JPH05302167A - 反応性直流スパッタリングによる薄膜の製造方法 - Google Patents

反応性直流スパッタリングによる薄膜の製造方法

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JPH05302167A
JPH05302167A JP4107934A JP10793492A JPH05302167A JP H05302167 A JPH05302167 A JP H05302167A JP 4107934 A JP4107934 A JP 4107934A JP 10793492 A JP10793492 A JP 10793492A JP H05302167 A JPH05302167 A JP H05302167A
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彰 石川
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喜好 中瀬
Katsuyuki Hatanaka
克之 畑中
Hiroshi Inaba
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Abstract

(57)【要約】 【構成】反応性ガスと不活性ガスの混合ガスを導入して
行う反応性直流スパッタリングにおいて、スパッタ放電
電圧が常に、入力可能な最大値またはそれに近い値にな
るようにし、しかも短時間周期で必ず、その時点での入
力可能な最大値になるように制御して成膜する反応性直
流スパッタリングによる薄膜の製造方法。 【効果】メタルターゲット表面の反応膜の成長による成
膜レートの低下と放電異常の増大を防ぐことができ、一
定の高速成膜レートを最高に保持し、しかも放電を安定
化できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、反応性直流スパッタリ
ングによる薄膜、ことに酸化物薄膜の製造方法に係り、
特に常に最高のスパッタ力を安定して発揮するようにす
る反応性直流スパッタリングによる薄膜の製造方法に関
する。
【0002】
【従来技術】従来、反応性直流スパッタリングにより薄
膜を製造する場合、例えば反応性ガスとして酸素ガス、
また不活性ガスとしてアルゴンガスを導入して金属製タ
ーゲットのスパッタリングを定電力制御または定電流制
御により行っている。
【0003】例えば、特開昭64ー79369 号公報にはスパ
ッタ成膜方法及び成膜装置が記載されており、リアクテ
イブスパッタ成膜において、電力制御器を用いて可変電
圧電源からターゲットに供給されるスパッタ電力を、基
板に膜が堆積されるにつれて、成膜開始から略指数関数
的に増加させるように制御してなることが開示されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】前述したような、従
来の反応性直流スパッタリングによる薄膜、ことに酸化
物薄膜の形成手段では、スパッタ中に反応性ガスがメタ
ルターゲット表面と反応してターゲット表面に反応膜が
形成され、該反応膜の成長とともに成膜レートが減少
し、また放電が不安定になるものである。
【0005】例えば、特開昭64ー79369 号公報に記載の
方法では、ターゲットに印加後、ターゲットの表面温度
が時間経過とともに指数関数的に上昇することとなり、
その表面温度の高低によってターゲット表面の酸化層の
酸素濃度が濃淡と変化し、ターゲットのスパッタレート
も高低となり、これにつれて基板上に被膜された膜の厚
み方向における組成比の変化を、スパッタ電力を増加さ
せることによって解消しようとするものであって、ター
ゲットのスパッタレートが高くなり、基板へのターゲッ
ト材料の堆積速度が大きくなるということが開示されて
いるものの、必ずしも放電を安定化できて、一定して常
時最高のスパッタ力で最高のスパッタレートに保持して
成膜することができるような方法とは言い難いものであ
る。
【0006】
【問題点を解決するための手段】本発明はこのような問
題点に鑑みてなしたものであり、スパッタ放電電圧を常
に、入力可能な最大値またはそれに近い値になるように
し、しかも短時間周期で必ず、その時点での入力可能な
最大値になるように制御して成膜すれば、メタルターゲ
ット表面の反応膜成長による成膜レートの低下ならびに
放電異常の増大を防止ができ、最高速度でかつ最高成膜
レートを一定に保持し、放電状態を安定化できることと
なる、有用な反応性直流スパッタリングによる薄膜の製
造方法を提供するものである。
【0007】すなわち、本発明は、反応性ガスと不活性
ガスの混合ガスを導入して行う反応性直流スパッタリン
グにおいて、スパッタ放電電圧が常に、入力可能な最大
値またはそれに近い値になるようにし、しかも短時間周
期で必ず、その時点での入力可能な最大値になるように
制御して成膜することを特徴とする反応性直流スパッタ
リングによる薄膜の製造方法。ならびに前記反応性ガス
が、酸素ガスであることを特徴とする上述した反応性直
流スパッタリングによる薄膜の製造方法。また前記不活
性ガスがアルゴンガスであることを特徴とする上述した
反応性直流スパッタリングによる薄膜の製造方法を提供
するものである。
【0008】
【作用】前述したとおり、本発明の反応性直流スパッタ
リングによる薄膜の製造方法は、スパッタ中にメタルタ
ーゲット表面に反応膜が形成されるとともにスパッタ放
電電圧の入力可能な最大値が変動し、これに付随して成
膜レートが変動すること、ならびにスパッタ放電電圧の
入力可能な最大値は基板上の反応膜形成の最高成膜レー
トに対応していること等から、スパッタ放電電圧が常
に、入力可能な最大値またはそれに近い値になるように
し、しかも短時間周期で必ず、その時点での入力可能な
最大値になるように制御して成膜することとしたことに
より、基板上への反応膜形成の最高成膜レートまたはそ
れに極めて近い成膜レートを維持することができ、しか
も該成膜レートの領域では放電が安定していることとな
る。
【0009】また例えば、スパッタ放電電圧の操作用入
力を増大して入力可能な最大値にすると基板上への反応
膜形成の最高成膜レートが得られるが、該最大値はスパ
ッタ中に変動するので随時、操作入力を調整してその時
間における入力可能な最大値に維持する必要があり、こ
のことは実際には、正確に最大値を維持することはほぼ
でき難いことであって、最大値またはそれに近い値に維
持することとなる。
【0010】この際に問題となるのは、最大値に達しな
い電圧値を維持し続けると成膜レートが低下していくこ
ととなり、操作入力を増大して電圧が最大値に達した
後、さらに入力を増大すると逆に電圧値は減少し始め、
短時間後に大きく減少してメタルが成膜されてしまうこ
ととなる。すなわち例えば、図1で示すように、図はス
パッタ放電電圧の操作入力を増大して入力可能な最大値
に達した後、さらに操作入力を増大した時に放電電圧が
大きく減少してメタル成膜となった場合のスパッタ放電
電圧およびスパッタ放電電流の時間変化の様子を示す概
略データ図であって、wターゲットを用い、酸素/アル
ゴン雰囲気中で成膜電力を任意に上げて行った際におけ
る、成膜電圧と成膜電流の変化を示し、実線は成膜電圧
であって、電力上昇後約90秒で、成膜電力3.8kw のと
き、成膜電圧が約660Vから急に低下し、一方破線で示す
成膜電流は、電力上昇後約90秒後、成膜電流が約5.8 A
から急激に上昇しメタル成膜となってしまうものであ
り、メタル成膜になると成膜電圧が降下し、成膜電流は
上昇することとなる。
【0011】これらを解決するには、まず電圧が最大値
に達するまで充分に操作入力を増大し、電圧が減少し始
めたところで即座に操作入力を低減してメタル成膜とな
るのを防ぎ、その後、再び電圧が最大値に達するまで充
分に操作入力を増大し、電圧が減少し始めたところで操
作入力を即座に低減するというプロセスを繰り返し、該
際に、放電電圧の変動ができるだけ小さくなるように操
作入力を制御した方が成膜レートの変動が小さくなって
好ましいことは言うまでもない。
【0012】ことに例えば、上述した操作入力の制御を
手動で行う場合、メタル成膜になるのを防ぐために行う
操作入力低減のタイミングにバラツキが発生し、放電電
圧の変動が大きくなり、膜厚のバラツキが大きくなる。
特に、異常放電が多発する際には、手動による操作入力
の制御は困難であり、膜厚のバラツキがさらに増大する
こととなる。よって、操作入力の制御はシーケンサーあ
るいはコンピューターによる自動制御で行うとよいこと
はもちろんである。
【0013】
【実施例】以下、図面を用いて本発明の一実施例により
具体的に説明する。ただし本発明は係る実施例に限定さ
れるものではない。
【0014】図2は、本発明に係る反応性直流スパッタ
リングによる薄膜の製造方法の一実施例における高速成
膜制御装置(自動制御装置)のブロック図である。該高
速成膜制御装置については、主にスパッタ電源コントロ
ーラーとシーケンサーから構成され、その信号がスパッ
タ電源に伝えられ、スパッタ電源からスパッタ装置に電
力が供給される。
【0015】成膜方法(電力制御による例)のうち、先
ず、成膜電力信号の入力について、アナログ入力部で
は、フィードバック信号の成膜電力として、スパッタ電
源コントローラーの成膜電圧(スパッタ放電電圧)およ
び成膜電流(スパッタ放電電流)を検出器から取り込
み、デジタル信号に変換する。
【0016】デジタル入力部では、ロータリースイッチ
などから成膜電圧または成膜電力の昇降パターンのパラ
メーター等の制御信号を、また装置を起動、停止させる
成膜のスタート信号、ストップ信号を取り込む。
【0017】そしてアナログ入力部とデジタル入力部の
取り込んだ入力を、演算部でプログラムより演算し、ア
ナログ出力部でアナログ出力に変換して成膜電圧または
成膜電力制御信号(0〜5V の電圧信号;自動)を出力
する。該成膜電力信号に基づいて、スパッタ電源コント
ローラーはスパッタ電源に制御信号を送り、スパッタ電
源がスパッタ装置に出力する。
【0018】なお、デジタル出力部では入力パラメータ
ーを表示し、運転モード切替部では成膜制御の手動、自
動運転モードを切り替える。図3は、本発明に係る反応
性直流スパッタリングによる薄膜の製造方法の一実施例
における、高速成膜制御装置での成膜電力の昇降制御パ
ターンを示す説明図である。
【0019】上記した説明図のように、成膜電力昇降の
制御については、成膜電力を△w1で急速に上昇させ、
その後△w2でゆっくりと上昇させ、ついで最高電圧に
達し、電圧が減少し始った直後にメタル成膜にならない
ように、△w3で成膜電力を一気にある設定した値に降
下させ、つぎに△w4で最高電圧になるまで成膜電力を
上昇させ、さらに成膜に必要な時間、△w3と△w4の
パターンを繰り返し、成膜終了時点で成膜電力をオフに
する。
【0020】なお、該昇降パターンで成膜するために
は、最高電圧に達して電圧が降下し始まるタイミングを
検出し、また異常放電を無視することが必要である。次
に、最高電圧から電圧を降下させるタイミングの検出方
法については、成膜電力の操作入力を増大させすぎると
メタルが成膜されるので、これを避けるために、最高電
圧に達して電圧が降下し始めると操作入力を低減させる
必要があり、最高電圧から電圧降下(この時には、電流
値は上昇する)のタイミングを検出する必要がある。
【0021】すなわち、成膜時に定電力で制御していて
も、例えば成膜電圧が上がると成膜電流は減少し、逆に
成膜電圧が降下すると成膜電流は上がるように、成膜電
圧と成膜電流とは絶えず変化しており、成膜電力を上げ
ている際の成膜電圧(成膜電流)の変化、すなわち図4
に示すように、成膜電流または成膜電圧の上昇時のミク
ロ的に見た信号パターンとサンプリング点(●印)で、
成膜電圧および成膜電流をサンプリング周期毎に取り込
む(連続的取り込みでは信号のミクロな昇降が含まれて
しまう)、つぎに、あるサンプリング時の成膜電圧値
と、直前のサンプリング時の成膜電圧値とを比較して電
圧の変化量を検出する。同様に、成膜電流の場合も電流
の変化量を検出し、さらに成膜電圧が降下し、成膜電流
が上昇した場合を最高電圧から電圧降下のタイミングと
して検出する。ことに成膜電流も同時に検出するのは、
異常放電の場合と区別するためである。
【0022】また例えば、成膜電圧の変動の幅が大きい
と、成膜電圧が全体としては上がっていても、サンプリ
ングの仕方によっては、下がっていると判断し誤検出を
するので、この対策として、成膜電圧と成膜電流の信号
線に各々コンデンサー(例えば各々0.1 μF程度)を入
れるか、あるいはサンプリングを1個ではなく、数個の
平均とするソフトを用いるとよい。
【0023】なお、前記サンプリングによる取り込みが
必要な理由としては、成膜電圧または成膜電流の上昇時
のパターンをミクロ的に見ると、上昇、下降を繰り返し
ながら全体的に上昇して行くので、連続的にデータを取
り込むと、最高電圧に達していないのに、電圧が降下す
る部分があり、これを最高電圧から電圧降下が降下する
と誤認識してしまう。これを防ぐために信号の上昇部分
でサンプリングしたデータを取り込むのである。
【0024】さらにまた、異常放電を無視する方法とし
ては、スパッタリング中に異常放電が発生するとスパッ
タ電源の保護回路が働いて瞬時的に電力を切るので、成
膜電圧および成膜電流がともに降下する。なお、異常放
電が頻繁に発生すると、最高電圧から電圧降下する場合
と区別がつかないので、手動では成膜制御をすることが
できないものである。
【0025】前記スパッタ電源の保護回路により成膜電
力を切る時間は、成膜電圧と成膜電流を取り込む周期よ
り短いため、成膜電圧と成膜電流を取り込んで比較する
だけでは、最高電圧から電圧降下する場合と異常放電の
場合の区別ができないので誤認識することがある。成膜
電圧と成膜電流の取り込むタイミングが違う場合例え
ば、成膜電圧は異常放電の立ち上がり部分をとり、成膜
電流は異常放電を検出しなかった場合、すなわち図5で
示すように、保護回路の影響による制御装置での誤認識
の一例の電圧図において成膜電圧のサンプリング点(●
印)としてA点を検出し、次に異常放電が発生した時の
B点をサンプリング点(●印)として検出すると、成膜
電圧は降下したと判断し、図6で示すように、保護回路
の影響による制御装置での誤認識の一例の電流図におい
て成膜電流のサンプリング点としてC点(●印)を検出
し、次いで異常放電が終了した後のサンプリング点とし
てD点(●印)を検出すると成膜電流は上昇したと判断
することとなり、成膜電圧が降下し、かつ成膜電流が上
昇したものとしてメタル成膜として検出してしまうよう
な矛盾を生じる。
【0026】そこで、前述した誤認識を防ぐため、先ず
最高電圧からの電圧降下時の電圧降下と異常放電時の電
圧降下の違いを示すための、メタル成膜に達し始めた際
の電圧図である図7に示すような最高電圧から電圧が降
下してくる時の電圧降下と、異常放電した際の電圧図で
ある図8に示すような異常放電による電圧降下を区別す
るために電圧値を設定し、各サンプリング(●印はサン
プリング点)間で降下した電圧値が設定値以下の場合は
最高電圧から電圧が降下してくる時の電圧降下とし、設
定値を超える場合には異常放電による電圧降下と判断す
るようにする。また次に最高電圧からの電圧降下時の電
流上昇と異常放電時の電流上昇の違いを示すための、メ
タル成膜に達し始めた時の電流図である図9に示すよう
な最高電圧からの電圧降下時の電流上昇と異常放電時の
電流上昇の違いを示すための、異常放電した際の電流図
である図10に示すような異常放電による電流上昇を区別
するために電流値を設定し、各サンプリング(●印はサ
ンプリング点)間に上昇した電流値が設定値以下の場合
は最高電圧からの電圧降下する時の電流上昇とし、設定
値を超える場合には異常放電による電流上昇と判断する
ようにすることとした。
【0027】実施例1 インライン式(毎葉式)連続成膜装置において、基板と
して大きさ450mm x450 mm、厚さ3mmのクリアーガラス
(Fl3)を用い、中性洗剤、水すすぎ、イソプロピルア
ルコールで順次洗浄し、乾燥した後、前記マグネトロン
スパッタリング装置の真空槽内にセットしてあるwター
ゲットに対向して上方を往復できるようセットする。つ
ぎに前記槽内を真空ポンプで約5x10-6Torr以下までに
脱気した後、該真空槽内に、O2ガス(但し、ターゲット
表面側吐出口からのO2ガス流量と基板表面側吐出口から
のO2ガス流量の比は1:17とする)を導入して圧力を約
5.0 x10-3Torrとし、さらにArガスを導入し、全圧力を
約2.0 x10-2Torrになるように真空度を保持する。また
前記wターゲットに印加する電力を図3に示すような成
膜電力の昇降パターンとし、前述した図1に示す現象か
ら、例えば別途予備スパッタテスト等で該wターゲット
のメタル検出電圧を把握しておく。次いで本スパッタに
おいては、最初△w1=約50w /秒で成膜電力を上昇
し、前記メタル検出電力の80%で成膜電力の上げ速度を
△w2=約30w/秒に減速し、メタル成膜直前まで成
膜電力を上げ続け、成膜電圧が下がり、成膜電流が上が
る現象が発現してメタル成膜の直前と判断すれば、△w
3=約7kw/秒で約700w成膜電力を下げ、その後直
ちに△w4=約150w /秒で成膜電力を上げ、前記メ
タル成膜の直前となったと判断すれば、再度約7kw/
秒で約700w 成膜電力を下げ、その後直ちに約150
w /秒で成膜電力を上げる操作、△w3と△w4を繰り
返し、パターン化されたように行った。
【0028】この間で基板ガラスを流し、成膜電圧と成
膜電流の変化状況の実チャートを図11に示す。前述した
高速成膜制御装置により、成膜電力を1分間に12〜13回
程度メタル成膜直前まで上げては下げる繰り返し制御を
行った。スパッタ放電電圧が常に、入力可能な最大値ま
たはそれに近い値になるようにし、しかも短時間周期で
必ず、その時点での入力可能な最大値になるように制御
することとしたものであり、約5分の成膜時間で成膜を
行い、WO3 薄膜を得た。
【0029】なお、例えば成膜電力の変化幅が大きくな
りすぎると、基板ガラスに成膜されたWO3 薄膜の膜厚が
減少するばかりでなく進行方向にも膜厚のバラツキが発
生する。逆に変化幅を小さく例えば下げ幅あるいは下げ
速度を小さくするとメタル成膜になり易くなる。また上
げ速度を大きくしてもメタル成膜となり易くなる。
【0030】得られたWO3 薄膜を、基板の流れ方向に垂
直な基板ガラスの辺のうち、流れ方向の前側の辺を辺H
1とし、流れ方向に平行な基板ガラスの辺を辺H2とし
て、膜厚および可視光透過率をそれぞれ測定し、その結
果は下記のようになった。
【0031】 (1) 測定位置a( 辺H1から11cm 、辺H2から22.5cm) 膜厚:104nm 、可視光透過率 :81% (2) 測定位置b( 辺H1から23cm 、辺H2から22.5cm) 膜厚:108nm 、可視光透過率 :82% (3) 測定位置c( 辺H1から34cm 、辺H2から22.5cm) 膜厚:106nm 、可視光透過率 :82%実施例2 前記実施例1と例えば、ベース圧力(背圧)、スパッタ
全圧および成膜時間等は同一とし、Taターゲットに印加
する電力である成膜電力の昇降を図3のように行う。つ
まり先ず前述した図1に示す現象から、例えば別途予備
スパッタテスト等で該Taターゲットのメタル検出電圧を
把握しておく。次いで本スパッタにおいては、最初△w
1=約100w /秒で成膜電力を上昇し、前記メタル検
出電力の70%で成膜電力の上げ速度を△w2=約50w
/秒に減速し、メタル成膜直前まで成膜電力を上げ続
け、成膜電圧が降下し、成膜電流が上がる現象が発現し
てメタル成膜の直前と判断すれば、△w3=約28kw
/秒で約2.8kw成膜電力を下げ、その後直ちに△w4
=約500w /秒で成膜電力を上げ、前記メタル成膜の
直前となったと判断すれば、再度約28kw /秒で約
2.8kw成膜電力を下げ、その後直ちに約500w /秒
で成膜電力を上げる操作、△w3と△w4を繰り返し、
パターン化されたように行った。
【0032】この間で基板ガラスを流し、前述した高速
成膜制御装置により、実施例1と同様に制御することと
したものであり、約10分の成膜時間で成膜を行い、Ta2O
5 薄膜を得た。
【0033】得られたTa2O5 薄膜を、実施例1と同様
に、膜厚および可視光透過率をそれぞれ測定し、その結
果、下記のようになった。 (1) 測定位置a;膜厚:1870nm 、可視光透過率 :84% (2) 測定位置b;膜厚:1880nm 、可視光透過率 :83% (3) 測定位置c;膜厚:1860nm 、可視光透過率 :84%比較例1 前記実施例1と例えば、ベース圧力(背圧)、スパッタ
全圧および成膜時間等は同一とし、入力パワー(定電力
モード)はスパッタ放電電圧がスパッタ開始時における
入力可能な最大値(約640V)になるように設定し固定し
て行い成膜し、WO3 薄膜を得た。
【0034】得られたWO3 薄膜を、実施例1と同様にし
て、膜厚および可視光透過率を測定した結果、下記のよ
うになった。 (1) 測定位置a; 膜厚: 89nm 、可視光透過率 :73
% (2) 測定位置b; 膜厚: 81nm 、可視光透過率 :73
% (3) 測定位置c; 膜厚: 74nm 、可視光透過率 :71
% なお本発明に用いる基板としては、無機質はもちろん有
機質でも各種透明ガラスが好ましく、無色あるいは着色
等でもよく、またさらに本発明の反応性直流スパッタリ
ングによる薄膜の製造方法で得られた膜付き板ガラスは
単板で使用できることはもとより、複層ガラスあるいは
合せガラス、強化ガラス等各種板ガラス製品として使用
できることは言うまでもない。
【0035】
【発明の効果】以上前述したように、本発明によれば、
反応性ガスと不活性ガスの混合ガスを導入して行う反応
性直流スパッタリングにおいて、スパッタ放電電圧が常
に、入力可能な最大値またはそれに近い値になるように
し、しかも短時間周期で必ず、その時点での入力可能な
最大値になるように制御して成膜することとしたので、
メタルターゲット表面の反応膜の成長による成膜レート
の低下と放電異常の増大を防ぐことができ得ることとな
って、一定の高速成膜レートを最高に保持し、しかも放
電を安定化できることとなる、有用な反応性直流スパッ
タリングによる薄膜の製造方法を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】スパッタ放電電圧の操作入力を増大して入力可
能な最大値に達した後、さらに操作入力を増大した時に
放電電圧が大きく減少してメタル成膜となった場合のス
パッタ放電電圧およびスパッタ放電電流の時間変化の様
子を示す概略データ図である。
【図2】本発明に係る反応性直流スパッタリングによる
薄膜の製造方法の一実施例における高速成膜制御装置
(自動制御装置)のブロック図である。
【図3】本発明に係る反応性直流スパッタリングによる
薄膜の製造方法の一実施例における高速成膜制御装置で
の成膜電力の昇降制御パターンを示す説明図である。
【図4】本発明に係る反応性直流スパッタリングによる
薄膜の製造方法の一実施例における、成膜電流または成
膜電圧の上昇時のミクロ的に見た信号パターンとサンプ
リング点を示す図である。
【図5】本発明に係る反応性直流スパッタリングによる
薄膜の製造方法の一実施例における、保護回路の影響に
よる制御装置での誤認識の一例を示すための電圧図であ
る。
【図6】本発明に係る反応性直流スパッタリングによる
薄膜の製造方法の一実施例における、保護回路の影響に
よる制御装置での誤認識の一例を示すための電流図であ
る。
【図7】本発明に係る反応性直流スパッタリングによる
薄膜の製造方法の一実施例における、最高電圧からの電
圧降下時の電圧降下と異常放電時の電圧降下の違いを示
すための、メタル成膜に達し始めた際の電圧図である。
【図8】本発明に係る反応性直流スパッタリングによる
薄膜の製造方法の一実施例における、最高電圧からの電
圧降下時の電圧降下と異常放電時の電圧降下の違いを示
すための、異常放電した際の電圧図である。
【図9】本発明に係る反応性直流スパッタリングによる
薄膜の製造方法の一実施例における、最高電圧からの電
圧降下時の電流上昇と異常放電時の電流上昇の違いを示
すための、メタル成膜に達し始めた際の電流図である。
【図10】本発明に係る反応性直流スパッタリングによる
薄膜の製造方法の一実施例における、最高電圧からの電
圧降下時の電流上昇と異常放電時の電流上昇の違いを示
すための、異常放電した際の電流図である。
【図11】本発明に係る反応性直流スパッタリングによる
薄膜の製造方法の一実施例における高速成膜制御装置に
よるスパッタ放電電圧およびスパッタ放電電流の時間変
化の状態を示す実チャートである。
【手続補正書】
【提出日】平成4年9月30日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正内容】
【0033】得られたTa2O5 薄膜を、実施例1と同様
に、膜厚および可視光透過率をそれぞれ測定し、その結
果、下記のようになった。 (1) 測定位置a;膜厚:187nm 、可視光透過率 :84% (2) 測定位置b;膜厚:188nm 、可視光透過率 :83% (3) 測定位置c;膜厚:186nm 、可視光透過率 :84%比較例1 前記実施例1と例えば、ベース圧力(背圧)、スパッタ
全圧および成膜時間等は同一とし、入力パワー(定電力
モード)はスパッタ放電電圧がスパッタ開始時における
入力可能な最大値(約640V)になるように設定し固定し
て行い成膜し、WO3 薄膜を得た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斉藤 忠彦 東京都品川区西大井1丁目6ー3 株式会 社ニコン大井製作所内 (72)発明者 中瀬 喜好 三重県多気郡明和町有爾中92ー1 (72)発明者 畑中 克之 三重県津市片田田中町1876 (72)発明者 稲葉 博司 三重県松阪市光町10ー12

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】反応性ガスと不活性ガスの混合ガスを導入
    して行う反応性直流スパッタリングにおいて、スパッタ
    放電電圧が常に、入力可能な最大値またはそれに近い値
    になるようにし、しかも短時間周期で必ず、その時点で
    の入力可能な最大値になるように制御して成膜すること
    を特徴とする反応性直流スパッタリングによる薄膜の製
    造方法。
  2. 【請求項2】前記反応性ガスが、酸素ガスであることを
    特徴とする請求項1記載の反応性直流スパッタリングに
    よる薄膜の製造方法。
  3. 【請求項3】前記不活性ガスがアルゴンガスであること
    を特徴とする請求項1記載の反応性直流スパッタリング
    による薄膜の製造方法。
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DE69303853T DE69303853T2 (de) 1992-04-27 1993-04-23 Verfahren zur Bildung einer Dünnschicht auf einem Substrat mittels reaktiven Gleichstrom-Sputtern
US08/391,305 US5607559A (en) 1992-04-27 1995-02-21 Method of forming thin film on substrate by reactive DC sputtering

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08510504A (ja) * 1993-04-02 1996-11-05 アドバンスド エナージィ インダストリーズ,インコーポレイテッド 増強された反応性直流スパッタリング装置

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