JPH05312576A - 角速度センサ - Google Patents

角速度センサ

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JPH05312576A
JPH05312576A JP4143148A JP14314892A JPH05312576A JP H05312576 A JPH05312576 A JP H05312576A JP 4143148 A JP4143148 A JP 4143148A JP 14314892 A JP14314892 A JP 14314892A JP H05312576 A JPH05312576 A JP H05312576A
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Shinji Kobayashi
真司 小林
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 振動体に加わる気体の粘性抵抗力を低減して
検出感度を向上する。 【構成】 下側基板11A上に空間11Dを介して設け
られたシリコン材料からなる上側基板11Cに、第1の
支持梁13によってX軸方向に振動可能に支持された第
1の振動体12と、第1の振動体12に第2の支持梁1
5によりY軸方向に振動可能に支持された第2の振動体
14と、各導電部17,18間に生じる静電力によって
第1の振動体12をX軸方向に振動させる振動発生部1
6と、拡散抵抗により第2の支持梁15の応力変化を検
出する変位量検出部21とを、一体形成する構成とし
た。これにより、Z軸を回転軸とする回転力Tが加わる
と、第2の振動体14はコリオリの力によってY軸方向
に変位し、各変位量検出部21はこのY軸方向の変位を
第2の支持梁15の応力変化として検出し、これを回転
力Tの角速度として出力する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば車両等の回転方
向,姿勢等を検出するのに用いて好適な角速度センサに
関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、車両等の回転方向を検出するの
に用いられる角速度センサとしては、例えば特公平3−
74926号公報、特開昭61−114123号公報等
によって知られている。
【0003】そこで、図19に従来技術による角速度セ
ンサとして、特公平3−74926号公報に記載の半導
体回転センサを例に挙げて示す。
【0004】図において、1はシリコン材料からなる基
板を示し、該基板1は、図中下側に位置する下側基板1
Aと、該下側基板1A上に形成された上側基板1Bとか
ら大略構成され、該各基板1A,1B間には後述する片
持梁2の振動を許す空間1Cが形成されている。
【0005】2は基板1の上側基板1Bにエッチング技
術等を用いて一体形成された片持梁を示し、該片持梁2
は、その基端2A側が上側基板1Bに固定された固定端
となり、その先端2B側が基板1に対して垂直な上,下
方向に振動可能な自由端となっている。また、該片持梁
2の基端2A側には、幅方向の中心に位置して長手方向
に伸びる角形状のスリット3が穿設されている。
【0006】4は片持梁2の先端2B側上面に形成され
た電極を示し、該電極4は所定の周波数信号を発振する
発振回路(図示せず)と接続されている。そして、発振
回路からの周波数信号が電極4を介して片持梁2に印加
されると、該片持梁2は静電力により上,下方向に振動
するようになっている。
【0007】5,5はスリット3の左,右に位置して片
持梁2の基端2A側に設けられたピエゾ抵抗素子を示
し、該各ピエゾ抵抗素子5は、基板1の回転時に片持梁
2に生じる応力を抵抗値変化として検出し、これを回転
方向の角速度として信号処理回路(図示せず)に出力す
るものである。
【0008】従来技術による角速度センサは上述の如き
構成を有するもので、発振回路から電極4を介して所定
の周波数信号を印加すると静電力が発生し、これによ
り、片持梁2の先端2Bは例えば自身の共振周波数で基
板1に対して垂直な上,下方向に振動する。そして、こ
の状態で、基板1に回転軸Oを中心とする回転力Tが加
わると、コリオリの力F,F′によって片持梁2によじ
れ(応力)が生じ、この回転によるよじれは、スリット
の左,右に圧縮応力,引張応力としてそれぞれ表われ
る。これにより、各ピエゾ抵抗素子5は、これら圧縮応
力,引張応力に応じた信号を出力し、回転力Tの角速度
を検出する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来技術による角速度センサでは、シリコン材料からなる
基板1にエッチング技術等を用いて片持梁2を一体形成
し、該片持梁2を上,下方向に振動させることにより、
回転力Tの角速度に応じた応力を各ピエゾ抵抗素子5に
よって検出している。しかし、片持梁2を基板1に対し
て垂直な上,下方向に振動させる3次元的構成であるか
ら、励振構造が複雑化し、空気の粘性抵抗を受け易い。
【0010】このため、上述した従来技術によるもので
は、片持梁2の振動時に生じる空気の粘性抵抗力が大き
くなって、該片持梁2を振動させるためのエネルギが徒
に浪費されてしまい、エネルギ効率が極めて低いという
問題がある。また、この粘性抵抗力のため、片持梁2の
振幅を大きくすることができないから、各ピエゾ抵抗素
子5による角速度の検出感度が低いという問題がある。
【0011】本発明は上述した従来技術の問題に鑑みな
されたもので、振動体に加わる気体の粘性抵抗力を効果
的に低減して検出感度を向上することができ、全体構造
をコンパクトに形成することができるようにした角速度
センサを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために本発明が採用する構成は、基板と、該基板に第1
の支持梁を介して支持され、該基板と平行方向に振動可
能に設けられた第1の振動体と、該第1の振動体に第2
の支持梁を介して平行に支持され、該第1の振動体の振
動方向に対して直交方向に振動可能に設けられた第2の
振動体と、前記第1の振動体を前記基板に対して平行方
向に振動させる振動発生手段と、前記第2の振動体の変
位量を検出する変位量検出手段とからなる。
【0013】
【作用】振動発生手段により第1の振動体が基板に対し
て平行方向に振動している状態で、センサ全体が該基板
と垂直な回転軸を中心として回転すると、第2の振動体
は、この回転力の角速度に応じたコリオリの力によって
第1の振動体の振動方向と直交方向に振動する。そし
て、変位量検出手段は、該第2の振動体の振動時の変位
量を検出し、これを前記回転力の角速度信号として出力
する。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を図1ないし図18に
基づき、独立した角速度センサとして構成した場合を例
に挙げて説明する。
【0015】まず、図1ないし図12は本発明の第1の
実施例を示している。
【0016】図中、11はシリコン材料等からなる基板
を示し、該基板11は、下側に位置する下側基板11A
と、該下側基板11Aの上側に後述の酸化膜27からな
る支持枠11Bを介して設けられた上側基板11Cとか
ら大略構成され、該各基板11A,11C間には空間1
1Dが画成されている。また、該基板11の上側基板1
1Cは所定の厚さ寸法tを有し、図2にも示す如く、後
述する第1の振動体12,第1の支持梁13,第2の振
動体14,第2の支持梁15等がエッチング技術等によ
ってそれぞれ一体形成されている。
【0017】12は基板11の上側基板11Cに一体形
成され、該上側基板11Cと平行方向に振動可能に設け
られた第1の振動体を示し、該第1の振動体12は、上
側基板11Cのほぼ中央部に位置して方形枠状に形成さ
れた枠部12Aと、該枠部12Aの両端側からX軸方向
に延設された一対の腕部12B,12Bとから構成さ
れ、該各腕部12Bは第1の支持梁13,13によって
Y軸方向からそれぞれ支持されている。そして、該第1
の振動体12は、4本の支持梁13によってY軸方向か
ら支持されることにより、上側基板11Cと平行にX軸
方向に振動可能となっている。
【0018】ここで、前記各第1の支持梁13は、所定
の長さ寸法L1 ,幅寸法W1 ,厚さ寸法tをもって長板
状に形成され、所定の弾性率を有している。
【0019】14は第1の振動体12の枠部12A内に
位置して該第1の振動体12とほぼ同一平面上に設けら
れ、方形平板状に形成された第2の振動体を示し、該第
2の振動体14は、図3にも示す如く、X軸方向に配設
された2本一組の第2の支持梁15,15,…によっ
て、第1の振動体12の各腕部12Bに平行に支持され
ている。そして、該第2の振動体14は、各第2の支持
梁15によって支持されることにより、第1の振動体1
2の振動方向(X軸方向)と直交する方向(Y軸方向)
に振動可能となっている。
【0020】ここで、前記各第2の支持梁15は、所定
の長さ寸法L2 ,幅寸法W2 ,厚さ寸法tを有する長板
状に形成されて所定の弾性率を有し、これにより、後述
する振動発生部16,16の励起周波数と第2の振動体
14の共振周波数とを実質的に一致せしめ、コリオリの
力に対する該第2の振動体14の感度を高めるものであ
る。また、該各第2の支持梁15は、その基端側が第1
の振動体12の各腕部12Bに接続され、その先端側が
第2の振動体14に接続されている。
【0021】図1中に二点鎖線で示す16,16は第1
の振動体12の各腕部12B両側に位置して基板11の
上側基板11Cに設けられた振動発生手段としての振動
発生部を示し、該各振動発生部16は、図4にも示す如
く、第1の振動体12の各腕部12B先端側に設けら
れ、X軸方向に伸長する複数の突起17A,17A,…
がY軸方向に離間して形成された可動側導電部17と、
該可動側導電部17と対向して基板11の上側基板11
Cに設けられ、前記各突起17Aと互い違いに組み合さ
れる複数の突起18A,18A,…が形成された固定側
導電部18とから構成されている。また、該各導電部1
7,18はプリント配線(金属配線)19,20を介し
て基板11に形成された発振回路(図示せず)とそれぞ
れ接続されている。
【0022】そして、前記各振動発生部16は、発振回
路から第2の振動体14の共振周波数に一致した所定の
周波数信号が各プリント配線19,20を介して各導電
部17,18に印加されると、電極たる該各導電部1
7,18間に静電力を発生せしめ、この静電力によって
第1の振動体12を第2の振動体14と共に、X軸方向
に振動させるものである。
【0023】21,21,…は第2の支持梁15の基端
側にそれぞれ設けられた変位量検出手段としての変位量
検出部を示し、該各変位量検出部21は、図4,図5に
示す如く、第2の支持梁15の基端側に位置して幅方向
両側に配設され、該第2の支持梁15の長さ方向(X軸
方向)に伸びて形成されたピエゾ抵抗素子としての拡散
抵抗22,22と、該各拡散抵抗22の両端側に設けら
れたコンタクトホール23,23とから大略構成され、
該各拡散抵抗22は、各コンタクトホール23に接続さ
れたプリント配線24,25,26を介して、基板11
に形成された信号処理回路(図示せず)に接続されてい
る。
【0024】そして、前記各変位量検出部21は、回転
に伴うコリオリの力によって第2の振動体14がY軸方
向に変位(振動)すると、これにより、各第2の支持梁
15に生じる歪み(圧縮応力および引張応力)を検出
し、これを角速度信号として信号処理回路に出力するも
のである。ここで、該各変位量検出部21の各拡散抵抗
22は、第2の支持梁15の幅方向両端側に離間して設
けられているため、一の拡散抵抗22には圧縮応力が作
用し、他の拡散抵抗22には逆の引張応力が作用する。
従って、該各拡散抵抗22のピエゾ抵抗効果による抵抗
変化率も互いに逆符号となるので、信号処理回路によっ
て両者の抵抗変化率を比較演算することにより、角速度
に比例するコリオリの力に応じた第2の振動体14のY
軸方向の変位量、即ち、振幅を求めることができるよう
になっている。
【0025】本実施例による角速度センサは上述の如き
構成を有するもので、次に、その製造方法について図6
ないし図11を参照しつつ、単結晶シリコンを用いた場
合を例に挙げて説明する。
【0026】まず、図6に示す酸化膜形成工程では、例
えば熱酸化法等の手段を用いて、単結晶シリコン材料か
らなる基板11の下側基板11Aの上面側に酸化膜27
を形成する。
【0027】次に、図7に示す支持枠形成工程では、酸
化膜形成工程で形成された酸化膜27を、その周縁部を
除いてエッチングにより除去し、方形角枠状の支持枠1
1Bを形成する。
【0028】そして、図8に示す接合工程では、別工程
で形成された方形板状の単結晶シリコンからなるウエハ
28を下側基板11Aの上側に支持枠11Bを介して搭
載し、例えばシリコンの直接接合技術によって両者を接
合し、固定する。
【0029】さらに、図9に示す上側基板形成工程で
は、基板接合工程で接合されたウエハ28を均一に研磨
し、所定の厚さ寸法tを有する上側基板11Cを形成す
る。
【0030】次に、図10に示す素子形成工程では、上
側基板形成工程で形成された上側基板11Cの上面側
に、不純物導入技術,フォトリソグラフィ技術等の手段
を用いて、素子たる振動発生部16、変位量検出部2
1、プリント配線19,20,24,25,26(図示
せず)等を形成する。
【0031】最後に、図11に示す振動体形成工程で
は、素子形成工程で振動発生部16等が形成された上側
基板11Cをエッチングすることにより、図1にも示す
如く、各振動体12,14および各支持梁13,15を
形成する。なお、このときに、各導電部17,18の各
突起17A,18Aも形成される。
【0032】次に、このようにして形成された本実施例
による角速度センサの作動について、図12を参照しつ
つ説明する。
【0033】まず、図12は、本実施例による角速度セ
ンサの機械的構成を模式的に表現したものであり、弾性
体たる各第1の支持梁13によって上側基板11CにY
軸方向から4点で支持された第1の振動体12内に、第
2の振動体14が他の弾性体たる各第2の支持梁15に
よってX軸方向から4点で支持されている。
【0034】次に、図1,図4に示す各振動発生部16
に発振回路から所定の周波数信号を印加すると、各導電
部17,18間に静電力が発生し、これにより、第1の
振動体12は、各第1の支持梁13に支持されつつ第2
の振動体14と共に、該第2の振動体14の共振周波数
と実質的に等しい周波数でX軸方向に振動する。
【0035】そして、各振動体12,14をX軸方向に
振動させた状態で、図1にも示す如く、Z軸を回転軸と
する回転力Tが加わってセンサ全体が回転すると、第2
の振動体14は、この回転力により生じた角速度に比例
するコリオリの力を受けて、各第2の支持梁15に支持
されつつ、第1の振動体12の振動方向と同一平面上で
直交するY軸方向に変位する。
【0036】これにより、各第2の支持梁15には、第
2の振動体14の変位量に応じた歪みが発生し、各変位
量検出部21は、この歪みによる圧縮応力,引張応力を
各拡散抵抗22のピエゾ抵抗効果を利用して検出し、こ
れを信号処理回路に角速度信号として出力する。そし
て、該信号処理回路は、第2の支持梁15,15,…に
それぞれ設けられた変位量検出部21からの信号を処理
することにより、第2の振動体14のZ軸方向等の振
動,ねじれ等を検出し、角速度信号を補正して外部に出
力する。
【0037】かくして、本実施例によれば、シリコン材
料からなる下側基板11A上に空間11Dを介して設け
られたシリコン材料からなる上側基板11Cに、エッチ
ング技術等の半導体微細加工技術を用いて、各第1の支
持梁13によってX軸方向に振動可能に支持された第1
の振動体12と、該第1の振動体12に各第2の支持梁
15により第1の振動体12の振動方向と同一平面上で
直交するY軸方向に振動可能に支持された第2の振動体
14と、各導電部17,18間に生じる静電力によって
第1の振動体12をX軸方向に振動させる振動発生部1
6と、各拡散抵抗22により回転の角速度に比例するコ
リオリの力を第2の支持梁15の応力変化として検出す
る変位量検出部21とを、一体形成する構成としたか
ら、図1に示す如く、第1の振動体12の振動方向(X
軸方向)および第2の振動体14の振動方向(Y軸方
向)に対して垂直な回転軸(Z軸方向)を回転中心に加
わった回転力Tの角速度を確実に検出することができ、
以下の効果を奏する。
【0038】第1に、第1の振動体12および第2の振
動体14を基板11の上側基板11Cに対して平行に、
同一平面上で平行に振動させる構成としたから、従来技
術で述べた如く、各振動体12,14の周囲の空気から
受ける粘性抵抗力を大幅に低減することができ、該各振
動体12,14の振幅(変位量)を大きくして角速度の
検出感度を大幅に向上することができる。
【0039】第2に、各振動体12,14は基板11に
対して平行に振動する2次元的構成としたから、従来技
術で述べた如く、片持梁2が基板1に対して垂直に振動
する3次元的構成とは異なり、センサ全体の構造を簡素
化してコンパクトに形成することができる。
【0040】第3に、シリコン材料からなる基板11
に、エッチング等の半導体微細加工技術を用いて各振動
体12,14、各支持梁13,15等を一体形成する構
成としたから、同一素材のシリコンウエハから複数個の
角速度センサを容易に製造することができ、均一な特性
を有する角速度センサを効果的に量産することができ、
コストを大幅に低減することができる。
【0041】第4に、各振動発生部16の励起周波数を
第2の振動体14の共振周波数と実質的に一致させる構
成としたから、コリオリの力を受けたときの第2の振動
体14の変位量を増大することができ、角速度の検出感
度を大幅に向上することができる。
【0042】第5に、一対の拡散抵抗22等からなる変
位量検出部21を、各第2の支持梁15の基端側にそれ
ぞれ設ける構成としたから、第2の振動体14のY軸方
向の変位量に加えて、Z軸方向等の振動,よじれ等も効
果的に検出することができ、角速度の検出精度を高めて
信頼性を大幅に向上することができる。
【0043】第6に、各振動体12,14を各支持梁1
3,15によって4点で支持する構成としたから、機械
的強度が増大し、衝撃に対する信頼性等を大幅に向上す
ることができる。
【0044】第7に、各支持梁13,15の形状、即
ち、長さ寸法L1 ,L2 、幅寸法W1,W2 、厚さ寸法
tを調整することにより、角速度の検出範囲、要求精度
等の諸条件に応じた弾性率を容易に得ることができ、市
場要求に即応できる。
【0045】次に、図13は本発明の第2の実施例を示
し、本実施例の特徴は、各振動体12,14間の静電容
量変化に基づき、第2の振動体14の変位量を検出する
構成としたことにある。なお、本実施例では、上述した
第1の実施例と同一の構成要素に同一の符号を付し、そ
の説明を省略するものとする。
【0046】図中、31は第1の振動体12と第2の振
動体14との間にY軸方向に亘って設けられた変位量検
出手段としての変位量検出部を示し、該変位量検出部3
1は、第1の振動体12の内側に形成された固定側電極
31Aと、該固定側電極31Aと対向して第2の振動体
14に形成された可動側電極31Bとから構成され、該
各電極31A,31Bはプリント配線32,33を介し
て信号処理回路(図示せず)と接続されている。そし
て、該変位量検出部31は、各電極31A,31B間の
静電容量変化を検出することにより、第2の振動体14
のY軸方向の変位量を検出するものである。
【0047】このように構成される本実施例でも、前記
第1の実施例とほぼ同一の作用効果を得ることができ
る。
【0048】さらに、図14は本発明の第3の実施例を
示し、本実施例の特徴は、第1の支持梁を水平方向に凹
凸を有する凹凸板状に形成したことにある。なお、本実
施例では、前記第1の実施例と同一の構成要素に同一の
符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0049】図中、41,41,…は本実施例による第
1の支持梁を示し、該各第1の支持梁41は、前記各実
施例で述べた第1の支持梁13とほぼ同様に、第1の振
動体12を基板11に対して平行に支持しているもの
の、該各第1の支持梁41は、エッチング技術等によ
り、角速度の検出範囲、各振動体12,14の共振周波
数等の条件に応じた所定の弾性率を得るべく、水平方向
に凹凸を有する凹凸板状に形成されている。
【0050】かくして、このように構成される本実施例
でも、前記各実施例とほぼ同一の作用効果を得ることが
できるが、特に、本実施例では、各第1の支持梁41を
水平方向に凹凸を有する凹凸板状に形成する構成とした
から、その形状によって容易に弾性率を調整することが
できる。
【0051】なお、前記各実施例では、基板11に単結
晶シリコン材料を用いて角速度センサを製造する場合を
例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば
図15ないし図18に示す他の製造方法の如く、上側基
板11Cを多結晶シリコン材料を用いて形成する構成と
してもよい。
【0052】即ち、図15に示す酸化膜形成工程では、
例えば熱酸化法等の手段を用いて、単結晶シリコン材料
からなる基板11の下側基板11Aの上面側に酸化膜2
7を形成する。
【0053】次に、図16に示す上側基板形成工程で
は、酸化膜27の上面側に、CVD法等の手段を用いて
不純物を含まない多結晶シリコン材料からなる上側基板
11Cを、所定の厚さ寸法tをもって一体形成する。
【0054】そして、図17に示す素子,振動体形成工
程では、上側基板形成工程で形成された多結晶シリコン
膜からなる上側基板11Cの上面側に、不純物導入技
術,フォトリソグラフィ技術等の手段を用いて、振動発
生部16、変位量検出部21、プリント配線19,2
0,24,25,26(図示せず)等を形成した後、該
上側基板11Cをエッチングすることにより、各振動体
12,14、各支持梁13,15を形成する。
【0055】最後に、図18に示す支持枠形成工程で
は、下側基板11Aと上側基板11Cとの間にエッチン
グ液を注入し、いわゆる犠牲層エッチング技術により周
縁部を残して酸化膜27を除去し、支持枠11Bを形成
する。
【0056】このようにしても図1に示す角速度センサ
を形成することができるが、特に、この他の製造方法に
よれば、CVD法により多結晶シリコン材料からなる上
側基板11Cを、直接的に形成することができ、その厚
さ寸法tを例えば数μm程度に低減して、生産効率を大
幅に向上することができる。
【0057】さらに、前記各実施例では、各振動発生部
16の励起周波数を、第2の振動体14の共振周波数と
実質的に一致させる場合を例に挙げて説明したが、本発
明はこれに限らず、各振動体12,14の共振周波数と
各振動発生部16の励起周波数の三者を実質的に一致さ
せる構成としてもよい。この場合には、各振動発生部1
6によって第1の振動体12を少ないエネルギで振動さ
せることができるから、該各振動発生部16に印加する
周波数信号の電圧値を低減することができ、エネルギ効
率を大幅に向上することができる。
【0058】また、前記各実施例では、振動発生手段と
しての振動発生部16を可動側導電部17および固定側
導電部18とから構成し、該各導電部17,18間に生
じる静電力によって、第1の振動体12を第2の振動体
14と共にX軸方向に振動させるものとして述べたが、
本発明はこれに限らず、例えば第1の支持梁13の一部
にヒータとしての導電部を形成し、該導電部に間欠的に
電流を通電することにより発熱せしめ、この発熱による
熱膨張を利用して各振動体12,14を基板11と平行
なX軸方向に振動させる構成としてもよく、他の振動発
生手段を用いてもよい。
【0059】さらにまた、前記各実施例では、各支持梁
13(41),15をそれぞれ4本設けた場合を例に挙
げて説明したが、これに替えて、例えば第1の支持梁,
第2の支持梁を1本ないし3本、あるいは5本以上設け
る構成としてもよい。
【0060】また、前記第1,第3の実施例では、各第
2の支持梁15の基端側に変位量検出部21をそれぞれ
設ける場合を例に挙げて説明したが、これに替えて、4
本の第2の支持梁15のうち、いずれか1本ないし3本
にのみ変位量検出部21を設ける構成としてもよい。
【0061】さらに、前記第1,第3の実施例では、ピ
エゾ抵抗素子として拡散抵抗22を用いる場合を例に挙
げて説明したが、これに替えて、例えば電界効果型トラ
ンジスタのピエゾ抵抗効果を利用してもよい。
【0062】一方、前記第2の実施例では、変位量検出
部31をY軸方向に沿って1個だけ設ける場合を例に挙
げて説明したが、これに替えて、例えばY軸方向に複数
の変位量検出部31を配設してもよく、また、X軸方向
にも変位量検出部31を設ける構成としてもよい。
【0063】また、前記第3の実施例では、第1の支持
梁41を水平方向に凹凸を有する凹凸板状に形成するも
のとして述べたが、本発明はこれに限らず、例えば鋸歯
状等の他の形状に形成してもよく、あるいは、第2の支
持梁15の形状も凹凸板状,鋸歯状等の他の形状に形成
してもよい。
【0064】さらに、前記各実施例では、独立した単体
の角速度センサとして用いる場合を例に挙げて説明した
が、本発明はこれに限らず、例えば車両に搭載される他
の基板の一部として形成することもできる。
【0065】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば、基
板と、該基板に第1の支持梁を介して支持され、該基板
と平行方向に振動可能に設けられた第1の振動体と、該
第1の振動体に第2の支持梁を介して平行に支持され、
該第1の振動体の振動方向に対して直交方向に振動可能
に設けられた第2の振動体と、前記第1の振動体を前記
基板に対して平行方向に振動させる振動発生手段と、前
記第2の振動体の変位量を検出する変位量検出手段とか
ら構成したから、振動発生手段により第1の振動体が基
板に対して平行方向に振動している状態で、センサ全体
が該基板と垂直な回転軸を中心として回転すると、第2
の振動体は、この回転力に応じたコリオリの力によって
第1の振動体の振動方向と直交方向に振動する。そし
て、変位量検出手段は、該第2の振動体の振動時の変位
量を検出し、これを前記回転力の角速度信号として出力
することができる。
【0066】この結果、各振動体の振動時に周囲の空気
から受ける粘性抵抗力を低減することができ、該各振動
体の変位量を大きくして角速度の検出感度、検出精度等
を向上することができる。また、各振動体は基板に対し
て平行に振動する2次元的構成としたから、センサ全体
の構造を簡素化してコンパクトに形成することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例による角速度センサを示
す一部破断の斜視図ある。
【図2】図1中の角速度センサを上側から見た平面図で
ある。
【図3】図2中の矢示III −III 方向断面図である。
【図4】図2中の要部を拡大して示す平面図である。
【図5】図2中の矢示V −V 方向断面図である。
【図6】第1の実施例による酸化膜形成工程を示す断面
図である。
【図7】第1の実施例による支持枠形成工程を示す断面
図である。
【図8】第1の実施例による接合工程を示す断面図であ
る。
【図9】第1の実施例による上側基板形成工程を示す断
面図である。
【図10】第1の実施例による素子形成工程を示す断面
図である。
【図11】第1の実施例による振動体形成工程を示す図
5と同様の断面図である。
【図12】第1の実施例による角速度センサの機械的構
成を示す模式図である。
【図13】本発明の第2の実施例による角速度センサを
示す図2と同様の平面図である。
【図14】本発明の第3の実施例による角速度センサを
示す図2と同様の平面図である。
【図15】本発明の他の製造方法による酸化膜形成工程
を示す断面図である。
【図16】他の製造方法による上側基板形成工程を示す
断面図である。
【図17】他の製造方法による素子,振動体形成工程を
示す断面図である。
【図18】他の製造方法による支持枠形成工程を示す断
面図である。
【図19】従来技術による角速度センサを示す一部破断
の斜視図である。
【符号の説明】 11 基板 12 第1の振動体 13,41 第1の支持梁 14 第2の振動体 15 第2の支持梁 16 振動発生部(振動発生手段) 21,31 変位量検出部(変位量検出手段)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、該基板に第1の支持梁を介して
    支持され、該基板と平行方向に振動可能に設けられた第
    1の振動体と、該第1の振動体に第2の支持梁を介して
    平行に支持され、該第1の振動体の振動方向に対して直
    交方向に振動可能に設けられた第2の振動体と、前記第
    1の振動体を前記基板に対して平行方向に振動させる振
    動発生手段と、前記第2の振動体の変位量を検出する変
    位量検出手段とから構成してなる角速度センサ。
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