JPH0529874A - 弾性表面波素子およびそれを用いた通信システム - Google Patents

弾性表面波素子およびそれを用いた通信システム

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JPH0529874A
JPH0529874A JP24246391A JP24246391A JPH0529874A JP H0529874 A JPH0529874 A JP H0529874A JP 24246391 A JP24246391 A JP 24246391A JP 24246391 A JP24246391 A JP 24246391A JP H0529874 A JPH0529874 A JP H0529874A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電気的抵抗を低減して、効率良く信号を取り
出すことのできる弾性表面波素子およびそれを用いた通
信システムを提供する。 【構成】 圧電性基板と、該基板上に設けられ、それぞ
れ第1及び第2の弾性表面波を励振する第1及び第2の
入力トランスデューサと、前記第1及び第2の弾性表面
波を互いに反対向きに伝搬させる弾性表面波導波路と、
前記第1及び第2の弾性表面波の相互作用によって前記
導波路から発する第3の弾性表面波を電気信号に変換し
て取り出す出力トランスデューサとを有して成る弾性表
面波素子において、前記出力トランスデューサが、前記
第3の弾性表面波の幅方向に配列され、各々が該第3の
弾性表面波の一部を受けて信号を出力する複数の部分を
有する櫛形電極から成り、前記複数の部分が、各々が出
力する電気信号の電界が同方向に合成されるように互い
に接続されたことを特徴とする弾性表面波素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、圧電性基板上で複数の
弾性表面波を伝搬させ、基板の物理的非線形効果を利用
して、これらの弾性表面波の相互作用によって生じた信
号を取り出す弾性表面波素子およびそれを用いた通信シ
ステムに関する。
【0002】
【従来の技術】弾性表面波素子は、スペクトラム拡散通
信を行うにあたってのキーデバイスとして、近年その重
要性が増大しつつある。また、実時間信号処理デバイス
としての応用も多く考えられ、盛んに研究されている。
【0003】図19はこのような従来の弾性表面波素子
の一例を示す概略平面図である。
【0004】同図において、圧電基板1上に1対の入力
用インターデジタルトランスデューサ2と、その間に中
央電極3とが設けられている。トランスデューサ2は弾
性表面波信号を励振する電極であり、中央電極3はその
弾性表面波信号を互いに反対方向に伝搬させ且つ出力信
号を取り出すための電極である。
【0005】このトランスデューサ2の一方に信号F
(t)exp(jωt)、他方に信号G(t)exp
(jωt)をそれぞれ印加すると、圧電基板1の表面に
は互いに反対方向の2つの弾性表面波 F(t−x/v)exp[jω(t−x/v)] …(1a) 及び G(t−(L−x)/v)exp[jω(t−(L−x)/v)]…(1b) が伝搬する。ここで、vは弾性表面波速度であり、Lは
中央電極3の長さである。
【0006】この伝搬路上では、非線形効果によって上
記弾性表面波の積の成分が発生し、これが中央電極3の
範囲で積分されて取り出される。出力信号H(t)は、
次式で表される。
【0007】
【数2】 ここで、αは比例定数である。
【0008】かくして、中央電極3から2つの信号F
(t)とG(t)とのコンボリューション信号を得るこ
とができる。
【0009】しかし、この様な構成では一般に効率が十
分でないことから、「中川他、電子通信学会論文誌’8
6/2,vol.j69−C,No.2,pp190〜
198」では、図20に示すような弾性表面波素子が提
案されている。尚、図20に示した座標軸は、便宜上付
記したものであり、基板の結晶軸を意味するものではな
い。
【0010】図20において、11は圧電基板であり、
12,13は、該基板1の表面上にx方向に適宜距離隔
てて対向配置されて形成されている2つの弾性表面波励
振用入力インターデジタルトランスデューサである。1
4−1,14−2,…,14−nは前記トランスデュー
サ12,13間においてx方向に延びて互いに平行に基
板11の表面に形成されている導波路である。また、1
5は基板11の表面上に上記導波路からy方向に適宜距
離隔てて配置され形成されている出力用インターデジタ
ルトランスデューサである。
【0011】この弾性表面波素子において、弾性表面波
励振用トランスデューサ12,13に対し角周波数ωの
電気信号を入力すると、該周波数の弾性表面波が励振さ
れ、該弾性表面波は導波路14−1,14−2,…,1
4−nをx軸方向に互いに反対向きに伝搬し、該導波路
にてパラメトリック・ミキシング現象によりy軸方向に
伝搬する角周波数2ωの弾性表面波が発生する。この弾
性表面波が出力用トランスデューサ15に到達し、該出
力用トランスデューサ15にて上記2つの入力信号のコ
ンボリューション電気信号を得ることができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図20
の弾性表面波コンボルバにおいて、信号の相互作用長
(積分時間)を長くしようとすると、導波路14−1〜
14−nの長さを長くする必要がある。出力用トランス
デューサの長さは導波路の長さと等しいため、相互作用
長が長くなるに従い出力用トランスデューサの長さも当
然長くなる。
【0013】また出力用トランスデューサの電極指の幅
は、コンボリューション信号の周波数と基板の弾性表面
波の伝搬速度により決まるため、入力中心周波数が高く
なるほど線幅は細くなり、抵抗が大きくなる。
【0014】例えば、ニオブ酸リチウム基板上に、出力
トランスデューサを、アルミニウムで形成された、交差
幅20mm,線幅4.4μm,膜厚0.3μmの6対電
極指を有する櫛形電極で構成した場合には、放射抵抗が
約2.4Ωであるのに対して、電極指1本当たり約41
0Ωの電極指抵抗があり、櫛形電極全体としては約68
Ωとなる。
【0015】この構成による出力トランスデューサでの
変換損失を測定したところ、図21に示されるように2
2dB程度と非常に大きな損失があることが確認され
た。
【0016】このように、多くの信号を同時に処理する
ために、弾性表面波導波路を長く、かつ櫛形電極の交差
幅も広くすると、櫛形電極を構成する電極指の抵抗は大
きくなり、この櫛形電極の電極指抵抗による損失が大き
くなり、素子としての効率が低下し、素子の特性を劣化
させるという欠点があった。
【0017】一方、「中川他、Jpn.J.Appl.
Phys.,vol.28,supplement 2
8−2,pp.221〜223(1989)」には、図
22に示すような弾性表面波素子が提案されている。図
22において、図20と同一の部材には同一の符号を付
し、詳細な説明は省略する。
【0018】図22の素子において、出力トランスデュ
ーサは、電気的遅延による干渉を防ぐため、各々が櫛形
電極から成る複数の部分25−1,25−2,25−3
より構成されている。これらの部分25−1〜25−3
は、それぞれが導波路14−1〜14−nから発した弾
性表面波の3分の1を受けて電気信号に変換する。これ
らの部分25−1〜25−3の出力信号は、電気的に合
成されて、出力ライン26を介して出力端子9a,9b
から取り出される。
【0019】しかしながら、図22の構成では、出力ト
ランスデューサの部分25−1,25−2及び25−3
から出力される信号の電界は、それぞれ矢印E1’,E
2’及びE3’に示すように交互に反対向きとなる。こ
のため、部分25−1及び25−3の出力と、部分25
−2の出力とは互いに打消し合い、コンボリューション
信号が端子9a,9bより効率良く取り出されないとい
った問題点があった。
【0020】(発明の目的)本発明の目的は、上記従来
技術の問題点を解決し、電気的抵抗を低減して、効率良
く信号を取り出すことのできる弾性表面波素子およびそ
れを用いた通信システムを提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するための手段として、圧電性基板と、該基板上に設
けられ、それぞれ第1及び第2の弾性表面波を励振する
第1及び第2の入力トランスデューサと、前記第1及び
第2の弾性表面波を互いに反対向きに伝搬させる弾性表
面波導波路と、前記第1及び第2の弾性表面波の相互作
用によって前記導波路から発する第3の弾性表面波を電
気信号に変換して取り出す出力トランスデューサとを有
して成る弾性表面波素子において、前記出力トランスデ
ューサが、前記第3の弾性表面波の幅方向に配列され、
各々が該第3の弾性表面波の一部を受けて信号を出力す
る複数の部分を有する櫛形電極から成り、前記複数の部
分が、各々が出力する電気信号の電界が同方向に合成さ
れるように互いに接続されたことを特徴とする弾性表面
波素子を提供するものである。
【0022】また、前記櫛形電極の放射抵抗値が、この
櫛形電極の電極指抵抗値の3分の1より大きいことを特
徴とし、また、櫛形電極の最大交差幅をw、櫛形電極の
抵抗率をr、櫛形電極の線幅をd、櫛形電極の膜厚を
h、櫛形電極の電極指の本数をN、基板の電気機械結合
係数をK2 、素子の動作周波数をf、基板の誘電率をε
としたとき、以下の条件式
【0023】
【数1】 を満足することを特徴とし、また、前記櫛形電極の複数
の部分が、互いに電気的に直列に接続されていることを
特徴とし、また、前記櫛形電極の複数の部分が、互いに
電気的に並列に接続されていることを特徴とし、また、
前記櫛形電極の複数の部分のいくつかは、互いに電気的
に直列に接続されており、複数の部分の他のいくつか
は、互いに電気的に並列に接続されていることを特徴と
し、また、前記櫛形電極が、2つ以上のセクションを有
するドッグレッグ型櫛形電極から成ることを特徴とする
弾性表面波素子によって、上記目的を達成しようとする
ものである。
【0024】また、本発明は、その通信システムとし
て、情報に応じて変調された信号を送信する送信機と、
該送信機より送信された変調信号を受信する受信回路
と、参照信号を発生する回路と、前記受信回路で受信さ
れた信号と参照信号とのコンボリューション信号を出力
する弾性表面波素子と、該弾性表面波素子から出力され
たコンボリューション信号を用いて情報を復調する回路
とを有して成る通信システムであって、前記弾性表面波
素子が、圧電性基板と、該基板上に設けられ、受信回路
で受信された信号に対応する第1の弾性表面波を励振す
る第1の入力トランスデューサと、前記基板上に設けら
れ、参照信号に対応する第2の弾性表面波を励振する第
2の入力トランスデューサと、前記第1及び第2の弾性
表面波を互いに反対向きに伝搬させる弾性表面波導波路
と、前記第1及び第2の弾性表面波の相互作用によって
前記導波路から発する第3の弾性表面波を電気信号に変
換して取り出す出力トランスデューサとを有して構成さ
れている通信システムにおいて、前記弾性表面波素子の
出力トランスデューサが、前記第3の弾性表面波の幅方
向に配列され、各々が該第3の弾性表面波の一部を受け
て信号を出力する複数の部分を有する櫛形電極から成
り、前記複数の部分が、各々が出力する電気信号の電界
が同方向に合成されるように互いに接続されたことを特
徴とする通信システムを有する。
【0025】
【作用】複数の音響電気変換器の出力端子のうち、弾性
表面波から変換された電気信号の極性が異なる出力端子
を電気的に直列に接続するという、本発明の手段によれ
ば、各音響電気変換器にて変換される電気信号の電界
は、同じ方向で合成され、出力が打ち消されることなく
取り出すことができる。
【0026】また、複数の音響電気変換器を電気的に並
列に接続するという、本発明の手段によれば、各音響電
気変換器にて変換される電気信号が出力端子に到達する
までの時間差を低減させ、素子の特性を向上させること
ができる。
【0027】また、複数の音響電気変換器を電気的に直
列および並列に接続するという、本発明の手段によれ
ば、音響電気変換器の全体としてのインピーダンスを変
化させることができ、外部回路とのインピーダンス整合
を容易に取ることができる。
【0028】また、音響電気変換器をドッグレッグ型櫛
形電極で構成するという、本発明の手段によれば、櫛形
電極の放射抵抗を大きくし、相対的に電極指抵抗を低く
することができ、電極指抵抗による損失を低減させ、素
子の特性を向上させることができる。
【0029】また、音響電気変換器を、櫛形電極とし、
この櫛形電極の放射抵抗を、該櫛形電極の電極指抵抗の
実質的に3分の1よりも大きくなるように、その電極の
交差幅等を設定するという、本発明の手段によれば、音
響電気変換器を構成する櫛形電極の電極指抵抗を小さく
し、これにより、電極指抵抗による損失を低減させ、素
子の特性を向上させることができる。
【0030】
【実施例】(実施例1)図1は、本発明の弾性表面波素
子の第1の実施例を示す概略平面図である。
【0031】図1において、符号31は圧電基板を示
す。このような圧電基板としては、例えばニオブ酸リチ
ウム等から成る基板を用いることができる。
【0032】符号32,33は、基板31の表面上にx
方向に適宜距離隔てて対向配置され形成されている入力
インターデジタルトランスデューサを示す。トランスデ
ューサ32,33は櫛形電極から成る。このような櫛形
電極は例えばアルミニウム、銀、金等の導電体を材料と
して、フォトリソグラフィー技術を用いて作成される。
これらのトランスデューサ32,33は、夫々x軸の正
方向及び負方向に伝搬する弾性表面波を励起するように
設けられている。
【0033】符号34−1,34−2〜34−3,…,
34−nは、基板31の表面上のトランスデューサ32
及び33の間に設けられた弾性表面波導波路を示す。こ
れらの導波路は、x方向に延びて互いに平行に、一定の
ピッチで配列されている。
【0034】上記のような導波路に関しては、電子通信
学会刊行、柴山乾夫監修の「弾性表面波工学」第82〜
102頁に詳しく述べられており、薄膜導波路やトポグ
ラフィック導波路が知られている。本発明においては基
板表面をアルミニウム、銀、金等の導電体で被覆したΔ
v/v導波路を用いるのが好ましい。
【0035】符号5は、導波路34−1〜34−nから
y方向に適宜距離隔てて基板31の表面上に形成された
出力インターデジタルトランスデューサである。このト
ランスデューサ5は、x方向に分割された、複数の部分
5−1,5−2及び5−3から構成されている。これら
の部分5−1〜5−3は、それぞれ櫛形電極から成る。
このような櫛形電極は、例えばアルミニウム、銀、金な
どを材料として、フォトリソグラフィー技術を用いて作
成される。
【0036】出力トランスデューサの部分5−1〜5−
3はそれぞれ、導波路34−1〜34−nから発した弾
性表面波の一部を電気信号に変換する。そして、これら
3つの部分で、弾性表面波の全幅が受けられるように設
けられている。
【0037】出力トランスデューサの部分5−1は、電
極指5−1a及び5−1bから構成されている。同様
に、部分5−2は、電極指5−2a及び5−2bから構
成され、部分5−3は、電極指5−3a及び5−3bか
ら構成されている。電極指5−1bと5−2a、電極指
5−2bと5−3aは、それぞれワイヤ(導線)30に
よって、電気的に接続されている。また、電極指5−1
a及び5−3bには引き出し線40が接続され、出力端
子39aと39b間に出力信号が取り出されるように構
成されている。
【0038】本実施例の弾性表面波素子において、一方
の入力端子37a,37bに中心角周波数ωの電気信号
を入力すると、入力トランスデューサ32にて第1の弾
性表面波が励振される。この第1の弾性表面波は、xの
正方向に伝搬して導波路34−1〜34−nに入射す
る。また、同様にして他方の入力端子38a,38bに
中心角周波数ωの電気信号を入力すると、入力トランス
デューサ33にて第2の弾性表面波が励振される。この
第2の弾性表面波は、xの負方向に伝搬して導波路34
−1〜34−nに入射する。
【0039】このように、導波路34−1〜34−n内
を第1及び第2の弾性表面波が互いに反対方向に伝搬す
る。そして導波路34−1〜34−nからは、パラメト
リック・ミキシング現象により、y軸方向に伝搬する中
心角周波数2ωの第3の弾性表面波が発生する。この第
3の弾性表面波は、入力トランスデューサ32,33に
それぞれ入力された信号のコンボリューション信号に対
応している。第3の弾性表面波は、出力トランスデュー
サの部分5−1〜5−3で分割して受信され、電気信号
に変換される。
【0040】ここで、出力トランスデューサの部分5−
1,5−2,5−3から出力される電気信号の電界は、
図1に示すようにE1,E2,E3となる。そして、各
部分の電極指の内、電気信号の極性が互いに異なる電極
指5−1bと5−2a,5−2bと5−3aが直列に接
続されているので、各部分の出力信号は同方向(同相)
に合成され、合成された信号が出力端子39a,39b
から取り出される。
【0041】尚、弾性表面波導波路34−1〜34−n
の配列ピッチ(隣り合う導波路の中心線間の距離)は、
これらの導波路から発生した第3の弾性表面波の波長と
同じになるように形成されている。この構成によって、
各導波路34−1〜34−nにて生じた信号波が同相で
重なり、第3の弾性表面波を効率良く励振させることが
できる。
【0042】(実施例2)図2は本発明の弾性表面波素
子の第2実施例を示す概略平面図である。図2におい
て、図1と同一の部材には同一の符号を付し、詳細な説
明は省略する。
【0043】本実施例は、出力トランスデューサ35を
構成する部分35−1,35−2,35−3の電極指の
一部が基板31上にてプリント配線により一体的に形成
されて直接接続されている点で第1実施例と異なる。
【0044】本実施例においても第1実施例と同様の作
用効果が得られることは明白である。
【0045】更に、本実施例では、各部分35−1,3
5−2,35−3を接続するワイヤが不要となるので、
第1実施例に比べて素子作製が容易になるという効果が
ある。
【0046】(実施例3)図3は本発明の弾性表面波素
子の第3実施例を示す概略平面図である。図3におい
て、図2と同一の部材には同一の符号を付し、詳細な説
明は省略する。
【0047】本実施例は、導波路34−1〜34−nを
挟んで、出力トランスデューサ35と反対側の基板上
に、出力トランスデューサ36を設けた点で、第2実施
例と異なる。出力トランスデューサ36は、トランスデ
ューサ35と同一の構成を有する。すなわち、トランス
デューサ36は、直列に接続された複数の部分36−
1,36−2,36−3から構成されている。
【0048】本実施例において、トランスデューサ35
に向かう方向(y軸の負方向)に伝搬する弾性表面波
は、第1実施例と同様にトランスデューサ35で電気信
号に変換され、出力端子39a,39bから取り出され
る。一方、導波路34−1〜34−nは、トランスデュ
ーサ36に向かう方向(y軸方向)にも、弾性表面波を
伝搬させる。この弾性表面波は、出力トランスデューサ
36の部分36−1〜36−3で電気信号に変換され
る。各部分36−1〜36−3の出力信号は、その電界
の方向が同方向となるように合成され、引き出し線41
を介して、出力端子10a,10bから取り出される。
各々の出力端子から取り出された信号を加え合わせるこ
とによって、素子全体の出力が得られる。
【0049】本実施例では、このように導波路から発生
する弾性表面波を出力トランスデューサで漏れなく受
け、全て電気信号に変換しているので、第2実施例の2
倍の出力を得ることができる。
【0050】本実施例において、トランスデューサ35
及び36は、導波路に対しほぼ等距離に配置されている
が、導波路からこれらのトランスデューサまでの距離を
異ならせて配置すれば、それぞれのトランスデューサか
ら互いに時間差をもった2つの出力を得ることもでき
る。
【0051】また、第1実施例において、導波路を挟ん
でトランスデューサ5の反対側の基板上に、トランスデ
ューサ5と同一の構成を有する出力トランスデューサを
設けても良い。
【0052】以上の実施例においては、各トランスデュ
ーサを3つの部分から構成している。しかしながら、こ
れらの部分の数は3つに限定されるものではなく、2
つ、あるいは4つ以上の部分から出力トランスデューサ
を構成しても構わない。このように、出力トランスデュ
ーサを構成する部分の数を適宜設定することができる点
は、以下の全ての実施例においても同様である。
【0053】(実施例4)図4は本発明の弾性表面波素
子の第4実施例を示す概略平面図である。図4におい
て、図1と同一の部材には同一の符号を付し、詳細な説
明は省略する。
【0054】本実施例の弾性表面波素子は、出力トラン
スデューサ45が、所謂ドッグレッグ型櫛形電極から構
成されている点で、第1実施例と異なる。ドッグレッグ
型電極は、電極指が交差している部分を一つの単位(セ
クション)として、複数のセクションが直列に接続され
た櫛形電極と考えることができる。このようなドッグレ
ッグ型電極に関しては、K.L.Lakin et a
l.,IEEE Trans.MTT.,Vol.MT
T−22,No.8,pp.763〜768(197
4)に詳しく説明されている。
【0055】本実施例は、第1実施例と同様の作用効果
が得られる。また、ドッグレッグ型櫛形電極の放射抵抗
はドッグレッグのセクション数の2乗に比例する。一
方、電極指抵抗はドッグレッグのセクション数にかかわ
りなくほぼ一定である。したがって、例えば出力トラン
スデューサとしてセクション数3のドッグレッグ型櫛形
電極を用いた場合には、通常の櫛形電極を用いた場合に
比べて放射抵抗と電極指抵抗との比が9倍となり、電極
指抵抗による損失を相対的に減少させることができ、こ
れにより素子の特性が向上する。
【0056】(実施例5)図5は本発明の弾性表面波素
子の第5実施例を示す概略平面図である。図5におい
て、図4と同一の部材には同一の符号を付し、詳細な説
明は省略する。
【0057】本実施例は、導波路34−1〜34−nを
挟んで、出力トランスデューサ45と反対側の基板上
に、出力トランスデューサ46を設けた点で、第4実施
例と異なる。出力トランスデューサ46は、トランスデ
ューサ45と同一の構成を有する。すなわち、トランス
デューサ46は、ドッグレッグ型電極から成る。
【0058】本実施例において、トランスデューサ45
に向かう方向(y軸の負方向)に伝搬する弾性表面波
は、第4実施例と同様にトランスデューサ45で電気信
号に変換され、出力端子39a,39bから取り出され
る。一方、導波路34−1〜34−nは、トランスデュ
ーサ46に向かう方向(y軸の正方向)にも、弾性表面
波を伝搬させる。この弾性表面波は、出力トランスデュ
ーサ46で電気信号に変換され、引き出し線41を介し
て、出力端子10a,10bから取り出される。各々の
出力端子から取り出された信号を加え合わせることによ
って、素子全体の出力が得られる。
【0059】本実施例では、このように導波路から発生
する弾性表面波を出力トランスデューサで漏れなく受
け、全て電気信号に変換しているので、第4実施例の2
倍の出力を得ることができる。
【0060】本実施例において、トランスデューサ45
及び46は、導波路に対しほぼ等距離に配置されている
が、導波路からこれらのトランスデューサまでの距離を
異ならせて配置すれば、それぞれのトランスデューサか
ら互いに時間差をもった2つの出力を得ることもでき
る。
【0061】以上の実施例は、出力トランスデューサの
複数の部分を直列に接続したものであるが、これら複数
の部分を、各々が出力する信号の電界が同方向に合成さ
れるように、並列に接続しても良い。この例を以下に説
明する。
【0062】(実施例6)図6は本発明の弾性表面波素
子の第6実施例を示す概略平面図である。図6におい
て、図1と同一の部材には同一の符号を付し、詳細な説
明は省略する。
【0063】本実施例は、導波路34−1〜34−nか
ら発する弾性表面波を電気信号に変換する出力トランス
デューサ55が4つの部分55−1,55−2,55−
3及び55−4から構成され、これらの部分が、電気的
に並列に接続されている点で第1実施例と異なる。ここ
で、各部分55−1〜55−4はそれぞれ櫛形電極から
成る。そして、これらの櫛形電極の一方の電極指は、引
き出し線(導線)50によって、出力端子39aに接続
されている。また、各櫛形電極の他方の電極指は、引き
出し線50によって、出力端子39bに接続されてい
る。
【0064】本実施例において、導波路34−1〜34
−nから発した弾性表面波は、出力トランスデューサ5
5の部分55−1〜55−4で各々電気信号に変換され
る。そして、各部分の出力信号は、その電界が同方向を
向くように合成され、出力端子39a,39bより取り
出される。
【0065】本実施例においても、第1実施例と同様
に、出力トランスデューサの電極指抵抗を減少させる効
果が得られる。また、本実施例では、部分55−1〜5
5−4が並列に接続されているので、各部分の出力信号
が互いにほとんど時間差を生じることなく出力端子39
a,39bに到達する利点を有する。
【0066】(実施例7)図7は、本発明の弾性表面波
素子の第7実施例を示す概略平面図である。図7におい
て、図6と同一の部材には同一の符号を付し、詳細な説
明は省略する。
【0067】本実施例において、導波路34−1〜34
−nから発する弾性表面波を電気信号に変換する出力ト
ランスデューサ65は、3つの部分65−1,65−2
及び65−3から構成されている。これらの部分は、櫛
形電極から成る。そして、これらの櫛形電極の電極指の
一方は、他の櫛形電極の電極指と一体的に形成されてい
る。すなわち、各櫛形電極は、プリント配線によって接
続されている。また、これらの部分65−1〜65−3
は引き出し線51によって電気的に並列に接続されてい
る。そして、各部分の出力信号は、その電界が同方向を
向くように合成され、出力端子39a,39bより取り
出される。
【0068】本実施例においても、第6実施例と同様の
作用効果が得られる。また、本実施例は引き出し線の数
が少なくなるため、第6実施例に対し、素子の作成を更
に容易にする効果が得られる。
【0069】(実施例8)図8は、本発明の弾性表面波
素子の第8実施例を示す概略平面図である。図8におい
て、図7と同一の部材には同一の符号を付し、詳細な説
明は省略する。
【0070】本実施例は、導波路34−1〜34−nを
挟んで、出力トランスデューサ65と反対側の基板上
に、出力トランスデューサ66を設けた点で、第7実施
例と異なる。出力トランスデューサ66は、トランスデ
ューサ65と同一の構成を有する。すなわち、トランス
デューサ66は、3つの部分66−1〜66−3から構
成されている。
【0071】また、本実施例において、出力トランスデ
ューサ65からの信号の取り出しが、プリント配線52
と、引き出し配線54とを介して行われる。また、出力
トランスデューサ66からは、プリント配線53と、引
き出し線57とを介して、出力端子58a,58bに信
号が出力される。このように、プリント配線を用いるこ
とによって、引き出し線の数が減るため、素子の作成が
より容易となる効果がある。
【0072】本実施例において、y軸の負方向に伝搬す
る弾性表面波は、第7実施例と同様にトランスデューサ
65で電気信号に変換され、出力端子39a,39bか
ら取り出される。一方、導波路34−1〜34−nより
y軸の正方向に伝搬する弾性表面波は、出力トランスデ
ューサ66で電気信号に変換され、出力端子58a,5
8bから取り出される。各々出力端子から取り出された
信号を加え合わせることによって、素子全体の出力が得
られる。
【0073】本実施例では、このように導波路から発生
する弾性表面波を出力トランスデューサで漏れなく受
け、全て電気信号に変換しているので、第7実施例の2
倍の出力を得ることができる。
【0074】本実施例において、トランスデューサ65
及び66は、導波路に対しほぼ等距離に配置されている
が、導波路からこれらのトランスデューサまでの距離を
異ならせて配置すれば、それぞれのトランスデューサか
ら互いに時間差をもった2つの出力を得ることもでき
る。
【0075】更に、本発明は、出力トランスデューサの
複数の部分を一部直列に、一部並列に接続しても良い。
この例を以下に説明する。
【0076】(実施例9)図9は本発明の弾性表面波素
子の第9実施例を示す概略平面図である。図9におい
て、図1と同一の部材には同一の符号を付し、詳細な説
明は省略する。
【0077】本実施例は、導波路34−1〜34−nか
ら発する弾性表面波を電気信号に変換する出力トランス
デューサ75が、4つの部分75−1,75−2,75
−3及び75−4から構成されている。そして、部分7
5−1と75−2及び75−3と75−4とはワイヤ7
0により電気的に直列に接続されている。またこのよう
に直列に接続された部分の2組の対(75−1,75−
2)及び(75−3,75−4)は、引き出し線71に
よって電気的に並列に接続されている。
【0078】本実施例において、導波路34−1〜34
−nから発した弾性表面波は、出力トランスデューサ7
5の部分75−1〜75−4で各々電気信号に変換され
る。そして、各部分の出力信号は、その電界が同方向を
向くように合成され、出力端子39a,39bより取り
出される。本実施例においても、第1実施例と同様に、
出力トランスデューサの電極指抵抗を減少させる効果が
得られる。
【0079】また、本実施例の部分75−1〜75−4
のインピーダンスZ1 を、 Z1 =Ri +jXi (ただし、Ri はインピーダンスの実数部、Xi はイン
ピーダンスの虚数部、jは虚数単位、i=1,2,3,
4)とすると、全体のインピーダンスは、 1/Z=1/(Z1 +Z2 )+1/(Z3 +Z4 ) と表わされる。
【0080】本実施例の様に、直列と並列の接続を適宜
組み合せて用いることにより、出力トランスデューサの
インピーダンスを所望の値に調整することができる。従
って、出力トランスデューサのインピーダンスが外部回
路のインピーダンスに近くなるように調整することによ
って、外部回路とのインピーダンス整合が取りやすくな
る。
【0081】(実施例10)図10は本発明の弾性表面
波素子の第10実施例を示す概略平面図である。図10
において、図9と同一の部材には同一の符号を付し、詳
細な説明は省略する。
【0082】本実施例において、導波路34−1〜34
−nから発する弾性表面波を電気信号に変換する出力ト
ランスデューサ85は、4つの部分85−1,85−
2,85−3及び85−4から構成されている。これら
の部分は、櫛形電極から成る。そして、これらの櫛形電
極の電極指の一方は、他の櫛形電極の電極指と一体的に
形成されている。すなわち、各櫛形電極は、プリント配
線によって接続されている。また、2組の対(85−
1,85−2)及び(85−3,85−4)は引き出し
線80によって電気的に並列に接続されている。そし
て、各部分の出力信号は、その電界が同方向を向くよう
に合成され、出力端子39a,39bから取り出され
る。
【0083】本実施例においても、第9実施例と同様の
作用効果が得られる。また、本実施例は引き出し線の数
が少なくなるため、第9実施例に対し、素子の作成を更
に容易にする効果が得られる。
【0084】(実施例11)図11は、本発明の弾性表
面波素子の第11実施例を示す概略平面図である。図1
1において、図10と同一の部材には同一実符号を付
し、詳細な説明は省略する。
【0085】本実施例は、導波路34−1〜34−nを
挟んで、出力トランスデューサ85と反対側の基板上
に、出力トランスデューサ86を設けた点で、第10実
施例と異なる。出力トランスデューサ86は、トランス
デューサ85と同一の構成を有する。すなわち、トラン
スデューサ86は、4つの部分86−1〜86−4から
構成されている。
【0086】また、本実施例においては、出力トランス
デューサ85からの信号の取り出しが、プリント配線8
1と、引き出し配線82とを介して行われる。また、出
力トランスデューサ86からは、プリント配線83と、
引き出し配線84とを介して、出力端子90a,90b
に信号が出力される。このように、プリント配線を用い
ることによって、引き出し線の数が減るため、素子の作
成がより容易となる効果がある。
【0087】本実施例において、y軸の負方向に伝搬す
る弾性表面波は、第10実施例と同様にトランスデュー
サ85で電気信号に変換され、出力端子39a,39b
から取り出される。一方、導波路34−1〜34−nよ
りy軸の正方向に伝搬する弾性表面波は、出力トランス
デューサ86で電気信号に変換され、出力端子90a,
90bから取り出される。各々出力端子から取り出され
た信号を加え合わせることによって、素子全体の出力が
得られる。
【0088】本実施例では、このように導波路から発生
する弾性表面波を出力トランスデューサで漏れなく受
け、全て電気信号に変換しているので、第10実施例の
2倍の出力を得ることができる。
【0089】本実施例において、トランスデューサ85
及び86は、導波路に対しほぼ等距離に配置されている
が、導波路からこれらのトランスデューサまでの距離を
異ならせて配置すれば、それぞれのトランスデューサか
ら互いに時間差をもった2つの出力を得ることもでき
る。
【0090】次に、本発明の弾性表面波素子の電気的抵
抗に関して説明する。以下の説明は、前述の第1〜第1
1実施例のいずれにも適用できるが、ここでは、図6の
素子を例に説明を行う。
【0091】図6の素子において、出力トランスデュー
サの部分55−1,55−2,55−3及び55−4は
夫々正規型櫛形電極である。このような櫛形電極の中心
周波数における放射抵抗Ra は次式で与えられる。
【0092】 Ra =2・K2 /(π2 ・f・ε・w) …(3) 但し、wは櫛形電極の最大交差幅、K2 は圧電基板の電
気−機械結合係数、fは動作周波数、εは圧電基板の誘
電率である。
【0093】一方、櫛形電極の電極指抵抗Re は次式で
与えられる。
【0094】 Re =(2・r・w)/(d・h・N) …(4) 但し、rは櫛形電極の抵抗率、wは櫛形電極の最大交差
幅、dは櫛形電極の線幅、hは櫛形電極の膜厚、Nは櫛
形電極を構成する電極指の本数である。
【0095】図12は、この放射抵抗Ra と電極指抵抗
e と、電極指抵抗Re による損失の関係を示す図であ
るが、同図に示されるように、放射抵抗Ra は最大交差
幅wに反比例し、電極指抵抗Re は最大交差幅wに比例
する。
【0096】そして、図12に示すように3Ra =Re
を満足する交差幅wo の時、電極指抵抗による損失は約
6dBとなる。
【0097】したがって3Ra >Re 、すなわち、上記
の(3),(4)式より、 (r・w)/(d・h・N)<3・K2 /(π2 ・f・ε・w) …(5) の関係を満足するように出力トランスデューサを形成す
ることにより、電極指抵抗による損失を6dB以内に押
さえることができる。
【0098】そこで、本実施例は、3Ra >Re 、すな
わち櫛形電極の放射抵抗Ra が、該櫛形電極の電極指抵
抗Re の実質的に1/3より大きな櫛形電極を用いて出
力トランスデューサを構成することにより、電極指抵抗
による損失を小さくしようとしたものである。
【0099】ここで実質的に3Ra >Re としたのは、
図12のグラフに示されるように、この条件を満足する
櫛形電極の交差幅wがwo より小さい値となり、複数の
櫛形電極による音響電気変換器の構成上、及び製作上、
及び効率上の観点から最も好ましいからである。
【0100】本実施例では、出力トランスデューサの部
分55−1,55−2,55−3,55−4を、いずれ
もアルミニウムから成る交差幅5mm、線幅4.4μ
m、膜厚0.3μmの6対櫛形電極から形成すると、部
分1つ当たりの電極指抵抗Reは約17Ω、放射抵抗Ra
は約9.6Ωとなり、これは3Ra >Re の条件を満
たしている。
【0101】この部分55−1,55−2,55−3か
ら成る出力トランスデューサの変換損失を測定したとこ
ろ、図13に示すように約11dBとなり、図21に示
した従来例の約22dBに比べて、約11dBも損失が
小さくなり、効率が改善された。
【0102】図14は、以上説明したような弾性表面波
素子をコンボルバとして用いた通信システムの一例を示
すブロック図である。図14において、符号125は送
信機を示す。この送信機は、送信すべき信号をスペクト
ラム拡散して、アンテナ126より送信する。送信され
た信号は、受信機124のアンテナ120で受信され、
受信信号101は周波数変換回路102に入力される。
周波数変換回路120で弾性表面波コンボルバの入力周
波数に合う周波数に変換されたIF信号103は、図1
〜図11に示すような本発明の弾性表面波素子より成る
コンボルバ104に入力される。ここで、IF信号10
3は、コンボルバの一方の入力トランスデューサ、例え
ば図1のトランスデューサ32に入力される。
【0103】一方、参照信号発生回路105から出力さ
れる参照信号106は、弾性表面波コンボルバ104の
他方の入力トランスデューサ、例えば図1のトランスデ
ューサ33に入力される。そして、コンボルバ104で
は、先に説明したようにIF信号103と参照信号10
6とのコンボリューション演算(相関演算)が行われ、
出力トランスデューサ、例えば図1のトランスデューサ
5より、出力信号(コンボリューション信号)109が
出力される。
【0104】この出力信号109は、同期回路108に
入力される。同期回路108では、弾性表面波コンボル
バ104の出力信号109より同期信号111および1
12が作られてそれぞれ参照信号発生回路105および
逆拡散回路107に入力される。参照信号発生回路10
5では、同期信号111を用いて参照信号106をその
タイミングを調整して出力する。逆拡散回路107では
同期信号112を用いてIF信号103をスペクトラム
拡散される前の信号に戻す。この信号は復調回路110
にて情報信号に変換されて出力される。図15に逆拡散
回路107の構成例を示す。図15において、121は
符号発生器、123は乗算器である。符号発生器121
には、同期回路108から出力される同期信号112が
入力され、この同期信号112によってタイミングを調
節された符号122が出力される。乗算器123にはI
F信号103と符号122が入力され、IF信号103
と符号122との乗算結果が出力される。この時、IF
信号103と符号122とのタイミングが合っていれ
ば、IF信号103はスペクトラム拡散される前の信号
に変換されて出力される。
【0105】尚、受信信号101の周波数が弾性表面波
コンボルバ104の入力周波数に合っている場合には、
周波数変換回路102は不要であり、受信信号101を
増幅器およびフィルタを通して直接、弾性表面波コンボ
ルバ104に入力して良い。また、図14では説明をわ
かりやすくするために増幅器やフィルタを省略して記し
たが、必要に応じて各ブロックの前段あるいは後段に増
幅器やフィルタを挿入しても良い。更に、本実施例では
送信信号をアンテナ120にて受信しているが、アンテ
ナ120を用いずに送信機と受信機とをケーブルなどの
有線系で直接接続しても良い。
【0106】図16は、図14の通信システムにおける
受信機124の第1の変形例を示すブロック図である。
図16において、図14と同一の部材には同一の符号を
付し、詳細な説明は省略する。
【0107】本例は、同期追従回路113が設けられ、
IF信号103が同期追従回路113にも入力されてい
る。また、同期回路108から出力される同期信号11
2は同期追従回路113に入力され、同期追従回路11
3から出力される同期信号114が逆拡散回路107に
入力されている。これらの点で図14の例と異なる。同
期追従回路としては、タウ・ディザループ回路や遅延ロ
ックループ回路などがあるが、そのいずれを用いても良
い。
【0108】本実施例においても図14の例と同様の作
用効果が得られるが、更に本実施例では同期回路108
にて大まかな同期を取った後に、同期追従回路113に
より更に精度よく同期を取り、同期追従を行うので、同
期はずれが起こりにくくなり、誤り率を下げることがで
きる。
【0109】図17は、図14の通信システムにおける
受信機124の第2の変形例を示すブロック図である。
図17において、図14と同一の部材には同一の符号を
付し、詳細な説明は省略する。
【0110】本例では、弾性表面波コンボルバ104か
らの出力を検波回路115に入力し、検波回路115の
出力により復調を行っている。検波回路115として
は、同期検波回路や遅延検波回路、包絡線検波回路があ
り、信号の変調方式などにより使い分けることができ
る。
【0111】今、受信信号101が位相変調、周波数変
調、振幅変調などのある変調がなされた信号とすると、
弾性表面波コンボルバ104からの出力109には、そ
れらの変調情報が反映されている。特に、弾性表面波コ
ンボルバ104の導波路の長さdが、受信信号101の
データ1ビット当たりの時間をT、弾性表面波速度をv
として、d=vTを満たすならば、出力109に変調情
報がそのまま現われる、例えば、位相変調された信号f
(t)exp(jθ)が送信され、この信号を受信信号
101として受信したとする。
【0112】この際、参照信号g(t)106を弾性表
面波素子104に入力すると、その出力109は f(t)exp(jθ)g(τ−t)dt= exp(jθ)f(t)g(τ−t)dt…(6) となり、位相変調の情報が現われる。したがって、弾性
表面波素子104の出力109を適切な検波回路115
に通すことにより復調することができる。
【0113】図18は、図14の通信システムにおける
受信機124の第3の変形例を示すブロック図である。
図18において、図17と同一の部材には同一の符号を
付し、詳細な説明は省略する。
【0114】本例では、同期回路108が設けられ、弾
性表面波コンボルバ104の出力109が同期回路10
8にも入力されている。また、同期回路108から同期
信号111が出力されて参照信号発生回路105に入力
されている。これらの点で図17の例と異なる。
【0115】本実施例においても図17の例と同様の作
用効果が得られるが、本実施例では同期回路108を設
け、同期回路108から出力される同期信号111によ
って参照信号発生回路105を制御しているので、同期
を安定に取ることができる。
【0116】本発明は、以上説明した実施例の他にも種
々の応用が可能である。例えば、第1〜第11実施例に
おける入力トランスデューサを構成する櫛形電極をダブ
ル電極(スプリット電極)とすることにより、入力トラ
ンスデューサにおける弾性表面波の反射を抑圧でき、素
子の特性をより一層良好なものにすることができる。
【0117】また同様にして、出力トランスデューサを
構成する櫛形電極を、ダブル電極(スプリット電極)と
することにより、出力トランスデューサにおける弾性表
面波の反射を抑圧でき、素子の特性をより一層向上させ
ることができる。
【0118】また、第1〜第11実施例ではトランスデ
ューサとして電極指の交差幅とピッチが一定な正規型櫛
形電極を用いているが、アポダイズ電極等の重み付け電
極を用いてもよい。
【0119】さらに、第1〜第11実施例おいて、基板
はニオブ酸リチウムから成る基板単結晶に限定されるも
のではなく、例えば半導体やガラス基板上に圧電膜を付
加した構造等、パラメトリック・ミキシング効果がある
材料及び構造であればよい。
【0120】また、第1〜第11実施例では入力トラン
スデューサにて励振される弾性表面波をそのまま弾性表
面波導波路に導いているが、入力トランスデューサと導
波路との間にホーン型導波路やマルチストリップカプラ
等のビーム幅圧縮器を設けてもよい。
【0121】本発明は、特許請求の範囲を逸脱しない限
りにおいて、上記のような応用例を全て包含するもので
ある。
【0122】なお、図1〜図11に記載されている座標
軸は便宜上付記したものであり、基板の結晶等を意味す
るものではない。
【0123】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明によれ
ば、複数の音響電気変換器の出力端子のうち、弾性表面
波から変換された電気信号の極性が異なる出力端子を電
気的に直列に接続することにより、音響電気変換器にて
変換された電気信号の電界は同じ方向となり、同相で合
成され、出力が打ち消されることを防ぐことができ、素
子の効率を良くすることができる。
【0124】また、本発明によれば、複数の音響電気変
換器を電気的に並列に接続することにより、音響電気変
換器にて変換された電気信号が出力端子に到達するまで
の時間差を減少させることができ、素子の特性を向上さ
せることができる。
【0125】また、本発明によれば、複数の音響電気変
換器を、電気的に直列接続と並列接続とを併用して接続
することにより、音響電気変換器全体のインピーダンス
を変化させることができ、外部回路とのインピーダンス
整合を取りやすくすることができる。
【0126】また、本発明によれば、音響電気変換器
を、ドッグレッグ型櫛型電極にて構成することにより、
音響電気変換器の放射抵抗を大きくすることができ、相
対的に電極指抵抗による損失を低減させることができ
る。したがって、これによって素子の特性を向上させる
ことができるという効果が得られる。
【0127】また、本発明によれば、音響電気変換器
を、櫛型電極とし、この櫛型電極の放射抵抗を、該櫛型
電極の電極指抵抗の実質的に3分の1よりも大きくなる
ように、その電極の交差幅等を設定することにより、音
響電気変換器の全体としての抵抗を小さくすることがで
き、抵抗による損失を低減させ、素子の特性を向上させ
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面弾性波素子の第1実施例を示す概
略平面図。
【図2】本発明の表面弾性波素子の第2実施例を示す概
略平面図。
【図3】本発明の表面弾性波素子の第3実施例を示す概
略平面図。
【図4】本発明の表面弾性波素子の第4実施例を示す概
略平面図。
【図5】本発明の表面弾性波素子の第5実施例を示す概
略平面図。
【図6】本発明の表面弾性波素子の第6実施例を示す概
略平面図。
【図7】本発明の表面弾性波素子の第7実施例を示す概
略平面図。
【図8】本発明の表面弾性波素子の第8実施例を示す概
略平面図。
【図9】本発明の表面弾性波素子の第9実施例を示す概
略平面図。
【図10】本発明の表面弾性波素子の第10実施例を示
す概略平面図。
【図11】本発明の表面弾性波素子の第11実施例を示
す概略平面図。
【図12】櫛形電極の最大交差幅と放射抵抗および電極
指抵抗の関係を示す図。
【図13】本発明の弾性表面波素子における出力トラン
スデューサの変換損失を示す図。
【図14】本発明の弾性表面波素子に用いた通信システ
ムの一例を示すブロック図。
【図15】図14の逆拡散回路の具体的構成例を示すブ
ロック図。
【図16】図14の受信機の変形例を示すブロック図。
【図17】図14の受信機の変形例を示すブロック図。
【図18】図14の受信機の変形例を示すブロック図。
【図19】従来の弾性表面波素子の例を示す概略平面
図。
【図20】従来の弾性表面波素子の例を示す概略平面
図。
【図21】図20の素子における出力トランスデューサ
の変換損失を示す図。
【図22】従来の弾性表面波素子の他の例を示す概略平
面図。
【符合の説明】
1,11,31 基板 2,12,13,32,33 励振電極(入力トランス
デューサ) 3 中央電極 14−1〜14−n,34−1〜34−n 弾性表面波
導波路要素 5−1〜5−3,15,25−1〜25−3,35,3
5−1〜35−3,36,36−1〜36−3,65,
65−1〜65−3,66,66−1〜66−3、75
−1〜75−4,85,85−1〜85−4,86,8
6−1〜86−4音響電気変換器(櫛形電極)(出力ト
ランスデューサ) 45,46,5,55−1〜55−4 ドッグレッグ型
櫛形音響電気変換器 37a,37b,38a,38b 入力端子 9a,9b,10a,10b,39a,39b,58
a,58b,90a,90b 出力端子 26、40,41,50,51,54,57,71,8
0,81,82,84引き出し配線 30,70 ワイヤ(導線) 52,53,81,83 プリント配線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平2−225089 (32)優先日 平2(1990)8月29日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平2−225090 (32)優先日 平2(1990)8月29日 (33)優先権主張国 日本(JP)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電性基板と、該基板上に設けられ、そ
    れぞれ第1及び第2の弾性表面波を励振する第1及び第
    2の入力トランスデューサと、前記第1及び第2の弾性
    表面波を互いに反対向きに伝搬させる弾性表面波導波路
    と、前記第1及び第2の弾性表面波の相互作用によって
    前記導波路から発する第3の弾性表面波を電気信号に変
    換して取り出す出力トランスデューサとを有して成る弾
    性表面波素子において、前記出力トランスデューサが、
    前記第3の弾性表面波の幅方向に配列され、各々が該第
    3の弾性表面波の一部を受けて信号を出力する複数の部
    分を有する櫛形電極から成り、前記複数の部分が、各々
    が出力する電気信号の電界が同方向に合成されるように
    互いに接続されたことを特徴とする弾性表面波素子。
  2. 【請求項2】 前記櫛形電極の放射抵抗値が、この櫛形
    電極の電極指抵抗値の3分の1より大きい請求項1の弾
    性表面波素子。
  3. 【請求項3】 櫛形電極の最大交差幅をw、櫛形電極の
    抵抗率をr、櫛形電極の線幅をd、櫛形電極の膜厚を
    h、櫛形電極の電極指の本数をN、基板の電気機械結合
    係数をK2 、素子の動作周波数をf、基板の誘電率をε
    としたとき、以下の条件式 【数1】 を満足する請求項2の弾性表面波素子。
  4. 【請求項4】 前記櫛形電極の複数の部分が、互いに電
    気的に直列に接続されている請求項1の弾性表面波素
    子。
  5. 【請求項5】 前記櫛形電極の複数の部分が、互いに電
    気的に並列に接続されている請求項1の弾性表面波素
    子。
  6. 【請求項6】 前記櫛形電極の複数の部分のいくつか
    は、互いに電気的に直列に接続されており、複数の部分
    の他のいくつかは、互いに電気的に並列に接続されてい
    る請求項1の弾性表面波素子。
  7. 【請求項7】 前記櫛形電極が、2つ以上のセクション
    を有するドッグレッグ型櫛形電極から成る請求項1の弾
    性表面波素子。
  8. 【請求項8】 情報に応じて変調された信号を送信する
    送信機と、該送信機より送信された変調信号を受信する
    受信回路と、参照信号を発生する回路と、前記受信回路
    で受信された信号と参照信号とのコンボリューション信
    号を出力する弾性表面波素子と、該弾性表面波素子から
    出力されたコンボリューション信号を用いて情報を復調
    する回路とを有して成る通信システムであって、前記弾
    性表面波素子が、圧電性基板と、該基板上に設けられ、
    受信回路で受信された信号に対応する第1の弾性表面波
    を励振する第1の入力トランスデューサと、前記基板上
    に設けられ、参照信号に対応する第2の弾性表面波を励
    振する第2の入力トランスデューサと、前記第1及び第
    2の弾性表面波を互いに反対向きに伝搬させる弾性表面
    波導波路と、前記第1及び第2の弾性表面波の相互作用
    によって前記導波路から発する第3の弾性表面波を電気
    信号に変換して取り出す出力トランスデューサとを有し
    て構成されている通信システムにおいて、前記弾性表面
    波素子の出力トランスデューサが、前記第3の弾性表面
    波の幅方向に配列され、各々が該第3の弾性表面波の一
    部を受けて信号を出力する複数の部分を有する櫛形電極
    から成り、前記複数の部分が、各々が出力する電気信号
    の電界が同方向に合成されるように互いに接続されたこ
    とを特徴とする通信システム。
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