JP2024068380A - 金属錯体および過酸化水素の製造方法 - Google Patents

金属錯体および過酸化水素の製造方法 Download PDF

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亮祐 川上
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Abstract

【課題】爆発の危険性が低い条件下で効率よく過酸化水素を合成することを可能にする、直接合成法用の触媒を提供する。【解決手段】例えば下記の金属錯体2を触媒として使用し、過酸化水素を合成する。TIFF2024068380000016.tif49109【選択図】なし

Description

本発明は、金属錯体およびそれを用いた過酸化水素の製造方法に関する。
過酸化水素は、分解して生じる酸素の酸化力により、強力な漂白および殺菌作用を発揮する。そのため、紙、パルプ、繊維等の漂白工程や、半導体製造におけるエッチング工程や洗浄工程において使用される。また、エポキシ化およびヒドロキシル化をはじめとする種々の酸化反応に使用することができるため、各種化学品の合成においても重要な化合物である。さらには、汚染水の処理、除菌衛生などにおいても広く使用されている。過酸化水素は分解生成物が水と酸素であるため、近年はグリーンケミストリーの観点から重要な位置付けがなされており、塩素系漂白剤の代替材料としても注目されている。
過酸化水素を工業的に合成するには、一般的にアントラキノン法が使用される。アントラキノン法は、アントラキノン類を水素でヒドロキノン型に還元し、還元体と酸素を反応させて過酸化水素を合成する手法である。この方法は、反応効率が高く、爆発の危険性がある水素と酸素の混合気体(爆鳴気)を使用する必要がないため、工業的に広く使用されている。その一方で、多段階の反応であるためプロセスが長く、複雑な設備が必要となる上、有機溶媒や副生成物の除去が必要となるという課題を有する。これらの課題に起因して、消費エネルギーの多さも問題となっている。
そこで、アントラキノン法に代わる方法の開発が盛んに行われており、その1つとして、水素と酸素から直接的に過酸化水素を合成する直接合成法がある。直接合成法の例として、金、白金、パラジウム等の金属粒子を不均一触媒として使用する方法(特許文献1~3)、電気化学的に酸素を還元する電気化学法(特許文献4)、イリジウムやロジウムなどの金属錯体を均一触媒として用いる方法(特許文献5、非特許文献1および2)が挙げられる。直接合成法は、1段階で反応が終了するため、アントラキノン法と比較して簡便に、短時間で過酸化水素を合成することができる。しかしながら、直接合成法で過酸化水素を合成する場合、爆鳴気の水素-酸素混合ガスを使用する場合が多く、安全上の課題がある。また、爆発限界外の混合比で水素-酸素混合ガスを使用した場合であっても、効率よく過酸化水素を合成するには至っていないのが現状である。したがって、爆発の危険性が低い(または爆発の危険性がない)条件下で、過酸化水素を効率よく直接合成できるような方法が求められている。
特表2004-537410号公報 特表2017-503652号公報 特開2019-209317号公報 特開2010-144203号公報 特開2014-58482号公報
Organometallics 2020,39(20),3731-3741 Angew.Chem.Int.Ed.2013,52,12327-12331
本発明は、爆発の危険性が低い条件下で効率よく過酸化水素を合成することを可能にする、直接合成法用の触媒を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究した結果、特定の構造を有する金属錯体を過酸化水素の直接合成法の触媒として使用した場合に、爆発の危険性が低い条件下で効率よく過酸化水素を合成することに成功した。
本発明は、例えば以下のとおりである。
[1] 下記一般式(1)または(2)で表される金属錯体:
Figure 2024068380000001

[一般式(1)において、
Mは、ロジウム、コバルト、イリジウム、ルテニウムもしくはパラジウム、またはこれら金属のイオンを表し;
、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数7~20のアラルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数1~20の炭化水素基で置換されたシリル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数7~20のアラルキルオキシ基、炭素数6~20のアリールオキシ基または炭素数1~20の炭化水素基で置換されたアミノ基を表し、これらの各々はさらに置換基を有していてもよく;
XおよびYは、それぞれ独立に、単座配位子を表し;
XおよびYは、いずれか1つ以上がハロゲン原子でもハロゲン化物イオンでもなく;
XおよびYは、互いに結合していてもよく;
XおよびYは、いずれか1つ以上が存在していなくてもよく;
(An1)j-は、価数jのカウンターアニオンを表し、jは1~3の整数であり;
kは、カウンターアニオンである(An1)j-の数を意味し、0~4の整数であり;
kj+は、一般式(1)で表される金属錯体のk(An1)j-を除く部分の電荷を表す]
Figure 2024068380000002

[一般式(2)において、
M、R、R、R、R、R、R、R、R、R、XおよびYは、上記で一般式(1)について定義したとおりであり;
(An2)n-は、価数nのカウンターアニオンを表し、nは1~3の整数であり;
mは、カウンターアニオンである(An2)n-の数を意味し、0~4の整数であり;
mn+は、一般式(2)で表される金属錯体のm(An2)n-を除く部分の電荷を表す]。
[2] 前記アルキル基の炭素数が1~4であり、前記アラルキル基の炭素数が7~10であり、前記アリール基の炭素数が6~9であり、前記アルコキシ基の炭素数が1~4であり、前記アラルキルオキシ基の炭素数が7~10であり、前記アリールオキシ基の炭素数が6~9である、[1]に記載の金属錯体。
[3] 前記一般式(1)および(2)において、Mはロジウムまたはそのイオンである、[1]または[2]に記載の金属錯体。
[4] 前記一般式(1)および(2)において、XおよびYの少なくとも1つが、HO、OH、O、CN、MeCNもしくはPhCN、またはこれらのイオンである、[1]~[3]のいずれかに記載の金属錯体。
[5] 前記一般式(1)および(2)において、XおよびYの少なくとも1つがHOである、[4]に記載の金属錯体。
[6] 下記式(a)または(b)で表される構造を有する、[5]に記載の金属錯体:
Figure 2024068380000003

[上記一般式(a)において、Y、kj+、kおよび(An1)j-は、[1]で一般式(1)について定義したとおりであり;
上記一般式(b)において、Y、mn+、mおよび(An2)n-は、[1]で一般式(2)について定義したとおりである]。
[6-1] 上記一般式(a)において、Yは共にOHである、[6]に記載の金属錯体。
[6-2] 上記一般式(b)において、Yは共に存在しない、[6]に記載の金属錯体。
[7] [1]~[6-2]のいずれかに記載の金属錯体の存在下、水素および酸素から過酸化水素を生成させる、過酸化水素の製造方法。
[8] 前記金属錯体をそのまま、または担体に担持した状態で、水または水を20質量%以上含む溶媒に溶解または分散させることと、
得られた溶液または分散液を、水素および酸素を含む気体と接触させることと
を含む、[7]に記載の方法。
[8-1] 前記溶媒中の遷移金属イオンの量は100ppm以下である、[8]に記載の方法。
[8-2] 前記溶媒のpHは4~12である、[8]または[8-1]に記載の方法。
[9] 前記水素および酸素を含む気体の圧力が0.5~10MPaである、[8]~[8-2]のいずれかに記載の方法。
[10] 前記水素および酸素を含む気体は、水素を94~99.9体積%および酸素を0.1~6.0体積%含む、[8]~[9]のいずれかに記載の方法。
[11] 前記金属錯体を均一触媒として使用する、[7]~[10]のいずれかに記載の方法。
[12] TONが50~1000である、[7]~[11]のいずれかに記載の方法。
本発明によれば、爆発の危険性が低い条件下で効率よく過酸化水素を合成することを可能にする、直接合成法用の触媒を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本発明の一実施形態によると、下記一般式(1)または(2)で表される金属錯体が提供される:
Figure 2024068380000004

[一般式(1)において、
Mは、ロジウム、コバルト、イリジウム、ルテニウムもしくはパラジウム、またはこれら金属のイオンを表し;
、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数7~20のアラルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数1~20の炭化水素基で置換されたシリル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数7~20のアラルキルオキシ基、炭素数6~20のアリールオキシ基または炭素数1~20の炭化水素基で置換されたアミノ基を表し、これらの各々はさらに置換基を有していてもよく;
XおよびYは、それぞれ独立に、単座配位子を表し;
XおよびYは、いずれか1つ以上がハロゲン原子でもハロゲン化物イオンでもなく;
XおよびYは、互いに結合していてもよく;
XおよびYは、いずれか1つ以上が存在していなくてもよく;
(An1)j-は、価数jのカウンターアニオンを表し、jは1~3の整数であり;
kは、カウンターアニオンである(An1)j-の数を意味し、0~4の整数であり;
kj+は、一般式(1)で表される金属錯体のk(An1)j-を除く部分の電荷を表す]
Figure 2024068380000005

[一般式(2)において、
M、R、R、R、R、R、R、R、R、R、XおよびYは、上記で一般式(1)について定義したとおりであり;
(An2)n-は、価数nのカウンターアニオンを表し、nは1~3の整数であり;
mは、カウンターアニオンである(An2)n-の数を意味し、0~4の整数であり;
mn+は、一般式(2)で表される金属錯体のm(An2)n-を除く部分の電荷を表す]。
本発明者らは、鋭意研究した結果、上記の金属錯体の存在下、直接合成法にて過酸化水素を首尾よく合成することに成功した。これまで、直接合成法で過酸化水素を合成する場合、爆鳴気の水素-酸素混合ガスを使用する場合が多く、安全上の課題があったが、実施形態に係る金属錯体を使用した場合、爆発の危険性が低い(または爆発の危険性がない)条件下で過酸化水素を合成することができた。本明細書において、爆発の危険性が低い(または爆発の危険性がない)条件とは、反応系内の水素と酸素の体積比が、水素94体積%以上、酸素6体積%以下に維持されていること、またはこのような体積比になるよう混合した水素-酸素混合ガスを使用することを意味する。このような割合で水素と酸素を用いて直接合成法を行えば、爆発の危険性は極めて低いか、または爆発の危険性はないと言える。
さらに、実施形態に係る金属錯体を使用すると、効率よく過酸化水素を合成することができる。言い換えると、実施形態に係る金属錯体は、非常に触媒活性が高いと言える。直接合成法が1段階の簡便な反応であることも考え合わせると、実施形態に係る金属錯体の存在下で直接合成法を行うことは、エネルギー効率の観点で非常に有利であり、複雑な設備も必要としない。また、実施形態に係る金属錯体は、均一系触媒として使用可能であるため、水素および酸素とともに容器に封入するだけで簡便に過酸化水素を発生させられるという利点がある。爆鳴気の水素-酸素混合ガスを用いない他の過酸化水素の合成法としては、水素と酸素を膜電極や電解質を介して反応させる電気化学法が存在するが、この方法は、複雑な電気化学セルや複合電極等が必要となるため簡便性に劣る。
実施形態に係る金属錯体を使用すると、上述したような利点を得られる理由は定かではないが、中心金属Mに炭素原子が配位していることが1つの要因であると推測される。すなわち、中心金属Mに対して電子吸引性の高いカルベン型炭素原子が配位していることにより過酸化水素生成反応の律速過程である水素酸化過程がスムーズに進行したと考えられる。
以下、実施形態に係る金属錯体の各構成要素、製造方法、物性、用途等について、詳細に説明する。
[1]金属錯体
一実施形態によると、本発明の金属錯体は、下記一般式(1)で表される構造を有する:
Figure 2024068380000006

[一般式(1)において、
Mは、ロジウム、コバルト、イリジウム、ルテニウムもしくはパラジウム、またはこれら金属のイオンを表し;
、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数7~20のアラルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数1~20の炭化水素基で置換されたシリル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数7~20のアラルキルオキシ基、炭素数6~20のアリールオキシ基または炭素数1~20の炭化水素基で置換されたアミノ基を表し、これらの各々はさらに置換基を有していてもよく;
XおよびYは、それぞれ独立に、単座配位子を表し;
XおよびYは、いずれか1つ以上がハロゲン原子でもハロゲン化物イオンでもなく;
XおよびYは、互いに結合していてもよく;
XおよびYは、いずれか1つ以上が存在していなくてもよく;
(An1)j-は、価数jのカウンターアニオンを表し、jは1~3の整数であり;
kは、カウンターアニオンである(An1)j-の数を意味し、0~4の整数であり;
kj+は、一般式(1)で表される金属錯体のk(An1)j-を除く部分の電荷を表す]。
一般式(1)において、Mは、金属錯体における中心金属であり、ロジウム、コバルト、イリジウム、ルテニウムもしくはパラジウム、およびこれら金属のイオンからなる群より選択される。ここに挙げたいずれの金属および金属イオンであっても使用することができるが、過酸化水素の合成に使用する際の触媒効率の観点から、Mはロジウムまたはロジウムイオンであることが特に好ましい。
、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数7~20のアラルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数1~20の炭化水素基で置換されたシリル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数7~20のアラルキルオキシ基、炭素数6~20のアリールオキシ基または炭素数1~20の炭化水素基で置換されたアミノ基を表す。
構造式の中に2つ以上のR(n=1~9)が存在する場合であっても、各々は独立しており、各Rの定義は全て異なっていても、2つ以上のRが同じ定義を有していてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。これらの中では入手および合成の容易性の観点から塩素原子がより好ましい。
金属錯体を過酸化水素の合成反応に使用した場合の反応性の高さや、金属錯体の製造原料の入手の容易性の観点から、炭素数1~20のアルキル基は、好ましくは炭素数1~8のアルキル基、より好ましくは炭素数1~4のアルキル基である。この好ましい範囲は、シリル基およびアミノ基に対する置換基としての炭素数1~20の炭化水素基についても、同様に当てはまる。上記と同様、反応性の高さや入手の容易性の観点から、炭素数7~20のアラルキル基は、好ましくは炭素数7~12のアラルキル基、より好ましくは炭素数7~10のアラルキル基であり;炭素数6~20のアリール基は、好ましくは炭素数6~12のアリール基、より好ましくは炭素数6~9のアリール基であり;炭素数1~20のアルコキシ基は、好ましくは炭素数1~8のアルコキシ基、より好ましくは炭素数1~4のアルコキシ基であり;炭素数7~20のアラルキルオキシ基は、好ましくは炭素数7~12のアラルキルオキシ基、より好ましくは7~10のアラルキルオキシ基であり;炭素数6~20のアリールオキシ基は、好ましくは炭素数6~12のアリールオキシ基、より好ましくは炭素数6~9のアリールオキシ基である。
炭素数1~20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基であり、より好ましくはメチル基である。
シリル基およびアミノ基に対する置換基としての炭素数1~20の炭化水素基についても、好ましい範囲や具体例は上記と同じである。
炭素数7~20のアラルキル基としては、ベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、ブチルベンジル基、フェネチル基等が挙げられ、好ましくはベンジル基、メチルベンジル基、ブチルベンジル基であり、より好ましくはベンジル基またはメチルベンジル基である。
炭素数6~20のアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ブチルフェニル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基、トリル基、またはブチルフェニル基であり、より好ましくはフェニル基またはトリル基である。
炭素数1~20のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヘキシロキシ基、オクチロキシ基等が挙げられ、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基またはブトキシ基であり、より好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
炭素数7~20のアラルキルオキシ基としては、ベンジルオキシ基、メチルベンジルオキシ基、エチルベンジルオキシ基、ブチルベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等が挙げられ、好ましくはベンジルオキシ基、メチルベンジルオキシ基、エチルベンジルオキシ基、ブチルベンジルオキシ基であり、より好ましくはベンジルオキシ基またはメチルベンジルオキシ基である。
炭素数6~20のアリールオキシ基としては、フェニルオキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、メシチルオキシ基、ブチルフェニルオキシ基等が挙げられ、好ましくはフェニルオキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基またはメシチルオキシ基であり、より好ましくはフェニルオキシ基またはトリルオキシ基である。
反応性の観点から、少なくともR~Rは水素原子であることが好ましい。より好ましくは、R~Rは水素原子であり、RおよびRは炭素数1~20の炭化水素基または水素原子であり;さらに好ましくは、R~Rは水素原子であり、RおよびRは炭素数1~20のアルキル基であり;特に好ましくは、R~Rは水素原子であり、RおよびRはメチル基である。
上述した各基は、さらに置換基を有していてもよい。そのような置換基としては、ヒドロキシ基、アルデヒド基、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基等が挙げられ、これらはさらにアルコールやチオール等と縮合していてもよい。
XおよびYは、それぞれ独立に、単座配位子を表す。単座配位子とは、金属イオンと1個の原子で結合する配位子を意味し、例えば、NH、HO、OH、O、CN、MeCN、PhCN、CN、CO、NCS、ハロゲン原子およびこれらのイオン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。中でもXおよびYの1つ以上がHO、OH、O、CN、MeCN、PhCNまたはこれらのイオンであることが好ましく、XおよびYの少なくとも1つがHOであることがより好ましい。XおよびYの少なくとも1つがHOであることにより、水に対する溶解度が増すため、過酸化水素の合成触媒としてより好都合となる。過酸化水素合成における溶媒として水(または水を含む溶媒)を使用すると、反応性が向上するためである。
例えば構造式の中に2つ以上のX(またはY)が存在する場合であっても、各々は独立しており、各X(またはY)の定義は全て異なっていても、2つ以上のX(またはY)が同じ定義を有していてもよい。
XおよびYは、いずれか1つ以上がハロゲン原子でもハロゲン化物イオンでもない。すなわち、一般式(1)中のXおよびYの全てがハロゲン原子またはハロゲン化物イオンである場合は、一般式(1)の範囲には含まれない。ここで、ハロゲン原子またはハロゲン化物イオンとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子またはこれらのイオンが挙げられる。
また、XおよびYは、互いに結合していてもよい。このような配位形式をとる場合としては、XおよびYのいずれか1つ以上が、エチレングリコール、エチレンジアミン、マロノニトリル、コハク酸、ビビリジン、グリシン、ヒドロキシカルボン酸等に由来する基である場合が挙げられる。さらには、XおよびYは、いずれか1つ以上が存在していなくてもよい。
(An1)j-は、価数jのカウンターアニオンを表す。すなわち、(An1)j-は、電荷を中和し、金属錯体全体としての電荷を0にするカウンターアニオンであり、jは1~3の整数であり得る。kは、カウンターアニオンである(An1)j-の数を意味し、0~4の整数である。また、kj+は、一般式(1)で表される金属錯体のk(An1)j-を除く部分の電荷を表し、一般式(1)におけるM、XおよびYに応じて0~12の範囲の値を取り得る。
カウンターアニオンは、カウンターアニオン以外の部分の構造(電荷kj+を有する部分の構造)、kj+の値等に応じて選択すればよいが、例えば、硝酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、硫酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等が挙げられる。中でも、金属錯体の製造の容易性の点から、硝酸イオンおよびトリフルオロメタンスルホン酸イオンが好ましい。なお、kj+が0である場合には、電荷を中和する必要がないため、カウンターアニオン(An1)j-は存在しない。
他の実施形態によると、本発明の金属錯体は、下記一般式(2)で表される構造を有する:
Figure 2024068380000007

[一般式(2)において、
M、R、R、R、R、R、R、R、R、R、XおよびYは、上記で一般式(1)について定義したとおりであり;
(An2)n-は、価数nのカウンターアニオンを表し、nは1~3の整数であり;
mは、カウンターアニオンである(An2)n-の数を意味し、0~4の整数であり;
mn+は、一般式(2)で表される金属錯体のm(An2)n-を除く部分の電荷を表す]。
一般式(2)における各基の定義および好ましい範囲等は、上記で一般式(1)について記載したものと同様であり、カウンターアニオン(An2)n-についても、カウンターアニオン(An1)j-と同様である。
好ましい実施形態によると、本発明の金属錯体は、下記式(a)または(b)で表される構造を有する:
Figure 2024068380000008

[上記一般式(a)において、Y、kj+、k、(An1)j-は、上記で一般式(1)について定義したとおりであり;
上記一般式(b)において、Y、mn+、m、(An2)n-は、上記で一般式(2)について定義したとおりである]。
一般式(a)および(b)において、YがOHであるか、またはいずれのYも存在しないことが特に好ましい。
[2]金属錯体の製造方法
実施形態に係る金属錯体の製造方法は特に限定されないが、例えば、窒素雰囲気下で標準的なシュレンク法を用いて製造することができる。
具体的には、所望の金属およびカウンターアニオンからなる金属塩と、所望の構造を持つイミダゾール置換ピリジン誘導体とを有機溶媒中で混合、攪拌することで製造することができる。また、得られた金属錯体に対し、必要に応じて酸化還元剤、配位子、カウンターアニオン等を加えることで、錯体の酸化還元や2量化、配位子やカウンターアニオンの交換を行い、金属錯体の諸物性を調整することができる。
[3]過酸化水素の製造方法
実施形態に係る金属錯体は、過酸化水素の直接合成法において触媒として使用することができる。したがって、一実施形態によると、上述した実施形態に係る金属錯体の存在下、水素および酸素から過酸化水素を生成させる、過酸化水素の製造方法が提供される。より具体的には、過酸化水素の製造方法は、金属錯体をそのまま、または担体に担持した状態で、水または水を含む溶媒に溶解または分散させることと、得られた溶液または分散液を、水素および酸素を含む気体と接触させることとを含む。ここで使用される金属錯体は、上記で説明した一般式(1)または(2)で表される金属錯体であり、その好ましい範囲についても上述したとおりである。
具体的には、当業者に公知の一般的な過酸化水素の直接合成法にしたがって、一般的な器具および装置を使用して過酸化水素を合成することができる。例えば、金属錯体を所定の溶媒に溶解または分散させ、得られた溶液または分散液を含む容器(装置)に水素および酸素を導入して反応させ、過酸化水素を合成する。水素と酸素の混合割合は特に限定されないが、爆発の危険性が低い(または爆発の危険性がない)混合比であることが好ましい。したがって、反応系に導入されるガスは、好ましくは94~99.9体積%の水素および0.1~6.0体積%の酸素を含み、より好ましくは95~99.9体積%の水素および0.1~5.0体積%の酸素を含み、さらに好ましくは96~99.9体積%の水素および0.1~4.0体積%の酸素を含み、特に好ましくは98~99.9体積%の水素および0.1~2.0体積%の酸素を含む。水素および酸素は、上述したような混合比を維持するように別々に系内に導入されてもよく、酸素と水素を上述したような比で予め混合して水素-酸素混合ガスとしたものを系内に導入してもよい。
金属錯体を溶解または分散させる溶媒は、特に限定されないが、水または水を含む溶媒であることが好ましい。溶媒が水を含んでいることにより、過酸化水素合成反応の反応性が向上するためである。溶媒としては、水、硫酸水溶液、酢酸水溶液、酢酸ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、エタノール等が好適に使用され、溶媒全体に対して水を20質量%以上含むものが好ましい。また、過酸化水素を分解する遷移金属イオンの量が少ない溶媒であることが好ましく、溶媒中の遷移金属イオンの量は、好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下、特に好ましくは20ppm以下である。さらには、反応性を向上させるために、溶媒は弱酸性~弱アルカリ性であることが好ましく、溶媒のpHは好ましくはpH4~12、特に好ましくはpH5~11である。溶媒のpHがこのような範囲にあることにより、過酸化水素合成反応の反応性が向上し、生成した過酸化水素の分解も生じにくい。
金属錯体は、均一触媒および不均一触媒のいずれの態様で使用してもよいが、均一触媒として使用した方がより簡便である点で好ましい。不均一触媒として使用する場合には、触媒に通常使用される担体に金属錯体を担持させて使用することができ、担体としては、多孔質シリカ、多孔質アルミナ、活性炭、ゼオライト等を使用することができる。
また、金属錯体は、1種のみを使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。
反応条件は、使用する材料や装置等に応じて適宜設定することができる。例えば、反応温度は、特に限定されるものではないが、好ましくは0~60℃、より好ましくは5~50℃、特に好ましくは5~40℃である。このような温度範囲で反応を行うことにより、生成した過酸化水素の分解を防ぐことができる。また、反応の際の圧力にも特に制限はないが、反応系を加圧すると反応性が向上するため好ましい。例えば0.5MPa以上(例えば、0.5~10Mpa)、好ましくは1.5Mpa以上(例えば、1.5~10MPa)の圧力下で反応を行うことが好ましい。
得られた過酸化水素は、従来公知の精製方法、例えば有機溶媒と水の2相系を用いた抽出等によって任意に精製され、回収される。
実施形態に係る金属錯体の存在下で過酸化水素の直接合成を行うと、爆発の危険性が低い条件下で効率よく過酸化水素を合成することができる。反応効率の指標としてTON(Turnover Number:触媒回転数)を使用した場合、実施形態に係る過酸化水素の製造方法におけるTONは、例えば50~1000、100~1000、200~1000、または300~1000である。ここで、TONは、触媒1分子が失活する(反応しなくなる)までに生じた生成分子数を意味し、値が大きいほど触媒活性が高いことを意味する。TONの具体的な測定方法は、後述する実施例に記載するとおりである。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明の内容がこれにより限定されるものではない。
<金属錯体の合成>
合成は、窒素雰囲気下、標準的なシュレンク法を用いて行った。
(1)金属錯体1:[RhII (L)(OH](NO
Figure 2024068380000009
文献“L. Liu, W. Wang, C. Xiao, J. Organomet. Chem. 2014, 749, 83-87”に記載の方法で合成したRhIII(L)Br(L=2,6-ビス(1-メチルイミダゾール-2-イリデン)ピリジン)150mgおよび硝酸銀136mgを、水/アセトン混合溶媒(混合体積比=3/1)80mL中、暗所、65℃で、8時間撹拌した。その後、室温まで冷却し、析出物を濾過により除去した。ろ液の溶媒を留去し、茶色の不揮発分をカラムクロマトグラフィー(固定相:Sephadex LH-20、展開溶媒:メタノール)で精製して、[RhIII(L)(OH](NOを得た(収率85%)。
続いて、上記で得られた[RhIII(L)(OH](NOの7mM水溶液10mLを、水素0.3MPaの雰囲気下、室温で5時間攪拌した。その後さらに、酸素0.1MPaの雰囲気下、暗所、室温で20分間攪拌した。溶媒を留去し、[RhII (L)(OH](NO(金属錯体1)を暗褐色の固体として得た(収率91%)。同定は、単結晶X線構造解析、H-NMR、および元素分析により行った。
(元素分析)
計算値(C26361417Rh):C 30.54,H 3.55,N 19.18%
実測値:C 30.20,H 3.15,N 19.41%
(2)金属錯体2:[Rh(L)(OH)](OTf)
Figure 2024068380000010
金属錯体1の場合と同様に合成した[RhIII(L)(OH](NO 30mgを水30mLに加え、水素雰囲気下、室温で5時間攪拌した。得られた溶液にトリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム(NaOTf)の水溶液を過剰量加え、析出した暗緑色の固体を濾別して[Rh(L)(OH)](OTf)(金属錯体2)を得た(収率86%)。
(元素分析)
計算値([Rh(L)(OH)](OTf)-0.5HO:C14143.5RhS):C 33.61,H 2.82,N 14.00%
実測値:C 33.53,H 2.72,N 14.27%
<実施例1>
上記で合成した金属錯体1([RhII (L)(OH](NO)を0.5M酢酸ナトリウム水溶液に溶解させて、50μM溶液を調製した。この溶液1.5mLをハイパーグラスシリンダー(耐圧硝子工業株式会社製、内容積96mL)に封入し、水素ガス95体積%(1.9MPa)、酸素ガス5体積%(0.1MPa)の雰囲気下、室温で12時間攪拌して過酸化水素を生成させた。
続いて、文献“Analyst 1992, 117, 1781-1784”に記載の方法で過酸化水素の生成量を定量した。反応液を水で2000倍に希釈し、そのうち0.5mLを採取した。これに4.8Mの過塩素酸水溶液0.5mLを添加し、次いでオキソ[5,10,15,20-テトラ(4-ピリジル)ポルフィリナト]チタニウム(IV)(東京化成株式会社製)を50mMの塩酸に溶解させて50μMとした溶液0.5mLを添加して、5分間静置した。得られた溶液に水3.5mLを加えて紫外可視近赤外吸収スペクトルを測定し、得られた吸光度と波長433nmでのブランク測定との差分から、過酸化水素濃度を決定した。過酸化水素生成量から算出される触媒回転数(TON)は910であった。TONは、「(生成物の物質量)/(触媒の物質量)」で表され、当該分野で通常使用される方法に従って算出した。
<実施例2~5>
水素ガスおよび酸素ガスを以下の表1に記載の圧力で用いたことを除き、実施例1と同様の方法で過酸化水素を合成し、過酸化水素の生成量および触媒回転数(TON)を測定した。
<実施例6>
上記で合成した金属錯体2を使用し、水素ガスおよび酸素ガスを以下の表1に記載の圧力で用いたことを除き、実施例1と同様の方法で過酸化水素を合成し、過酸化水素の生成量および触媒回転数(TON)を測定した。
<実施例7>
錯体を溶解させる溶媒としてpH6のリン酸緩衝液を使用したことを除き、実施例1と同様の方法で過酸化水素を合成し、過酸化水素の生成量および触媒回転数(TON)を測定した。
<比較例1>
以下に示す金属錯体3[RhIII(2,6-ビス(2-イミダゾリル-1-メチル)ピリジン)(OH)(HO)](NOに水を加えて、100μM錯体水溶液を調製し、トリフルオロメタンスルホン酸でpHを2に調整した。水素ガスおよび酸素ガスを以下の表1に記載の圧力で用いて、実施例1と同様の方法で過酸化水素を合成し、過酸化水素の生成量および触媒回転数(TON)を測定した。
実施例1~7および比較例1の試験条件およびTONの測定結果を、以下の表1にまとめる。
実施例1~7より、実施形態に係る金属錯体を用いて過酸化水素を合成した場合、直接合成法にて、爆発の危険性が低い水素および酸素の混合条件下で効率よく過酸化水素を合成できたことが分かる。さらに、均一系触媒を用いた直接合成であるため、1段階で、より簡便に過酸化水素を合成することができた。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)または(2)で表される金属錯体:
    Figure 2024068380000013

    [一般式(1)において、
    Mは、ロジウム、コバルト、イリジウム、ルテニウムもしくはパラジウム、またはこれら金属のイオンを表し;
    、R、R、R、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数7~20のアラルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数1~20の炭化水素基で置換されたシリル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数7~20のアラルキルオキシ基、炭素数6~20のアリールオキシ基または炭素数1~20の炭化水素基で置換されたアミノ基を表し、これらの各々はさらに置換基を有していてもよく;
    XおよびYは、それぞれ独立に、単座配位子を表し;
    XおよびYは、いずれか1つ以上がハロゲン原子でもハロゲン化物イオンでもなく;
    XおよびYは、互いに結合していてもよく;
    XおよびYは、いずれか1つ以上が存在していなくてもよく;
    (An1)j-は、価数jのカウンターアニオンを表し、jは1~3の整数であり;
    kは、カウンターアニオンである(An1)j-の数を意味し、0~4の整数であり;
    kj+は、一般式(1)で表される金属錯体のk(An1)j-を除く部分の電荷を表す]
    Figure 2024068380000014

    [一般式(2)において、
    M、R、R、R、R、R、R、R、R、R、XおよびYは、上記で一般式(1)について定義したとおりであり;
    (An2)n-は、価数nのカウンターアニオンを表し、nは1~3の整数であり;
    mは、カウンターアニオンである(An2)n-の数を意味し、0~4の整数であり;
    mn+は、一般式(2)で表される金属錯体のm(An2)n-を除く部分の電荷を表す]。
  2. 前記アルキル基の炭素数が1~4であり、前記アラルキル基の炭素数が7~10であり、前記アリール基の炭素数が6~9であり、前記アルコキシ基の炭素数が1~4であり、前記アラルキルオキシ基の炭素数が7~10であり、前記アリールオキシ基の炭素数が6~9である、請求項1に記載の金属錯体。
  3. 前記一般式(1)および(2)において、Mはロジウムまたはそのイオンである、請求項1に記載の金属錯体。
  4. 前記一般式(1)および(2)において、XおよびYの少なくとも1つが、HO、OH、O、CN、MeCNもしくはPhCN、またはこれらのイオンである、請求項1に記載の金属錯体。
  5. 前記一般式(1)および(2)において、XおよびYの少なくとも1つがHOである、請求項4に記載の金属錯体。
  6. 下記式(a)または(b)で表される構造を有する、請求項5に記載の金属錯体:
    Figure 2024068380000015

    [上記一般式(a)において、Y、kj+、kおよび(An1)j-は、請求項1で一般式(1)について定義したとおりであり;
    上記一般式(b)において、Y、mn+、mおよび(An2)n-は、請求項1で一般式(2)について定義したとおりである]。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の金属錯体の存在下、水素および酸素から過酸化水素を生成させる、過酸化水素の製造方法。
  8. 前記金属錯体をそのまま、または担体に担持した状態で、水または水を20質量%以上含む溶媒に溶解または分散させることと、
    得られた溶液または分散液を、水素および酸素を含む気体と接触させることと
    を含む、請求項7に記載の方法。
  9. 前記水素および酸素を含む気体の圧力が0.5~10MPaである、請求項8に記載の方法。
  10. 前記水素および酸素を含む気体は、水素を94~99.9体積%および酸素を0.1~6.0体積%含む、請求項9に記載の方法。
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