JPH05286923A - ヒドロキシジクロロベンゼンスルホン酸の分離方法 - Google Patents
ヒドロキシジクロロベンゼンスルホン酸の分離方法Info
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- JPH05286923A JPH05286923A JP8252992A JP8252992A JPH05286923A JP H05286923 A JPH05286923 A JP H05286923A JP 8252992 A JP8252992 A JP 8252992A JP 8252992 A JP8252992 A JP 8252992A JP H05286923 A JPH05286923 A JP H05286923A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸を
常圧もしくは加圧下、塩基によりヒドロキシ化して生成
する3種の異性体、4−ヒドロキシ−2,5−ジクロロ
ベンゼンスルホン酸、5−ヒドロキシ−2,4−ジクロ
ロベンゼンスルホン酸および6−ヒドロキシ−3,4−
ジクロロベンゼンベンゼンスルホン酸の塩からなる混合
物より各々の異性体を簡単に、効率よく分離する方法を
提供する。 【構成】 該3種のヒドロキシジクロロベンゼンスルホ
ン酸の塩を含む水溶液のpHを調整することにより各異
性体を分離する。
常圧もしくは加圧下、塩基によりヒドロキシ化して生成
する3種の異性体、4−ヒドロキシ−2,5−ジクロロ
ベンゼンスルホン酸、5−ヒドロキシ−2,4−ジクロ
ロベンゼンスルホン酸および6−ヒドロキシ−3,4−
ジクロロベンゼンベンゼンスルホン酸の塩からなる混合
物より各々の異性体を簡単に、効率よく分離する方法を
提供する。 【構成】 該3種のヒドロキシジクロロベンゼンスルホ
ン酸の塩を含む水溶液のpHを調整することにより各異
性体を分離する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、農薬、医薬、染料等の
製造原料として有用なジクロロフェノール類の合成用中
間体である4−ヒドロキシ−2,5−ジクロロベンゼン
スルホン酸、5−ヒドロキシ−2,4−ジクロロベンゼ
ンスルホン酸および6−ヒドロキシ−3,4−ジクロロ
ベンゼンスルホン酸の分離方法に関する。さらに詳しく
は、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸を塩基に
よりヒドロキシ化し、生成するこれら3種の異性体の混
合物から、各異性体を分離するヒドロキシジクロロベン
ゼンスルホン酸の分離方法に関する。
製造原料として有用なジクロロフェノール類の合成用中
間体である4−ヒドロキシ−2,5−ジクロロベンゼン
スルホン酸、5−ヒドロキシ−2,4−ジクロロベンゼ
ンスルホン酸および6−ヒドロキシ−3,4−ジクロロ
ベンゼンスルホン酸の分離方法に関する。さらに詳しく
は、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸を塩基に
よりヒドロキシ化し、生成するこれら3種の異性体の混
合物から、各異性体を分離するヒドロキシジクロロベン
ゼンスルホン酸の分離方法に関する。
【0002】
【従来の技術】2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン
酸を塩基によりヒドロキシ化して4−ヒドロキシ−2,
5−ジクロロベンゼンスルホン酸を製造する方法が米国
特許第4,670,610号に記載されている。この方
法によると、4−ヒドロキシ−2,5−ジクロロベンゼ
ンスルホン酸が98%の収率で得られると記載されてい
るが、異性体の生成およびその分離方法の開示はない。
本発明者らの追試の結果では、前記の方法により2,4,
5−トリクロロベンゼンスルホン酸を塩基によりヒドロ
キシ化した場合、3種の異性体である4−ヒドロキシ−
2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸、5−ヒドロキシ
−2,4−ジクロロベンゼンスルホン酸および6−ヒド
ロキシ−3,4−ジクロロベンゼンスルホン酸が生成す
ることが判明した。
酸を塩基によりヒドロキシ化して4−ヒドロキシ−2,
5−ジクロロベンゼンスルホン酸を製造する方法が米国
特許第4,670,610号に記載されている。この方
法によると、4−ヒドロキシ−2,5−ジクロロベンゼ
ンスルホン酸が98%の収率で得られると記載されてい
るが、異性体の生成およびその分離方法の開示はない。
本発明者らの追試の結果では、前記の方法により2,4,
5−トリクロロベンゼンスルホン酸を塩基によりヒドロ
キシ化した場合、3種の異性体である4−ヒドロキシ−
2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸、5−ヒドロキシ
−2,4−ジクロロベンゼンスルホン酸および6−ヒド
ロキシ−3,4−ジクロロベンゼンスルホン酸が生成す
ることが判明した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記したように米国特
許第4,670,610号記載の方法では3種の異性体
である4−ヒドロキシ−2,5−ジクロロベンゼンスル
ホン酸、5−ヒドロキシ−2,4−ジクロロベンゼンス
ルホン酸および6−ヒドロキシ−3,4−ジクロロベン
ゼンスルホン酸が生成し、これらを混合物としてしか得
ることができない。この混合物を用いて公知の方法で脱
スルホン化をおこないジクロロフェノールを得ようとす
ると、2,5−ジクロロフェノール、2,4−ジクロロフ
ェノールおよび3,4−ジクロロフェノールの混合物が
生成し、それぞれを高純度で単離することは非常に困難
である。したがって、米国特許第4,670,610号
記載の方法をそのまま、ジクロロフェノール合成の原料
となるヒドロキシジクロロベンゼンスルホン酸の合成に
適用することは困難である。
許第4,670,610号記載の方法では3種の異性体
である4−ヒドロキシ−2,5−ジクロロベンゼンスル
ホン酸、5−ヒドロキシ−2,4−ジクロロベンゼンス
ルホン酸および6−ヒドロキシ−3,4−ジクロロベン
ゼンスルホン酸が生成し、これらを混合物としてしか得
ることができない。この混合物を用いて公知の方法で脱
スルホン化をおこないジクロロフェノールを得ようとす
ると、2,5−ジクロロフェノール、2,4−ジクロロフ
ェノールおよび3,4−ジクロロフェノールの混合物が
生成し、それぞれを高純度で単離することは非常に困難
である。したがって、米国特許第4,670,610号
記載の方法をそのまま、ジクロロフェノール合成の原料
となるヒドロキシジクロロベンゼンスルホン酸の合成に
適用することは困難である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な事情に鑑み、米国特許第4,670,610号記載の
方法により得られる3種の異性体である4−ヒドロキシ
−2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸、5−ヒドロキ
シ−2,4−ジクロロベンゼンスルホン酸および6−ヒ
ドロキシ−3,4−ジクロロベンゼンスルホン酸の塩の
混合物よりそれぞれの異性体を簡単に単離する方法を見
いだすべく鋭意検討した。その結果、前記3種異性体塩
の混合物の水溶液のpHを順次変動させることにより、
これら異性体が個別に析出、単離できることを見いだ
し、本発明を完成するに至った。
な事情に鑑み、米国特許第4,670,610号記載の
方法により得られる3種の異性体である4−ヒドロキシ
−2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸、5−ヒドロキ
シ−2,4−ジクロロベンゼンスルホン酸および6−ヒ
ドロキシ−3,4−ジクロロベンゼンスルホン酸の塩の
混合物よりそれぞれの異性体を簡単に単離する方法を見
いだすべく鋭意検討した。その結果、前記3種異性体塩
の混合物の水溶液のpHを順次変動させることにより、
これら異性体が個別に析出、単離できることを見いだ
し、本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち、本発明は、2,4,5−トリクロ
ロベンゼンスルホン酸を常圧もしくは加圧下、塩基によ
りヒドロキシ化し、生成する3種の異性体4−ヒドロキ
シ−2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸、5−ヒドロ
キシ−2,4−ジクロロベンゼンスルホン酸および6−
ヒドロキシ3,4−ジクロロベンゼンスルホン酸の塩か
らなる混合物より、各々の異性体を分離する方法におい
て、前記3種のヒドロキシジクロロベンゼンスルホン酸
の塩を含む水溶液のpHを調整することにより各異性体
を分離することを特徴とするヒドロキシジクロロベンゼ
ンスルホン酸の分離方法を提供するものである。
ロベンゼンスルホン酸を常圧もしくは加圧下、塩基によ
りヒドロキシ化し、生成する3種の異性体4−ヒドロキ
シ−2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸、5−ヒドロ
キシ−2,4−ジクロロベンゼンスルホン酸および6−
ヒドロキシ3,4−ジクロロベンゼンスルホン酸の塩か
らなる混合物より、各々の異性体を分離する方法におい
て、前記3種のヒドロキシジクロロベンゼンスルホン酸
の塩を含む水溶液のpHを調整することにより各異性体
を分離することを特徴とするヒドロキシジクロロベンゼ
ンスルホン酸の分離方法を提供するものである。
【0006】特に、本発明によれば、4−ヒドロキシ−
2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸、5−ヒドロキシ
−2,4−ジクロロベンゼンスルホン酸および6−ヒド
ロキシ−3,4−ジクロロベンゼンスルホン酸の塩を含
む水溶液のpHを調整することにより各異性体を分離す
るヒドロキシジクロロベンゼンスルホン酸の分離方法に
おいて、(a) 前記3種のヒドロキシジクロロベンゼン
スルホン酸の塩を含む水溶液のpH調整の範囲を6〜9
とすることにより6−ヒドロキシ−3,4−ジクロロベ
ンゼンスルホン酸を分離し、(b) 6−ヒドロキシ−3,
4−ジクロロベンゼンスルホン酸を分離した後の水溶液
のpH調整の範囲を2〜5とすることにより4−ヒドロ
キシ−2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸を分離し、
(c) 残された水溶液のpHを2未満とすることにより
5−ヒドロキシ−2,4−ジクロロベンゼンスルホン酸
を分離する、ことによりヒドロキシジクロロベンゼンス
ルホン酸が簡単に、効率よく分離できる。
2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸、5−ヒドロキシ
−2,4−ジクロロベンゼンスルホン酸および6−ヒド
ロキシ−3,4−ジクロロベンゼンスルホン酸の塩を含
む水溶液のpHを調整することにより各異性体を分離す
るヒドロキシジクロロベンゼンスルホン酸の分離方法に
おいて、(a) 前記3種のヒドロキシジクロロベンゼン
スルホン酸の塩を含む水溶液のpH調整の範囲を6〜9
とすることにより6−ヒドロキシ−3,4−ジクロロベ
ンゼンスルホン酸を分離し、(b) 6−ヒドロキシ−3,
4−ジクロロベンゼンスルホン酸を分離した後の水溶液
のpH調整の範囲を2〜5とすることにより4−ヒドロ
キシ−2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸を分離し、
(c) 残された水溶液のpHを2未満とすることにより
5−ヒドロキシ−2,4−ジクロロベンゼンスルホン酸
を分離する、ことによりヒドロキシジクロロベンゼンス
ルホン酸が簡単に、効率よく分離できる。
【0007】2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸
をヒドロキシ化して得られる3種の異性体である4−ヒ
ドロキシ−2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸、5−
ヒドロキシ−2,4−ジクロロベンゼンスルホン酸およ
び6−ヒドロキシ−3,4−ジクロロベンゼンスルホン
酸が、これら3種のスルホン酸の塩を含む混合液のpH
調整を行うことにより分離できるのは、スルホン基の強
い電子吸引性のために、それぞれの酸性度が異なるから
と考えられる。例えば、4位に水酸基をもつ4−ヒドロ
キシ−2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸、5位に水
酸基をもつ5−ヒドロキシ−2,4−ジクロロベンゼン
スルホン酸は高い酸性度を示し、6位に水酸基をもつ6
−ヒドロキシ−3,4−ジクロロベンゼンスルホン酸の
酸性度は大きくはない。
をヒドロキシ化して得られる3種の異性体である4−ヒ
ドロキシ−2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸、5−
ヒドロキシ−2,4−ジクロロベンゼンスルホン酸およ
び6−ヒドロキシ−3,4−ジクロロベンゼンスルホン
酸が、これら3種のスルホン酸の塩を含む混合液のpH
調整を行うことにより分離できるのは、スルホン基の強
い電子吸引性のために、それぞれの酸性度が異なるから
と考えられる。例えば、4位に水酸基をもつ4−ヒドロ
キシ−2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸、5位に水
酸基をもつ5−ヒドロキシ−2,4−ジクロロベンゼン
スルホン酸は高い酸性度を示し、6位に水酸基をもつ6
−ヒドロキシ−3,4−ジクロロベンゼンスルホン酸の
酸性度は大きくはない。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
使用する原料の2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン
酸は公知の方法、例えば、1,2,4−トリクロロベンゼ
ンをスルホン化することにより容易に入手することがで
きる。また、このスルホン化工程で得られる反応液をそ
のまま本発明の方法の出発原料に使用することも可能で
ある。2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸を塩基
に存在下、常圧もしくは加圧下で反応せしめることによ
り、容易に1つの塩素を水酸基に置換することができ
る。用いる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム等の水酸化アルカリ金属、炭酸ナトリウム、炭酸
カリウム等の炭酸アルカリ金属などを挙げることができ
るが、通常、安価な水酸化ナトリウムが好ましい。塩基
の使用量は2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸に
対し、2〜6倍モルの範囲が適量である。
使用する原料の2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン
酸は公知の方法、例えば、1,2,4−トリクロロベンゼ
ンをスルホン化することにより容易に入手することがで
きる。また、このスルホン化工程で得られる反応液をそ
のまま本発明の方法の出発原料に使用することも可能で
ある。2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸を塩基
に存在下、常圧もしくは加圧下で反応せしめることによ
り、容易に1つの塩素を水酸基に置換することができ
る。用いる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム等の水酸化アルカリ金属、炭酸ナトリウム、炭酸
カリウム等の炭酸アルカリ金属などを挙げることができ
るが、通常、安価な水酸化ナトリウムが好ましい。塩基
の使用量は2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸に
対し、2〜6倍モルの範囲が適量である。
【0009】反応溶媒としては、水、およびエチレング
リコール、N,Nジメチルホルムアミド、ジメチルスル
ホキシド、スルホラン等極性溶媒が用いられるが、経済
的な理由から水が好ましい。
リコール、N,Nジメチルホルムアミド、ジメチルスル
ホキシド、スルホラン等極性溶媒が用いられるが、経済
的な理由から水が好ましい。
【0010】反応温度は70〜250℃の範囲、好まし
くは90〜200℃の範囲である。本発明は常圧すなわ
ち1気圧で進行するが、反応時間を短縮するため加圧下
で反応することもできる。加圧下で反応する際、圧力範
囲としては、1〜20気圧の範囲、好ましくは1〜10
気圧の範囲である。
くは90〜200℃の範囲である。本発明は常圧すなわ
ち1気圧で進行するが、反応時間を短縮するため加圧下
で反応することもできる。加圧下で反応する際、圧力範
囲としては、1〜20気圧の範囲、好ましくは1〜10
気圧の範囲である。
【0011】このようにして得られる反応液は4−ヒド
ロキシ−2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸を主成分
とした5−ヒドロキシ−2,4−ジクロロベンゼンスル
ホン酸および6−ヒドロキシ−3,4−ジクロロベンゼ
ンスルホン酸の3種のヒドロキシジクロロベンゼンスル
ホン酸の、用いた塩基の塩(例えば、アルカリ金属塩
等)の混合物である。異性体の生成比率の1例を表1に
示す。
ロキシ−2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸を主成分
とした5−ヒドロキシ−2,4−ジクロロベンゼンスル
ホン酸および6−ヒドロキシ−3,4−ジクロロベンゼ
ンスルホン酸の3種のヒドロキシジクロロベンゼンスル
ホン酸の、用いた塩基の塩(例えば、アルカリ金属塩
等)の混合物である。異性体の生成比率の1例を表1に
示す。
【0012】
【表1】 生成比 4−ヒドロキシ−2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸 90 5−ヒドロキシ−2,4−ジクロロベンゼンスルホン酸 3 6−ヒドロキシ−3,4−ジクロロベンゼンスルホン酸 7
【0013】水以外の溶媒を使用した場合は溶媒を留去
して水と置換し、水溶液としたのち、前記3種の異性体
の塩を含む水溶液に酸、例えば、塩酸または硫酸等の鉱
酸を添加し、水溶液のpH調整を行う。水溶液に酸を添
加し、一定のpH領域で酸析を行なうことによってヒド
ロキシジクロロベンゼンスルホン酸の3種の異性体を順
次析出させる。酸の添加温度は通常、0〜100℃、好
ましくは50〜100℃である。
して水と置換し、水溶液としたのち、前記3種の異性体
の塩を含む水溶液に酸、例えば、塩酸または硫酸等の鉱
酸を添加し、水溶液のpH調整を行う。水溶液に酸を添
加し、一定のpH領域で酸析を行なうことによってヒド
ロキシジクロロベンゼンスルホン酸の3種の異性体を順
次析出させる。酸の添加温度は通常、0〜100℃、好
ましくは50〜100℃である。
【0014】水溶液のpHを6〜9の間、好ましくはp
H7〜8の間に調整することで、3種の異性体のうち6
−ヒドロキシ−3,4−ジクロロベンゼンスルホン酸の
みを析出させることができる。水溶液を冷却した後、析
出した結晶を濾別することで、6−ヒドロキシ−3,4
−ジクロロベンゼンスルホン酸を分離することができ
る。濾過温度は0〜30℃、好ましくは5〜15℃であ
る。例えば、得られた6−ヒドロキシ−3,4−ジクロ
ロベンゼンスルホン酸は高速液体クロマトグラフで分析
したところ純度99%以上であり、その他の異性体の含
量は0.5%以下であった。
H7〜8の間に調整することで、3種の異性体のうち6
−ヒドロキシ−3,4−ジクロロベンゼンスルホン酸の
みを析出させることができる。水溶液を冷却した後、析
出した結晶を濾別することで、6−ヒドロキシ−3,4
−ジクロロベンゼンスルホン酸を分離することができ
る。濾過温度は0〜30℃、好ましくは5〜15℃であ
る。例えば、得られた6−ヒドロキシ−3,4−ジクロ
ロベンゼンスルホン酸は高速液体クロマトグラフで分析
したところ純度99%以上であり、その他の異性体の含
量は0.5%以下であった。
【0015】6−ヒドロキシ−3,4−ジクロロベンゼ
ンスルホン酸を濾別した後の水溶液に酸を添加して再度
酸析を行う。pH2〜5、好ましくはpH2〜3に調整
することで、4−ヒドロキシ−2,5−ジクロロベンゼ
ンスルホン酸が析出してくる。水溶液を冷却し析出した
結晶を濾別することで4−ヒドロキシ−2,5−ジクロ
ロベンゼンスルホン酸が単離できる。濾過温度は0〜5
0℃、好ましくは10〜30℃である。例えば、得られ
た4−ヒドロキシ−2,5−ジクロロベンゼンスルホン
酸を高速液体クロマトグラフで分析した結果、純度は9
9%以上と高純度であり、異性体の含有量は0.5%以
下であった。
ンスルホン酸を濾別した後の水溶液に酸を添加して再度
酸析を行う。pH2〜5、好ましくはpH2〜3に調整
することで、4−ヒドロキシ−2,5−ジクロロベンゼ
ンスルホン酸が析出してくる。水溶液を冷却し析出した
結晶を濾別することで4−ヒドロキシ−2,5−ジクロ
ロベンゼンスルホン酸が単離できる。濾過温度は0〜5
0℃、好ましくは10〜30℃である。例えば、得られ
た4−ヒドロキシ−2,5−ジクロロベンゼンスルホン
酸を高速液体クロマトグラフで分析した結果、純度は9
9%以上と高純度であり、異性体の含有量は0.5%以
下であった。
【0016】4−ヒドロキシ−2,5−ジクロロベンゼ
ンスルホン酸を濾別した後の水溶液を1/3〜1/7に
濃縮し、酸を添加してpHを2未満、好ましくは1以下
に調整することで、5−ヒドロキシ−2,4−ジクロロ
ベンゼンスルホン酸を得ることができる。例えば、5−
ヒドロキシ−2,4−ジクロロベンゼンスルホン酸の高
速液体クロマトグラフによる純度は98%以上であり、
異性体の含有量は1.0%以下であった。
ンスルホン酸を濾別した後の水溶液を1/3〜1/7に
濃縮し、酸を添加してpHを2未満、好ましくは1以下
に調整することで、5−ヒドロキシ−2,4−ジクロロ
ベンゼンスルホン酸を得ることができる。例えば、5−
ヒドロキシ−2,4−ジクロロベンゼンスルホン酸の高
速液体クロマトグラフによる純度は98%以上であり、
異性体の含有量は1.0%以下であった。
【0017】本発明の方法により分離された高純度の4
−ヒドロキシ−2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸は
鉱酸中で容易に脱スルホン化でき、農薬等の製造に有用
な中間体である2,5−ジクロロフェノールを高純度で
定量的に得ることができる。同様に、6−ヒドロキシ−
3,4−ジクロロベンゼンスルホン酸からは3,4−ジク
ロロフェノールが、また。5−ヒドロキシ−2,4−ジ
クロロベンゼンスルホン酸からは2,4−ジクロロフェ
ノールが定量的に得られる。
−ヒドロキシ−2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸は
鉱酸中で容易に脱スルホン化でき、農薬等の製造に有用
な中間体である2,5−ジクロロフェノールを高純度で
定量的に得ることができる。同様に、6−ヒドロキシ−
3,4−ジクロロベンゼンスルホン酸からは3,4−ジク
ロロフェノールが、また。5−ヒドロキシ−2,4−ジ
クロロベンゼンスルホン酸からは2,4−ジクロロフェ
ノールが定量的に得られる。
【0018】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるも
のではない。 実施例1 攪拌後、温度計、冷却器を備えた、1リットル3つ口フ
ラスコに2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸13
0.75g(0.5mol)、水酸化ナトリウム70g(1.75m
ol)および水600mlを仕込み、102℃で20時間攪
拌した。室温まで冷却し、不溶物を濾過して除いた後、
濾液を50℃とし、濃硫酸により、pH7.5に調整し
た。10℃まで冷却し、析出した結晶を濾過、水洗後、
減圧乾燥して6−ヒドロキシ−3,4−ジクロロベンゼ
ンスルホン酸の結晶8.5gを得た。6−ヒドロキシ−
3,4−ジクロロベンゼンスルホン酸を濾取した後の濾
液を硫酸にて50℃でpH3に調整し、20℃まで冷却
し、析出した結晶を濾過、水洗後、減圧乾燥して4−ヒ
ドロキシ−2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸の結晶
98.0gを得た。濾液を約120mlまで濃縮した後、さ
らに硫酸を添加してpHを1に調整することで、5−ヒ
ドロキシ−2,4−ジクロロベンゼンスルホン酸を得
た。5−ヒドロキシ−2,4−ジクロロベンゼンスルホ
ン酸の収量は3.8gであった。得られた結晶の収率およ
び純度を表2に示した。
明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるも
のではない。 実施例1 攪拌後、温度計、冷却器を備えた、1リットル3つ口フ
ラスコに2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸13
0.75g(0.5mol)、水酸化ナトリウム70g(1.75m
ol)および水600mlを仕込み、102℃で20時間攪
拌した。室温まで冷却し、不溶物を濾過して除いた後、
濾液を50℃とし、濃硫酸により、pH7.5に調整し
た。10℃まで冷却し、析出した結晶を濾過、水洗後、
減圧乾燥して6−ヒドロキシ−3,4−ジクロロベンゼ
ンスルホン酸の結晶8.5gを得た。6−ヒドロキシ−
3,4−ジクロロベンゼンスルホン酸を濾取した後の濾
液を硫酸にて50℃でpH3に調整し、20℃まで冷却
し、析出した結晶を濾過、水洗後、減圧乾燥して4−ヒ
ドロキシ−2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸の結晶
98.0gを得た。濾液を約120mlまで濃縮した後、さ
らに硫酸を添加してpHを1に調整することで、5−ヒ
ドロキシ−2,4−ジクロロベンゼンスルホン酸を得
た。5−ヒドロキシ−2,4−ジクロロベンゼンスルホ
ン酸の収量は3.8gであった。得られた結晶の収率およ
び純度を表2に示した。
【0019】
【表2】
【0020】実施例2 攪拌機、温度計、冷却器を備えた、1リットル3つ口フ
ラスコに2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸13
0.75g(0.5mol)、水酸化ナトリウム70g(1.75m
ol)およびエチレングリコール500mlを仕込み、15
0℃で6時間攪拌した。エチレングリコールを留去し、
水を500ml添加した。以後の操作を実施例1と同様に
して行い、6−ヒドロキシ−3,4−ジクロロベンゼン
スルホン酸の結晶18.5g、4−ヒドロキシ−2,5−
ジクロロベンゼンスルホン酸の結晶78.3g、5−ヒド
ロキシ−2,4−ジクロロベンゼンスルホン酸の結晶5.
8gを得た。得られた結晶の収率および純度を表3に示
した。
ラスコに2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸13
0.75g(0.5mol)、水酸化ナトリウム70g(1.75m
ol)およびエチレングリコール500mlを仕込み、15
0℃で6時間攪拌した。エチレングリコールを留去し、
水を500ml添加した。以後の操作を実施例1と同様に
して行い、6−ヒドロキシ−3,4−ジクロロベンゼン
スルホン酸の結晶18.5g、4−ヒドロキシ−2,5−
ジクロロベンゼンスルホン酸の結晶78.3g、5−ヒド
ロキシ−2,4−ジクロロベンゼンスルホン酸の結晶5.
8gを得た。得られた結晶の収率および純度を表3に示
した。
【0021】
【表3】
【0022】実施例3 攪拌機、温度計を備えた、1リットルのオートクレーブ
に2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸130.7
5g(0.5mol)、水酸化ナトリウム70g(1.75mol)お
よび水600mlを仕込み、密閉下180℃にて6時間攪
拌した。このときの圧力は9Kg/cm2であった。反応後
室温まで冷却し不溶物を濾過して除いた後、濾液を50
℃にて濃硫酸により、pH7.5に調整した。以後の操
作を実施例1と同様にして行い、6−ヒドロキシ−3,
4−ジクロロベンゼンスルホン酸の結晶9.7g、4−ヒ
ドロキシ−2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸の結晶
104.5g、5−ヒドロキシ−2,4−ジクロロベンゼ
ンスルホン酸の結晶4.8gを得た。得られた結晶の収率
および純度を表4に示した。
に2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸130.7
5g(0.5mol)、水酸化ナトリウム70g(1.75mol)お
よび水600mlを仕込み、密閉下180℃にて6時間攪
拌した。このときの圧力は9Kg/cm2であった。反応後
室温まで冷却し不溶物を濾過して除いた後、濾液を50
℃にて濃硫酸により、pH7.5に調整した。以後の操
作を実施例1と同様にして行い、6−ヒドロキシ−3,
4−ジクロロベンゼンスルホン酸の結晶9.7g、4−ヒ
ドロキシ−2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸の結晶
104.5g、5−ヒドロキシ−2,4−ジクロロベンゼ
ンスルホン酸の結晶4.8gを得た。得られた結晶の収率
および純度を表4に示した。
【0023】
【表4】
【0024】比較例1 実施例1と同様にして反応を行った後、反応液を硫酸に
よりpH3に調整した。10℃まで冷却し、析出した結
晶を濾過、水洗、乾燥し114.0gの結晶を得た。高速
液体クロマトグラフィーで分析したところ、4−ヒドロ
キシ−2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸の純度は8
5%であった。異性体6−ヒドロキシ−3,4−ジクロ
ロベンゼンスルホン酸の含有量は10%、5−ヒドロキ
シ−2,4−ジクロロベンゼンスルホン酸の含有量は3
%であり、その他は水分であった。
よりpH3に調整した。10℃まで冷却し、析出した結
晶を濾過、水洗、乾燥し114.0gの結晶を得た。高速
液体クロマトグラフィーで分析したところ、4−ヒドロ
キシ−2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸の純度は8
5%であった。異性体6−ヒドロキシ−3,4−ジクロ
ロベンゼンスルホン酸の含有量は10%、5−ヒドロキ
シ−2,4−ジクロロベンゼンスルホン酸の含有量は3
%であり、その他は水分であった。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、農薬、医薬、染料等の
中間体として有用なジクロロフェノール類を得るための
原料である4−ヒドロキシ−2,5−ジクロロベンゼン
スルホン酸、5−ヒドロキシ−2,4−ジクロロベンゼ
ンスルホン酸および6−ヒドロキシ−3,4−ジクロロ
ベンゼンスルホン酸を、2,4,5−トリクロロベンゼン
スルホン酸をヒドロキシ化して得られる異性体混合物か
ら容易に分離、取得することができる。
中間体として有用なジクロロフェノール類を得るための
原料である4−ヒドロキシ−2,5−ジクロロベンゼン
スルホン酸、5−ヒドロキシ−2,4−ジクロロベンゼ
ンスルホン酸および6−ヒドロキシ−3,4−ジクロロ
ベンゼンスルホン酸を、2,4,5−トリクロロベンゼン
スルホン酸をヒドロキシ化して得られる異性体混合物か
ら容易に分離、取得することができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン
酸を常圧もしくは加圧下、塩基によりヒドロキシ化し、
生成する3種の異性体4−ヒドロキシ−2,5−ジクロ
ロベンゼンスルホン酸、5−ヒドロキシ−2,4−ジク
ロロベンゼンスルホン酸および6−ヒドロキシ−3,4
−ジクロロベンゼンベンゼンスルホン酸の塩からなる混
合物より各々の異性体を分離する方法において、前記3
種のヒドロキシジクロロベンゼンスルホン酸の塩を含む
水溶液のpHを調整することにより各異性体を分離する
ことを特徴とするヒドロキシジクロロベンゼンスルホン
酸の分離方法。 - 【請求項2】 4−ヒドロキシ−2,5−ジクロロベン
ゼンスルホン酸、5−ヒドロキシ−2,4−ジクロロベ
ンゼンスルホン酸および6−ヒドロキシ−3,4−ジク
ロロベンゼンスルホン酸の塩を含む水溶液のpHを調整
することにより各異性体を分離するヒドロキシジクロロ
ベンゼンスルホン酸の分離方法において、 (a) 前記3種のヒドロキシジクロロベンゼンスルホン
酸の塩を含む水溶液のpH調整の範囲を6〜9とするこ
とにより6−ヒドロキシ−3,4−ジクロロベンゼンス
ルホン酸を分離し、 (b) 6−ヒドロキシ−3,4−ジクロロベンゼンスルホ
ン酸を分離した後の水溶液のpH調整の範囲を2〜5と
することにより4−ヒドロキシ−2,5−ジクロロベン
ゼンスルホン酸を分離し、 (c) 残された水溶液のpHを2未満とすることにより
5−ヒドロキシ−2,4−ジクロロベンゼンスルホン酸
を分離する、請求項1記載のヒドロキシジクロロベンゼ
ンスルホン酸の分離方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8252992A JP2904639B2 (ja) | 1992-04-04 | 1992-04-04 | ヒドロキシジクロロベンゼンスルホン酸の分離方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8252992A JP2904639B2 (ja) | 1992-04-04 | 1992-04-04 | ヒドロキシジクロロベンゼンスルホン酸の分離方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05286923A true JPH05286923A (ja) | 1993-11-02 |
JP2904639B2 JP2904639B2 (ja) | 1999-06-14 |
Family
ID=13777043
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8252992A Expired - Fee Related JP2904639B2 (ja) | 1992-04-04 | 1992-04-04 | ヒドロキシジクロロベンゼンスルホン酸の分離方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2904639B2 (ja) |
-
1992
- 1992-04-04 JP JP8252992A patent/JP2904639B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2904639B2 (ja) | 1999-06-14 |
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