JPH05306217A - 有膜ウイルスに対する揮散性不活化剤 - Google Patents

有膜ウイルスに対する揮散性不活化剤

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JPH05306217A
JPH05306217A JP4262922A JP26292292A JPH05306217A JP H05306217 A JPH05306217 A JP H05306217A JP 4262922 A JP4262922 A JP 4262922A JP 26292292 A JP26292292 A JP 26292292A JP H05306217 A JPH05306217 A JP H05306217A
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virus
oil
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inactivating agent
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JP4262922A
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Shigeharu Ueda
重晴 上田
Makoto Nishimura
誠 西村
Masaaki Yoshihara
正明 吉原
Takeo Toyama
孟生 外山
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Shiono Koryo Kaisha Ltd
Original Assignee
Shiono Koryo Kaisha Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】ピネン類や、シネオール類、リナロール、デヒ
ドロリナロール、テトラヒドロリナロール、シトラー
ル、ゲラニオール、シトロネロールなどのテルペン系誘
導体、オイゲノールなどのフェノール類及びサンダルウ
ッド油を有効成分とする有膜ウィルス不活性化剤。 【効果】本発明揮散性不活化剤は、気化した有効成分が
麻疹ウイルスなどの有膜ウイルスを効果的に不活化する
ので、該ウイルスによる疾患の予防に有用である。ま
た、該有効成分は芳香を発し、使用が簡単であるなどの
特徴を有し、実用的価値が極めて高い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な有膜ウイルスに対
する揮散性不活化剤、さらに詳しくは、麻疹ウイルス、
ヘルペスウイルス、インフルエンザウイルスなどの有膜
ウイルスを効果的に不活化する作用を有し、該ウイルス
による疾患を予防するのに有用な有膜ウイルスに対する
揮散性不活化剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、香料などの揮散性物質の中には、
細菌や糸状菌に対して、その生育を抑制する作用を有す
るものがあることが知られている[「フレグランス・ジ
ャーナル」第2号、第91〜94ページ(1989
年)]。例えばテルペン系化合物の中には、このような
作用を有するものが多く存在し、その作用を利用して種
々の抗菌・抗カビ剤、具体的にはテルペン系カルボニル
化合物を含有する農園芸用殺菌剤(特開昭56−730
05号公報)、テルペン誘導体を含有する化粧品、医
薬、繊維、プラスチック製品のための微生物汚染防止剤
(特開昭53−91122号公報、特公昭59−285
24号公報)などが提案されている。しかしながら、こ
のように殺菌や糸状菌の生育を抑制する揮散性物質は見
い出されているものの、ウイルスに対する不活化作用を
有する揮散性物質はこれまでほとんど見い出されていな
いのが実状である。ウイルスはDNA又はRNAをゲノ
ムとして有し、宿主細胞内でのみ複製する微生物であっ
て、一般に有膜(エンベローブを有する)ウイルスと無
膜(エンベローブを有しない)ウイルスとに分類され
る。病原性ウイルスとしては、例えばヘルペスウイル
ス、おたふくかぜウイルス、インフルエンザウイルス、
水疱性口内炎ウイルス、ラッサ熱ウイルス、麻疹ウイル
ス、日本脳炎ウイルスなどの有膜ウイルス、ヒトポリオ
ウイルス、A型肝炎ウイルスなどの無膜ウイルスが挙げ
られる。これらの病原性ウイルスを効果的に不活化する
揮散性物質を有効成分とし、かつ芳香を発する製剤は人
に対し好感をもたらすとともに、該ウイルスによる疾患
を予防するのに有用であることから、その開発が強く望
まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような要
望にこたえ、病原性ウイルスを効果的に不活化する揮散
性物質を有効成分とし、かつ芳香を発するウイルスに対
する揮散性不活化剤を提供することを目的としてなされ
たものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記の好ま
しい性質を有するウイルスに対する揮散性不活化剤を開
発すべく鋭意研究を重ねた結果、ピネン類や、シネオー
ル類、リナロール、デヒドロリナロール、テトラヒドロ
リナロール、シトラール、ゲラニオール、シトロネロー
ルなどのテルペン系誘導体、オイゲノールなどのフェノ
ール類及びサンダルウッド油が麻疹ウイルス及びヘルペ
スウイルスなどの有膜ウイルスに対し、優れた不活化作
用を有し、しかも芳香を発することを見い出し、この知
見に基づいて本発明を完成するに至った。すなわち、本
発明は、ピネン類、シネオール類、 一般式
【0005】
【化5】
【0006】(式中のR1及びR2はそれぞれ水素原子を
示すか、又は一緒になって単結合を示し、R3は低級の
アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を示す)で
表される化合物、 一般式
【0007】
【化6】
【0008】(式中のR4、R5、R6及びR7はそれぞれ
水素原子を示すか、又はR4とR、R6とR7はそれぞ
れ一緒になって単結合を示す)で表される化合物、 一般式
【0009】
【化7】
【0010】(式中のJ1及びJ3は、一方が水素原子で
あって、他方はJ2と一緒になって隣接する炭素原子間
の単結合を示し、J4、J5及びJ6は水素原子又は隣接
する炭素原子間の単結合を示す)で表される化合物、 一般式
【0011】
【化8】
【0012】(J7は、水素又は炭素数4以下の低級ア
ルキル基を示し、J8は、炭素数4以下の低級アルキル
基を示し、J9は炭素数4以下の低級アルケニル基を示
す)で表される化合物及びサンダルウッド油の中から選
ばれた少なくとも1種を有効成分とする有膜ウイルスに
対する揮散性不活化剤を提供するものである。以下、本
発明を詳細に説明する。本発明の有膜ウイルスに対する
揮散性不活化剤に用いられるピネン類としては、例えば
α−ピネン、β−ピネン、α−ピネンの高温異性化物の
アロオシメン、β−ピネンの高温異性化物のβ−ミルセ
ン、α−ピネン、β−ピネンを異性化して得られるカン
フェン、α−ピネン又はβ−ピネンを水素添加して得ら
れるピナンなどが挙げられる。α−ピネン及びβ−ピネ
ンは各種テレピン油中に多量に含まれており、該テレピ
ン油から単離することにより得られるが、β−ピネンは
α−ピネンを異性化することにより得られたものであっ
てもよい。さらに、α−ピネン及びβ−ピネンを含有す
るファーニードル油などを用いることもできる。
【0013】また、本発明の有膜ウイルスに対する揮散
性不活化剤に用いられるシネオール類としては、例えば
1,8−シネオール、1,4−シネオールが挙げられる。
さらに、1,8−シネオールを含有するユーカリ油など
を用いることもできる。本発明不活化剤には前記一般式
[1]で表される化合物を用いることができる。この一
般式[1]におけるR3は低級のアルキル基、アルケニ
ル基又はアルキニル基であって、低級アルキル基として
は、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基又はイ
ソプロピル基が、低級アルケニル基としては、例えばビ
ニル基やプロペニル基などが、低級アルキニル基として
は、例えばエチニル基やプロピニル基などが挙げられ
る。また、R1及びR2はそれぞれ水素原子であってもよ
いし、たがいに結合して単結合を形成していてもよい。
このような一般式[1]で表される化合物の代表例とし
ては、ノルテトラヒドロリナロール(R1とR2:H、R
3:−CH3)、テトラヒドロリナロール(R1とR2
H、R3:−C25)、ジヒドロリナロール(R1
2:単結合、R3:−C25)、リナロール(R1
2:単結合、R3:−CH=CH2)、デヒドロリナロ
ール(R1とR2:単結合、R3:−C≡CH)などが挙
げられる。また、リナロールを主成分とする、ボア・ド
・ローズ油、芳葉油、ラバンジン油などを用いることが
できる。
【0014】本発明不活化剤には、前記一般式[2]で
表される化合物も用いることができる。この一般式
[2]におけるR4、R5、R6及びR7はそれぞれ水素原
子であってもよいし、R4とR5、R6とR7はぞれぞれた
がいに結合して単結合を形成していてもよい。このよう
な一般式[2]で表される化合物の代表例としては、ジ
ヒドロシトロネラール(R4、R5、R6、R7:H)、シ
トロネラール(R4とR5:単結合、R6とR7:H)、シ
トラール(R4とR5:単結合、R6とR7:単結合)など
が挙げられる。また、シトラールを含有するレモングラ
ス油などを用いることもできる。本発明不活性化剤に
は、前記一般式[3]で表される化合物を用いることが
できる。このような一般式[3]で表される化合物とし
ては、例えば、ゲラニオール(3,7−ジメチル−トラ
ンス−2,6オクタジエン−1−オル)、シトロネロー
ル(3,7−ジメチル−6−オクテン−1−オル)、ネ
ロール(3,7−ジメチル−シス−2,6−オクタジエン
−1−オル)などがある。さらに、本発明不活性化剤に
は、前記一般式[4]で表される化合物を用いることが
できる。
【0015】このような一般式[4]で表される化合物
としては、例えば、オイゲノール(2−メトキシ−4−
アリルフェノール)、イソオイゲノール(2−メトキシ
−4−(1−プロペニル)フェノール)などを使用する
ことができる。本発明においては、これらのピネン類、
シオネール類、一般式[1]で表される化合物、一般式
[2]で表される化合物、一般式[3]できる表される
化合物、一般式[4]で表される化合物及びサンダルウ
ッド油の中から1種選び用いてもよいし、これらの2種
以上を選び組み合わせて用いてもよい。前記化合物は、
いずれも揮散性を有し、かつ芳香を発するテルペン系誘
導体であって、病原性有膜ウイルス、例えば麻疹ウイル
ス、インフルエンザウイルス、ヘルペスウイルス、おた
ふくかぜウイルス、水疱性口内炎ウイルス、ラッサ熱ウ
イルス、日本脳炎ウイルスなどに対して良好な不活化作
用を有している。例えば麻疹ウイルスに対する不活化作
用を50%組織培養感染価10nTCID50/mlを測定
して求めたところ、10nTCID50/mlにおけるnが
対照では4.5であったのに対し、β−ピネン、リナロ
ール、テトラヒドロリナロール、デヒドロリナロール、
シトラールはいずれも2.2未満であり、またα−ピネ
ン、ゲラニオール、シトロネロール及びサンダルウッド
油は2.5、ファーニードル油及びオイゲノールは3.0
であった(実験例参照)。
【0016】このように、前記化合物は病原性有膜ウイ
ルスに対して良好な不活化作用を有するとともに、揮散
性を有することから、該化合物を気化させることによ
り、病原性有膜ウイルスを効果的に不活化させることが
できる。本発明の有膜ウイルスに対する揮散性不活化剤
は、ピネン類、シネオール類、前記一般式[1]で表さ
れる化合物及び一般式[2]で表される化合物の中から
選ばれた1種又は2種以上を有効成分とするものであっ
て、気化に適した剤形に製剤化することにより調製する
ことができる。この際、所望に応じ本発明の目的が損な
われない範囲で一般の香料、気化抑制剤、気化促進剤な
どを配合することができる。該香料としては、天然香料
及び合成香料のいずれであってもよく、天然香料として
は、例えばオレンジ油、レモン油、ライム油、プチグレ
ン油、ユズ油、ネロリ油、ベルガモット油、ラベンダー
油、ラバンジン油、アビエス油、ベイ油、ボア・ド・ロ
ーズ油、イランイラン油、シトロネラ油、ゼラニウム
油、ペパーミント油、スペアミント油、ユーカリ油、レ
モングラス油、パチュリ油、ジャスミン油、ローズ油、
シダー油、ベチバー油、ガルバナム油、オークモス油、
パイン油、樟脳油、芳樟油、テレビン油、クロープ油、
クローブリーフ油、カシア油、ナツメグ油、カナンガ
油、タイム油などの精油が挙げられ、また、合成香料と
しては、例えば、リナリルアセテート、C6〜C12の各
種脂肪族アルデヒド、フェニルエチルアルコール、ベン
ジルアセテート、ゲラニルアセテート、ゲラニルフォー
メイト、バニリン、ニトロムスク類、ガラクソライド、
トナリド、ペンタリド、サンタレックス、アミルサリシ
レート、アミルアセテート、γ−ウンデカラクトン、メ
チルフェニルグリシド酸エチル、ヘリオトロピンなどが
挙げられる。これらの香料はそれぞれ単独で用いてもよ
いし、2種以上を調合した調合香料として用いてもよ
い。
【0017】また、気化抑制剤としては、例えばベンジ
ルベンゾエート、ジアルキルフタレート、ハーコリン、
リモネンダイマー、アルキレングリコール、ポリアルキ
レングリコール、アルキルシトレート、ジアルキルアジ
ペートなどが挙げられ、一方気化促進剤としては、例え
ばエタノール、メチルメトキシエタノールなどのアルコ
ール類、あるいはリモネンなどが挙げられる。このよう
な気化抑制剤又は気化促進剤を適宜配合することによ
り、有効成分の作用が持続的かつ均質となる。製剤の形
態については特に制限はなく、例えば固体状、液体状、
エアゾール状、ゲル状、軟膏状などの任意の形態のもの
を、使用目的に応じて適宜選べばよい。固体状のものと
しては、例えばケイ酸カルシウムや各種セラミックスな
どの無機多孔性担体、ポリエチレン、ポリプロピレン、
エチレン−酢酸ビニル共重合体などのプラスチックから
成る有機多孔性担体、合成繊維、天然繊維から成る織布
や不織布、さらにはp−ジクロロベンゼンやアダマンタ
ンなどの昇華性担体などに、該有効成分を所望に応じて
用いられる添加成分と共に含浸させたものなどが挙げら
れる。
【0018】液体状のものとしては、水、アルコール、
エステルなどの適当な溶媒に該有効成分と所望に応じて
用いられる添加成分とを溶解又は微分散させたものを挙
げることができ、エアゾール状のものとしては、例えば
スプレー形式のものを挙げることができる。また、ゲル
状のものとしては、例えば寒天やカラギーナンなどのゲ
ル化剤を用いて得られた水溶性ゲルや、ステアリン酸ナ
トリウム、ステアリン酸アミンのような金属セッケンを
用いて得られた油性ゲル中に該有効成分と所望に応じて
用いられる添加成分とを含浸させたものなどを挙げるこ
とができる。さらに軟膏状のものとしては、通常、医薬
に用いられる軟膏に有効成分を配合してこれを医療器具
等の物体上又は患部に直接塗布して使用することができ
る。これらの適当な製剤は、例えば空調設備、トイレ、
浴室、居間、病室、病院の待合室、ダストボックスなど
に設置し、場合により加熱手段や送風手段などを施して
気化を促進させ、各不活化剤の種類によって決まる最適
濃度になるように調整する。これによって、病原性有膜
ウイルスが効果的に不活化され、該ウイルスによる疾患
を抑制することができる。
【0019】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが本発明はこれらの例によってなんら限定される
ものではない。なお、ウイルスの50%組織培養感染価
は次のようにして求めた。すなわち、ウイルス試料を対
数的に希釈し、その一定量を感受性宿主(組織培養)に
一定ルート、方法で接種し、感染の有無は、ウイルス増
殖のマーカー類のうち再現性のあるもので判定する。希
釈度が低いときは全宿主が感染陽性となり、希釈度が高
くなると陽性と陰性とに分かれ、より高い所ではすべて
が陰性となる。使用された宿主の50%が陽性となり、
残りが陰性になるような希釈値、すなわち50%組織培
養感染価10nTCID50/mlを求める。
【0020】実験例1 供試ウイルスとして、培養液(RPMI1640培養液
中10vol%牛胎児血清含有、PC100U/ml、SM
100μg/ml添加)中で、−120℃に保管された麻
疹ウイルス(山口株)を、供試細胞にはB95a細胞を
用いた。試験試料としてα−ピネン、β−ピネン、ファ
ーニードル油、リナロール、テトラヒドロリナロール、
デヒドロリナール、シトラール、オイゲノール、ゲラニ
オール、シトロネロール、サンダルウッド油及びコント
ロール(対照)を用い、麻疹ウイルス不活化の評価を行
った。まず、直径60mm、高さ15mmのティッシュ・カ
ルチュア・ディッシュ受け皿に、ウイルス液を15μl
滴下し、これを直径約10mmの大きさに広げ自然乾燥さ
せた。次に、上皿中央に試験試料5μlを滴下した10
×10mmの薄手ろ紙を置き、前記受け皿を上からかぶせ
たのち、37℃で30分間、5%CO2インキュベータ
ーに静置した。次いで、前記培養液150μlを用い、
乾燥しているウイルス滴下部分をよく洗いながら回収し
チューブに移し、氷上に静置した。次に、マイクロプレ
ートのウェルに培養液180μlを分注し、これに上記
で回収されたウイルス液20μlを加え、この操作を1
〜7回繰り返して段階的に希釈したウイルス液を調製
し、各濃度のウイルス液を供試細胞に接種し、37℃で
培養し、5日目に50%組織培養感染価10nTCID
50/mlを求めた。その結果を表1に示す。
【0021】実験例2 供試ウイルスとして、ヘルペスウイルスの中の単純ヘル
ペスウイルス(2型G株)を、供試細胞として、ベロ細
胞を用いた。試験試料としてα−ピネン、β−ピネン、
ファーニードル油、リナロール、テトラヒドロリナロー
ル、デヒドロリナロール、シトラール、1,8−シネオ
ール及びコントロールを用いた。この不活化実験の方法
は実験例1と同様に行い50%組織培養感染価10n
CID50/mlを求めた。その結果を表1に示す。
【0022】
【表1】 試験試料 ウイルス感染価(10nTCID50/mlのn値) 麻疹ウイルス 単純ヘルペスウイルス α−ピネン 2.5 2.5 β−ピネン <2.2 <2.2 ファーニードル油 3.0 <2.2 リナロール <2.2 <2.2 テトラヒドロリナロール <2.2 <2.2 デヒドロリナロール <2.2 <2.2 シトラール <2.2 <2.2 1,8−シネオール − <2.2 ゲラニオール 2.5 − シトロネロール 2.5 − オイゲノール 3.5 − サンダルウッド油 2.5 − コントロール(対照) 4.5 6.5
【0023】以上の結果から分かるように、麻疹ウイル
スではn値がコントロール4.5に対し、β−ピネン、
リナロール、テトラヒドロリナロール、デヒドロリナロ
ール、シトラールは、いずれも2.2未満であり、また
α−ピネン、ゲラニオール、シトロネロール及びサンダ
ルウッド油は2.5、ファーニードル油及びサンダルウ
ッド油は3.0であることから、これらはいずれも麻疹
ウイルスに対して良好な不活化作用を有している。また
単純ヘルペスウイルスでは、n値がコントロール6.5
に対してβ−ピネン、ファーニードル油、リナロール、
テトラヒドロリナロール、デヒドロリナロール、シトラ
ール、1,8−シネオールは、いずれも2.2未満であ
り、α−ピネンは2.5であることからいずれも単純ヘ
ルペスウイルスに対して良好の不活化作用を有してい
る。
【0024】実施例1 固体状不活化剤(含浸タイプ)
の調製 デヒドロリナロール2重量部及びジエチルフタレート9
8重量部を均質に混合したのち、この混合液30gを縦
5cm、横5cm、高さ2cmの大きさのフェルトに含浸さ
せ、固体状不活化剤(含浸タイプ)を調製した。
【0025】実施例2 固体状不活化剤(粒状タイプ)
の調製 デヒドロリナロール8重量部とジエチルフタレート16
重量部を均質に混合したのち、この中に粒状特殊ケイ酸
カルシウム76重量部を徐々に加えながらよく撹拌して
固体状不活化剤(粒状タイプ)を調製した。
【0026】実施例3 液体状不活化剤の調製 デヒドロリナロール1重量部、シトラール1重量部、香
料2重量部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ル4重量部を均質に混合したのち、これにエタノール4
0重量部を加え、混合撹拌し、次いで精製水52重量部
を徐々に混合し、均質になるように撹拌することによ
り、液体状不活化剤を調製した。
【0027】実施例4 ゲル状不活化剤の調製 ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油2重量部、塩化カリウ
ム3重量部及び精製水962重量部を混合し、湯浴で6
0℃まで加熱したのち、これにカッパカラギーナン10
重量部、イオタカラギーナン10重量部及びローカスト
ビーンガム3重量部をホモジナイザーで撹拌しながら少
しずつ加え、80℃まで昇温し、約30分間この温度で
撹拌を続けた。その後、60℃まで冷却したのち、これ
にデヒドロリナロール10重量部を加え、均質になるよ
うに撹拌することにより、ゲル状不活化剤を調製した。
【0028】
【発明の効果】本発明の有膜ウイルスに対する揮散性不
活化剤は、気化した有効成分が麻疹ウイルスなどの有膜
ウイルスを効果的に不活化するので、該ウイルスによる
疾患の予防に有用である。また、該有効成分はテルペン
系誘導体であるため、芳香を発するが、必要ならば香料
を配合することにより、好ましい匂い発散させるととも
に有膜ウイルスを不活化することができる。しかも本発
明の有膜ウイルスに対する揮散性不活化剤は適当な場所
に設置又は散布するだけでよく、使用が簡単であるなど
の特徴を有し、実用的価値が極めて高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 35/78 C 7180−4C

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ピネン類、シネオール類、 一般式 【化1】 (式中のR1及びR2はそれぞれ水素原子を示すか、又は
    一緒になって単結合を示し、R3は低級のアルキル基、
    アルケニル基又はアルキニル基を示す)で表される化合
    物、 一般式 【化2】 (式中のR4、R5、R6及びR7はそれぞれ水素原子を示
    すか、又はR4とR、R6とR7はそれぞれ一緒になっ
    て単結合を示す)で表される化合物、 一般式 【化3】 (式中のJ1及びJ3は、一方が水素原子であって、他方
    はJ2と一緒になって隣接する炭素原子間の単結合を示
    し、J4、J5及びJ6は水素原子又は隣接する炭素原子
    間の単結合を示す)で表される化合物、 一般式 【化4】 (J7は、水素又は炭素数4以下の低級アルキル基を示
    し、J8は、炭素数4以下の低級アルキル基を示し、J9
    は炭素数4以下の低級アルケニル基を示す)で表される
    化合物及びサンダルウッド油の中から選ばれた少なくと
    も1種を有効成分とする有膜ウイルスに対する揮散性不
    活化剤。
  2. 【請求項2】固体状の形態を有する請求項1記載の有膜
    ウイルスに対する揮散性不活化剤。
  3. 【請求項3】多孔性物質、繊維状物質又は昇華性物質を
    担体とする請求項2記載の有膜ウイルスに対する揮散性
    不活化剤。
  4. 【請求項4】液体状の形態を有する請求項1記載の有膜
    ウイルスに対する揮散性不活化剤。
  5. 【請求項5】エアゾール状の形態を有する請求項1記載
    の有膜ウイルスに対する揮散性不活化剤。
  6. 【請求項6】ゲル状の形態を有する請求項1記載の有膜
    ウイルスに対する揮散性不活化剤。
  7. 【請求項7】軟膏状の形態を有する請求項1記載の有膜
    ウイルスに対する揮散性不活化剤。
JP4262922A 1992-03-05 1992-09-04 有膜ウイルスに対する揮散性不活化剤 Pending JPH05306217A (ja)

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JP4-83329 1992-03-05

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