JPH05317692A - マイクロカプセルの皮膜材、該皮膜材を用いたマイクロカプセル及び該マイクロカプセルの製造方法 - Google Patents

マイクロカプセルの皮膜材、該皮膜材を用いたマイクロカプセル及び該マイクロカプセルの製造方法

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JPH05317692A
JPH05317692A JP13224892A JP13224892A JPH05317692A JP H05317692 A JPH05317692 A JP H05317692A JP 13224892 A JP13224892 A JP 13224892A JP 13224892 A JP13224892 A JP 13224892A JP H05317692 A JPH05317692 A JP H05317692A
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JP
Japan
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microcapsule
microcapsules
composition
structural unit
coating material
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Application number
JP13224892A
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English (en)
Inventor
Hideyuki Sumi
英行 角
Yutaka Nakayama
豊 中山
Hiroshi Hotta
寛史 堀田
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DKS Co Ltd
Original Assignee
Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 エチレン構造単位65〜99モル%と、化1
のアクリルアミド構造単位1〜35モル%と、アクリレ
ート構造単位0〜15モル%とを分子内に含有し、重量
平均分子量1,000〜50,000の線状カチオン性
共重合体を含有するマイクロカプセルの皮膜材。但し、
化1において、R2 は炭素数2〜8のアルキレン基、R
3 及びR4 は炭素数1〜4のアルキル基、R5 は炭素数
1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリールアル
キル基又は炭素数6〜12の脂環式アルキル基、X-
ハロゲンイオン、CH3 OSO3 - 又はCH3 CH2
SO3 - を表す。 【効果】 この皮膜材を用いれば、マイクロカプセルの
耐湿性及び耐温度性が向上する。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マイクロカプセルの皮
膜材、該皮膜材を用いたマイクロカプセル及びその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、マイクロカプセルの製造に
は、大別して物理的機械的方法、物理化学的方法、化学
的方法の三つの方法が用いられている。物理的機械的方
法には、スプレードライ、気中懸濁被覆、真空蒸着被
覆、静電的合体、融解分散冷却、無機質壁カプセル化な
どによるものがある。物理化学的方法には、コアセルベ
ーション、エマルジョン界面での疎水性高分子の沈澱を
利用する方法などがある。また、化学的方法には、エマ
ルジョン界面での in situ 重合法、液中硬化
被覆法などがある。
【0003】これらのうち、液中硬化被覆法を用いる
と、マイクロカプセルの壁材となる皮膜物質の選択が容
易であり、しかも加熱変性無機電解質のイオン、イソシ
アネート、硝酸、アルデヒド、高分子電解質イオンなど
の硬化試薬を用いて比較的簡便に壁材の硬化を行うこと
ができるので、医薬・医療用、畜産用(反すう動物
用)、農産物用、香料用、化粧品用、接着剤・塗料用、
複写・記録・表示用などのマイクロカプセル化技術とし
て有用になりつつある。
【0004】この液中硬化被覆法で使用される高分子皮
膜物質として、従来よりアルギン酸ソーダ、ポリビニル
アルコール、ゼラチン、卵アルブミン、エポキシ樹脂な
どが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のマイクロカプセルの皮膜材にあっては、以下
のような問題点がある。即ち、アルギン酸ソーダ、ゼラ
チン、卵アルブミンなどの天然高分子にあっては、皮膜
強度は比較的大きいが未だ十分ではなく、しかも価格変
動が大きく入手が困難な場合がある。また、ポリビニル
アルコールなどの合成高分子にあっては、価格変動がな
いという利点はあるが、皮膜強度が弱いという欠点があ
る。これに対し、エポキシ樹脂を用いれば強度の大きな
皮膜が得られるが、エポキシ樹脂は水媒体中では使用で
きず、硬化剤として高価な四フッ化ホウ素を使用しなけ
ればならない。これに加えて、エポキシ樹脂を用いたマ
イクロカプセルは、耐湿性、耐温度性に劣り、高温及び
/又は高湿下ではブロッキングを起こすという問題点が
ある。
【0006】本発明はこのような従来技術の問題点を解
決するために為されたものであり、本発明の目的は、皮
膜強度が大きく、水媒体中で使用でき、しかも耐湿性、
耐温度性に優れたマイクロカプセルの皮膜材を提供する
ことである。また、本発明の他の目的は、該皮膜材を皮
膜として用いたマイクロカプセルとその製造方法を提供
することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のマイクロカプセルの皮膜材は、分子内に、
一般式化4で表されるエチレン構造単位( I) を65〜
99モル%と、一般式化5で表されるアクリルアミド構
造単位(III) を1〜35モル%とを含有し、重量平均分
子量が1,000〜50,000で線状のカチオン性共
重合体を含有することを特徴とする。各構造単位は規則
的に配列している場合、不規則に配列している場合の何
れでもよい。
【0008】
【化4】
【0009】
【化5】
【0010】但し、化5に於いて、R2 は炭素数2〜8
のアルキレン基を表し、R3 及びR4 は各々独立に炭素
数1〜4のアルキル基を表し、R5 は炭素数1〜12の
アルキル基、炭素数6〜12のアリールアルキル基又は
炭素数6〜12の脂環式アルキル基を表し、X- はハロ
ゲンイオン、CH3 OSO3 - 又はCH3 CH2 OSO
3 - を表し、R2 〜R5 及びX- はそれぞれ構造単位毎
に同一であっても異なってもよい。
【0011】また、上記マイクロカプセルの皮膜材にお
いて、前記カチオン性共重合体が、更に一般式化6で表
されるアクリレート構造単位(II)を15モル%以下で含
有する構成としてもよい。
【0012】
【化6】
【0013】但し、化6に於いて、R1 は炭素数1〜4
のアルキル基を表し、R1 は構造単位毎に同一であって
も異なってもよい。
【0014】本発明のマイクロカプセルは上記マイクロ
カプセルの皮膜材を皮膜に含有することを特徴とする。
【0015】また、本発明のマイクロカプセルの製造方
法は、上記マイクロカプセルの皮膜材を用いたマイクロ
カプセルの製造方法であって、芯材、アニオン性化合物
及び疎水性溶剤を含有する組成物Aと、前記マイクロカ
プセルの皮膜材の水への分散物を含有する組成物Bとを
混合することを特徴とする。
【0016】更に、本発明のマイクロカプセルの製造方
法は、上記マイクロカプセルの皮膜材を用いたマイクロ
カプセルの製造方法であって、アニオン性化合物及び疎
水性溶剤を含有する組成物Aと、芯材及び前記マイクロ
カプセルの皮膜材の水への分散物を含有する組成物Bと
を混合することを特徴とする。
【0017】なお、本明細書に於いて、分散物とは、水
に前記カチオン性共重合体を乳化させたもの、可溶化さ
せたもの、分散させたもの等、巨視的に均一な系を包含
する概念である。
【0018】本発明のマイクロカプセルの皮膜材におい
て用いられるカチオン性共重合体の構成について、以下
にさらに詳しく説明する。
【0019】上記カチオン性共重合体において、一般式
化4で表されるエチレン構造単位(I) は、分子内に6
5〜99モル%で含有されているが、この含有割合が6
5モル%未満であれば、高温又は高湿下でマイクロカプ
セルの皮膜に粘着性が生じ、マイクロカプセルどうしの
付着が生じる。また、エチレン構造単位( I) の含有量
が99モル%を越えると、アクリルアミド構造単位(II
I) の含有量が小さくなり、水への分散物の調製が困難
になる。マイクロカプセルの粘着性と分散物調製の難易
の観点から、エチレン構造単位( I) は85〜97モル
%含有されているのが更に好ましい。
【0020】また、本発明のマイクロカプセルの皮膜材
に用いるカチオン性共重合体において、一般式化5で表
されるアクリルアミド構造単位(III) は、第四級アンモ
ニウム塩を有するカチオン性のアクリルアミド構造単位
であり、分子内に1〜35モル%で含有されている。こ
の含有割合が1モル%未満の場合には、カチオン性共重
合体の親水性が低下し、水への分散が困難となると共
に、得られるマイクロカプセルの皮膜強度が低下する。
アクリルアミド構造単位(III) の含有割合が35モル%
を超える場合にはカチオン性共重合体に吸湿性が生じ、
得られるマイクロカプセルに高湿度下で粘着性が生じ
る。皮膜強度と皮膜の粘着性との観点から、アクリルア
ミド構造単位(III) の含有割合は3〜15モル%が更に
好ましい。
【0021】アクリルアミド構造単位(III) の一般式化
5に於いて、R2 は炭素数2〜8のアルキレン基を表し
ている。R2 の具体例として、エチレン基、プロピレン
基、ヘキサメチレン基、ネオペンチレン基等を挙げるこ
とができる。これらのアルキレン基は1分子中に混在し
ていてもよい。これらのアルキレン基の中では、製造の
容易さ及び経済性の観点から、エチレン基及びプロピレ
ン基が好ましく、特にプロピレン基が好ましい。
【0022】アクリルアミド構造単位(III) のR3 及び
4 は、各々独立に炭素数1〜4のアルキル基を表して
いる。これらのアルキル基は1分子中に混在していても
よい。R3 及びR4 の具体例として、メチル基、エチル
基、プロピル基及びブチル基を挙げることができる。こ
れらのアルキル基の中では、粘着性の観点からメチル基
及びエチル基が好ましい。
【0023】アクリルアミド構造単位(III) のR5 は、
炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリー
ルアルキル基又は炭素数6〜12の脂環式アルキル基を
表す。これらのアルキル基は1分子中に混在していても
よい。アルキル基の具体例として、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル
基、sec−ブチル基、n−オクチル基、n−ラウリル
基等を挙げることができる。アリールアルキル基の具体
例としては、ベンジル基、4−メチルベンジル基等を挙
げることができる。脂環式アルキル基の具体例として
は、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基等を挙
げることができる。これらの中では、粘着性の観点から
5 として直鎖状アルキル基及びアリールアルキル基が
好ましく、また、皮膜強度の観点からは低級アルキル基
がR5 として好ましい。特に好ましいR5 は、メチル基
及びエチル基である。
【0024】アクリルアミド構造単位(III) におけるX
- は、Cl- ,Br- ,I- などのハロゲンイオン、C
3 OSO3 - 又はCH3 CH2 OSO3 - を表し、こ
れらは1分子中で混在していてもよい。これらの中で
は、経済的な観点から、Cl-、CH3 OSO3 - 及び
CH3 CH2 OSO3 - が好ましい。
【0025】更に、本発明のマイクロカプセルの皮膜材
に用いるカチオン性共重合体には、一般式化6で表され
るアクリレート構造単位(II)が、分子内に15モル%以
下で含有されていてもよい。アクリレート構造単位(II)
が含有されていると、このマイクロカプセルの皮膜材の
皮膜形成能が向上し、その結果、マイクロカプセルの耐
溶剤性が向上するので好ましい。アクリレート構造単位
(II)の含有割合が15モル%を超える場合には、カチオ
ン性共重合体の軟化点が低下して粘着性を生じることと
なる。粘着性と耐溶剤性との観点から、アクリレート構
造単位(II)の含有割合は1〜15モル%程度が好まし
く、更に3〜7モル%であることが特に好ましい。
【0026】一般式化6のアクリレート構造単位(II)に
於いて、R1 は炭素数1〜4のアルキル基を表してい
る。R1 の具体例としては、メチル基、エチル基、n−
プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、is
o−ブチル基を挙げることができる。これらのアルキル
基は1分子中に混在していてもよい。これらのアルキル
基の中でメチル基及びエチル基が、粘着性による弊害を
もたらさないという観点から好ましい。
【0027】本発明のマイクロカプセルの皮膜材に用い
るカチオン性共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミ
ュエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測
定され、ポリスチレン換算の重量平均分子量として超高
温GPC法(絹川,高分子論文集第44巻2号,139
〜141頁,1987)に準じて測定される。測定の結
果によれば、好ましい重量平均分子量の範囲は1,00
0〜50,000である。重量平均分子量が1,000
未満の場合には分子量が小さすぎて皮膜形成能が低下し
て皮膜強度が低下する。また、重量平均分子量が50,
000を超える場合には、水に分散させてマイクロカプ
セルの皮膜材としたときの粘度が大きくなり過ぎ、作業
性が悪くなる。カチオン性共重合体の好ましい重量平均
分子量の範囲は3,000〜30,000である。
【0028】本発明のマイクロカプセルの皮膜材に用い
るカチオン性共重合体は、例えば次のようにして製造す
ることができる。即ち、エチレンとアクリル酸エステル
とを高圧重合法により共重合させて得られるエチレン−
アクリル酸エステル共重合体を、特開昭60−7900
8号公報に記載の方法により加水分解と同時に熱減成し
て所望の分子量とする。この加水分解反応を部分的に行
うことにより、エチレン−アクリル酸エステル共重合体
からエチレン−アクリル酸エステル−アクリル酸共重合
体が得られる。さらに、得られたエチレン−アクリル酸
エステル−アクリル酸共重合体をN,N−ジアルキルア
ミノアルキルアミン等でアミド化してアクリルアミド系
共重合体を得た後、これをハロゲン化アルキル、ジアル
キル硫酸などの四級化剤でカチオン変性して単離するこ
とにより、上記カチオン性共重合体を得ることができ
る。なお、上述のエチレン−アクリル酸エステル共重合
体を完全に加水分解することにより、アクリレート構造
単位(II)を含有しないカチオン性共重合体が得られる。
【0029】本発明のマイクロカプセルの皮膜材は、水
に上述のカチオン性共重合体を乳化、可溶化、又は分散
させて使用することができる。乳化、可溶化、又は分散
に際しては、界面活性剤を用いてもよいが、上記カチオ
ン性共重合体は特に界面活性剤を用いなくても容易に分
散物となる。乳化に際しては例えば高圧乳化法が用いら
れる。高圧乳化法では、カチオン性共重合体は水と共に
オートクレーブに仕込まれ、110〜140℃の温度で
加圧下に撹拌することにより乳化物となる。
【0030】本発明のマイクロカプセルの製造方法にお
いて用いられる組成物Aは、アニオン性化合物及び疎水
性溶剤を含有し、更に必要に応じて、顕色剤、染料、顔
料、香料、酵素、薬理活性物質などの芯材、界面活性剤
等を含有している。なお、本明細書において、アニオン
性化合物とは、水媒体中で水素イオン、金属イオン、ア
ンモニウムイオン等を放出してアニオンとなる化合物を
いう。
【0031】アニオン性化合物の具体例としては、p−
フェニルフェノール,ビスフェノールA,クレゾール,
レゾルシン,クロログリシン,フェノール樹脂オリゴマ
ー,β−ナフトール等のフェノール類、並びにこれらの
フェノール類の金属塩及びアンモニウム塩、5−クロロ
ベンゾトリアゾール,4−ラウリルアミノスルホベンゾ
トリアゾール,5−ブチルベンゾトリアゾール,ジベン
ゾトリアゾール,2−オキシベンゾトリアゾール,5−
カルボエトキシベンゾトリアゾールなどのベンゾトリア
ゾール類、並びにこれらのベンゾトリアゾール類の金属
塩及びアンモニウム塩、レゾルシン酸,没食子酸,安息
香酸,ピロメリット酸,トリメリット酸,ステアリン
酸,アゼライン酸,p−トルエンスルホン酸、1,5−
ナフタレンジスルホン酸などの有機酸、これらの有機酸
の置換誘導体、並びに上記有機酸及びそれらの置換誘導
体の金属塩を挙げることができる。これらのアニオン性
化合物は、単独で用いてもよく2種類以上を併用しても
よい。
【0032】これらのアニオン性化合物のうち、本発明
では油溶性且つ2価以上の陰イオンとなるものが好まし
い。好ましいアニオン性化合物として、ビスフェノール
A,レゾルシン,フェノール樹脂オリゴマー,レゾルシ
ン酸,ピロメリット酸,トリメリット酸,アゼライン酸
及び1,5−ナフタレンジスルホン酸を挙げることがで
きる。
【0033】組成物Aに含有される疎水性溶剤の具体例
として、オクチルアルコール,ドデシルアルコール,ミ
リスチルアルコール,オレイルアルコールなどのアルコ
ール類、酢酸エチル,酢酸アミル,ステアリン酸ラウリ
ル,ラノリン,パルミチン酸グリセライドなどのエステ
ル類、ベンジリデンアニリン,ベンジリデンステアリル
アミン,ベンジリデンフェニルヒドラジン,1,4−ビ
スフェニルアゾメチンなどのアゾメチン類、ラウリン酸
アミド,p−トルエンスルフォアミド,サリチル酸アミ
ドなどのアミド類、メチルエチルケトン、メチルイソブ
チルケトンなどのケトン類等を挙げることができ、更に
は、椰子油、牛脂、ナフタレン、クロロホルム、トルエ
ン、キシレン、パークレン等を挙げることができる。
【0034】組成物Aにおけるアニオン性化合物と疎水
性溶剤との配合割合は、アニオン性化合物と疎水性溶剤
との合計量に対し、アニオン性化合物が1〜50重量
%、好ましくは3〜40重量%である。アニオン性化合
物の配合割合が1重量%未満ではマイクロカプセルの皮
膜強度が小さくなり、50重量%を超えると不定形のマ
イクロカプセルとなり、形状の良いマイクロカプセルが
得られない。
【0035】また、組成物Aに芯材を配合する場合に
は、組成物Aの重量に対して、10〜50重量%が好ま
しい。芯材の配合割合が50重量%を超える場合には、
不定形のマイクロカプセルとなり、形状の良いマイクロ
カプセルが得られない。
【0036】本発明のマイクロカプセルの製造方法にお
いて用いられる組成物Aは、上記疎水性溶剤に、上記ア
ニオン性化合物、及び必要に応じて芯材、界面活性剤等
を溶解又は分散させることにより調製される。これらの
溶解又は調製の順序は特に制限はなく、上記に限定され
ない。なお、界面活性剤を用いる場合には、非イオン性
界面活性剤又はアニオン性界面活性剤が好ましい。
【0037】本発明のマイクロカプセルの製造方法にお
いて用いられる組成物Bは、前述のマイクロカプセルの
皮膜材の水への分散物と、必要に応じて、顕色剤、染
料、顔料、香料、酵素、薬理活性物質などの芯材、界面
活性剤等を含有している。この界面活性剤として好まし
いのは、非イオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤
である。組成物Bに芯材を配合する場合には、組成物B
の重量に対して、10〜50重量%が好ましい。芯材の
配合割合が50重量%を超える場合には、不定形のマイ
クロカプセルとなり、形状の良いマイクロカプセルが得
られない。
【0038】上述のように、本発明のマイクロカプセル
の製造方法では、芯材は組成物A及び組成物Bの何れか
に含有されていればよい。
【0039】本発明の製造方法では、組成物A及び組成
物Bを混合することにより、マイクロカプセルが製造さ
れる。組成物A及び組成物Bの配合割合は、A/B=1
0/90〜90/10が好ましく、更にはA/B=30
/70〜70/30が好ましい。配合割合A/Bが10
/90〜90/10の範囲を外れると、得られるマイク
ロカプセルの皮膜強度が弱く、粒径も不揃いとなる。組
成物A及び組成物Bの混合は、次の3通りの方法で行う
ことができる。即ち、 (1)組成物Aを撹拌しながらこれに組成物Bを徐々に
添加する。 (2)組成物Bを撹拌しながらこれに組成物Aを徐々に
添加する。 (3)組成物A及び組成物Bを同一容器に添加してお
き、撹拌混合する。
【0040】組成物A及び組成物Bを撹拌混合するに際
し、強力な撹拌を行うほどマイクロカプセルの粒径を小
さくすることができる。本発明における好ましい撹拌速
度は、10〜2,000rpm、更に好ましくは50〜
1,000rpmである。
【0041】本発明におけるマイクロカプセルには各種
の物質を封入することができる。封入される芯材とし
て、例えば、顕色剤、染料、顔料、香料、酵素、薬理活
性物質、合成樹脂微粒子等を挙げることができる。
【0042】
【作用】本発明のマイクロカプセルの皮膜材では、組成
物Bに含有されるカチオン性共重合体に結合している第
四級アルキルアンモニウム塩が、マイクロカプセルの製
造過程において組成物Aに含有されるアニオン性化合物
と結合して不溶化することによって、マイクロカプセル
の皮膜を形成する。また、カチオン性共重合体は分子内
にエチレン構造単位を主として含有し、しかもその主鎖
はポリエチレンであるため、形成されるマイクロカプセ
ルの皮膜は強固で耐溶剤性に優れたものとなる。
【0043】
【発明の効果】本発明のマイクロカプセルの皮膜材は、
皮膜材を構成する共重合体がエチレン構造単位を主とし
て含有し、しかもその主鎖がポリエチレンであるため、
皮膜強度が大きく、しかも耐湿性、耐温度性に優れたマ
イクロカプセルが得られる。また、上記皮膜材を用いた
本発明のマイクロカプセルの製造方法によれば、マイク
ロカプセルを水媒体中で製造することが可能であり、従
来より簡便にマイクロカプセル化を行うことができる。
【0044】
【実施例】本発明のマイクロカプセルの皮膜材と、該皮
膜材を用いたマイクロカプセルと、該マイクロカプセル
の製造方法の実施例について説明する。まず、本発明の
マイクロカプセルの皮膜材の実施例について説明する。
【0045】<実施例1> (マイクロカプセルの皮膜材の調製)温度計、撹拌機、
滴下ロート及びディーン・スターク分水器を備えた1リ
ットルの4つ口フラスコに、キシレン400ml、エチレ
ン・アクリル酸エチル・アクリル酸共重合体(エチレン
/アクリル酸エチル/アクリル酸=93/3/4)15
0g及びパラトルエンスルホン酸1.0gを仕込んだ。
【0046】次に、N,N−ジメチルアミノプロピルア
ミン21.1gを仕込み、オイルバスを用いて140℃
に加熱し、生成した水をキシレンとの共沸により連続的
に除去し、さらに、140℃で17時間反応し、水が生
成しなくなり水の共沸が認められなくなるまでアミド化
反応を継続した。
【0047】得られた反応物458gを80℃まで冷却
し、その反応混合物に滴下ロートからヨウ化メチル2
8.7gを1時間かけて徐々に滴下した。この間、発熱
が認められたが、冷却することにより反応温度を90℃
に維持した。滴下終了後、100℃で4時間熟成反応を
行った。このようにして得られた反応物を多量のメタノ
ール中へ投入し、生成した沈澱物を回収、乾燥してカチ
オン性共重合体を得た。
【0048】このカチオン性共重合体の重量平均分子量
を測定したところ、19,400であった。得られたカ
チオン性共重合体を固形分20%となるように、水と共
にオートクレーブに仕込み、120℃,2〜2.5Kg
/cm2 の高温高圧下で2時間撹拌することにより、乳
化物を得た。
【0049】<実施例2〜9>実施例1と同様に、特願
平2−331082号公報に記載の方法に従い、表1の
実施例2〜9に示すカチオン性共重合体及びその乳化物
を調製した。実施例2〜9における使用原料は、以下の
ように実施例1と異なっている。
【0050】実施例8及び9では原料共重合体のエチレ
ン・アクリル酸エチル・アクリル酸共重合体におけるR
1 がそれぞれn−プロピル基及びn−ブチル基であり、
実施例5及び7では原料共重合体としてエチレン・アク
リル酸共重合体を用いた。実施例4及び8ではアミノ化
剤としてN,N−ジメチルアミノエチルアミンを用い、
実施例6ではアミノ化剤としてN,N−ジメチルアミノ
ネオペンチルアミンを用い、実施例7ではアミノ化剤と
してN,N−ジエチルアミノプロピルアミンを用い、実
施例9ではアミノ化剤としてN,N−ジエチルアミノエ
チルアミンを用いた。また、実施例2,5,6及び8で
は四級化剤としてジエチル硫酸を用い、実施例4及び9
では四級化剤としてベンジルクロライドを用い、実施例
3では四級化剤としてp−メチルベンジルクロライドを
用いた。
【0051】表1に実施例1〜9のカチオン性共重合体
の各構造単位におけるR1 〜R5 及びX- 、並びにその
モル比を示した。
【0052】
【表1】
【0053】次に、本発明のマイクロカプセルの製造方
法の具体的な実施例と、それらと比較対照するための比
較例について説明する。 <マイクロカプセルの調製> (組成物Aの調製)表2に本実施例におけるマイクロカ
プセルの製造に用いた組成物Aの組成を示す。各組成物
10A〜18Aは、表2に示す成分を混合することによ
り得られる。
【0054】
【表2】
【0055】(組成物Bの調製)表3に本実施例におけ
るマイクロカプセルの製造に用いた組成物Bの組成を示
す。各組成物10B〜18Bは、実施例1〜9で調製し
たマイクロカプセルの皮膜材を用いて調製した。各組成
物10B〜18Bは、表3に示す含有比率で実施例1〜
9のカチオン性共重合体の乳化物と水と必要に応じて界
面活性剤と、更に必要な場合には芯材を添加して組成物
Bを得た。
【0056】
【表3】
【0057】(マイクロカプセルの調製)上記で説明し
た組成物A及び組成物Bを用いてマイクロカプセルを調
製した。
【0058】実施例10のマイクロカプセルは、上述の
組成物10A及び組成物10Bを用いて調製した。他の
実施例のマイクロカプセルも同様に、実施例の番号に対
応する番号を付した組成物A及び組成物Bを用いた。マ
イクロカプセルの調製は、以下の2つの方法によって行
った。 500mlのビーカーに組成物Aを200g仕込み、
長さ300mm、高さ10mmの翼面積を有する撹拌翼
を用いて撹拌しながら、組成物B100を徐々に添加す
る。生成したマイクロカプセルを濾別し、100mlの
エタノールで洗浄後、乾燥させる。 上記の方法において、組成物Aに代えて組成物B2
00gをビーカーに仕込んでおき、これに組成物A10
0gを添加撹拌すること以外はと同様である。 なお、上記撹拌は、表4に示す回転数で行った。
【0059】(比較例)比較例として、従来技術で説明
したアルギン酸ソーダを皮膜材として用い、硬化剤とし
て塩化カルシウムを用いたマイクロカプセルを取り挙げ
た。本比較例のマイクロカプセルは、表2及び表3に示
した構成成分で、液中硬化被覆法により調製した。
【0060】<マイクロカプセルの特性の評価>得られ
たマイクロカプセルの平均粒径、耐湿性及び耐温度性を
評価した。その結果を表4に示す。また、比較例のマイ
クロカプセルの評価結果も併せて表4に示した。
【0061】
【表4】
【0062】平均粒径の測定は、シーラス社製のレーザ
回折型粒度分布測定装置(TypeGranulo m
etre 715)を用いて行った。
【0063】耐湿性の評価は、マイクロカプセルを秤量
瓶に深さ30mmとなるように採取し、20℃、80%
RHの環境下に2週間放置した後、取り出してブロッキ
ングの有無を判定した。評価基準は表4の下に示すとお
りである。
【0064】耐温度性の評価は、上記の耐湿性の評価と
同様の方法で行った。但し、放置条件は、42℃、80
%RH、2週間である。
【0065】表4に示すように、各実施例のマイクロカ
プセルは、アルギン酸ソーダを用いた従来のマイクロカ
プセルより、耐湿性及び耐温度性の点で優れていること
が分かる。なお、マイクロカプセルの粒子径と撹拌の回
転数との間には相関関係は見られないが、これは、粒子
径は単に撹拌のみならず、他の因子にも依存するからで
ある。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子内に、 一般式化1で表されるエチレン構造単位( I) を65〜
    99モル%と、 一般式化2で表されるアクリルアミド構造単位(III) を
    1〜35モル%とを含有し、重量平均分子量が1,00
    0〜50,000で線状のカチオン性共重合体を含有す
    ることを特徴とするマイクロカプセルの皮膜材。 【化1】 【化2】 (但し、化2に於いて、R2 は炭素数2〜8のアルキレ
    ン基を表し、R3 及びR4 は各々独立に炭素数1〜4の
    アルキル基を表し、R5 は炭素数1〜12のアルキル
    基、炭素数6〜12のアリールアルキル基又は炭素数6
    〜12の脂環式アルキル基を表し、X- はハロゲンイオ
    ン、CH3 OSO3 - 又はCH3 CH2 OSO3 - を表
    し、R2 〜R5 及びX- はそれぞれ構造単位毎に同一で
    あっても異なってもよい。)
  2. 【請求項2】 前記カチオン性共重合体は、更に一般式
    化3で表されるアクリレート構造単位(II)を15モル%
    以下で含有することを特徴とする請求項1記載のマイク
    ロカプセルの皮膜材。 【化3】 (但し、化3に於いて、R1 は炭素数1〜4のアルキル
    基を表し、R1 は構造単位毎に同一であっても異なって
    もよい。)
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のマイクロカプセル
    の皮膜材を皮膜に含有することを特徴とするマイクロカ
    プセル。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のマイクロカプセルの製造
    方法であって、 芯材、アニオン性化合物及び疎水性溶剤を含有する組成
    物Aと、 前記マイクロカプセルの皮膜材の水への分散物を含有す
    る組成物Bとを混合することを特徴とするマイクロカプ
    セルの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項3記載のマイクロカプセルの製造
    方法であって、 アニオン性化合物及び疎水性溶剤を含有する組成物A
    と、 芯材及び前記マイクロカプセルの皮膜材の水への分散物
    を含有する組成物Bとを混合することを特徴とするマイ
    クロカプセルの製造方法。
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