JPH0530235U - 擁壁及びそれに用いる鋼管−コンクリ−ト複合パイル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 強度、剛性が高く、施工が容易で経済性のよ
い擁壁を得る。 【構成】 地盤に孔を掘削しながらセメントミルクを注
入して形成したソイルセメント柱を連続させて、ソイル
セメント柱列壁１を形成し、その各ソイルセメント柱内
に、鋼管とこれを芯材としたコンクリート部とからなる
断面角形の鋼管−コンクリート複合パイル３を挿入して
一体化させる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、鋼管−コンクリート複合パイルの連設による擁壁及びそれに用いる 鋼管−コンクリート複合パイルに関するものである。

【０００２】

【従来の技術及び考案が解決しようとする課題】

従来、盛土や切土部においての崩壊を防ぐため土留め、或は護岸等において は、擁壁を設けることが行なわれている。擁壁には各種のものがあるが、背面土 圧が小さく壁高が低い場合以外は、鉄筋コンクリート擁壁が多く用いられてい る。

【０００３】 しかし、鉄筋コンクリート造による擁壁は、施工が大がかりで工期が長く、工 費がかさむことが難点であって、それを解決しようとする提案も多くなされてき たが、いずれも不十分といった状況である。

【０００４】 本考案は、上記の状況にかんがみ、鋼管とコンクリートとの複合パイルを使用 して、施工が容易で工期、工費が少なくてすむようにした擁壁及びそれに使用す る鋼管−コンクリート複合パイルを提供しようとするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するための本考案の構成について、実施例に対応する図面を 参照して説明すると、請求項１の擁壁は、多数のソイルセメント柱２，２が互に その外周部を重合して連続するソイルセメント柱列壁１が形成されており、その 各ソイルセメント柱２，２には、鋼管５とこれを芯材とする平断面の外形が角形 のコンクリート部６とよりなる鋼管−コンクリート複合パイルが３挿入されてい ることを特徴とするものである。

【０００６】 また、請求項２の鋼管−コンクリート複合パイルは、外側リブ４付の鋼管５と これを芯材としたコンクリート部６とよりなるパイルであって、コンクリート部 ６の平断面外形が概略四角形をなすとともに、一つの対向する２辺部は凹状円弧 面８ｂ，８ｃに形成され、その一方の凹状円弧面８ｂには凹条９ａが設けられ、 また、他方の凹状円弧面８ｃには凸条９ｂが設けられていることを特徴とするも のである。

【０００７】

【実施例】

図１は本考案擁壁の一実施例を示した平面図、図２は本考案の鋼管−コンクリ ート複合パイルの一実施例を示した平断面図、図３は同一部の縦断面図である。

【０００８】 図１において、２，２は、地盤に連設されたソイルセメント柱で、地盤の所定 深度までオーガスクリューで掘削しながらセメントミルクを注入し、掘削土壌と セメントミルクとの混合によって形成され、各ソイルセメント柱２，２は互に一 部が重なり合って連続したソイルセメント柱列壁１が形成される。

【０００９】 ３は各ソイルセメント柱２中に挿入された鋼管−コンクリート複合パイルで、 鋼管の外面に例えばスパイラル状の突起４を設けた、外面リブ付鋼管５（図３参 照）を芯材とし、それに、平断面の外形を角形としたコンクリート部６を一体的 に結合して形成されている。

【００１０】 上記の鋼管−コンクリート複合パイル３は、各ソイルセメント柱２を掘削、形 成する毎に挿入され柱列状に列設される。それにより、ソイルセメント柱２と鋼 管−コンクリート複合パイル３とがそれぞれに一体的に結合されるとともに、各 鋼管−コンクリート複合パイル３，３は互いにソイルセメントを介して一体的に 結合されたものとなる。なお、図１に示すように、擁壁が鉤型に屈曲する場合 は、その角度に位置するソイルセメント柱２に挿入の鋼管−コンクリート複合パ イル３’については、図示のように平断面円形のものを用いることができる。ま た、図中７は、擁壁の施工にあたって仮設するガイドウォールで、施工後は撤去 される。

【００１１】 図２、図３は、上記擁壁に使用される鋼管−コンクリート複合パイルを示した もので、さきの説明と重複するところもあるが、外面に例えばスパイラル状の突 起４を設けた外面リブ付鋼管５と、これを芯材として平断面の外形を概略四角形 としたコンクリート部６とが一体的に結合して形成されている。そして、コンク リート部６の平断面形の四隅部は、ソイルセメント柱２の外周に相似の円弧面 ８ａ，８ａに形成されているとともに、一つの対向する辺部は凹状の円弧面 ８ｂ，８ｃに形成され、その一方の凹形円弧面８ｂには凹条９ａが設けられ、他 方の凹形円弧面８ｃにはさらに凸条９ｂが設けられている。

【００１２】 上記鋼管−コンクリート複合パイル３は、ソイルセメント柱２への挿入にあた って、隣接のパイル３，３同志が、図２、図１に示すように、互に凹条９ａと凸 条９ｂとが向い合うようにしてなされる。したがって、ソイルセメント柱２と鋼 管−コンクリート複合パイル３とは、同パイル３の凹状円弧面８ｂ，８ｃと凹条 ９ａ，凸条９ｂによる複雑化した凹凸形状によって、強固に結合されるととも に、隣接パイル３，３同志も、凹条９ａと凸条９ｂとが対向することから、ソイ ルセメントを介して強固に連結されることになり、擁壁全体としての対抗力は一 層増大されることになる。

【００１３】 本考案の擁壁は、従来の擁壁におけると同様に広く通用できる。図４はその使 用例の一部を示したもので、いずれも擁壁は地盤中に深く根入れされる。図４の （イ）は宅地造成での土留壁10として、図４の（ロ）は地山の切土部の補強壁11 として構築した例である。それらは、住居地や道路に面して構築されるため、擁 壁の露出された部分には、その外側に化粧細工10を施すようにすれば、景観を損 ねるおそれがない。図４の（ハ）は水路や水槽の護岸壁12として構築した例であ る。そして、本考案の擁壁では、図示のように、上端に杭頭部梁13を設けるよう にすれば、一層の強度、剛性の増大と体裁の良化が図れることになる。

【００１４】

【考案の効果】 以上説明したように、本考案の擁壁は、ソイルセメント柱を多数連続して形成 したソイルセメント柱列壁の各ソイルセメント柱内へ平断面角形の鋼管−コンク リート複合パイルを挿入した構成のものであるから、既製のパイルをソイルセメ ント柱に挿入する、という簡単な方法で、経済的に擁壁を構築することができ る。しかも、パイルは鋼管とコンクリートとの複合パイルであるから強度、剛性 が大であるとともに、各パイルはその角形な形状によってソイルセメントとの結 合が良好であり、また、各パイル相互もソイルセメントを介して一体的な結合と なり、さらには、各パイルは地盤に深く根入れできるので、全体として強固な擁 壁が構築できることになる。

【００１５】 また、本考案の鋼管−コンクリート複合パイルは、鋼管とコンクリートとの一 体化されたパイルであるとともに、外形は概略四角形となっているので断面剛性 が大であることは勿論、凹状円弧面及び凹条、凸条が設けられていることによ り、ソイルセメント柱のソイルセメントとの結合力が高く、また、ソイルセメン トを介しての相互の物理的な連結力が大となる等、多くの利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案擁壁の一実施例を示す平面図である。

【図２】本考案鋼管−コンクリート複合パイルの一実施
例を示す平断面図である。

【図３】図２のＡ−Ａ断面図である。

【図４】(イ),(ロ),(ハ) はそれぞれ本考案擁壁の適用例を
示したものである。

【符号の説明】

１ ソイルセメント柱列壁 ２ ソイルセメント柱 ３ 鋼管−コンクリート複合パイル ４ 突起 ５ 鋼管 ６ コンクリート部 ８ｂ，８ｃ 凹状円弧面 ９ａ 凹条 ９ｂ 凸条

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 多数のソイルセメント柱が互にその外周
   部を重合して連続するソイルセメント柱列壁が形成され
   ており、その各ソイルセメント柱には、鋼管とこれを芯
   材とする平断面の外形が角形のコンクリート部とよりな
   る鋼管−コンクリート複合パイルが挿入されていること
   を特徴とする、擁壁。
2. 【請求項２】 外側リブ付の鋼管とこれを芯材としたコ
   ンクリート部とよりなるパイルであって、コンクリート
   部の平断面外形が概略四角形をなすとともに、一つの対
   向する２辺部は凹状円弧面に形成され、その一方の凹状
   円弧面には凹条が設けられ、また、他方の凹状円弧面に
   は凸条が設けられていることを特徴とする、鋼管−コン
   クリート複合パイル。