JPH05293919A - 炭素繊維強化樹脂複合材料とその製造方法 - Google Patents

炭素繊維強化樹脂複合材料とその製造方法

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JPH05293919A
JPH05293919A JP4140618A JP14061892A JPH05293919A JP H05293919 A JPH05293919 A JP H05293919A JP 4140618 A JP4140618 A JP 4140618A JP 14061892 A JP14061892 A JP 14061892A JP H05293919 A JPH05293919 A JP H05293919A
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健二 久保村
Michiya Hayashida
道弥 林田
Nobuyuki Tsuji
信之 辻
Mikio Shima
美樹男 島
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、圧縮強度を向上させたCF
RPとその製造方法を提供することである。 【構成】 本発明は、引張弾性率400GPa 以上、引張
強度2000MPa 以上で且つ一方向強化複合材料の圧縮
強度が100MPa 以上800MPa 以下であり、繊維の直
径が4μm以上15μm以下のピッチ系炭素繊維(A)
よりなる一方向プリプレグと、引張弾性率が200GPa
以上で、且つ前記ピッチ系炭素繊維(A)よりも一方向
強化複合材料の圧縮強度及び圧縮破壊歪みが高く、繊維
の直径が炭素繊維(A)よりも小さい炭素繊維(B)よ
りなる一方向プリプレグを組み合わせて積層し、成形し
てなるCFRPとその製造方法である。 【効果】 本発明を用いることにより、炭素繊維(A)
を用いた一方向CFRPの繊維軸方向の、圧縮強度と圧
縮破断歪みの両方を高め、且つ繰り返し負荷にも耐える
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スポーツ、レジャー分
野、航空宇宙構造物、一般産業機器等に使用することの
できる炭素繊維強化樹脂複合材料及びその製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維強化樹脂複合材料(以下CFR
Pと略す)は、軽量で且つ高強度、高弾性率の炭素繊維
を強化繊維として用いることによって、比強度、比剛性
が高く、その特性を活かして種々の分野への適用が行な
われている。
【0003】炭素繊維をCFRPとして利用する場合、
その製造方法としては、フィラメントワインディング
法、プリプレグ積層法、プルトリュージョン法等がある
が、高性能なCFRPを得るためには主としてプリプレ
グ積層法が用いられる。プリプレグとは、炭素繊維にあ
らかじめ未硬化状態のエポキシ樹脂等を含浸させたシー
ト状の中間素材であり、これを所定枚数積層した後、加
熱、加圧して成形する方法がプリプレグ積層法である。
【0004】高性能のCFRPを得るためには、炭素繊
維を一方向に配した一方向プリプレグが主として用いら
れる。これは、繊維を織ったクロス材や編んだブレード
材では繊維のうねりやそれに伴う局部的な応力集中のた
めに高性能CFRPとして十分な性能を得ることができ
ないためである。
【0005】現在CFRPに使用されている炭素繊維と
しては、ポリアクリロニトリル(PAN)繊維を原料と
して製造されるPAN系炭素繊維が主流になっている。
しかしながら、PAN系炭素繊維は原料のポリアクリロ
ニトリル繊維が高価で、しかも炭化収率が低いために必
然的に高価格なものとなっており、その用途は、航空、
宇宙関係、スポーツ、レジャー関係等の限られた分野に
なっている。
【0006】一方、炭素質ピッチを原料とするピッチ系
炭素繊維は、原料が安くしかも炭化収率が高いために、
安価に製造できるという特徴を持っている。特に原料と
してメソフェースを40%以上、好ましくは60%以上
含有するメソフェースピッチを用いたメソフェースピッ
チ系炭素繊維は、安価でしかも高性能な炭素繊維を与え
る可能性を持つものとして注目されている。
【0007】一般にメソフェースピッチ系炭素繊維にお
いては、原料であるメソフェースピッチの持つ易配向
性、易黒鉛化性を利用することによって容易に高配向で
しかも高黒鉛化性を持つ炭素繊維が製造でき、従って弾
性率の高い繊維が製造できることが知られている。例え
ば、特開昭49−19127号公報には炭素層面が3次
元に発達し、黒鉛化性が高く、また弾性率に優れるメソ
フェースピッチ系炭素繊維及びその製造方法が開示され
ている。
【0008】しかしながらメソフェースピッチ系炭素繊
維(以下ピッチ系炭素繊維)を利用してCFRPを製造
した場合、そのCFRPは圧縮強度が引張強度に対して
低いことが指摘されている。従って、ピッチ系炭素繊維
の一次構造部材への適用にはCFRPの圧縮強度の改善
が不可欠である。この傾向は繊維引張弾性率400GPa
以上の、いわゆる高弾性炭素繊維を強化繊維として使用
したCFRPについて特に顕著である。
【0009】第15回複合材料シンポジウム講演要旨
集,105(1990)で報告されているように最近の
詳細な研究によると、高弾性炭素繊維を用いた一方向C
FRPの圧縮の応力−歪み線図には歪みの増加に伴って
傾きが減少する負の非線形性がある。一般に引張弾性率
400GPa 以上のピッチ系炭素繊維においては、圧縮破
断時の傾きが、初期の傾きの60%以下に減少する。こ
のために平板の圧縮試験では、試験片が剪断座屈等のモ
ードで破壊を起こし、圧縮強度及び破断歪みが小さく測
定されるものと考えられる。
【0010】前記のピッチ系炭素繊維は、繊維引張強度
が2000MPa 以上に対し一方向CFRPの圧縮強度が
800MPa 以下である等、ピッチ系炭素繊維を用いたC
FRPの機械的挙動は特徴のあるものになっている。
【0011】炭素繊維の物性を改善するために異種繊維
を組み合わせる所謂ハイブリッドとよばれる手法は公知
である。例えば、特開平2−292337号公報には、
炭素繊維と、炭素繊維以外の圧縮強度の高い繊維とを層
間でハイブリッド化することにより、曲げ強度が向上し
た例が開示されている。また、特公平2−42098号
公報には、異なるグレード品の炭素繊維の組み合わせに
より、CFRPの圧縮強度が90kgf/mm2 (900MPa)
以上の炭素繊維を補強して曲げ強度を向上させる例が開
示されているが、異種繊維の分布状況や具体的な製造方
法は開示されていない。
【0012】また、前記両事例は曲げ強度向上の原因は
圧縮強度が向上したためであるとされているが、圧縮強
度の測定結果は開示されていない。前記公報によると、
補強用繊維の繊維径は大きいほど、補強のためには有利
である。また、特開平2−292337号公報には、炭
素繊維に、圧縮強度の高い異種繊維を一様に分散させる
ことにより、曲げ強度が向上することが開示されてい
る。前記公報によると、圧縮強度の向上のためには炭素
繊維と異種繊維が一様に分散していることが不可欠であ
る。
【0013】一つの層内に炭素繊維の領域と異種繊維の
領域を隣接して形成されたいわゆる層内ハイブリッド
や、炭素繊維の層と異種繊維の層とを積層して成形され
たいわゆる層間ハイブリッドでは、弱い繊維から順に小
さい破断歪みで破断するため、圧縮強度の向上は不十分
である。
【0014】従って、炭素繊維を用いてハイブリッドに
より圧縮強度を向上させるためには太径の繊維を一様に
分散させることが不可欠であり、必然的に、一様に分散
させるために高価格なものになり、且つ太径繊維を用い
るため、釣竿やゴルフシャフトの製造上で要求されるよ
うな薄物のプリプレグを生産することは困難であった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、繰り返し負
荷に耐え得る、圧縮強度を向上させたCFRPとその製
造方法を提供するものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、引張弾性率4
00GPa 以上、引張強度2000MPa 以上で且つ一方向
強化複合材料の圧縮強度が100MPa 以上800MPa 以
下であり、繊維の直径が4μm以上15μm以下のピッ
チ系炭素繊維(A)よりなる一方向プリプレグと、引張
弾性率が200GPa 以上で、前記ピッチ系炭素繊維
(A)よりも一方向強化複合材料の圧縮強度及び圧縮破
壊歪みが高く、繊維の直径が炭素繊維(A)よりも小さ
い炭素繊維(B)よりなる一方向プリプレグを組み合わ
せて積層し、成形してなるCFRPとその製造方法であ
る。ここでプリプレグとは、炭素繊維をシート状に並
べ、マトリックス樹脂を含浸させてなる中間素材のこと
を言う。
【0017】尚、本発明で規定される繊維引張強度及び
繊維引張弾性率は、JIS R7601で規定される樹
脂含浸ストランド法により得られた値である。また、本
発明で規定される一方向CFRPの圧縮強度は、AST
M D3410Aで規定される所謂セラニーズ法に従っ
て圧縮試験を行なった結果を繊維体積含有率60%に換
算した値である。また、圧縮破壊歪みは、圧縮試験時に
試験片に歪みゲージを貼付して測定した値である。
【0018】本発明の炭素繊維強化複合材料の製造方法
においては、図1に示すように、引張弾性率400GPa
以上、引張強度2000MPa 以上で且つ一方向強化複合
材料の圧縮強度が100MPa 以上800MPa 以下である
ピッチ系炭素繊維(A)よりなる一方向プリプレグ2の
所定枚数と、前記ピッチ系炭素繊維(A)よりも一方向
強化複合材料の圧縮強度及び圧縮破壊歪みの高い炭素繊
維(B)よりなる一方向プリプレグ1の所定枚数を、所
定の組み合わせでもって所定の配向角に積層した後、オ
ートクレーブ、ホットプレス等で加熱、加圧して所望の
形状に成形する。
【0019】プリプレグの積層の配向角度は、特に規定
されるものではなく、設計等の都合により選択すればよ
い。例えば、擬似等方性や、一方向、±45°積層等が
用いられる。この場合、本発明の方法が有効に作用する
ためには、プリプレグ1とプリプレグ2を同じ配向角と
することが望ましい。さらに、強化効率の面からは、両
プリプレグは極力隣接し、且つ各プリプレグは極力分散
するようなプリプレグの積層の組み合わせがよい。
【0020】例えば、主として捩じり荷重を受け、高い
捩じり剛性を必要とするパイプを成形する場合には、図
2に示すように主としてパイプの軸方向に対して±45
°の方向にプリプレグ2を巻くことが有効であるが、そ
の際にプリプレグ2の内側、あるいは外側に隣接して、
同じ配向角に、プリプレグ1を巻くのがよい。
【0021】また、例えば一方向にプリプレグ1を3
層、プリプレグ2を14層積層する場合は、プリプレグ
1を、両外層部分と中央部分に積層するのがよい。但
し、このように積層しなくても、ある程度の良好な強化
は図ることができる。同じ配向角に配するプリプレグ1
及びプリプレグ2の量は、得られるCFRPの必要性能
により決定すればよい。繊維強化樹脂複合材料による成
形体の形状としては、平板、円筒形状等のほか、プリプ
レグの積層成形によって得られる3次元形状等が挙げら
れる。
【0022】本発明のプリプレグは、繊維が一方向に引
き揃えてあるものであればよく、繊維目付や樹脂含有量
等は設計上、成形上の都合等により任意に選択すればよ
い。本発明のプリプレグに使用されるマトリックス樹脂
としては、エポキシ樹脂が成形性や物性の面から望まし
いが、必要に応じて、不飽和ポリエステル樹脂、フェノ
ール樹脂、ポリイミド樹脂等の他の熱硬化性樹脂を用い
ることも可能である。また、例えばエポキシ樹脂をポリ
イミド樹脂やフェノール樹脂、ゴム成分等で変成して用
いることもできる。ナイロン、ポリフェニレンサルファ
イド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEE
K)等の熱可塑性樹脂を使用することも可能である。マ
トリックス樹脂は、使用条件により任意に選択すればよ
い。
【0023】プリプレグ2に使用されるピッチ系炭素繊
維(A)は、引張弾性率400GPa以上、引張強度20
00MPa 以上で且つ一方向強化複合材料の圧縮強度が1
00MPa 以上800MPa 以下であり、繊維の直径が4μ
m以上15μm以下である。炭素繊維(A)は、引張強
度は構造材料として用いられるに充分であるが、圧縮強
度はそれに比べて極度に低い。このような機械的特性を
示す炭素繊維であれば、応力−歪み線図において、圧縮
破断時の傾きが初期の傾きの60%以下に減少するた
め、後述するように炭素繊維(B)によって補強効果が
生じる。この場合、繊維径は4μm以上15μm以下、
好ましくは7μm以上11μm以下のものが用いられ
る。15μmを超える繊維径では取扱いの上で不利であ
り、プリプレグはしなやかさに欠けるためゴルフシャフ
トや釣竿の製造は非常に難しい。また4μm未満の繊維
径では炭素繊維の製造が困難である。
【0024】炭素繊維(A)の引張強度は、2000MP
a 以上であれば実質上、構造材料として使用されるに充
分である。また、上限として特に規定されるべき値はな
く、引張強度の高いものほど構造材料として使用される
ためには有利である。
【0025】炭素繊維(A)の圧縮強度は、800MPa
以下であれば本発明の方法が有効に効果を発揮すること
ができる。その下限は特に規定されるべきものではない
が、強度があまりに低すぎた場合、構造材料として使用
されるに充分な強度まで強化されることができないた
め、100MPa 以上、好ましくは200MPa 以上のもの
が使用される。
【0026】炭素繊維(A)の引張弾性率に関して、本
発明の方法が効果を発揮するためには、引張弾性率40
0GPa 以上の炭素繊維を用いることがよい。引張弾性率
の上限は実質的に規定されるものではなく、弾性率の高
いものほど本発明の方法が有効に効果を発揮する。炭素
繊維(A)の弾性率は、設計上、製造上の都合等により
選択すればよい。
【0027】本発明において補強の目的で使用される炭
素繊維(B)は、その一方向強化CFRPの圧縮強度と
圧縮破壊歪みの両方が炭素繊維(A)よりも高いことが
必要である。この条件を満足するものであれば炭素繊維
として特に規定されるものではないが、現状の特性を鑑
みると、前記炭素繊維(B)は、ポリアクリロニトリル
を原料とするPAN系炭素繊維を用いることがよい。ま
た、その場合炭素繊維(A)との引張弾性率のバランス
の面から、前記炭素繊維(B)の引張弾性率は200GP
a 以上であることが必要である。且つ、炭素繊維でこう
いった特性を全て満足するために、繊維径として、直径
が炭素繊維(A)よりも小さいものがよく、従来圧縮強
度を向上させるために有効であると言われている太径繊
維を用いる必要はない。
【0028】
【作用】本発明を用いることにより、炭素繊維(A)を
用いた一方向CFRPの繊維軸方向の、圧縮強度と圧縮
破断歪みの両方を高めることができる。この場合、炭素
繊維(A)は、CFRP全体が圧縮破壊するまでは破壊
せずに保持されるため、繰り返し負荷に耐えることがで
きる。
【0029】通常のハイブリッドでは、圧縮荷重を負荷
した場合の複合材料は、炭素繊維(A)の破断歪みで試
験片全体が破断すると考えられるが、本発明によるCF
RPは、炭素繊維(A)の破断歪みよりも大きな破断歪
みを示す。その詳細な理由は明らかではないが、以下の
ように考えられる。
【0030】すなわち、最近の詳細な研究によると、高
弾性炭素繊維を用いた一方向CFRPの圧縮の応力−歪
み線図には歪みの増加に伴って傾きが減少する負の非線
形性があり(例えば第15回複合材料シンポジウム講演
要旨集,105(1990))、このためにセラニーズ
法による平板の圧縮試験では、試験片が剪断座屈等のモ
ードで破壊を起こし、圧縮強度及び破断歪みが小さく測
定されるものと考えられる。
【0031】従って、材料が本来有する圧縮破断歪みは
平板の圧縮試験で得られる値より大きいものと推定され
る。そのため、圧縮時に、炭素繊維を、圧縮強度と圧縮
破壊歪みの大きい炭素繊維で支持することにより、材料
が本来持っていた圧縮歪みを発現しやすくなるものと考
えられる。これを図示すると、図3のようになる。
【0032】図3は、CFRPの圧縮における応力−歪
み線図の一例である。図3において6はピッチ系炭素繊
維(A)単味、7は炭素繊維(B)単味、8は例として
ピッチ系炭素繊維(A)と炭素繊維(B)を体積比1:
1に混合した場合のCFRPの曲線である。6には負の
非線形性が見られる。
【0033】従って、炭素繊維(A)単味でのCFRP
のセラニーズ法による平板の圧縮試験では、応力1の時
点で試験片の破壊に至る。このときの歪みは歪み1であ
る。一方、炭素繊維(B)には非線形性はあまり見られ
ず、応力2、歪み2の時点で破壊する。炭素繊維(A)
と炭素繊維(B)を体積比1:1に混合してCFRPに
した場合、炭素繊維(A)は歪み1と歪み2の間である
歪み3まで破壊せず保持され、この時点(応力3)で炭
素繊維(A)が破壊し、全体の試験片が破壊するものと
考えられる。この場合、応力3は応力1と応力2の間に
位置する。
【0034】この場合、歪み1以上の圧縮歪みを受けた
炭素繊維(A)は、歪み3において試験片全体が破壊す
るまでは破壊することなく保持されている。従って、歪
み1以上の圧縮歪みを受けた試験片について引張荷重を
かけた場合でも、もとの強度、剛性を保持している。即
ち、本発明によるプリプレグを用いたCFRPは、静的
な繰り返し負荷にも耐えうるものである。
【0035】
【実施例】
実施例1 図4に示すような積層で一方向強化CFRPを積層し
た。炭素繊維目付1平方メートル当たり125g、繊維
軸方向引張弾性率600GPa 、繊維軸方向引張強度33
00MPa 、繊維直径10μm、繊維体積含有率60%の
一方向強化CFRPの繊維軸方向圧縮強度525MPa 、
圧縮破壊歪みが0.2%であるピッチ系炭素繊維のプリ
プレグ5と、炭素繊維目付1平方メートル当たり125
g、繊維軸方向引張弾性率480GPa 、繊維直径5μ
m、繊維体積含有率60%の一方向CFRPの繊維軸方
向圧縮強度900MPa 、圧縮破壊歪みが0.5%である
PAN系炭素繊維のプリプレグ4を用意した。
【0036】この2種類の炭素繊維プリプレグを、図4
に示すようにプリプレグ5を8枚、プリプレグ4を9枚
交互に一方向に方向をそろえて積層し、一方向強化CF
RPを成形した。マトリックス樹脂はプリプレグ4、プ
リプレグ5ともに140℃硬化タイプのエポキシ樹脂で
ある。成形された一方向強化CFRPの繊維体積含有率
は60%であった。
【0037】この一方向強化CFRPをASTM D3
410A法(所謂セラニーズ法)に従って圧縮試験を行
なったところ、745MPa の圧縮強度と、0.41%の
圧縮破壊歪みが得られた。これらは、プリプレグ5によ
る一方向強化CFRPの圧縮強度に対して42%高い圧
縮強度、105%高い圧縮破壊歪みであり、圧縮強度、
圧縮破壊歪みの向上が満足に得られた。また、試験片に
650MPa の応力を加えたのち試験治具より取り外した
が、試験片中の炭素繊維の破断は認められなかった。
【0038】実施例2 実施例1で用いたと同じプリプレグ4を8枚、プリプレ
グ5を6枚使い、±40°に配向させた二層を交互に積
層して、内径10mmのパイプを、シートワインディング
法により成形した。肉厚は1.6mm、繊維体積含有率は
60%であった。
【0039】このパイプについて捩じり試験を行なった
ところ44Nmのトルクにて繊維の軸方向の圧縮破壊によ
り破壊した。比較のために、上記プリプレグ5を12
枚、±40°に配向させた内径10mmのパイプをシート
ワインディング法により成形した。肉厚は1.6mm、繊
維体積含有率は60%であった。このパイプについて捩
じり試験を行なったところ26.5Nmのトルクにて繊維
の軸方向の圧縮破壊により破壊した。比較のために、上
記プリプレグ5を12枚、±40°に配向させた内径1
0mmのパイプをシートワインディング法により成形し
た。肉厚は1.6mm、繊維体積含有率は60%であっ
た。
【0040】このパイプについて捩じり試験を行なった
ところ26.5Nmのトルクにて繊維の軸方向の圧縮破壊
により破壊した。この2種類の積層によるパイプの捩じ
り剛性はほぼ同等であった。この結果から、プリプレグ
4とプリプレグ5を組み合わせてパイプを成形すること
により、プリプレグ5単独で成形したパイプよりも大幅
な捩じり強度の向上(67%増加)を達成した。
【0041】実施例3 実施例1と同様に、図4に示すような積層で一方向強化
CFRPを積層した。炭素繊維目付1平方メートル当た
り125g、繊維軸方向引張弾性率500GPa 、繊維軸
方向引張強度3200MPa 、繊維直径10μm、繊維体
積含有率60%の一方向強化CFRPの繊維軸方向圧縮
強度500MPa 、圧縮破壊歪みが0.35%であるピッ
チ系炭素繊維のプリプレグ5と、炭素繊維目付1平方メ
ートル当たり125g、繊維軸方向引張弾性率400GP
a 、繊維直径5μm、繊維体積含有率60%の一方向C
FRPの繊維軸方向圧縮強度1400MPa 、圧縮破壊歪
みが1.25%であるPAN系炭素繊維のプリプレグ4
を用意した。
【0042】この2種類の炭素繊維プリプレグを、図4
に示すようにプリプレグ5を8枚、プリプレグ4を9枚
交互に一方向に方向をそろえて積層し、一方向強化CF
RPを成形した。マトリックス樹脂はプリプレグ4、プ
リプレグ5ともに140℃硬化タイプのエポキシ樹脂で
ある。成形された一方向強化CFRPの繊維体積含有率
は60%であった。この一方向強化CFRPをASTM
D3410A法(所謂セラニーズ法)に従って圧縮試
験を行なったところ、815MPa の圧縮強度と、0.9
3%の圧縮破壊歪みが得られた。
【0043】これは、プリプレグ5による一方向強化C
FRPの圧縮強度に対して63%高い圧縮強度、166
%高い圧縮破壊歪みであり、圧縮強度、圧縮破壊歪みの
向上が満足に得られた。また、試験片に710MPa の応
力を加えたのち試験治具より取り外したが、試験片中の
炭素繊維の破断は認められなかった。
【0044】
【発明の効果】本発明のCFRPは、圧縮強度、圧縮破
壊歪みのいずれもピッチ系炭素繊維のみを用いたCFR
Pよりも向上し、静的繰り返し負荷にも耐える。また、
そのことにより、炭素繊維をFRPの強化繊維として使
用する際の設計の自由度が高まり、強化繊維としての炭
素繊維の用途拡大に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により異なる2種類の炭素繊維プリプレ
グを組み合わせて積層してCFRPを成形する概念図で
ある。
【図2】繊維強化樹脂複合材料によるパイプの繊維配向
を示す模式図である。
【図3】CFRPの応力−歪み線図である。
【図4】本発明により異なる2種類の炭素繊維プリプレ
グを組み合わせて積層してCFRPを成形した実施例の
繊維配向角を示す図表である。
【符号の説明】 1 炭素繊維(B)によるプリプレグ 2 ピッチ系炭素繊維(A)によるプリプレグ 3 CFRPパイプ 4 PAN系炭素繊維によるプリプレグ 5 ピッチ系炭素繊維によるプリプレグ 6 ピッチ系炭素繊維(A)を用いたCFRPの曲線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 9:00 4F (72)発明者 辻 信之 川崎市中原区井田1618番地 新日本製鐵株 式会社先端技術研究所内 (72)発明者 島 美樹男 君津市陽光台3−3−2−11

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 引張弾性率400GPa 以上、引張強度2
    000MPa 以上で且つ一方向強化複合材料の圧縮強度が
    100MPa 以上800MPa 以下であり、繊維の直径が4
    μm以上15μm以下のピッチ系炭素繊維(A)よりな
    る一方向プリプレグと、引張弾性率が200GPa 以上で
    且つ前記炭素繊維(A)よりも一方向強化複合材料の圧
    縮強度及び圧縮破壊歪みが高く、繊維の直径が炭素繊維
    (A)の直径よりも小さい炭素繊維(B)よりなる一方
    向プリプレグを、組み合わせて積層し、成形してなる炭
    素繊維強化樹脂複合材料。
  2. 【請求項2】 炭素繊維(B)が、ポリアクリロニトリ
    ル系炭素繊維である、請求項1記載の炭素繊維強化樹脂
    複合材料。
  3. 【請求項3】 引張弾性率400GPa 以上、引張強度2
    000MPa 以上で且つ一方向強化複合材料の圧縮強度が
    100MPa 以上800MPa 以下であり、繊維の直径が4
    μm以上15μm以下のピッチ系炭素繊維(A)よりな
    る一方向プリプレグと、引張弾性率が200GPa 以上で
    且つ前記炭素繊維(A)よりも一方向強化複合材料の圧
    縮強度及び圧縮破壊歪みが高く、繊維の直径が炭素繊維
    (A)の直径よりも小さい炭素繊維(B)よりなる一方
    向プリプレグを、組み合わせて積層し、成形することを
    特徴とする炭素繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
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