JPH05312406A - 電気温水器の加熱装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 浴槽の湯を循環しシーズヒータを用いて加熱
しながら保温する構成の電気温水器のヒータに関するも
ので、通水管とシーズヒータ及びアルミニウム合金の、
鋳込み加工に伴う酸化や密着不足などの要因による伝熱
量のばらつきを防止し、保安器を通水管の表面に設け通
水管を流れる湯水が異常温度に達する前に的確に湯温を
検出することを目的としている。 【構成】 湯水を加熱する複数のシーズヒータ３と通水
管２とアルミニウム合金４を介して機械的に加圧し密着
させ、さらに通水管２に直接保安器５を取付けて加熱装
置の性能のばらつきをなくした構成。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、湯水をシーズヒータを
用いて加熱保温する、電気温水器の加熱装置に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種の電気温水器の加熱装置
（以後総称してヒータ１と呼ぶ）は、図３・図４に示す
ように構成されていた。ここでステンレスの通水管２と
加熱器３（以後総称してシーズヒータ３と呼ぶ）とが、
アルミニウムまたはアルミニウム合金である伝熱金属４
（以後総称してアルミニウム合金４と呼ぶ）を介し伝熱
関係にあり、温度過昇防止器（以後総称して保安器５と
呼ぶ）はアルミニウム合金４の表面、すなわち、シーズ
ヒータ３の異常加熱をアルミニウム合金４への熱移動を
検出して行なう構成であった。また、通水管２をポンプ
１７で加圧され流れる循環水の温度は、温度検出装置１
０が検出し、シーズヒータ３への通電を制御している。

【０００３】次に図４を用いて従来の電気温水器を説明
し、あわせて上記ヒータ１の機能について説明する。電
気温水器は外装１２で覆われ、その蓄熱槽１１に蓄えた
給湯水を給湯配管１５から浴槽６内へ出湯するだけでな
く、風呂保温機能も有している。浴槽６と前記ヒータ１
とポンプ７を接続する風呂循環回路１３を形成し、必要
に応じて浴槽６内の湯水をポンプ７により循環させるこ
とができる。浴槽６内の湯水の加熱はヒータ１の通水管
２を湯水が循環する時、シーズヒータ３の発熱をアルミ
ニウム合金４を介して湯水に伝熱して行う。

【０００４】このヒータ１を構成する要素部品である通
水管２、シーズヒータ３およびアルミニウム合金４は良
好な伝熱関係を維持するため、鋳込み加工で一体化して
いる。すなわち、通水管２とシーズヒータ３を鋳込み型
に固定し、アルミニウム合金４で一体に鋳込むようにし
ていた。

【０００５】そして、通水管２は高温な鋳込み加工時に
も酸化などの材料特性の変化が起こりにくくかつ強度、
耐久性にすぐれた材質を用いている。一般的にはステン
レス鋼を採用している。また、ポンプ７の故障や風呂循
環回路１３の閉塞など、水の循環系統に異常が生じたと
き、又水抜き操作後の再通水忘れ時などに空だき（通水
管２に湯水が満たされていないとき）状態で通電した場
合などには、ヒータ１自身が過熱され構成部品の破損・
循環系統の部材・部品の損傷しないように通電を停止さ
せる保安器５をアルミニウム合金４またはシーズヒータ
３の表面に設けていた。これは、通水管２がステンレス
鋼の管であるため、通水管２と保安器５を取り付ける金
具を溶接などの加工で容易に固定することができないか
らである。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の構成では、通水管２とシーズヒータ３及びアルミニウ
ム合金４は伝熱関係にあるとはいえ、鋳込み加工に伴う
酸化や密着不足などの要因によってこれらの伝熱量には
ばらつきが大きいため、ヒータ１自身の加熱能力にばら
つきが生じ、システムの保温能力の設定が極めて難しく
なる。さらに保安器５をシーズヒータ３の表面に設ける
と通水管２を流れる湯水が異常温度に達する以前に誤作
動をしたり、反対にアルミニウム合金４の表面では作動
が遅すぎることがあり、機器の破損は免れるが、湯水の
温度上昇を的確に検出することができないといった課題
がある。

【０００７】本発明は上記課題を解決するもので、シー
ズヒータと伝熱性能が良好な金属を介して通水管への伝
熱を良好にし保安器が誤作動なく作動する電気温水器の
加熱装置を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、以下の構成を備えたものである。湯水を加
熱するヒータと温度検出器とを具備した電気温水器にお
いて、前記ヒータは前記湯水が通る通水管と、前記通水
管を通る前記湯水を加熱するシーズヒータと通水管とシ
ーズヒータを一体に結合する伝熱性の金属部分から構成
され、前記通水管と前記シーズヒータとを前記金属を介
して機械的に加圧し密着させた構成としたものである。

【０００９】

【作用】本発明は上記構成によって、鋳込み加工によら
ないので、通水管とシーズヒータ及びアルミニウム合金
を良好な伝熱関係に維持できる。そして、鋳物加工によ
るヒータのように加熱能力にばらつくことがなく、安定
した品質を得ることができる。また、通水管にロー付け
などで保安器を取り付ける金具を容易に固定できるの
で、保安器が通水管を流れる循環水の温度を正確に検知
して温度加熱異常を防止できる。

【００１０】

【実施例】以下本発明の一実施例を図１を参照して説明
する。

【００１１】図１において、１はヒータで銅パイプなど
からなる通水管２、シーズヒータ３、アルミニウム合金
４から構成される。通水管２はアルミニウムまたはアル
ミニウム合金４を介してシーズヒータ３と伝熱関係にあ
り、図２の浴槽６の循環湯水が通水管３を流れたときこ
れを加熱し浴槽６の湯水の温度を保温する。

【００１２】次に図２の本実施例の作動を説明するため
のシステム図で詳細な機器の作動について説明する。な
お、図４の従来のシステム図の符号の番号は実施例と同
一なので名称の説明は省略する。

【００１３】実施例の電気温水器はその蓄熱槽１１に蓄
えた給湯水を給湯配管１５から出湯するだけでなく、大
きく二つの付加機能がある。ひとつは風呂保温機能で従
来例で説明したのと同様に、浴槽６と前記ヒータ１とポ
ンプ７を接続する風呂循環回路１３（図２の実線矢印）
を形成し、必要に応じて浴槽６内の湯水を循環させるこ
とができる。湯水の循環はポンプ７による加圧により行
い、湯水の加熱はヒータ１の通水管２を循環するとき、
シーズヒータ３の発熱をアルミニウム合金４を介して湯
水に伝熱する。

【００１４】いまひとつの機能は、蓄熱槽１１の給湯水
と給水配管１６からの水道水を混合弁８が混合し、注湯
開閉弁９を介し、前記風呂循環回路１３へ接続する注湯
回路１４（図２の破線矢印）を流れ浴槽６へ給湯する風
呂注湯機能である。浴槽６への給湯の温度は温度検出器
（以後総称してサーミスタ１０と呼ぶ）が常に監視し、
あらかじめ設定された温度になるよう混合弁８の水道水
と給湯水の混合比を電気的に制御している。また、注湯
開閉弁９は前記風呂循環回路１３を浴槽６の湯水が循環
したとき、風呂循環回路１３と蓄熱槽１１と直結する注
湯回路１４とを分離している。この風呂注湯機能は本発
明の電気温水器の加熱装置との関連は少なく、以後詳細
な説明は省略する。

【００１５】また、シーズヒータ３と通水管２の密着
は、アルミニウム合金４を介して少なくとも１方向以上
からプレス装置などで機械的に加圧する構成である。本
実施例においては通水管２の材料を銅材とし、この通水
管２を覆うアルミニウム合金４をプレスによって加圧し
ている。このプレス加工する際には、アルミニウム合金
に通水管２とシーズヒータ３（２本）を予め貫通させて
おき、それぞれの部品の接触部分にはプレス加工後に密
着度が最も良好になるよう設定されたいくらかの隙間を
あけておく。また、シーズヒータ３の本数は２本とし、
プレスによる加圧は図１に示すように上方からとした。

【００１６】プレスによる加圧加工であるので、加工時
に高温（アルミニウム合金４を溶かすための温度、約６
００℃以上）な状態にする必要がなく、特に銅材料であ
る通水管２の表面を酸化させる恐れがなく、伝熱を妨げ
る要因を排除できる。さらに、鋳込み加工時のようにア
ルミニウム合金４を型に流すとき発生する加工ばらつき
がなく、安定した品質となる。

【００１７】また、保安器５を取り付ける金具の材料は
通水管２と同材料の銅とし、通水管２への固定はロー付
けとした。このことにより、保安器５を通水管２の表面
に容易に設けることができる。

【００１８】一方風呂循環回路１３におけるヒータ１へ
の通電は、通水管２を循環する湯水の温度を検出するサ
ーミスタ１０によって電気的に制御されるようにし、従
来品と同一の仕様とした。上記構成において、サーミス
タ１０の温度検出性能が著しく低下したとき、ヒータ１
の通水管２を流れる湯水の温度はどんどん上昇してい
く。（サーミスタ１０がヒータ１への通電を停止しない
ため）このとき、浴槽６へは高温な湯水が流入し使用者
にとって火傷などの心配があったが、本実施例によると
通水管２を循環する湯水の温度を精度良く保安器５が検
出し、ヒータ１への通電を直接遮断する。保安器５は通
水管２の表面温度を検出するようになっているので、通
水管２とシーズヒータ３・アルミニウム合金４などとの
伝熱性能に左右されず、極めてリアルタイムにかつ正確
な湯水温度を検出し、シーズヒータ３やアルミニウム合
金４の表面に保安器５を設けたときのように、保安器５
の早切れ（設定湯水温度に達していないのに通電を停止
する）や遅切れ（設定湯水温度よりも高い温度で通電を
停止する）などの誤作動を確実に防止できるという効果
がある。

【００１９】

【発明の効果】以上説明したように本発明の電気温水器
の加熱装置によれば、下記の効果が得られる。 （１）通水管とヒータとをアルミニウム合金をプレスで
加圧して一体に密着するようにしているので、伝熱表面
部分に鋳物加工の時のような酸化膜などの伝熱を妨げる
要因を排除することができ、鋳込み時などの加工工程に
際して発生する品質トラブルを防止することができる。 （２）常温にて加圧密着の加工が可能になるので、通水
管の材料に伝熱性能に優れかつ高温で酸化しやすい銅材
料を用いることができる。そのため、ロー付けなどが容
易となり保安器を取り付ける金具（通水管と同じ材料）
を容易に固定することができる。そしてサーミスタの作
動不良による風呂循環回路の湯水異常加熱を湯水温度の
上昇から保安器が検出し、ヒータへの通電を停止し、入
浴中の使用者の火傷などを確実に防止することができ
る。 （３）保安器がヒータの構成部品であるシーズヒータや
アルミニウム合金の温度を検出するのではなく、直接通
水管の温度を検出しているので、ヒータの組み立てばら
つきによる伝熱性能のばらつきなどの要因に左右されず
に、正確に湯水温度の異常を検出できる。 （４）通水管は従来のステンレスより熱伝導性の良好な
銅材を使用できるので温度の検出遅れが少い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例における電気温水器の加熱装
置の構成図 （ａ）はこの電気温水器のヒータの正面図 （ｂ）は同ヒータの上面図

【図２】本発明の電気温水器の作動を説明するためのシ
ステム図

【図３】従来の電気温水器のヒータの構成図 （ａ）はこの電気温水器のヒータの正面図 （ｂ）は同ヒータの上面図

【図４】従来の電気温水器の作動を説明するためのシス
テム図

【符号の説明】

１ ヒータ（加熱装置） ２ 通水管 ３ シーズヒータ（加熱器） ４ アルミニウム合金 ５ 保安器（温度過昇防止器） １０ 温度検出器（サーミスタ）

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】湯水を加熱する加熱装置と、温度検出器と
   を具備した電気温水器において、前記加熱装置は湯水が
   通る通水管と、前記通水管を通る湯水を加熱する加熱器
   と通水管と加熱器を一体に結合する伝熱性の金属部分と
   からなり、前記通水管と前記加熱器とを前記金属部分を
   介して前記金属部分を機械的に加圧し密着した電気温水
   器の加熱装置。
2. 【請求項２】通水管の回りに複数の加熱器を配置し、こ
   の加熱器と前記通水管は伝熱性能が良好な金属中に設
   け、前記金属を少なくとも１方向以上から機械的に加圧
   し密着した請求項１記載の電気温水器の加熱装置。
3. 【請求項３】銅管または銅の合金管を材料とした通水管
   と、シーズヒータと、アルミニウムまたはアルミニウム
   の合金を材料とした金属とで構成される請求項１又は請
   求項２記載の電気温水器の加熱装置。