JPH05315857A - 電力増幅器 - Google Patents

電力増幅器

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JPH05315857A
JPH05315857A JP11776192A JP11776192A JPH05315857A JP H05315857 A JPH05315857 A JP H05315857A JP 11776192 A JP11776192 A JP 11776192A JP 11776192 A JP11776192 A JP 11776192A JP H05315857 A JPH05315857 A JP H05315857A
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harmonic
fet
power
section
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JP11776192A
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Yukihiro Toyoda
幸弘 豊田
Fuminori Sakai
文則 酒井
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Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 送信機等に用いられる電力増幅器に関し、飽
和出力点より前で電力付加効率(ドレイン効率)が最大
となるようにすることを目的とする。 【構成】 入力信号から基本波成分並びに高調波成分を
発生させ、これら高調波成分のうちの第2高調波又は第
3高調波或いは第2高調波と第3高調波との組合せを取
り出してその振幅及び位相を基本波に対して調整し且つ
合成することにより擬似方形波を生成するとともに、こ
の擬似方形波の基本波成分並びに上記の高調波成分を最
大レベルでFET増幅部に与えこのFET増幅部で最小
の動作角で電力増幅したのち基本波成分のみを取り出す
ように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電力増幅器に関し、特に
送信機等に用いられる電力増幅器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の送信機等に用いられている電力増
幅器は普通、FETのドレイン効率(これは電力付加効
率に対応する)を高くするためにC級増幅が採用されて
いる。
【0003】即ち、FETのゲートバイアス電圧を深く
掛け、励振電圧は十分ゲートGがプラス電位になるまで
与え、ドレイン電流流通角はπ以下になるようにする。
【0004】このような状態が図11に示されており、
FETをC級増幅動作させた場合のドレイン効率は75
〜82%であり、入力の一部はドレイン損失として無駄
に消費される。もし、ドレイン電流が流れる期間にドレ
イン電圧が“0”であれば、ドレイン損失は“0”とな
るので効率は100%となる。
【0005】このようなC級増幅で動作角(動作角の値
はA級増幅でπ、B級増幅でπ/2であり、C級増幅で
π/2より小さくなる。)を小さくすれば、図12に示
すように流通角2θ1 (流通角とは一周期間にドレイン
電流が流れている期間を電気角で表したものであり、そ
の半分を動作角という)を小さくすると、ドレイン電流
が流れる期間にドレイン電圧が低いのでドレイン効率が
向上することとなる。
【0006】しかしながら、動作角を小さくして大きい
出力を取り出そうとすればドレイン電流は大きくなり、
ドレイン電圧効果も増大するので損失が増大してしま
う。従って、余り動作角を小さくするとドレイン効率は
却って低下することになる。
【0007】一方、電力増幅器の効率を上げるために
は、材木の乾燥やビニールの接合及び金属の表面焼き入
れ等の特殊な場合に利用される高周波加工機において既
に知られているように、電力増幅器に方形波の入力電圧
を加えるとその出力電流は方形波となり、方形波の入力
電圧が低い間に出力電流を流すことが出来るので最大出
力の場合でも効率を90乃至95%にすることが可能と
なる。
【0008】このような観点から、現在盛んに用いられ
ている携帯用電話器での電力増幅器の回路構成は、図1
3(a)に示すように、正弦波の入力信号をFETの
ゲートGに入力し、この時のゲート入力に対してバイア
ス電源40によりゲートバイアスVGSをかけることによ
りFETをA級増幅するが、同図(b)に示すように
ゲート入力の振幅が大きいので、ドレイン電源53から
ドレインDに流れる電流IDSS としては飽和した波形
(方形波)が発生する。
【0009】そして、この方形波のドレイン電流IDSS
を、B級バイアスVGSが掛けられている電力増幅用FE
Tのゲートに印加してそのドレインから取り出した出
力信号中の第2高調波成分2f0 を並列共振回路51で
カットし、更に先端開放スタブ70で第3高調波成分2
0 をカットして基本波成分f0 のみを電力増幅するよ
うにしている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
方形波IDSS には、基本波成分f0,第2高調波成分2f
0,第3高調波成分2f0 が含まれている(実際には、そ
の他の高調波成分も含まれているが、レベルとしては無
視できる)が、各成分の振幅や位相が調整されずに単に
混在しているだけであるので、必ず同図(b)に示すよ
うな波形になるとは言えない。
【0011】従って、基本波成分f0 のみを電力増幅し
たと言っても、図14の一点鎖線で示すように、入力電
力に対する出力電力が飽和した付近で最大付加効率(ド
レイン効率)が得られてしまい、通常の携帯電話器にお
いて望ましい形として飽和出力点の前で最大効率を得る
ことできなくなってしまうという問題点があった。
【0012】従って本発明は、飽和出力点より前で電力
付加効率(ドレイン効率)が最大となるような電力増幅
器を実現することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明に係る電力増幅器は、図1に原理的に示すよ
うに、基本波成分を入力して高調波成分を発生する高調
波発生部1と、該高調波発生部1で発生された高調波成
分のうちの第2高調波成分のみを取り出してその振幅及
び位相を該基本波成分に対して調整し該基本波成分と合
成することにより擬似方形波を生成する振幅位相調整部
2と、該擬似方形波の該基本波成分と該第2高調波成分
を最大レベルで取り出す入力整合部3と、該入力整合部
3の出力信号に対して擬似方形波の動作角を小さくして
電力増幅するFET増幅部4と、該FET増幅部4の出
力信号の内、該基本波成分のみを取り出す出力整合部5
と、を備えている。
【0014】尚、上記の本発明の構成において、該第2
高調波の代わりに第3高調波又は第2高調波及び第3高
調波との組合せを用いてもよい。
【0015】更に本発明では、図2に原理的に示すよう
に、該入力整合部3と該FET4と該出力整合部5との
組合せを2つ用いてプッシュプル構成とすることも可能
である。
【0016】
【作用】図1に示した本発明に係る電力増幅器(シング
ル電力増幅器)においては、高調波発生部1において基
本波成分f0 の入力信号から種々の高調波を発生して振
幅位相調整部2に与えると、この振幅位相調整部2では
基本波成分f0 と共に高調波のうちの第2高調波成分2
0 のみを取り出し且つその振幅と位相を基本波成分f
0 に対して調整し更に基本波成分f0 と合成することに
より擬似方形波を生成して出力する。
【0017】このようにして生成された擬似方形波を、
その前段に設けた入力整合部3により基本波成分f0
第2高調波成分2f0 とを最大レベルでFET増幅部4
に与え、FET増幅部4ではこの入力整合部3の出力信
号に対し擬似方形波の動作角を小さくして電力増幅す
る。そして、このFET増幅部4の出力信号は出力整合
部5において基本波成分f0 のみが取り出され出力され
ることとなる。
【0018】図1のシングル電力増幅器においては高調
波成分として第2高調波成分2f0を取り上げたが、こ
の第2高調波成分の代わりに第3高調波成分3f0 又は
第2高調波成分2f0 と第3高調波成分3f0 との組合
せを用いることができ、これらの各高調波成分は振幅位
相調整部2から与えられ、入力整合部3において最大レ
ベルでFET増幅部4に与えられると共に、出力整合部
5において基本波成分のみが取り出されるようになって
いる。
【0019】また、図2に示した本発明に係る電力増幅
器のプッシュプル構成においては、高調波発生部1及び
振幅位相調整部2の構成は図1と同様であるが、電力増
幅部に関してはプッシュプル構成になっており、このた
め図1に示した入力整合部とFET増幅部と出力整合部
との組合せにとして2組(入力整合部3−1,3−2と
FET増幅部4−1,4−2と出力整合部5−1,5−
2)が設けられており、これら二つの組合せの入力側に
は位相反転部6が設けられると共に出力側においても位
相反転部7が設けられている。
【0020】従って振幅位相調整部2からの出力信号
(基本波成分f0 +第2高調波成分2f0 、基本波成分
0 +第3高調波成分3f0 、又は第2高調波成分2f
0 +第3高調波成分3f0 )が二つの入力整合部3−
1,3−2に対して互いに位相が反転した入力となるよ
うに与えられ、入力整合部3−1,3−2とFET増幅
部4−1,4−2と出力整合部5−1,5−2とをそれ
ぞれ経由した出力信号は位相反転部6とは丁度逆の形で
位相反転部7で位相反転されることにより基本波成分f
0 のみを取り出すことが出来る。
【0021】このようにして本発明では、基本波と高調
波の電圧波形の振幅及び位相を調整して合成波形とし、
この合成波形をFET増幅部へ供給することにより増幅
部での出力電圧が低い間にゲート電流が流れるので、電
力付加効率を上げることができ、以て図14に実線で示
すように飽和出力より入力電力が低い点において最大の
電力付加効率を得ることが出来る。
【0022】
【実施例】図3は本発明に係る電力増幅器の実施例を示
したもので、この実施例では基本波成分f0 と第3高調
波成分3f0 とを扱っている。
【0023】この実施例において、図1に示した高調波
発生部1は増幅器で構成され、振幅位相調整部2は、増
幅器1の出力信号に含まれる種々の高調波成分の中から
第3高調波成分3f0 のみを取り出すバンドパスフィル
タ21と、このバンドパスフィルタ21の出力信号を増
幅する電圧制御型利得可変増幅器22と、この増幅器2
2の出力信号の位相を変化させる移相器23と、この移
相器23の出力信号の内の直流成分を除去するコンデン
サ24と、増幅器1の出力信号の中から基本波成分f0
のみを取り出すバンドパスフィルタ25と、このバンド
パスフィルタ25の出力信号における直流成分を除去す
るコンデンサ26と、コンデンサ24及び26の各出力
信号を入力して合成するデュアルゲートFETとこの
FETにゲートバイアスVGSを与えるバイアス電源2
7とで構成されている。
【0024】また、図1に示した入力整合部3はFET
の出力信号の中から基本波成分f 0 と第3高調波成分
3f0 をそれぞれ取り出す為の並列共振回路31及び3
2との直列回路で構成されており、この直列回路は後述
するバイアス電源53に接続されている。
【0025】更に、図1に示したFET増幅部4は、動
作角を決めるためのFETとB級電力増幅を行うFE
Tとを含んでおり、FETについては入力信号中の
直流成分を除去するコンデンサ41とゲートバイアスV
GSを与える為のバイアス電源42とドレイン出力に対し
て基本波成分f0 及第3高調波成分3f0 をそれぞれ取
り出す為の並列共振回路43及び44とが直列接続され
てドレイン電源53に接続されている。またFETに
ついてはFETの出力信号における直流成分を除去す
る為のコンデンサ45とゲートバイアスVGSを与える為
のバイアス電源46とが設けられている。
【0026】そして出力整合部5においては、FET
の出力における第3高調波成分3f 0 を除去する為の並
列共振回路51と、同じくFETの出力における基本
波成分f0 のみを取り出す並列共振回路52と、この並
列共振回路52の出力信号を取り出すトランスT1と、
このトランスT1から更に基本波成分f0 を厳密に取り
出すためのバンドパスフィルタ54とで構成されてお
り、並列共振回路52はドレイン電源53が接続されて
いる。
【0027】このような本発明に係る電力増幅器の動作
においては、増幅器1において入力信号が増幅される
際、その基本波成分f0 と共に種々の高調波成分が発生
されるが、この内の基本波成分f0 はバンドパスフィル
タ25により、また第3高調波成分3f0 はバンドパス
フィルタ21によりそれぞれ取り出され第3高調波成分
3f0 については振幅が増幅器22により調整され位相
が移相器23により移相されることによりFETで基
本波成分f0 と第3高調波成分3f0 とが合成され、図
4〜図6に示すような合成電圧波形が得られる。
【0028】これら図4〜図6では、基本波成分と第3
高調波成分の電圧波形がθ=0の位置で逆相になるよう
に移相器23で位相調整されており、そして、図4の場
合には基本波成分f0 の電圧波形の振幅を“1”とし第
3高調波3f0 の電圧波形の振幅を利得可変増幅器22
により基本波成分f0 の1/8あるいは1/9になるよ
うにした場合を示しており、この場合には平坦な特性の
部分が狭くなっていることが分かる。
【0029】また図5に示す例では第3高調波成分3f
0 の電圧波形の振幅を1/6〜1/7にした場合を示し
ており、平坦な部分が比較的広く方形波に近くなってい
ることが分かる。更に図6に示すように第3高調波の電
圧波形の振幅を1/4〜1/5にすると振幅最大の位置
で双方特性になることを示しており、このような波形の
位置で方形波に近く且つ方形波の平坦部分が窪んでいな
い図5に示すような例の波形が最も好ましいこととな
る。
【0030】そして、このようにしてFETから出力
される合成電圧波形(方形波)の内、基本波成分f0
第3高調波成分3f0 とがそれぞれ共振回路31及び3
2により最大のレベルとしてFETに与えられるよう
になっており、このようにしてFETに入力された基
本波成分f0 と第3高調波成分3f0 との合成電圧波形
(方形波)はゲートバイアスVGSを与えて増幅され、更
にこのFETで生じた高調波成分の内からやはり基本
波成分f0 と第3高調波成分3f0 とをそれぞれ並列共
振回路43及び44により通過させ、次の電力増幅用F
ETに与えると、このFETではゲートバイアスV
GSによりB級増幅が行われて出力整合部5における並列
共振回路51及び52を介してバンドパスフィルタ54
より基本波成分f0 のみが電力増幅された形で出力され
るようになっている。
【0031】図3に示した実施例では基本波成分f0
加えて高調波成分として第3高調波成分3f0 を用いる
場合を示したが、第3高調波の代わりに第2高調波を用
いても良く、この場合にはバンドパスフィルタ21とし
て第2高調波2f0 のみを抽出するものを用い、これに
対応して利得可変増幅器22及び移相器23並びにコン
デンサ24とを用いることとなる。また並列共振回路3
2,44,51をそれぞれ第2高調波2f0 を抽出又は
除去する為の回路構成とすれば良い。
【0032】このように基本波成分f0 と第2高調波成
分2f0 とを用いた場合には、図7に示すように、基本
波成分f0 の振幅を“1”とすると第2高調波成分の電
圧波形の振幅は1/3となり、図示のように位相角45
°遅らせればθ=0の位置で互いに逆位相となって振幅
最大で平坦な特性となり電力付加効率が高くなる為の不
可欠な方形波(合成電圧波形)が得られる。
【0033】また、図8に示す波形は、第2高調波成分
2f0 と第3高調波成分3f0 の双方を用いて方形波を
生成した場合の波形を示しており、この場合には第2高
調波成分2f0 の振幅は基本波成分f0 の1/7であり
位相差は45°とし、第3高調波成分3f0 の振幅は基
本波成分の1/10で位相差が全く無い状態を示してい
る。尚、この場合には、FETを3入力用の合成器と
し、図3の構成に加えて、バンドパスフィルタ21と利
得可変増幅器22と移相器22とコンデンサ24との直
列回路と並列にもう一つ別のバンドパスフィルタと利得
可変型増幅器と移相器とコンデンサとの第2高調波2f
0 用の直列回路を用いることとなり、また並列共振回路
32,44,51に加えて別の並列共振回路をそれぞれ
第2高調波2f0 を抽出又は除去する為の回路構成とす
れば良い。
【0034】上記のような各実施例で述べたように、利
得可変型増幅器22の増幅利得及び移相器23の位相に
ついては種々の値が考えられるが、この場合にFET
に与える信号が最も好ましい方形波になるようにする為
には、第2高調波の場合、上記のように振幅を1/3と
し、位相角を45°遅らせれば良く、また動作角θ1
ついてはその値を大きく取ると上記のように電力付加効
率が低下する為、出来る限り動作角θ1 が小さく(但し
ドレイン電流が大きくなり過ぎない程度に小さく)且つ
方形波に近いところで動作角θ1 を選べば良いこととな
り、図示のような動作角θ1 が与えられるように図3に
示すバイアス電源42及び46がバイアス電圧VGSに設
定されることとなる。
【0035】言い換えると、平坦な部分が広い合成電圧
波形をFET及びFETのゲートへ与えるとそのド
レイン電圧が低い期間が長くなってその期間にドレイン
電流を流せば増幅器として効率が高くなるが、実際には
この時の流通角にθ1 が大きくなってしまうと効率は低
下してしまう。
【0036】この流通角に2θ1 によってドレイン効率
がどのように変化するかは図12に示した通りである
が、例えば図5に示す場合の流通角としては、できるだ
け合成電圧波形が方形波に近づき、電流が零から急激に
立ち上がるようにできるだけ小さな値であるが、ドレイ
ン電流が大きくならない値として70°〜74°が最も
好ましいことが実験より確かめられている。更に、図7
の場合には78°〜83°の間、図8の場合には75°
〜80°の間に選べばよい。
【0037】このような観点からすると合成電圧波形の
振幅最大の位置で平坦な特性になっていてもその波形の
裾が広がっていたり(180°の位置を越える点でゼロ
交差したり)、平坦部分の真ん中部分が窪んでいたりす
ることは好ましくないという観点から図5に示す合成電
圧波形が最も方形波に近い好ましいものであることが分
かる。
【0038】図9には、図5に示した動作角74°の場
合の合成電圧波形(方形波)をFETのドレインから
FETのゲートに与えた場合の動作波形が示されてお
り、この図5の場合では動作角74°の位置から上側の
波形だけが必要になるので、FETのバイアス電圧V
GSを動作角74°の位置に来るように調整する。但し、
バイアス電圧VGSを正確に合わせることはなかなか難し
いので、FET、FETのドレイン側でサンプリン
グオシロスコープで合成電圧を観測しながら、ほぼ74
°と思われる位置にバイアス電圧VGSを合わせることが
出来る。
【0039】もし上記の実施例において第3高調波成分
3f0 に対する並列共振回路がなく、基本波成分f0
並列共振回路だけであるとすると第3高調波成分の電圧
波形に対して付加インピーダンスが共振インピーダンス
よりずっと小さくなるために付加の両端に現れる電圧中
の高調波成分は基本波よりずっと小さくなる。
【0040】従って負荷の両端の電圧波形は基本波成分
の電圧波形になり図5に示す合成電圧波形にはならなく
なってしまう。従って、図5に示すような合成電圧波形
にするには第3高調波成分3f0 に対する並列共振回路
が不可欠であることがわかる。
【0041】図14においては入力電力対出力電力及び
電力付加効率の特性曲線が示されており、この例には周
波数を0.9GHZ (これは基本波成分f0 の周波数に
相当する)に固定して入力電力を16〜26dBmまで
変化させた時、出力電力が29から36dBmまで変化
し、電力付加効率が44から60%まで変化したことを
示しており、この特性曲線に示されるように出力電力が
最大の位置で電力付加効率は最大になっておらず、入力
電力22dBmの時に電力付加効率が最大の60%とし
て得られており、通常の携帯電話などにおいて好ましい
特性となっていることが分かる。
【0042】図10は図2に示した本発明に係る電力増
幅器(プッシュプル電力増幅器)の実施例を示したもの
であり、この実施例は図3に示したFETより後の部
分についての実施例を示したもので、この実施例では並
列共振器43及び44の直列回路を介してFETのド
レイン出力をコンデンサ45で直流成分を除去したのち
ハイブリッドカプラHCにより図2に示したように位相
反転を行い、このハイブリッドカプラHCで位相反転さ
れたそれぞれの出力信号を入力整合部3−1及び3ー2
で入力整合を行った後、FET−1及びFETー2
においてそれぞれ増幅を行い、出力整合部としての並列
共振器51−1及び51−2並びに並列共振器52を介
してトランスT1より出力させている。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る電力増
幅器によれば、入力信号から基本波成分並びに高調波成
分を発生させ、これら高調波成分のうちの第2高調波又
は第3高調波或いは第2高調波と第3高調波との組合せ
を取り出してその振幅及び位相を基本波に対して調整し
且つ合成することにより擬似方形波を生成するととも
に、この擬似方形波の基本波成分並びに上記の高調波成
分を最大レベルでFET増幅部に与えこのFET増幅部
で最小の動作角で電力増幅したのち基本波成分のみを取
り出すように構成したので、電話用等の送信機において
音声波を電力増幅する場合には所望の動作角で擬似方形
波により好ましい高効率の電力増幅を行うことが出来る
こととなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電力増幅器(シングル電力増幅
器)の構成を原理的に示したブロック図である。
【図2】本発明に係る電力増幅器(プッシュプル増幅
器)の構成を原理的に示したブロック図である。
【図3】本発明に係る電力増幅器(シングル電力増幅
器)の実施例(基本波成分+第3高調波成分の場合)を
示した回路図である。
【図4】本発明により基本波成分と第3高調波成分とを
合成して得られる擬似方形波を示す波形図である。
【図5】本発明により基本波成分と第3高調波成分とを
合成して得られる別の擬似方形波を示す波形図である。
【図6】本発明により基本波成分と第3高調波成分とを
合成して得られる更に別の擬似方形波を示す波形図であ
る。
【図7】本発明により基本波成分と第2高調波成分とを
合成して得られる擬似方形波を示す波形図である。
【図8】本発明により基本波成分と第2高調波成分と第
3高調波成分とを合成して得られる擬似方形波を示す波
形図である。
【図9】本発明により与えられるFETのゲート入力信
号とドレイン出力信号との関係を示す波形図である。
【図10】本発明に係る電力増幅器(プッシュプル電力
増幅器)の実施例を部分的に示した回路図である。
【図11】C級電力増幅を行う場合のドレイン電圧の波
形図である。
【図12】流通角とドレイン効率との関係を示したC級
電力増幅器の特性グラフ図である。
【図13】従来のシングル電力増幅器を示した回路図で
ある。
【図14】本発明及び従来の電力増幅器の入力電力に対
する出力電力及び電力付加効率を示した特性グラフ図で
ある。
【符号の説明】
1 高調波発生部 2 振幅位相調整部 3 (3−1,3−2) 入力整合部 4 (4−1,4−2) FET増幅部 5 (5−1,5−2) 出力整合部 6,7 位相反転部 図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基本波成分を入力して高調波成分を発生
    する高調波発生部(1) と、 該高調波発生部(1) で発生された高調波成分のうちの第
    2高調波成分のみを取り出してその振幅及び位相を該基
    本波成分に対して調整し該基本波成分と合成することに
    より擬似方形波を生成する振幅位相調整部(2) と、 該擬似方形波の該基本波成分と該第2高調波成分を最大
    レベルで取り出す入力整合部(3) と、 該入力整合部(3) の出力信号に対し擬似方形波の動作角
    を小さくして電力増幅するFET増幅部(4) と、 該FET増幅部(4) の出力信号の内、該基本波成分のみ
    を取り出す出力整合部(5) と、 を備えたことを特徴とする電力増幅器。
  2. 【請求項2】 該第2高調波の代わりに第3高調波を用
    いることを特徴とした請求項1記載の電力増幅器。
  3. 【請求項3】 該第2高調波の代わりに第2高調波及び
    第3高調波を用いることを特徴とした請求項1記載の電
    力増幅器。
  4. 【請求項4】 該入力整合部(3) と該FET(4) と該出
    力整合部(5) との組合せを2つ用いてプッシュプル構成
    とすることを特徴とした請求項1乃至3のいずれかに記
    載の電力増幅器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN101753108A (zh) * 2008-12-16 2010-06-23 株式会社瑞萨科技 具有变压器的功率放大器
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