Oの
混合被膜が形成されていた。またこの図から、混合被膜
表面に向かい炭素濃度が増加していることがわかる。
尚、ガラス基材と混合被膜界面において、炭素のモル分
率は36.3%であり、SiO2 のモル分率は63.6
%である。この混合被膜付きガラスと水滴との接触角を
実施例1と同様にして調べたところ85度であり、実施
例1より良好な撥水性能を示した。これは、混合被膜表
面に向かうにつれ撥水性を有する元素である炭素濃度が
高くなっているためである。また、密着性についても実
施例1と同様にして堅牢度試験を行い調べた結果、試験
前後において混合被膜に変化は見られず、密着性が良好
であることが示された。また、この混合被膜付きガラス
の可視光線透過率は75%と非常に高い値を示してい
る。本実施例のように、ガラス基材と混合被膜の界面で
は金属酸化物の濃度を高くし、混合被膜表面では炭素濃
度を高くするような、元素に濃度勾配をもたせる構成に
することにより、密着性に優れかつ、撥水性に優れる混
合被膜をガラス基材上に得ることができる。 (実施例4)2元RFマグネトロンスパッタリング装置
の真空層にSiO2 とCの2つのターゲットを備えると
ともに、ソーダライムガラスも装備した。そして、その
真空層を2×10-3Pa以下まで真空引きし、ソーダラ
イムガラスを300℃に加熱した。次いでArガス中に
CF4 ガスを20vol%混合させた混合ガスを真空層
内の圧力が0.1Paになるように導入し、各ターゲッ
トに電圧を図9に示すように印加し、スパッタリング成
膜を行った。このようにしてソーダライムガラス上にS
i、O、C、F混合被膜を得た。
【0008】この混合被膜付きガラスの表面から深さ方
向のSi、O、C、FをAES(オージェ電子分光分
析)により定量分析したところ、図10に示すように、
ソーダライムガラス上に約60nmのSi、O、C、F
の混合被膜が形成されていた。尚、ガラス基材と混合被
膜の界面において、炭素のモル分率は28%で、フッ素
のモル分率は50%で、SiO2 のモル分率は20%で
ある。この混合被膜付きガラスと水滴との接触角を実施
例1と同様にして調べたところ100度であり、良好な
撥水性能を示した。一般にフッ素のみでは良好な撥水性
能は得られないが、混合被膜中にフッ素と炭素を共存さ
せることで、相乗効果により撥水性能が高められるので
ある。また、密着性についても実施例1と同様にして堅
牢度試験をおこない調べた結果、試験前後において混合
被膜に変化は見られず、密着性が良好であることが示さ
れた。ところでこの膜の可視光線透過率は85%と非常
に高い値を示している。 (実施例5)RF電力を65分間印加すること以外は実
施例4と同様にしてスパッタリング成膜を行いソーダラ
イムガラス上に約200nmのSi、O、C、F混合被
膜を得た。そしてこの厚膜の可視光線透過率は70%を
示している。試験1では、炭素濃度を高くするほど透光
性が劣ることを示したが、フッ素においても同様のこと
が考えられる。本実施例のような混合被膜中に含まれる
金属酸化物が透光性を有していて、透光性に優れない炭
素及びフッ素濃度を低くした混合被膜を形成した場合、
透光性を維持しつつ、非常に膜厚を厚くすることができ
るために、耐摩耗性に優れた撥水性を有するガラスの作
製が可能となる。 (試験3)ソーダライムガラスと混合被膜との界面にお
ける、混合被膜中の金属酸化物のモル分率が異なった種
々の試料を得るために、RF電力(W)を異ならせるこ
とで、混合被膜中のC、Si、Oの存在比を変化させ、
他は実施例3と同様にして、スパッタリング成膜を行っ
た。このようにして得られた種々の試料を用いて、実施
例1と同様な堅牢度試験を行った前後の接触角を測定し
た結果を図11に示す。図11の混合被膜中のSiO2
のモル分率が20%にいたるまでは、堅牢度試験の前後
において接触角が小さくなっている。これは、基材と混
合被膜との密着性が十分ではなく、堅牢度試験によって
混合被膜が剥離したためと考えられる。また、混合被膜
中のSiO2 のモル分率が75%を超えても接触角が小
さくなっているが、これは混合被膜中における撥水性を
有する元素である炭素とフッ素のモル分率が低くなった
ためである。よって、SiO2 つまり金属酸化物のモル
分率が5%以上で良好な密着性が得られ、さらに好まし
くは20%以上で得られ、炭素とフッ素のモル分率の和
が5%以上、さらに好ましくは25%以上において最も
良好な撥水性を示す。 (実施例6)この混合被膜付きガラスは、実施例4のも
のとRF電力を異ならせて得たものである。他の構成は
実施例4と同様である。すなわち、この混合被膜付きガ
ラスでは、図12に示すようにRF電力(W)を時間と
ともに変化させ、スパッタリング成膜を行った。こうし
て得られた混合被膜付きガラスの表面から深さ方向の
C、Si、O、FをAESにより定量分析したところ、
図13に示すように、ガラス基材上に約60nmのC、
Si、O、Fの混合被膜が形成されていた。またこの図
から、混合被膜表面に向かい炭素濃度が増加しているこ
とがわかる。尚、ガラス基材と混合被膜の界面における
炭素のモル分率は10.6%で、フッ素のモル分率は3
1.9%で、SiO2 のモル分率は57.4%である。
この混合薄膜付きガラスと水滴との接触角を実施例1と
同様にして調べたところ110度であり、良好な撥水性
能を示した。これは、混合被膜表面に向かうにつれ撥水
性を有する元素である炭素濃度が高くなっているためで
ある。また、密着性についても実施例1と同様にして堅
牢度試験を行い調べた結果、試験前後において混合被膜
に変化は見られず、密着性が良好であることが示され
た。また、この混合被膜付きガラスの可視光線透過率は
80%と非常に高い値を示している。本実施例のよう
に、ガラス基材と混合被膜の界面では金属酸化物の濃度
を高くし、混合被膜表面では炭素濃度を高くするよう
な、元素に濃度勾配をもたせる構成にすることにより、
密着性に優れかつ、撥水性に優れる混合被膜をガラス基
材上に得ることができる。 (実施例7)蒸発るつぼを2個備えた2元RFイオンプ
レーティング装置の真空層にSiO 2 とCの蒸発材料を
備えるとともに、被膜基材としてソーダライムガラスも
装備した。そして、その真空槽を2×10-3Pa以下ま
で真空引きし、ソーダライムガラスを300℃まで加熱
した。次いでArガスを2×10-1Paになるように導
入し、更に、CF4 ガスを3×10-1Paになるように
導入し、RFコイルに300Wの電力を投入しプラズマ
を発生させた。次に、電子銃に10KVの電圧を印加
し、各蒸発材料に対して図14に示すようにビーム電流
を変化させ、成膜を行った。このようにしてソーダライ
ムガラス上にSi、O、C、F混合被膜を得た。この混
合被膜付きガラスの表面から深さ方向のSi、O、C、
FをAESにより定量分析したところ、図15に示すよ
うにソーダライムガラス上に約50nmのSi、O、
C、F混合被膜の混合被膜が形成されていた。尚、ガラ
ス基材と混合被膜の界面において、炭素のモル分率は2
8%で、フッ素のモル分率は50%で、SiO2 のモル
分率は22%である。この混合被膜付きガラスと水滴と
の接触角を実施例1と同様にして調べたところ100度
であり、良好な撥水性能を示した。また、密着性につい
ても実施例1と同様にして堅牢度試験をおこない調べた
結果、試験前後において混合被膜に変化は見られず、イ
オンプレーティングによって形成された混合被膜におい
ても密着性が良好であることが示された。ところでこの
膜の可視光線透過率は85%と非常に高い値を示してい
る。 (実施例8)2元RFマグネトロッスパッタリング装置
の真空槽にTiO2 とCの2つのターゲットを備えると
ともに、被膜基材として透明石英ガラスも装備した。そ
して、その真空槽を2×10-3Pa以下まで真空引き
し、透明石英を300℃まで加熱した。次いで、Arガ
ス中にCF4 ガスを20vol%混合させた混合ガスを
真空槽内の圧力が0.1Paになるように導入し、各タ
ーゲットに電圧を図16に示すように印加し、スパッタ
リング成膜を行った。このようにして透明石英上にT
i、O、C、F混合被膜を得た。この混合被膜付きガラ
スの表面から深さ方向のTi、O、C、FをAESによ
り定量分析したところ、図17に示すように、透明石英
ガラス上に約50nmのTi、O、C、Fの混合被膜が
形成されていた。尚、透明石英ガラスと混合被膜の界面
において、炭素のモル分率は25%で、フッ素のモル分
率は67%で、TiO2 のモル分率は8%である。この
混合被膜付きガラスと水滴との接触角を実施例1と同様
にして調べたところ105度であり、良好な撥水性能を
示した。また、密着性についても実施例1と同様にして
堅牢度試験をおこない調べた結果、試験前後において混
合被膜に変化は見られず、TiO2 のターゲットを用い
た場合も密着性が良好であることが示された。ところで
この膜の可視光線透過率は80%と非常に高い値を示し
ている。
【0009】混合被膜中の元素濃度は実施例に限られ
ず、種々に設定することにより、用途に応じた混合被膜
付きガラスが得られる。本実施例では混合被膜はいずれ
も実質的に金属酸化物と炭素、あるいは金属酸化物と炭
素とフッ素からなるが、密着性や撥水性を阻害しない限
り他の元素が添加されていても良い。
【0010】
【発明の効果】以上詳述したように、金属酸化物と炭
素、もしくは金属酸化物と炭素とフッ素を含有する混合
被膜は、撥水性を有するうえガラス基材との密着性が優
れるため、ガラス基材はこのような混合被膜を被覆する
ことにより、剥離しにくい撥水性を有する膜を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の混合被膜付きガラスの断面図であ
る。
【図2】 実施例1に係る成膜時間とRF電力との関係
を示すグラフである。
【図3】 実施例1に係る混合被膜最表面からの距離と
原子濃度との関係を示すグラフである。
【図4】 試験1に係る炭素濃度と可視光線透過率との
関係を示すグラフである。
【図5】 比較例に係る炭素被膜最表面からの距離と原
子濃度との関係を示すグラフである。
【図6】 試験1に係り、混合被膜中におけるSiO2
のモル分率と堅牢度試験前後の接触角との関係を示すグ
ラフである。
【図7】 実施例3に係る成膜時間とRF電力との関係
を示すグラフである。
【図8】 実施例3に係る混合被膜最表面からの距離と
原子濃度との関係を示すグラフである。
【図9】 実施例4に係る成膜時間とRF電力との関係
を示すグラフである。
【図10】実施例4に係る混合被膜最表面からの距離と
原子濃度との関係を示すグラフである。
【図11】試験2に係り、混合被膜中におけるSiO2
のモル分率と堅牢度試験前後の接触角との関係を示すグ
ラフである。
【図12】実施例6に係る成膜時間とRF電力との関係
を示すグラフである。
【図13】実施例6に係る混合被膜最表面からの距離と
原子濃度との関係を示すグラフである。
【図14】実施例7に係る成膜時間とビーム電流との関
係を示すグラフである。
【図15】実施例7に係る混合被膜最表面からの距離と
原子濃度との関係を示すグラフである。
【図16】実施例8に係る成膜時間とRF電力との関係
を示すグラフである。
【図17】実施例8に係る混合被膜最表面からの距離と
原子濃度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1・・・ガラス基材 2・・・混合被膜

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス基材表面に、少なくとも金属酸化
    物と炭素が混合してなる撥水性を有する混合被膜を形成
    させ、前記ガラス基材と前記混合被膜の界面において、
    前記混合被膜における前記金属酸化物のモル分率が5%
    以上であることを特徴とする混合被膜付きガラス。
  2. 【請求項2】 ガラス基材表面に、少なくとも金属酸化
    物と炭素とフッ素が混合してなる撥水性を有する混合被
    膜を形成させ、前記ガラス基材と前記混合被膜の界面に
    おいて、前記混合被膜における前記金属酸化物のモル分
    率が5%以上であることを特徴とする混合被膜付きガラ
    ス。
  3. 【請求項3】 ガラス基材表面に、少なくとも金属酸化
    物と炭素が混合してなる撥水性を有する混合被膜を蒸着
    法により得ることを特徴とする請求項1記載の混合被膜
    付きガラスの製造方法。
  4. 【請求項4】 ガラス基材表面に、少なくとも金属酸化
    物と炭素とフッ素が混合してなる撥水性を有する混合被
    膜を蒸着法により得ることを特徴とする請求項2記載の
    混合被膜付きガラスの製造方法。
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