JPH0529014Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【考案の利用分野】

本考案は、ゴルフ場、野球場等において、芝生
の張り付け作業を簡易化すると共に、張り付け後
即座に又は短期間内に使用可能とする芝生用下敷
材に関する。

【従来の技術とその問題点】

（背景） ワシバ（和芝）は、イネ科（F.Gramineae）、
シバ属（G.Zoysia）に属する匍匐性の植物であ
るが、丈夫で乾燥に耐え、余り手入れを必要とせ
ず、しかも美観を呈するため、既に奈良時代から
庭園等に植栽されてきた。近年に至り、ゴルフそ
の他各種競技・スポーツの振興、公園施設の充
実、航空輸送の発展等の事情に伴い、芝生の需要
は益々広がり、ゴルフ場その他各種運動競技施
設、公園、個人の庭園、飛行場、駅前の広場等を
始め、砂防工事等に至るまで極めて広く利用され
ている。 上のように、芝は比較的強健な植物ではある
が、ゴルフ場におけるテイーグラウンド、カート
道路、グリーン；野球場等のフイールド、ローン
テニス場の如く多数の人々に繰り返し踏まれる場
所では、地上部の葉や茎が擦り切れたり、次第に
地盤が固まつて目詰まりを生じるのを避け難い。
特に、踏圧による目詰まりに起因する根呼吸の阻
害は、植物の呼吸商を増加させ、植物の主エネル
ギー源となる含水炭素のクレブスサイクルをブロ
ツクするのみでなく、排水の不良化に基づく根の
対微生物抵抗性の低下、延いては根腐れ病発生の
誘因となる。そして一旦このような状態になると
当然植物は活力を失い、終には地面が露出して芝
生としての生命が失われるようになる。 従つて、芝生の歩したりしないことがシバの健
康維持のため最善であることは言うまでもない
が、ゴルフ場の芝生などでは場所により苛酷な踏
圧を受けるのは避けられない。しかも経済的な見
地から、致命的な被害を受けたた芝生の張り替え
直後からの使用が要求されることになる。 （従来技術の問題点） そこで、張設後の踏圧による芝生の損傷や目詰
まりを防止するため、既に、環状のリングを腕を
介して升目状連結したもの(A)、升目状の基体上に
断面十字状の補強突起を突出させたもの(B)、及び
升目状基体の交点を円筒状に形成すると共に、該
円筒内に該円筒壁から内向きに伸びる腕を介して
ドーム状の突出部を弾支したもの(C)等、種々の芝
生保護具が開発されているが、走茎の保護、踏み
付け時の感触、植え付けた芝生地の活着性及び製
作の容易さ等の観点で満足すべきものは存しな
い。 例えば、(A)のものは、踏圧の吸収が不充分であ
るため踏圧による土壌の圧密化を生じ、シバの生
育阻害が起こり易い。しかもリング部の内側から
伸長した走茎は、見苦しい波打ちを発生させるの
みでなく、該部分の上面において擦り切れが起こ
る。なお、全体が平面状であるから、従つて生地
の張り付け直後から使用する目的で芝生地の下敷
き用に使用するのは不可能である。 この点、(B)のものは、芝生地の下敷き用に使用
できる利点はあるが、該突起部が剛直であるた
め、靴底部に強い違和感を与える。 更に(C)のものは、ドーム型突起の平面形状が大
きいので、芝生地中へは侵入できず、このため、
芝生地の下敷き材として使用しても芝生地が固定
されず、従つて張り付け直後から使用するのは不
可能である。かつ靴底部からの荷重を専らドーム
の頂部が垂直方向の弾性変形として支承するだけ
であるので、実際の歩行により起こる斜め下向き
の荷重に対応することができず、結果的に不充分
な緩衝効果しか得られない。しかも突起外壁−円
筒内壁間を直ぐ目土などが侵入、閉塞するから、
構造が複雑であるに拘らず、急速に緩衝効果が低
下する。

【考案の目的】 以上の事情に鑑み、本考案は、従来の芝生保護
材の欠点を改良し、自体構造が簡単で、ゴルフ場
その他各種の競技場、公園等における芝生を踏害
から保護すると共に、併せて芝自体の目詰まりを
防いでスパイク作業の手数を軽減するのみなら
ず、比較的目立ち難く、しかも踏み付けによる震
動を緩和するため張り付け直後の踏み付けを可能
とする芝生保護手段を提供するのを目的とする。

【目的達成のための手段】

（概要） 本考案に係る芝生用下敷材は、叙上の目的を達
成するため、基体がその一面側に伸びる多数の刺
状体を備え、該刺状体は、基体の垂直軸に対し幾
分傾斜していて、該垂直軸方向に沿う押圧力に対
して変形による反撥弾性を示す程度の可撓性と、
芝生地の挿通を許す程度の堅さとを備えているこ
とを特徴とする。 （構造） 本考案の基本的な構成を示す第１図を参照し
て、本考案に係る芝生用下敷材１は、基本的に多
数の貫通孔３，３…を備える基板２の上面に多数
の可撓性刺状体４，４…を立設してなる。これら
の刺状体は４，４…は、芝生地Ｌの厚さｔと略々
等しい高さｈを有すると共に、適度の硬さと可撓
性とを備え、芝生地Ｌの張り付けに際し該生地へ
の刺入しうると同時に、踏圧に対し反撥弾性を発
揮することが必要である。従つて、具体的には、
刺状体４は、僅かに基板２面に対し傾斜した針状
（本図イ）、先細りにやや外向きにカールした形状
（本図ロ）、楔型（本図ハ）等を採ることができ
る。なお先端部は、同図ロのように多少カールし
ている方が好ましい。かつ、以上の刺状体４は、
独立していることも或は一定数づつ集合している
こともでき、若し環状に集合すると本図ニの如く
王冠状になる。なお、必要に応じ、基板２の裏面
には定着用の刺５，５…を、またその周囲には連
結用リング及び突起（図示省略）を備えることが
できる。 本考案の下敷材は、適当な熱可塑性樹脂により
一体的に成形されるのが有利であるが、ここに樹
脂としては、低圧法ポリエチレン、ポリプロピレ
ン又はエチレン・ビニルアセテートコポリマーの
（EVA）ような比較的硬い可撓性樹脂から選択す
るのが好ましい。

【作用】

本考案による下敷材は、前述の如く、基体の一
面側か伸びる刺状体が基体の垂直軸に対し傾斜す
ると共に、自体可撓性を備えているため、以下の
作用効果を奏する。 本案下敷材上１上に張り付けられた芝生地Ｌ
は、貫通した刺状体４により固定されているの
で、従来の竹串等による固定の手数を大幅に省
くことができる。 多数の傾斜した刺状体４は、芝生地に対する
踏圧をその変形（基体面に対する傾きの減少）
により支えると共に、応力を分散させ、土壌の
圧密化を阻止する。このため、上記の本刺状
体による固定作用と相いまつて、張り付け直後
からでも使用が可能となる。 刺状体４の先端部が芝生地Ｌの表面近くに位
置しているので、第７図のような踏圧又はミス
シヨツトを受けても芝への損傷が防止される
（因に、本図面は張り付け直後の状態を示すが、
芝が活着した後においても同じである。なお、
後記実施例参照）。 しかも踏圧により湾曲した刺状体４は、自体
可撓性を備えるため、復元に際し第２図の如く
土壌を攪拌するので、後から散布された目砂
S′は踏圧を受ける都度自動的に下方へ沈降して
最初の目砂Ｓと混じり合うから、活着前最も忌
むべき芝生地／土壌間の層間剥離を起こさず、
この結果枯死事故が激減する。 因に、本作用は芝が繁茂した後でも程度の差
こそあれ継続するので、芝は踏圧を受ける都度
エアレーシヨンを受けることになり、この結
果、スパイキングの手数を軽減できると共に、
芝の生育も良化する。 刺状体４の先端が細いので、芝と同様の色彩
で製作されるならば殆ど目立たない。 上のと関連して、走茎が刺状体の先端上を
通過し難く、このため従来の枠状体乃至環状突
起のような平坦な突起面を有するものに比し、
突起面との摩擦による擦り切れを生じ難い。 刺状体が適度の基体の垂直軸に対し僅かに傾
斜すると共に、自体可撓性を有するため、歩行
者や競技者の足の裏に違和感を与えない。なお
この作用は、刺状体の先端部がカールしている
とき顕著である。 構造が簡単なため、製作が容易である。

【実施例】

以下、実施例により考案具体化の一例を示す
が、例示は当然単なる説明であつて、考案思想の
内包・外延とは直接関係のないものである。 第３図は、本考案の一実施例の平面図、第４図
は、その正面図、第５図は、第３図、線Ａ−Ａに
沿う断面図である。 （構造） 本例芝生用下敷材１′は、硬質ポリエチレン又
はEVA樹脂により一体的に製作され、方陣形に
配置された多数の類逆截頭円錐体１０，１０…
と、該円錐体を縦横に連結する連結片１１，１１
と、最外方の円錐体の外側に、夫々対称的に突設
された連結用のリング１２，１２…と連結用突起
１３，１３…とを備える。 上記円錐体１０の上半部は、図示の如く空隙部
１４，１４…により櫛状に切り込まれて、夫々や
や外向きの刺状体４，４…を形成し、またその下
半部も同様に空隙部１５，１５…により切り込ま
れて定着用の刺部５，５…を形成する。 （施工法） 本例芝生用下敷材１′を用いて芝生の張り付け
を行うには、第６図の如く芝生張り付け予定地の
整地された土壌Ｅ上に本下敷材を適宜数連結手段
１０及び１１を利用して組合わせて敷設した後、
目砂Ｓを一定厚さに散布して固定し、次いで芝生
地Ｌを刺状体４′上に載せ、軽く押圧力を加えて
該刺状体４′で芝生地Ｌを突き通した後、最後に、
再び目砂S′を芝生地面に散布して敷き均し施行を
終える。

【考案の効果】

叙上の如く、本考案は、ゴルフ場その他各種の
競技場、公園等における芝生を踏害から保護する
と共に、併せて芝自体の目詰まりを防いでスパイ
キングの手数を軽減するのみならず、比較的目立
ち難く、しかも張り付け直後に踏み付けを可能と
する芝生保護手段を提供するが、特に、芝の張り
付け直後に踏圧を加えても層間分離を起こすこと
のない芝生用下敷材を提供するので、芝生の管理
者は無論、関連産業界に対し多大の便益を与え
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本案下敷材の基本的な構造を示す模
型的な断面図、第２図は、その作用効果を説明す
る図、第３図は、本考案の一実施例の平面図、第
４図は、その正面図、第５図は、第３図、線Ａ−
Ａに沿う断面図、第６図は、その施工法を示す断
面図、第７図は、その受圧状態を示す断面図であ
る。各図中の符号の意味は下述の通り： １……本案下敷材の全体、２……１の基板、３
……２の貫通孔、４……２の刺状体、５……２の
定着用の刺部、１′……実施例下敷材の全体、１
０……１′の類逆截頭円錐体、１１，１１′……
１′の連結片、１２……１′の連結用リング、１３
……１′の連結用リング、１４……１０の上半部
の空隙部（切り込み）、４′……刺状体、１５……
１０の下半部の空隙部（切り込み）、Ｅ……土壌、
Ｌ……芝生地、Ｓ，S′……目砂。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 基体がその一面側に伸びる多数の刺状体を備
   え、該刺状体は、基体の垂直軸に対し幾分傾斜
   していて、該垂直軸方向に沿う押圧力に対して
   変形による反撥弾性を示す程度の可撓性と、芝
   生地の挿通を許す程度の堅さとを備えているこ
   とを特徴とする芝生用下敷材。 ２ 多数の刺状体が群状に集合し、各群の基底部
   において筒状体を形成している実用新案登録請
   求の範囲第１項記載の下敷材。 ３ 基体が、その周縁部に同種下敷材との連結手
   段を備えている実用新案登録請求の範囲第１項
   記載の芝生用下敷材。 ４ 刺状体が、先端部においてやや湾曲している
   実用新案登録請求の範囲第１項又は第２項記載
   の下敷材。 ５ 刺状体が、基部から先端部に向け次第に太さ
   を減じている実用新案登録請求の範囲第１項第
   ２項又は第４項記載の下敷材。