JPH05293524A - 鋼材搬送用ローラおよびローラ本体胴部の製造方法 - Google Patents

鋼材搬送用ローラおよびローラ本体胴部の製造方法

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JPH05293524A
JPH05293524A JP4129588A JP12958892A JPH05293524A JP H05293524 A JPH05293524 A JP H05293524A JP 4129588 A JP4129588 A JP 4129588A JP 12958892 A JP12958892 A JP 12958892A JP H05293524 A JPH05293524 A JP H05293524A
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斌 篠崎
Hisashi Hiraishi
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 赤熱スラブ等の搬送用ローラの本体胴部表面
の耐焼付性,耐摩耗性等の改良。 【構成】 本体胴部が外層と内層とからなる二層積層構
造を有し、外層は、C:1〜3%,Si:0.3〜2.
5%,Mn:0.3〜2.5%,Cr:7.5〜18
%,Ni:0.1〜6%,W:0.3〜3%,Mo,V
の1種又は2種:1〜5%,P:2.0〜5.0%,
B:1.0〜3.0%,Cr(%)/C(%):2.5
〜18,残部Feの組成と、マルテンサイト基地に炭化
物6〜25%が分散した組織を有する合金からなる。本
体胴部は、内層筒体11とカプセル材12の間に外層合
金粉末Mを充填し脱気密封後、加熱溶解し、ついで指向
性凝固を行なわせ、凝固完了後、カプセル材12を除去
し、仕上げ機械加工を加えて製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、赤熱スラブ等の高温鋼
材の搬送ラインにおけるテーブルローラ,ガイドロー
ラ,ブライドルローラ等の搬送用ローラおよびその本体
胴部材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】スラブ搬送用テーブルローラ等は、図2
に示すように、中空円筒体である本体胴部(スリーブ)
1の中空孔に、ローラシャフト3,3がハブ材2,2,
2,…を介して組付けられた構造を有している。上記搬
送用ローラの本体胴部1は、その表面に赤熱状態のスラ
ブを担持し、これを約100m/分ないしそれ以上の速
度で移送するものであり、従って、その本体胴部1は、
赤熱スラブとの焼付きを生じにくく、かつ耐摩耗性にす
ぐれたものであることを要する。また、スラブの水冷が
行われる個所では、耐熱衝撃性および腐食摩耗抵抗性等
を併せ有するものでなければならない。
【0003】特公平2−2941号公報には、上記搬送
用ローラの本体胴部を形成する改良された合金として、
C:1.0〜3.0%,Si:0.3〜2.5%,M
n:0.3〜2.5%,Cr:7.5〜18.0%,N
i:0.1〜6.0%,W:0.3〜3.0%,Mo,
Vの1種ないし2種:1.0〜5.0%を含有し、Cr
とCの量比〔Cr(%)/C(%)〕が2.5〜18で
ある化学組成を有し、マルテンサイト基地に炭化物が分
散析出した組織を有する鉄基合金が開示されている。
【0004】上記公報記載の合金を搬送用ローラの本体
胴部1に適用する場合は、図2に示すように胴部の肉厚
を外層1aと内層1bとに分け、内層1bには一般構造
用鋼(例えばSS41材)からなる円筒体を使用し、そ
の外周面に上記合金からなる外層1aを形成して二層積
層体とするのが合理的である。これは,上記合金が耐焼
付性や耐摩耗性にすぐれてはいるものの、溶接性に乏し
いために、本体胴部の全肉厚をその合金で形成したので
は、ローラの組立施工におけるハブ材2との接合に、溶
接を適用することができなくなるからであり、また本体
胴部1の耐久性の改善に必要な耐焼付性や耐摩耗性等
は、内層1bではなく、スラブの接触面となる外層1a
に関する材料特性であるからである。すなわち、ハブ材
2と向かい合う内層2bを一般構造用鋼で形成して溶接
性を確保しつつ、その外層1aを上記合金で形成してロ
ーラの耐久性を改善するための耐焼付性、耐摩耗性等を
確保するのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】搬送用ローラの本体胴
部を上記のように外層1aと内層1bの二層積層体とし
て製造する方法には、内層1bとなる円筒体(以下「内
層筒体」)の外周面に肉盛溶接を施して外層1aを形成
する方法、内層筒体のまわりに、外層1aとなる金属の
粉末をキャニングし、熱間静水等方加圧焼結処理(HI
P)に付して焼結合金からなる外層1aを形成する方
法、あるいは内層筒体のまわりに、外層1aとなる金属
の溶湯を供給し冷却凝固させる方法(例えば鋳ぐるみ鋳
造法)等が考えられる。
【0006】しかしながら、前記外層形成用合金は、溶
接性に乏しいため、肉盛溶接法を用いて内層筒体の表面
に健全な外層を形成することはできない。その合金の粉
末を外層形成原料としてHIP処理を適用する方法は、
外層を高緻密質の焼結合金として形成することができる
が、製造コストが著しく高くつく。また、本体胴部1は
通常大型部材(その胴長は、例えば2000〜2500
mm)であるので、極めて大容量のHIP装置が必要と
なり、実用的でない。他方,内層筒体のまわりを外層金
属溶湯で包囲して凝固させる方法は、特殊な装置・機器
を必要とせず、コスト的にも有利であるが、前記外層形
成用合金は、高融点(約1250℃以上)であるため、
SS材等の一般構造用鋼からなる内層筒体のまわりをそ
の金属溶湯で包囲すると、内層筒体が著しく溶損し、健
全な二層積層体を形成することができない。
【0007】そこで本発明は、前記外層用合金と同等の
耐焼付性、耐摩耗性等を有すると共に、内層筒体である
SS材等の一般構造用鋼より十分に低融点である新規合
金で外層を形成した二層積層体を本体胴部とする搬送用
ローラ、およびその本体胴部の製造方法を提供するもの
である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の鋼材搬送用ロー
ラは、本体胴部が内層とその外周面に融着結合している
外層とからなる二層積層体であって、上記外層は、C:
1.0〜3.0%,Si:0.3〜2.5%,Mn:
0.3〜2.5%,Cr:7.5〜18.0%,Ni:
0.1〜6.0%,W:0.3〜3.0%,Mo,Vの
1種ないし2種:1.0〜5.0%(合計量),P:
2.0〜5.0%,B:1.0〜3.0%,残部実質的
にFeからなり、CrとCの量比〔Cr(%)/C
(%)〕は2.5〜18である化学組成を有すると共
に、 マルテンサイト相からなる基地に、6〜25%
(重量)を占める炭化物が分散混在した組織を有し、前
記炭化物の量と、CおよびCr量とが,下式: 〔炭化物量(%)−0.6×Cr量(%)+15.2〕
/C量(%)=11〜13 …〔I〕 を満たす鉄基合金からなることを特徴としている。
【0009】上記搬送用ローラの本体胴部材である二層
積層体は、内層となる中空円筒体(以下、「内層筒
体」)に、カプセル材として別途用意した中空円筒体を
同心円状に外嵌して直立させ、内層筒体とカプセル筒体
との間隙内に、外層形成材料として、C:1.0〜3.
0%,Si:0.3〜2.5%,Mn:0.3〜2.5
%,Cr:7.5〜18.0%,Ni:0.1〜6.0
%,W:0.3〜3.0%,Mo,Vの1種ないし2
種:1.0〜5.0%(合計量),P:2.0〜5.0
%,B:1.0〜3.0%,残部実質的にFeからな
り、CとCrの量比〔Cr(%)/C(%)〕は2.5
〜18である化学組成を有する合金粉末を充填して脱気
密封したうえ、その合金粉末層を加熱溶解し、生成した
溶融金属層を、指向性冷却により下部から上方に向かっ
て凝固させて外層を形成したのち、カプセル材を除去す
る工程を経て製造することができる。
【0010】
【作用】本発明の鋼材搬送用ローラは、本体胴部の外層
が前記化学組成と金属組織を有する合金で形成されてい
ることによる高度の耐焼付性および耐摩耗性等を有して
いる。また、その外層金属は、PおよびBを複合含有し
た化学組成を有していることにより、融点は約1100
℃以下と、SS材等の一般構造用鋼の融点(例えばSS
41材の融点:約1500℃)よりも十分に低く、従っ
てSS材等を内層筒体とし、融点差を利用して内層筒体
のまわりに外層金属溶融層を生成させることができ、そ
の固相−液相界面に生じる冶金的接合により、外層と内
層とが層界面で強固に結合一体化した二層積層体を形成
することができる。
【0011】以下、本発明の搬送用ローラおよびその本
体胴部の製造方法について詳しく説明する。本体胴部の
外層金属の化学組成および組織の限定理由は次のとおり
である。元素含有量等を示す%はすべて重量%である。 C:1.0〜3.0% Cは基地の固溶強化作用を有するが、本発明では、特に
炭化物、主としてM73 型炭化物〔(Cr,Fe)7
3 〕の形成による耐摩耗性および耐焼付性の改善を図
っている。合金の耐焼付性はこのCr炭化物の形態と析
出量に依存する。耐焼付性の強化に必要な炭化物量を得
るためのC量は、Cr量との比〔Cr(%)/C
(%)〕が2.5〜18であることを要する。Cr量は
下記のように7.5〜18%に限定されるので、Cr
7.5%に対しては、3.0%のCを要し、Cr18%
では、C1.0%を必要とする。このため、C量の下限
を1.0%とし、上限は3.0%とする。
【0012】Si:0.3〜2.5% Siは脱酸剤であり、また合金溶湯の流動性を高めるた
めに0.3〜2.5%添加される。
【0013】Mn:0.3〜2.5% Mnは、脱酸元素として0.3〜2.5%添加される。
【0014】Cr:7.5〜18% Crは上記Cr炭化物の形成に不可欠であるのみなら
ず、耐食性を高め、かつ合金基地を耐摩耗性に富むマル
テンサイト相にするための欠くことができない元素であ
る。その量が7.5%に満たないと、耐食性の不足をき
たし、他方18%をこえると、マルテンサイト組織とす
ることが困難となる。よって、7.5〜18%とする。
合金の耐焼付性は、M7 3 型を主とする炭化物の析出
量との関係を有し、その量が6重量%に満たないと耐焼
付性が不足する。耐焼付性の点からは析出量が多い程有
利であるが、25重量%をこえると、靱性の劣化をきた
す。このため、炭化物量は6〜25重量%とする。耐焼
付性をより強化するには、上記炭化物量、C量およびC
r量に関する前記〔I〕式により算出される値が11〜
13であることを要し、特に12であることが好まし
い。
【0015】Ni:0.1〜6.0% Niは靱性を高め、また高Cr合金においては、マルテ
ンサイト基地の形成に必要な元素である。その量が0.
1%に満たないと上記効果が不足する。しかし、Cr量
16〜18%に対して、Ni量が6.0%をこえると、
100℃以上の温度においてマルテンサイト変態が生起
しなくなる。よって0.1〜6.0%とする。
【0016】Mo:1.0〜5.0%、V:1.0〜
5.0% MoおよびVは、いずれも合金の硬化能の改善に有効な
元素である。Mo量を1.0%以上とすることにより、
臨界直径25mm以上の焼入れ硬化能を得ることができ
る。しかし、5.0%をこえても、効果の増加は少なく
経済性が損なわれる。このため、1.0〜5.0%とす
る。Vは結晶粒微細化効果によって焼入硬化能を高め
る。このためには少なくとも1.0%を要するが、5.
0%をこえると、靱性の低下を招く。よって、1.0〜
5.0%とする。上記MoとVはいずれか1種を任意に
選択することができ、両者を併用するときは、その複合
効果としてさらに高い硬度を得、耐摩耗性を向上させる
ことができる。その場合の含有量は、両者の合計量を
1.0〜5.0%とすればよい。
【0017】W:0.3〜3.0% Wは耐腐食摩耗性の向上に有効な元素である。0.3%
に満たないとその効果が十分でなく、一方3.0%をこ
えると、靱性の低下を招く。よって、0.3〜3.0%
とする。このW添加効果は、前記Moと複合されるとき
一層顕著となる。
【0018】P:2.0〜5.0% Pは、通常有害不純分として排除される元素であるが、
本発明ではこれを外層形成合金の必須成分としている。
すなわち、適量のPと後記Bとの複合添加により、外層
に必要な耐焼付性や耐摩耗性を殆ど損なわずに、その合
金を低融点化し、低融点化により、前記のように内層筒
体との融点差を利用して外層を形成することを可能とし
ている。P量の下限を2.0%としたのは、それに満た
ないと、合金の低融点化が十分でなく、他方5.0%を
上限としたのは、それを越えて多量に添加すると、靱性
の低下が大きく、ローラの本体胴部の外層形成材料とし
ての適性を確保し難くなるからである。
【0019】B:1.0〜3.0% Bは合金を低融点化する効果を有する。また、合金の焼
入れ性の向上、結晶粒の微細化作用による強度向上、靱
性改善に奏効する。その結晶粒微細化作用に伴う靱性改
善効果は、前記Pの添加に付随する合金の脆化を緩和す
るのに役立つ。これらの効果を得るために、少なくとも
1.0%の添加を必要とし、添加増量により効果を増す
が、あまり多くなると、却って合金の靱性を損なうの
で、3.0%を上限としている。
【0020】上記化学組成を有する合金からなるローラ
本体胴部の外層は、溶解・凝固のプロセスにより内層筒
体の外周面に積層形成することができる。その外層を前
記所定の金属組織とするための特別の熱処理は必要な
く、凝固した外層をそのまま空冷することにより、マル
テンサイト基地とその基地中にM7 3 型を主とする所
定量の炭化物が分散した組織が形成される。所望により
残留応力除去のための焼鈍処理が施され、その焼鈍処理
は、温度 約600〜700℃に適当時間(例えば、
0.5〜5Hr)加熱保持したのち空冷することにより
達成される。
【0021】表1および表2は、本発明の搬送用ローラ
の外層合金a〜cと、前記公報記載の合金dおよび従来
の代表的合金eについて、化学組成、組織および耐焼付
性、耐摩耗性を比較して示している。耐焼付性は、回転
曲げ試験機で円筒状試験片(直径10mm)を回転させ
ながら、その外周面に固定体(材種:SS41,幅:1
0mm)を押圧する焼付き試験における試験片周面の焼
付き発生状況により評価した(固定体接触圧力:8.9
〜27kgf/mm2 ,すべり速度:180m/分,摩
擦時間:10分)。表中、「○」は焼付きがなく、
「×」は焼付きの発生が顕著であることを表している。
耐摩耗性は、上記焼付き試験と同一条件の摩耗試験にお
ける試験片の摩耗量から次式により算出される摩耗係数
K(kg-1)で評価した。 K=摩耗量(mm3 )/接触面積(cm2 )×弾性限界
(kg)×摩擦距離(cm)
【0022】本発明の外層形成用合金は、合金dに比べ
て遜色のない耐焼付性、耐摩耗性を有し、従来の代表的
合金eとの差異は歴然である。また、このものは耐熱衝
撃性や腐食摩耗抵抗性も良好である。しかも、合金dの
融点が約1250℃であるのに対し、本発明の外層合金
は、PおよびBの複合含有効果として、耐焼付性や耐摩
耗性等を損なわずに、約1100℃以下(約1050℃
前後)の低融点を有している。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】次に上記合金からなる外層を有する二層積
層体である本体胴部の製造工程について、図面を参照し
て説明する。図1において、11は本体胴部の内層とな
る中空円筒体(内層筒体)、12は内層筒体11に比べ
て所定の寸法だけ大きい口径を有する中空筒状カプセル
材である。内層筒体11およびカプセル材12は、例え
ば遠心力鋳造品等が使用される。内層筒体11とカプセ
ル材12は、その底部開口端にドーナツ板状の底板13
が取付けられて互いの軸心が一致した状態で水平台上に
直立載置され、内層筒体11とカプセル材12とで画成
された空間内に外層を形成するための所定の化学組成を
有する合金粉末Mが充填される。
【0026】内層筒体11に外嵌されるカプセル材12
の材種は、内層筒体11と同様のSS材等の一般構造用
鋼、あるいは各種の耐熱鋼等であってよいが、内層筒体
11と異なって、カプセル材12は、その内側空間に形
成される外層金属との冶金的接合の必要はなく、むしろ
接合を生じない方が後工程での処理が簡略化され、好都
合である。このため、カプセル材12は、その内側周面
に、外層金属溶湯との濡れ性の低い皮膜f、例えば酸化
物系セラミックス(その好ましい例としてジルコニアが
挙げられる)をコーティングして外層金属溶湯との接触
を遮断するようにするとよい。それによって、カプセル
材12は、外層形成後、外層表面から抜取って反復再使
用することも可能となる。そのセラミックス皮膜は溶射
法等により形成すればよく、膜厚は約50〜100μm
程度で十分である。
【0027】内層筒体11とカプセル材12は、製造し
ようとするローラ本体胴部よりも長い胴長を有し、その
高さ方向のA部を製品形成部としている。製品形成部A
の上側に余長部分Bを設け、そこに合金粉末を多量に投
与しているのは、合金粉末充填層の加熱溶解過程で製品
形成部Aに対する外層金属の補給を行わせると共に、溶
融生成した外層金属の冷却過程における凝固収縮に対し
て溶湯を補給する押湯の役目を行わせるためである。
【0028】内層筒体11とカプセル材12との間の空
間内に外層形成用合金粉末を充填し、頂部開口端面をド
ーナツ板状の蓋板14で密封する。その金属粉末充填層
を、蓋板14の脱気管15を介して真空脱気(例えば、
1×10-2〜1×10-4Torr)したうえ、脱気管1
5をプレスにより圧着(封止)し、ついで金属粉末充填
層の加熱溶解を行う。加熱溶解に先立って、金属粉末充
填層を真空脱気するのは、加熱溶解工程での合金粉末M
の酸化および内層筒体11の表面の酸化(合金粉末の酸
化は形成される外層の材料特性を損ない、内層筒体表面
の酸化は、形成される外層との層界面の冶金的接合を妨
げる原因となる)を防止すると共に、外層内の気泡の残
留を未然に防止し、その緻密均質性を確保するためであ
る。
【0029】合金粉末層Mの加熱溶解は、加熱炉内にお
いて、内層筒体11およびカプセル材12の外部から伝
導伝熱により合金粉末層に給熱し、合金粉末の融点より
高い温度(好ましくは、融点+10℃〜50℃)に適当
時間(例えば、1〜4Hr)保持することにより行うこ
とができる。生成した溶融金属層と内層筒体11の界面
には、液相−固相間の冶金的接合が生じる。
【0030】外層金属の溶融層を形成したのち、給熱を
停止し、冷却凝固させる。その凝固過程は、収縮に伴う
引け巣の発生を防止するため、下部から上方に向かう指
向性凝固とする。その指向性凝固は、製品形成部Aの上
側の余長部分Bに十分な押湯量を与えておくことにより
達成される。
【0031】外層金属の凝固完了後、カプセル材12を
取り除き、製品部Aの上側および下側の余長部分Bおよ
びCを切断除去する。ついで、応力除去のための焼鈍処
理が必要に応じて施され、更に外層金属の外周面および
内層筒体の内周面に機械加工を加えて所定寸法に仕上げ
ることにより、外層1aと内層1bとが層界面で強固に
結合した二層積層体として本体胴部1を得る。これを、
別途用意したローラシャフト3,3を組込み、ハブ材
2,2,2…との溶接を行うことにより、図2に示す搬
送用ローラを完成する。
【0032】
【実施例】内層筒体11とカプセル材12とを、図1に
示すように同心円状に重合し、これに外層形成合用金粉
末を充填する。内層筒体11およびカプセル材12は、
いずれもSS41材(融点:約1400℃)の遠心力鋳
造品であり、カプセル材12はその内周面にジルコニア
セラミックスの溶射皮膜(膜厚:60〜80μm)を形
成。製品形成部Aにおける内層筒体11とカプセル材1
2の径方向隙間幅は15mmであり、これに充填した外
層形成用合金粉末は、前記表1の合金aと同一の化学組
成を有する粉末(融点:1050℃)である。
【0033】外層形成用合金粉末を充填した後、脱気密
封(1×10-4Torr)し、加熱炉内で合金粉末層の
加熱溶解を行った。加熱溶解温度:1100℃、保持時
間:2.5Hr。外層金属溶融層を指向性冷却下に凝固
させたのち、カプセル材12を外層金属表面から抜き取
り、二層積層体の上下の余長部分BおよびCを切断除去
すると共に、内外面に機械加工を加えて所定のサイズを
有するローラ本体胴部に仕上げた。外層肉厚:10m
m,内層肉厚:20mm,胴長:2300mm,外径:
350mm。
【0034】得られた本体胴部の外層と内層は、全長全
周に亘ってほぼ一様な層厚を有し、積層界面の全体に冶
金的接合状態が形成されている(超音波探傷検査および
断面のマクロエッチング検査による)。また、外層金属
は、マルテンサイト相からなる基地に炭化物が分散析出
した組織を有し、炭化物量は13〜14%であることが
観察された。
【0035】
【発明の効果】本発明の鋼材搬送用ローラは、その本体
胴部表面の耐焼付性や耐摩耗性等がすぐれているので、
赤熱スラブ等の高温鋼材の接触による損傷・劣化が抑制
防止され、長期に亘る安定な使用が可能であり、ローラ
のメンテナンスの軽減、搬送ラインの運転効率の向上等
の効果が得られる。また、本発明の搬送用ローラの本体
胴部である二層積層体の製造には特別の装置を必要とせ
ず、内層となる円筒体のまわりに外層となる合金粉末を
充填し加熱溶解した後、凝固させる簡素な工程で製造す
ることができ、実用性にすぐれ、コスト的にも有利であ
り、大量生産に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の搬送用ローラ本体胴部の製造方法を説
明する半截断面図である。
【図2】二層積層体の本体胴部を有する搬送用ローラを
示す軸方向断面図である。
【符号の説明】 1:ローラ本体胴部,1a:外層,1b:内層,2:ハ
ブ材,3:シャフト 11:内層筒体,12:カプセル材,13:底板,1
4:蓋板,15:脱気管,M:外層形成用合金粉末

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ローラの本体胴部が、内層とその外周面
    に融着結合した外層とからなる二層積層体であって、 外層は、C:1.0〜3.0%,Si:0.3〜2.5
    %,Mn:0.3〜2.5%,Cr:7.5〜18.0
    %,Ni:0.1〜6.0%,W:0.3〜3.0%,
    Mo,Vの1種ないし2種:1.0〜5.0%(合計
    量),P:2.0〜5.0%,B:1.0〜3.0%,
    残部実質的にFeからなり、CrとCの量比〔Cr
    (%)/C(%)〕は2.5〜18である化学組成を有
    すると共に、マルテンサイト相からなる基地に、6〜2
    5%(重量)を占める炭化物が分散混在した組織を有
    し、 前記炭化物の量と、CおよびCr量とが、下式〔I〕: 〔炭化物量(%)−0.6×Cr量(%)+15.2〕
    /C量(%)=11〜13 …〔I〕 を満たす鉄基合金からなることを特徴とする鋼材搬送用
    ローラ。
  2. 【請求項2】 内層となる中空円筒体(以下、「内層筒
    体」)に、中空筒状カプセル材を同心円状に外嵌して直
    立させ、内層筒体とカプセル材との間隙内に、外層形成
    材料として、C:1.0〜3.0%,Si:0.3〜
    2.5%,Mn:0.3〜2.5%,Cr:7.5〜1
    8.0%,Ni:0.1〜6.0%,W:0.3〜3.
    0%,Mo,Vの1種ないし2種:1.0〜5.0%
    (合計量),P:2.0〜5.0%,B:1.0〜3.
    0%,残部実質的にFeからなり、CrとCの量 比
    〔Cr(%)/C(%)〕は2.5〜18である化学組
    成を有する合金粉末を充填して脱気密封したうえ、その
    合金粉末充填層を加熱溶融し、生成した溶融金属層を、
    指向性冷却により下部から上方に向かって凝固させて外
    層を形成したのち、カプセル材を除去することを特徴と
    する請求項1に記載の鋼材搬送用ローラの本体胴部の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 カプセル材として、その内側面に、外層
    金属溶融物との濡れ性の小さいセラミックスの皮膜が形
    成されたものを使用することを特徴とする請求項2に記
    載の鋼材搬送用ローラの本体胴部の製造方法。
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