JPH0530831Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、デイサマチツク造型機等により連続
的に造型される立型造型鋳型に関する。

（従来の技術とその問題点） 主としてデイサマチツク造型機等により連続的
に造型される立型造型鋳型は、小物鋳造品の多量
生産用鋳型として利用されている。

この種の垂直割型構造の立型造型鋳型において
も、通常の水平割型構造の水平造型鋳型と同様
に、金属溶湯中のノロやスラグ等を除去するため
に溶湯流路に発泡セラミツクス、ストレーナーコ
ア等の濾過体をセツトすることが望ましい。

しかしながら、鋳型造型タクトの関係でこれら
の濾過体を立型造型鋳型に設けることが困難とな
つており、現実には濾過体を使用しないで鋳造し
ているのが実情である。

すなわち、デイサマチツク造型機等による鋳型
造型タクトは10〜15秒と短いため、嵌合作業を要
する濾過体の設置は、作業上時間的に困難だから
である。仮に、濾過体の設置作業の機械化自動化
を図ろうとした場合でも、嵌合機能を必要とする
濾過体装着機械は高価であり、又高速化が困難で
あるので、現実には適用困難である。

また、前記濾過体を鋳型に配設したとしても、
これらは溶湯通過抵抗が大きかつたり、濾過能力
が低かつたりするため、濾過効果がさほど期待で
きないという問題がある。

上記の問題点を解決するため、先に提出した特
願昭61−189234号において、溶湯流路が前型と後
型との分割面に沿つて一方の型から他方の型に移
行して凹設され、該溶湯流路の両型の移行部を遮
蔽するように網状フイルターが分割面に配設する
に当たり、いずれか一方の型の分割面に、該網状
フイルターを押しピン、両面テープ、接着剤など
での別個に用意した仮止め部材で仮止めすること
により、デイサマチツク造型機等により連続的に
造型される立型造型鋳型の連続製造に合わせて、
該前型と該後型との移行部に網状フイルターを介
在せしめた鋳型を連続的に製造し得る発明を開示
した。

然るに、該特願昭61−189234号は、該網状フイ
ルターを該型の分割面に仮止めするに当たり、押
しピン、両面接着テープ或いは接着剤などの別個
の仮止め部材を用意しなければならない不便があ
る。従つて、更にその改善が望まれる。

本発明はかかる問題点に鑑みなされたもので、
各別の仮止め部材を要せずして網状フイルターを
該型の分割面に容易に配設できて、しかもスラグ
等が除去された健全な金属溶湯で製品鋳物を容易
に鋳造し得るようにした網状フイルターを備えた
立型造型鋳型を提供することを目的とする。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、上記の要望を満足した網状フイルタ
ーを備えた立型造型鋳型を提供するもので、溶湯
流路が前型と後型との分割面に沿つて一方の型か
ら他方の型に移行して凹設され、該溶湯流路の両
型の移行部を遮蔽するように網状フイルターを分
割面に配設せしめ、該網状フイルターを該前型と
該後型の型合わせにより挟持するようにした網状
フイルターを備えた立型造型鋳型において、いず
れか一方の型の分割面に吊下げ用凸部を設け、該
吊下げ用凸部に該網状フイルターを、これに設け
た吊下げ孔を係合して吊下げるようにしたことを
特徴とする。

（作用） 本考案は、該前型又は該後型自体に該網状フイ
ルター吊下げ用凸部を設ける一方、該網状フイル
ター自体に吊下げ孔を設けてあるので、該網状フ
イルターをその吊下げ孔を該型の該吊下げ用凸部
に係合するだけで、他に何等の仮止め具を要しな
いで網状フイルターを該型の分割面に吊下げるこ
とができるので、この状態から該両型を合わせれ
ば、厚さの薄い該網状フイルターが、該前型と該
後型との所望の移行部を遮蔽して有する鋳型が連
続的に且つ安価に得られる。

更に、該網状フイルターは、溶湯濾過能力に優
れるので、溶湯中のスラグ等をほぼ完全に除去す
ることができ、清浄な溶湯で製品を鋳造すること
ができる。

（実施例） 以下、本考案の実施の１例を第１図および第２
図に基づき説明する。

本考案に係る網状フイルターを備えた立型造型
鋳型は、図示のとおり、砂型で形成された前型１
と後型２とで垂直割型構造とされている。

溶湯流路３は、該前型１と該後型２との分割面
に沿つて、該前型１から該後型２へと上から下方
へ移行しながら凹設され、更に該前型１の下部水
平方向に凹設された湯道流路４に連通している。
同図において、５ａは該溶湯流路３の中途に形成
された該前型１と該後型２との移行部であり、一
方該５ｂは、該溶湯流路３の底部に形成された該
後型２と該前型１との移行部である。また、７
は、該湯道流路４ａと鋳造キヤビデイ６とを連結
するための鋳造堰である。

１０は網状フイルターであり、前記移行部５
ａ，５ｂの両面を遮蔽するように該前型１の分割
面上に配設されている。尚、該網状フイルター１
０は、必ずしも両方の移行部５ａ及び５ｂを遮蔽
するように配設する必要はなく、いずれか一方の
該移行部５ａ又は５ｂを遮蔽するように配設すれ
ばよい。

本考案によれば、該前型１と該後型２のいずれ
か一方、図示の例では該前型１の分割面には一対
の吊下げ用凸部１１，１１が造型されており、該
凸部１１，１１に該網状フイルター１０に開設し
た一対の吊下げ孔１２，１２を係合せしめて、該
網状フイルター１０が該凸部１１，１１に吊下げ
る。

かくして、該網状フイルター１０は、該前型１
の分割面に、該移行部５ａ，５ｂを遮蔽した状態
に配設されるので、この状態から該前型１と該後
型２を合わせれば、第１図示のように、該網状フ
イルター１０は該両型１及び２によりその所定位
置に挟持固定される。尚、該吊下げ孔１２は該吊
下げ用凸部１１の外径に対して充分大きな径でよ
い。

このように、本考案は、該前型１の造型時に、
該吊下げ用凸部１１を設ける一方、該網状フイル
ター１０には、該吊下げ用凸部１１に係合する吊
下げ孔１２を設けたので、該網状フイルター１０
を、単に該凸部１１に吊下げるだけで該網状フイ
ルターを該前型１又は該後型２の分割面に設置で
き、別個の仮止め部材を要せず、作業を迅速且つ
容易にし、而も網状フイルターを備えた立型鋳型
の連続製造をより高能率に且つ低コストで行うこ
とができる。

該網状フイルター１０は、ガラス繊維や炭素繊
維等の耐火繊維で形成されており、通常フエノー
ルレジン等で保形されている。

鋳造金属として鋳鉄や鋳鋼等の高融点金属溶湯
を用いる場合、ガラス繊維としては、SiO₂含有
量が75重量％以上で、かつ予め焼成して収縮させ
たものがよい。

この条件は、本発明は特願昭60−235032号にお
いて明らかにしたもので、SiO₂含有量が75％以
上であらゆる種類の鋳鉄溶湯（鋳込温度1200〜
1450℃）に適用できるからであり、また予め焼成
して収縮させたものを用いる理由は、溶湯通過時
のフイルターの収縮によりフイルター装着部の鋳
砂が溶湯中にかき落され、砂かみなどの鋳造欠陥
が発生するのを有効に防止できるためである。

該網状フイルター１０の目開きサイズは、除去
するノロ、スラグ等の非金属介在物の大きさにも
よるが、通常、0.4〜mm²で充分である。

次に、第３図および第４図に示したフイルター
吸引ボツクス２０について説明し、該吸引ボツク
ス２０を用いて、該網状フイルター１０を鋳型に
セツトする方法について説明する。

該フイルター吸引ボツクス２０は、内部に吸気
室２４を有する中空六面体形状をしており、その
前面に該網状フイルター１０をその全面に亘つて
収納するための収納部２１が凹設されている。該
収納部２１の深さは、該網状フイルター１０が位
置合わせできる程度でよく、通常0.5mm程度で充
分である。

該収納部２１の底面には、該網状フイルター１
０を吸着するための吸引孔２２が吸気室２４に貫
通状に開設されている。該吸引孔２２は、図示例
では該吊下げ孔１２上部位置に３個開設されてい
るが、これに限るものではない。該吸引孔２２の
孔径は、フイルター目開きサイズよりも大きけれ
ばよく、通常目開きサイズの1.5〜３倍とする。
２３は、吊下げ用凸部１１の逃し穴である。

該吸引ボツクス２０の側面には支持アーム２５
が取付けられており、該支持アーム２５は、出
退、回動自在とされた回動軸２６に固設されてい
る。

２７は排気ホースであり、該吸引ボツクス２０
の内部に設けられた該吸気室２４に連通してい
る。

該吸引ボツクス２０を用いて、該前型１の分割
面に該網状フイルター１０を装着するには、ま
ず、鋳型移動方向（図中Ａ方向）の不干渉域で該
フイルター吸引ボツクス２０に該網状フイルター
１０を吸着させる。

次いで、該回動軸２６を鋳型側に回動させると
共にＡ方向へ前進させて、該網状フイルター１０
の該吊下げ孔１２を該前型１の分割面に予め設け
た該吊下げ用凸部１１に嵌合させて、吸引を停止
せしめ、かくして該網状フイルター１０を該凸部
１１に係合されて吊下げ状態を得る。

その後、該吸引ボツクス２０は後退すると共に
不干渉域に回動退避し、該後型２を該前型１と型
合わせして、該網状フイルター１０をその所期の
位置で挟持する。

このように、該網状フイルター１０を、その吊
下げ孔１２で該凸部１１に吊下げるだけで所定位
置に設けることができるので、該フイルター吸引
ボツクス２０の該網状フイルター１０の吸引とそ
の吸引停止のみで、迅速に該網状フイルター１０
を該型１又は２の分割面への機械的取付け作業
を、別個の仮止め手段なしに鋳造造型機の製造タ
クトに合わせて、一層迅速に且つ安価に行うこと
ができる。

而して、該網状フイルター１０を備えた立型造
型鋳型を用いることにより、スラグ等の除去され
た品質良好な鋳造品を製造することができる。

（考案の効果） このように本考案によるときは、立型造型鋳型
の前型又は後型のいずれか一方の分割面に吊下げ
用凸部を設け、該吊下げ用凸部に該網状フイルタ
ーを、これに設けた吊下げ孔を係合して吊下げる
ようにしたので、短い鋳型造型タクトに合わせて
網状フイルターを備えた立型造型鋳型を連続的に
製造できるばかりでなく、網状フイルターを該型
の分割面に取付けるには、該網状フイルターをそ
の吊下げ孔を介して該鋳型の凸部に吊下げるだけ
で足りるので、各別に押しピン等の仮止め具を要
せず、迅速且つ低いコストで網状フイルターを備
えた立型造型鋳型を得られると共に品質良好な鋳
造品を製造することができる等の効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る網状フイルターを備えた
立型造型鋳型の全体縦断側面図、第２図は網状フ
イルターを備えた前型の正面図、第３図は網状フ
イルターの装着作業を示す上面図、第４図はフイ
ルター吸引ボツクスの縦断面図である。 １……前型、２……後型、３……溶湯流路、５
ａ，５ｂ……移行部、１０……網状フイルター、
１１……吊下げ用凸部、１２……吊下げ孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 溶湯流路が前型と後型との分割面に沿つて一方
   の型から他方の型に移行して凹設され、該溶湯流
   路の両型の移行部を遮蔽するように網状フイルタ
   ーを分割面に配設せしめ、該網状フイルターを該
   前型と該後型の型合わせにより挟持するようにし
   た網状フイルターを備えた立型造型鋳型におい
   て、いずれか一方の型の分割面に吊下げ用凸部を
   設け、該吊下げ用凸部に該網状フイルターを、こ
   れに設けた吊下げ孔を係合して吊下げるようにし
   たことを特徴とする網状フイルターを備えた立型
   造型鋳型。