JP3074108B2 - 放射性金属廃棄物の除染方法およびその装置 - Google Patents
放射性金属廃棄物の除染方法およびその装置Info
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- JP3074108B2 JP3074108B2 JP06010428A JP1042894A JP3074108B2 JP 3074108 B2 JP3074108 B2 JP 3074108B2 JP 06010428 A JP06010428 A JP 06010428A JP 1042894 A JP1042894 A JP 1042894A JP 3074108 B2 JP3074108 B2 JP 3074108B2
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は例えば原子力施設の
運転、定期検査時および廃止措置時に発生する放射能で
汚染された金属廃棄物の放射能を低減するための放射性
金属廃棄物の除染方法およびその装置に関する。
運転、定期検査時および廃止措置時に発生する放射能で
汚染された金属廃棄物の放射能を低減するための放射性
金属廃棄物の除染方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】原子力施設の運転、定期検査時および廃
止措置時に発生する放射性金属廃棄物(以下、金属廃棄
物と記す)を徹底的に除染する方法としては、例えば特
開昭62-46297号公報、同60-186799 号公報等に開示され
ているように、酸性および中性塩溶液を用いた電解除染
が国内外で開発され実用化されている。
止措置時に発生する放射性金属廃棄物(以下、金属廃棄
物と記す)を徹底的に除染する方法としては、例えば特
開昭62-46297号公報、同60-186799 号公報等に開示され
ているように、酸性および中性塩溶液を用いた電解除染
が国内外で開発され実用化されている。
【0003】電解除染は、板状,円筒状等の比較的単純
な形状の金属廃棄物に対して効果的であり、金属廃棄物
を陽極として除染面に対峙して陰極を設置し、金属廃棄
物と陰極間に直流電圧を印加して除染面の母材を研磨
し、金属廃棄物から放射能を除去するものである。
な形状の金属廃棄物に対して効果的であり、金属廃棄物
を陽極として除染面に対峙して陰極を設置し、金属廃棄
物と陰極間に直流電圧を印加して除染面の母材を研磨
し、金属廃棄物から放射能を除去するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た電解除染は次のような課題を有している。 (1)金属廃棄物と陽極との接続部分は溶解しないため
汚染が残留し、掴み換えを行って再除染する必要がある
ため除染作業が煩雑である。
た電解除染は次のような課題を有している。 (1)金属廃棄物と陽極との接続部分は溶解しないため
汚染が残留し、掴み換えを行って再除染する必要がある
ため除染作業が煩雑である。
【0005】(2)大型の機器を除染する場合は、表面
積に比例して電流値が大きくなるため、機器と陽極との
接続は接触面積を考慮した陽極治具が必要となる。従っ
て、機器の形状に合わせて陽極治具の交換を煩繁に行う
必要がある。
積に比例して電流値が大きくなるため、機器と陽極との
接続は接触面積を考慮した陽極治具が必要となる。従っ
て、機器の形状に合わせて陽極治具の交換を煩繁に行う
必要がある。
【0006】(3)大量の機器を処理する場合は、電極
の掴み換え、陽極治具の交換が必要であるため、作業員
の放射線や薬液等から発生する有害な雰囲気ガスの被ば
くが増加する。
の掴み換え、陽極治具の交換が必要であるため、作業員
の放射線や薬液等から発生する有害な雰囲気ガスの被ば
くが増加する。
【0007】本発明は上記課題を解決するためになされ
たもので、電極の掴み換え、除染前後の電極の着脱作業
を必要とせず、金属廃棄物の放射能を短時間に除去もし
くは放射能レベルを低下できる放射性金属廃棄物の除染
方法およびその装置を提供することにある。
たもので、電極の掴み換え、除染前後の電極の着脱作業
を必要とせず、金属廃棄物の放射能を短時間に除去もし
くは放射能レベルを低下できる放射性金属廃棄物の除染
方法およびその装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は放射性
物質で汚染された金属廃棄物を電解液中で非接触で電解
して誘電作用により金属母材を溶解して放射能を除去す
る放射性金属廃棄物の除染方法において、前記電解槽内
に上下側面の三辺に壁面を有し、他の側面の三辺が開口
した縦断面がほぼコの字型の絶縁性遮蔽体を設けて陽極
室と陰極室に区画し、陽極室内に陽極を設置し、陰極室
内に陰極と金属廃棄物を設置し、前記陰極と陰極間に接
続された直流電源から直流電圧を印加して、前記陰極に
対面している前記金属廃棄物の汚染面を正極に帯電させ
て金属母材を溶解することを特徴とする。
物質で汚染された金属廃棄物を電解液中で非接触で電解
して誘電作用により金属母材を溶解して放射能を除去す
る放射性金属廃棄物の除染方法において、前記電解槽内
に上下側面の三辺に壁面を有し、他の側面の三辺が開口
した縦断面がほぼコの字型の絶縁性遮蔽体を設けて陽極
室と陰極室に区画し、陽極室内に陽極を設置し、陰極室
内に陰極と金属廃棄物を設置し、前記陰極と陰極間に接
続された直流電源から直流電圧を印加して、前記陰極に
対面している前記金属廃棄物の汚染面を正極に帯電させ
て金属母材を溶解することを特徴とする。
【0009】請求項2の発明は、金属廃棄物が全面にわ
たり汚染している場合は、前記直流電源の極性を逆転さ
せ前記陽極を陰極に変換し、前記陰極を陽極に変換して
前記金属廃棄物の他方の面を溶解することを特徴とす
る。
たり汚染している場合は、前記直流電源の極性を逆転さ
せ前記陽極を陰極に変換し、前記陰極を陽極に変換して
前記金属廃棄物の他方の面を溶解することを特徴とす
る。
【0010】請求項3の発明は、無機酸の電解液中で前
記陰極に対面している前記金属廃棄物表面の他方の面を
陰極に帯電させて金属廃棄物表面の不動態化被膜または
酸化被膜を還元,破壊し、前記直流電圧の印加を停止し
て金属廃棄物の母材を前記無機酸の酸化力により溶解す
ることを特徴とする。
記陰極に対面している前記金属廃棄物表面の他方の面を
陰極に帯電させて金属廃棄物表面の不動態化被膜または
酸化被膜を還元,破壊し、前記直流電圧の印加を停止し
て金属廃棄物の母材を前記無機酸の酸化力により溶解す
ることを特徴とする。
【0011】請求項4の発明は、直流電源の極性を逆転
させて前記金属母材の溶解と、前記金属表面の不動態化
被膜または酸化被膜の還元,破壊を相互に繰り返すこと
を行うことを特徴とする。
させて前記金属母材の溶解と、前記金属表面の不動態化
被膜または酸化被膜の還元,破壊を相互に繰り返すこと
を行うことを特徴とする。
【0012】請求項5の発明は、放射性物質で汚染され
た金属廃棄物を電解槽内の電解液中で非接触で電解して
誘電作用により前記金属廃棄物の金属母材を溶解して放
射能を除去する放射性金属廃棄物の除染装置において、
前記電解槽内に設けた絶縁性遮蔽体と、この絶縁性遮蔽
体により区画された陽極室および陰極室と、前記陽極室
に設置した陽極と、前記陰極室に設置した陰極とを具備
し、前記絶縁性遮蔽体は上下側面の三辺に壁面を有し、
他の側面の三辺が開口した縦断面がほぼコの字 形に形成
されて前記開口部分が横方向に向くように前記電解槽と
平行に設置され、前記陰極室内に前記金属廃棄物が設置
されることを特徴とする。
た金属廃棄物を電解槽内の電解液中で非接触で電解して
誘電作用により前記金属廃棄物の金属母材を溶解して放
射能を除去する放射性金属廃棄物の除染装置において、
前記電解槽内に設けた絶縁性遮蔽体と、この絶縁性遮蔽
体により区画された陽極室および陰極室と、前記陽極室
に設置した陽極と、前記陰極室に設置した陰極とを具備
し、前記絶縁性遮蔽体は上下側面の三辺に壁面を有し、
他の側面の三辺が開口した縦断面がほぼコの字 形に形成
されて前記開口部分が横方向に向くように前記電解槽と
平行に設置され、前記陰極室内に前記金属廃棄物が設置
されることを特徴とする。
【0013】請求項6の発明は、前記絶縁性遮蔽体は上
部に開口部を有する遮蔽容器であり、前記電解槽の底部
に陰極を設置し、前記容器の底部に陽極を設置し、金属
廃棄物は絶縁性の支持材で保持しながら前記遮蔽容器内
で前記金属廃棄物を非接触で電解して除染することを特
徴とする。
部に開口部を有する遮蔽容器であり、前記電解槽の底部
に陰極を設置し、前記容器の底部に陽極を設置し、金属
廃棄物は絶縁性の支持材で保持しながら前記遮蔽容器内
で前記金属廃棄物を非接触で電解して除染することを特
徴とする。
【0014】請求項7の発明は、前記絶縁性支持材は上
端開口部を有し、かつ内部に前記金属廃棄物を収納する
かごからなることを特徴とする。請求項8の発明は、前
記陰極は角管または棒状体からなり、駆動装置に前記金
属廃棄物表面と一定の間隔を保持しながら移動自在に取
り付けられていることを特徴とする。
端開口部を有し、かつ内部に前記金属廃棄物を収納する
かごからなることを特徴とする。請求項8の発明は、前
記陰極は角管または棒状体からなり、駆動装置に前記金
属廃棄物表面と一定の間隔を保持しながら移動自在に取
り付けられていることを特徴とする。
【0015】請求項9の発明は、前記陰極は角管または
棒状体を多数配列してフレキシブルケーブルにより接続
して簾状陰極を形成し、この簾状陰極に通水性の絶縁弾
性体を付設したことを特徴とする。
棒状体を多数配列してフレキシブルケーブルにより接続
して簾状陰極を形成し、この簾状陰極に通水性の絶縁弾
性体を付設したことを特徴とする。
【0016】請求項1の発明によれば、金属廃棄物を非
接触で電解して金属廃棄物を除染する方法において、金
属廃棄物の除染性能および形状適応性の一層の向上を図
ることができる。
接触で電解して金属廃棄物を除染する方法において、金
属廃棄物の除染性能および形状適応性の一層の向上を図
ることができる。
【0017】すなわち、電解槽内にコの字形絶縁性遮蔽
体を設けて陽極室と陰極室に区画し、陽極室内には陽極
を設置し、陰極室内には陰極と金属廃棄物を設置し、陽
極と陰極間に直流電圧を印加すると、電解液中のイオン
はコの字形絶縁性遮蔽体と電解槽側壁との隙間のみで移
動するため、陰極に対面している金属廃棄物の汚染面が
効率よく正極に帯電し溶解する。
体を設けて陽極室と陰極室に区画し、陽極室内には陽極
を設置し、陰極室内には陰極と金属廃棄物を設置し、陽
極と陰極間に直流電圧を印加すると、電解液中のイオン
はコの字形絶縁性遮蔽体と電解槽側壁との隙間のみで移
動するため、陰極に対面している金属廃棄物の汚染面が
効率よく正極に帯電し溶解する。
【0018】この時、金属廃棄物表面に付着している放
射能を含む酸化被膜、または金属廃 棄物の金属母材に浸
透している放射能は金属廃棄物の金属母材の溶解ととも
に除去される。請求項2の発明によれば、金属廃棄物が
全面にわたり汚染している場合は、直流電源の極性を逆
転することにより他方の面を正極に帯電させることがで
きるため、金属廃棄物の金属母材を容易に溶解すること
ができ、金属廃棄物から放射能を除去することができ
る。
射能を含む酸化被膜、または金属廃 棄物の金属母材に浸
透している放射能は金属廃棄物の金属母材の溶解ととも
に除去される。請求項2の発明によれば、金属廃棄物が
全面にわたり汚染している場合は、直流電源の極性を逆
転することにより他方の面を正極に帯電させることがで
きるため、金属廃棄物の金属母材を容易に溶解すること
ができ、金属廃棄物から放射能を除去することができ
る。
【0019】請求項3の発明によれば、曲管やバルブ等
の金属廃棄物に対しては、無機酸の電解液を収納した電
解槽中で陰極に対面した金属廃棄物表面の他方の面が負
極に帯電するため、この面の不動態化被膜または酸化被
膜が還元,破壊されて金属廃棄物の金属母材が活性化す
る。この状態で直流電圧の印加を停止すると無機酸の酸
化力により金属廃棄物の金属母材が溶解されるため、金
属廃棄物から放射能が除去される。
の金属廃棄物に対しては、無機酸の電解液を収納した電
解槽中で陰極に対面した金属廃棄物表面の他方の面が負
極に帯電するため、この面の不動態化被膜または酸化被
膜が還元,破壊されて金属廃棄物の金属母材が活性化す
る。この状態で直流電圧の印加を停止すると無機酸の酸
化力により金属廃棄物の金属母材が溶解されるため、金
属廃棄物から放射能が除去される。
【0020】請求項4の発明によれば、炭素鋼のように
酸化被膜が厚く、強固に付着し、放射能が除去しがたい
金属廃棄物に対しては、直流電圧の極性を交互に逆転さ
せて金属廃棄物の金属母材の溶解と金属母材表面の不動
態化被膜または酸化被膜の還元,破壊を繰り返すことに
より、少ない溶解量で放射能を除去することができ、除
染に伴う二次廃棄物の発生量を低減することができる。
酸化被膜が厚く、強固に付着し、放射能が除去しがたい
金属廃棄物に対しては、直流電圧の極性を交互に逆転さ
せて金属廃棄物の金属母材の溶解と金属母材表面の不動
態化被膜または酸化被膜の還元,破壊を繰り返すことに
より、少ない溶解量で放射能を除去することができ、除
染に伴う二次廃棄物の発生量を低減することができる。
【0021】請求項5の発明によれば、請求項1の発明
を操作性よく放射線被曝を低減して実施することができ
る。請求項6の発明によれば、前記絶縁性遮蔽体は上部
に開口部を有する絶縁性遮蔽容器であり、前記電解槽の
底部に陰極を設置し、前記容器内の底部に陽極を設置
し、金属廃棄物を絶縁性支持材で保持しながら、前記容
器内で前記金属廃棄物を非接触で電解して除染する。こ
れにより1バッチ当たりの金属廃棄物の除染処理量を増
加させることができ、しかも大量に除染処理する場合に
は自動化が容易となる。
を操作性よく放射線被曝を低減して実施することができ
る。請求項6の発明によれば、前記絶縁性遮蔽体は上部
に開口部を有する絶縁性遮蔽容器であり、前記電解槽の
底部に陰極を設置し、前記容器内の底部に陽極を設置
し、金属廃棄物を絶縁性支持材で保持しながら、前記容
器内で前記金属廃棄物を非接触で電解して除染する。こ
れにより1バッチ当たりの金属廃棄物の除染処理量を増
加させることができ、しかも大量に除染処理する場合に
は自動化が容易となる。
【0022】請求項7の発明によれば、絶縁性遮蔽容器
およびかご内で金属廃棄物を漏洩電流が少なく、溶解速
度が大きく操作性にすぐれ、かつ放射線被曝量を少なく
して除染作業を行うことができる。また、大量に処理す
る場合には自動化が容易となる。
およびかご内で金属廃棄物を漏洩電流が少なく、溶解速
度が大きく操作性にすぐれ、かつ放射線被曝量を少なく
して除染作業を行うことができる。また、大量に処理す
る場合には自動化が容易となる。
【0023】請求項8の発明によれば、湾曲した板状の
金属廃棄物に対しては棒状または角管状陰極を用い、駆
動装置により金属廃棄物表面近傍と陰極を一定の間隔に
保持し、かつ陰極を移動させながら陽極と陰極間に直流
電圧を印加すると、金属廃棄物の金属母材表面を均一に
溶解することができ、金属廃棄物表面を均一に除染する
ことができる。
金属廃棄物に対しては棒状または角管状陰極を用い、駆
動装置により金属廃棄物表面近傍と陰極を一定の間隔に
保持し、かつ陰極を移動させながら陽極と陰極間に直流
電圧を印加すると、金属廃棄物の金属母材表面を均一に
溶解することができ、金属廃棄物表面を均一に除染する
ことができる。
【0024】また、除染前に局部的な汚染がある場合は
棒状または角管状陰極を汚染部近傍に移動させて、その
部分のみの金属廃棄物の金属母材表面を溶解することが
できるため、金属廃棄物表面を全面溶解する場合に比較
して、二次廃棄物(除染廃液)の発生量を低減すること
ができる。
棒状または角管状陰極を汚染部近傍に移動させて、その
部分のみの金属廃棄物の金属母材表面を溶解することが
できるため、金属廃棄物表面を全面溶解する場合に比較
して、二次廃棄物(除染廃液)の発生量を低減すること
ができる。
【0025】請求項9の発明によれば、棒状または角管
状陰極をフレキシブルケーブルにより接続して多数配列
した簾状陰極を用いると金属廃棄物の表面近傍と陰極を
一定の間隔に保持することができるため、金属廃棄物の
金属母材表面を均一に溶解することができる。この場
合、通水性の絶縁性弾性体を簾状陰極に付設した場合は
金属廃棄物と簾状陰極との接触を防止でき、より均一な
間隔を保持することができる。
状陰極をフレキシブルケーブルにより接続して多数配列
した簾状陰極を用いると金属廃棄物の表面近傍と陰極を
一定の間隔に保持することができるため、金属廃棄物の
金属母材表面を均一に溶解することができる。この場
合、通水性の絶縁性弾性体を簾状陰極に付設した場合は
金属廃棄物と簾状陰極との接触を防止でき、より均一な
間隔を保持することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明に係る放射性金属廃棄物の
除染装置の第1の実施の形態を図1から図3を参照しな
がら説明する。図1は本発明を説明するための装置の一
例を示した系統図であり、図中符号1は絶縁性遮蔽体、
2は電解槽で、この電解槽2には電解液3と電解液加熱
ヒータ4が収納されている。
除染装置の第1の実施の形態を図1から図3を参照しな
がら説明する。図1は本発明を説明するための装置の一
例を示した系統図であり、図中符号1は絶縁性遮蔽体、
2は電解槽で、この電解槽2には電解液3と電解液加熱
ヒータ4が収納されている。
【0027】この電解槽2は絶縁性遮蔽体1を設けるこ
とにより陽極室13と陰極室14とに区画され、陽極室13に
は不活性金属からなる陽極5が設置され、陰極室14には
不活性金属からなる陰極6と金属廃棄物7が設置され、
また陽極5と陰極6はそれぞれ直流電源8に接続されて
いる。
とにより陽極室13と陰極室14とに区画され、陽極室13に
は不活性金属からなる陽極5が設置され、陰極室14には
不活性金属からなる陰極6と金属廃棄物7が設置され、
また陽極5と陰極6はそれぞれ直流電源8に接続されて
いる。
【0028】また、電解槽2の上部には電解液3から発
生する蒸気、ガスを処理するための排ガス処理系9が接
続されている。なお、電解槽2の外側には電解液3を電
解槽2内から循環ポンプ10により流出し、フィルタ11を
通して電解槽2に流入する電解液循環ライン12が接続さ
れている。
生する蒸気、ガスを処理するための排ガス処理系9が接
続されている。なお、電解槽2の外側には電解液3を電
解槽2内から循環ポンプ10により流出し、フィルタ11を
通して電解槽2に流入する電解液循環ライン12が接続さ
れている。
【0029】次に図2の電解槽2の平面図および図3の
電解槽2の縦断面図を併用して本発明に係る放射性金属
廃棄物の除染方法の第1の実施の形態における電解反応
について説明する。絶縁性遮蔽体1は図2に示すように
右端側が開口し左端側が閉塞した上下面と一側面を有し
他の三方向の側面が開口するほぼコの字形に形成されて
おり、陰極6は絶縁性遮蔽板1の左端側内面近傍に設置
され、陽極5は絶縁性遮蔽体1の一側面の外側に設置さ
れ、陰極6と陽極5は絶縁性遮蔽体1の閉塞部を間に挟
んで対面するように設置されている。
電解槽2の縦断面図を併用して本発明に係る放射性金属
廃棄物の除染方法の第1の実施の形態における電解反応
について説明する。絶縁性遮蔽体1は図2に示すように
右端側が開口し左端側が閉塞した上下面と一側面を有し
他の三方向の側面が開口するほぼコの字形に形成されて
おり、陰極6は絶縁性遮蔽板1の左端側内面近傍に設置
され、陽極5は絶縁性遮蔽体1の一側面の外側に設置さ
れ、陰極6と陽極5は絶縁性遮蔽体1の閉塞部を間に挟
んで対面するように設置されている。
【0030】一方、放射性金属廃棄物7は陰極6と対面
するように陽極5とは反対方向に設置されている。な
お、電解液3中のイオンは絶縁性遮蔽体1と電解槽2の
側壁との隙間のみ移動し、電解槽2の上部と下部から移
動しないように絶縁性遮蔽体1の上端1aは電解液3の
液面3aより高く、絶縁性遮蔽体1の下端は電解槽2の
底部に接続されている。また。電解槽2の材質は絶縁性
材料、または金属に絶縁性材料をライニングしたもので
ある。
するように陽極5とは反対方向に設置されている。な
お、電解液3中のイオンは絶縁性遮蔽体1と電解槽2の
側壁との隙間のみ移動し、電解槽2の上部と下部から移
動しないように絶縁性遮蔽体1の上端1aは電解液3の
液面3aより高く、絶縁性遮蔽体1の下端は電解槽2の
底部に接続されている。また。電解槽2の材質は絶縁性
材料、または金属に絶縁性材料をライニングしたもので
ある。
【0031】この状態で図1に示す循環ポンプ10により
電解液3を循環して電解液加熱用ヒータ4により所定の
温度に昇温し、直流電源8から陰極6と陽極5との間に
所定の電流密度の直流電圧を印加すると、陰極6、陽極
5および陰極6に対面している金属廃棄物7は下式に示
す反応が起こり金属廃棄物7の表面(M)は誘電作用に
より正極に帯電して溶解する。
電解液3を循環して電解液加熱用ヒータ4により所定の
温度に昇温し、直流電源8から陰極6と陽極5との間に
所定の電流密度の直流電圧を印加すると、陰極6、陽極
5および陰極6に対面している金属廃棄物7は下式に示
す反応が起こり金属廃棄物7の表面(M)は誘電作用に
より正極に帯電して溶解する。
【0032】 (陽極) H2 O → 2H+ + 1/2O2 ↑ + 2e……(1) (陰極) H+ + 2e → H2 ……(2) (金属廃棄物) M → Mn+ + ne ……(3) 金属廃棄物7に固着または金属母材に浸透している放射
能は、金属母材を溶解することにより金属廃棄物7から
除去されて電解液3に移行し、金属廃棄物7の放射能を
除去もしくは放射能レベルを低下させることができる。
能は、金属母材を溶解することにより金属廃棄物7から
除去されて電解液3に移行し、金属廃棄物7の放射能を
除去もしくは放射能レベルを低下させることができる。
【0033】なお、金属廃棄物7が全面に渡り汚染して
いる場合は、直流電源8の極性を逆転し、反対側の面を
正極に帯電させて溶解する。一方、電解液3から発生す
るミスト,蒸気,ガス等は排気ガス処理系9で処理され
る。
いる場合は、直流電源8の極性を逆転し、反対側の面を
正極に帯電させて溶解する。一方、電解液3から発生す
るミスト,蒸気,ガス等は排気ガス処理系9で処理され
る。
【0034】つぎに本発明の第2の実施例を図4を用い
て説明する。図4は、絶縁性遮蔽体が単純な板状遮蔽体
23の場合とコの字形絶縁性遮蔽体1のステンレス鋼の相
対溶解速度(実験値/理論値)を比較して示したもので
ある。
て説明する。図4は、絶縁性遮蔽体が単純な板状遮蔽体
23の場合とコの字形絶縁性遮蔽体1のステンレス鋼の相
対溶解速度(実験値/理論値)を比較して示したもので
ある。
【0035】本第2の実施例では酸性電解液として硫酸
を選定し、硫酸濃度0.5mol/L,電解液温度80℃、チタン
に白金コーティングを施した陽極5と陰極6との間に直
流電圧を印加して電流密度0.6A/cm2 で電解を実施し
た。
を選定し、硫酸濃度0.5mol/L,電解液温度80℃、チタン
に白金コーティングを施した陽極5と陰極6との間に直
流電圧を印加して電流密度0.6A/cm2 で電解を実施し
た。
【0036】図4からわかるように絶縁性遮蔽体が単純
な板状遮蔽体23の場合は、ステンレス鋼はほとんど溶解
しないが、コの字形遮蔽板1の場合は相対溶解速度 0.2
が得られた。
な板状遮蔽体23の場合は、ステンレス鋼はほとんど溶解
しないが、コの字形遮蔽板1の場合は相対溶解速度 0.2
が得られた。
【0037】これは、絶縁性遮蔽体が単純な板状遮蔽体
23の場合は、陰極と陽極との間に単純な板の絶縁性遮蔽
体を設置しても陰極と陽極の距離が近いため、両極間で
の電気分解が優先されたことが原因である。
23の場合は、陰極と陽極との間に単純な板の絶縁性遮蔽
体を設置しても陰極と陽極の距離が近いため、両極間で
の電気分解が優先されたことが原因である。
【0038】一方、コの字形絶縁性遮蔽体1を用いた場
合は、電解液中のイオンはコの字形絶縁性遮蔽体と電解
槽の側壁を移動して内面の陰極に到達しなければならな
いため、陰極と陽極との距離よりも陰極とステンレス鋼
の距離の方が近い。このため、両極間に漏洩する電流が
少なくなる。
合は、電解液中のイオンはコの字形絶縁性遮蔽体と電解
槽の側壁を移動して内面の陰極に到達しなければならな
いため、陰極と陽極との距離よりも陰極とステンレス鋼
の距離の方が近い。このため、両極間に漏洩する電流が
少なくなる。
【0039】また、コの字形絶縁性遮蔽体1により陽極
5と陰極6との距離が遠くなるため印加電圧が上昇す
る。非接触性電解反応により金属廃棄物の金属表面を溶
解する場合は、金属溶解反応の平衡電位より大きい電位
が金属表面に印加されなければならない。したがって、
両極間に印加する電圧が大きくなるとステンレス鋼の溶
解平衡電位よりも高い電位が印加され、効率よく金属廃
棄物7の金属母材を溶解することができる。
5と陰極6との距離が遠くなるため印加電圧が上昇す
る。非接触性電解反応により金属廃棄物の金属表面を溶
解する場合は、金属溶解反応の平衡電位より大きい電位
が金属表面に印加されなければならない。したがって、
両極間に印加する電圧が大きくなるとステンレス鋼の溶
解平衡電位よりも高い電位が印加され、効率よく金属廃
棄物7の金属母材を溶解することができる。
【0040】なお、陰極6と陽極5との距離を遠くし、
陰極6と金属廃棄物7間の距離を近づける方法として
は、電解槽2の寸法を大きくすることで可能であるが、
この場合、電解液3の液量が増加するため除染に伴う二
次廃棄物(除染廃液)の発生量が増加する。しかし、コ
の字形絶縁性遮蔽体1により電解槽2の容量を増加させ
ることなく陽極5と陰極6との距離を遠くすることがで
きる。
陰極6と金属廃棄物7間の距離を近づける方法として
は、電解槽2の寸法を大きくすることで可能であるが、
この場合、電解液3の液量が増加するため除染に伴う二
次廃棄物(除染廃液)の発生量が増加する。しかし、コ
の字形絶縁性遮蔽体1により電解槽2の容量を増加させ
ることなく陽極5と陰極6との距離を遠くすることがで
きる。
【0041】以上のように本実施例ではコの字形絶縁性
遮蔽体1を用いることにより、金属廃棄物を効率よく溶
解することができ、金属廃棄物の放射能を除去でき、ま
た放射能レベルを低下させることができる。
遮蔽体1を用いることにより、金属廃棄物を効率よく溶
解することができ、金属廃棄物の放射能を除去でき、ま
た放射能レベルを低下させることができる。
【0042】つぎに図5を用いて本発明の第3の実施例
を説明する。図5は直流電源の極性を逆転させて板状の
金属(ステンレス鋼)を両面溶解した場合の相対溶解速
度(実験値/理論値)を示したもので、本実施例では図
4に示した実施例と同様に硫酸濃度0.5mol/L,電解液温
度80℃、チタンに白金コーティングを施した陽極5と陰
極6との間に直流電圧を印加して電流密度0.6A/cm2で
電解を実施した。
を説明する。図5は直流電源の極性を逆転させて板状の
金属(ステンレス鋼)を両面溶解した場合の相対溶解速
度(実験値/理論値)を示したもので、本実施例では図
4に示した実施例と同様に硫酸濃度0.5mol/L,電解液温
度80℃、チタンに白金コーティングを施した陽極5と陰
極6との間に直流電圧を印加して電流密度0.6A/cm2で
電解を実施した。
【0043】本実施例からわかるように直流電源の極性
を逆転させることにより板状のステンレス鋼の両面[溶
解面(a)と溶解面(b)]を効率よく溶解することが
できた。なお、溶解面(b)の溶解反応は陽極5と対面
している金属廃棄物7の表面が負極に帯電し、その反対
面[溶解面(b)]が正極に帯電するため溶解面(b)
が溶解したものである。
を逆転させることにより板状のステンレス鋼の両面[溶
解面(a)と溶解面(b)]を効率よく溶解することが
できた。なお、溶解面(b)の溶解反応は陽極5と対面
している金属廃棄物7の表面が負極に帯電し、その反対
面[溶解面(b)]が正極に帯電するため溶解面(b)
が溶解したものである。
【0044】以上のように本実施例はコの字形絶縁性遮
蔽体1によって、直流電源の極性を逆転させたのみで金
属廃棄物7の全面を効率よく溶解することができ、金属
廃棄物7の放射能を除去もしくは放射能レベルを低下さ
せることができる。なお、本実施例に用いた電解液は硫
酸の他に、燐酸、硝酸、硫酸ナトリウムおよび硝酸ナト
リウム等を用いても同様な結果が得られた。
蔽体1によって、直流電源の極性を逆転させたのみで金
属廃棄物7の全面を効率よく溶解することができ、金属
廃棄物7の放射能を除去もしくは放射能レベルを低下さ
せることができる。なお、本実施例に用いた電解液は硫
酸の他に、燐酸、硝酸、硫酸ナトリウムおよび硝酸ナト
リウム等を用いても同様な結果が得られた。
【0045】したがって、陽極室と陰極室は直流電源の
極性を逆転させることにより陽極室が陰極室に、陰極室
が陽極室に変換でき、絶縁性遮蔽板で金属廃棄物を除染
する限りにおいては本実施例ではどちらでもよい。
極性を逆転させることにより陽極室が陰極室に、陰極室
が陽極室に変換でき、絶縁性遮蔽板で金属廃棄物を除染
する限りにおいては本実施例ではどちらでもよい。
【0046】つぎに本実施例の第4の実施例を図1及び
図2により説明する。電解液3として硫酸溶液を選定
し、絶縁性遮蔽体1によって区画された陽極室13に陽極
5を設置し、陰極室14に陰極6と金属廃棄物7を設置
し、循環ポンプ10により電解液3を循環して電解液加熱
用ヒータ4により所定の温度に昇温し、直流電源8から
陽極5と陰極6の間に所定の直流電圧を所定時間印加す
る。
図2により説明する。電解液3として硫酸溶液を選定
し、絶縁性遮蔽体1によって区画された陽極室13に陽極
5を設置し、陰極室14に陰極6と金属廃棄物7を設置
し、循環ポンプ10により電解液3を循環して電解液加熱
用ヒータ4により所定の温度に昇温し、直流電源8から
陽極5と陰極6の間に所定の直流電圧を所定時間印加す
る。
【0047】この印加により、陽極5では前記(1)式
に示した反応が起こり酸素ガスが発生し、陰極6では前
記(2)式に示した反応が起こり水素ガスが発生する。
一方、陰極6に対面した金属廃棄物7の表面は正極に帯
電し、反対面は負極に帯電する。
に示した反応が起こり酸素ガスが発生し、陰極6では前
記(2)式に示した反応が起こり水素ガスが発生する。
一方、陰極6に対面した金属廃棄物7の表面は正極に帯
電し、反対面は負極に帯電する。
【0048】ここで、金属廃棄物7が炭素鋼の場合は、
硫酸,硝酸等に対しては溶解され易いが、全面に酸化被
膜、錆等が付着している場合は溶解されにくい。また、
ステンレス鋼は表面に不動態化被膜が形成されているた
め耐食性に優れている。しかし、ステンレス鋼、炭素鋼
の表面を負極に帯電させることにより、以下に示す反応
が起こり表面の不動態化被膜および酸化被膜、錆等が還
元,破壊される。
硫酸,硝酸等に対しては溶解され易いが、全面に酸化被
膜、錆等が付着している場合は溶解されにくい。また、
ステンレス鋼は表面に不動態化被膜が形成されているた
め耐食性に優れている。しかし、ステンレス鋼、炭素鋼
の表面を負極に帯電させることにより、以下に示す反応
が起こり表面の不動態化被膜および酸化被膜、錆等が還
元,破壊される。
【0049】金属廃棄物(負荷帯電面) 不動態化被膜、酸化被膜:Fe3 O4 + 8H+ + 2e 錆等の還元,破壊 → 3Fe2+ + 4H2 O……(4) Fe2 O3 + 6H+ + 2e → 2Fe2+ + 3H2 O……(5)
【0050】このように、金属廃棄物7の表面の不動態
化被膜、酸化被膜または錆等が還元,破壊されると、金
属廃棄物7の金属母材が露出して活性化する。この状態
で直流電源8からの直流電圧の印加を停止すると硫酸の
酸化力で金属廃棄物の溶解が起こる。
化被膜、酸化被膜または錆等が還元,破壊されると、金
属廃棄物7の金属母材が露出して活性化する。この状態
で直流電源8からの直流電圧の印加を停止すると硫酸の
酸化力で金属廃棄物の溶解が起こる。
【0051】なお、直流電源8の極性を逆転させて陽極
室13に設置された陽極5を陰極に、陰極室14に設置され
た陰極6を陽極に変換し、変換した陽極に多面する金属
廃棄物7の表面を負極に帯電させても同様に除染でき
る。
室13に設置された陽極5を陰極に、陰極室14に設置され
た陰極6を陽極に変換し、変換した陽極に多面する金属
廃棄物7の表面を負極に帯電させても同様に除染でき
る。
【0052】従って、金属廃棄物の酸化被膜とともに付
着または金属廃棄物の金属母材に浸透している放射能
は、酸化被膜の還元,破壊と金属廃棄物の金属母材を溶
解することにより金属廃棄物から除去された電解液に移
行し、金属廃棄物の放射能を除去もしくは放射能レベル
を低下させることができる。
着または金属廃棄物の金属母材に浸透している放射能
は、酸化被膜の還元,破壊と金属廃棄物の金属母材を溶
解することにより金属廃棄物から除去された電解液に移
行し、金属廃棄物の放射能を除去もしくは放射能レベル
を低下させることができる。
【0053】つぎに第4の実施例を確認するために実施
した第5の実施例を図6を用いて説明する。本実施例で
は硫酸濃度1mol/L と2mol/L 、チタンに白金コーティ
ングを施した陽極と陰極との間に5Vの直流電圧を5分
間印加してステンレス鋼(SUS 304)の溶解試験を実
施した。
した第5の実施例を図6を用いて説明する。本実施例で
は硫酸濃度1mol/L と2mol/L 、チタンに白金コーティ
ングを施した陽極と陰極との間に5Vの直流電圧を5分
間印加してステンレス鋼(SUS 304)の溶解試験を実
施した。
【0054】図6中の縦軸は相対溶解速度(各温度にお
ける溶解速度/60℃の溶解速度)、横軸は電解液の絶対
温度の逆数を示す。ステンレス鋼の溶解速度は、絶対温
度の逆数と直線関係があり、電解液の温度に対して指数
関数的に増加した。
ける溶解速度/60℃の溶解速度)、横軸は電解液の絶対
温度の逆数を示す。ステンレス鋼の溶解速度は、絶対温
度の逆数と直線関係があり、電解液の温度に対して指数
関数的に増加した。
【0055】上述したように、本実施例の除染方法は、
金属廃棄物の表面を負極に帯電させることにより硫酸の
酸化力で容易に溶解することができるため、金属廃棄物
の放射能を除去もしくは放射能レベルを低下させること
ができる。従って、電解除染では困難であった曲管、バ
ルブ等の複雑形状物に対しても適用できる。なお、本実
施例を用いた電解液は硫酸の他に、硝酸,塩酸等を用い
て同様な結果が得られた。
金属廃棄物の表面を負極に帯電させることにより硫酸の
酸化力で容易に溶解することができるため、金属廃棄物
の放射能を除去もしくは放射能レベルを低下させること
ができる。従って、電解除染では困難であった曲管、バ
ルブ等の複雑形状物に対しても適用できる。なお、本実
施例を用いた電解液は硫酸の他に、硝酸,塩酸等を用い
て同様な結果が得られた。
【0056】つぎに本発明の第6の実施例を図7を参照
しながら説明する。図7は本実施例における電解槽2の
縦断面図を示し、符号15は上部に開口部を有する絶縁性
の遮蔽容器であり、この遮蔽容器15内の底部に陽極5が
設置され、陽極5の上部に網目状絶縁性の支持材16が設
置され、遮蔽容器15の板を間に挟んで電解槽2の底部に
陰極6が設置されている。
しながら説明する。図7は本実施例における電解槽2の
縦断面図を示し、符号15は上部に開口部を有する絶縁性
の遮蔽容器であり、この遮蔽容器15内の底部に陽極5が
設置され、陽極5の上部に網目状絶縁性の支持材16が設
置され、遮蔽容器15の板を間に挟んで電解槽2の底部に
陰極6が設置されている。
【0057】金属廃棄物7は遮蔽容器15内で支持材16上
に載置されるが、電解液3および水素ガス流通の妨げに
ならないように、多数の孔を有する網目状絶縁性の支持
材16により金属廃棄物7と陽極5が接触しないように保
持される。
に載置されるが、電解液3および水素ガス流通の妨げに
ならないように、多数の孔を有する網目状絶縁性の支持
材16により金属廃棄物7と陽極5が接触しないように保
持される。
【0058】この状態で陽極5と陰極6との間に直流電
圧を付加すると電解液3中のイオンは支持材16の孔を通
過して移動するため、陽極5と対面する金属廃棄物7の
表面の他方の面が正極に帯電するし、(3)式に示す溶
解反応が起こり、金属廃棄物7の放射能を除去もしくは
放射能レベルを低下させることができる。従って、本実
施例の上部に開口部を有する遮蔽容器を用いることによ
り、1バッチ当たりの金属廃棄物の除染処理量を増加さ
せることができる。
圧を付加すると電解液3中のイオンは支持材16の孔を通
過して移動するため、陽極5と対面する金属廃棄物7の
表面の他方の面が正極に帯電するし、(3)式に示す溶
解反応が起こり、金属廃棄物7の放射能を除去もしくは
放射能レベルを低下させることができる。従って、本実
施例の上部に開口部を有する遮蔽容器を用いることによ
り、1バッチ当たりの金属廃棄物の除染処理量を増加さ
せることができる。
【0059】つぎに本発明の第7の実施例を図8を参照
しながら説明する。図8は本実施例における電解槽2の
縦断面図を示し、符号17は上部に開口部を有する絶縁性
のかごであり、このかご17に金属廃棄物7が収納されて
いる。かご17は上部に開口部を有する絶縁性遮蔽容器15
内に設置され、かご17の底部と遮蔽容器15内の底部との
間に陽極5が設置され、遮蔽容器16の底部と電解槽内2
の底部との間に陰極6が設置されている。
しながら説明する。図8は本実施例における電解槽2の
縦断面図を示し、符号17は上部に開口部を有する絶縁性
のかごであり、このかご17に金属廃棄物7が収納されて
いる。かご17は上部に開口部を有する絶縁性遮蔽容器15
内に設置され、かご17の底部と遮蔽容器15内の底部との
間に陽極5が設置され、遮蔽容器16の底部と電解槽内2
の底部との間に陰極6が設置されている。
【0060】この状態で陽極5と陰極6との間に直流電
圧を印加すると電解液3中のイオンはかご17の孔を通過
するため陽極5に対面する金属廃棄物7の表面の他方の
面が正極に帯電し、(3)式に示す溶解反応が起こり、
金属廃棄物7の放射能を除去もしくは放射能レベルを低
下させることができる。
圧を印加すると電解液3中のイオンはかご17の孔を通過
するため陽極5に対面する金属廃棄物7の表面の他方の
面が正極に帯電し、(3)式に示す溶解反応が起こり、
金属廃棄物7の放射能を除去もしくは放射能レベルを低
下させることができる。
【0061】従って、本実施例は上部に開口部を有する
絶縁性のかご17を用いることにより、前記第6の実施例
と同様に1バッチ当たりの金属廃棄物7の除染処理量を
増加させることができる。また、絶縁性かご17は駆動機
構を用いて電解槽2から容易に出し入れすることができ
るため、大量処理する場合の自動化が容易となる。
絶縁性のかご17を用いることにより、前記第6の実施例
と同様に1バッチ当たりの金属廃棄物7の除染処理量を
増加させることができる。また、絶縁性かご17は駆動機
構を用いて電解槽2から容易に出し入れすることができ
るため、大量処理する場合の自動化が容易となる。
【0062】なお、前記第1から第3の実施例と、第6
および第7の実施例と前記第4の実施例を組み合わせ、
直流電源の極性を所定時間ごとに逆転させて金属廃棄物
7の表面の酸化処理と還元処理とを交互に繰り返す。こ
れにより、金属廃棄物7の汚染源である酸化被膜、錆等
が還元処理されて破壊され、酸化被膜,錆等を選択的に
除去できる。
および第7の実施例と前記第4の実施例を組み合わせ、
直流電源の極性を所定時間ごとに逆転させて金属廃棄物
7の表面の酸化処理と還元処理とを交互に繰り返す。こ
れにより、金属廃棄物7の汚染源である酸化被膜、錆等
が還元処理されて破壊され、酸化被膜,錆等を選択的に
除去できる。
【0063】その後、酸化処理して金属母材を溶解する
と少ない溶解量で金属廃棄物7の放射能を除去もしくは
放射能レベルを低下させることができるため、除染に伴
う二次廃棄物の発生量を低減することができる。
と少ない溶解量で金属廃棄物7の放射能を除去もしくは
放射能レベルを低下させることができるため、除染に伴
う二次廃棄物の発生量を低減することができる。
【0064】従って、本実施例は炭素鋼製の金属廃棄物
に対しても効果があり、炭素鋼製の金属廃棄物は放射能
を含む酸化被膜,錆等が厚く、強固に付着しているた
め、還元処理と酸化処理を繰り返すことにより短時間に
放射能を除去でき、また放射能レベルを低下させること
ができる。
に対しても効果があり、炭素鋼製の金属廃棄物は放射能
を含む酸化被膜,錆等が厚く、強固に付着しているた
め、還元処理と酸化処理を繰り返すことにより短時間に
放射能を除去でき、また放射能レベルを低下させること
ができる。
【0065】つぎに本発明の第8の実施例を図9および
図10を参照しながら説明する。図9は本実施例を説明す
るための装置の一例を示した系統図であり、図中符号1
は絶縁製遮蔽体、2は電解槽で電解槽2には電解液3と
電解液加熱ヒータ4が収納されている。
図10を参照しながら説明する。図9は本実施例を説明す
るための装置の一例を示した系統図であり、図中符号1
は絶縁製遮蔽体、2は電解槽で電解槽2には電解液3と
電解液加熱ヒータ4が収納されている。
【0066】この電解槽2は絶縁性遮蔽体1により陽極
室13と陰極室14とに分離され、陽極室13には不活性金属
からなる陽極5が設置され、陰極室14には駆動装置19に
より吊り設された不活性金属からなる棒状または角管状
の棒状陰極18と金属廃棄物7が設置され、また陽極5と
陰極18はそれぞれ直流電源8に接続されている。
室13と陰極室14とに分離され、陽極室13には不活性金属
からなる陽極5が設置され、陰極室14には駆動装置19に
より吊り設された不活性金属からなる棒状または角管状
の棒状陰極18と金属廃棄物7が設置され、また陽極5と
陰極18はそれぞれ直流電源8に接続されている。
【0067】また、電解槽2の上部には電解液3から発
生する蒸気、ガスを処理するための排ガス処理系9が接
続されている。なお、電解液3は循環ポンプ10により電
解槽2、フィルタ11、電解液循環ライン12を循環する。
生する蒸気、ガスを処理するための排ガス処理系9が接
続されている。なお、電解液3は循環ポンプ10により電
解槽2、フィルタ11、電解液循環ライン12を循環する。
【0068】つぎに図9の電解槽2の平面図である図10
により本実施例の放射性金属廃棄物の除染方法を説明す
る。絶縁性遮蔽体1は縦断面がコの字形に形成されたも
ので、棒状または角管状の棒状陰極18は絶縁性遮蔽体1
の内面に設置され、陽極5は絶縁性遮蔽体1の外面に設
置され、棒状陰極18と陽極5は絶縁性遮蔽体1を間に挟
んで対面するように設置されている。
により本実施例の放射性金属廃棄物の除染方法を説明す
る。絶縁性遮蔽体1は縦断面がコの字形に形成されたも
ので、棒状または角管状の棒状陰極18は絶縁性遮蔽体1
の内面に設置され、陽極5は絶縁性遮蔽体1の外面に設
置され、棒状陰極18と陽極5は絶縁性遮蔽体1を間に挟
んで対面するように設置されている。
【0069】一方、金属廃棄物7は棒状陰極18と対面す
るように絶縁性遮蔽体1とは反対方向に接地されてい
る。なお、電解液3中のイオンは絶縁性遮蔽体1と電解
槽2の側壁との隙間のみ移動し、電解槽2上部と下部か
ら移動しないように絶縁性遮蔽体1の上部は電解液3の
液面3aより高く、絶縁性遮蔽体1の下部は電解槽2の
底部に接続されている。
るように絶縁性遮蔽体1とは反対方向に接地されてい
る。なお、電解液3中のイオンは絶縁性遮蔽体1と電解
槽2の側壁との隙間のみ移動し、電解槽2上部と下部か
ら移動しないように絶縁性遮蔽体1の上部は電解液3の
液面3aより高く、絶縁性遮蔽体1の下部は電解槽2の
底部に接続されている。
【0070】また、電解槽2の材質は絶縁性材料、また
は金属に絶縁製材料をコーティングしたものである。こ
の状態で循環ポンプ10により電解液3を循環して電解液
加熱用ヒータ4により所定の温度に昇温し、直流電源8
から棒状陰極18と陽極5との間に所定の電流密度の直流
電圧を印加する。
は金属に絶縁製材料をコーティングしたものである。こ
の状態で循環ポンプ10により電解液3を循環して電解液
加熱用ヒータ4により所定の温度に昇温し、直流電源8
から棒状陰極18と陽極5との間に所定の電流密度の直流
電圧を印加する。
【0071】前記陰極6を駆動装置19により金属廃棄物
7の表面と一定の間隔を保持させながら移動させると、
棒状陰極18に対面している金属廃棄物(M)の表面は誘
電作用により前記(3)式に示した反応が起こり溶解す
る。
7の表面と一定の間隔を保持させながら移動させると、
棒状陰極18に対面している金属廃棄物(M)の表面は誘
電作用により前記(3)式に示した反応が起こり溶解す
る。
【0072】湾曲した板状の金属廃棄物を除染する場合
に、板状の陰極を用いると金属廃棄物表面と陰極との距
離が部分的に違ってくるため、局部的に汚染が残留する
可能性があった。本実施例の棒状または角管状の棒状陰
極18を駆動装置19により金属廃棄物7の表面と一定の間
隔を保持するように移動させて除染を行うと、金属廃棄
物7の表面を均一に溶解することができるため、局部的
な汚染の残留を防止でき均一な除染ができる。
に、板状の陰極を用いると金属廃棄物表面と陰極との距
離が部分的に違ってくるため、局部的に汚染が残留する
可能性があった。本実施例の棒状または角管状の棒状陰
極18を駆動装置19により金属廃棄物7の表面と一定の間
隔を保持するように移動させて除染を行うと、金属廃棄
物7の表面を均一に溶解することができるため、局部的
な汚染の残留を防止でき均一な除染ができる。
【0073】また、除染前の金属廃棄物7が局部的に汚
染している場合は、汚染面全体を溶解すると二次廃棄物
の発生量が増加する。しかし、本実施例の棒状または角
管状の棒状陰極18を駆動装置19により金属廃棄物7の汚
染部分近傍に移動させて除染を行うことができるため金
属廃棄物7の表面全体を溶解する場合と比べ、二次廃棄
物の発生量を大幅に低減できる。
染している場合は、汚染面全体を溶解すると二次廃棄物
の発生量が増加する。しかし、本実施例の棒状または角
管状の棒状陰極18を駆動装置19により金属廃棄物7の汚
染部分近傍に移動させて除染を行うことができるため金
属廃棄物7の表面全体を溶解する場合と比べ、二次廃棄
物の発生量を大幅に低減できる。
【0074】従って、棒状および角管状の棒状陰極18を
駆動装置19より移動させて除染した場合は、湾曲した板
状の金属廃棄物表面であっても均一に除染でき、しかも
局所的な汚染の場合はこの部分のみ除染できるため、金
属廃棄物の形状適用性が向上し、さらに除染に伴う二次
廃棄物の発生量を大幅に低減できる。
駆動装置19より移動させて除染した場合は、湾曲した板
状の金属廃棄物表面であっても均一に除染でき、しかも
局所的な汚染の場合はこの部分のみ除染できるため、金
属廃棄物の形状適用性が向上し、さらに除染に伴う二次
廃棄物の発生量を大幅に低減できる。
【0075】つぎに、前記第8の実施例で説明した湾曲
した金属廃棄物7の除染方法およびその装置で使用する
陰極の2例を図1から図13により説明する。図11は複数
の棒状陰極18をフレキシブルケーブル20で接続して簾
状に多数配列した簾状陰極21の第1の例である。この例
によれば、フレキシブルケーブル20の部分を自在に曲げ
ることができる。
した金属廃棄物7の除染方法およびその装置で使用する
陰極の2例を図1から図13により説明する。図11は複数
の棒状陰極18をフレキシブルケーブル20で接続して簾
状に多数配列した簾状陰極21の第1の例である。この例
によれば、フレキシブルケーブル20の部分を自在に曲げ
ることができる。
【0076】図12は湾曲した金属廃棄物7に対して図11
に示す簾状陰極21を使用した場合を示し、簾状陰極21は
フレキシブルケーブル20の部分を曲げることができるた
め金属廃棄物7の形状に合わせて湾曲状に変形し、金属
廃棄物7の表面と一定の間隔を保持しながら除染を行う
ことができ、金属廃棄物7の表面を均一に除染すること
ができる。
に示す簾状陰極21を使用した場合を示し、簾状陰極21は
フレキシブルケーブル20の部分を曲げることができるた
め金属廃棄物7の形状に合わせて湾曲状に変形し、金属
廃棄物7の表面と一定の間隔を保持しながら除染を行う
ことができ、金属廃棄物7の表面を均一に除染すること
ができる。
【0077】図13は簾状陰極21に通水性絶縁性弾性体22
を張り付けた第2の例で、これにより簾状陰極21と金属
廃棄物7とが接触することを防止でき、しかも金属廃棄
物7と簾状陰極21との距離をより一定に保持することが
でき、金属廃棄物7の表面を均一に除染することができ
る。なお、通水性絶縁性弾性体22はスポンジや、多数の
孔を開けたゴム等の材料が適用可能である。
を張り付けた第2の例で、これにより簾状陰極21と金属
廃棄物7とが接触することを防止でき、しかも金属廃棄
物7と簾状陰極21との距離をより一定に保持することが
でき、金属廃棄物7の表面を均一に除染することができ
る。なお、通水性絶縁性弾性体22はスポンジや、多数の
孔を開けたゴム等の材料が適用可能である。
【0078】なお、上述した本発明に係る放射性金属廃
棄物の除染方法およびその装置の各実施例において、電
解槽2の構造材が金属の場合は誘電作用により電解槽2
の壁面で電気分解が起こるため、金属廃棄物7の表面を
効率よく正極または負極に帯電させることができない。
棄物の除染方法およびその装置の各実施例において、電
解槽2の構造材が金属の場合は誘電作用により電解槽2
の壁面で電気分解が起こるため、金属廃棄物7の表面を
効率よく正極または負極に帯電させることができない。
【0079】従って、電解槽2の構造材および絶縁性遮
蔽体1、遮蔽容器15、遮蔽容器15内の支持材16およびか
ご17はフッ素樹脂または繊維強化樹脂(FRP)等のよ
うに耐薬品性に優れた絶縁性材料を単体で用いるか、金
属に絶縁性材料をライニングしたものを用いる。また、
電解槽2、遮蔽容器15およびかご17の形状は角形に限ら
ず、円筒状も適用可能である。
蔽体1、遮蔽容器15、遮蔽容器15内の支持材16およびか
ご17はフッ素樹脂または繊維強化樹脂(FRP)等のよ
うに耐薬品性に優れた絶縁性材料を単体で用いるか、金
属に絶縁性材料をライニングしたものを用いる。また、
電解槽2、遮蔽容器15およびかご17の形状は角形に限ら
ず、円筒状も適用可能である。
【0080】さらに、電極の材質は実施例に用いたチタ
ンに白金コーティングを施した電極の他に、銅にチタン
をライニングし、その上に白金コーティングを施した電
極、白金単独電極、チタン以外の金属に白金コーティン
グを施した電極、鉛酸化物電極等も使用可能である。
ンに白金コーティングを施した電極の他に、銅にチタン
をライニングし、その上に白金コーティングを施した電
極、白金単独電極、チタン以外の金属に白金コーティン
グを施した電極、鉛酸化物電極等も使用可能である。
【0081】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、上下面と、こ
の上下面の一辺を連結する一側面に壁面を有し他の三方
向側面が開口したほぼコの字形絶縁性遮蔽体を用いて陰
極に対面した金属廃棄物表面、または陽極に対面した金
属廃棄物表面の反対面を正極に帯電させて金属廃棄物の
金属母材を溶解するため、金属廃棄物の溶解速度および
形状適用性が向上し、短時間に金属廃棄物の放射能を除
去でき、また放射能レベルを低下させることができる。
の上下面の一辺を連結する一側面に壁面を有し他の三方
向側面が開口したほぼコの字形絶縁性遮蔽体を用いて陰
極に対面した金属廃棄物表面、または陽極に対面した金
属廃棄物表面の反対面を正極に帯電させて金属廃棄物の
金属母材を溶解するため、金属廃棄物の溶解速度および
形状適用性が向上し、短時間に金属廃棄物の放射能を除
去でき、また放射能レベルを低下させることができる。
【0082】請求項2の発明によれば、陽極に対面した
金属廃棄物表面、または陰極に対面した金属廃棄物表面
の反対面を負極に帯電させて金属表面の不動態化被膜,
酸化被膜を還元,破壊し、無機酸の酸化力で金属母材を
溶解できるため、ステンレス鋼製や曲管やバルブ等の複
雑形状物に対しても、短時間に金属廃棄物の放射能を除
去でき、また放射能レベルを低下させることができる。
金属廃棄物表面、または陰極に対面した金属廃棄物表面
の反対面を負極に帯電させて金属表面の不動態化被膜,
酸化被膜を還元,破壊し、無機酸の酸化力で金属母材を
溶解できるため、ステンレス鋼製や曲管やバルブ等の複
雑形状物に対しても、短時間に金属廃棄物の放射能を除
去でき、また放射能レベルを低下させることができる。
【0083】請求項3の発明によれば、炭素鋼のように
酸化被膜が厚く、強固に付着し、放射能が除去しがたい
金属廃棄物に対しては、直流電圧の極性を交互に逆転さ
せて還元処理と酸化処理を施すことにより酸化被膜の還
元,破壊と金属母材の溶解が起こるため、少ない溶解量
で放射能を除去でき、除染に伴う二次廃棄物の発生量を
低減できる。
酸化被膜が厚く、強固に付着し、放射能が除去しがたい
金属廃棄物に対しては、直流電圧の極性を交互に逆転さ
せて還元処理と酸化処理を施すことにより酸化被膜の還
元,破壊と金属母材の溶解が起こるため、少ない溶解量
で放射能を除去でき、除染に伴う二次廃棄物の発生量を
低減できる。
【0084】請求項4の発明によれば、酸化被膜が厚
く、強固に付着して放射能が除去し難い金属廃棄物に対
して、少ない溶解量で放射能を除去でき、それに伴う二
次廃棄物の発生量を低減できる。
く、強固に付着して放射能が除去し難い金属廃棄物に対
して、少ない溶解量で放射能を除去でき、それに伴う二
次廃棄物の発生量を低減できる。
【0085】請求項5の発明によれば、請求項1の発明
方法実施するにあたり操作性よく除染作業を行うことが
できるとともに、作業員の放射線被曝を低減できる。請
求項6の発明によれば、1バッチあたりの金属廃棄物の
除染処理量を増加させることができ、しかも大量に除染
処理する場合には自動化が容易となる。
方法実施するにあたり操作性よく除染作業を行うことが
できるとともに、作業員の放射線被曝を低減できる。請
求項6の発明によれば、1バッチあたりの金属廃棄物の
除染処理量を増加させることができ、しかも大量に除染
処理する場合には自動化が容易となる。
【0086】請求項7の発明によれば、絶縁性遮蔽容器
およびかご内で金属廃棄物を効率的に除染できるため、
大量の金属廃棄物の除染処理と自動化が容易である。請
求項8の発明によれば、湾曲した板状の金属廃棄物を除
染する場合は、棒状または角管状の陰極を駆動装置によ
り金属廃棄物表面と一定の間隔を保持させ、かつ移動さ
せて除染を行うため、金属廃棄物を均一に除染できる。
およびかご内で金属廃棄物を効率的に除染できるため、
大量の金属廃棄物の除染処理と自動化が容易である。請
求項8の発明によれば、湾曲した板状の金属廃棄物を除
染する場合は、棒状または角管状の陰極を駆動装置によ
り金属廃棄物表面と一定の間隔を保持させ、かつ移動さ
せて除染を行うため、金属廃棄物を均一に除染できる。
【0087】請求項9の発明によれば、フレキシブルケ
ーブルにより棒状または角管状の陰極を多数接続した簾
状陰極を用い、さらに簾状陰極に通水性の絶縁性弾性体
を張り付けることにより湾曲した板状の金属廃棄物の適
用性がさらに向上する。
ーブルにより棒状または角管状の陰極を多数接続した簾
状陰極を用い、さらに簾状陰極に通水性の絶縁性弾性体
を張り付けることにより湾曲した板状の金属廃棄物の適
用性がさらに向上する。
【0088】除染前の金属廃棄物が局部的に汚染してい
る場合は、棒状また角管状の陰極を駆動装置により金属
廃棄物の汚染部近傍に移動させて除染できるため、金属
表面全体を溶解する場合と比較して二次廃棄物の発生量
を大幅に低減できる。
る場合は、棒状また角管状の陰極を駆動装置により金属
廃棄物の汚染部近傍に移動させて除染できるため、金属
表面全体を溶解する場合と比較して二次廃棄物の発生量
を大幅に低減できる。
【図1】本発明の第1と第4の実施例を説明するための
系統図。
系統図。
【図2】図1における電解槽の平面図。
【図3】図1における電解槽の縦断面図。
【図4】本発明の第2の実施例を説明するための実験/
理論図。
理論図。
【図5】本発明の第3の実施例を説明するための実験/
理論図。
理論図。
【図6】本発明の第5の実施例を説明するための電解液
の絶対温度の逆数と溶解量との関係特性図。
の絶対温度の逆数と溶解量との関係特性図。
【図7】本発明の第6の実施例を説明するための縦断面
図。
図。
【図8】本発明の第7の実施例を説明するための縦断面
図。
図。
【図9】本発明の第8の実施例を説明するための系統
図。
図。
【図10】図9において、電解槽内の棒状陰極と湾曲し
た金属廃棄物との配置関係を示す平面図。
た金属廃棄物との配置関係を示す平面図。
【図11】図9における電解槽に設置する第1の簾状陰
極を示す斜視図。
極を示す斜視図。
【図12】図11における第1の簾状陰極を湾曲した金属
廃棄物に設置状態を示す正面図。
廃棄物に設置状態を示す正面図。
【図13】図9における第2の簾状陰極を湾曲した金属
廃棄物に設置状態を示す正面図。
廃棄物に設置状態を示す正面図。
1…絶縁性遮蔽体、2…電解槽、3…電解液、4…ヒー
タ、5…陽極、6…陰極、7…金属廃棄物、8…直流電
源、9…排ガス処理装置、10…循環ポンプ、11…フィル
タ、12…循環ライン、13…陽極室、14…陰極室、15…遮
蔽容器、16…支持材、17…かご、18…棒状陰極、19…駆
動装置、20…フレキシブルケーブル、21…簾状陰極、22
…通水性絶縁性弾性体、23…板状遮蔽体。
タ、5…陽極、6…陰極、7…金属廃棄物、8…直流電
源、9…排ガス処理装置、10…循環ポンプ、11…フィル
タ、12…循環ライン、13…陽極室、14…陰極室、15…遮
蔽容器、16…支持材、17…かご、18…棒状陰極、19…駆
動装置、20…フレキシブルケーブル、21…簾状陰極、22
…通水性絶縁性弾性体、23…板状遮蔽体。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−249600(JP,A) 特開 平5−297192(JP,A) 特開 平6−242295(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G21F 9/28
Claims (9)
- 【請求項1】 放射性物質で汚染された金属廃棄物を電
解槽内の電解液中で非接触で電解して誘電作用により前
記金属廃棄物の金属母材を溶解して放射能を除去する放
射性金属廃棄物の除染方法において、前記電解槽内に上
下面と、この上下面の一辺を連結する一側面を壁面と
し、前記一側面に連ねる他の三方向の側面が開口する縦
断面がほぼコの字形絶縁性遮蔽体を設け、このコの字形
絶縁性遮蔽体内を陰極室とし、前記コの字形絶縁性遮蔽
体の前記一側面に対向する外側を陽極室として、この陽
極室内に陽極を設置し、前記陰極室内に陰極と前記金属
廃棄物を設置し、前記陽極と前記陰極を直流電源に接続
し、この直流電源から直流電圧を印加して、前記陰極に
対面している前記金属廃棄物の汚染面を正極に帯電させ
て前記金属廃棄物の金属母材を溶解することを特徴とす
る放射性金属廃棄物の除染方法。 - 【請求項2】 前記金属廃棄物が全面にわたり汚染して
いる場合は前記直流電源の極性を逆転させて前記陽極を
陰極に変換し、前記陰極を陽極に変換して前記金属廃棄
物の他方の面を溶解することを特徴とする請求項1記載
の放射性金属廃棄物の除染方法。 - 【請求項3】 前記電解液として無機酸を用い、前記陰
極に対面している前記金属廃棄物表面の他方の面を負極
に帯電させて前記金属廃棄物表面の不動態化被膜または
酸化被膜を還元,破壊し、前記直流電源からの直流電圧
の印加を停止して前記金属廃棄物の金属母材を前記無機
酸の酸化力により溶解することを特徴とする請求項1記
載の放射性廃棄物の除染方法。 - 【請求項4】 前記金属廃棄物の金属母材の溶解と、前
記金属廃棄物表面の不動態化被膜または酸化被膜の還
元,破壊を直流電源の極性を交互に逆転させて繰り返す
ことを特徴とする請求項3記載の放射性金属廃棄物の除
染方法。 - 【請求項5】 放射性物質で汚染された金属廃棄物を電
解槽内の電解液中で非接触で電解して誘電作用により前
記金属廃棄物の金属母材を溶解して放射能を除去する放
射性金属廃棄物の除染装置において、前記電解槽内に設
けた絶縁性遮蔽体と、この絶縁性遮蔽体により区画され
た陽極室および陰極室と、前記陽極室に設置した陽極
と、前記陰極室に設置した陰極とを具備し、前記絶縁性
遮蔽体は上下面と、この上下面の一辺を連結する一側面
を壁面とし、前記一側面に連ねる他の三方向側面が開口
する縦断面がほぼコの字形に形成されたコの字形絶縁性
遮蔽体で、このコの字形絶縁性遮蔽体の前記一側面を境
界にして前記電解槽内に前記陽極室と前記陰極室が区画
されることを特徴とする放射性金属廃棄物の除染装置。 - 【請求項6】 前記コの字形絶縁性遮蔽体に代えて、上
部に開口部を有する縦断面がほぼU字状の絶縁性遮蔽容
器を設け、この絶縁性遮蔽容器と前記電解槽の底部との
間に陰極を設置し、かつ前記容器内の底部に陽極を設置
し、この陽極の上方に前記金属廃棄物を保持する絶縁性
支持材を設置してなり、前記絶縁性支持材は電解液流通
のために網目状に開く多数の孔を有することを特徴とす
る請求項5記載の放射性金属廃棄物の除染装置。 - 【請求項7】 前記絶縁性支持材は上端開口部を有し、
かつ内部に前記金属廃棄物を収納するかごからなること
を特徴とする請求項6記載の放射性金属廃棄物の除染装
置。 - 【請求項8】 前記陰極は角管または棒状体からなり、
駆動装置に前記金属廃棄物表面と一定の間隔を保持しな
がら移動自在に取り付けられていることを特徴とする請
求項5記載の放射性金属廃棄物の除染装置。 - 【請求項9】 前記陰極は角管または棒状体を多数配列
してフレキシブルケーブルにより接続して簾状陰極を形
成し、この簾状陰極に通水性の絶縁弾性体を付設したこ
とを特徴とする請求項8記載の放射性金属廃棄物の除染
装置。
Priority Applications (6)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06010428A JP3074108B2 (ja) | 1994-02-01 | 1994-02-01 | 放射性金属廃棄物の除染方法およびその装置 |
TW084100830A TW288145B (ja) | 1994-02-01 | 1995-01-28 | |
DE69527560T DE69527560T2 (de) | 1994-02-01 | 1995-02-01 | Einrichtung und Verfahren zur Dekontaminierung von radioaktivem, metallischem Abfall durch Elektrolyse |
EP95101360A EP0669625B1 (en) | 1994-02-01 | 1995-02-01 | Apparatus and method for decontamination of radioactive metallic waste by electrolysis |
US08/786,931 US5865965A (en) | 1994-02-01 | 1997-01-23 | Apparatus for electrochemical decontamination of radioactive metallic waste |
US08/870,450 US5877388A (en) | 1994-02-01 | 1997-06-06 | Apparatus and method for electrochemical decontamination of radioactive metallic waste |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06010428A JP3074108B2 (ja) | 1994-02-01 | 1994-02-01 | 放射性金属廃棄物の除染方法およびその装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07218694A JPH07218694A (ja) | 1995-08-18 |
JP3074108B2 true JP3074108B2 (ja) | 2000-08-07 |
Family
ID=11749891
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP06010428A Expired - Fee Related JP3074108B2 (ja) | 1994-02-01 | 1994-02-01 | 放射性金属廃棄物の除染方法およびその装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3074108B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022114643A1 (ko) * | 2020-11-30 | 2022-06-02 | (주)수산인더스트리 | 제염용 보트 |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102503059B (zh) * | 2011-11-23 | 2013-07-10 | 上海市环境科学研究院 | 一种去除污泥中重金属的方法和它的装置 |
JP6722629B2 (ja) * | 2017-10-13 | 2020-07-15 | 日本碍子株式会社 | 放射性金属廃棄物の除染装置 |
GB201817604D0 (en) * | 2018-10-29 | 2018-12-12 | C Tech Innovation Ltd | Electrolytic treatment system for nuclear decontamination |
-
1994
- 1994-02-01 JP JP06010428A patent/JP3074108B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022114643A1 (ko) * | 2020-11-30 | 2022-06-02 | (주)수산인더스트리 | 제염용 보트 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07218694A (ja) | 1995-08-18 |
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