JPH05299289A - 積層セラミックコンデンサの製造方法 - Google Patents

積層セラミックコンデンサの製造方法

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JPH05299289A
JPH05299289A JP9840092A JP9840092A JPH05299289A JP H05299289 A JPH05299289 A JP H05299289A JP 9840092 A JP9840092 A JP 9840092A JP 9840092 A JP9840092 A JP 9840092A JP H05299289 A JPH05299289 A JP H05299289A
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internal electrode
electrode layer
atmosphere
ceramic capacitor
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JP9840092A
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Tsutomu Nishimura
勉 西村
Junichi Kato
純一 加藤
Toshiyuki Suzuki
俊之 鈴木
Yasuo Watanabe
靖夫 渡邊
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】卑金属を内部電極とする積層セラミックコンデ
ンサを、焼成時の雰囲気コントロールなく大量に安定し
て製造する方法を提供するものである。 【構成】卑金属内部電極層を有する積層セラミックコン
デンサの製造方法において、有機成分を除去する脱バイ
ンダ工程と、その後脱バインダ工程において酸化した積
層セラミックコンデンサ未焼結体中の卑金属内部電極層
3を、誘電体層1,2および卑金属内部電極層3が焼結
しない温度と雰囲気で還元し金属化するメタライズ工程
と、その後卑金属内部電極層3を還元するガスを含まな
い雰囲気中で誘電体層1,2と卑金属内部電極層3を焼
結させる工程を有し、大量焼成を安定して行なうことを
可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、卑金属を内部電極とす
る積層セラミックコンデンサの製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】積層セラミコンデンサは電極と誘電体が
層状に構成されているもので、セラミック作製技術によ
って一体化、固体化されるため、磁気誘電成分が少な
く、高周波用途にも優れた性能を示す。また、チップ型
はリード線がないため部品実装の際に直付けが可能で、
電子機器の小型軽量化への要求にもマッチし、今後増々
発展が期待されている。
【0003】積層セラミックコンデンサに対する今後の
要求は、大容量化、小型化、低価格化である。積層セラ
ミックコンデンサの容量は一般的に次式で表わされる。
【0004】
【数1】
【0005】大容量化に向けては、数1よりも明らかな
ように、誘電体材料の高誘電率化、電極面積を大きくす
るための高積層化、誘電体層の薄層化などが有効な手段
である。そしてそのための取り組みが各方面でなされて
いる。
【0006】次に、低コスト化であるが、これが最も大
きな要求である。なぜならば、大容量化および小型化
は、低コスト化と相反する要求ではなく同時に取り組む
べき課題だからである。
【0007】従来の積層セラミックコンデンサのほとん
どは内部電極に貴金属のPdが用いられている。そのた
め、生産コストに占める内部電極材料コストの比率が7
割以上とも言われている。特に静電容量の大きなもので
は内部電極層数が多くなるため、さらにコスト高とな
る。そのため積層セラミックコンデンサは容量効率が高
く、誘電的特性に優れかつ高信頼性にもかかわらず、価
格面がその進展に大きな障害となっていた。そして、こ
れらのコストダウンを目指して各方面で種々の検討がな
されている。その取り組みは、省貴金属化と脱貴金属化
に大別できる。省貴金属化に対しては、貴金属のうちで
比較的コストの低いAgに着目し、Ag−Pdを内部電
極材料とする方法が検討されている(たとえば、特開昭
49-19399号公報参照)。
【0008】一方、Agでもコストが高いとし、脱貴金
属化すなわち卑金属化が指向する方向もある。つまり内
部電極材料にNiを用いるというものである。Niなど
の卑金属を内部電極として使用する場合、焼成はNiが
酸化されない非酸化性雰囲気で行なわれなければなら
ず、誘電体材料にも当然耐還元性が要求される(たとえ
ば、特開昭55-37568号公報、特開昭61-256968 号公報、
特開昭60-109104 号公報など参照)。
【0009】次に、Niを内部電極とする積層セラミッ
クコンデンサは一般に、表面に内部電極が塗布された誘
電体グリーンシートを複数枚積層した未焼結積層体をま
ず作製し、それを切断工程により個片に分ける。その個
片1つ1つが積層セラミックコンデンサとなる。次にこ
の積層セラミックコンデンサの未焼結体中に含まれる有
機成分の除去を行なう。これが脱バインダ工程である。
その後、窒素とグリーンガス(窒素と水素の混合ガス)
で雰囲気中の酸素濃度をNiとNiOの平衡酸素分圧以
下に制御した焼成工程により内部電極と誘電体層が焼結
一体化される。その後外部電極の形成、Niメッキ、半
田メッキがなされる。
【0010】ここで焼成工程は、誘電体材料組成に影響
されるものの、一般に1250℃以上の温度で行なわれる。
1250℃でのNiとNiOの平衡酸素分圧は約1×10-7
圧程度である。しかしながら、NiとNiOの平衡酸素
分圧は温度とともに変化するものであり、焼成工程にお
ける昇降温過程においては極めて低い値となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記のよ
うな方法では大きな問題がある。まず第1は、電気炉内
の雰囲気を炉内の位置によるばらつきなく所望の酸素濃
度にコントロールすることが困難なことである。通常積
層セラミックコンデンサはジルコニア製の鞘に載せて焼
成されているが、焼成量を増やすためにその鞘が何段に
も積み重ねられる。そしてその鞘と鞘との間隔が狭けれ
ば狭いほど炉内に入れる鞘の枚数が多くなり、それだけ
大量の積層セラミックコンデンサを一度の焼成で製造す
ることができる。しかし、窒素とグリーンガスによって
雰囲気コントロールを行なって焼成する場合、鞘と鞘の
間へ均一なガスをまんべんなくいきわたらせることは困
難である。そのため試料の炉内での位置によって酸素濃
度が異なることとなり、特性においても大きなばらつき
を生じる結果となる。そして、この特性のばらつきは誘
電体材料よりは内部電極層の形成状態に起因する場合が
多い。すなわち、誘電体材料の特性が雰囲気のばらつき
によって大きく変化するのではなく、内部電極層が拡散
などの原因により途切れ途切れになったり、あるいは消
失してしまい、電極の有効面積が減少したために設計通
りの容量が出ないなどの問題を生ずるのである。なぜ上
記のような問題が発生するのかであるが、これには脱バ
インダ工程の段階で有機成分の除去と同時に内部電極の
酸化が起こるためである。そのため、焼成工程において
は、内部電極層を還元しながら誘電体セラミック層と内
部電極層を焼結させている。そのためにグリーンガスで
電気炉内の雰囲気をコントロールする必要が生じるので
ある。しかしながら、この場合、どうしてもガスが均一
に炉内に分布せず、位置によって内部電極層の還元の程
度が異なることとなる。そして、充分に内部電極層が還
元された部分のものについては問題がないものの、還元
不十分のものについては特性が得られないことになる。
そこで、内部電極層が酸化されない程度に脱バインダ条
件をコントロールすればどうかということになるが、そ
の場合未焼結積層体中の残存カーボン量が多くなる。こ
れは製品としての信頼性が低くなるという重大な問題を
引き起こす。すなわち内部電極層を酸化させずに脱バイ
ンダを完全に行なうことは不可能である。一方、電気炉
内で最も還元されにくい部分も還元されるほど還元ガス
(たとえば水素ガス)の濃度を高めた場合、最も還元さ
れ易い位置の試料に問題が生じる。それは誘電体材料が
半導体化してしまい、絶縁抵抗が極端に低くなり、コン
デンサとしての役目を果たさなくなるというものであ
る。これほど電気炉内に還元ガスを均一に分布させるこ
とは困難である。
【0012】本発明のこのような課題を解決するもの
で、卑金属を内部電極とする積層セラミックコンデンサ
を焼成時の雰囲気コントロールなく大量に安定して製造
できるようにすることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明の積層セラミックコンデンサの製造方法は、複
数の誘電体セラミック層とそれを挟む卑金属内部電極層
を同時に焼成して作製する積層セラミックコンデンサの
製造方法において、前記誘電体セラミック層および卑金
属内部電極層中の有機成分を、炭素に対して充分な温度
と雰囲気で熱処理して除去する脱バインダ工程と、その
後この脱バインダ工程において酸化した積層セラミック
コンデンサ未焼結体中の卑金属内部電極層を、誘電体セ
ラミック層および卑金属内部電極層が焼結しない温度と
雰囲気で還元し金属化するメタライズ工程と、その後卑
金属内部電極層を還元するガスを含まない雰囲気中で誘
電体セラミック層と卑金属内部電極層を焼結させる工程
を有することを要旨とするものである。さらに焼結工程
の還元ガスを含まない雰囲気が、メタライズ工程後の卑
金属内部電極層に含まれる卑金属を20%以上酸化させな
いものであることを要旨とするものである。さらに卑金
属内部電極層の出発原料が、少なくともNi金属粉と有
機ビヒクルとを混練してなるNiペーストであることを
要旨とするものである。
【0014】
【作用】本発明の積層セラミックコンデンサの製造方法
は、脱バインダ工程の後に酸化した卑金属内部電極層を
還元するメタライズ工程がある。そのため脱バインダ時
に考慮すべきことは有機成分を十分に除去することであ
り、卑金属内部電極層の酸化について考慮すべきこと
は、体積膨張によって素体に生じるクラックやデラミネ
ーションである。クラックやデラミネーションは発生し
ないことが望ましいのはもちろんであるが、たとえ発生
したとしても焼結工程後において修復される程度であれ
ば問題はない。そのため脱バインダ工程の条件に対する
自由度が大きくなり、有機成分除去がより簡単にできる
こととなる。また、メタライズ工程によって卑金属内部
電極層を十分に金属化するため、その後の焼結工程にお
いては、雰囲気中の還元ガス(たとえば水素ガスなど)
濃度をコントロールする必要がない。ここで、問題とな
るのは雰囲気中の酸素濃度である。しかしながら、1250
℃でのNiとNiOの平衡酸素分圧程度の酸素を均一に
含ませた雰囲気を実現することはさほど困難なことでは
ない。たとえば、一般に用いられる配管の窒素ガス中の
酸素濃度もほぼこの程度であるし、電気炉内を真空ポン
プなどにより減圧することによっても容易に得られるも
のである。また卑金属内部電極層がメタライズ工程によ
って十分金属化されているために、焼結工程における雰
囲気中の酸素は卑金属内部電極層の酸化に使用されるも
のの、一度に焼成する試料の数が増えれば増えるほど電
極酸化の度合は小さくなり、電極消失により特性に大き
な影響を及ぼすこともない。このことは従来例で示した
製造方法とは逆に、量が増えれば増えるほど雰囲気中の
酸素濃度は問題にならない程度のもので雰囲気コントロ
ールの必要がないことを示すものである。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図面に基づ
いて説明する。 (実施例1)まず未焼結積層セラミックコンデンサの作
製方法について説明する。誘電体材料にはチタン酸バリ
ウム(BaTiO3 )99.5重量%に添加物として二酸化
マンガン(MnO2 )0.5 重量%を加えた組成を用い
た。ここでBaTiO3 は、試薬の炭酸バリウム(Ba
Co3 )と二酸化チタン(TiO2 )とをボールミル中
で湿式混合した後、吸引濾過、乾燥し、空気中1200℃で
2時間仮焼し合成した。この後ボールミル中で湿式粉砕
したものを乾燥して用いた。このようにして作製したB
aTiO3 の平均粒径はSEM観察により約0.8 μmで
あった。
【0016】次にMnO2 は試薬のMnO2 をボールミ
ル中で湿式粉砕し、平均粒径を約1μmにしたものを使
用した。このように作製したBaTiO3 とMnO2
前記の組成になるように混合したものを無機成分とし、
さらに、有機バインダとしてポリビニルブチラール樹
脂、可塑剤としてDBP(ジブチルフタレート)、溶剤
として1.1.1.トリクロロエタン、酢酸nブチルを
加え、ボールミルにて混合しスラリーを調製した。な
お、スラリー化の条件は無機成分100 gに対して、ポリ
ビニルブチラール樹脂10g、DBP5g、1.1.1.
トリクロロエタン100 g、酢酸nブチル70gとした。こ
のようにして調製したスラリーを真空脱泡の後、ドクタ
ーブレード法によりフィルム状に造膜し、グリーンシー
トを作製した。乾燥後のグリーンシートの厚みは約40μ
mとなるようにした。
【0017】次に内部電極用の卑金属ペーストとして
は、少なくともNi金属粉と有機ビヒクルとを混練して
なる市販のNiペースト(住友金属鉱山(株)製)を用
いた。次に上記Niペーストを用いてグリーンシート上
に所望のパターンをスクリーン印刷(印刷乾燥後約7μ
m)した。このようにして得られた電極パターン形成済
みグリーンシートを、内部電極パターンが対向するよう
に11枚重ね合わせ(有効誘電体層は10層)、熱圧着して
一体化した。そしてさらに4mm×3mmの寸法に切断して
未焼結積層体を準備した。この未焼結積層体の厚みは約
1mmとなるように、図1に示すように有効誘電体層1の
両側に各300 μmの無効誘電体層2を設けた。図1にお
いて、3は内部電極層である。
【0018】次に、この未焼結積層体の脱バインダを行
なう。脱バインダは箱型の電気炉を使用し、大気中で行
なった。その温度プロファイルを図2に示す。ここに示
した温度プロファイルは一例である。脱バインダの目的
はグリーンシートや内部電極ペースト内に含まれる有機
成分の除去にあり、それらが充分に除去できるのであれ
ば図2に示した温度に限るものではない。また、内部電
極にNiペーストを用いているため脱バインダ温度によ
り当然NiのNiOへの酸化が生ずるが、注意すべきこ
とは内部電極のNiの酸化膨張による積層体へのクラッ
クやデラミネーションの発生に対する影響についてであ
る。酸化してはならないということではない。なお、本
実施例に示した条件での脱バインダ工程の後、内部電極
層のNiがどの程度酸化しているかを調べた。これは脱
バインダ後の未焼結積層体の磁気特性をVSM装置(試
料振動型磁力計)で測定し、磁化量より判断した。その
結果、脱バインダ工程後のNi量は、脱バインダ工程前
すなわち試料切断後を100とした場合、約50に減少して
いた。このことは、内部電極の約半分が酸化されNiO
に変化したことを示すものである。
【0019】次にメタライズ工程を250 ℃の温度で5時
間、1分間に0.5 リットルの水素ガスを流しながら行な
った。メタライズ工程後のNi量も脱バインダ後と同様
に測定した。その結果、メタライズ後のNi量は約110
であった。ここでNi量が切断後に対して約1割増加し
たのは、Niペーストの段階で初期酸化していた部分ま
で還元されたためと考えられている。このようにして準
備されたメタライズ工程済み試料を次に焼成した。
【0020】焼成には管状炉(炉心管内径100mm 、長さ
1000mm)を使用した。試料はジルコニアの鞘に載せ炉心
管の中央に位置するように設置した。鞘はまず1段で行
なった。試料数は約100 個、全面に広がるように配置し
た。なお敷粉にはジルコニアを使用した。試料を入れた
後、炉心管内を窒素ガスで置換した。
【0021】焼結工程の温度プロファイルを図3に示し
た。なお、焼成時には電気炉内に1分間当り2リットル
の窒素ガスを流した。本実施例に用いた窒素ガスは、液
体窒素のタンクから配管により供給されているものであ
り、含まれる酸素濃度は、東レエンジニアリング(株)
製酸素分析計(LC−700 L)で測定したところ約1p
pmであった。以上のようにして得られた複数の誘電体
セラミック層とそれを挟む卑金属内部電極層からなる焼
結体の端面に、外部電極として市販の900 ℃窒素雰囲気
焼成用Cuペーストを塗布し、メッシュ型の連続ベルト
炉によって焼付け、特性測定用試料とした。
【0022】静電容量および誘電正接は、周波数1キロ
ヘルツ、入力信号レベル1Vrms.にて測定し、静電
容量と内部電極の寸法形状より比誘電率を算出した。そ
の後直流50Vを1分間印加し、そのときの絶縁抵抗を測
定した。なお、誘電体セラミック層の厚みは約25μm、
内部電極層の厚みは3〜4μmであった。このようにし
て測定した試料の特性は比誘電率が室温で約2000、誘電
正接(tanδ)が約0.8 %、絶縁抵抗が約1×1011Ω
であった。
【0023】以上の結果は、問題なく積層セラミックコ
ンデンサの作製が可能であることを示している。
【0024】(実施例2)次に本実施例においては試料
を大量に炉内に投入したときの結果について詳しく説明
する。未焼結積層体の準備方法および脱バインダの条
件、メタライズ工程の条件、さらに焼結工程での温度プ
ロファイルやガス流量は実施例1と同様にして行なっ
た。試料はジルコニアの鞘に載せ7段積みにした。試料
は各段に約100個全面に広がるように配置した。このよ
うにして実施例1と同様に真空焼成を行なった。以上の
ようにして作製した試料の特性は1段だけで焼成した実
施例1の結果とほとんど同じであり、積層体作製時の寸
法誤差の範囲内であった。また、Ni量を前述したと同
様の方法で測定したところ約100 〜110 の範囲にあっ
た。この値は鞘1段だけで焼成した場合よりも高いもの
である。これは投入する窒素ガス中の酸素量が同じであ
ったため、焼成する試料が多いほど1つ1つの試料が酸
化される度合が低くなるためである。また鞘の上下の位
置による影響や同じ鞘内でも位置による影響はほとんど
認められなかった。大量試料の焼成の比較例として窒素
ガスとグリーンガスで電気炉内の雰囲気をコントロール
して焼成を行なった。しかし、この場合はメタライズ工
程は行なわず、脱バインダ工程後、焼結工程を行なっ
た。焼結工程の温度プロファイルは図3に示した条件で
ある。その際の雰囲気は電気炉内の酸素分圧が500 ℃以
上の温度領域でNiとNiOの平衡酸素分圧より1桁低
くなるように制御した。しかしながら窒素ガスとグリー
ンガスで雰囲気をコントロールして焼成した比較例の試
料は本発明実施例の製造方法により作製した試料と大き
く異なる特性を示した。まず、静電容量を試料の上下位
置の関係でみた場合、下の鞘ほど低い値を示した。ま
た、同じ鞘の中でガスの流れる方向で特性をみた場合、
ガスの吹き出し位置に近い程静電容量が高く、出口に近
い程低くなる傾向にあった。そして極端な場合容量がほ
とんど得られなかった。得られなかった試料の断面を研
磨し、光学顕微鏡で観察したところ、内部電極層がほと
んど消失していた。一方、VSM装置によりNi量を測
定したところ切断後のNi量を100 としたときの相対量
として約50〜110 の間にばらついていた。この約50とい
う値は本実施例で用いた脱バインダ工程後のNi量に相
当するものである。言い替えれば比較例の場合、還元ガ
スを電気炉内に投入して焼成したにもかかわらず試料位
置によってはその還元ガスがまったく作用していないこ
とを示すものである。そして、同じ鞘内でみた場合、最
初に還元ガスを受ける部分で大部分が消費され、出口に
近い所の試料に対しては充分に供給されていないことが
わかる。また、一番上の鞘の試料においては絶縁抵抗が
極端に近く、10 7 Ω程度しかないものが多数あった。こ
の結果は電気炉上部ほど還元ガスである水素ガスの濃度
が高く、強い還元雰囲気になったために誘電体材料中の
BaTiO3 が半導体化したためと考えられる。以上の
ような結果は電気炉内の雰囲気のばらつきを示すもので
あり、雰囲気コントロールの困難さを示すものである。
【0025】以上の結果より、本発明の実施例に示した
ように、脱バインダ工程の後にメタライズ工程を設ける
ことにより雰囲気コントロールする必要もなく、大量の
試料を特性のばらつき少なく製造することが可能とな
る。そして、本発明実施例の方法は、焼成試料が多くな
れば多くなるほどその効果を十分に発揮するものであ
る。
【0026】また本発明の実施例の場合、もう1つの効
果がある。それは、卑金属内部電極層を薄層化すること
ができるということである。なぜならば比較例の場合、
雰囲気コントロールが困難で、電極酸化による電極消失
が避けられないため、NiがNiOに酸化しても電極消
失につながりにくいように、あらかじめ卑金属内部電極
層を厚くしなければならない。本実施例では内部電極厚
みが焼成後3〜4μm(印刷乾燥後約7μm)の1種類
しか行なわなかったが、何種類か厚みの異なる試料を作
製し同様に実施し比較したところ、本発明実施例の製造
方法を用いた場合、印刷厚み約1.5 μmでも約7μm印
刷した場合と同様な結果が得られた。この結果は大きな
意味を持つものである。なぜならば、内部電極層の薄層
化は積層時の電極による段差の低減につながり、高積層
化に対して大きな威力を発揮するものである。
【0027】なお、材料面からみた場合、誘電体材料組
成は本発明の実施例に示したものに限るものではなく耐
還元性を有するものであればよい。またグリーンシート
作製時の有機成分についても本実施例に示したものに限
るものではない。ただし、有機成分の種類により炭素成
分除去のための熱処理条件が異なってくるため、使用す
る有機成分により最適な条件を選択する必要がある。
【0028】また、プロセス面からみた場合、メタライ
ズ工程の目的は脱バインダ工程で酸化した内部電極層を
金属化することであるため、当然本実施例に示した以外
の方法が可能である。たとえば、水素と窒素の混合ガス
を用いる方法、COガスを用いる方法、さらに電気炉内
に非常に平衡酸素分圧の低いゲッターを入れて行なう方
法などが考えられ、いずれも有効な手段である。ただ
し、それぞれの方法によって最適温度、時間、最適ガス
流量などが異なるのはいうまでもない。また、焼結工程
においては本実施例では窒素ガスを用いたが、窒素ガス
に限らずアルゴンなどの不活性ガスでもよい。さらに、
酸素濃度が、通常の窒素ガス(配管ガスまたはボンベガ
ス)を用いて実現される場合と同じ程度であり、焼結工
程における内部電極層の酸化が20%以下におさえられる
のであれば、電気炉内を真空状態にして焼結工程を行な
うものも有効な手段である。
【0029】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の積層セラミ
ックコンデンサの製造方法は、誘電体セラミック層と卑
金属内部電極層を脱バインダした後、脱バインダ時に酸
化した卑金属内部電極層をメタライズする工程を有して
いるため、焼結工程を容易に行なうことが可能である。
そして焼結工程において還元ガスを含み、雰囲気をコン
トロールする方法と比較して、電気炉内の位置による雰
囲気のばらつきがないため、試料を一度に大量焼成する
ことが可能である。さらにこのことは、内部電極の薄層
化に対しても大きな効果を発揮し、積層セラミックコン
デンサに対する大きな要求である大容量化を高積層化の
面から助けるものである。以上の点から本発明は工業上
極めて有効な発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における未焼結積層体の断面
図である。
【図2】同脱バインダ工程の温度プロファイルを示す図
である。
【図3】同焼結工程の温度プロファイルを示す図であ
る。
【符号の説明】
1 有効誘電体層 2 無効誘電体層 3 内部電極層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡邊 靖夫 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の誘電体セラミック層とそれを挟む
    卑金属内部電極層を同時に焼成して作製する積層セラミ
    ックコンデンサの製造方法において、前記誘電体セラミ
    ック層および卑金属内部電極層中の有機成分を、炭素に
    対して充分な温度と雰囲気で熱処理して除去する脱バイ
    ンダ工程と、その後この脱バインダ工程において酸化し
    た積層セラミックコンデンサ未焼結体中の卑金属内部電
    極層を、誘電体セラミック層および卑金属内部電極層が
    焼結しない温度と雰囲気で還元し金属化するメタライズ
    工程と、その後卑金属内部電極層を還元するガスを含ま
    ない雰囲気中で誘電体セラミック層と卑金属内部電極層
    を焼結させる工程を有することを特徴とする積層セラミ
    ックコンデンサの製造方法。
  2. 【請求項2】 焼結工程の還元ガスを含まない雰囲気
    が、メタライズ工程後の卑金属内部電極層に含まれる卑
    金属を20%以上酸化させないものであることを特徴とす
    る請求項1記載の積層セラミックコンデンサの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 卑金属内部電極層の出発原料が、少なく
    ともNi金属粉と有機ビヒクルとを混練してなるNiペ
    ーストであることを特徴とする請求項1または請求項2
    記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
JP9840092A 1992-04-20 1992-04-20 積層セラミックコンデンサの製造方法 Pending JPH05299289A (ja)

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