JPH05297192A - 放射性金属廃棄物の除染方法 - Google Patents

放射性金属廃棄物の除染方法

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JPH05297192A
JPH05297192A JP10455292A JP10455292A JPH05297192A JP H05297192 A JPH05297192 A JP H05297192A JP 10455292 A JP10455292 A JP 10455292A JP 10455292 A JP10455292 A JP 10455292A JP H05297192 A JPH05297192 A JP H05297192A
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JP
Japan
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metal waste
anode
cathode
metal
decontamination
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JP10455292A
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Inventor
Masami Toda
正見 遠田
Katsumi Hosaka
克美 保坂
Hitoshi Sakai
仁志 酒井
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】金属廃棄物を非接触で電解し、除染処理に伴う
作業性および作業効率の向上を図る。 【構成】電解液6として中性または酸性溶液を使用す
る。陽極5と陰極4との間に金属廃棄物2を設け、両極
5,4に直流電圧を印加し、陰極4と対面する金属廃棄
物2の表面を正極に所定時間帯電させて溶解する。陽極
5と陰極4の極性を逆転させて金属廃棄物2の内外面を
溶解する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は原子力発電施設の運転,
定期検査時および原子炉廃止措置時などに発生する金属
廃棄物量を低減するための金属廃棄物の除染方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】原子力発電施設の運転、定期検査時およ
び原子炉廃止措置時などに発生する金属廃棄物を徹底除
染する方法としては、例えば特開昭62-46297号公報、同
63-188799 号公報、同60-186799 号公報、特開平1-3113
00号公報、同2-22597 号公報などに開示されているよう
に、酸性溶液を用いた電解除染や化学除染が国内外で開
発され、実用化されている。
【0003】電解除染は板状、円筒状等の比較的単純形
状の金属廃棄物に対して効果的であり、金属廃棄物を陽
極として除染面に対峙して陰極を設置し、陽極と陰極間
に直流電圧を印加して除染面の母材を研磨し、金属廃棄
物から放射能を除去するものである。
【0004】化学除染は除染液として硫酸、硝酸等を用
い、この除染液に機器を浸漬して除染するもので、電解
除染では除染が難しい曲管やバルブ等の複雑形状物の金
属廃棄物に対して効果的である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上述した
除染方法は次のような課題を有している。 (1) 電解除染 (a) 金属廃棄物と陽極との接続部分が溶解しないため汚
染が残留し、掴み換えを行って再除染する必要がある。 (b) 機器が大型になると機器と陽極との接触抵抗が大き
くなるため、この部分の陽極が腐食し、接続部陽極の交
換が必要である。 (c) 大量の機器を処理する場合は、電極の掴み換え、接
続部陽極の交換が必要であるため、作業性、作業効率が
悪く、作業員の被曝低減、装置自動化が難しくなる。
【0006】(2) 化学除染 (a) 硫酸や硝酸ではステンレス鋼に対しては溶解速度が
遅いため、金属廃棄物の放射能レベルをバックグランド
レベルに低下させるまでの除染時間が長い。◎ (b) 硫酸や硝酸の濃度が高いため、廃液処理にともな
う、二次廃棄物の発生量が多い。
【0007】本発明は上記課題を解決するためになされ
たもので、電極の掴み換え、除染前後の電極の着脱作業
が不必要となり、しかも金属廃棄物の放射能レベルが短
時間にバックグランドレベルに除染でき、板状、円筒状
等の単純形状機器および曲管、バルブ等の複雑形状機器
に対して適用可能な放射性金属廃棄物の除染方法を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】第1の発明は原子力施設
で使用された金属の表面または内面に付着している放射
性物質を溶解または剥離除去して放射性金属廃棄物を除
染する方法において、前記金属廃棄物の一方の面側に電
解液中で正極に帯電させるための陰極を設置し、前記金
属廃棄物の他方の面側に負極に帯電させるための陽極を
設置して、その両極間に直流電圧を印加し、前記陰極に
対面している前記金属廃棄物の表面を所定時間正極に帯
電させたのち、前記陽極と陰極との極性を逆転させて前
記金属廃棄物の他方の面を正極に帯電させて溶解するこ
とを特徴とする。
【0009】第2の発明は原子力施設で使用された金属
の表面または内面に付着している放射性物質を溶解また
は剥離除去して放射性金属廃棄物を除染する方法におい
て、前記金属廃棄物の一方の面を酸性電解液中で正極に
帯電させるための陰極とし、前記金属廃棄物の他方の面
を負極に帯電させるための陽極とし、その両極間に直流
電圧を印加して前記金属廃棄物表面の不動体態化被膜を
前記負極に帯電させて破壊し、前記直流電圧の印加を停
止して前記金属廃棄物母材を前記酸性電解液中に溶解す
ることを特徴とする。
【0010】
【作用】本発明における電解法の電解反応の原理を図9
に示す。数枚の電極14を隔膜15を間に挟み込んで配列
し、両端に直流電圧を印加すると一枚の電極14の片側が
正極(A)、他面が負極(B)に帯電し、各種反応が正
極、負極で起こる。しかしながら、一般産業で使用され
ている電解液、電解条件では金属表面を溶解するまでに
は至らないため、金属廃棄物の除染に適用できない。
【0011】本発明は、複極式電解法を用い、金属表面
を溶解させるとともに金属廃棄物の放射能レベルをバッ
クグランドレベルに低下させる。
【0012】例えば板状、円筒状の金属廃棄物を電解液
中に浸漬し、一方の面に陰極を、他方の面に陽極を設置
して、陽極と陰極との間に直流電圧を印加すると陰極に
対面している金属廃棄物の表面は正極に帯電し溶解す
る。この時、表面に付着している放射能を含む酸化被
膜、または母材に浸透している放射能は金属母材の溶解
とともに除去される。
【0013】金属廃棄物が全面にわたり汚染している場
合は直流電源の極性を逆転することにより負極に帯電し
ていた面を正極に帯電させることができるため、容易に
母材を溶解することができ、金属廃棄物から放射能を除
去することができる。
【0014】また、曲管やバルブ等の金属廃棄物に対し
ては、酸性電解液中で一方の面に陽極を、他方の面に陰
極を設置して、陽極と陰極との間に直流電圧を所定時間
印加すると、陽極に対面している表面が負極に帯電し、
表面の不動態化被膜が破壊されて活性化し、酸性溶液中
に溶解する。
【0015】したがって、本発明による除染方法は、単
純形状、複雑形状物に対して適用することができ、電解
除染、化学除染の両方の除染性能を有している。
【0016】
【実施例】本発明に係る除染方法の第1の発明における
第1の実施例を図1を参照しながら説明する。図1は本
発明を説明するための除染装置の一例を示した系統図で
あり、図中符号1は除染槽、2は板状の放射性金属廃棄
物である。金属廃棄物2の両側に直流電源3に接続され
た陰極4と陽極5を設置し、除染槽1内に貯留した電解
液6中に金属廃棄物2、陰極4、陽極5および電解液加
熱用ヒータ7が浸漬されている。
【0017】電解液6は循環ポンプ8により除染槽1、
フィルタ9、電解液循環ライン10を循環する。また、除
染槽1の上部には電解液6から発生する蒸気,ガスを処
理するための排ガス処理系11が接続されている。
【0018】次に図1に示した除染装置を使用して第1
の実施例の除染方法について説明する。電解液6として
酸性溶液を選定し、除染槽1に貯留した電解液6に板状
の金属廃棄物2を浸漬し、不活性金属からなる陰極4と
陽極5を金属廃棄物2の両側に配置し、循環ポンプ8に
より電解液6を循環して電解液加熱用ヒータ7により所
定の温度に昇温し、直流電源3から前記陰極4と陽極5
との間に所定の電流密度の直流電圧を印加すると、前記
陰極4に対面している金属廃棄物表面(M)は下式に示
す反応が起こり溶解する。
【0019】 (陰極) H+ +2e→H2 ↑ …(1) (廃棄物) M→Mn++ne …(2) (陽極) H2 O→2H+ + 1/2O2 ↑+2e …(3)
【0020】金属廃棄物2に付着または金属廃棄物2の
母材に浸透している放射能は、母材を溶解することによ
り金属廃棄物2から除去されて電解液6に移行し、金属
廃棄物2の放射能レベルをバックグランドレベルに低下
させることができる。ここで、金属廃棄物2が全面にわ
たり汚染している場合は、直流電源3の極性を逆転し、
反対側の面を正極に帯電させて溶解する。
【0021】一方、電解液6から発生するミスト、蒸
気、ガス等は排ガス処理系11で処理される。
【0022】上記反応を確認するために金属廃棄物の例
として実施したステンレス鋼(SUS304)の溶解試験結果
を図2によって説明する。図2は電解液温度に対するス
テンレス鋼の溶解速度を相対速度(実験値/理論値)で
示したものである。
【0023】本実施例では酸性電解液として硫酸,硝酸
を選定し、硫酸濃度0.1mol/l、硝酸濃度0.5mol/lを
用い、電解液温度15〜90℃、チタンに白金コーティング
を施した陽極と陰極との間に直流電圧を印加して電流密
度 0.5A/cm2 で電解を実施した。
【0024】図中の縦軸はステンレス鋼の相対速度、横
軸は電解液温度の逆数で示した。ステンレス鋼の相対速
度は、電解液温度の逆数にほぼ反比例して減少した。
【0025】以上の説明からわかるように本実施例の処
理方法は、電解液温度15〜90℃の範囲でステンレス鋼を
溶解することができ、金属廃棄物の放射能レベルをバッ
クグランドレベルに低下させることができる。
【0026】次に図1に示した除染装置を使用して第1
の発明方法の第2の実施例について説明する。電解液6
として中性塩を選定し、除染槽1に貯留した電解液6に
板状の金属廃棄物2を浸漬し、不活性金属からなる陰極
4と陽極5を金属廃棄物2の両側に配置し、循環ポンプ
8により電解液6を循環して電解液加熱用ヒータ7によ
り所定の温度に昇温し、直流電源3から前記陰極4と陽
極5との間に所定の電流密度の直流電圧を印加すると、
前記陰極4に対面している金属廃棄物表面(M)は下式
に示す反応が起こり溶解する。
【0027】 (陰極) H+ +2e→H2 ↑ …(1) (廃棄物) M→Mn++ne→M(OH)n ↓ …(2′) (陽極) H2 O→2H+ + 1/2O2 ↑+2e …(3)
【0028】金属廃棄物2に付着または母材に浸透して
いる放射能は、母材を溶解することにより金属廃棄物2
から除去されて電解液6に移行し、金属廃棄物2の放射
能レベルをバックグランドレベルに低下させることがで
きる。なお、金属廃棄物2が全面にわたり汚染している
場合は、直流電源3の極性を逆転し、反対側の面を正極
に帯電させて溶解する。
【0029】一方、電解液6から発生するミスト、蒸
気、ガス等は排ガス処理系11で処理される。
【0030】上記反応を確認するために金属廃棄物の例
として実施した炭素鋼の溶解試験結果を図3,図4によ
って説明する。図3は中性塩電解液として硫酸ナトリウ
ムを選定し、電流密度に対する炭素鋼の溶解速度を相対
速度(実験値/理論値)で示したものであり、硫酸ナト
リウム濃度0.5mol/l、電解液温度60℃、チタンに白金
コーティングを施した陽極と陰極との間に直流電圧を印
加して電流密度を 0.1〜2A/cm2 で電解を実施した。
図中の縦軸は炭素鋼の相対速度、横軸は電流密度を示
す。
【0031】図4は中性塩電解液として硝酸ナトリウム
を選定し、硝酸ナトリウム濃度に対する炭素鋼の溶解速
度を相対速度(実験値/理論値)で示したものであり、
電解液温度60℃、チタンに白金コーティングを施した陽
極と陰極との間に直流電圧を印加して電流密度を 0.5A
/cm2 、硝酸ナトリウム濃度 0.1〜2 mol/lで試験を
実施した。図中の縦軸は炭素鋼の相対速度、横軸は硝酸
ナトリウムの濃度を示す。炭素鋼の溶解速度は、電流密
度、電解液濃度にほぼ比例して増加した。
【0032】本実施例からわかるように本実施例の処理
方法は、電流密度 0.1〜2A/cm2、電解液濃度 0.1〜2
mol/lの範囲で炭素鋼を溶解することができるため、
金属廃棄物の放射能レベルをバックグランドレベルに低
下させることができる。
【0033】第1の発明に係る原子力施設使用機器の除
染方法の第3の実施例を図5を参照しながら説明する。
図5は金属廃棄物として直管金属廃棄物を除染する場合
の除染装置の一例を示した系統図であり、図中符号1は
除染槽、12は直管金属廃棄物、7は電解液加熱用ヒータ
である。除染槽1に電解液6を貯留し、直管金属廃棄物
12の内側に陰極3を、外側に陽極5を設置し、電解液6
は循環ポンプ8により除染槽1、フィルタ9、電解液循
環ライン10を循環する。また、除染槽1の上部には電解
液6から発生する蒸気,ガスを処理するための排ガス処
理系11が接続されている。
【0034】次に図5に示した除染装置を使用して第3
の実施例について説明する。電解液6として酸性容器を
選定し、除染槽1に貯留した電解液6に直管金属廃棄物
12を浸漬し、不活性金属からなる陰極4を直管金属廃棄
物12内に挿入し、不活性金属からなる陽極5を直管金属
廃棄物12の外側に設置し、循環ポンプ8により電解液6
を循環して電解液加熱用ヒータ7により所定の温度に昇
温し、直流電源3から前記陰極4と陽極5との間に所定
の電流密度の直流電圧を印加すると、前記陰極4に対面
している直管金属廃棄物12の内面は前記式(2) に示す反
応が起こり、電解液6中に溶解する。
【0035】上記反応を確認するために金属廃棄物の例
として実施したステンレス鋼(SUS304)の溶解試験結果
を図6によって説明する。図6は電流密度に対するステ
ンレス鋼の溶解速度を相対速度(実験値/理論値)で示
したものである。
【0036】本実施例では酸性電解液として燐酸を選定
し、燐酸濃度40%、電解液温度60℃、チタンに白金コー
ティングを施した陽極と陰極との間に直流電圧を印加し
て電流密度 0.1〜1A/cm2 で試験を実施した。図中の
縦軸はステンレス鋼の相対速度、横軸は電流密度を示
す。ステンレス鋼の相対速度は、電流密度にほぼ比例し
て増加した。
【0037】本実施例によれば電流密度 0.1〜1A/cm
2 の範囲でステンレス鋼を溶解することができるため、
金属廃棄物の放射能レベルをバックグランドレベルに低
下させることができる。
【0038】次に、第2の発明に係る第1の実施例を図
7を参照しながら説明する。図7は金属廃棄物として曲
管金属廃棄物を除染する場合を説明するための除染装置
の一例を示した系統図であり、図中符号1は除染槽、13
は曲管金属廃棄物、7は電解液加熱用ヒータである。除
染槽1に電解液6を貯留し、曲管金属廃棄物13の内側に
陰極4,陽極5を設置し、電解液6は循環ポンプ8によ
り除染槽1、フィルタ9、電解液循環ライン10を循環す
る。また、除染槽1の上部には電解液6から発生する蒸
気,ガスを処理するための排ガス処理系11が接続されて
いる。
【0039】電解液6として酸性溶液を選定し、除染槽
1に貯留した電解液6に曲管金属廃棄物13を浸漬し、曲
管金属廃棄物13の両側に不活性金属からなる陰極4と陽
極5を設置し、循環ポンプ8により電解液6を循環して
電解液加熱用ヒータ7により所定の温度に昇温し、直流
電源3から前記陰極4と陽極5との間に所定の直流電圧
を所定時間印加すると、前記陽極5に対面している表面
が負極に帯電する。
【0040】炭素鋼は硫酸、硝酸等に対しては溶解され
易いが、全面に酸化被膜,錆等が付着している場合は溶
解されにくい。また、ステンレス鋼は表面に不動態化被
膜が形成されているため耐食性に優れている。しかし、
ステンレス鋼、炭素鋼の表面を負極に帯電させることに
より、表面の不動態化被膜および酸化被膜,錆等が破壊
され、金属母材が溶解する。その反応を以下に示す。
【0041】 (陽極) H2 O+2H+ → 1/2O2 ↑+2e …(4) (廃棄物)・不動態化被膜の破壊 Fe3 4 +8H+ +2e→3Fe3++4H2 O …(5) ・母材の溶解 Fe→Fe2++2e …(6) (陽極) H+ +2e→H2 ↑ …(7)
【0042】曲管金属廃棄物13の内面に付着または母材
に浸透している放射能は、母材を溶解することにより曲
管金属廃棄物13から除去されて電解液6に移行し、曲管
金属廃棄物13の放射能レベルをバックグランドレベルに
低下させることができる。
【0043】一方、電解液6から発生するミスト,蒸
気,ガス等は排ガス処理系11で処理される。
【0044】上記反応を確認するために金属廃棄物の例
として実施した曲管状の酸化被膜が付着したステンレス
鋼(SUS304)の溶解試験結果を図8によって説明する。
図8は溶解速度の経時変化を示したものである。
【0045】本実施例では酸性電解液として硫酸を選定
し、硫酸濃度1mol/l、電解液温度70℃、チタンに白金
コーティングを施した陽極と陰極との間に5Vの直流電
圧を5分間印加して溶解試験をを実施した。図中の縦軸
は溶解量、横軸は試験時間を示す。ステンレス鋼の溶解
量は、試験時間に比例して増加した。
【0046】本実施例によれば金属廃棄物の表面を負極
に帯電させることにより硫酸で溶解することができ、金
属廃棄物の放射能レベルをバックグランドレベルに低下
させることができる。したがって、電解除染では困難で
あった複雑形状物に対しても適用可能である。
【0047】以上説明したように、第1の発明の除染方
法は、電解液として酸性溶液(硫酸,硝酸,燐酸)と中
性塩溶液(硫酸ナトリウム,硝酸ナトリウム)を、電解
条件として第1〜3の実施例で示した電流密度、電解液
の温度、電解液の濃度を用い非接触で金属廃棄物を電解
すると金属廃棄物を正極に帯電させて金属母材を溶解す
ることができるため、ステンレス鋼、炭素鋼等の金属廃
棄物の放射能レベルをバックグランドレベルまで低下さ
せることができる。
【0048】また、第2の発明の第1の実施例で説明し
たように、曲管やバルブ等の複雑形状物に対しては酸性
容器(硫酸,硝酸,燐酸)を用い、非接触で金属廃棄物
を電解すると負極に帯電した表面は、不動態化被膜が破
壊されるため、金属表面を容易に溶解することができ、
不動態化被膜を形成するステンレス鋼,酸化被膜,錆等
が全面に付着している炭素鋼等の金属廃棄物の放射能レ
ベルをバックグランドレベルに低下させることができ
る。
【0049】さらに、炭素鋼のように表面に酸化被膜,
錆等が厚く、強固に付着している金属廃棄物に対しては
除染面を交互に正極,負極に帯電させることにより酸化
被膜,錆の破壊と母材の溶解を行うことができるため除
染効果が大きい。
【0050】しかして、本発明に係る原子力施設使用機
器などの放射性金属廃棄物の除染方法によれば、板状,
円筒状等の単純な形状をした金属廃棄物に対しては、従
来の電解研磨除染と同様な溶解速度が得られるため金属
廃棄物の放射能レベルを短時間に低下させることができ
る。また、従来の化学除染と同様に板状,円筒状はもち
ろん曲管,バルブ等の複雑な形状をした金属廃棄物に対
しても本発明の除染方法は適用できる。
【0051】さらに、本発明は除染に限らず例えば放射
性流体が流通する原子炉再循環系および原子炉浄化系を
構成する配管に放射性物質が付着することを抑制するた
めの配管内面の表面処理にも使用することができる。
【0052】なお、上記実施例においては酸性電解液と
して硫酸,硝酸,燐酸を用いたが、塩酸,弗酸,または
これら混合溶液でも同様な効果が得られる。また、中性
塩電解液としては硫酸ナトリウム,硝酸ナトリウムを用
いたが、炭酸ナトリウム,塩化ナトリウムでも同様な効
果が得られる。
【0053】電流密度は0.05〜2A/cm2 の範囲で、印
加電圧は1V〜50Vの範囲で電解液の濃度は0.01〜5mol
/l(燐酸は10wt%〜80wt%)の範囲で使用可能であ
る。
【0054】陰極,陽極の材質はチタンに白金コーティ
ングを施したものの代わりに、白金単独、またはチタン
以外の金属に白金コーティングを施したものを用いるこ
とも可能である。電極を消耗品とした場合は、チタン、
鉛等の金属を用いることも可能である。
【0055】
【発明の効果】本発明を要約すれば次の効果がある。 (1) 従来の電解研磨除染と同レベルの溶解速度が得られ
るため、金属廃棄物の放射能レベルを短時間にバックグ
ランドレベルに低下させることができる。 (2) 非接触で金属廃棄物を電解するため、給電部陽極の
交換、陽極の着脱作業が不必要となり、現場作業員の作
業性および作業効率が向上する。 (3) 大量の金属廃棄物を除染する場合、装置自動化が容
易に可能であるため、作業員の放射線被曝を低減するこ
とができる。 (4) 化学除染のように曲管やバルブ等の複雑形状の金属
廃棄物に対しても適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法で使用する除染装置の第1の例を示
す系統図。
【図2】第1の発明に係る第1の実施例における金属廃
棄物の溶解特性を示す特性図。
【図3】第1の発明に係る第2の実施例における中性電
解液で炭素鋼を溶解した例を示す特性図。
【図4】図3における相対速度と電解液との関係を示す
特性図。
【図5】第1の発明に係る第3の実施例で使用する除染
装置の例を示す系統図。
【図6】図5において金属廃棄物(ステンレス鋼)の溶
解特性を示す特性図。
【図7】第2の発明において使用する除染装置の例を示
す系統図。
【図8】図7において金属廃棄物(ステンレス鋼)の溶
解特性を示す特性図。
【図9】本発明方法の電解法の原理を線図的に示す縦断
面図。
【符号の説明】
1…除染槽、2…金属廃棄物、3…直流電源、4…陰
極、5…陽極、6…電解液、7…電解液加熱用ヒータ、
8…循環ポンプ、9…フィルタ、10…電解液循環ライ
ン、11…排ガス処理系、12…直管金属廃棄物、13…曲管
金属廃棄物、14…電極、15…隔膜、A…正極、B…負
極。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原子力施設で使用された金属の表面また
    は内面に付着している放射性物質を溶解または剥離除去
    して放射性金属廃棄物を除染する方法において、前記金
    属廃棄物の一方の面側に電解液中で正極に帯電させるた
    めの陰極を設置し、前記金属廃棄物の他方の面側に負極
    に帯電させるための陽極を設置して、その両極間に直流
    電圧を印加し、前記陰極に対面している前記金属廃棄物
    の表面を所定時間正極に帯電させたのち、前記陽極と陰
    極との極性を逆転させて前記金属廃棄物の他方の面を正
    極に帯電させて溶解することを特徴とする放射性金属廃
    棄物の除染方法。
  2. 【請求項2】 原子力施設で使用された金属の表面また
    は内面に付着している放射性物質を溶解または剥離除去
    して放射性金属廃棄物を除染する方法において、前記金
    属廃棄物の一方の面を酸性電解液中で正極に帯電させる
    ための陰極とし、前記金属廃棄物の他方の面を負極に帯
    電させるための陽極とし、その両極間に直流電圧を印加
    して前記金属廃棄物表面の不動体態化被膜を前記負極に
    帯電させて破壊し、前記直流電圧の印加を停止して前記
    金属廃棄物母材を前記酸性電解液中に溶解することを特
    徴とする放射性金属廃棄物の除染方法。
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EP0669625A3 (en) * 1994-02-01 1996-08-21 Kabushiki Kaisha Toshiba Apparatus and method for decontamination of radioactive metallic waste by electrolysis
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