JPH05311160A - コンクリート打設用コンクリート接触液添加剤および用途 - Google Patents

コンクリート打設用コンクリート接触液添加剤および用途

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JPH05311160A
JPH05311160A JP11893392A JP11893392A JPH05311160A JP H05311160 A JPH05311160 A JP H05311160A JP 11893392 A JP11893392 A JP 11893392A JP 11893392 A JP11893392 A JP 11893392A JP H05311160 A JPH05311160 A JP H05311160A
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JP
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water
concrete
pouring
liquid
muddy water
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JP11893392A
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English (en)
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Shoji Matsushima
尚司 松島
Yoshihiro Noguchi
良寛 野口
Kenichi Miyahara
健一 宮原
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Kurita Water Industries Ltd
Original Assignee
Kurita Water Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 生コンクリートと水または泥水との境界部分
のコンクリートの強度が低下するのを防止して均質なコ
ンクリートが打設でき、また回収率が高く、安全で、取
扱が容易なコンクリート打設用コンクリート接触液添加
剤、ならびにこれを用いたコンクリート打設用遮水液お
よび泥水組成物を得る。 【構成】 水溶性高分子化合物と、重量平均粒子径30
〜300μmの水不溶性または水難溶性無機化合物と、
分散剤とを含有するコンクリート打設用コンクリート接
触液添加剤。この添加剤を水に懸濁してコンクリート打
設時の遮水液として使用する。また泥水工法用の泥水と
して使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水または泥水中にコンク
リートを打設する際に使用するコンクリート打設用コン
クリート接触液添加剤、さらに詳しくは水溶性高分子化
合物と、水不溶性または水難溶性無機化合物と、分散剤
とからなるコンクリート打設用コンクリート接触液添加
剤、ならびにこの接触液添加剤を水に懸濁したコンクリ
ート打設用遮水液および泥水組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】コンクリート構造物を水中に構築する場
合、トレミー管などを用いて生コンクリートを水中に打
設している。この場合、水に接している生コンクリート
が水によって洗われて、セメントが生コンクリートから
分離して水中に逸散し、その部分の強度が弱くなり、コ
ンクリート構造体として信頼性に欠けたものになる。
【0003】一方、コンクリートの打設には泥水工法が
広く採用されている。この泥水工法では、例えば坑井を
掘削する場合、掘削壁面に泥水の不透水性のフィルムを
形成して壁面の崩壊を防止するため、水−ベントナイト
懸濁液を主体とした泥水が使用されている。生コンクリ
ートはこの泥水で満たされた縦坑に配されたトレミー管
から打設されるが、セメントが生コンクリート中から泥
水中に逸散したり、セメント中のカルシウムが泥水中の
ベントナイトと反応するため、泥水と接している部分の
コンクリートの強度が低下する。このため、通常、設計
された坑の上端の高さよりも50〜100cm余分に打
設される。
【0004】この余分なコンクリートは硬化後、はつり
作業により除去されるが、このはつり作業による騒音や
粉塵などが問題となっている。また、はつり作業にかか
る費用およびはつったコンクリートの処分費も工費を高
くする一因となっている。一方、泥水中のベントナイト
がコンクリートと反応してゲル化するため、泥水は再利
用できずに捨てられており、その廃棄量は使用量の30
%から40%にもなり、これも工費増大の原因となって
いる。
【0005】このような問題点を解決するため、大別し
て2種類の方法が提案されている。第1の方法として、
生コンクリートに粘稠剤を添加して粘稠性を付与し、水
中でもセメントが逸散しないようにする方法が提案され
ている(例えば、特開昭57−3924号など)。しか
し、この方法は使用される粘稠剤が一般的に極めて高価
であり、価格がコンクリートと同程度またはそれ以上と
なるため、工費が高くなるという問題点がある。また、
このような粘稠剤が添加された生コンクリートは水中で
しか打設できないため、水中から気中へ連続して続くコ
ンクリート構造物の構築には適用できないという問題点
もある。
【0006】第2の方法として、水または泥水と生コン
クリートとの間に遮水層を打設する方法も多く提案され
ている。従来の遮水層は大別すると2種類に分類でき
る。第1の従来の遮水層は、水中不分離性の生コンクリ
ートからなる遮水材を使用するものである。このような
遮水材は、生コンクリートを水中不分離性とするため、
粘稠剤を生コンクリートに混合したものであり、粘稠剤
としてはポリアクリルアミド系ポリマー、ポリ酸化エチ
レン、水溶性セルロース誘導体などが用いられている
(例えば、特開昭59−52022号、特開昭60−1
59220号、特公昭62−16285号など)。
【0007】しかし、水中不分離性生コンクリートを遮
水層として使用する場合には、この遮水層とその下に打
設される普通の生コンクリートとの界面に発泡が生じ、
その部分の強度が低下するという問題点がある。また、
この遮水層が固化しない内に普通の生コンクリートを打
設しなくてはならないという問題点がある。
【0008】第2の従来の遮水層は、撥水性液からなる
遮水液を使用するものである。この撥水性液としてはテ
トラブロモエタン、トリクロロトリフルオロエタン、ト
リクロロエチレンなどが用いられている(例えば、特公
昭58−22608号、特開昭62−133214号、
特開昭50−135807号など)。
【0009】しかし、撥水性液からなる遮水液を使用す
る場合には、遮水液を完全に回収することは困難である
ため、回収されない少量の遮水液によっても環境が汚染
されるという問題点がある。また取扱にも充分に注意を
払う必要があり、取扱が難しいという問題点もある。
【0010】一方、泥水と生コンクリートの間に遮水層
を打設する方法は作業工程が増えるため、コンクリート
と反応しない泥水組成物を用い、作業工程を増やさない
泥水工法も提案されている。生コンクリートと反応しな
い泥水組成物としては、ポリアクリル酸塩を通常の泥水
に混合したもの(特開昭58−208376号)、水溶
性酢酸ビニル系高分子およびポリアクリル酸塩を通常の
泥水に混合したもの(特開昭58−219289号)な
どが使用されている。
【0011】しかし、これらの泥水組成物はいずれもベ
ントナイトの使用が不可欠であるため、ベントナイトと
セメントとの反応を完全に防止することができず、回収
率が低いという問題点がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題点を解決するため、水に懸濁して、打設する生コン
クリートと水または泥水との間に存在させるコンクリー
ト打設用の遮水液または泥水(安定液)として使用で
き、生コンクリートと水または泥水との境界部分のコン
クリートの強度が低下するのを防止して均質なコンクリ
ートが打設でき、このためはつり作業が省略できるとと
もに、工期の短縮およびコストダウンを図ることがで
き、また回収率が高く、安全で、取扱が容易なコンクリ
ート打設用コンクリート接触液添加剤、ならびにこのコ
ンクリート接触液添加剤を用いたコンクリート打設用遮
水液および泥水組成物を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は次のコンクリー
ト打設用コンクリート接触液添加剤、ならびにこれを用
いたコンクリート打設用遮水液および泥水組成物であ
る。 (1)水に溶けて分散媒となる水溶性高分子化合物と、
分散質となる重量平均粒子径30〜300μmの水不溶
性または水難溶性無機化合物と、分散剤とを含有するこ
とを特徴とするコンクリート打設用コンクリート接触液
添加剤。 (2)上記(1)記載のコンクリート打設用コンクリー
ト接触液添加剤を、比重が泥水より大きく、かつ生コン
クリートより小さくなるように水に懸濁させたことを特
徴とするコンクリート打設用遮水液。 (3)上記(1)記載のコンクリート打設用コンクリー
ト接触液添加剤を、比重が生コンクリートより小さくな
るように水に懸濁させたことを特徴とするコンクリート
打設用泥水組成物。
【0014】本発明において、コンクリートという用語
は、狭義のコンクリート、モルタルおよびその他のセメ
ント含有硬化組成物を意味する。
【0015】本発明で使用する水に溶けて分散媒となる
水溶性高分子化合物としては、後述の水不溶性または水
難溶性無機化合物の分散状態を維持できる化合物が使用
でき、例えばデンプン類;カルボキシメチルセルロー
ス、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、メチルエチルセルロース等の水に可溶のセルロース
誘導体類;ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド
等のノニオン性合成高分子などがあげられ、これらを単
独でまたは組合せて使用することができる。これらの中
では、メチルセルロースが後述の水不溶性または水難溶
性無機化合物の分散性に優れており、好ましく使用でき
る。
【0016】本発明で使用する水不溶性または水難溶性
無機化合物(以下、単に水不溶性無機化合物という)と
しては、セメントとイオン交換等の反応を起こさず、水
に分散した際弱酸性ないしアルカリ性を呈し、かつ重量
平均粒子径が30〜300μm、好ましくは70〜15
0μmで、しかも水不溶性または水難溶性の無機化合物
であれば制限なく使用できる。重量平均粒子径が30μ
m未満では水不溶性無機化合物がコンクリートに混入し
やすく、300μmより大きい場合には沈殿分離しやす
くなる。ここで重量平均粒子径は、ふるい分け法、沈殿
法、光路遮蔽法などの方法で測定した値である。
【0017】このような水不溶性無機化合物としては、
例えば炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の炭酸塩;硫酸
カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩;水酸化アルミニ
ウム、水酸化マグネシウム、水酸化鉄等の水酸化物;ケ
イ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシ
ウム等のケイ酸塩;硅砂等の鉱物の微粉などがあげら
れ、これらを単独でまたは組合せて使用することができ
る。これらの中では、硫酸カルシウム、炭酸カルシウ
ム、ケイ酸アルミニウムの単独または混合物が好ましく
使用することができる。ベントナイト、カオリン、ゼオ
ライト等のイオン交換性を有する化合物は、セメントと
イオン交換反応を起こすので、本発明の使用には適さな
い。
【0018】本発明で使用する分散剤としては、前記水
不溶性無機化合物を分散媒中に分散することができるも
のが使用でき、例えばナフタレンスルホン酸ナトリウム
−ホルムアルデヒド縮合物またはこのアルキル変性物、
メラミンスルホン酸ナトリウム−ホルムアルデヒド縮合
物、リグニンスルホン酸ナトリウム等のスルホン基を有
する化合物;ポリアクリル酸(塩)、ポリ無水マレイン
酸またはこれらの共重合物等のカルボキシル基を有する
ポリマーなどがあげられ、これらを単独でまたは組合せ
て使用することができる。
【0019】これらの中では、前記水不溶性無機化合物
の分散力に優れているスルホン基を有する化合物が好ま
しく、特にナフタレンスルホン酸ナトリウム−ホルムア
ルデヒド縮合物またはこのアルキル変性物、メラミンス
ルホン酸ナトリウム−ホルムアルデヒド縮合物、および
これらの混合物が好ましく使用することができる。
【0020】本発明のコンクリート打設用コンクリート
接触液添加剤には、前記3成分の他に本発明の目的を損
わない範囲で、必要に応じて染料や顔料などを添加し、
接触液添加剤を水に懸濁した際の懸濁液が着色するよう
にしてもよいし、シルト質の排土などを混合してもよ
い。
【0021】本発明のコンクリート打設用コンクリート
接触液添加剤は、前記水溶性高分子化合物、水不溶性無
機化合物、分散剤および必要により添加されるその他の
成分からなり、水に懸濁してコンクリート打設用の遮水
液または泥水などのコンクリート接触液として使用され
る。各成分の配合割合は、一般的には、水溶性高分子化
合物は0.2〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量
%、水不溶性無機化合物が60〜99.8重量%、好ま
しくは75〜99.5重量%、分散剤が0.01〜30
重量%、好ましくは0.2〜20重量%で、コンクリー
ト打設用の遮水液として使用する場合は水溶性高分子化
合物が0.2〜5重量%、好ましくは0.5〜2.5重
量%、水不溶性無機化合物が65〜99.8重量%、好
ましくは87.5〜99.5重量%、分散剤が0.01
〜30重量%、好ましくは0.02〜10重量%で、泥
水として使用する場合は、水溶性高分子化合物が0.5
〜10重量%、好ましくは1〜5重量%、水不溶性無機
化合物が60〜99.5重量%、好ましくは75〜9
8.9重量%、分散剤が0.05〜30重量%、好まし
くは0.1〜20重量%が望ましい。
【0022】本発明のコンクリート打設用遮水液は、前
記コンクリート打設用コンクリート接触液添加剤を水に
懸濁したものである。このコンクリート打設用遮水液
は、水または泥水中に生コンクリートを打設する際、打
設する生コンクリートと水または泥水とが直接接触する
のを遮断するため、生コンクリートと水または泥水との
間に存在させて使用するものである。このためコンクリ
ート打設用遮水液の比重は、上層の水または泥水より大
きく、かつ下層の生コンクリートより小さくする必要が
あり、一般的には1.1〜2.3、好ましくは1.1〜
2.0とする必要がある。比重の調整は水不溶性無機化
合物の添加量の調整により行う。泥水の比重は通常1.
05〜1.1程度であるので、遮水液の比重を約1.1
にするには、硫酸カルシウムまたは炭酸カルシウムであ
れば約25w/v%、水酸化アルミニウムであれば約2
0w/v%の濃度が目安になる。
【0023】コンクリート打設用遮水液中の水溶性高分
子化合物の濃度は、水不溶性無機化合物を安定に分散で
きる最低の濃度でよく、水不溶性無機化合物の濃度に左
右されるが、遮水液に対して通常0.2〜1w/v%が
好ましい。
【0024】コンクリート打設用遮水液中の分散剤の濃
度は、水不溶性無機化合物を安定に分散させ、かつ遮水
液(スラリー溶液)の溶液粘度が5000cP以上にな
らない濃度が好ましく、遮水液に対して通常0.005
〜10w/v%が好ましい。溶液粘度が5000cPを
越えると、遮水液の打設が困難になり好ましくない。
【0025】コンクリート打設用遮水液の調製は、水に
コンクリート打設用コンクリート接触液添加剤を加えて
行ってもよいし、水に水溶性高分子化合物、水不溶性無
機化合物、分散剤および必要により添加されるその他の
成分を任意の順序で加えて行ってもよい。
【0026】本発明のコンクリート打設用遮水液は、水
中にコンクリートを打設するあらゆる施工法に使用でき
る。例えば、海水、河川水、湖水中に生コンクリートを
打設する場合、あるいは泥水工法により泥水中に生コン
クリートを打設する場合などに使用できるが、特に泥水
工法により泥水中に生コンクリートを打設する施工法に
おいて使用するのが好ましい。泥水工法の具体的な施工
法としては、連続地中壁工法、現場打坑工法、トレミー
工法、コンクリートポンプ工法などをあげることができ
る。泥水工法に使用する泥水は、従来より使用されてい
る通常の泥水が使用されるが、後述の本発明の泥水組成
物であってもよい。
【0027】本発明のコンクリート打設用泥水組成物
は、前記コンクリート打設用コンクリート接触液添加剤
を水に懸濁したものであり、泥水工法用の泥水として使
用するものである。例えば、泥水工法において、掘削壁
面の強化のために掘削孔に注入する安定液として使用す
ることができる。このためコンクリート打設用泥水組成
物の比重は、下層の生コンクリートより小さくする必要
があり、一般的には2.3以下、好ましくは1.05〜
1.2とする必要がある。比重の調整は水不溶性無機化
合物の添加量の調整により行う。例えば泥水組成物の比
重を1.05にするには、硫酸カルシウムまたは炭酸カ
ルシウムであれば約10w/v%の濃度が目安になる。
【0028】泥水組成物の水溶性高分子化合物の濃度
は、水不溶性無機化合物を安定に分散できる最低の濃度
でよく、水不溶性無機化合物の濃度に左右されるが、泥
水組成物に対して通常0.2〜1w/v%が好ましい。
【0029】泥水組成物の分散剤の濃度は、水不溶性無
機化合物を安定に分散され、かつ泥水組成物(スラリー
溶液)の溶液粘度が2000cP以上にならない濃度が
好ましく、泥水組成物に対して通常0.005〜3w/
v%が好ましい。
【0030】泥水組成物は、前記コンクリート打設用遮
水液と同様にして調製することができる。本発明の泥水
組成物は、泥水工法のどのような工法にも使用できる。
具体的には、連続地中壁工法、現場打坑工法、トレミー
工法、コンクリートポンプ工法などをあげることができ
る。
【0031】
【作用】本発明のコンクリート打設用遮水液は、水また
は泥水中に生コンクリートを打設する際、水または泥水
と生コンクリートとの境界面に遮水層を形成するように
水または泥水の下部に注入し、形成された遮水層の下側
に生コンクリートを注入して使用される。生コンクリー
トの注入に伴って遮水層が上昇するので、その上部の水
または泥水を除去しながら打設を行う。このように本発
明のコンクリート打設用遮水液を打設する生コンクリー
トと水または泥水との間に存在させることにより、両者
の接触が遮断される。しかも本発明では、重量平均粒子
径が30〜300μmの水不溶性無機化合物を使用して
いるので、遮水液と生コンクリートとの界面、および遮
水液と水または泥水との界面は明瞭となる。
【0032】このため打設した生コンクリートが水また
は泥水に洗われてコンクリート成分が分散したり、セメ
ント成分と骨材成分が分離することがないので、境界部
分のコンクリートの強度は低下しない。また本発明のコ
ンクリート打設用遮水液は打設する生コンクリートと反
応しないのでゲル化は起こらず、また水または泥水とも
反応しないので、高い回収率で回収され、再利用でき
る。さらに水溶性高分子化合物、水不溶性無機化合物お
よび分散剤は安全であるため、回収しきれない遮水液に
より環境汚染が生じることはなく、かつ取扱が容易であ
る。
【0033】本発明のコンクリート打設用泥水組成物
は、泥水工法において、掘削時に掘削孔に泥水として注
入され、この泥水の下側に注入する生コンクリートの打
設に伴って除去される。本発明では、重量平均粒子径が
30〜300μmの水不溶性無機化合物を使用している
ので、泥水と生コンクリートとの界面は明瞭となる。
【0034】このように本発明の泥水組成物を泥水工法
における泥水(安定液)として使用することにより、掘
削壁面の崩壊が防止されることはもちろん、泥水と生コ
ンクリートとの界面は明瞭に区別され、セメント成分と
骨材成分が分離することがないので、境界部分のコンク
リートの強度は低下しない。また本発明の泥水組成物
は、セメントと反応するベントナイトなどを含有してい
ないので、ゲル化を起こさない。このため高い回収率で
回収され、再利用できる。さらに水溶性高分子化合物、
水不溶性無機化合物および分散剤は安全であるため、回
収しきれない泥水組成物により環境汚染が生じることは
なく、かつ取扱が容易である。
【0035】
【実施例】次に本発明のコンクリート打設用遮水液およ
びコンクリート打設用泥水組成物の使用方法を実施例の
図面を用いて説明する。図1および図2は、本発明のコ
ンクリート打設用遮水液を用いた泥水工法によるコンク
リートの打設方法を示す断面図であり、図1は遮水液の
注入段階、図2は生コンクリートの注入段階を示してい
る。
【0036】まず図1に示すように、泥水1が満たされ
ている孔2に泥水工法用の遮水液3を筒状打設管4の上
部から注入する。注入された遮水液3は孔2の底部に沈
積して遮水層5を形成する。遮水層5の深さ(厚さ)は
10〜50cm程度が適当である。筒状打設管4として
は、例えばトレミー管、可とう性のホースなどが使用で
きる。
【0037】次に図2に示すように生コンクリート6を
筒状打設管4の上部から注入する。生コンクリート6の
注入開始時は、筒状打設管4の下端開口部7が遮水層5
中に位置するように設置する。その後は下端開口部7が
常に打設した生コンクリート6中に埋設し、遮水層5の
下面に生コンクリート6が吐出されるように筒状打設管
4を引上げながら行うのが好ましい。生コンクリート6
としては、大気中で打設するのと同じ、通常の配合の生
コンクリートが使用できる。
【0038】注入された生コンクリート6の比重は遮水
層5を形成する遮水液3の比重より大きいため、遮水層
5の下に生コンクリート層8が形成される。すなわち、
生コンクリート6の注入段階では、泥水1層、遮水層5
および生コンクリート層8の3層が形成され、かつ各層
の界面は明瞭である。
【0039】生コンクリート6の打設に伴って、遮水層
5も上昇するので、生コンクリート6と泥水1との接触
が遮断された状態で生コンクリート6は打設される。生
コンクリート6の打設に伴って、生コンクリート層8の
上面は上昇し、孔2の上端から泥水1、遮水液3の順に
あふれるが、これらはポンプなどで回収する。回収した
泥水1および遮水液3は再利用できる。
【0040】このようにして打設した生コンクリート6
は、生コンクリート6と泥水1との接触が遮断されてい
るためコンクリートの成分が分散したり、セメント成分
と骨材成分が分離することがなく、また遮水液3が打設
した生コンクリート6中に巻込まれることも少ないの
で、強度の低下がなく、しかも均一な品質となる。従っ
て打設硬化後に杭頭部を切取って除去するなどのはつり
作業は不要である。
【0041】図3および図4は、本発明のコンクリート
打設用泥水組成物を用いた泥水工法によるコンクリート
の打設方法を示す断面図であり、図3は泥水組成物の注
入段階、図4は生コンクリートの注入段階を示してい
る。
【0042】まず図3に示すように、孔2に泥水組成物
9を泥水注入管10から注入し、孔2を泥水組成物9で
満たす。次に図4に示すように、筒状打設管4の上部か
ら生コンクリート6を注入する。生コンクリート6の注
入は、筒状打設管4の下端開口部7が打設した生コンク
リート6中に埋没し、泥水組成物9の下面に生コンクリ
ート6が吐出されるように行うのが好ましい。生コンク
リート6としては、大気中で打設するのと同じ、通常の
配合の生コンクリートが利用できる。
【0043】注入された生コンクリート6の比重は泥水
組成物9の比重より大きいため、泥水組成物9の下に沈
積して生コンクリート層8が形成される。この時の泥水
組成物9と生コンクリート層8との界面は明瞭である。
生コンクリート6の注入に伴ってあふれる泥水組成物9
はポンプなどで回収され、再利用される。なお泥水組成
物9の注入は、泥水注入管10を用いることなく、筒状
打設管4から行ってもよい。
【0044】このようにして打設した生コンクリート6
は、泥水組成物9が打設した生コンクリート6中に巻込
まれることが少ないので、強度の低下がなく、しかも均
一な品質となる。従って打設硬化後に杭頭部を切取って
除去するなどのはつり作業は不要である。
【0045】次に種々のコンクリート打設用遮水液また
はコンクリート打設用泥水組成物を用いた実施例につい
て説明する。なお以下の実施例では前記孔2に相当する
ものとして水槽を、筒状打設管4としてトレミー管を使
用した。また重量平均粒子径は、45μm以上のものは
ふるい分け法、45μm未満のものは光路遮蔽法により
求めた。
【0046】実施例1 メチルセルロース50g、硫酸カルシウムI(重量平均
粒子径70μm)5kgおよびナフタレンスルホン酸ナ
トリウム−ホルムアルデヒド縮合物(以下、NS/Fと
略す)60gの混合物を、市水10kgに添加撹拌して
均一にした。このスラリー溶液(懸濁液)500mlを
500mlのメスシリンダーを用いて沈殿分離性を評価
した。結果を表1に示す。
【0047】実施例2 実施例1において、硫酸カルシウムIの代わりに炭酸カ
ルシウムI(重量平均粒子径30μm)5kg、NS/
Fの代わりにリグニンスルホン酸ナトリウム(以下、L
SNaと略す)100gを用いた以外は実施例1と同様
に行った。結果を表1に示す。
【0048】実施例3 実施例2において、炭酸カルシウムIの代わりに炭酸カ
ルシウムII(重量平均粒子径90μm)を用いた以外は
実施例2と同様に行った。結果を表1に示す。
【0049】比較例1 実施例1において、硫酸カルシウムIの代わりに硫酸カ
ルシウムII(重量平均粒子径20μm)を用いた以外は
実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0050】比較例2 実施例1において、硫酸カルシウムIの代わりに硫酸カ
ルシウムIII(重量平均粒子径350μm)を用いた以
外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0051】比較例3 実施例2において、炭酸カルシウムIの代わりに炭酸カ
ルシウムIII(重量平均粒子径20μm)を用いた以外
は実施例2と同様に行った。結果を表1に示す。
【0052】比較例4 実施例2において、炭酸カルシウムIの代わりに炭酸カ
ルシウムIV(重量平均粒子径350μm)を用いた以外
は実施例2と同様に行った。結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】表1の結果から、硫酸カルシウム、炭酸カ
ルシウムのいずれのスラリー溶液も、水不溶性無機化合
物の重量平均粒子径が大きくなるほど、水不溶性無機化
合物の沈殿分離性は大きくなることがわかる。このこと
は、粘度ηなる粘性流体中を半径aなる剛体球が一定速
度Uで運動する時に、球の受ける抵抗が6πηaUで与
えられるという、ストークスの法則によって説明され
る。
【0055】実施例4〜6 実施例1〜3で調製したスラリー溶液を泥水工法用の遮
水液として用い、コンクリートの打設試験を行った。す
なわち、内径30cm、高さ1mの円柱状のアクリル製
水槽2に泥水1を張り、図1に示すように、トレミー管
4から遮水液3を注入した。次に図2に示すように、ト
レミー管4から生コンクリート(モルタル)6を注入し
た。この時トレミー管4の下端開口部7は遮水層5の中
に位置するように設置した。生コンクリート6の比重は
遮水層5の比重より大きいので、遮水層5の下に生コン
クリート層8が形成された。生コンクリート6の注入に
伴って、遮水液3は生コンクリート6と泥水1との間に
遮水層5を形成したまま上部に持上げられた。この時泥
水1と遮水層5との界面および遮水層5と生コンクリー
ト層8との界面は明瞭に分かれており、遮水効果は十分
であった。界面の状態を表2に示す。
【0056】比較例5〜6 比較例1、3で調製したスラリー溶液を泥水工法用の遮
水液として用い、実施例4〜6と同様の試験を行った。
界面の状態を表2に示す。
【0057】比較例7 遮水層5を設けない系において、実施例4〜6と同様の
試験を行った。界面の状態を表2に示す。
【0058】
【表2】
【0059】表2の結果から、実施例の遮水液を用いる
ことにより、生コンクリート天端の遮水性が改善される
ことがわかる。また実施例の遮水液の中でも、重量平均
粒子径が30μmの水不溶性無機化合物を使用したもの
より70μm以上のものを使用した場合の方がより遮水
効果に優れていることがわかる。水不溶性無機化合物の
重量平均粒子径が大きい場合により優れた遮水効果が得
られる理由は明らかではないが、おそらく粒子径が大き
くなることにより、生コンクリート(モルタル)9中に
生じる間隙に水不溶性無機化合物の粒子が入りにくくな
ったためだと推測される。
【0060】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、水に懸濁
することにより、打設する生コンクリートと水または泥
水との間に存在させるためのコンクリート打設用の遮水
液または泥水(安定液)として使用でき、生コンクリー
トと水または泥水との境界部分のコンクリートの強度が
低下するのを防止して均一なコンクリートが打設でき、
このためはつり作業が省略できるとともに工期の短縮お
よびコストダウンを図ることができ、また回収率が高
く、安全で、取扱が容易なコンクリート打設用コンクリ
ート接触液添加剤、ならびにこのコンクリート接触液添
加剤を用いたコンクリート打設用遮水液および泥水組成
物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコンクリート打設用遮水液を用いたコ
ンクリートの打設方法の一例を示す断面図である。
【図2】本発明のコンクリート打設用遮水液を用いたコ
ンクリートの打設方法の一例を示す断面図である。
【図3】本発明のコンクリート打設用泥水組成物を用い
たコンクリートの打設方法の一例を示す断面図である。
【図4】本発明のコンクリート打設用泥水組成物を用い
たコンクリートの打設方法の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 泥水 2 孔 3 遮水液 4 筒状打設管 5 遮水層 6 生コンクリート 7 下端開口部 8 生コンクリート層 9 泥水組成物 10 泥水注入管

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水に溶けて分散媒となる水溶性高分子化
    合物と、分散質となる重量平均粒子径30〜300μm
    の水不溶性または水難溶性無機化合物と、分散剤とを含
    有することを特徴とするコンクリート打設用コンクリー
    ト接触液添加剤。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のコンクリート打設用コン
    クリート接触液添加剤を、比重が水または泥水より大き
    く、かつ生コンクリートより小さくなるように水に懸濁
    させたことを特徴とするコンクリート打設用遮水液。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のコンクリート打設用コン
    クリート接触液添加剤を、比重が生コンクリートより小
    さくなるように水に懸濁させたことを特徴とするコンク
    リート打設用泥水組成物。
JP11893392A 1992-05-12 1992-05-12 コンクリート打設用コンクリート接触液添加剤および用途 Pending JPH05311160A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101414559B1 (ko) * 2012-12-18 2014-07-03 현대건설 주식회사 콘크리트 타설 방법 및 이에 의하여 제작된 콘크리트 구조물
JP2017124569A (ja) * 2016-01-15 2017-07-20 株式会社フソーマテリアル 余剰生コンの団粒化方法およびそれによる再生材の製造方法およびそれに使用する団粒化装置
CN112982421A (zh) * 2019-12-17 2021-06-18 江苏苏博特新材料股份有限公司 一种水下灌浆保护材料及其使用方法

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