JPH05318171A - 熱交換器用アルミニウム合金複合材 - Google Patents
熱交換器用アルミニウム合金複合材Info
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- JPH05318171A JPH05318171A JP14634792A JP14634792A JPH05318171A JP H05318171 A JPH05318171 A JP H05318171A JP 14634792 A JP14634792 A JP 14634792A JP 14634792 A JP14634792 A JP 14634792A JP H05318171 A JPH05318171 A JP H05318171A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 芯材がＺｎ：０．１〜１．５％（重量％、以
下同じ）、Ｃｕ：０．２〜１．０％及びＭｎ：０．２〜
２．０％を含み、残部アルミニウム及び不可避不純物か
らなるアルミニウム合金で、その片面にＡｌ−Ｓｉ系ろ
う材をクラッドし、反対面に犠牲層となるアルミニウム
合金皮材をクラッドした熱交換器用アルミニウム合金複
合材である。 【効果】 このアルミニウム合金複合材は高強度で耐食
性も向上しており薄肉軽量化およびコストダウンに好適
である。
下同じ）、Ｃｕ：０．２〜１．０％及びＭｎ：０．２〜
２．０％を含み、残部アルミニウム及び不可避不純物か
らなるアルミニウム合金で、その片面にＡｌ−Ｓｉ系ろ
う材をクラッドし、反対面に犠牲層となるアルミニウム
合金皮材をクラッドした熱交換器用アルミニウム合金複
合材である。 【効果】 このアルミニウム合金複合材は高強度で耐食
性も向上しており薄肉軽量化およびコストダウンに好適
である。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、不活性雰囲気ろう付法
により製造するアルミニウム製熱交換器用材料に関する
もので、特に高強度・高耐食性であり、ろう付性に優れ
るアルミニウム製熱交換器用材料に関するものである。
により製造するアルミニウム製熱交換器用材料に関する
もので、特に高強度・高耐食性であり、ろう付性に優れ
るアルミニウム製熱交換器用材料に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】アルミニウム製熱交換器の製造法として
は、大気中でろう付するフラックスろう付法、真空中で
ろう付する真空ろう付法及びフッ化物系の非腐食性フラ
ックスを用いて不活性雰囲気中でろう付するＮＢ法が知
られている。この中でＮＢ法はろう付設備が安価でメン
テナンスも容易なばかりか、ろう付後のフラックス除去
が不要である等の理由により、多用されるようになっ
た。またこのＮＢ法はろう付の際に生ずるフラックス残
渣が非吸湿性、非溶解性、非腐食性であるため、従来の
塩化物系フラックスろう付法で行われているようなろう
付後の残渣の洗浄処理が必要ないという利点を有する。
は、大気中でろう付するフラックスろう付法、真空中で
ろう付する真空ろう付法及びフッ化物系の非腐食性フラ
ックスを用いて不活性雰囲気中でろう付するＮＢ法が知
られている。この中でＮＢ法はろう付設備が安価でメン
テナンスも容易なばかりか、ろう付後のフラックス除去
が不要である等の理由により、多用されるようになっ
た。またこのＮＢ法はろう付の際に生ずるフラックス残
渣が非吸湿性、非溶解性、非腐食性であるため、従来の
塩化物系フラックスろう付法で行われているようなろう
付後の残渣の洗浄処理が必要ないという利点を有する。
【０００３】またＮＢ法ではＭｇ入材料、例えばＪＩＳ
６９５１（Ａｌ−０．３％Ｓｉ−０．２５％Ｃｕ−０．
６％Ｍｇ）や７Ｎ０１（Ａｌ−０．５％Ｍｎ−１．５％
Ｍｇ−４．５％Ｚｎ）のようなＭｇ添加量の多い合金で
は、フラックス（ＫＡｌＦ4）と材料中のＭｇの反応に
よりろう付性が阻害される欠点があるが、それ以外は一
般に従来のフラックスろう付法の材料が使用可能であ
る。例えば、ブレージングシートの芯材としてＪＩＳ１
０５０（Ａｌ純度９９．５％以上）、３００３（Ａｌ−
０．１５％Ｃｕ−１．１％Ｍｎ）等が使用可能であり、
ろう材としてＡｌ−Ｓｉ系のＪＩＳ４３４３（Ａｌ−
７．５％Ｓｉ）、４０４５（Ａｌ−１０％Ｓｉ）等が使
用可能である。したがってアルミニウム製熱交換器、例
えばラジエーターの材料としては、上記のような芯材
に、フィン等とろう付するためにろう材としてＡｌ−Ｓ
ｉ系のＪＩＳ４３４３、４０４５等がクラッドされ、反
対面の冷媒通液側にはＡｌ−Ｚｎ系のＪＩＳ７０７２
（Ａｌ−１％Ｚｎ）等が犠牲防食層としてクラッドされ
た、アルミニウム合金複合材が使用されている。
６９５１（Ａｌ−０．３％Ｓｉ−０．２５％Ｃｕ−０．
６％Ｍｇ）や７Ｎ０１（Ａｌ−０．５％Ｍｎ−１．５％
Ｍｇ−４．５％Ｚｎ）のようなＭｇ添加量の多い合金で
は、フラックス（ＫＡｌＦ4）と材料中のＭｇの反応に
よりろう付性が阻害される欠点があるが、それ以外は一
般に従来のフラックスろう付法の材料が使用可能であ
る。例えば、ブレージングシートの芯材としてＪＩＳ１
０５０（Ａｌ純度９９．５％以上）、３００３（Ａｌ−
０．１５％Ｃｕ−１．１％Ｍｎ）等が使用可能であり、
ろう材としてＡｌ−Ｓｉ系のＪＩＳ４３４３（Ａｌ−
７．５％Ｓｉ）、４０４５（Ａｌ−１０％Ｓｉ）等が使
用可能である。したがってアルミニウム製熱交換器、例
えばラジエーターの材料としては、上記のような芯材
に、フィン等とろう付するためにろう材としてＡｌ−Ｓ
ｉ系のＪＩＳ４３４３、４０４５等がクラッドされ、反
対面の冷媒通液側にはＡｌ−Ｚｎ系のＪＩＳ７０７２
（Ａｌ−１％Ｚｎ）等が犠牲防食層としてクラッドされ
た、アルミニウム合金複合材が使用されている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】近年、ラジエーター等
においては、薄肉軽量化を目的として部材の強度改善が
図られ、真空ろう付ではチューブ用ブレージングシート
の芯材にＪＩＳ３００５（Ａｌ−１．２％Ｍｎ−０．４
％Ｍｇ）、３１０５（Ａｌ−０．５％Ｍｎ−０．５％Ｍ
ｇ）等のＡｌ−Ｍｎ−Ｍｇ系合金が用いられている。し
かし、ＮＢ法ではフラックス（ＫＡｌＦ4 ）中のフッ素
と材料中のマグネシウムがろう付時に反応してフラック
スの性能が低下して、ろう付性に問題が生じるためにＭ
ｇ含量の多い材料の使用は困難である。また強度改善を
考えると、芯材へのＣｕの添加が高強度化に有効である
が、皮材の犠牲防食層としての効果を阻害する。これ
は、皮材中のＺｎは加熱により芯材に拡散して電位的に
卑な層、すなわち犠牲防食層を形成する効果を持つが、
Ｃｕは少量の添加で芯材の電位を貴にし、さらに皮材に
拡散して皮材防食層の電位を貴にして耐食性を劣化させ
るということにする。したがって、上記の問題点を克服
し、ＮＢ法に使用することのできる高強度、高耐食性
の、アルミニウム製熱交換器用に好適な複合材の開発が
要求されている。
においては、薄肉軽量化を目的として部材の強度改善が
図られ、真空ろう付ではチューブ用ブレージングシート
の芯材にＪＩＳ３００５（Ａｌ−１．２％Ｍｎ−０．４
％Ｍｇ）、３１０５（Ａｌ−０．５％Ｍｎ−０．５％Ｍ
ｇ）等のＡｌ−Ｍｎ−Ｍｇ系合金が用いられている。し
かし、ＮＢ法ではフラックス（ＫＡｌＦ4 ）中のフッ素
と材料中のマグネシウムがろう付時に反応してフラック
スの性能が低下して、ろう付性に問題が生じるためにＭ
ｇ含量の多い材料の使用は困難である。また強度改善を
考えると、芯材へのＣｕの添加が高強度化に有効である
が、皮材の犠牲防食層としての効果を阻害する。これ
は、皮材中のＺｎは加熱により芯材に拡散して電位的に
卑な層、すなわち犠牲防食層を形成する効果を持つが、
Ｃｕは少量の添加で芯材の電位を貴にし、さらに皮材に
拡散して皮材防食層の電位を貴にして耐食性を劣化させ
るということにする。したがって、上記の問題点を克服
し、ＮＢ法に使用することのできる高強度、高耐食性
の、アルミニウム製熱交換器用に好適な複合材の開発が
要求されている。
【０００５】
【課題を解決するための手段】本発明者らは従来の複合
材の問題点を解決するために種々検討の結果、ろう材及
び皮材をクラッドしたアルミニウム製熱交換器用複合材
において、所定の合金組成のＡｌ−Ｃｕ−Ｚｎ系の芯材
を使用することにより高強度、高耐食性複合材を作成し
得ることを見いだし、本発明をなすに至った。すなわち
本発明は（１）Ｚｎ：０．１〜１．５％（重量％、以下
同様である）、Ｃｕ：０．２〜１．０％及びＭｎ：０．
２〜２．０％を含み、残部アルミニウム及び不可避不純
物よりなるアルミニウム合金を芯材とし、その片面にＡ
ｌ−Ｓｉ系ろう材をクラッドし、反対面に犠牲層となる
アルミニウム合金皮材をクラッドしたことを特徴とする
熱交換器用アルミニウム合金複合材、（２）皮材として
Ｚｎ：０．３〜２．０％を含み、残部アルミニウム及び
不可避不純物からなるアルミニウム合金をクラッドした
ことを特徴とする（１）項に記載の熱交換器用アルミニ
ウム合金複合材、（３）皮材としてＺｎ：０．３〜２．
０％を含み、さらにＭｇ：０．１〜３．５％、Ｓｎ：
０．００５〜０．３％及びＩｎ：０．００５〜０．３％
のうちの１種または２種以上を含有し、残部アルミニウ
ム及び不可避不純物からなるアルミニウム合金をクラッ
ドしたことを特徴とする（１）項に記載の熱交換器用ア
ルミニウム合金複合材、を提供するものである。
材の問題点を解決するために種々検討の結果、ろう材及
び皮材をクラッドしたアルミニウム製熱交換器用複合材
において、所定の合金組成のＡｌ−Ｃｕ−Ｚｎ系の芯材
を使用することにより高強度、高耐食性複合材を作成し
得ることを見いだし、本発明をなすに至った。すなわち
本発明は（１）Ｚｎ：０．１〜１．５％（重量％、以下
同様である）、Ｃｕ：０．２〜１．０％及びＭｎ：０．
２〜２．０％を含み、残部アルミニウム及び不可避不純
物よりなるアルミニウム合金を芯材とし、その片面にＡ
ｌ−Ｓｉ系ろう材をクラッドし、反対面に犠牲層となる
アルミニウム合金皮材をクラッドしたことを特徴とする
熱交換器用アルミニウム合金複合材、（２）皮材として
Ｚｎ：０．３〜２．０％を含み、残部アルミニウム及び
不可避不純物からなるアルミニウム合金をクラッドした
ことを特徴とする（１）項に記載の熱交換器用アルミニ
ウム合金複合材、（３）皮材としてＺｎ：０．３〜２．
０％を含み、さらにＭｇ：０．１〜３．５％、Ｓｎ：
０．００５〜０．３％及びＩｎ：０．００５〜０．３％
のうちの１種または２種以上を含有し、残部アルミニウ
ム及び不可避不純物からなるアルミニウム合金をクラッ
ドしたことを特徴とする（１）項に記載の熱交換器用ア
ルミニウム合金複合材、を提供するものである。
【０００６】本発明のアルミニウム合金複合材におい
て、芯材にＣｕを添加することにより強度の向上を図っ
ているが、それに伴う皮材との電位差の減少は芯材にＺ
ｎを適量添加することにより防止され、皮材の犠牲陽極
層としての効果が維持される。
て、芯材にＣｕを添加することにより強度の向上を図っ
ているが、それに伴う皮材との電位差の減少は芯材にＺ
ｎを適量添加することにより防止され、皮材の犠牲陽極
層としての効果が維持される。
【０００７】本発明において上記の如く元素を限定した
理由を次に示す。芯材中のＣｕは強度を向上させ、さら
に材料の電位を貴にして耐食性を向上させる。その含有
量が０．２％未満ではその両方の効果が十分でなく、
１．０％を越えると加熱時に皮材中にＣｕが拡散してい
くために芯材と皮材との電位差が十分でなくなり、皮材
の犠牲陽極層としての効果が失われる。芯材中のＺｎ
は、材料中のＣｕの皮材への拡散による芯材と皮材との
電位差の減少を調整して、皮材の犠牲陽極層としての効
果を維持する。その含有量が０．１％未満ではその効果
が十分でなく、１．５％を越えると芯材の電位が卑とな
り、やはり芯材と皮材の電位差を減少させ、さらには耐
食性も劣化させるからである。
理由を次に示す。芯材中のＣｕは強度を向上させ、さら
に材料の電位を貴にして耐食性を向上させる。その含有
量が０．２％未満ではその両方の効果が十分でなく、
１．０％を越えると加熱時に皮材中にＣｕが拡散してい
くために芯材と皮材との電位差が十分でなくなり、皮材
の犠牲陽極層としての効果が失われる。芯材中のＺｎ
は、材料中のＣｕの皮材への拡散による芯材と皮材との
電位差の減少を調整して、皮材の犠牲陽極層としての効
果を維持する。その含有量が０．１％未満ではその効果
が十分でなく、１．５％を越えると芯材の電位が卑とな
り、やはり芯材と皮材の電位差を減少させ、さらには耐
食性も劣化させるからである。
【０００８】芯材中のＭｎは強度を向上させる。その含
有量が０．２％未満ではその効果が十分でなく、２．０
％を越えると鋳造時に巨大化合物を生じ芯材の延性が劣
化して著しく加工性を損なう。なお、不可避の不純物と
して芯材の耐食性に影響せずに強度を向上させる元素が
あるが、例えばＳｉ：０．６％以下、Ｆｅ：０．７％以
下、Ｃｒ：０．２％以下、Ｚｒ：０．２％以下、Ｔｉ
０．２％以下等を含んでいても差支えない。
有量が０．２％未満ではその効果が十分でなく、２．０
％を越えると鋳造時に巨大化合物を生じ芯材の延性が劣
化して著しく加工性を損なう。なお、不可避の不純物と
して芯材の耐食性に影響せずに強度を向上させる元素が
あるが、例えばＳｉ：０．６％以下、Ｆｅ：０．７％以
下、Ｃｒ：０．２％以下、Ｚｒ：０．２％以下、Ｔｉ
０．２％以下等を含んでいても差支えない。
【０００９】犠牲層となる皮材において、Ｚｎは電位を
卑にして、芯材との電位差により犠牲陽極層となり耐食
性を著しく向上させる作用を持つ。その含有量が０．２
％未満ではその効果が十分でなく、２．０％を越えると
皮材の自己耐食性が著しく劣化し、さらには芯材の耐食
性も劣化させる。皮材中に添加されるＭｇは皮材の電位
を卑にする効果と、加熱時に芯材に拡散して強度を向上
させる効果も併せ持っている。その含有量は好ましくは
０．１〜３．５％である。０．１％未満ではその効果が
十分でなく、３．５％を越えると板厚や加熱条件にもよ
るが、ろう材と芯材の界面におけるＭｇ量が多くなり従
来技術の問題点として示すように、不活性雰囲気ろう付
法においてフラックスとの反応によりろう付性及び耐食
性が著しく劣化するためである。皮材中に添加するＳｎ
及びＩｎはＺｎと同様に、皮材の電位を卑にする作用を
持っている。その含有量は好ましくは０．００５〜０．
３％とする。その量が０．００５％未満ではその効果が
十分でなく、０．３％を越えると皮材の自己耐食性を著
しく劣化させ、さらに塑性加工性を損なう。
卑にして、芯材との電位差により犠牲陽極層となり耐食
性を著しく向上させる作用を持つ。その含有量が０．２
％未満ではその効果が十分でなく、２．０％を越えると
皮材の自己耐食性が著しく劣化し、さらには芯材の耐食
性も劣化させる。皮材中に添加されるＭｇは皮材の電位
を卑にする効果と、加熱時に芯材に拡散して強度を向上
させる効果も併せ持っている。その含有量は好ましくは
０．１〜３．５％である。０．１％未満ではその効果が
十分でなく、３．５％を越えると板厚や加熱条件にもよ
るが、ろう材と芯材の界面におけるＭｇ量が多くなり従
来技術の問題点として示すように、不活性雰囲気ろう付
法においてフラックスとの反応によりろう付性及び耐食
性が著しく劣化するためである。皮材中に添加するＳｎ
及びＩｎはＺｎと同様に、皮材の電位を卑にする作用を
持っている。その含有量は好ましくは０．００５〜０．
３％とする。その量が０．００５％未満ではその効果が
十分でなく、０．３％を越えると皮材の自己耐食性を著
しく劣化させ、さらに塑性加工性を損なう。
【００１０】なお、皮材中には不可避の不純物を含有し
ていてもよい。そのような例として皮材の電位すなわち
耐食性に影響せずに強度を向上させる元素、例えばＳ
ｉ：０．３％以下、Ｆｅ：０．３％以下、Ｃｕ：０．１
％以下、Ｍｎ：０．１％以下、Ｃｒ：０．２％以下、Ｚ
ｒ：０．２％以下、Ｔｉ：０．２％以下等をあげること
ができる。皮材は、熱交換器の部材によっても異なるが
全板厚（芯材、皮材、ろう材の合計厚）の５〜２０％で
芯材にクラッドされる。例えばラジエーターのチューブ
材では耐食性・強度の点から１０％程度が好ましい。次
にろう材としてクラッドする材料としてはＡｌ−Ｓｉ系
合金を用いるがこれは、従来と同様である。例えば、Ｊ
ＩＳ４３４３合金、４０４５合金等が使用できる。この
場合、本発明合金の複合材はＮＢ用として用いられる
が、ろう材にＪＩＳ４００４合金、４１０４合金等に使
用することにより、真空ブレージングシート用にも使用
することができる。なお、ろう材は不純物としてろう材
のろう付性や耐食性に影響せずに強度を向上させる元
素、例えばＦｅ：０．８％以下、Ｃｕ：０．３％以下、
Ｍｎ：０．０５％以下、Ｚｎ：０．１％以下、Ｃｒ：
０．２％以下、Ｚｒ：０．２％以下、Ｔｉ：０．２％以
下等を含んでもかまわない。ろう材は、熱交換器の部材
によっても異なるが全板厚の５〜２０％で芯材にクラッ
ドされる。例えばラジエーターのチューブ材ではろう付
性の点から１０％程度が好ましい。本発明合金の複合材
は、主に熱交換媒体に水が使用されるラジエーターやヒ
ーター等の構成部材に使用される。例えば、ラジエータ
ー出は電縫加工したチューブ材やヘッダー材等に使用で
きる。
ていてもよい。そのような例として皮材の電位すなわち
耐食性に影響せずに強度を向上させる元素、例えばＳ
ｉ：０．３％以下、Ｆｅ：０．３％以下、Ｃｕ：０．１
％以下、Ｍｎ：０．１％以下、Ｃｒ：０．２％以下、Ｚ
ｒ：０．２％以下、Ｔｉ：０．２％以下等をあげること
ができる。皮材は、熱交換器の部材によっても異なるが
全板厚（芯材、皮材、ろう材の合計厚）の５〜２０％で
芯材にクラッドされる。例えばラジエーターのチューブ
材では耐食性・強度の点から１０％程度が好ましい。次
にろう材としてクラッドする材料としてはＡｌ−Ｓｉ系
合金を用いるがこれは、従来と同様である。例えば、Ｊ
ＩＳ４３４３合金、４０４５合金等が使用できる。この
場合、本発明合金の複合材はＮＢ用として用いられる
が、ろう材にＪＩＳ４００４合金、４１０４合金等に使
用することにより、真空ブレージングシート用にも使用
することができる。なお、ろう材は不純物としてろう材
のろう付性や耐食性に影響せずに強度を向上させる元
素、例えばＦｅ：０．８％以下、Ｃｕ：０．３％以下、
Ｍｎ：０．０５％以下、Ｚｎ：０．１％以下、Ｃｒ：
０．２％以下、Ｚｒ：０．２％以下、Ｔｉ：０．２％以
下等を含んでもかまわない。ろう材は、熱交換器の部材
によっても異なるが全板厚の５〜２０％で芯材にクラッ
ドされる。例えばラジエーターのチューブ材ではろう付
性の点から１０％程度が好ましい。本発明合金の複合材
は、主に熱交換媒体に水が使用されるラジエーターやヒ
ーター等の構成部材に使用される。例えば、ラジエータ
ー出は電縫加工したチューブ材やヘッダー材等に使用で
きる。
【００１１】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づきさらに詳細に
説明する。 実施例１ 表１に示す組成の芯材を製造し、ろう材にＪＩＳ４３４
３合金、皮材にＪＩＳ７０７２合金を組み合わせた複合
材Ｎo.１〜１６を常法に従い０．３ｍｍの板材に製造し
た。ろう材及び皮材のクラッド率はそれぞれ板厚の１０
％にした。これらの材料を露点−３５℃以下の窒素ガス
雰囲気中で６００℃×３分間加熱した。加熱した材料の
引張強さ、人工水浸漬試験及びそれらの総合評価をした
結果を表１に示す。同表の結果から明らかなように本発
明の材料は、引張試験においては従来材以上の強さを持
つ。また、皮材側の耐食性を人工水浸漬試験（Ｃｌ- ：
１００ｐｐｍ、ＳＯ4 2- ：１００ｐｐｍ、Ｃｕ：５ｐｐ
ｍ、９０℃で８時間保持後、室温で１６時間保持する。
期間は３０日間。以下浸漬試験と略する。）により評価
した結果は従来材と同程度の孔食深さとなるが、強度及
び耐食性のいずれの点も具備する本発明材は従来材より
優れていることがわかった。一方、本発明材の組成範囲
をはずれる比較複合材は強度及び耐食性のいずれか一つ
または二つとも劣っている。
説明する。 実施例１ 表１に示す組成の芯材を製造し、ろう材にＪＩＳ４３４
３合金、皮材にＪＩＳ７０７２合金を組み合わせた複合
材Ｎo.１〜１６を常法に従い０．３ｍｍの板材に製造し
た。ろう材及び皮材のクラッド率はそれぞれ板厚の１０
％にした。これらの材料を露点−３５℃以下の窒素ガス
雰囲気中で６００℃×３分間加熱した。加熱した材料の
引張強さ、人工水浸漬試験及びそれらの総合評価をした
結果を表１に示す。同表の結果から明らかなように本発
明の材料は、引張試験においては従来材以上の強さを持
つ。また、皮材側の耐食性を人工水浸漬試験（Ｃｌ- ：
１００ｐｐｍ、ＳＯ4 2- ：１００ｐｐｍ、Ｃｕ：５ｐｐ
ｍ、９０℃で８時間保持後、室温で１６時間保持する。
期間は３０日間。以下浸漬試験と略する。）により評価
した結果は従来材と同程度の孔食深さとなるが、強度及
び耐食性のいずれの点も具備する本発明材は従来材より
優れていることがわかった。一方、本発明材の組成範囲
をはずれる比較複合材は強度及び耐食性のいずれか一つ
または二つとも劣っている。
【００１２】
【表１】
【００１３】実施例２ 表２に示す組成の皮材を製造し、ろう材にＪＩＳ４３４
３合金、芯材に実施例１で製造した複合材Ｎo.２におけ
る組成の芯材を組み合わせた複合材Ｎo.２１〜３６を常
法に従い０．８ｍｍの板材に製造した。ろう材のクラッ
ド率はそれぞれ板厚の１０％にした。これらの材料を露
点−３５℃以下の窒素ガス雰囲気中で６００℃×３分間
加熱した。加熱した材料の引張強さ、人工水浸漬試験及
びそれらの総合評価をした結果を表２に示す。本発明例
に示す材料は、引張試験においては従来材以上の強さを
持つ。また、皮材側の耐食性を浸漬試験により評価した
結果は従来材と同程度の孔食深さとなるが、総合的にみ
て本発明材は従来材より優れていることがわかった。一
方、本発明材の組成範囲をはずれる比較複合材は耐食性
が劣っている。
３合金、芯材に実施例１で製造した複合材Ｎo.２におけ
る組成の芯材を組み合わせた複合材Ｎo.２１〜３６を常
法に従い０．８ｍｍの板材に製造した。ろう材のクラッ
ド率はそれぞれ板厚の１０％にした。これらの材料を露
点−３５℃以下の窒素ガス雰囲気中で６００℃×３分間
加熱した。加熱した材料の引張強さ、人工水浸漬試験及
びそれらの総合評価をした結果を表２に示す。本発明例
に示す材料は、引張試験においては従来材以上の強さを
持つ。また、皮材側の耐食性を浸漬試験により評価した
結果は従来材と同程度の孔食深さとなるが、総合的にみ
て本発明材は従来材より優れていることがわかった。一
方、本発明材の組成範囲をはずれる比較複合材は耐食性
が劣っている。
【００１４】
【表２】
【００１５】実施例３ 表３に示す組成の皮材を製造し、ろう材にＪＩＳ４３４
３合金、芯材に実施例１で製造した複合材Ｎo.２におけ
る成分の芯材を組み合わせた複合材Ｎo.４１〜６１を常
法に従い０．４ｍｍの板材に製造した。ろう材のクラッ
ド率はそれぞれ板厚の１０％にした。これらの材料を露
点−３５℃以下の窒素ガス雰囲気中で６００℃×３分間
加熱した。なお、ろう付性を図１（イ）に示すように幅
３０ｍｍ、長さ５０ｍｍのブレージングシート（１）を
３００３合金（２）の上にのせ、一端に直径３ｍｍのス
テンレス棒（３）を介在させ、接触させた状態で両者を
固定し、これを溶剤脱脂後フルオロアルミン酸カリウム
塩からなるフラックス懸濁液を塗布し、乾燥後窒素ガス
雰囲気中６００℃×３分間ろう付加熱し、図１（ロ）に
示すろう材の間隙充填長さ（ｘ）を測定した。
３合金、芯材に実施例１で製造した複合材Ｎo.２におけ
る成分の芯材を組み合わせた複合材Ｎo.４１〜６１を常
法に従い０．４ｍｍの板材に製造した。ろう材のクラッ
ド率はそれぞれ板厚の１０％にした。これらの材料を露
点−３５℃以下の窒素ガス雰囲気中で６００℃×３分間
加熱した。なお、ろう付性を図１（イ）に示すように幅
３０ｍｍ、長さ５０ｍｍのブレージングシート（１）を
３００３合金（２）の上にのせ、一端に直径３ｍｍのス
テンレス棒（３）を介在させ、接触させた状態で両者を
固定し、これを溶剤脱脂後フルオロアルミン酸カリウム
塩からなるフラックス懸濁液を塗布し、乾燥後窒素ガス
雰囲気中６００℃×３分間ろう付加熱し、図１（ロ）に
示すろう材の間隙充填長さ（ｘ）を測定した。
【００１６】加熱した材料の引張強さ、人工浸漬試験、
間隙充填試験及びそれらの総合評価をした結果を表３に
示す。本発明例に示す材料は、引張強さにおいて特に優
れている。また、皮材側の耐食性を浸漬試験により評価
した結果は従来材と同程度の孔食深さである。間隙充填
試験においては従来材と同程度のろう付性を有する。よ
って本発明材は従来材より優れていることがわかった。
一方、本発明材の組成範囲をはずれる比較複合材におい
て、複合材Ｎo.５９及び６０では板製造時の圧延の際に
割れ、製造不可能であった。また、複合材Ｎo.５８では
間隙充填試験で従来材より劣っている。
間隙充填試験及びそれらの総合評価をした結果を表３に
示す。本発明例に示す材料は、引張強さにおいて特に優
れている。また、皮材側の耐食性を浸漬試験により評価
した結果は従来材と同程度の孔食深さである。間隙充填
試験においては従来材と同程度のろう付性を有する。よ
って本発明材は従来材より優れていることがわかった。
一方、本発明材の組成範囲をはずれる比較複合材におい
て、複合材Ｎo.５９及び６０では板製造時の圧延の際に
割れ、製造不可能であった。また、複合材Ｎo.５８では
間隙充填試験で従来材より劣っている。
【００１７】
【表３】
【００１８】実施例４ 表４に示す複合材（実施例１〜３中の複合材Ｎo.に対応
する。）を電縫加工により偏平チューブにし、これに板
厚０．０８ｍｍのＪＩＳ３００３合金のフィン材をコル
ゲート加工したもの、ヘッダー材として芯材ＪＩＳ３０
０３、ろう材ＪＩＳ４３４３（クラッド率１５％）、皮
材ＪＩＳ７０７２（クラッド率１５％）の板厚１．５ｍ
ｍのブレージングシートを組み合わせて図２に示すよう
なラジエーターを製造した。図中（４）は偏平チュー
ブ、（５）はフィン、（６）はヘッダーである。これを
前処理後フルオロアルミン酸カリウム塩からなるフラッ
クス懸濁液を塗布し、乾燥後窒素ガス雰囲気中６００℃
×３分間ろう付加熱した。このラジエ−ターに腐食液を
循環させ、貫通孔による漏れが発生するまで試験を行っ
た。試験は腐食液にＣｌ- ：１００ｐｐｍ，ＳＯ4 2- ：
１００ｐｐｍ，Ｃｕ2+：５ｐｐｍを用い、９０℃に８時
間保持した後、室温に１６時間保持することを最大２０
０サイクル繰り返し行った。腐食液循環試験における貫
通孔発生時間及びその従来例との比較評価を表４に示
す。本発明例におけるコアはいずれも２００サイクルで
も貫通孔は発生せず、従来材で製造したコアと同等以上
の耐食性を持つことがわかった。一方、本発明例の組成
範囲をはずれた複合材を用いたコアでは２００サイクル
以下で貫通孔が発生し、従来よりも耐食性が劣ってい
た。
する。）を電縫加工により偏平チューブにし、これに板
厚０．０８ｍｍのＪＩＳ３００３合金のフィン材をコル
ゲート加工したもの、ヘッダー材として芯材ＪＩＳ３０
０３、ろう材ＪＩＳ４３４３（クラッド率１５％）、皮
材ＪＩＳ７０７２（クラッド率１５％）の板厚１．５ｍ
ｍのブレージングシートを組み合わせて図２に示すよう
なラジエーターを製造した。図中（４）は偏平チュー
ブ、（５）はフィン、（６）はヘッダーである。これを
前処理後フルオロアルミン酸カリウム塩からなるフラッ
クス懸濁液を塗布し、乾燥後窒素ガス雰囲気中６００℃
×３分間ろう付加熱した。このラジエ−ターに腐食液を
循環させ、貫通孔による漏れが発生するまで試験を行っ
た。試験は腐食液にＣｌ- ：１００ｐｐｍ，ＳＯ4 2- ：
１００ｐｐｍ，Ｃｕ2+：５ｐｐｍを用い、９０℃に８時
間保持した後、室温に１６時間保持することを最大２０
０サイクル繰り返し行った。腐食液循環試験における貫
通孔発生時間及びその従来例との比較評価を表４に示
す。本発明例におけるコアはいずれも２００サイクルで
も貫通孔は発生せず、従来材で製造したコアと同等以上
の耐食性を持つことがわかった。一方、本発明例の組成
範囲をはずれた複合材を用いたコアでは２００サイクル
以下で貫通孔が発生し、従来よりも耐食性が劣ってい
た。
【００１９】
【表４】
【００２０】
【発明の効果】本発明によれば、高強度で耐食性も向上
したアルミニウム製熱交換器用のブレージングシートを
供給することができる。これより材料の薄肉軽量化およ
びコストダウン等工業上顕著な効果を奏するものであ
る。
したアルミニウム製熱交換器用のブレージングシートを
供給することができる。これより材料の薄肉軽量化およ
びコストダウン等工業上顕著な効果を奏するものであ
る。
【図１】（イ）、（ロ）はろう材の間隙充填長さの測定
方法を示す概略図である。
方法を示す概略図である。
【図２】ラジエーターを示す斜視図である。
【０００１】
１ ブレージングシート ２ ＪＩＳ３００３合金 ３ ステンレス棒 ４ 偏平チューブ ５ フィン ６ ヘッダー
Claims (3)
- 【請求項１】 Ｚｎ：０．１〜１．５％（重量％、以下
同じ）、Ｃｕ：０．２〜１．０％及びＭｎ：０．２〜
２．０％を含み、残部アルミニウム及び不可避不純物よ
りなるアルミニウム合金材を芯材とし、その片面にＡｌ
−Ｓｉ系ろう材をクラッドし、反対面に犠牲層となるア
ルミニウム合金皮材をクラッドしたことを特徴とする熱
交換器用アルミニウム合金複合材。 - 【請求項２】 皮材としてＺｎ：０．３〜２．０％を含
み、残部アルミニウム及び不可避不純物からなるアルミ
ニウム合金をクラッドしたことを特徴とする請求項１に
記載の熱交換器用アルミニウム合金複合材。 - 【請求項３】 皮材としてＺｎ：０．３〜２．０％を含
み、さらにＭｇ：０．１〜３．５％、Ｓｎ：０．００５
〜０．３％及びＩｎ：０．００５〜０．３％のうちの１
種または２種以上を含有し、残部アルミニウム及び不可
避不純物からなるアルミニウム合金をクラッドしたこと
を特徴とする請求項１に記載の熱交換器用アルミニウム
合金複合材。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP14634792A JPH05318171A (ja) | 1992-05-13 | 1992-05-13 | 熱交換器用アルミニウム合金複合材 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP14634792A JPH05318171A (ja) | 1992-05-13 | 1992-05-13 | 熱交換器用アルミニウム合金複合材 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05318171A true JPH05318171A (ja) | 1993-12-03 |
Family
ID=15405656
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP14634792A Pending JPH05318171A (ja) | 1992-05-13 | 1992-05-13 | 熱交換器用アルミニウム合金複合材 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH05318171A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2005028153A1 (ja) * | 2003-09-18 | 2005-03-31 | Kobe Alcoa Transportation Products Ltd. | ろう付用アルミニウム合金複合材及びそれを使用した熱交換器 |
| CN101928861A (zh) * | 2009-06-24 | 2010-12-29 | 住友轻金属工业株式会社 | 铝合金制换热器以及铝合金挤压材料的制造方法 |
-
1992
- 1992-05-13 JP JP14634792A patent/JPH05318171A/ja active Pending
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2005028153A1 (ja) * | 2003-09-18 | 2005-03-31 | Kobe Alcoa Transportation Products Ltd. | ろう付用アルミニウム合金複合材及びそれを使用した熱交換器 |
| US7387844B2 (en) | 2003-09-18 | 2008-06-17 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho | Aluminum alloy composite for brazing and heat exchanger including the same |
| CN101928861A (zh) * | 2009-06-24 | 2010-12-29 | 住友轻金属工业株式会社 | 铝合金制换热器以及铝合金挤压材料的制造方法 |
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