JPH0528969Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本考案は、トラクタにおける作業昇降用油圧装
置に係り、詳しくはトラクタのダツシングを防止
する装置の構造に関する。

(ロ) 従来の技術 従来、トラクタ、特に小型トラクタにおいて
は、ロータリ作業機を略々一定速度で下降してい
たので、ロータリ刃がかなりの勢いで接地し、ロ
ータリ刃の回転力でトラクタが駆動されるいわゆ
るダツシング現象を生じていた。

そこで、油圧作業装置のピストンにピンを設
け、該ピンをシリンダヘツドの油路に嵌合するこ
とにより、油路を絞つてロータリ作業機の下降速
度を低下させたダツシング防止装置が案出されて
いる。

(ハ) 考案が解決しようとする問題点 ところで、トラクタの沈下度合は圃場の硬さに
より異なり、軟弱な圃場では硬い圃場に比較して
機体が沈下するが、上述した従来のダツシング防
止装置では、ダツシング防止位置の調節ができな
いため、前記ピンが該油路に嵌合する前にロータ
リ作業機が接地してしまい充分なダツシング防止
効果が発揮できない場合があつた。また、前記ピ
ンを用いてダツシング防止位置を調節するように
構成した調節装置も知られているが、該装置では
その構造が極めて複雑なものとなるため、簡単な
構造にてダツシングを防止すると共にその位置調
整もできる装置の現出が切望されている。

(ニ) 問題を解決するための手段 本考案は、上述問題点を解消することを目的と
するものであつて、例えば第１図に示すように、
油圧アクチユエータ２３のシリンダヘツド２７
に、その外方からシリンダ１１内方に連通する雌
ねじ部３０ａを有する丸孔３０を形成する。更
に、該丸孔３０に、先端にパイプ部３５を備える
と共に連通孔３３ａを穿設した絞り位置調節ねじ
３２を調節自在に螺入して、前記パイプ部３５が
シリンダ１１内方に突出して該シリンダ１１内方
とオイルを圧送する油路２９とを連通するように
構成する。そして、油圧アクチユエータ２３のピ
ストン２１における前記シリンダヘツド２７に向
いた側に絞り孔２１ａを形成して、パイプ部３５
が該絞り孔２１ａに僅かな間〓をもつて嵌合し得
るように構成したことを特徴とするものである。

(ホ) 作用 上述構成に基づき、上昇位置に吊上げられてい
る状態の作業機１６をオペレータによる操作にて
下降する場合、シリンダヘツド２７側に移動する
ピストン２１は、シリンダ１１内のオイルをパイ
プ部３５から連通孔３３ａを介して油路２９に排
出し、これにより作業機１６は急速に下降する。
そして、ピストン２１がシリンダヘツド２７に接
近することによりその絞り孔２１ａがパイプ部３
５に嵌合し始めると、該パイプ部３５と絞り孔２
１ａは僅かな間〓をもつて嵌合するため、今度は
該間〓によりオイルが絞られながら小流量にて排
出される。このため、ピストン２１はその絞り孔
２１ａがパイプ部３５と嵌合開始した時点からゆ
つくり移動し、これにより作業機１６は急速な下
降が圃場面付近で低下されてゆつくりと接地す
る。更に、絞り位置調節ねじ３２を進退してパイ
プ部３５と絞り孔２１ａとの嵌合開始位置を変え
ることにより、作業機１６の下降が低下する位置
を適宜調節する。

(ヘ) 実施例 以下、図面に沿つて、本考案による実施例につ
いて説明する。

トラクタ１は、第２図に示すように、車輪２に
より支持されている機体３を有しており、該機体
３の前部にはエンジン５が搭載しされ、かつ後部
にはステアリング６及びシート７等からなる運転
席８が配設されていると共にポジシヨンコントロ
ールレバー９及び耕深制御レバー１０が設置され
ている。更に、シート７の下方には油圧シリンダ
１１を備えた作業機昇降用油圧装置１２が配設さ
れており、またステアリング６部分にはパワース
テアリング装置が配設されている。また、機体３
の後方には１対のロワーリンク１３及びトツプリ
ンク１４からなる３点リンク装置１５を介してロ
ータリ１６が支持されており、更に油圧シリンダ
１１により回動される左右リフトアーム１７がリ
フトロツド１９を介してロワーリンク１３に連結
して、ロータリ１６を昇降制御し得る。更に、左
右リフトロツド１９のいずれか一方は油圧シリン
ダ２０により構成されており、該油圧シリンダ２
０は機体３の傾斜にかかわりなく常にロータリ１
６を水平に保持する水平制御を行う。

また、前記作業機昇降用油圧装置１２は、第１
図に示うすように、ピストン２１及びシリンダ１
１よりなる油圧作動装置２３を備えており、前記
ピストン２１はピストンロツド２５及びリフトフ
オーク２６を介してリフトアーム１７に連結して
いる。更に、シリンダ１１の一側はシリンダヘツ
ド２７により閉塞されており、該シリンダヘツド
２７には油路２９が形成されている。そして、該
油路２９はシリンダヘツド２７の外方からシリン
ダ１１に向けて貫通した雌めじ部３０ａを有する
丸孔３０を介してシリンダ１１に連通していると
共に、該丸孔３０に隣接して設けたフローコント
ロールバルブ３１を介して油圧ポンプに連通して
いる。そして、前記丸孔３０には絞り位置調節ね
じ３２が挿入され、かつ該調節ねじ３２の一端に
形成した雄ねじ部が雌ねじ部３０ａに螺合されて
いる。更に、調節ねじ３２の他端にはその中央部
まで油路３３を設けかつ前記油路２９に連通する
連通孔３３ａを穿設したパイプ部３５が形成され
ており、該パイプ部３５は絞り位置調節ねじ３２
の丸孔３０への螺入に伴いその先端がシリンダ１
１内方に向けて所定量突出されている。一方、前
記フローコントロールバルブ３１は、シリンダヘ
ツド２７に形成した丸孔３６にスリーブ３７が螺
入されており、更に該スリーブ３７に形成した油
路３７ａには下降速度調節ねじ３９が螺入され、
かつ該調節ねじ３９は油路３６の一端にあつてス
プリング４０によりスリーブ３７の先端開口部を
閉塞するように付勢したボール４１を、その付勢
力に抗して押圧するように構成されている。ま
た、スリーブ３７には連通孔３７ｂが穿設されて
おり、シリンダヘツド２７に形成した油路４２と
前記油路３７ａを連通している。また、ピストン
２１におけるシリンダヘツド２７に向いた側に
は、シリンダ１１内方に突出している前記パイプ
部３５に対向して絞り孔２１ａが形成されてお
り、該絞り孔２１ａはピストン２１がシリンダヘ
ツド２７に向けて移動した際にパイプ部３５と僅
かな間〓をもつて嵌合するように構成されてい
る。なお、図中４３にて示うすものは制御バルブ
である。

本実施例は、以上のような構成よりなるので、
ロータリ作業機１６が上昇位置に吊り上げられて
いる状態においてポジシヨンコントロールレバー
９により制御バルブ４３を操作すると、シリンダ
１１内のオイルはロータリ作業機１６の重量に基
づくピストン２１の押圧力により、パイプ部３５
の油路３３を通り連通孔３３ａから油路２９を経
て、降下速度調節ねじ３９の調節にてスリーブ３
７とボール４１との間に設けられた間〓を通り、
更に油路３７ａ及び連通孔３７ｂを経て油路４２
に排出され、作業機１６が急速に降下される。そ
して、ロータリ作業機１６が圃場面より僅かに高
い位置まで下降すると、ピストン２１の絞り孔２
１ａが絞り位置調節ねじ３２のパイプ部３５に嵌
合し始める。この際、該パイプ部３５の外周面と
絞り孔２１ａの内周面とは微細な間〓にされてい
るので、シリンダ１１内のオイルは、該間〓によ
り大きく絞られて小流量で油路２９に向けて排出
される。従つて、ロータリ作業機１６は圃場にゆ
つくりと接地し、ダツシング現象を生じることな
く所定耕深までゆつくりと下降する。なお、前記
絞り位置調節ねじ３２を絞り調節してそのパイプ
部３５の突出量を変更することによりピストン２
１の絞り孔２１ａとの嵌合開始位置を変えて、ロ
ータリ作業機１６のダツシング防止位置を適宜調
節し得る。また、下降速度調節ねじ３９を調節し
てその先端にてボール４１をスプリング４０によ
る付勢力に抗して押圧し、スリーブ３７の開口部
との間〓を調節することによりシリンダ１１内か
ら排出されるオイルの排出量を変えて、作業機１
６の下降速度を適宜調節することができる。

次に、ロータリ作業機１６を上昇させるには、
ポジシヨンコントロールレバー９により制御バル
ブ４３を操作し、油圧ポンプにより供給されるオ
イルを油路４２に圧送する。これにより、ボール
４１がスプリング４０の付勢力に抗して移動し、
オイルはパイプ部３５からシリンダ１１内に大流
量で圧入され、ピストン２１を移動する。そし
て、該ピストン２１の移動はピストンロツド２５
及びリフトフオーク２６を介してリフトアーム１
７に伝達され、これによりロータリ作業機１６は
急速に上昇される。

(ト) 考案の効果 以上説明したように、本考案によればシリンダ
ヘツド２７に形成した丸孔３０に、パイプ部３５
を備えかつ連通孔３３ａを穿設した絞り位置調節
ねじ３２を、パイプ部３５がシリンダ１１内方に
突出して該シリンダ１１と油路２９を連通するよ
うに螺入し、更にピストン２１のシリンダヘツド
２７に向いた側に形成した絞り孔２１ａに、パイ
プ部３５が僅かな間〓をもつて嵌合するように構
成したので、ピストン２１がシリンダヘツド２７
に接近した際に、絞り孔２１ａにてパイプ部３５
に僅かな間〓をもつて嵌合してシリンダ１１から
排出するオイル量を絞ることができ、これによ
り、極めて簡単な構成でもつて、作業機１６の降
下速度をその接地寸前に遅くしてダツシング現象
を確実に防止することができる。更に、絞り位置
調節ねじ３２を進退させることによりパイプ部３
５と絞り孔２１ａとの嵌合開始位置を変更するこ
とができ、これにより、極めて簡単な構成でもつ
て、圃場の硬軟状況やトラクタ１に装着するタイ
ヤサイズの変更に応じて作業機１６の降下速度低
下位置を簡単かつ確実に変更して、旋回時の枕地
幅を最小限にすると共に作業能率を向上すること
ができる。また、単純な構成からなるので、絞り
位置調節ねじ３２の調節ストロークを任意にかつ
大きく設定することが可能であり、これにより、
浅耕、代掻き作業等のように作業機１６の降下速
度変化をする必要が無い際には、絞り位置調節ね
じ３２を絞り孔２１ａと嵌合しない位置に移動す
ることにより絞り作用を無くすことができ、降下
速度低下解除用のバイパス路等の特別な装置を必
要とせず、簡単な構造でもつて、降下速度変化の
解除をも行うことができる。そして、パイプ部３
５を有する絞り位置調節ねじ３２及び絞り孔２１
ａからなる極めて簡単な構造で足り、かつ絞り弁
等の可動部分がないので、作動を常に安定して確
実に行うことができると共に、長期間に亘り維持
することができ、高い信頼性を備えることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る作業機昇降用油圧装置を
示す断面図、第２図は本考案を適用したトラクタ
全体を示す側面図である。 １……トラクタ、１１……シリンダ、１２……
作業機昇降用油圧装置、１６……作業機（ロータ
リ作業機）、２１……ピストン、２１ａ……絞り
孔、２３……油圧アクチユエータ（油圧作動装
置）、２７……シリンダヘツド、２９……油路、
３０……丸孔、３０ａ……雌ねじ部、３２……絞
り位置調節ねじ、３３ａ……連通孔、３５……パ
イプ部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 油路を介して圧送されるオイルを圧入・排出し
   て作業機を昇降する油圧アクチユエータを備えて
   なるトラクタにおいて、 前記油圧アクチユエータのシリンダヘツドにそ
   の外方からシリンダ内方に連通する雌ねじ部を有
   する丸孔を形成し、かつ該丸孔に、先端にパイプ
   部を備えると共に連通孔を穿設した絞り位置調節
   ねじを調節自在に螺入して、前記パイプ部が前記
   シリンダ内方に突出して該シリンダ内方と前記油
   路とを連通し、更に前記アクチユエータのピスト
   ンにおける前記シリンダヘツドに向いた側に絞り
   孔を形成して、前記パイプ部が該絞り孔に僅かな
   間〓をもつて嵌合し得るように構成すると共に、
   前記絞り位置調節ねじの調節に基づき、該パイプ
   部の絞り孔への嵌合開始位置を調節し得るように
   構成したトラクタにおける作業機昇降用油圧装
   置。