JPH0531360Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は臭化メチル等の液化ガス封入缶の時限
式開缶具に関する。

従来、液化ガス缶の開缶具は種々提案されてい
るが、それらの大部分は、いずれも開缶と同時に
ガスが噴出する形式のものである。

液化ガスとして臭化メチルの場合について、以
下説明する。

臭化メチルは常温常圧では気体の有毒ガスであ
るが、通常は液化して金属の密閉缶やボンベに封
入して販売される。従つて、缶入りの臭化メチル
を穀物や土壌の燻蒸に使用する場合には封入缶を
開缶することが必要である。倉庫やサイロ内で使
用するときはその内部で封入缶を開缶せねばなら
ないので作業者は有毒ガスに曝されることにな
る。また土壌燻蒸の場合には、土壌の上に開缶具
を取付けた封入缶を置き、その上からビニルシー
トで被覆し、シートの上から封入缶を押して開缶
するが、作業が面倒であるばかりでなく、シート
が破損したときは作業者は危険に曝されるという
問題があつた。これらの問題を解決する一つの方
法として、開缶して幾らかの時間が経過して後ガ
スを噴出せしめる時限開缶装置が提案されている
（実公昭57−2794号公報）。

この提案は、封入缶に時限開缶装置をとりつけ
開缶用の針を缶に打込んで穿孔し、そこから出た
ガスが噴出口に到る経路の途中に設置された可溶
性樹脂板を浸蝕貫通して後、外部に噴出するもの
である。しかしながら、打針が弱いときは穿孔が
不完全になつてガスが噴出しなかつたり、噴出す
る迄の時間が変動したりして、十分に満足しうる
ものではない。

本考案は、開缶を耐衝撃性に優れた樹脂製栓状
成形品の頭部を打撃又は強く押えることによつて
行なうが、打撃又は押しつけの強弱によつて開缶
状態が変わることなく、従つて、ガスの噴出迄の
時間が一定になる如くなしたものである。

即ち、本考案は外側面に凸部２を設けた中空筒
状突起部を有する液化ガス封入缶１の開缶具であ
つて、その開缶具は、封入されている液化ガスに
可溶性の樹脂よりなり該中空筒状突起部に嵌合す
る凹部４を有する栓状成形品３と、該栓状成形品
内部に固着された鋭利な尖端を有する金属製パイ
プ５と、該金属製パイプの外周に設置されたパツ
キング９からなり、栓状成形品３を中空筒状突起
部に嵌合させて中空筒状突起部の凸部２と栓状成
形品３の凹部４とを噛合わせた際に金属製パイプ
５の尖端が該中空筒状突起部の上面を穿孔し、一
定時間後、金属製パイプ内とその上部に充満した
ガスが栓状成形品３の一部を溶解し噴出するよう
になしたことを特徴とする液化ガス封入缶用時限
式開缶具である。

以下、本考案の実施態様を例示する図面によつ
て、具体的に説明する。

第１図及び第３図は開缶具を装着した状態の断
面図、第２図及び第５図（要部）は開缶して封入
ガスが噴出している状態の断面図、第４図は開缶
具の斜視図である。１は封入缶本体の一部、２は
筒状突起部の外側面に形成された凸部、斜線部３
は可溶性樹脂製栓状成形品、４は可溶性樹脂製栓
状成形品の凹部、５は鋭利な尖端を有する金属製
パイプである。２の凸部は筒状突起部の外側に一
周して形成されることが望ましい。可溶性樹脂
は、耐衝撃性に優れ、缶に封入されているガスよ
つて侵食貫通される性質を有するもので、例え
ば、塩化ビニル樹脂、ハイインパクトスチロール
樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂等を挙
げることができる。また、透明な樹脂を使用する
ときは、液化ガスが開缶具内に充満するのが確認
できるので好ましい。栓状成形品３の下端にある
凹部を有する部分は、栓状成形品３の下端全周に
ある必要はなく等分されたその一部にあつてもよ
いし、等分された位置に切り込みを入れてもよ
い。その理由は、その方が弾力性にとみ嵌合しや
すくなる為である。

金属製パイプ５は、その一端が封入缶を穿孔す
るに充分な強度と鋭利さを要し、通常は肉厚0.5
〜１mmのパイプを斜切りしたもの、或は胴切り、
切削して歯をつけたもので充分である。このパイ
プは第１図の如く可溶性樹脂製栓状成形品に挿入
したり、第３図の如く、穴あき板６に接合したり
して、可溶性樹脂製栓状成形品に固着される。

封入缶を開缶するためにはまず開缶具を缶の筒
状突起部に装着し（第１図，第３図）、開缶具の
頭部をハンマー等で打撃するか、又は手、足等で
強く押しつける。打撃又は押しつけによつてパイ
プ５は筒状突起部の上面を穿孔し、可溶性樹脂製
栓状成形品の凹部４は筒状突起部の凸部２にかか
つて缶の内圧を支える。缶内の液化ガスはパイプ
内を充満し、可溶性樹脂製栓状成形品の内面７を
侵食し外面に達すると缶の内圧によつて貫通し
て、液化ガスが噴出する（第２図，第５図）。開
缶からガスの噴出開始迄の時間は、７と８の距
離、樹脂の種類、雰囲気温度などによつて変わる
が、通常は10〜30分が適当である。

また、金属製パイプ５の外周にフツ素ゴム、フ
ツ化シリコンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム
或いはEPラバー等のパツキング９（特に独立気
泡型の軟質スポンジ状が好ましい）を入れること
が、ガスの漏洩防止のために必要である。

本考案の時限式開缶具は、構造が簡単で封入缶
に対する装着および開缶が容易であり、穿孔状態
が常に同じになるので穿孔からガス噴出開始迄の
時間が揃うなどの優れた効果を奏し、有毒液化ガ
スの場合には、その作業の安全性を確保すること
ができるなど、従来の開缶具に比して、格段に優
れた開缶具である。

以下、実験例を示す。

実験例 透明なポリカーボネート樹脂を使用した第１図
の開缶具を、臭化メチル750g入り缶に取り付け、
第２図のように開缶してガス噴出開始迄の時間を
測定した。７と８の距離0.5mm、雰囲気温度10℃，
20℃，30℃の場合の時間はそれぞれ32分，22分，
14分であつた。

【図面の簡単な説明】

添付図面の第１図及び第３図は本考案の実施例
の開缶具を開缶される液化ガス封入缶に装着した
状態の断面図（要部）、第２図は第１図の開缶具
で封入缶を開缶した状態を示す断面図（要部）、
第４図は第１図又は第３図の開缶具の斜視図、第
５図は凹凸部の他の実施例を示す断面図（要部）
である。図中、 １……缶、２……中空筒状突起部の凸部、３…
…可溶性樹脂製栓状成形品、４……可溶性樹脂製
栓状成形品の凹部、４′……可溶性樹脂製栓状成
形品の凹部４の外面、５……穿孔用金属製パイ
プ、６……パイプを接合した金属板、７……可溶
性樹脂製栓状成形品の内面、８……可溶性樹脂製
栓状成形品の外面、９……パツキン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 外側面に凸部２を設けた中空筒状突起部を有す
   る液化ガス封入缶１の開缶具であつて、その開缶
   具は、封入されている液化ガスに可溶性の樹脂よ
   りなり該中空筒状突起部に嵌合する凹部４を有す
   る栓状成形品３と、該栓状成形品内部に固着され
   た鋭利な尖端を有する金属製パイプ５と、該金属
   製パイプの外周に設置されたパツキング９からな
   り、栓状成形品３を中空筒状突起部に嵌合させて
   中空筒状突起部の凸部２と栓状成形品３の凹部４
   とを噛合わせた際に金属製パイプ５の尖端が該中
   空筒状突起部の上面を穿孔し、一定時間後、金属
   製パイプ内とその上部に充満したガスが栓状成形
   品３の一部を溶解し噴出するようになしたことを
   特徴とする液化ガス封入缶用時限式開缶具。