JPH0529821A - 自動車用アンテナ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 自動車の室内に取り付けて使用されるテレビ
およびＦＭ放送受信用のアンテナに関し、各帯域におい
ての十分な感度が得られないなどの従来の欠点を簡単な
構成によって解決することにある。 【構成】 車室内において、所定の長さで細幅部を有し
たアンテナ部材１０をピラー部６ａ，６ｂに、所定の長
さと幅のアース部材１１を天井８にそれぞれの一端を近
接して配置し、これらを２組以上設け同軸ケーブルによ
りダイバシティ装置に接続されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車の室内に取り付
けて使用されるアンテナに関するもので、特には屋根部
分を支持しているピラーの内側に取り付けて使用され、
テレビおよびＦＭ放送受信用として好適な自動車用のア
ンテナに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、従来の自動車用のアンテナに
は、大別してつぎの２種類がある。すなわち、その一つ
は、金属パイプを使用した固定のもの、あるいは手動ま
たはモータ等により引き出して使用するロッドアンテナ
であり、他の一つは、リアのウインドシールドガラス
（以下ウインドガラスという）内に、長尺の綿材からな
る導体を、複数回往復させて一体的に内装させたリアウ
インドガラス内蔵アンテナである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが前記のロッド
アンテナは、車外に取り付けて使用されるものであるた
め、その取り付け位置に制約を受けるばかりでなく、車
外に突出した状態になるため破損し易くいたずらされ易
い。

【０００４】また風雨に晒されて錆びたりすることが多
く、その機能を長期に渡って果たすには不十分なもので
あった。さらに、洗車の際や駐車のためパーキングタワ
ーへの入車時にも車体から突出しているため邪魔にな
り、モータ等によるアンテナにあっては駆動系が雑音の
発生源になる等の種々の問題点を有している。

【０００５】また、前記のリアウインドガラス内蔵アン
テナは、ガラス内に導体を内装する構造であるため、視
界を妨げないように導体そのものを細くすることが不可
欠である。しかし、あまり細くすると感度や受信帯域に
大きく影響し、性能が十分に発揮できなくなるという問
題点を有している。

【０００６】その対策として、増幅器を用いて感度を補
うなどしてはいるが、アンテナとしての基本利得が少な
いため、やはり十分な性能は得られないのが実状であ
る。また、アンテナの装着位置や車の進行方向の変化に
より受信状態が変化し、甚だしい場合は受信できない場
合がある。

【０００７】さらに、ガラスと導体の膨張率の違い等か
らガラスに内蔵することは技術的に難しく高価になって
いる。そして、自動車の製造時に装着される場合を除け
ば、後から装着することはほとんど不可能である。しか
も、従来の車載用アンテナ装置においては、各帯域にお
ける十分なアンテナ利得が得られず、それによってノイ
ズが多くなり、テレビにおいてはノイズによる画面の乱
れが著しくなって難視状態となる。

【０００８】したがって、この種の自動車用アンテナ装
置において受信機の性能の向上が大きな課題になってい
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】そこで、前記の課題を解
決する具体的手段として、第一に本発明は、自動車の屋
根部分を支持する支持部材の内側に受信周波数による所
定の長さと幅を有する第一の導電体を配置し、この近傍
の屋根部分の内側に第二の導電体を一端部を前記第一の
導電体に近接させて配置したことを特徴とする自動車用
アンテナ装置を提供するものであり、

【００１０】第二に本発明は、自動車の屋根部分を支持
する少なくとも二ケ所の支持部材のそれぞれの内側に受
信周波数による所定の長さと幅を有する第一の導電体を
配置し、これらの近傍の屋根部分の内側に第二の導電体
を一端部が前記第一の導電体に近接するようにそれぞれ
配置して、ダイバーシティ回路に接続したことを特徴と
する自動車用アンテナ装置を提供するものである。

【００１１】また、第一の導電体および第二の導電体に
は、それぞれ表面電流をよく通すよう金属材料により表
面処理が施されている。

【００１２】

【作用】第一の発明は、アンテナ部材およびアース部材
を略直交するように屋根の支持部材および天井部分に近
接配置しているので、外部に突起部分を形成することも
なく、したがって障害になることもない。また、車体窓
部より入射された電波を直接的にまたは車室内天井等で
反射した電波を間接的に、受信することができる。

【００１３】また第二の発明は、前記の第一の発明によ
るアンテナ部材およびアース部材からなるアンテナ構成
体を屋根の支持部材毎に複数配置して、車体窓部より入
射された電波を直接的にまたは車室内天井等で反射した
電波を間接的に受信し、これらの出力をダイバーシティ
回路に同軸ケーブルでそれぞれ接続する。そして、これ
らの出力はダイバーシティ回路内で比較され最良のアン
テナを常に使用することができるようにしたものであ
る。

【００１４】

【実施例】次に、本発明を図示の実施例によりさらに詳
しく説明する。第１図において、１は自動車などの車体
であり、この車体には、フロントウインドガラス２、リ
アウインドガラス（図示せず）およびサイドウインドガ
ラス４，５が設けられている。そして、車の屋根部分を
支持する各支持部材６ａ，６ｂ，６ｃ，６ｄ（通称ピラ
ーといっている）とこれらウインドガラスとの間には、
ウインドガラスを安定して支持するためのゴムなどから
なるシール材７（第３図）が配置されている。８は自動
車屋根の下部すなわち天井部分である。

【００１５】このような車体構成を有する自動車に対し
て、取り付けられる本発明のアンテナ構成体９（第４
図）は、実質的に平坦な板状の、所定長さと幅に形成さ
れた第一の導電体であるアンテナ部材１０と、所定の面
積を有する第二の導電体で形成されたアース部材１１と
から構成されている。これらには夫々リード線である同
軸ケーブル１３を接続する端子部１０ａ，１１ａが形成
されている。

【００１６】さらにアンテナ部材１０は、第２図に見ら
れるように所定の幅および厚さを有する帯状のものであ
って、その一部が細幅に製作されている。ここで、この
細幅部分が重要ではなくて、アンテナとしての全長 １
と、太幅部分としての全長 ２とが、それぞれＦＭ又は
ＶＨＦ（Ｌｏｗ）及びＶＨＦ（Ｈｉｇｈ）又はＵＨＦ帯
の中心周波数の略１／４波長とすることである。

【００１７】一方、アース部材１１は、所定の幅および
厚さを有する帯状のものであるが、ある程度の面積をも
っていれば形状は任意でよいが、製作上はアンテナ部材
と同じ材質で同じ幅と厚さにした方が有利である。すな
わち、第一の導電体であるアンテナ部材１０および第二
の導電体であるアース部材１１を一対としてアンテナ構
成体９を形成している。

【００１８】そして、本発明のアンテナ構成体は受信機
能を向上させるためにできれば一対以上使用することが
望ましい。すなわち、導電体であるアンテナ部材１０
は、車体の内側でかつ各支持部材６ａ，６ｂ，６ｃ，６
ｄに沿わせて配置され、できれば天井８に偏らせた状態
で配置する。

【００１９】この場合に、アンテナ構成体９が支持部材
であるいわゆるピラーの内張りで隠される位置に配置す
ることにより、外観的に体裁が良くなる。この配置に当
たり、ピラーの内張りに挟み込むようにして配置するこ
とができるが、取り付けの安定性を図るため、たとえば
両面接着テープ等を使用して貼着してもよい。また、意
匠等を考慮すれば、ネジ等によりピラー部分に取り付け
ることもできる。

【００２０】前記アース部材１１は、前記各配置された
アンテナ部材１０に近接した天井部分８にそれぞれ取り
付けられる。この場合に、取り付けを容易にするため、
たとえばアンテナと同様に両面接着テープ等を使用して
もよいが、アンテナ部材およびアース部材とも好ましく
は確実に固定する方が長期の使用に耐えられる。また、
貼着によるときには、前記アンテナ部材１０をリアウイ
ンドガラス２に貼着させアース部材を天井に貼着するよ
うにしてもよい。

【００２１】前記導電体アンテナ部材１０は、導電性を
有する材料で形成された板状である。そして、アンテナ
としての全長 １と、太幅部分としての全長 ２とが、
それぞれＦＭ又はＶＨＦ（Ｌｏｗ）及びＶＨＦ（Ｈｉｇ
ｈ）又はＵＨＦ帯の中心周波数の略１／４波長となるよ
うにしてあり、板厚はある程度の厚さが必要である。導
体表面積を比較的大きくしてアンテナ利得を高くする。
また、前記アース部材１１もアンテナと同種の導体であ
り、形状は単純な正方形、長方形あるいは丸状等の板材
のものが使用できる。

【００２２】このようにウインドガラスの内側で、かつ
車体の屋根を支持する支持部材６ａ，６ｂ，６ｃ，６ｄ
に夫々アンテナ部材１０を配置し、かつアース側すなわ
ちアース部材１１を車体の天井部に取り付けることによ
り、四方の窓ガラスから入る電波が直接あるいは天井部
分等により反射されてＦＭ及びＴＶ放送の受信を可能に
するのである。主アンテナの長さを複数段にして、かつ
それぞれの長さをＵＨＦ・ＶＨＦ帯の中心周波数の略１
／４波長にすることにより、電波を効率よく受信するこ
とができるので、高いアンテナ利得が得られるのであ
る。

【００２３】すなわち、第４図（ａ），（ｂ）のよう
に、アンテナ部材１０とアース部材１１とにより
（ａ）、ダイポールアンテナを構成する（ｂ）ことにな
るので、ＵＨＦ・ＶＨＦ帯のテレビ放送等の電波の受信
機能が大幅に向上し、しかもノイズが著しく少なくなる
のである。また、比較的電波の状態の良い地域では、取
り付け性等を考慮して、アンテナ部材を天井側にしても
よい。

【００２４】この場合、アース部材はそのままでも又ピ
ラー側に取り付けてもよいが、両部材の一端部が近接し
ていることが必要である。

【００２５】つぎに、第５図について、ダイバーシティ
回路１２への接続について説明する。各アンテナＡ１，
Ａ２，Ａ３及びＡ４は、それぞれ車体の支持部材に取り
付けられており、これらと各アース部材Ｅ１，Ｅ２，Ｅ
３及びＥ４とが対応している。そして、これらのアンテ
ナの出力は同軸ケーブルによりダイバーシティ回路に接
続される。ダイバーシティ回路は、これらアンテナから
の出力を整合し、比較してその時点でもっとも良い状態
のアンテナを選択して、そのアンテナに切換えて使用す
るものである。また細幅部は第２図のような一段ではな
く、必要に応じて段数を増やしてもよい。

【００２６】すなわち、周波数に合わせて一端部からの
長さを周波数の略１／４波長に決めればよい。こうする
ことにより、受信に必要な最適な長さのアンテナを手軽
に製作することができる。

【００２７】

【発明の効果】以上説明したように本発明に係る自動車
用アンテナ装置は、自動車の天井部分を支持する支持部
材の近傍に、アンテナ部材を配置し、これの端部に近接
する位置にアース部材を配置することにより、窓を通し
て車室内に入ってきた電波を直接および天井部分等の反
射により良好に受信できる。

【００２８】アンテナ構成体全て車室内にあり、邪魔に
ならない位置に納まっているので、従来のような錆びの
発生および折損、または視界を妨げるなどの心配が全く
なくなるという優れた効果がある。

【００２９】また、アンテナ部材とアース部材とをメッ
キすることにより、表面電流が流れ易くなり良好なアン
テナ特性が得られる。

【００３０】また、アンテナ部材とアース部材とが板状
でかつ小型にできるので、取り付け作業が容易でかつ安
定した状態に容易に取り付けられる。しかも板状で形成
されることにより、従来のような線材と異なり、導体断
面積を比較的大きくし、それによってアンテナ利得を高
くすることができるなどの種々の優れた効果を奏する。

【００３１】さらにまた、アース部材の大きさ及び形状
は任意に設定することができるので、自動車に合わせて
かつ後から装着（いわゆるオプション）して対応するこ
とができ、それによって全ての自動車において良好な受
信ができるという優れた効果も奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係る自動車用アンテナ装置を自動車
のフロントピラーの内側に取り付けた状態を示す略示的
斜視図である。

【図２】 同装置のアンテナ部材の要部を示す図であ
る。

【図３】 自動車の上方より見た本発明によるアンテナ
構成体を各ピラーに実施した図である。

【図４】 ダイポールアンテナとしての説明図である。

【図５】 ダイバーシティ回路構成を示す図である。

【符号の説明】

１…車体，２…フロントウインド，３…リアウインド，
４・５…サイドウインド，６ａ・６ｂ．６ｃ・６ｄ…支
持部材、７…シール部材、８…天井，１０…アンテナ部
材，１１…アース部材，１０ａ．１１ａ…端子部，１２
…ダイバーシティ回路

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 自動車の屋根部分を支持する支持部材の
   内側に受信周波数による所定の長さと幅を有する第一の
   導電体を配置し、この近傍の屋根の内側部分に第二の導
   電体を一端部を前記第一の導電体に近接させて配置した
   ことを特徴とする自動車用アンテナ装置。
2. 【請求項２】 前記二つの導電体は表面処理が施されて
   いることを特徴とする請求項１又は請求項２記載の自動
   車用アンテナ装置。
3. 【請求項３】 自動車の屋根部分を支持する支持部材の
   内側に長手方向に細幅の部分を受信周波数により所定の
   長さに形成された導電体を配置して、この第一の導電体
   の端部に近接した屋根の内側部分に、第二の導電体の端
   部を近接配置したことを特徴とする自動車用アンテナ装
   置。
4. 【請求項４】 自動車の屋根部分を支持する少なくとも
   二ケ所の支持部材の内側に長手方向に細幅の部分を受信
   周波数により所定の長さに形成された第一の導電体をそ
   れぞれ配置して、これらの第一の導電体にそれぞれ近接
   しかつ屋根部分の内側に、第二の導電体の端部をそれぞ
   れ近接させ配置したことを特徴とする自動車用アンテナ
   装置。
5. 【請求項５】 自動車の屋根部分を支持する少なくとも
   二ケ所の支持部材のそれぞれの内側に受信周波数による
   所定の長さと幅を有する第一の導電体を配置して、これ
   らの第一の導電体にそれぞれ近接しかつ屋根部分の内側
   に、第二の導電体を前記各第一の導電体の一端部をそれ
   ぞれ近接配置して、それぞれの前記第一の導電体および
   第二の導電体による各組合せの出力信号をダイバーシテ
   ィ回路に接続したことを特徴とする自動車用アンテナ装
   置。
6. 【請求項６】 前記第一の導電体および第二の導電体に
   よる各出力信号のダイバーシティ回路への接続は、同軸
   ケーブルを使用したことを特徴とする請求項５又は請求
   項６記載の自動車用アンテナ装置。