JPH05301884A - 白金錯化合物の製造方法 - Google Patents
白金錯化合物の製造方法Info
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- JPH05301884A JPH05301884A JP12966792A JP12966792A JPH05301884A JP H05301884 A JPH05301884 A JP H05301884A JP 12966792 A JP12966792 A JP 12966792A JP 12966792 A JP12966792 A JP 12966792A JP H05301884 A JPH05301884 A JP H05301884A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 制ガン剤の原薬等として有用な白金錯化合物
を従来法で製造すると不純物イオンの混入が不可避であ
るか、非常に手間の掛かる操作により不純物イオンの除
去を行わなければならない。本発明は簡単な方法により
不純物イオン混入を回避しつつ前記白金錯化合物を製造
する方法を提供することを目的とする。 【構成】 (化8)の化合物を脱ハロゲン化し逆浸透膜
により処理して不純物イオンを除去した後、有機二塩基
酸と反応させて(化1)の目的白金錯化合物を得る。又
中間体溶液の濃度を高くして反応効率を向上させること
が望ましいが、その際には溶媒である水のみを透過させ
る逆浸透膜で処理すると加熱することなく溶液の濃縮を
行うことができる。 【化1】 【化8】
を従来法で製造すると不純物イオンの混入が不可避であ
るか、非常に手間の掛かる操作により不純物イオンの除
去を行わなければならない。本発明は簡単な方法により
不純物イオン混入を回避しつつ前記白金錯化合物を製造
する方法を提供することを目的とする。 【構成】 (化8)の化合物を脱ハロゲン化し逆浸透膜
により処理して不純物イオンを除去した後、有機二塩基
酸と反応させて(化1)の目的白金錯化合物を得る。又
中間体溶液の濃度を高くして反応効率を向上させること
が望ましいが、その際には溶媒である水のみを透過させ
る逆浸透膜で処理すると加熱することなく溶液の濃縮を
行うことができる。 【化1】 【化8】
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高純度の白金錯化合物
の製造方法に関し、より詳細には制ガン剤の原薬として
有用な白金錯化合物を不純物イオンを含有しない高純度
試薬として製造するための方法に関する。
の製造方法に関し、より詳細には制ガン剤の原薬として
有用な白金錯化合物を不純物イオンを含有しない高純度
試薬として製造するための方法に関する。
【0002】
【従来技術及び問題点】従来から一般式(化1)及び
(化8)で示される白金錯化合物は制ガン剤として公知
であり、一般式(化1)の化合物は、ハロゲン化白金酸
カリウム〔K2 Pt(II)X4 (Xは塩素、臭素又は
ヨウ素)〕と1,2−シクロヘキサンジアミンとを反応
させて一般式(化8)の化合物を生成させ、該化合物の
水溶液に2倍モル当量の硝酸銀溶液を加えて(化8)中
の塩素、臭素又はヨウ素を、それぞれ塩化銀、臭化銀及
びヨウ化銀として沈澱させ濾別した後、その濾液に有機
二塩基酸を加えて環化することにより得られている。と
ころがこの方法で製造される(化1)には不純物として
カリウムイオン、銀イオン、硝酸イオン、ハロゲンイオ
ン等が含まれることが多く、特に(化1)の化合物を制
ガン剤の原薬として使用する場合には不純物の混入は極
力避けなければならない。
(化8)で示される白金錯化合物は制ガン剤として公知
であり、一般式(化1)の化合物は、ハロゲン化白金酸
カリウム〔K2 Pt(II)X4 (Xは塩素、臭素又は
ヨウ素)〕と1,2−シクロヘキサンジアミンとを反応
させて一般式(化8)の化合物を生成させ、該化合物の
水溶液に2倍モル当量の硝酸銀溶液を加えて(化8)中
の塩素、臭素又はヨウ素を、それぞれ塩化銀、臭化銀及
びヨウ化銀として沈澱させ濾別した後、その濾液に有機
二塩基酸を加えて環化することにより得られている。と
ころがこの方法で製造される(化1)には不純物として
カリウムイオン、銀イオン、硝酸イオン、ハロゲンイオ
ン等が含まれることが多く、特に(化1)の化合物を制
ガン剤の原薬として使用する場合には不純物の混入は極
力避けなければならない。
【0003】前記不純物の混入は(化8)の化合物の溶
解度が低いことに起因する。該化合物と硝酸銀の反応を
十分に行わせるためには大量の水を使用して前記化合物
を完全に溶解させた状態で硝酸銀と反応させる必要があ
るが、反応終了後には大量の水が存在するため生成する
ハロゲン化銀が溶解し、該ハロゲン銀等の不純物の除去
を完全に行うことが難しくなるのである。又(化1)の
化合物の脱ハロゲン化により得られる一般式(化9)の
化合物に前述の有機二塩基酸を添加して目的とする(化
1)の白金錯化合物を得ているが、前記(化8)の化合
物と有機二塩基酸との反応は大量の水の存在下ではつま
り両化合物の濃度が低い状態では十分に進行しない。従
って従来法では(化9)の化合物の水溶液を減圧下で加
熱濃縮してからハロゲン化銀を除去し、次いで有機二塩
基酸と反応させて目的とする(化1)の化合物を得るよ
うにしている。
解度が低いことに起因する。該化合物と硝酸銀の反応を
十分に行わせるためには大量の水を使用して前記化合物
を完全に溶解させた状態で硝酸銀と反応させる必要があ
るが、反応終了後には大量の水が存在するため生成する
ハロゲン化銀が溶解し、該ハロゲン銀等の不純物の除去
を完全に行うことが難しくなるのである。又(化1)の
化合物の脱ハロゲン化により得られる一般式(化9)の
化合物に前述の有機二塩基酸を添加して目的とする(化
1)の白金錯化合物を得ているが、前記(化8)の化合
物と有機二塩基酸との反応は大量の水の存在下ではつま
り両化合物の濃度が低い状態では十分に進行しない。従
って従来法では(化9)の化合物の水溶液を減圧下で加
熱濃縮してからハロゲン化銀を除去し、次いで有機二塩
基酸と反応させて目的とする(化1)の化合物を得るよ
うにしている。
【0004】
【化9】 しかしながら(化9)の化合物は大気中242 ℃で爆発的
に発熱分解反応を起こすため取扱いに非常な注意を要
し、大事故に繋がる恐れがある。白金錯化合物の製造の
際に生ずる前記不純物を除去する手段としてイオン交換
樹脂を使用する方法が提案されている(特開平3−9519
6 号)。しかしこの方法を大量の水を使用する従来法に
適用しても、不純物イオンが微細なイオン交換樹脂に接
触しなければ除去されないため、大量の白金錯化合物水
溶液をイオン交換樹脂で処理するために非常な手間と莫
大な費用を要し、効率的に不純物除去を行うことができ
ないという欠点を有している。
に発熱分解反応を起こすため取扱いに非常な注意を要
し、大事故に繋がる恐れがある。白金錯化合物の製造の
際に生ずる前記不純物を除去する手段としてイオン交換
樹脂を使用する方法が提案されている(特開平3−9519
6 号)。しかしこの方法を大量の水を使用する従来法に
適用しても、不純物イオンが微細なイオン交換樹脂に接
触しなければ除去されないため、大量の白金錯化合物水
溶液をイオン交換樹脂で処理するために非常な手間と莫
大な費用を要し、効率的に不純物除去を行うことができ
ないという欠点を有している。
【0005】
【発明の目的】本発明は従来技術の上記問題点に鑑み、
比較的簡単な操作により不純物を殆ど含まない白金錯化
合物を製造できる方法を提供することを目的とする。
比較的簡単な操作により不純物を殆ど含まない白金錯化
合物を製造できる方法を提供することを目的とする。
【0006】
【問題点を解決するための手段】本発明は、一般式(化
1)で示される1,2−シクロヘキサンジアミン異性体
のシス白金(II)錯体の製造方法において、一般式
(化8)で示される1,2−シクロヘキサンジアミン異
性体のシス白金(II)錯体ジハロゲン化合物溶液に脱
ハロゲン化剤を添加し、生成する固体のハロゲン化合物
を除去し、該ハロゲン化合物が除去された前記溶液を逆
浸透膜を通過させ、該溶液中に含有される低分子量の不
純物イオンを除去し、該溶液に有機二塩基酸(RH2 )
を添加することを特徴とする白金錯化合物の製造方法で
ある。
1)で示される1,2−シクロヘキサンジアミン異性体
のシス白金(II)錯体の製造方法において、一般式
(化8)で示される1,2−シクロヘキサンジアミン異
性体のシス白金(II)錯体ジハロゲン化合物溶液に脱
ハロゲン化剤を添加し、生成する固体のハロゲン化合物
を除去し、該ハロゲン化合物が除去された前記溶液を逆
浸透膜を通過させ、該溶液中に含有される低分子量の不
純物イオンを除去し、該溶液に有機二塩基酸(RH2 )
を添加することを特徴とする白金錯化合物の製造方法で
ある。
【0007】以下、本発明の詳細について説明する。本
発明の白金錯化合物の製造方法によると、大量の溶媒を
使用して反応を行わせる白金錯化合物製造の場合にも逆
浸透膜を使用するという簡単な操作で溶液中の不純物を
除去し、かつ必要に応じて大量の溶液の濃縮も行い、高
純度の白金錯化合物を提供することができる。本発明方
法では、(化1)の化合物の製造に際しては(化8)の
化合物と硝酸銀や酸化銀等の脱ハロゲン化剤を反応させ
て(化8)の化合物の白金原子に配位しているハロゲン
原子を脱離させて、例えば(化9)に示す化合物に誘導
し、この化合物と有機二塩基酸を反応させて(化9)の
化合物の白金原子に配位している水2分子脱離させて前
記白金原子を前記有機二塩基酸の酸基と結合させて環化
させて(化1)の化合物を生成させる。
発明の白金錯化合物の製造方法によると、大量の溶媒を
使用して反応を行わせる白金錯化合物製造の場合にも逆
浸透膜を使用するという簡単な操作で溶液中の不純物を
除去し、かつ必要に応じて大量の溶液の濃縮も行い、高
純度の白金錯化合物を提供することができる。本発明方
法では、(化1)の化合物の製造に際しては(化8)の
化合物と硝酸銀や酸化銀等の脱ハロゲン化剤を反応させ
て(化8)の化合物の白金原子に配位しているハロゲン
原子を脱離させて、例えば(化9)に示す化合物に誘導
し、この化合物と有機二塩基酸を反応させて(化9)の
化合物の白金原子に配位している水2分子脱離させて前
記白金原子を前記有機二塩基酸の酸基と結合させて環化
させて(化1)の化合物を生成させる。
【0008】この反応の原料である(化8)の化合物は
前述の通りハロゲン化白金酸カリウムと1,2−シクロ
ヘキサンジアミンとを反応させて調製されるが、このよ
うに製造された(化8)の化合物中には原料であるハロ
ゲン化白金酸カリウム中のカリウムイオンが残存してい
ることが多い。そして(化8)を脱ハロゲン化するため
の脱ハロゲン化剤の成分に存在することのある銀イオン
や硝酸イオン、及び該脱ハロゲン化剤で脱ハロゲン化さ
れるハロゲンイオンが前記カリウムイオンとともに目的
生成物である(化1)の化合物に不純物イオンとして混
入し易くなっている。本発明方法では、(化8)の化合
物と脱ハロゲン化剤との反応により(化8)の化合物か
らハロゲン原子が脱離した状態で、つまり前記各不純物
イオン全てが含まれる状態で、反応溶液を所定の孔径を
有する逆浸透膜に通す。該逆浸透膜は孔径の大小に応じ
て、分画分子量つまり逆浸透膜を浸透できる分子等の最
高分子量が異なる。例えば分画分子量が400 の逆浸透膜
に前記反応溶液を通すと溶媒である水の他に全不純物イ
オンが逆浸透膜を透過し、一方目的とする白金錯化合物
は分子量が400 を越えるため、前記逆浸透膜の細孔を透
過できず該逆浸透膜を透過する前記不純物イオンから分
離することができる。
前述の通りハロゲン化白金酸カリウムと1,2−シクロ
ヘキサンジアミンとを反応させて調製されるが、このよ
うに製造された(化8)の化合物中には原料であるハロ
ゲン化白金酸カリウム中のカリウムイオンが残存してい
ることが多い。そして(化8)を脱ハロゲン化するため
の脱ハロゲン化剤の成分に存在することのある銀イオン
や硝酸イオン、及び該脱ハロゲン化剤で脱ハロゲン化さ
れるハロゲンイオンが前記カリウムイオンとともに目的
生成物である(化1)の化合物に不純物イオンとして混
入し易くなっている。本発明方法では、(化8)の化合
物と脱ハロゲン化剤との反応により(化8)の化合物か
らハロゲン原子が脱離した状態で、つまり前記各不純物
イオン全てが含まれる状態で、反応溶液を所定の孔径を
有する逆浸透膜に通す。該逆浸透膜は孔径の大小に応じ
て、分画分子量つまり逆浸透膜を浸透できる分子等の最
高分子量が異なる。例えば分画分子量が400 の逆浸透膜
に前記反応溶液を通すと溶媒である水の他に全不純物イ
オンが逆浸透膜を透過し、一方目的とする白金錯化合物
は分子量が400 を越えるため、前記逆浸透膜の細孔を透
過できず該逆浸透膜を透過する前記不純物イオンから分
離することができる。
【0009】そして逆浸透膜による処理は分離すべき不
純物を含む溶液を圧力を掛けて該逆浸透膜に供給すれば
良く、比較的大型の容器に表面積の大きい逆浸透膜を装
着することにより大量の溶液を短時間で処理することが
でき、前述の通り逆浸透膜の孔径つまり分画分子量を適
宜設定することにより、不純物イオンをほぼ完全に除去
することが可能になる。更に逆浸透膜の分画分子量を溶
媒である水のみが透過できるように設定すると前記溶液
から水のみが逆浸透膜を透過し除去されるため、前記溶
液の濃縮を行うことができる。この濃縮は従来法と異な
り加熱を要しないため高温で爆発を伴う危険のある白金
錯化合物の場合にも安全に行うことができる。本発明方
法では該濃縮は行っても行わなくてもよく、行う場合に
は不純物イオン除去の前後のいずれかに行うようにす
る。本発明方法の出発物質である(化8)の化合物つま
りジハロ(1,2−シクロヘキサンジアミン)白金(I
I)の1,2−シクロヘキサンジアミンはシス、トラン
ス−d及びトランス−lの任意の立体配座をとることが
できる。ハロゲンは塩素、臭素及びヨウ素から選択され
る。(化8)の化合物は前述の通り1,2−シクロヘキ
サンジアミンとハロゲン化白金酸カリウムとの反応によ
り調製することが好ましいが、他の反応により調製して
もよい。
純物を含む溶液を圧力を掛けて該逆浸透膜に供給すれば
良く、比較的大型の容器に表面積の大きい逆浸透膜を装
着することにより大量の溶液を短時間で処理することが
でき、前述の通り逆浸透膜の孔径つまり分画分子量を適
宜設定することにより、不純物イオンをほぼ完全に除去
することが可能になる。更に逆浸透膜の分画分子量を溶
媒である水のみが透過できるように設定すると前記溶液
から水のみが逆浸透膜を透過し除去されるため、前記溶
液の濃縮を行うことができる。この濃縮は従来法と異な
り加熱を要しないため高温で爆発を伴う危険のある白金
錯化合物の場合にも安全に行うことができる。本発明方
法では該濃縮は行っても行わなくてもよく、行う場合に
は不純物イオン除去の前後のいずれかに行うようにす
る。本発明方法の出発物質である(化8)の化合物つま
りジハロ(1,2−シクロヘキサンジアミン)白金(I
I)の1,2−シクロヘキサンジアミンはシス、トラン
ス−d及びトランス−lの任意の立体配座をとることが
できる。ハロゲンは塩素、臭素及びヨウ素から選択され
る。(化8)の化合物は前述の通り1,2−シクロヘキ
サンジアミンとハロゲン化白金酸カリウムとの反応によ
り調製することが好ましいが、他の反応により調製して
もよい。
【0010】次に(化8)の化合物と脱ハロゲン化剤を
反応させて(化8)の化合物のハロゲン原子を脱離させ
て例えば(化9)の中間体を生成させる。脱ハロゲン化
剤は脱ハロゲン化するハロゲンに応じて適宜選択すれば
よいが、硝酸銀や酸化銀等の銀化合物を使用することが
望ましい。使用する脱ハロゲン化剤の量は(化8)の化
合物のハロゲン原子2個を脱離させるために十分な量、
つまり硝酸銀の場合には(化8)の化合物に対して2倍
モル当量、酸化銀の場合には(化8)の化合物に対して
1倍モル当量、あるいはこれらのモル当量より若干過剰
の量とする。前記(化9)の中間体が生成した段階で反
応液を逆浸透膜で処理することにより、該中間体以外の
不純物イオンを除去する。該不純物イオンは出発物質に
応じて異なるが、銀イオン、硝酸イオン、ハロゲンイオ
ン及びカリウムイオンであることが多い。脱イオンに使
用する逆浸透膜は市販のものをそのまま使用すればよい
が、前述の通り脱イオンする不純物イオンの分子量に応
じて適宜の分画分子量を有する逆浸透膜を使用する。こ
の分画分子量を調節することにより前記中間体より分子
量の小さい任意の不純物イオンを除去することができ、
除去される不純物イオンは上述の銀イオン等に限定され
ない。
反応させて(化8)の化合物のハロゲン原子を脱離させ
て例えば(化9)の中間体を生成させる。脱ハロゲン化
剤は脱ハロゲン化するハロゲンに応じて適宜選択すれば
よいが、硝酸銀や酸化銀等の銀化合物を使用することが
望ましい。使用する脱ハロゲン化剤の量は(化8)の化
合物のハロゲン原子2個を脱離させるために十分な量、
つまり硝酸銀の場合には(化8)の化合物に対して2倍
モル当量、酸化銀の場合には(化8)の化合物に対して
1倍モル当量、あるいはこれらのモル当量より若干過剰
の量とする。前記(化9)の中間体が生成した段階で反
応液を逆浸透膜で処理することにより、該中間体以外の
不純物イオンを除去する。該不純物イオンは出発物質に
応じて異なるが、銀イオン、硝酸イオン、ハロゲンイオ
ン及びカリウムイオンであることが多い。脱イオンに使
用する逆浸透膜は市販のものをそのまま使用すればよい
が、前述の通り脱イオンする不純物イオンの分子量に応
じて適宜の分画分子量を有する逆浸透膜を使用する。こ
の分画分子量を調節することにより前記中間体より分子
量の小さい任意の不純物イオンを除去することができ、
除去される不純物イオンは上述の銀イオン等に限定され
ない。
【0011】なおこの反応溶液は他の不純物等により着
色していることがあり、その場合には活性炭を添加して
脱色することが望ましい。このようにして不純物除去処
理が行われた前記反応溶液中の高純度の前記(化9)の
中間体を有機二塩基酸と反応させると(化9)で白金に
配座している水分子が脱離して前記有機二塩基酸のカル
ボキシル基と置換して環化し、(化1)に示す目的の白
金錯化合物が生成する。使用する有機二塩基酸は目的と
する(化1)の白金錯化合物に応じて選択すればよく、
例えば(化10)の白金錯化合物を得るためにはシュウ酸
を使用すればよい。このように調製された白金錯化合物
は中間体である例えば(化9)の化合物の純度が逆浸透
膜処理により高くなっているため、該中間体から誘導さ
れる(化1)の化合物も、医薬の原薬として使用できる
程度の十分純度を有している。
色していることがあり、その場合には活性炭を添加して
脱色することが望ましい。このようにして不純物除去処
理が行われた前記反応溶液中の高純度の前記(化9)の
中間体を有機二塩基酸と反応させると(化9)で白金に
配座している水分子が脱離して前記有機二塩基酸のカル
ボキシル基と置換して環化し、(化1)に示す目的の白
金錯化合物が生成する。使用する有機二塩基酸は目的と
する(化1)の白金錯化合物に応じて選択すればよく、
例えば(化10)の白金錯化合物を得るためにはシュウ酸
を使用すればよい。このように調製された白金錯化合物
は中間体である例えば(化9)の化合物の純度が逆浸透
膜処理により高くなっているため、該中間体から誘導さ
れる(化1)の化合物も、医薬の原薬として使用できる
程度の十分純度を有している。
【0012】
【実施例】次に本発明方法による白金錯化合物の製造方
法の実施例を記載するが、これらの実施例は本発明を限
定するものではない。
法の実施例を記載するが、これらの実施例は本発明を限
定するものではない。
【実施例1】塩化白金酸カリウム562.5 gとトランス−
l−1,2−シクロヘキサンジアミン154.8 gを水3.5
リットルに溶解して混合し、シス−ジクロロ(トランス
−l−1,2−シクロヘキサンジアミン)白金(II)
を96%の収率で得た。これを水5.7 リットルに懸濁さ
せ、硝酸銀386.4 gを水2.8 リットルに溶解した溶液を
加え暗所にて室温3日間攪拌後、塩化銀沈澱を濾別除去
した。該濾液を逆浸透膜(ミリポア製、NF40:分画分
子量400 )に圧力30kgf/cm2 で通すことにより、
該濾液中に溶解している銀イオン、硝酸イオン、ハロゲ
ンイオン、カリウムイオンの各種イオンの脱イオン化を
行った後、続いてRO膜(ミリポア製、FT30:分画分
子量100 )に圧力30kgf/cm2 で前記濾液を通すこ
とにより、迅速に濾液を8.5 リットルから2.5 リットル
に濃縮した。
l−1,2−シクロヘキサンジアミン154.8 gを水3.5
リットルに溶解して混合し、シス−ジクロロ(トランス
−l−1,2−シクロヘキサンジアミン)白金(II)
を96%の収率で得た。これを水5.7 リットルに懸濁さ
せ、硝酸銀386.4 gを水2.8 リットルに溶解した溶液を
加え暗所にて室温3日間攪拌後、塩化銀沈澱を濾別除去
した。該濾液を逆浸透膜(ミリポア製、NF40:分画分
子量400 )に圧力30kgf/cm2 で通すことにより、
該濾液中に溶解している銀イオン、硝酸イオン、ハロゲ
ンイオン、カリウムイオンの各種イオンの脱イオン化を
行った後、続いてRO膜(ミリポア製、FT30:分画分
子量100 )に圧力30kgf/cm2 で前記濾液を通すこ
とにより、迅速に濾液を8.5 リットルから2.5 リットル
に濃縮した。
【0013】続いてこの濃縮溶液に活性炭を添加して脱
色した後、該活性炭を濾別して完全に除去した。その濾
液にシュウ酸14.6gを加えたところ、直ちに目的とする
一般式(化10)の化合物つまりシス−オキザラート(ト
ランス−l−1,2−シクロヘキサンジアミン)白金
(II)の粗結晶を80%の収率で得ることができた。次
にこの粗結晶70gを水2.7 リットルに熱時溶解し、熱時
濾過後室温に冷却して析出した白色結晶を濾取し、少量
の水で洗浄した。得られた結晶を減圧乾燥し目的とする
白金錯化合物(融点:300 ℃で分解)50gを得た。原子
吸光法、高速液体クロマト法(HPLC法)、酸素フラ
スコ燃焼電位差滴定法、発光分光法の各種方法により、
前記白金錯化合物中に含有される銀イオン、硝酸イオ
ン、ハロゲンイオン及びカリウムイオンの濃度を測定し
たところ、表1に示す通り、それぞれ0.3 ppm、5p
pm、2ppm及び1ppm以下であった。
色した後、該活性炭を濾別して完全に除去した。その濾
液にシュウ酸14.6gを加えたところ、直ちに目的とする
一般式(化10)の化合物つまりシス−オキザラート(ト
ランス−l−1,2−シクロヘキサンジアミン)白金
(II)の粗結晶を80%の収率で得ることができた。次
にこの粗結晶70gを水2.7 リットルに熱時溶解し、熱時
濾過後室温に冷却して析出した白色結晶を濾取し、少量
の水で洗浄した。得られた結晶を減圧乾燥し目的とする
白金錯化合物(融点:300 ℃で分解)50gを得た。原子
吸光法、高速液体クロマト法(HPLC法)、酸素フラ
スコ燃焼電位差滴定法、発光分光法の各種方法により、
前記白金錯化合物中に含有される銀イオン、硝酸イオ
ン、ハロゲンイオン及びカリウムイオンの濃度を測定し
たところ、表1に示す通り、それぞれ0.3 ppm、5p
pm、2ppm及び1ppm以下であった。
【0014】なお実施例及び比較例で使用した各イオン
の検出純度は次の通りである。銀イオンの定量(原子吸光−フレームレス法) 銀イオンの純度試験は標準添加法に従った。つまり同量
の試験溶液3件にそれぞれに被検元素が段階的に含まれ
るように標準溶液を添加し、更に溶媒を加えて一定量と
した。それぞれの溶液について吸光度を測定し、横軸に
添加した標準元素量(濃度)、縦軸に吸光度をとり、グ
ラフにそれぞれの値をプロットした。プロットから得ら
れた回帰線を延長し、横軸との交点と原点との距離から
被検元素(銀原子としての濃度)を算出した。吸光度測
定の条件は、キャリアガスとして流速3リットル/分の
アルゴンガスを使用し、グラファイトチューブ中2300℃
で3秒間掛けて原子化を行い、銀中空陰極ランプを使用
して328.1 nmの波長を測定した。
の検出純度は次の通りである。銀イオンの定量(原子吸光−フレームレス法) 銀イオンの純度試験は標準添加法に従った。つまり同量
の試験溶液3件にそれぞれに被検元素が段階的に含まれ
るように標準溶液を添加し、更に溶媒を加えて一定量と
した。それぞれの溶液について吸光度を測定し、横軸に
添加した標準元素量(濃度)、縦軸に吸光度をとり、グ
ラフにそれぞれの値をプロットした。プロットから得ら
れた回帰線を延長し、横軸との交点と原点との距離から
被検元素(銀原子としての濃度)を算出した。吸光度測
定の条件は、キャリアガスとして流速3リットル/分の
アルゴンガスを使用し、グラファイトチューブ中2300℃
で3秒間掛けて原子化を行い、銀中空陰極ランプを使用
して328.1 nmの波長を測定した。
【0015】硝酸イオンの定量(HPLC−イオンクロマト法) 硝酸イオンの純度試験は、硝酸スタンダードのピーク面
積に対する絶対検量線法に従って行った。即ちスタンダ
ード硝酸の既知量を段階的に変化させ、それぞれのクロ
マトグラフのピーク面積を測定し、成分量を横軸に、ピ
ーク面積を縦軸にプロットして検量線を作成し、次に同
一条件下で、各実施例及び比較例の白金錯化合物を高速
液体クロマト(HPLC)で測定し、ピーク面積から検
量線にて被検成分量を求め、試料中の含有量を算出し
た。クロマトグラフの操作条件は、DIONEX ION Pac 4G4
A (ガードカラム)+DIONEX ION Pac AS4A (分離カラ
ム)のカラムを装着したイオン電導度による検出器を使
用し、移動相として1.8 ミリモルの炭酸ナトリウム水溶
液と1.7 ミリモルの炭酸水素ナトリウム水溶液の混合水
溶液を使用し、流量は1.5 ミリリットル/分とした。
積に対する絶対検量線法に従って行った。即ちスタンダ
ード硝酸の既知量を段階的に変化させ、それぞれのクロ
マトグラフのピーク面積を測定し、成分量を横軸に、ピ
ーク面積を縦軸にプロットして検量線を作成し、次に同
一条件下で、各実施例及び比較例の白金錯化合物を高速
液体クロマト(HPLC)で測定し、ピーク面積から検
量線にて被検成分量を求め、試料中の含有量を算出し
た。クロマトグラフの操作条件は、DIONEX ION Pac 4G4
A (ガードカラム)+DIONEX ION Pac AS4A (分離カラ
ム)のカラムを装着したイオン電導度による検出器を使
用し、移動相として1.8 ミリモルの炭酸ナトリウム水溶
液と1.7 ミリモルの炭酸水素ナトリウム水溶液の混合水
溶液を使用し、流量は1.5 ミリリットル/分とした。
【0016】ハロゲンイオンの定量(酸素フラスコ燃焼
電位差滴定法) ハロゲンイオンの純度試験は次のようにして行った。85
0 〜950 ℃に維持した電気炉内にハロゲンイオンを含む
試料を導入し、かつ酸素(200 ミリリットル/分)とア
ルゴン(250 ミリリットル/分)の混合ガスを供給して
前記試料を燃焼させ、終点電位293 mV及び滴定電流1.
0 mAの条件でハロゲンイオン濃度を測定し、下式に従
ってハロゲン含有量を算出した。 ハロゲン含有量(ppm)=〔測定値(μg)×1000〕
/〔試料量(mg)×回収率〕カリウムイオンの定量(発光分光法) カリウムイオンの純度は次のようにして行った。カリウ
ムイオンを含む試料を電圧200 V、電流5Aに維持され
たグラファイト製電極を有する回折格子分光器内に導入
し、濃度を測定した。
電位差滴定法) ハロゲンイオンの純度試験は次のようにして行った。85
0 〜950 ℃に維持した電気炉内にハロゲンイオンを含む
試料を導入し、かつ酸素(200 ミリリットル/分)とア
ルゴン(250 ミリリットル/分)の混合ガスを供給して
前記試料を燃焼させ、終点電位293 mV及び滴定電流1.
0 mAの条件でハロゲンイオン濃度を測定し、下式に従
ってハロゲン含有量を算出した。 ハロゲン含有量(ppm)=〔測定値(μg)×1000〕
/〔試料量(mg)×回収率〕カリウムイオンの定量(発光分光法) カリウムイオンの純度は次のようにして行った。カリウ
ムイオンを含む試料を電圧200 V、電流5Aに維持され
たグラファイト製電極を有する回折格子分光器内に導入
し、濃度を測定した。
【0017】
【実施例2】実施例1と同様の操作で得たシス−ジクロ
ロ(トランス−l−1,2−シクロヘキサンジアミン)
白金(II)に、この錯体の2倍モル量のヨウ化カリウ
ム水溶液を加え、シス−ジヨード(トランス−l−1,
2−シクロヘキサンジアミン)白金(II)に変換し
た。この錯体に水5.7 リットルを加えて懸濁させ、硝酸
銀386.4 gを水2.8 リットルに溶解した溶液を添加し、
暗所で室温下3日間攪拌した後、生成したヨウ化銀の沈
澱を濾別した。その濾液を実施例1と同一の濃縮用逆浸
透膜(ミリポア製、FT30)に圧力30kgf/cm2 で
通して前記溶液量を8.5 リットルから2.5 リットルに濃
縮した。次に実施例1と同一の脱イオン用逆浸透膜(ミ
リポア製、NF40)に圧力30kgf/cm2 で通して銀
イオン、硝酸イオン、ヨウ素イオン及びカリウムイオン
の脱イオンを行った。続いて実施例1と同様に活性炭添
加、シュウ酸との反応、再結晶を行ったところ、目的と
する(化10)の化合物を45gの収量で得ることができた
(融点:300 ℃で分解)。この白金錯化合物中に含有さ
れる銀イオン、硝酸イオン、ハロゲンイオン及びカリウ
ムイオンの濃度を測定したところ、表1に示す通り、そ
れぞれ0.5 ppm、5ppm、3ppm及び1ppm以
下であった。
ロ(トランス−l−1,2−シクロヘキサンジアミン)
白金(II)に、この錯体の2倍モル量のヨウ化カリウ
ム水溶液を加え、シス−ジヨード(トランス−l−1,
2−シクロヘキサンジアミン)白金(II)に変換し
た。この錯体に水5.7 リットルを加えて懸濁させ、硝酸
銀386.4 gを水2.8 リットルに溶解した溶液を添加し、
暗所で室温下3日間攪拌した後、生成したヨウ化銀の沈
澱を濾別した。その濾液を実施例1と同一の濃縮用逆浸
透膜(ミリポア製、FT30)に圧力30kgf/cm2 で
通して前記溶液量を8.5 リットルから2.5 リットルに濃
縮した。次に実施例1と同一の脱イオン用逆浸透膜(ミ
リポア製、NF40)に圧力30kgf/cm2 で通して銀
イオン、硝酸イオン、ヨウ素イオン及びカリウムイオン
の脱イオンを行った。続いて実施例1と同様に活性炭添
加、シュウ酸との反応、再結晶を行ったところ、目的と
する(化10)の化合物を45gの収量で得ることができた
(融点:300 ℃で分解)。この白金錯化合物中に含有さ
れる銀イオン、硝酸イオン、ハロゲンイオン及びカリウ
ムイオンの濃度を測定したところ、表1に示す通り、そ
れぞれ0.5 ppm、5ppm、3ppm及び1ppm以
下であった。
【0018】
【実施例3】 シュウ酸の代わりにトリメリト酸(1,
3,4−ベンゼントリカルボン酸)を使用したこと以外
は実施例1と同一条件により一般式(化11)の白金錯化
合物を製造した(融点:300 ℃で分解)。この白金錯化
合物中に含有される銀イオン、硝酸イオン、ハロゲンイ
オン及びカリウムイオンの濃度を測定したところ、表1
に示す通り、それぞれ1.0 ppm、10ppm、2ppm
及び1ppm以下であった。
3,4−ベンゼントリカルボン酸)を使用したこと以外
は実施例1と同一条件により一般式(化11)の白金錯化
合物を製造した(融点:300 ℃で分解)。この白金錯化
合物中に含有される銀イオン、硝酸イオン、ハロゲンイ
オン及びカリウムイオンの濃度を測定したところ、表1
に示す通り、それぞれ1.0 ppm、10ppm、2ppm
及び1ppm以下であった。
【0019】
【表1】
【0020】
【比較例】実施例1と同様にしてシス−ジクロロ(トラ
ンス−l−1,2−シクロヘキサンジアミン)白金(I
I)を合成し、この錯体に水5.7 リットルを加え沸騰さ
せて溶解し、硝酸銀386.4 gを水2.8 リットルに溶解し
た溶液を添加し、暗所で室温下3時間攪拌した。冷却後
該反応液を濾過し、濾液が透明になるまで濾過を繰り返
した。該濾液を減圧下で加熱乾燥後、シュウ酸146.3 g
を加え、室温で一番放置して、再び減圧で濃縮すること
により、(化10)の化合物を80%の収量で得た。この白
金錯化合物中に含有される銀イオン、硝酸イオン、ハロ
ゲンイオン及びカリウムイオンの濃度を測定したとこ
ろ、表1に示す通り、それぞれ20.0ppm、20ppm、
10ppm及び5ppmであった。
ンス−l−1,2−シクロヘキサンジアミン)白金(I
I)を合成し、この錯体に水5.7 リットルを加え沸騰さ
せて溶解し、硝酸銀386.4 gを水2.8 リットルに溶解し
た溶液を添加し、暗所で室温下3時間攪拌した。冷却後
該反応液を濾過し、濾液が透明になるまで濾過を繰り返
した。該濾液を減圧下で加熱乾燥後、シュウ酸146.3 g
を加え、室温で一番放置して、再び減圧で濃縮すること
により、(化10)の化合物を80%の収量で得た。この白
金錯化合物中に含有される銀イオン、硝酸イオン、ハロ
ゲンイオン及びカリウムイオンの濃度を測定したとこ
ろ、表1に示す通り、それぞれ20.0ppm、20ppm、
10ppm及び5ppmであった。
【0021】
【発明の効果】本発明方法は、一般式(化1)で示され
る1,2−シクロヘキサンジアミン異性体のシス白金
(II)錯体の製造方法において、一般式(化8)で示
される1,2−シクロヘキサンジアミン異性体のシス白
金(II)錯体ジハロゲン化合物溶液に脱ハロゲン化剤
を添加し、生成する固体のハロゲン化合物を除去し、該
ハロゲン化合物が除去された前記溶液を逆浸透膜を通過
させ、該溶液中に含有される低分子量の不純物イオンを
除去し、該溶液に有機二塩基酸(RH2 )を添加するこ
とを特徴とする白金錯化合物の製造方法である(請求項
1)。本発明によると、(化8)の化合物の脱ハロゲン
化により生成する中間体の段階で適宜の分画分子量を有
する逆浸透膜を使用して不純物イオンの除去を行うよう
にしている。逆浸透膜による処理では不純物イオンを含
有する溶液を加圧状態で逆浸透膜に供給するのみで前記
不純物イオンのみを前記逆浸透膜を透過させて分離する
ことができ、しかも濾過を繰り返して行う従来法と比較
して手間を掛けずに不純物イオンを十分に除去すること
ができる。該逆浸透膜処理によると比較的大量の溶液も
短時間に処理することができ、しかも分画分子量を適宜
選択するのみで確実に不純物イオンの除去を達成するこ
とができる。
る1,2−シクロヘキサンジアミン異性体のシス白金
(II)錯体の製造方法において、一般式(化8)で示
される1,2−シクロヘキサンジアミン異性体のシス白
金(II)錯体ジハロゲン化合物溶液に脱ハロゲン化剤
を添加し、生成する固体のハロゲン化合物を除去し、該
ハロゲン化合物が除去された前記溶液を逆浸透膜を通過
させ、該溶液中に含有される低分子量の不純物イオンを
除去し、該溶液に有機二塩基酸(RH2 )を添加するこ
とを特徴とする白金錯化合物の製造方法である(請求項
1)。本発明によると、(化8)の化合物の脱ハロゲン
化により生成する中間体の段階で適宜の分画分子量を有
する逆浸透膜を使用して不純物イオンの除去を行うよう
にしている。逆浸透膜による処理では不純物イオンを含
有する溶液を加圧状態で逆浸透膜に供給するのみで前記
不純物イオンのみを前記逆浸透膜を透過させて分離する
ことができ、しかも濾過を繰り返して行う従来法と比較
して手間を掛けずに不純物イオンを十分に除去すること
ができる。該逆浸透膜処理によると比較的大量の溶液も
短時間に処理することができ、しかも分画分子量を適宜
選択するのみで確実に不純物イオンの除去を達成するこ
とができる。
【0022】又白金錯化合物溶液は着色していることが
あり、この場合には活性炭を添加して脱色することが望
ましい(請求項2)。この活性炭添加は白金錯化合物の
中間体と有機二塩基酸との反応の直前に行うことが好ま
しい。白金錯化合物あるいは中間体の溶液は濃縮して高
濃度溶液にすることが好ましいことがあり、本発明では
溶媒である水のみを透過させる逆浸透膜を使用すること
により加熱することなく前記溶液を濃縮して高濃度溶液
とすることもできる。従来の加熱濃縮では爆発の危険の
ある白金錯化合物又は中間体の場合にも、逆浸透膜の使
用により加熱をすることなく濃縮できるため安全に操作
することが可能になる。この逆浸透膜による溶液の濃縮
は不純物除去用逆浸透膜で不純物イオン除去を行った後
に行っても(請求項3)、該濃縮用逆浸透膜により溶液
濃縮を行った溶液から不純物除去用逆浸透膜を使用して
不純物イオンの除去を行う(請求項4)ようにしてもよ
い。
あり、この場合には活性炭を添加して脱色することが望
ましい(請求項2)。この活性炭添加は白金錯化合物の
中間体と有機二塩基酸との反応の直前に行うことが好ま
しい。白金錯化合物あるいは中間体の溶液は濃縮して高
濃度溶液にすることが好ましいことがあり、本発明では
溶媒である水のみを透過させる逆浸透膜を使用すること
により加熱することなく前記溶液を濃縮して高濃度溶液
とすることもできる。従来の加熱濃縮では爆発の危険の
ある白金錯化合物又は中間体の場合にも、逆浸透膜の使
用により加熱をすることなく濃縮できるため安全に操作
することが可能になる。この逆浸透膜による溶液の濃縮
は不純物除去用逆浸透膜で不純物イオン除去を行った後
に行っても(請求項3)、該濃縮用逆浸透膜により溶液
濃縮を行った溶液から不純物除去用逆浸透膜を使用して
不純物イオンの除去を行う(請求項4)ようにしてもよ
い。
【化10】
【化11】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 増田 幸恵 神奈川県平塚市新町2−73 田中貴金属工 業技術開発センター内 (72)発明者 山井 純子 神奈川県平塚市新町2−73 田中貴金属工 業技術開発センター内 (72)発明者 岡本 浩治 神奈川県平塚市新町2−73 田中貴金属工 業技術開発センター内
Claims (4)
- 【請求項1】 一般式(化1)(式中Rは(化2)、
(化3)、(化4)、(化5)、(化6)及び(化7)
から選択される)で示される1,2−シクロヘキサンジ
アミン異性体のシス白金(II)錯化合物の製造方法に
おいて、 一般式(化8)(式中Xは塩素、臭素及びヨウ素から選
択される)で示される1,2−シクロヘキサンジアミン
異性体のシス白金(II)錯体ジハロゲン化合物溶液に
脱ハロゲン化剤を添加し、生成する固体のハロゲン化合
物を除去し、該ハロゲン化合物が除去された前記溶液を
逆浸透膜を通過させ、該溶液中に含有される低分子量の
不純物イオンを除去した後、該溶液に有機二塩基酸(R
H2 )を添加することを特徴とする白金錯化合物の製造
方法。 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】 【化5】 【化6】 【化7】 【化8】 - 【請求項2】 不純物イオンを除去した溶液中に活性炭
を加えて該溶液の脱色を行った後、有機二塩基酸を添加
するようにした請求項1に記載の方法。 - 【請求項3】 不純物イオンを除去した溶液を濃縮用逆
浸透膜を通して所定容量まで濃縮した後、有機二塩基酸
を添加するようにした請求項1に記載の方法。 - 【請求項4】 ハロゲン化合物を除去した溶液を濃縮用
逆浸透膜を通して所定容量まで濃縮した後、不純物除去
用逆浸透膜を通して不純物イオンを除去するようにした
請求項1に記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12966792A JPH05301884A (ja) | 1992-04-22 | 1992-04-22 | 白金錯化合物の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12966792A JPH05301884A (ja) | 1992-04-22 | 1992-04-22 | 白金錯化合物の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05301884A true JPH05301884A (ja) | 1993-11-16 |
Family
ID=15015176
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12966792A Pending JPH05301884A (ja) | 1992-04-22 | 1992-04-22 | 白金錯化合物の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05301884A (ja) |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1998001454A1 (fr) * | 1996-07-04 | 1998-01-15 | Tanaka Kikinzoku Kogyo K.K | Procede de production de compose de platine |
WO2005056641A1 (ja) * | 2003-12-10 | 2005-06-23 | Toudai Tlo, Ltd. | ジアミノシクロヘキサン白金(ii)とポリ(カルボン酸)セグメント含有ブロック共重合体との配位錯体、その抗腫瘍剤 |
WO2006098496A1 (ja) * | 2005-03-18 | 2006-09-21 | The University Of Tokyo | ジアミノシクロヘキサン白金(ii)とブロック共重合体との配位化合物及びそれを含有する抗がん剤 |
JP2007508330A (ja) * | 2003-10-17 | 2007-04-05 | プリヴァ−ラケマ,エー.エス. | 随伴不純物が低含有量であるオキサリプラチンおよびその調製方法 |
US7576126B2 (en) | 2003-11-25 | 2009-08-18 | Platco Technologies (Proprietary) Limited | Platinum (II) complexes, preparation and use |
US7589225B2 (en) | 2004-09-01 | 2009-09-15 | Platco Technologies (Proprietary) Limited | Preparation of platinum(II) complexes |
US7956208B2 (en) | 2006-01-30 | 2011-06-07 | Platco Technologies (Proprietary) Limited | Preparation of platinum (II) complexes |
EP2474310A1 (en) | 2005-06-09 | 2012-07-11 | NanoCarrier Co., Ltd. | Method for producing polymerized coordination compounds of platinum complex |
-
1992
- 1992-04-22 JP JP12966792A patent/JPH05301884A/ja active Pending
Cited By (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1998001454A1 (fr) * | 1996-07-04 | 1998-01-15 | Tanaka Kikinzoku Kogyo K.K | Procede de production de compose de platine |
JP2007508330A (ja) * | 2003-10-17 | 2007-04-05 | プリヴァ−ラケマ,エー.エス. | 随伴不純物が低含有量であるオキサリプラチンおよびその調製方法 |
US7351846B2 (en) * | 2003-10-17 | 2008-04-01 | Pliva-Lachema A.S. | Oxaliplatin with a low content of accompanying impurities and a method for preparation thereof |
US7888390B2 (en) | 2003-11-25 | 2011-02-15 | Platco Technologies (Proprietary) Limited | Preparation of platinum(II) complexes |
US7576126B2 (en) | 2003-11-25 | 2009-08-18 | Platco Technologies (Proprietary) Limited | Platinum (II) complexes, preparation and use |
WO2005056641A1 (ja) * | 2003-12-10 | 2005-06-23 | Toudai Tlo, Ltd. | ジアミノシクロヘキサン白金(ii)とポリ(カルボン酸)セグメント含有ブロック共重合体との配位錯体、その抗腫瘍剤 |
US8012463B2 (en) | 2003-12-10 | 2011-09-06 | Toudai Tlo, Ltd. | Coordination complex of diaminocyclohexaneplatinum(II) with block copolymer containing poly(carboxylic acid) segment and antitumor agent comprising the same |
US7589225B2 (en) | 2004-09-01 | 2009-09-15 | Platco Technologies (Proprietary) Limited | Preparation of platinum(II) complexes |
US7888523B2 (en) | 2004-09-01 | 2011-02-15 | Platco Technologies (Proprietary) Limited | Preparation of platinum(II) complexes |
WO2006098496A1 (ja) * | 2005-03-18 | 2006-09-21 | The University Of Tokyo | ジアミノシクロヘキサン白金(ii)とブロック共重合体との配位化合物及びそれを含有する抗がん剤 |
JP4992089B2 (ja) * | 2005-03-18 | 2012-08-08 | 国立大学法人 東京大学 | ジアミノシクロヘキサン白金(ii)とブロック共重合体との配位化合物及びそれを含有する抗がん剤 |
EP2474310A1 (en) | 2005-06-09 | 2012-07-11 | NanoCarrier Co., Ltd. | Method for producing polymerized coordination compounds of platinum complex |
US7956208B2 (en) | 2006-01-30 | 2011-06-07 | Platco Technologies (Proprietary) Limited | Preparation of platinum (II) complexes |
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