JPH0528835U - 床 材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 広い周波数域に亙って優れた防音効果を発揮
することのできる床材を提供すること。 【構成】 床基板１の裏面にその長さ方向及び／又は幅
方向に沿って複数本の溝８，９，１０，１１が任意間隔
をもって刻設された床材において、上記複数本の溝のう
ちの少なくとも一箇所を、並列して設けられた複数の凹
溝から成る凹溝群として形成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、床基板の裏面に複数本の溝が刻設された防音性の床材に関する。

【０００２】

【従来の技術】

床基板の裏面に複数本の凹溝が刻設された床材が公知である。この床材におい ては、表面層より伝達される衝撃エネルギーが裏面の凹溝の存在によって分断・ 減衰されるため、防音効果が向上される。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、従来の上記床材においては、各々断面形状略∪形の凹溝が、床基板 の裏面に任意の一定間隔をもって規則的に配列されている。即ち、凹溝の配列に よって１つの定常パターンが特定される。このため、該定常パターンが有効に作 用し得る特定の周波数域においては優れた防音効果を発揮するが、それ以外の周 波数域での防音性能は期待できない。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

そこで本考案は、上記従来技術の欠点を解消し、広範囲に亙る周波数域におい て優れた防音性能を発揮することのできる床材を提供することを目的とする。

【０００５】 かかる目的を達成するために鋭意工夫の末に創案された本考案は、床基板の裏 面にその長さ方向及び／又は幅方向に沿って複数本の溝が任意間隔をもって刻設 された床材において、上記複数本の溝のうちの少なくとも一箇所が、並列して設 けられた複数の凹溝から成る凹溝群として形成されていることを特徴とする。

【０００６】 床基板としては合板、繊維板、パーティクルボード、単板積層板等が任意選択 されて用いられる。また、これらの板状体を複数枚用い、それらの間に発泡合成 樹脂等の緩衝効果に優れた材料より成る緩衝シートを積層接着したものを床基板 として用いることにより、防音性に優れた床基板とすることができる。

【０００７】 床基板の表面には、突板貼り、化粧紙貼り、印刷塗装等の適宜手段を用いて任 意表面化粧が施される。また、必要に応じて、床材同士の隣接施工を円滑に行う ための実加工が、床基板の長さ方向及び／幅方向における両側端に施される。

【０００８】 床基板の裏面における長さ方向及び／又は幅方向に沿って、任意の一定間隔を 配して複数箇所に、凹溝が刻設されるが、本考案では、該複数箇所のうちの少な くとも一箇所が、並列に設けられた複数条の凹溝より形成される凹溝群として構 成される。凹溝群を構成する複数条の凹溝間には、夫々、床基板の切り残し部分 が隔壁として現されるため、基板表層から伝達される衝撃による振動（固定振動 数）は凹溝、隔壁、凹溝、隔壁…に順次伝搬され、音圧レベル（床衝撃音レベル 、ｄＢ）のピークを低周波数域に平行に移行させることができる。

【０００９】 床基板の裏面に刻設される凹溝は、その大きさ（幅、深さ）、形状、間隔、配 列等によって夫々特有の床衝撃音レベル曲線を有している。本考案の床材におい ては、各凹溝の大きさ及び形状が同一であって刻設箇所間の間隔が一定であった としても、少なくとも一の刻設箇所において複数条の凹溝群が形成されているの で、様々に異なった床衝撃音レベル曲線の集合としての周波数特性が得られる。 従って、広い周波数域に亙って、床衝撃音レベルを低周波数側に移行させること ができ、優れた防音効果を発揮する。

【００１０】 更に、凹溝群内又はそれ以外の刻設箇所における凹溝の大きさを変えたり、凹 溝群内における凹溝間の間隔を変えたりして、全体の凹溝構成を複雑化すること により、防音効果を発揮し得る周波数域をより拡大させることができる。凹溝の 形状については、夫々の凹溝の形状を全て同一とすることもできるが、凹溝形状 に変化を持たせることによって、上記したと同様に、防音効果を発揮し得る周波 数域をより拡大させることができる。また、各凹溝の形状は、基材の幅方向又は 長さ方向に亙って同一の断面形状を有するものであっても良いが、その延長方向 における断面形状（及び大きさ）が変化するような形状とすると、上記効果を更 に増長する上で有効である。

【００１１】 各凹溝は、床基板の裏面において、その長さ方向又は幅方向の少なくともいず れか一の方向に平行に延長するよう刻設されるが、勿論、これら直交する両方向 に延長するものとして刻設しても良い。

【００１２】 上記凹溝群の形成は防音効果の向上に寄与するだけでなく、強度を損なうこと なしに床材のフレキシブルな動きを許容し、施工時のスラブの不陸にも十分に対 応して、優れた仕上がりを得ることができるという利点も有している。

【００１３】 このようにして凹溝が刻設された床基板の裏面に、必要に応じて、例えば不織 布、合成樹脂発泡体、有機質繊維マット、無機質繊維マット等の緩衝層を貼着す ることができる。これにより防音効果を更に向上させるだけでなく、施工時のス ラブの不陸を吸収して施工性を向上させる。床基板の裏面には、また、遮音シー ト、防湿シート等を適宜貼着させることができる。

【００１４】

【実施例】

図１に示される本考案の一実施例による床材は、基板上層２と基板下層４との 間に緩衝シート３を積層して成ると共に表面に表面化粧層５が形成された床基板 １と、該床基板１の裏面に貼着された緩衝マット６とから構成されている。床基 板１の両側端には実加工７ａ，７ｂが施されている。

【００１５】 床基板１の裏面には、等間隔Ｄに規定された各刻設箇所において、夫々３本の 等大の凹溝８ａ，８ｂ，８ｃ：９ａ，９ｂ，９ｃ：１０ａ，１０ｂ，１０ｃ：１ １ａ，１１ｂ，１１ｃが刻設形成されている。各凹溝群における凹溝は基材の切 り残し部分である隔壁によって隔てられており、それらの間の間隔は一定ｄであ る。従って、例えば凹溝８ａを基準として考えると、凹溝８ｂとの間隔はｄ、凹 溝８ｃとの間隔は２ｄ、凹溝９ａとの間隔はＤ、凹溝９ｂとの間隔はＤ＋ｄ、凹 溝９ｃとの間隔はＤ＋２ｄとなり、凹溝間の間隔に様々なバリエーションが得ら れている。

【００１６】 図１の実施例では凹溝刻設箇所の全てにおいて凹溝群が形成されているが、凹 溝群は少なくとも一の凹溝刻設箇所において形成すれば良く、凹溝群と単一の凹 溝とを任意組み合わせることができる。また、図１の実施例では各凹溝群におけ る凹溝の数を等しくしているが、任意数であって良い。更に、各凹溝群における 凹溝の大きさは任意に異なるものとすることができる。

【００１７】 図１に示す床材における凹溝は全て同一形状であり、且つ各々の凹溝において もその延長方向における断面形状が同一であるものとされているが、夫々の凹溝 形状に変化を持たせ、或は各凹溝の断面形状を異なるものとすることができる。 図２及び図３は、床基板１に対する凹溝の形状についての変形例を示す。このよ うに、各凹溝１２，１３においてその延長方向における断面形状乃至大きさを異 なるものとすると、凹溝の異なる部分において異なる周波数特性を有することに なり、防音効果を発揮し得る周波数域を拡大させることができる。更に、図２に 示す凹溝１２とこれと対称のもの（上面の傾斜を左右逆にしたもの）とを交互に 配列させても良い。

【００１８】

【考案の効果】

本考案によれば、広範囲に亙る周波数の衝撃音を減衰させることのできる優れ た防音性の床材が提供される。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案による床材の構成の一例を示す長さ方
向断面図である。

【図２】 床材における凹溝形状の変形例を示す概略図
である。

【図３】 床材における凹溝形状の他の変形例を示す概
略図である。

【符号の説明】

１ 床基板 ３ 緩衝シート ６ 緩衝マット ８ａ，８ｂ，８ｃ，９ａ，９ｂ，９ｃ，１０ａ，１０
ｂ，１０ｃ，１１ａ，１１ｂ，１１ｃ，１２，１３ 凹
溝

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 床基板の裏面にその長さ方向及び／又
   は幅方向に沿って複数本の溝が任意間隔をもって刻設さ
   れたものにおいて、上記複数本の溝のうちの少なくとも
   一箇所が、並列して設けられた複数の凹溝から成る凹溝
   群として形成されていることを特徴とする床材。
2. 【請求項２】 上記凹溝群が複数箇所に設けられたも
   のにおいて、夫々の凹溝群の有する凹溝の数が異なるこ
   とを特徴とする請求項１記載の床材。