JPH05295354A - 撥水性エマルジョン組成物およびその製造方法 - Google Patents

撥水性エマルジョン組成物およびその製造方法

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JPH05295354A
JPH05295354A JP7962592A JP7962592A JPH05295354A JP H05295354 A JPH05295354 A JP H05295354A JP 7962592 A JP7962592 A JP 7962592A JP 7962592 A JP7962592 A JP 7962592A JP H05295354 A JPH05295354 A JP H05295354A
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JP
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water
emulsion composition
silicone
emulsion
surfactant
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JP7962592A
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Inventor
Akira Umigami
暁 海上
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Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】分散安定性が高く、かつ撥水性および防水性が
向上した水分散系の撥水性エマルジョン組成物およびそ
の製造方法を提供する。 【構成】コロイドシリカ粒子0.1〜30wt%、カチオ
ン系界面活性剤0.001〜1wt%、低粘度オイル0.
1〜10wt%、シリコーン系界面活性剤0.01〜1wt
%、水58〜99wt%より成る組成物と、水分散シリカ
コロイドに非極性有機溶媒、カチオン系界面活性剤、シ
リル化剤を加えて第1のエマルジョン溶液を得る工程
と、エマルジョン溶液に含まれる水を共沸脱水して非極
性有機溶媒分散シリカゾル溶液を得る工程と、非極性有
機溶媒分散シリカゾル溶液に低粘度オイル、シリコーン
系界面活性剤、水を加えて第2のエマルジョン溶液を得
る工程と、第2のエマルジョン溶液に含まれる非極性有
機溶媒を留去する工程とを含む製法とから成る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は撥水性エマルジョン組成
物およびその製造方法に係り、特に水分散系撥水剤とし
て好適な撥水性エマルジョン組成物およびその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンクリート構造物の劣化が社会
問題となり、これを契機として、劣化の主な原因である
外部からの水の侵入を遮断するための撥水剤が種々開発
されている。このような用途の撥水剤としては、現在、
溶剤系撥水剤と水分散系撥水剤とが開発されているが、
溶剤系撥水剤には引火性が高いという問題点や、毒性が
高く作業環境や自然環境への悪影響が強いなどの問題点
がある。このため、引火性や毒性の低い水分散系撥水剤
への需要が高まってきている。
【0003】このような利点を有する水分散系撥水剤
は、撥水性物質が水系分散媒中に分散された撥水性エマ
ルジョンであり、例えば、撥水性物質であるアルキルア
ルコキシシランを分散媒である水中に非イオン性乳化剤
の存在下でエマルジョン化させて得られたもの(特開昭
62−197369号公報)が知られている。また、有
機ポリシロキサンオイルの水性エマルジョン(米国特許
第4476282号明細書参照)および珪素樹脂の水性
分散液(米国特許第4529758号明細書参照)も報
告されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、アルキ
ルアルコキシシランは加水分解性が高く、水中で安定に
存在させるためには多量の乳化剤を必要とすることか
ら、高い分散安定性を有する水分散系撥水剤を得ようと
すると多量の乳化剤により撥水性が低下するという難点
がある。また、有機ポリシロキサンオイルの水性エマル
ジョンおよび珪素樹脂の水性分散液は共に、撥水性およ
び吸水防止性能が未だ不十分であるという難点がある。
【0005】したがって本発明の目的は、分散安定性が
高く、かつ撥水性および吸水防止性が向上した水分散系
の撥水性エマルジョン組成物およびその製造方法を提供
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】】上記目的を達成する本
発明の撥水性エマルジョン組成物は、表面をシリル化剤
により処理されたコロイドシリカ粒子、カチオン系界面
活性剤、低粘度オイル、シリコーン系界面活性剤および
水を必須成分として含有し、かつ、前記必須成分の合量
を100wt%としたときの各成分の含有量が、前記コロ
イドシリカ粒子0.1〜30wt%、前記カチオン系界面
活性剤0.001〜1wt%、前記低粘度オイル0.1〜
10wt%、前記シリコーン系界面活性剤0.01〜1wt
%、前記水58〜99wt%であることを特徴とするもの
である。
【0007】また、上記目的を達成する本発明の撥水性
エマルジョン組成物の製造方法は、水分散シリカコロイ
ドに非極性有機溶媒、カチオン系界面活性剤およびシリ
ル化剤を加えて第1のエマルジョン溶液を得る工程と、
前記第1のエマルジョン溶液に含まれる水を共沸脱水し
て非極性有機溶媒分散シリカゾル溶液を得る工程と、前
記非極性有機溶媒分散シリカゾル溶液に低粘度オイル、
シリコーン系界面活性剤および水を加えて第2のエマル
ジョン溶液を得る工程と、前記第2のエマルジョン溶液
に含まれる非極性有機溶媒を留去する工程とを含むこと
を特徴とするものである。
【0008】以下、本発明について詳細に説明する。ま
ず本発明の撥水性エマルジョン組成物について説明する
と、このエマルジョン組成物は、前述したように、表面
をシリル化剤により処理されたコロイドシリカ粒子、カ
チオン系界面活性剤、低粘度オイル、シリコーン系界面
活性剤および水を必須成分として含有する。これらの必
須成分の具体例および好ましい含有量は、それぞれ下記
〜に示す通りである。
【0009】表面をシリル化剤により処理されたコロ
イドシリカ粒子 コロイドシリカ粒子は、これに撥水性を付与するために
シリル化剤により表面処理されている必要がある。表面
処理前のコロイドシリカ粒子自体に特別な制限はなく、
例えば水ガラスを用いた酸分解電解透析法、解膠法、イ
オン交換法、珪酸エチルを用いた加水分解法等の方法に
より得られるコロイドシリカ粒子を用いることができ
る。一方、撥水性付与成分であるシリル化剤の種類も特
に限定されるものではなく、具体例としてはアルキル置
換ハロシラン類(オクタデシルトリクロロシラン、オク
タデシルメチルジクロロシラン、オクタデシルジメチル
クロロシラン等)、アルキル置換アルコキシシラン類
(オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルメチ
ルジメトキシシラン、オクタデシルジメチルメトキシシ
ラン等)、およびアルキル置換シラザン類(ヘキサメチ
ルジシラザン等)等や、これらを加水分解して得られる
ヒドロキシシラン類等が挙げられる。
【0010】表面をシリル化剤により処理されたコロイ
ドシリカ粒子の含有量は、本発明の撥水性エマルジョン
組成物に占める必須成分の合量を100wt%としたとき
に、0.1〜30wt%の範囲内とする。その理由は、
0.1wt%未満では十分な撥水性を有する撥水性エマル
ジョン組成物が得られなず、一方、30wt%を超えると
得られる撥水性エマルジョン組成物が高価になるからで
ある。表面処理されたコロイドシリカ粒子の含有量は、
1〜20wt%の範囲内が特に好ましい。
【0011】カチオン系界面活性剤 カチオン系界面活性剤の具体例としては、アルキルアミ
ン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミノアルコール脂肪
酸誘導体、アルキル四級アンモニウム塩(アルキルトリ
メチルアンモニウム塩等)、環式四級アンモニウム塩
(アルキルピリジニウム塩等)、水酸基を有する四級ア
ンモニウム塩、エーテル結合を有する四級アンモニウム
塩、アミド結合を有する四級アンモニウム塩等が挙げら
れるが、これらに限定されるものではない。カチオン系
界面活性剤の含有量は、本発明の撥水性エマルジョン組
成物に占める必須成分の合量を100wt%としたとき
に、0.001〜1wt%の範囲内とする。その理由は、
このカチオン系界面活性剤は、撥水性エマルジョン組成
物を製造するうえで必要な成分であり、最終濃度が0.
001wt%未満となる使用量では目的とする撥水性エマ
ルジョン組成物を製造することができず、また、使用量
の最終濃度が1wt%を超えると得られる撥水性エマルジ
ョン組成物の撥水性が低下し過ぎるからである。特に好
ましくは、0.01〜0.5wt%の範囲内である。
【0012】低粘度オイル 低粘度オイルとしては、粘度が200cSt 以下のもの
を用いるのが好ましい。粘度が200cSt 以下であれ
ば、化学的組成にかかわらず、イソパラフィン系合成
油、芳香族系合成油等の種々のオイルを用いることがで
きる。なお、粘度が200cSt を超えるオイルを用い
た場合には、必須成分の1つである後述の水への分散性
が低下するため好ましくない。低粘度オイルの含有量
は、本発明の撥水性エマルジョン組成物に占める必須成
分の合量を100wt%としたときに、0.1〜10wt%
の範囲内とする。その理由は、0.1wt%未満では得ら
れる撥水性エマルジョン組成物の分散安定性が低下し過
ぎ、一方、10wt%を超えると得られる撥水性エマルジ
ョン組成物の撥水性が低下し過ぎるからである。特に好
ましくは、0.5〜5wt%の範囲内である。
【0013】シリコーン系界面活性剤 シリコーン系界面活性剤としては、珪素原子を含有し、
界面活性能を有する任意の有機化合物が用いられる。こ
のシリコーン系界面活性剤としては、例えばポリエチレ
ンオキサイド変成シリコーンオイル[商品名:TSF
4440,TSF 4445,TSF 4446(以
上、東芝シリコーン社製)等]、ポリプロピレンオキサ
イド変成シリコーンオイル(商品名:TSF4460
(東芝シリコーン社製)等]、ポリエチレンオキサイド
−ポリプロピレンオキサイド変性シリコーンオイル(商
品名:TSF 4450,TSF 4452(以上、東
芝シリコーン社製)等]等が挙げられる。シリコーン系
界面活性剤の含有量は、本発明の撥水性エマルジョン組
成物に占める必須成分の合量を100wt%としたとき
に、0.01〜1wt%の範囲内とする。その理由は、
0.01wt%未満では分散安定性に優れた撥水性エマル
ジョン組成物が得られず、一方、1wt%を超えると、シ
リコーン系界面活性剤が高価であることから、得られる
撥水性エマルジョン組成物が高価になるからである。特
に好ましくは、0.1〜1wt%の範囲内である。
【0014】水 水としては水道水、イオン交換水、蒸溜水等が用いられ
るが、これらに限定されるものではない。水の含有量
は、本発明の撥水性エマルジョン組成物に占める必須成
分の合量を100wt%としたときに、58〜99wt%の
範囲内とする。その理由は、58wt%未満あるいは99
wt%を超えると、他の必須成分の含有量が上述の範囲か
ら外れ、得られる撥水性エマルジョン組成物の撥水性、
分散安定性が低下し過ぎる。また58wt%未満である
と、上記〜成分の量が増え、得られる撥水性エマル
ジョン組成物が高価になるからである。特に好ましく
は、73〜98wt%の範囲内である。
【0015】前述した5成分を必須成分とする本発明の
撥水性エマルジョン組成物は、表面がシリル化されたコ
ロイドシリカ粒子を含有し、かつシリコーン系界面活性
剤によりエマルジョン化されているため、分散安定性が
高く、かつ撥水性および吸水防止性に優れている。
【0016】このような利点を有する本発明の撥水性エ
マルジョン組成物は、これに限定されるものではない
が、水分散シリカコロイドに非極性有機溶媒、カチオン
系界面活性剤およびシリル化剤を加えて第1のエマルジ
ョン溶液を得る工程(以下、この工程を第1の工程とい
うことがある)と、前記エマルジョン溶液に含まれる水
を共沸脱水して非極性有機溶媒分散シリカゾル溶液を得
る工程(以下、この工程を第2の工程ということがあ
る)と、前記非極性有機溶媒分散シリカゾル溶液に低粘
度オイル、シリコーン系界面活性剤および水を加えて第
2のエマルジョン溶液を得る工程(以下、この工程を第
3の工程ということがある)と、前記第2のエマルジョ
ン溶液に含まれる非極性有機溶媒を留去する工程(以
下、この工程を第4の工程ということがある)とを含む
ことを特徴とする本発明の方法によって製造することが
できる。
【0017】上記第1の工程で用いる水分散シリカコロ
イドに特別の限定はなく、例えば水ガラスを用いた酸分
解電解透析法、解膠法、イオン交換法、ケイ酸エチルを
用いた加水分解法等の方法により得られたもののいずれ
をも好適に用いることができる。水分散シリカコロイド
中のシリカ濃度は1〜50wt%の範囲内であることが好
ましい。その理由は、水分散シリカコロイド中の水は後
述する第2の工程ででき得る限り共沸脱水する必要があ
り、シリカ濃度が1wt%未満では、水分散シリカコロイ
ド中の水の量が多くなり、その結果、水を共沸脱水する
に必要な非極性有機溶媒の使用量が多量になるからであ
り、一方、50wt%を超えるとシリカコロイドの安定性
が悪くなるからである。特に好ましいシリカ濃度は、2
0〜50wt%である。
【0018】水分散シリカコロイドに加えられる非極性
有機溶媒の種類も特に限定されるものでない。具体例と
しては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼ
ン、クメン等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサ
ン、エチルシクロヘキサン、デカリン等の脂環族炭化水
素系溶媒、ペンタン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭
化水素系溶媒、ミネラルスピリット等の工業ガソリン、
灯油等の石油系溶媒、石油化学系溶媒、あるいは上記溶
媒の混合物等が挙げられる。例えばベンゼンとトルエン
の混合物の如く、2種以上の同一系溶媒をブレンドした
ものでもよい。
【0019】非極性有機溶媒の添加量は、水分散シリカ
コロイド中の水1gに対して3〜30gの範囲内である
ことが好ましい。その理由は、3g未満では水分散シリ
カコロイド中の水を後述する第2の工程で十分に共沸脱
水することができず、一方、添加量が30gを超えると
後述する第4の工程での留去に長時間を要することにな
るからである。特に好ましい添加量は、上記水1gに対
して5〜20gの範囲内である。
【0020】また、第1の工程で用いるカチオン系界面
活性剤の種類も特に限定されるものではない。具体例と
しては、先に説明した本発明の撥水性エマルジョン組成
物において例示した各種カチオン系界面活性剤が挙げら
れるが、これらに限定されるものではない。カチオン系
界面活性剤は、水分散シリカコロイド中で負に帯電して
いるコロイドシリカ粒子をカチオン系界面活性剤で取り
囲むことにより、コロイドシリカ粒子の凝集を防止する
ために用いられ、これによりpHを酸性側にしなくても
分散安定性を保つことができる。
【0021】カチオン系界面活性剤の添加量は、水分散
シリカコロイド中のシリカ1gに対して0.001〜1
0gの範囲内が好ましい。その理由は、0.001g未
満では後述する第2の工程での共沸脱水時にエマルジョ
ンが分離してしまい、一方、10gを超えると最終的に
得られる撥水性エマルジョン組成物の撥水性が低下し過
ぎるからである。より好ましい添加量は上記シリカ1g
に対して0.005〜2gの範囲内であり、特に好まし
い添加量は上記シリカ1gに対して0.01〜0.5g
の範囲内である。
【0022】上述した水分散シリカコロイド、非極性有
機溶媒、およびカチオン系界面活性剤とともに第1の工
程で用いられるシリル化剤の種類も特に限定されるもの
ではない。具体例としては、先に説明した本発明の撥水
性エマルジョン組成物において例示した各種シリル化剤
が挙げられるが、これらに限定されるものではない。シ
リル化剤の添加量は、水分散シリカコロイド中のシリカ
1gに対して0.1〜1gの範囲内が好ましい。その理
由は、0.1g未満では十分な撥水性を有する撥水性エ
マルジョン組成物を得ることができず、一方、1gを超
えると、シリル化剤が高価であることから、製造コスト
の上昇をまねくからである。添加量は、上記シリカ1g
に対して0.5〜1gの範囲内であるのが特に好まし
い。
【0023】第1の工程においては、上述した水分散シ
リカコロイド、非極性有機溶媒、カチオン系界面活性剤
およびシリル化剤の所定量を、例えば、ホモジナイザー
等を用いて高速攪拌することにより第1のエマルジョン
溶液を得る(なお、第1の工程で得られるエマルジョン
溶液を「第1のエマルジョン溶液」としたのは、後記第
3の工程で得られるエマルジョン溶液を「第2のエマル
ジョン溶液」として、両者を区別するためである。)。
【0024】本発明の方法では、上述の第1の工程で得
られた第1のエマルジョン溶液に含まれる水を共沸脱水
して非極性有機溶媒分散シリカゾル溶液を得る第2の工
程を行う。共沸脱水は、例えば通常の共沸脱水蒸留によ
り行うことができ、共沸脱水時間は通常0.1〜5時間
である。
【0025】本発明の方法では、上述の第2の工程で得
られた非極性有機溶媒分散シリカゾル溶液に低粘度オイ
ル、シリコーン系界面活性剤および水を加えて第2のエ
マルジョン溶液を得る第3の工程を行う。第3の工程で
用いる低粘度オイルは、粘度が200cSt 以下のもの
であればその種類は特に限定されない。具体例として
は、先に説明した本発明の撥水性エマルジョン組成物に
おいて例示した各種系の低粘度オイルが挙げられるが、
これらに限定されるものではない。
【0026】低粘度オイルは、最終的に得られる撥水性
エマルジョン組成物中のコロイドシリカ粒子(表面をシ
リル化剤により処理されたもの)、カチオン系界面活性
剤、低粘度オイル、後記のシリコーン系界面活性剤およ
び後記の水の合量を100wt%としたときに、その割合
が0.1〜10wt%の範囲内となるように添加する。そ
の理由は、0.1wt%未満では得られる撥水性エマルジ
ョン組成物の分散安定性が低下し過ぎ、一方、10wt%
を超えると得られる撥水性エマルジョン組成物の撥水性
が低下し過ぎるからである。特に好ましい添加量は、
0.5〜5wt%の範囲内となる量である。
【0027】また、第3の工程で用いるシリコーン系界
面活性剤の種類も特に限定されるものでない。具体例と
しては、先に説明した本発明の撥水性エマルジョン組成
において例示した各種シリコーン系界面活性剤が挙げら
れるが、これらに限定されるものではない。シリコーン
系界面活性剤は、最終的に得られる撥水性エマルジョン
組成物中のコロイドシリカ粒子(表面をシリル化剤によ
り処理されたもの)、カチオン系界面活性剤、低粘度オ
イル、シリコーン系界面活性剤および後記の水の合量を
100wt%としたときに、その割合が0.01〜1wt%
の範囲内となるように添加する。その理由は、0.01
wt%未満では分散安定性に優れた撥水性エマルジョン組
成物が得られず、一方、1wt%を超えると、シリコーン
系界面活性剤が高価であることから、製造コストの上昇
をまねくからである。特に好ましい添加量は、0.1〜
1wt%の範囲内となる量である。
【0028】第3の工程で用いる水としては水道水、イ
オン交換水、蒸溜水等を用いることができるが、これら
に限定されるものではない。水は、最終的に得られる撥
水性エマルジョン組成物中のコロイドシリカ粒子(表面
をシリル化剤により処理されたもの)、カチオン系界面
活性剤、低粘度オイル、シリコーン系界面活性剤および
水の合量を100wt%としたときに、その割合が58〜
99wt%の範囲内となるように添加する。その理由は、
58wt%未満となる量の水あるいは99wt%を超える量
の水を添加すると、他の必須成分(表面をシリル化剤に
より処理されたコロイドシリカ粒子、カチオン系界面活
性剤、低粘度オイルおよびシリコーン系界面活性剤)の
含有量が前述の範囲から外れ、得られる撥水性エマルジ
ョン組成物の撥水性、分散安定性が低下し過ぎる。ま
た、58wt%未満では他の成分の量が相対的に多くな
り、得られる撥水性エマルジョン組成物が高価になるか
らである。特に好ましい添加量は、73〜98wt%の範
囲内となる量である。
【0029】この第3の工程においては、前述の第2の
工程で得られた非極性有機溶媒分散シリカゾル溶液に上
述の低粘度オイル、シリコーン系界面活性剤および水の
所定量を加えて、例えば、ホモジナイザー等を用いて高
速攪拌することにより第2のエマルジョン溶液を得る。
【0030】本発明の方法では、上述の第3の工程で得
られた第2のエマルジョン溶液に含まれる非極性有機溶
媒を留去する第4の工程を行なう。第4の工程における
非極性有機溶媒の留去は、例えば、エバポレーター等を
用いた水蒸気蒸留や、減圧蒸留(真空蒸留あるいは分子
蒸留)等により行なうことができるが、これらの方法に
限定されるものではない。第2のエマルジョン溶液に含
まれる非極性有機溶媒を留去することにより、目的とす
る撥水性エマルジョン組成物を得ることができる。
【0031】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 実施例1 市販の水分散シリカコロイド[商品名:S−20L、触
媒化成社製、シリカ濃度20wt%)50gに非極性有機
溶媒(トルエン)400g、市販のカチオン系界面活性
剤(商品名:コータミンD86P、花王社製、界面活性
剤濃度20%)2gおよびシリル化剤(オクタデシルト
リメトキシシラン)7.5gを加え、ホモジナイザーで
10分間攪拌混合して、第1のエマルジョン溶液を得
た。
【0032】この第1のエマルジョン溶液を撹拌機、冷
却器、蒸留装置付きの1リットルの三口フラスコに入
れ、連続攪拌下で蒸気温度を見ながら約1時間共沸脱水
蒸留を行なった。蒸気温度がトルエンの沸点(110.
6℃)になった時点で蒸留を止めて、トルエン分散シリ
カゾル溶液192gを得た。
【0033】このトルエン分散シリカゾル溶液にシリコ
ーン系界面活性剤(商品名:TSF4450、東芝シリ
コーン社製)1.8g、低粘度オイル[商品名:MCオ
イルW8、出光興産(株)製の芳香族系合成油、粘度8
cSt ]6g、および水700gを添加し、ホモジナイ
ザーで10分間撹拌混合して、第2のエマルジョン組成
物を得た。
【0034】この後、第2のエマルジョン組成物に含ま
れるトルエンを、エバポレーターを用いた水蒸気蒸留に
より留去して、撥水性エマルジョン組成物を得た。得ら
れた撥水性エマルジョン組成物の組成は、以下のとおり
であった。 表面をシリル化剤により処理されたコロイドシリカ粒子 3.0wt% カチオン系界面活性剤 0.3wt% シリコーン系界面活性剤 0.3wt% 低粘度オイル 1.0wt% 水 95.4wt%
【0035】撥水性試験 実施例1で得られた撥水性エマルジョン組成物をJIS
1−3モルタル板(70×70×20mm)に1g塗布
し、1日常温で乾燥した後、この上にスポイトで1滴
(0.03cc)の水を垂らし、写真撮影法により接触角
を測定した。また、比較として市販水性エマルジョン溶
液(外観:純白色液体、高級アルコキシシラン含量:4
0%、分散媒:水、pH:6〜8、粘度:10cp未
満、比重:0.95)についても同様にして接触角を測
定した。これらの測定結果を表1に示す。
【0036】透水試験 実施例1で得られた撥水性エマルジョン組成物の2gを
フレキ板(100×100×6mm)に塗布し、JIS
A 6910に基づいて透水試験を行った。
【0037】また、比較として前記の市販水性エマルジ
ョン溶液についても同様にして透水試験を行った。これ
らの測定結果も表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】表1から明らかなように、実施例1得られ
た撥水性エマルジョン組成物の接触角は90°であり、
これらの値は比較のために挙げた市販のものの接触角よ
りも極めて大きな値であった。このことから、実施例1
で得られた撥水性エマルジョン組成物は、撥水性に優れ
ていることがわかる。また、実施例1で得られた撥水性
エマルジョン組成物の透水率は0.3ml/日であり、こ
の値は比較のために挙げた市販のものの透水率よりも極
めて小さな値であった。このことから、実施例1で得ら
れた撥水性エマルジョン組成物は、吸水防止性に優れて
いることがわかる。
【0040】分散安定性試験 実施例1で得られた撥水性エマルジョン組成物を100
ccのサンプル瓶に入れ、常温で30日間静置した後にエ
マルジョンの分離の有無を確認した。この結果、エマル
ジョンの分離は全く認められず、分散安定性に優れてい
ることが確認された。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
分散安定性が高く、かつ撥水性および防水性が向上した
水分散系の撥水性エマルジョン組成物を提供することが
可能になる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面をシリル化剤により処理されたコロ
    イドシリカ粒子、カチオン系界面活性剤、低粘度オイ
    ル、シリコーン系界面活性剤および水を必須成分として
    含有し、かつ、前記必須成分の合量を100wt%とした
    ときの各成分の含有量が、前記コロイドシリカ粒子0.
    1〜30wt%、前記カチオン系界面活性剤0.001〜
    1wt%、前記低粘度オイル0.1〜10wt%、前記シリ
    コーン系界面活性剤0.01〜1wt%、前記水58〜9
    9wt%であることを特徴とする撥水性エマルジョン組成
    物。
  2. 【請求項2】 水分散シリカコロイドに非極性有機溶
    媒、カチオン系界面活性剤およびシリル化剤を加えて第
    1のエマルジョン溶液を得る工程と、 前記第1のエマルジョン溶液に含まれる水を共沸脱水し
    て非極性有機溶媒分散シリカゾル溶液を得る工程と、 前記非極性有機溶媒分散シリカゾル溶液に低粘度オイ
    ル、シリコーン系界面活性剤および水を加えて第2のエ
    マルジョン溶液を得る工程と、 前記第2のエマルジョン溶液に含まれる非極性有機溶媒
    を留去する工程とを含むことを特徴とする、撥水性エマ
    ルジョン組成物の製造方法。
JP7962592A 1992-01-10 1992-04-01 撥水性エマルジョン組成物およびその製造方法 Withdrawn JPH05295354A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0639271A (ja) * 1992-02-29 1994-02-15 Tioxide Specialties Ltd 水中油形エマルジョン
JP2003510443A (ja) * 1999-09-28 2003-03-18 キャボット コーポレイション 表面被覆用組成物
JP2006247544A (ja) * 2005-03-11 2006-09-21 Yokohama Yushi Kogyo Kk アニオン性シリカ微粒子を含有する層を含む滑水性皮膜の形成方法及び滑水性皮膜形成用の処理剤セット

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