JPH05306547A - アトリウム屋根の支持部構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 アトリウム屋根を簡単な構造で支持でき、し
かも、アトリウム屋根が制震装置の働きを有するようし
たアトリウム屋根の支持部の構造を提供する。 【構成】 アトリウム屋根３の支持部に、このアトリウ
ム屋根３を任意の方向に水平移動させるための支持沓４
と、前記アトリウム屋根３の一定範囲を超える水平移動
を抑制するための装置および減衰機構５とを備えて構成
する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、ツインビルなどの隣
接する建物間に、この建物の双方に支持させて構築され
るアトリウム屋根の支持部構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、都心部のオフィスビルなどとして
利用される高層ビルは、いわゆるツインビルとして設計
されることが多く、また、この２つの高層ビル間にアト
リウム屋根を架け、その下を中庭や広場などの公共スペ
ースとして利用できるように設計されることも多い。

【０００３】ところで、従来、２つの高層ビル間にアト
リウム屋根を架ける場合、２つの建物の揺れ方（固有周
期）が異なるため、双方の揺れに追従できるように一端
をピン支持、他端をローラ支持とすることによって地震
力を処理していた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来のアトリウム屋根
の支持部は以上のように構成されているため、ピン支持
側の建物に地震力による大きなねじれモーメントが生ず
る。このため、このねじれモーメントに備えて支持部の
構造を非常に強固に大掛かりなものとする必要があっ
た。また、一般に高層建物の揺れは大きいことから、こ
れに追従できるようにローラ支持側も、相当量の移動が
可能な構造とする必要があり、納まりが悪いものであっ
た。

【０００５】この発明はこのような前記従来の課題を解
決するために提案されたもので、アトリウム屋根を簡単
な構造で支持でき、しかも、アトリウム屋根が制震装置
の働きを有するようにしたアトリウム屋根の支持部構造
を提供することを目的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明に係るアトリウ
ム屋根の支持部構造は、アトリウム屋根の支持部に、こ
のアトリウム屋根を任意の方向に水平移動させるための
支持沓と、前記アトリウム屋根の一定範囲を超える水平
移動を抑制するための装置および減衰機構とを備えて構
成されている。

【０００７】

【作用】この発明に係るアトリウム屋根の支持部の構造
においては、アトリウム屋根を支持する支持沓が任意の
方向に水平移動することにより建物の大変形にアトリウ
ム屋根が自由に追従する。

【０００８】また、アトリウム屋根によって接続された
隣接する複数の建物が、お互いに建物の震動エネルギー
を相殺、吸収するため、建物の揺れが低減される。

【０００９】

【実施例】図１は、この発明に係るアトリウム屋根の支
持部構造の一実施例を示す平面図、図２はその側面図で
ある。図において、符号１と２はオフィスビルなどとし
て使用される高層建物、３は高層建物１と２間に構築さ
れたアトリウム屋根、４はアトリウム屋根を支持する支
持沓、そして、符号５はアトリウム屋根の水平移動を抑
制するための装置および減衰機構である。

【００１０】支持沓４はローラ若しくはテフロンなどを
介在することにより前後左右のいずれの方向にも自由に
移動できるように構成されている。

【００１１】また、水平移動を抑制するための装置およ
び減衰機構５には油圧ダンパー、スプリングーダンパー
などが使用され、支持沓４の一定範囲を超える水平移動
を抑制するように設置されている。

【００１２】なお、アトリウム屋根３の支持部には、移
動中、支持部が浮き上がらないように、浮き上がり防止
のための装置が設置されている（図省略）。

【００１３】このように構成されていることにより、ア
トリウム屋根３は高層建物１および２にねじれモーメン
トを生じさせることなく、高層建物１および２の揺れに
自由に追従することができる。

【００１４】また、揺れ方の異なる二つの高層建物１と
２がアトリウム屋根３によって接続されていることによ
り、高層建物１と２がお互いに建物の震動エネルギーを
相殺、吸収するため、高層建物１および２の揺れが低減
され、したがって、大きな免震機能を併せ有する。

【００１５】

【発明の効果】この発明は以上説明したように構成さて
いるため、以下に記載するような効果を有する。

【００１６】 アトリウム屋根は任意の方向に自由に
水平移動可能な支持沓を介して隣接する建物に支持され
ているため、アトリウム屋根を支持する建物にねじれモ
ーメントを生じさせることなく、建物の大変形に自由に
追従することができる。

【００１７】 揺れ方の異なる二つの建物はアトリウ
ム屋根で接続され、一定量を超えるアトリウム屋根の水
平移動は移動を抑制するための装置および減衰機構によ
って阻止される。このため、双方の建物がお互いに建物
の震動エネルギーを相殺、吸収するため、建物の揺れが
低減される。したがって、アトリウム屋根は建物の制震
装置の機能も兼ね備えるため、本来、備えるべき免震装
置が不要になり、きわめて経済的である。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係るアトリウム屋根の支持部構造の
一実施例を示すアトリウム屋根が架設されたツインビル
の平面図である。

【図２】図１に示すツインビルの側面図である。

【図３】図１に示すアトリウム屋根の支持部構造を示す
アトリウム屋根支持部の側面図である。

【図４】この発明に係るアトリウム屋根の支持部構造の
他の実施例を示すアトリウム屋根が架設されたツインビ
ルの一部平面図である。

【図５】図４に示すアトリウム屋根の支持部構造を示す
アトリウム屋根支持部の側面図である。

【符号の説明】

1,2 …高層建物、３…アトリウム屋根、４…支持沓、５
…アトリウム屋根の水平移動を抑制するための装置およ
び減衰機構。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 隣接する複数の建物間に、この建物の双
   方に支持させて構築されるアトリウム屋根の支持部の構
   造において、前記アトリウム屋根の支持部に、このアト
   リウム屋根を任意の方向に水平移動させるための支持沓
   と、前記アトリウム屋根の一定範囲を超える水平移動を
   抑制するための装置および減衰機構とを備えてなること
   を特徴とするアトリウム屋根の支持部構造。