JPH05297034A - 電子式電力量計 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 器差調整または試験の際、電流を入力しなく
ても器差調整または試験を行えるようにして作業性を改
善することができる電子式電力量計を得る。 【構成】 補助変圧器 102は電圧入力端子 100からの入
力電圧に比例した電圧信号を電力／周波数変換部 105へ
出力する。また、この電圧信号は電圧側信号端子109で
取り出せるようになっている。器差調整または試験を行
うときは、電流入力端子 101から電流は入力せず、信号
端子 109と電流側信号端子 110を短絡して電圧側信号端
子 109で取り出した電圧信号を電力／周波数変換部 105
へ送信する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電子式電力量計に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来の電子式電力量計は次のように動作
する。すなわち、電力／周波数変換部で給電線の負荷電
圧に比例した電圧信号および負荷電流に比例した電圧信
号とを乗算し、この乗算信号に比例した周波数信号を得
る。この周波数信号は分周部で分周されて電力量として
表示部に表示される。また電力／周波数変換部の誤差を
調整する調整部が設けられている。このような電子式電
力量計について、製造工程の１つである器差調整または
計量を確認する等の試験を行う場合、図３に示すような
方式で行う。図３において２は計測する電圧および電流
を電子式電力量計に供給する虚負荷試験装置、30，31，
32，…，3nは各々従来の電子式電力量計である。

【０００３】虚負荷試験装置２と電子式電力量計30，3
1，32，…，3nとの接続は、虚負荷試験装置２の電圧端
子22，23を各電子式電力量計30，31，32，…，3nの電圧
入力端子に並列に接続し、虚負荷試験装置２の電流端子
20，21を電子式電力量計30，31，32，…，3nの電流入力
端子に直列に接続することにより行う。こうして、虚負
荷試験装置２より各々の電子式電力量計30，31，32，
…，3nに電圧Ｖ₁ および電流Ｉ₁ を供給する。ところで
電子式電力量計の電力／周波数変換部が出力する周波数
信号ｆは、給電線の負荷電圧に比例した電圧信号を
ｖ₁ ，負荷電流に比例した電圧信号をｖ₂ ，この位相角
をθ，係数をｋとすると、次式で示される。

【０００４】

【数１】ｆ₁ ＝ｋ×ｖ₁ ×ｖ₂ × cosθ この周波数信号ｆ₁ は分周部で分周され、電力量に応じ
た計量値Ｄとして表示部に示される。このＤは、係数を
ｋ′とすると次式で示される。

【０００５】

【数２】Ｄ₁ ＝ｋ′ｆ＝ｋ×ｋ′×ｖ₁ ×ｖ₂ × cosθ

【０００６】虚負荷試験装置２と各電子式電力量計30，
31，32，…，3nの接続が完了すると、電子式電力量計3
0，31，32，…，3nが虚負荷試験装置２より供給される
電圧Ｖ₁ および電流Ｉ₁ に対し、その計量値が（２）式
に示す計量値Ｄ₁ と合致するように調整部 108を操作す
る器差調整を行い、または供給されている電圧Ｖ₁ およ
び電流Ｉに対し計量値Ｄ₁ と合致している計量がなされ
ているか否かを確認する等の試験を行う。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】このような電子式電力
量計においては、製造過程において１台もしくは数台の
電子式電力量計の器差調整または試験が終了して次工程
へ進行させたい場合、器差調整または試験が終了した電
子式電力量計のみ取外すことは虚負荷試験装置２の電流
端子20，21より供給している電流回路が開放となるため
不可能である。通常、器差調整または試験が終了した電
子式電力量計を取外す際、１つには前記電流回路の開放
を防ぐために虚負荷試験装置２からの電流の供給を停止
し、器差調整または試験の終了した電子式電力量計を取
外し次工程へ進行させ、器差調整または試験の終了して
いない残りの電子式電力量計を再び、虚負荷試験装置２
の電流端子20，21に直列に接続して器差調整または試験
を継続する。また全ての電子式電力量計30，31，32，
…，3nの器差調整または試験が終了した時点で虚負荷試
験装置２からの電流の供給を停止し全ての電子式電力量
計30，31，32，…，3nを取外し次工程へ進行させる方式
もある。しかしながら、このような方式では次工程への
進行が遅れる、器差調整または試験に繁雑な作業となる
など作業能率が著しく悪い。

【０００８】本発明の目的は、虚負荷試験装置２を一切
停止することなく、かつ電流回路の再接続という繁雑な
作業をしなくても器差調整または試験を行える電子式電
力量計を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、給電線の負荷電圧に比例した電圧信号に変
換する第１の変換手段と、給電線の負荷電流に比例した
電圧信号に変換する第２の変換手段と、第２の変換手段
からの電圧信号と第１の変換手段からの電圧信号を乗算
し、この乗算信号に応じたパルス信号に変換する電力／
周波数変換手段とを有する電子式電力量計において、電
力／周波数変換手段の一方の入力側に設けられ第１の変
換手段からの電圧信号を検出する検出手段と、電力／周
波数変換手段の他方の入力側に設けられ、所望時に検出
手段に接続されて第２の変換手段からの電圧信号の代わ
りに第１の変換手段からの電圧信号を電力／周波数変換
手段に送信する制御手段とで構成する。

【００１０】

【作用】このような構成において、所望時（試験時等）
に検出手段と制御手段が接続されると、制御手段は第２
の変換手段からの電圧信号の代わりに検出手段で検出さ
れた第１の変換手段からの電圧信号を電力／周波数変換
手段に送信するので、第１の変換手段からの電圧信号だ
けで試験等を行うことができる。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図１は本発明の電子式電力量計を示す構成図、図
２は本発明の電子式電力量計の器差調整または試験方式
を示す図である。

【００１２】図１において、 100は電圧入力端子、 101
は電流入力端子であり、電圧入力端子 100，電流入力端
子 101より測定する対象となる電圧、電流を入力する。
電圧入力端子 100より入力された電圧は補助変圧器 102
を介して入力電圧に比例した電圧信号に変換されて電力
／周波数変換部 105に送られる。また電流入力端子 101
より入力された電流は、補助変流器 101を介して入力電
流に比例した電流信号に変換され、更に電流／電圧変換
部 104を介して電圧信号に変換され出力されて電力／周
波数変換部 105に送られる。

【００１３】電力／周波数変換部 105では、補助変圧器
102の出力電圧と電流／電圧変換部104の出力電圧を乗
算し、乗算した結果に比例した周波数信号が出力され
る。ここで周波数信号の周波数は、電圧入力端子 100，
電流入力端子 101より入力された電圧、電流の乗算した
結果、つまり電力に比例している。電力／周波数変換部
105より出力された周波数信号は、分周部 106で分周さ
れ表示部 107により電力量として表示される。

【００１４】108は調整部で、電子式電力量計の構成す
る部品のバラツキ等により生じる誤差を調整する部分で
あり、電力／周波数変換部 105を調整することにより入
力される電力に応じた周波数信号となるように調整され
る。

【００１５】109は電圧側信号端子で、電力／周波数変
換部 105の一方の入力側、すなわち補助変圧器 102の出
力側に設けられ、電圧入力端子 100から供給される電圧
に比例した電圧信号を取り出す、 110は電流側信号端子
で、電力／周波数変換部 105の他方の入力側、すなわち
電流／電圧変換部 104の出力側に設けられる。電流側信
号端子 110は、電流入力端子 101に電流が供給されてい
ない場合、電力／周波数変換部 105に電圧信号を入力す
ることができるようになっている。

【００１６】電圧側信号端子 109および電流側信号端子
110は、互いに内部で容易に短絡および開放の操作がで
きる位置に設けられており、製品として完成した状態で
は電圧側信号端子 109および電流側信号端子 110の短絡
および開放の操作ができないようになっている。次に作
用について説明する。

【００１７】電子式電力量計１の器差調整もしくは試験
の際、電圧側信号端子 109および電流側信号端子 110を
短絡し、電流入力端子 101に電流を入力させない。電圧
入力端子 100に電圧Ｖ₁ を入力すると、電圧Ｖ₁ は補助
変圧器 102により、電圧Ｖ₁に比例した電圧信号ｖ₁ に
変換され、この電圧信号ｖ₁ は電力／周波数変換部 105
に入力されるとともに電圧側信号端子 109に出力され
る。このとき、電圧側信号端子 109の電圧信号ｖ₁ は、
電圧側信号端子 109と電流側信号端子 110が短絡されて
いることにより、電力／周波数変換部 105の他方の入力
側からも入力する。電力／周波数変換部 105では、これ
らの電圧信号ｖ₁ を乗算し、その乗算した結果に比例し
た周波数ｆ₂ 、すなわち

【００１８】

【数３】ｆ₂ ＝ｋ×ｖ₁ ×ｖ₁ ＝ｋｖ₁ ² が周波数信号として出力される。ここでｋは係数であ
る。周波数信号ｆ₂ は分周部 106にて分周され、周波数
信号ｆ₂ に比例した計量値Ｄ₂ 、すなわち

【００１９】

【数４】Ｄ₂ ＝ｋ′×ｆ₂ ＝ｋ×ｋ′×ｖ₁ ² として表示部 107に表示される。ここでｋ′は係数であ
る。

【００２０】通常、補助変流器 103および電流／電圧変
換部 104の変換誤差は微少のため無視できるので、電圧
入力端子 100に入力された電圧Ｖ₁ に対し、（４）式の
計量値Ｄ₂ と合致するように調整部 108で操作して器差
調整を行い、また入力された電圧Ｖ₁ に対し、（４）式
の計量値Ｄ₂ と合致している計量がなされているか否か
を確認する試験を行う。

【００２１】より具体的には、電子式電力量計１の器差
調整もしくは試験の際は、図２に示すように虚負荷試験
装置２より電子式電力量計10，11，12，…，1nには電圧
のみ供給することで行うことができ、虚負荷試験装置２
の電流端子20，21は互いに直接短絡する。

【００２２】このような状態であれば、器差調整もしく
は試験が終了した任意の電子式電力量計を取外しても、
並列に接続されている電圧回路の接続が外されるだけな
ので電流回路の再接続という繁雑な作業が不要になるだ
けでなく、虚負荷試験装置２を停止させなくても、次工
程に進行でき、器差調整または試験が終了していない電
子式電力量計も継続して器差調整または試験が行うこと
ができる。

【００２３】尚、器差調整または試験以外のときは、電
圧側信号端子 109と電流側信号端子110は開放し（接続
せず）、電圧入力端子 110および電流入力端子 101より
入力される電圧および電流の電力量を計量する。

【００２４】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、所望時
（試験時等）に検出手段と制御手段が接続されると、制
御手段は第２の変換手段からの電圧信号の代わりに検出
手段で検出された第１の変換手段からの電圧信号を電力
／周波数変換手段へ送信し、電力／周波数変換手段で両
方の電圧信号を乗算した結果に比例したパルス信号に変
換されるので、試験時等に電流を入力する必要がなくな
り、試験等の作業性を改善できる電子式電力量計を得る
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の電子式電力量計の構成図。

【図２】本発明の電子式電力量計の器差調整または試験
の方式を示す図。

【図３】従来の電子式電力量計の器差調整または試験の
方式を示す図。

【符号の説明】

１…電子式電力量計、 100…電圧入力端子、 101…電流
入力端子、 105…電力／周波数変換部、 109…電圧側信
号端子、 110…電流側信号端子

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 給電線の負荷電圧に比例した電圧信号に
   変換する第１の変換手段と、前記給電線の負荷電流に比
   例した電圧信号に変換する第２の変換手段と、この第２
   の変換手段からの電圧信号と前記第１の変換手段からの
   電圧信号を乗算し、この乗算信号に応じたパルス信号に
   変換する電力／周波数変換手段とを有する電子式電力量
   計において、前記電力／周波数変換手段の一方の入力側
   に設けられ前記第１の変換手段からの電圧信号を検出す
   る検出手段と、前記電力／周波数変換手段の他方の入力
   側に設けられ、所望時に前記検出手段に接続されて前記
   第２の変換手段からの電圧信号の代わりに前記第１の変
   換手段からの電圧信号を前記電力／周波数変換手段に送
   信する制御手段とを備えたことを特徴とする電子式電力
   量計。