JPH05286711A - ジルコニウム−ホウ素の酸化物を含む結晶性の組成物及びその製造方法 - Google Patents

ジルコニウム−ホウ素の酸化物を含む結晶性の組成物及びその製造方法

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JPH05286711A
JPH05286711A JP4127893A JP12789392A JPH05286711A JP H05286711 A JPH05286711 A JP H05286711A JP 4127893 A JP4127893 A JP 4127893A JP 12789392 A JP12789392 A JP 12789392A JP H05286711 A JPH05286711 A JP H05286711A
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water
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Hisatoshi Asaoka
久俊 浅岡
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ASAOKA MAKIKO
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ASAOKA MAKIKO
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 酸化ジルコニウム(IV)(ZrO)及び
三酸化二ホウ素(B)を共通の組成成分とする多
種多様の焼成物、及びその製造方法を提供することを目
的とする。 【構成】 原子価が1、2、3、4及び5の各種カチオ
ンよりなるアルコキサイドをピリジン中に溶かし、これ
にホウ酸を加えて反応させることを主な製造方法として
得られる焼成物において、酸化物のモル比を無水式で表
して下記の式: (aM〜iM′):jZrO:kB により表すことのできる構成の組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ボライト(BOLIT
E; 商標 第 2315054号)ならびにボライト
−1、−2、−4、−5(米国特許 No.50646
29)に関連し、得られる組成物は固体酸としてそれ自
身各種化学反応において耐熱性の触媒となる他、別の触
媒の担体としても利用できる。またセラミックスとして
骨などの生体素材や医療器具などの他、温度や湿度及び
圧力等を検知するセンサーなどの材料として有用である
ばかりでなく、自動車産業、航空産業、宇宙産業、電磁
気利用産業など広汎な分野に利用できる物質及びその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、セラミックスに関する科学は飛躍
的に発展し、いわゆるファイン セラミックス(Adv
anced Ceramics)産業なる新しい分野を
形成しつつある。例えば、アルミナ基板はICやLSI
の実装に欠くことのできない素材であり、それは耐高熱
素子の多端子化を可能ならしめた。これらの新材料は周
期律表における金属元素、半金属元素ならびに非金属元
素の組合せにより得られるが、その種類は極めて多く得
られた組成物の機能も実に多様である。セラミックスは
その原子配列から単結晶、多結晶、アモルファス(ガラ
ス)に区分されるが、その機能は電磁気、光熱反応性、
電気光学的効果など多彩である。例えば、LiNbO
は表面弾性波フイルター、YAsO12はレーザー、
(Mn,Zn)FeはVTR用磁気ヘッド、Gd
Ca12は大容量メモリー用に開発されている。
その他、結晶粒子が任意の方向に結合しているAl
、Si)ZrO、SiCなどの種類は利用分
野が広く、また高純度のSiOやSe−As−Te系
のガラスは、光通信用のファイバーやテレビの撮像管に
欠くことのできない重要な素材となっている。一方近
年、環境問題に関心が高まりつつあるなかで、自動車排
ガス用のハニカム セラミックスは一酸化炭素、炭化水
素、酸化窒素を浄化する触媒用担体として有用であり、
すぐれた耐熱性や耐衝撃性を具備したものが更に追求さ
れている。
【0003】ところで、ジルコニア(Zirconi
a; ZrO)などの固体電解質セラミックスは、イ
オン結合、共有結合よりなる固体材料であり、結晶構
造、構成イオンの種類、格子欠陥の有無などにより高イ
オン伝導性を示す。特にジルコニアは格子欠陥型であ
り、これにCaO、MgO、Yなどの2または3
価の金属イオンからなる酸化物を固溶して安定化する
と、その際、形成される酸素空格子点が電位勾配などに
より拡散し酸素イオン伝導体となり、酸素検出センサー
としてボイラーの燃焼管理、自動車の空燃比制御等に多
用される。
【0004】これら各種ジルコニアの製造方法には次の
ようなものがある。 1)機械的混合方法; CaOや
などの所定量をボールミルなどにより混合しそ
れを1000〜1600℃で焼成する方法であるが、こ
の方法では製品を安価に得ることができるものの高純度
で均一な微粒子を得ることが困難である。 2)中和共
沈法; ZrやYを含む可溶性塩を水溶液状態で混合
し、アンモニアや尿素等の沈殿剤を加えて共沈水酸化物
をつくりこれを焼成する。この方法は比較的微細な高活
性粉体を得ることができるが、沈殿剤の種類や量により
生成粒子径が微妙に変化する。 3)加水分解法; ア
ンモニアなどの沈殿剤を用いず、ZrやYなどを含む塩
の水溶液を加熱して、共沈水酸化物を得る方法である
が、適当な水溶性塩の選択の問題や塩の種類による加水
分解速度の違いが問題となる。 4)水熱合成法; 金
属ジルコニウムをオートクレーブ中で高温高圧水と反応
させZrOの粉末を得る方法であるが、工業化にはな
お解決しなければならない多くの問題点を有する。
5)アルコキサイドの加水分解法; ZrやYなどによ
るアルコキサイドを有機溶媒に溶解し、除々に水を加え
て共沈水酸化物を得る方法で、分散性の良い均一な微細
粒子を得ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】種類の異なる酸化物の
微粉末を物理的に混合して焼成するいわゆる乾式法は、
その均一性におのずから限界がある。仮に無重力状態で
混合して均一なものを得る可能性があるとしても、それ
は極めて高価なものになる。従って溶液を用いる湿式法
は、その点において乾式法に勝るが目途とする塩類がす
べて理想的な可溶形態を持つとは限らない。
【0006】本発明はピリジンを溶媒として用いる湿式
法によるものであり、そのために入手できるピリジン可
溶のアルコキサイドとしては、Al(OR)、As
(OR)、Ba(OR)、Ca(OR)、Cu
(OR)、Ge(OR)、Fe(OR)、La
(OR)、Pb(OR)、 Li(OR)、Mg
(OR)、Nb(OR)、P(OR)、Si(O
R)、Na(OR)、Sr(OR)、Ta(OR)
、Sn(OR)、Ti(OR)、Y(OR)
Zn(OR)、Zr(OR)などがあり、ここでR
としては−C、−C、−i−C及び−n
−Cなどの種類がある。従って、これらの組合せ
より得られる組成物の種類は極めて多く、且つその機能
も多彩でありうる。
【0007】既に述べた共沈法や加水分解法などのいわ
ゆる湿式法は、すべて溶液中における微細粒子の単なる
混合であり、極言すればそれは乾式法の単なる改良法に
すぎない。本発明は溶液中における化学反応により、同
形の結晶や単結晶などを構成するために必要な共有結合
やイオン結合をつくることができる。なお、アルコキサ
イドを用いる従来の方法では、使用される有機溶媒の回
収は極めて困難であり、それは結果的に製品の価格を上
昇せしめる要因になっている。本発明はこれらの諸問題
を解決し得る製造方法を提供することを目的としてい
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明においては種々のアルコキサイドを水を含ま
ないピリジンに溶かし、これに縮合剤ないし反応促進剤
として、ホウ酸を加えてゲルを生じさせることを主反応
としている。この際、用いるホウ酸は一部最終生成物中
に取り込まれる。これは同じ方法によってつくられたボ
ライト−7の中に、ホウ素が四面体酸化物として含まれ
ることが、B11のNMRの測定によって証明されてい
る。(H.Asaoka,J.Mol.Cat.,68
(1991)301−311)。
【0009】この方法が従来のアルコキサイドの加水分
解法と決定的に異なるのは、用いるピリジンに水を添加
しない点にある。一般に親水溶媒中に水が加わるとその
分離精製には格段のエネルギーの投入が必要である。本
法においてはピリジンの回収率は水を含まないため極め
て高く、特に閉じた反応系においてはその損失はほとん
どない。従って、溶媒が環境に放逸し環境を汚染する危
険は少ない。回収されたピリジンはひきつづき特別の精
製工程を経ることなく、次の反応に繰り返し使用でき
る。
【0010】問題はホウ酸であるが、これは水溶液中に
含まれるものは水蒸気蒸留によって回収でき、遊離の酸
化物(B)のかたちをとるものは500℃以上の
焼成操作過程で放出され、自然冷却で器壁に析出し回収
できる。いずれにしても、既存の確立されたホウ酸の製
法を適用することにより、その処理及び再利用は容易で
ある。
【0011】安価なセラミックスとして、ホウ素の酸化
物を含むことが障害とならない組成物については、反応
溶液中からピリジンを回収後、生成したゲルを単に高温
で焼成することにより、固有のX線回折スペクトルを示
すボライトを得ることができる。恐らく湿式法では、こ
の手段により得られるセラミックスとしては最安価なも
ののひとつとして、広汎な用途を見いだし得る可能性を
有する。
【0012】本発明にかかわる新規な組成物は、既に述
べたような原子価1〜5のカチオンよりなるアルコキサ
イドを種々使用し、ピリジン溶液中でホウ酸を用いて反
応させて得られる。特に、ジルコニウムとホウ素の酸化
物を共通の構成員とする組成物は、無水式で各酸化物の
モル比により下記に示す。 (aM〜iM′):jZrO:kB 式中、M〜M′はそれぞれの原子価が1、2、3、4及
び5である各種カチオンを示し、n及びmはこれらカチ
オンによる酸化物がもつ化学量論的な数値、a〜iはM
〜M′の各酸化物のモル量、j及びkはそ
れぞれZrO及びBのモル量を示す。
【0013】なお上記式中、a〜iは0から合計で50
0、望ましくは0から合計で300以下の範囲であり、
jは0より大きく500、望ましくは0.01より大き
く00以下の範囲、kは0より大きく1を超えず、望ま
しくは0.0000001より大きく1以下の範囲であ
る。
【0014】これらの組成物を得るために、既に述べた
ようなアルコキサイド、すなわちM(OR)、M(O
R),M(OR)、M(OR)、M(OR)
で、化学式中のRが−CH、−C、−i−C
、−n−Cのいずれかである化合物を、ピ
リジン中に室温よりピリジンの沸点、望ましくは20〜
100℃の温度で、0.1〜60重量%、望ましくは
0.3〜30重量%の濃度になるように溶かし、これに
0.1〜50重量%、望ましくは0.2〜20重量%の
ホウ酸を加え、1〜5時間、望ましくは約3時間反応さ
せ、これを20〜約100℃の温度で、1〜約30日
間、望ましくは約2週間、時々攪拌しながら生じたゲル
を熟成させる。
【0015】溶媒として用いたピリジンはゲルの熟成
後、常圧時における沸点、もしくは減圧下で20〜約1
00℃の温度で蒸発回収する。得られた固形物はそのま
ま、もしくは微粉状にして約500℃に加熱すると、生
ずるカーボンにより着色する。約900℃で長時間加熱
すると白色になるものもあるが、1300℃以上融点近
くまで加熱するとほとんど着色はみられない。通常、生
成物を単に焼成すると焼失物のため非常に多孔質の固体
となる。500℃以上で約8時間加熱して得られたもの
は、粉末X線回折(XRD)の測定により特有のスペク
トルパターンを示す。
【0016】前述のピリジンを除いた固形物に、温度1
0〜100℃、望ましくは約60℃の水を、固形物の重
量の10〜1000倍量、望ましくは5〜100倍量加
えて、1時間〜数週間、望ましくは約48時間、時々攪
拌しながら放置した後、これを濾別する。濾液よりホウ
酸を回収できる。瀘過物を水洗し、瀘液よりホウ酸等の
ホウ素化合物が検出されなくなったら、そのまま或いは
適当な型を用いて成形する。この際、加熱によってヒビ
割れを起こす場合は、100〜約500℃に数時時間仮
焼したのち成形して再び高温焼成する。通常、約500
℃数時間加熱したものは硬質で固有のXRDスペクトル
をもつ結晶性の組成物となる。しかし、このXRDスペ
クトルは温度が高くなるにつれて変化するものがあり、
いわゆる多形(Polymorphism)を示すこと
がある。
【0017】本発明による組成物のXRDスペクトル
は、銅Kα−線による標準X線粉末回折技術により得ら
れるが、測定された格子面間隔は最強のスペクトルをI
としたとき、I/I × 100によりその相対強
度を示す。なおこの相対強度は10以下をvw(ver
y weak)、11〜20をw(weak)、21〜
40をm(medium)、41〜70をs(stro
ng)、71以上をvs(very strong)の
強度表示により符号で示す。
【0018】
【作用】本発明によって得られる組成物は、ZrO
びBよりなるものをボライト−A、Al
ZrO及びBよりなるものをボライト−B、そ
してSiO、ZrO及びBよりなるものをボ
ライト−Cとする。これらはいずれも高純度、高収量で
得ることができるばかりでなく、高温で固溶する前に既
に充分均一な結晶性の組成物として製造し得る。
【0019】前述の製法のところで既に触れたが、乾燥
したゲルをそのまま900℃で約4時間加熱した場合の
ボライト−A、−B及び−Cはすべて単斜晶系に属する
結晶物となるが、水による処理を行なった場合、同じ実
験条件下でボライト−Aは単斜晶系であるが、ボライト
−B及びボライト−Cは正方晶系である。しかし、13
00℃、約5時間の加熱ではすべて単斜晶系の結晶物と
なる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れに限定されるものではない。 [実施例1] ボライト−Aを得るために、ジルコニウ
ムテトライソプロポキシド〔Zr(O−i−C
〕の20.2gを70℃において100gの無水ピリ
ジンに溶かし、これに乾燥したホウ酸(HBO)の
微粉末3.8gを加えて3時間攪拌する。これを70℃
の温度を保ったまま2週間、時々、振盪攪拌しながら放
置する。熟成終了後、生成したゲルを含む反応溶液から
95℃でピリジンを減圧蒸留して回収する。得られた固
形物の量は約14.8gである。この固形物の一部を9
00℃で4時間加熱すると、白色の焼成物が得られる
が、この焼成物のXRDスペクトルによる格子面間隔値
d(Å)を第1表に示した。
【0021】
【表1】
【0022】試料より、反射角2θが10〜100°の
範囲で、非常に多くのX線回折スペクトルが観測される
ものがあるので、すべての表は統一的に相対強度の値が
6以上のものだけを掲載した。
【0023】上記の白色焼成物をそのまま、或いはそれ
を微粉状にしたものを型枠に入れて400kg/cm
の圧力で加圧成形した後、更に1300℃で5時間加熱
する。この焼成物の元素分析結果を酸化物のモル比で下
記に示す。 ZrO/B………………71.6。 またこの1300℃における焼成物の、XRDスペクト
ルによる格子面間隔値を第2表に示した。
【0024】
【表2】
【0025】既述の乾燥ゲルの13gに水500gを加
えて7日間、時々攪拌しながら70℃に保ったのち濾過
する。濾液を濃縮し約2gのホウ素を含む固形物を得
る。濾過物を1200ccの水で洗浄し、最終洗液の一
滴からクルクミン試験紙でホウ素を含む化合物が検出さ
れないことを確認した後、瀘過物を60℃の温度で恒量
になるまで放置する。得られる量は約8.5gである。
この一部をそのまま、或いは適当な型を用いて成形した
のち900℃ で4時間加熱する。この900℃におけ
る焼成物の、XRDスペクトルによる格子面間隔値を第
3表に示した。
【0026】
【表3】
【0027】上記の900℃における焼成物を、更に1
300℃で5時間加熱して得られた焼成物の元素分析結
果を、酸化物のモル比で下記に示す。 ZrO/B………………818.7。 また、この1300℃における焼成物のXRDスペクト
ルによる格子面間隔値を第4表に示した。
【0028】
【表4】
【0029】[実施例2] 製造方法はほとんど実施例
1と同じであるが、得られる組成物をボライト−Bとす
る。ボライト−Bを得るために、ジルコニウムテトライ
ソプロポキシドの14.4g及び、アルミニウムトリイ
ソプロポキシド〔Al(O−i−C〕の3.
0gを、それぞれ70℃の無水ピリジンの150gに溶
解し、これに乾燥したホウ酸の微粉末を3.6g加え
る。なお、これ以下の操作は実施例1に準ずるが、反応
系の溶媒を除いて得られる固形物の量は約12.6gで
ある。
【0030】上記固形物の一部を、900℃で4時間加
熱して得られた焼成物のXRDスペクトルによる格子面
間隔値を第5表に示した。
【0031】
【表5】
【0032】上記の900℃における焼成物を、更に1
300℃で4時間加熱したものについての、元素分析結
果を酸化物のモル比で下記に示す。 ZrO/B……………………………………44.9。 Al/B……………………………14.8。 Al/(ZrO+B)………0.32。 なお、この1300℃における焼成物のXRDスペクト
ルによる格子面間隔値を第6表に示した。
【0033】
【表6】
【0034】既述の乾燥ゲルの11gを、実施例1のよ
うに水で処理したあとの濾過物の、60℃における恒量
値は7.4gである。この一部を、900℃で4時間加
熱して得られた焼成物の、XRDスペクトルによる格子
面間隔値を第7表に示した。
【0035】
【表7】
【0036】上記の900℃における焼成物を、更に1
300℃で5時間加熱して得られたものについての元素
分析結果を、酸化物のモル比で下記に示す。 ZrO/B…………………………………98.9。 Al/B…………………………56.4。 Al/(ZrO+B)……0.56。 また、この1300℃における焼成物のXRDスペクト
ルによる格子面間隔値を第8表に示した。
【0037】
【表8】
【0038】[実施例3] 製造方法はほとんど実施例
1と同じであるが、得られた組成物をボライト−Cとす
る。ボライト−Cを得るために、ジルコニウムテトライ
ソプロボキシドの15.0g及び、テトラエトキシシラ
ン〔Si(OC〕の3.2gを、それぞれ7
0℃の無水ピリジンの150gに溶解し、これに乾燥し
たホウ酸の微粉末を3.8g加える。これ以下の操作は
実施例1に準ずるが、反応系の溶媒を除いて得られる固
形物の量は約12.4gである。
【0039】上記固形物の一部を、900℃で4時間加
熱して得られた焼成物は淡灰色に着色しているが、その
XRDスペクトルによる格子面間隔値を第9表に示し
た。
【0040】
【表9】
【0041】上記の900℃における焼成物を、更に1
300℃で4時間加熱して得られた、白色の焼成物につ
いての元素分析結果を、酸化物のモル比で下記に示す。 ZrO/B………………………………30.4。 SiO/B…………………………………9.56。 SiO/(ZrO+B)…………0.31。 なお、この1300℃における焼成物のXRDスペクト
ルによる格子面間隔値を第10表に示した。
【0042】
【表10】
【0043】既述の乾燥ゲルの10gを、実施例1のよ
うに水で処理したあとの濾過物の60℃における恒量値
は6.9gである。この一部を、900℃で4時間加熱
して得られた焼成物の、XRDスペクトルによる格子面
間隔値を第11表に示した。
【0044】
【表11】
【0045】上記の900℃における焼成物を、更に1
300℃で5時間加熱して得られたものについての元素
分析結果を、酸化物のモル比で下記に示す。 ZrO/B……………………………170.5。 SiO/B………………………………72.4。 SiO/(ZrO+B)…………0.42。 また、この1300℃における焼成物のXRDスペクト
ルによる格子面間隔値を第12表に示した。
【0046】
【表12】
【0047】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような結晶性の
組成物として製造され、以下に記載されるような効果を
奏する。ジルコニアは既に触れたように、結晶構造中に
酸素イオン空格子をもつ酸化物であり、酸素イオンの導
電体となって結晶中で酸素イオンの移動が行なわれる固
体電解質である。このような固体電解質は、ことに燃焼
制御などの利用面では、数百度以上の温度においてもそ
の特性が変わることなく、高強度で均質であるものが安
価に供給されることが期待される。
【0048】一般に、ジルコニアはその固体片の相対す
る面に多孔質の電極をとりつけたとき、その両側に酸素
濃度の差があれば、高温下において一定の電圧を印加す
ると、マイナスからプラスに向かって酸素イオンの流れ
ができる。従って、もし酸素濃度差のある気体をジルコ
ニアの隔壁で遮れば、高濃度側にプラス、低濃度側にマ
イナスの電圧が発生する。この起電力と酸素分圧の関係
から気体検出センサーとしての機能が発揮される。
【0049】本発明よるボライト−Aは、ジルコニアと
して4価のジルコニウムと共に、少量の3価のホウ素を
含むが、更にその結晶中に、3価のアルミニウムを含む
結晶性の組成物であるボライト−Bは、その原子価の違
いによって酸素の空格子が更に生じ易くなるという効果
を持つ。一方、ジルコニウムと同じ4価のケイ素を導入
したボライト−Cは、通常、酸素の空格子の生成を阻害
するように作用するが、その一方では両者同じ原子価を
有し、結合エネルギーの極めて大きなSi−O結合の存
在により、高温で高強度、高じん性を有する素材たり得
る。
【0050】なお、ボライト−Aは900℃においてそ
のX線回折パターンより、単斜晶系に属する結晶性の組
成物であることがわかる。しかしボライト−B及びボラ
イト−Cは、900℃においては表7及び表11に示す
ように正方晶系の組成物であり、これは明らかにアルミ
ニウムやケイ素を導入したための効果である。一般にジ
ルコニアにおいて、正方晶系であるものは単斜晶系のも
のより、酸素分圧による起電力が広範囲にわたって勝っ
ていることが知られている。このように、本発明による
製造方法により、アルミニウムやケイ素などの他に、従
来の乾式法や湿式法では合成し得なかった、数多くの新
しい素材を創造し得ることができると共に、本発明は別
の意味で、ファイン セラミックス産業の分野に強い刺
激をもたらす効果を期待できる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項 1】 酸化物のモル比を無水式で表して下記
    の組成: (aM〜iM′):jZrO:kB (式中、M〜M′はそれぞれの原子価が1、2、3、4
    及び5である各種カチオンを示し、n及びmはこれらカ
    チオンによる酸化物がもつ化学量論的な数値、a〜iは
    〜M′の各酸化物のモル量、jおよびk
    は、それぞれZrO及びBのモル量を示す。)
    によって表される組成物。
  2. 【請求項 2】 請求項1に記載の組成式中において、
    a〜iは0から合計で500の範囲であり、jは0よリ
    大きく500を超えず、kは0よリ大きく1を超えない
    組成物。
  3. 【請求項 3】 請求項1に記載の組成式中のM〜M′
    およびジルコニウムによる各アルコキシドを20〜約1
    00℃のピリジン中に、0.1〜50重量%の濃度で溶
    かし、これに0.1〜50重量%のホウ酸を加えて生ず
    るゲルを1〜約30日間、20〜約100℃の温度で熟
    成後、ピリジンを蒸発、回収して除き得られる固形物。
  4. 【請求項 4】 請求項3に記載の固形物を、そのまま
    或いは成形したのち300℃からその融点近くまで加熱
    して得られる、固有のX線回折パターンを有する結晶性
    の組成物。
  5. 【請求項 5】 請求項3に記載の固形物を、その重量
    の10〜1000倍量の10〜100℃の水に、1時間
    〜数週間懸濁したのち瀘別し、瀘液から水溶性のホウ素
    を含む化合物がほとんど検出できなくなるまで水洗して
    得られる物質を、そのまま或いは成形したのち、300
    ℃からその融点近くまで加熱して得られる、固有のX線
    回折パターンを有する結晶性の組成物。
JP4127893A 1992-04-03 1992-04-03 ジルコニウム−ホウ素の酸化物を含む結晶性の組成物及びその製造方法 Pending JPH05286711A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US5601807A (en) * 1995-05-19 1997-02-11 Asaoka; Hisatoshi Ceramic type sunscreens
AU692694B2 (en) * 1995-05-19 1998-06-11 Hisatoshi Asaoka Ceramic type sunscreens

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