JPH0528363Y2 - - Google Patents

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JPH0528363Y2
JPH0528363Y2 JP11959986U JP11959986U JPH0528363Y2 JP H0528363 Y2 JPH0528363 Y2 JP H0528363Y2 JP 11959986 U JP11959986 U JP 11959986U JP 11959986 U JP11959986 U JP 11959986U JP H0528363 Y2 JPH0528363 Y2 JP H0528363Y2
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【考案の詳細な説明】
(産業上の利用分野) この考案は内燃機関の空燃比制御装置に関す
る。 (従来の技術) 電子制御の燃料噴射式機関はその燃料計量精度
の高さから実際に広く採用されており、噴射弁か
ら機関吸気系に供給される噴射量制御においては
機関負荷(たとえば吸入空気量Qa)と機関回転
数Nとに基づく基本的な燃料噴射量(基本パルス
幅)Tp(=K・Qa/N、ただしKは定数。)を他
の運転変数に応じて補正するようにした次式(1)を
基本として噴射量(噴射パルス幅)Tiが演算さ
れる(たとえば、1985年11月(株)鉄道日本社発行
「自動車工学」第34巻第11号第28頁等参照)。 Ti=Tp×COEF×LAMBDA+Ts …(1) ただし、COEF:各種補正係数の総和 LAMBDA:空燃比補正係数 Ts:無効パルス幅 である。 (考案が解決しようとする問題点) ところで、燃料噴射弁が機関シリンダから遠く
離れた吸気通路の集合部に1個または複数の噴射
弁が取り付けられる装置(以下「SPI装置」と称
す。)では、噴射燃料の一部が機関シリンダに達
するまでの間に吸気管や吸入ポートの内壁面に付
着し、あるいは吸入されずに吸気管内に浮遊して
いる燃料量(これら燃料量を以下「付着量」と総
称する。)が過渡時には燃料遅れとして生じ、こ
れが空燃比の制御精度に大きく影響する。 そこで、吸気系燃料の定常運転条件での付着量
(この付着量を以下「平衡付着量」と称す。)
MFHとこの平衡付着量に対して1次遅れで変化
する付着量の演算値MFとの偏差に基づいて単位
周期当たり(たとえば1噴射当たり)の付着量
(この付着量を以下「付着速度」と称す。)VMF
(=KMF×(MFH−MF))を求め、この付着速
度VMFにて供給燃料量を補正するようにした装
置を本出願人が先に提案しており、この装置によ
れば吸気系燃料の付着量と関係する要因を検出す
るのではなく、付着量そのものに基づいて補正を
行うので、空燃比に直接影響する変数を取り扱う
ことになり、従来に比べて加減速に拘わらず応答
性の良好な空燃比特性を得ることができることに
なつた。 ここに、分量割合KMFは、平衡付着量MFH
と付着量の演算値との間に偏差が生じた場合にこ
の付着量の演算値をどの程度の割合で接近させる
のかを表す値であり、そのときに要求される接近
の程度は運転状態により大きく相違する。このた
め、基本的な運転変数(機関負荷と回転数)に基
づいてKMFの値を異ならせるようにしないと運
転状態に即することにはならない。 そこで、下式(7D)により機関負荷と回転数
に応じてマツプ検索にて基本値KMFATを求め、
この基本値にさらに過渡程度などの特殊の運転条
件に適合するよう補正率(付着速度補正率
KMFVMF、回転補正率KMFN、ブースト補正
率KMFDBT)を付加することによりKMFを演
算することが考えられる。 KMF=(KMFAT+KMFVMF)×KMFN×
KMFDBT …(7D) これら補正率のうちKMFDBTは、緩加速の場
合に補正不良の傾向がみられたことに着目して導
入されたもので、ブースト圧変化量に応じた値を
与えている。これは、絞り弁開度の変化量を検出
する場合緩加速では単位周期当たりの変化量が小
さいので、検出することができず、演算値に反映
されないからである。 しかしながら、KMFDBTのマツチングに際し
ては、KMFATに対してKMFDBTを導入したと
同様の問題を招く。すなわち、理想的には様々な
負荷変化量に応じてそれぞれマツチングを行い、
KMFDBTを最適に設定すればよいのであるが、
低負荷から高負荷までの様々な負荷変化量に応じ
て設定することはマツチングの工数を増大させて
しまうので、マツチングを行うべき特定の過渡状
態を選択することになる。このため、マツチング
を行つた過渡状態に対しては最適な値を与えるも
のの、他の過渡状態においては最適値を外れて補
正過多となり、空燃比を過濃にして運転性や排気
エミツシヨンの不良を招く場合が生じ得る。たと
えば、補正量は急加速と緩加速とで相違し、さら
に急加速でも絞り弁を全開にする場合と途中まで
しか開かない場合とで相違する。特定の過渡状態
にマツチングした値をもつて総ての過渡状態をカ
バーすることは土台困難なことなのである。 この考案はこのような従来の問題点に着目して
なされたもので、過渡状態によつては分量割合
KMFが大きくなり過ぎないように制限を設ける
ようにした空燃比制御装置を提供することを目的
とする。 (問題点を解決するための手段) この考案では、第1図に示すように、運転状態
に応じた基本的な燃料噴射量Tpを演算する手段
と1、吸気系燃料の平衡付着量MFHを運転状態
に応じて演算する手段2と、この平衡付着量
MFHとこの平衡付着量MFHに対して1次遅れ
で変化する付着量の演算値MFとの偏差を演算す
る手段3と、この偏差に対して付着量が変化する
分量の割合KMFを運転状態に応じて演算する手
段4と、前記偏差(MFH−MF)と分量割合
KMFから付着速度VMF(=KMF×(MFH−
MF))を演算する手段5と、この付着速度VMF
にて前記基本噴射量Tpを補正演算する手段6と、
前記付着速度VMFを前回演算された付着量
MF-1に加算して今回の付着量MFを演算する手
段7とを備える内燃機関の空燃比制御装置におい
て、前記分量割合KMFを制限する手段8を設け
た。 なお、付着量の演算など前回の演算値に基づい
て今回の演算値を演算する場合があり、これを表
示するため、前回の値を意味する添字「−1」を
記号の後に付している。以下の説明についても同
様である。 (作用) このように構成すると、マツチングした以外の
過渡状態であつても、補正量が制限値を越えて過
多となることがないので、空燃比が過濃とならず
これにより運転性や排気エミツシヨンの不良を回
避することができる。 以下実施例を用いて説明する。 (実施例) 第2図は吸気絞り弁21の上流の吸気通路22
に全気筒分を賄う1個の燃料噴射弁24を設け
(SPI装置)、かつ装置の簡素化をねらつて機関負
荷信号として空気量ではなく、絞り弁開度α
(TVOとも称す。)を採用した機関にこの考案を
適用した場合の機械的な構成を表している。 したがつて、この例ではαとNを基本変数とし
て噴射パルス幅を制御することになる(以下これ
をα−N方式と称す。)。 このため、空気量センサは設けられておらず、
替わりに絞り弁開度センサ25が設けられてい
る。また、絞り弁21をバイパスする通路23に
は始動時の制御を高めるため並列に2個のアイド
ルアツプ用の電磁弁(SVと称す。)26,27が
設けられ、一方吸気ポートにはスワールコントロ
ールバルブ28が設けられている。 なお、機関回転数Nはデイストリビユータ31
内蔵のクランク角センサ32にて、冷却水温Tw
は水温センサ33にて、また実際の空燃比を検出
するセンサとして酸素センサ34が設けられる等
従来装置と変わるところはなく、これらクランク
角信号(基準信号と角度信号)、水温信号、実空
燃比信号は上記絞り弁開度信号とともにコントロ
ールユニツト35に入力され、該コントロールユ
ニツト35内で、これら信号に基づき最適な燃料
噴射パルス幅Tiが演算される。 次に、噴射パルス幅Tiの演算内容については、
第3図(同図A〜同図Cからなる。以下同じ。)
ないし第9図を参照しながら説明するが、ここで
は先に本考案にかかる部分を説明し、その後にシ
ステムの全体につき概説することとする。すなわ
ち、これらの図に示す制御内容は全体として1つ
の空燃比制御システムを構成するもので、これら
の内訳は、第3図が噴射パルス幅演算のメインル
ーチン、第4図ないし第7図がそれぞれメインル
ーチンにて使用される変数(過渡補正量
KATHOS、フイードバツク補正量LAMBDA、
目標空燃比TFBYA、吸気温補正係数KTA)を
求めるためのサブルーチン、第8図、第9図が第
4図において使用される分量割合KMFを求める
ためのサブルーチンである。同図の番号は処理番
号を表す。なお、このような制御はマイクロコン
ピユータにてコントロールユニツト35を構成す
ることにより容易に行なわせることが可能であ
る。この場合、各変数の演算は下表に示す制御周
期にて実行される。
【表】 さて、この考案の特徴は分量割合を制限するよ
うにした点にある。すなわち、第8図に示す分量
割合KMFの演算ルーチンにおいてステツプ142,
143を付加して設け、演算された分量割合KMFが
制限値KMFLimitを越える場合にはKMFを
KMFLimitに制限するのである。 したがつて、このように構成した場合の作用を
説明すると、マツチングした特定の過渡状態以外
の過渡状態において、そのときの過渡程度に応じ
た空燃比を付与するには大き過ぎるKMFの値が
演算されることがあつても、KMFの最大値が
KMFlimitに制限されるので(ステツプ142,
143)、目標とする空燃比を大きく外れて過濃とな
り運転性や排気エミツシヨンを不良にすることが
回避される。すなわち、そのときの過渡程度に対
して補正過多となることが明らかであるときは補
正制御する以前に中止してしまうのである。 これに対し、従来例にはKMFに制限が設けら
れていないのであるから、大き過ぎる値では補正
過多になることが分かつていても現実に運転性の
不良等を招いてしまうしかなかつたといえる。 なお、このような制限手段は結局フエイルセー
フとしての機能であるので、KMFが正常に演算
される場合に限らず、何等かの原因でKMFの演
算値が異常な値となつたときにも対処することが
できることはもち論である。 ただし、制限値KMFlimitを一定値として設定
する場合には、機関負荷や機関温度の相違するす
べての過渡状態に適合させるのが困難となるの
で、常用される運転域に対して設定するのが一般
式的である。このため、あまり使用されないよう
な運転域では、KMFの演算値がそのままその運
転域に適合しているのに、KMFlimitのために却
つて補正量が少な目に制限され、現実の状態に沿
わなくなることも有り得る。しかし、全体のバラ
ンスからすると、それほど使用されることのない
運転域において少々運転性が不良になつても、そ
れ以外の常用域をカバーして運転性を良好に保つ
ことのほうが良いのである。 しかしながら、KMFlimitは運転域に応じてそ
の最適値が本来相違するはずである。したがつ
て、総ての運転域に対して同じ程度に目標空燃比
から大きく外れることなく良好な結果を得るため
には、運転域に応じて設定することが必要とな
る。同図のステツプ141はこのために設けられて
おり、第10図に示す内容のマツプを検索するこ
とによりそのときの機関負荷(シリンダに流入す
る空気量QCYL)と機関温度(冷却水温Tw)に応
じて設定したKMFlimitの値を読み出すのであ
る。たとえば機関冷間時には噴射された燃料量の
うち付着量として奪われる分が多くなるので、そ
の分KMFlimitを大きく設定しておくと、機関シ
リンダに要求される燃料量が欠如しなくて済むこ
とになる。 次に、システムの全体を概説すると、第3図の
ルーチンは下式(4)にて最終的に噴射パルス幅Ti
の演算を行う部分で、第1図の手段1,6の機能
に相当する。 ここに、SPI装置ではシリンダに流入する空気
量QCYLと噴射弁部を通過する空気量QAINJとが必
ずしも一致せず、かつ噴射弁から噴かれた燃料が
シリンダに達するのに供給遅れをもたざるを得な
いという相違があり、このシステムではこれら2
点が考慮されている。ただし、これらはそれぞれ
につき独立して演算される(空気量については
QAINJを、燃料遅れについては過渡補正量
KATHOSを求める。)。これは、考え方を単純化
して制御誤差の対象が空気量の計量誤差であるの
か燃料遅れによるものなのかを明確にするためで
ある。これにより、設定時の精度が格段に向上す
る。さらに、設定時以降の経時変化や燃料性状の
相違にても精度低下の要因となるので、これらの
要因に対しては学習機能を付与している。 これを数式で表現すると、実効パルス幅Teは
下式(4)にて演算される(ステツプ70)。なお、無
効パルス幅をTsとしてTeとの和がTi(=Te+
Ts)となる(ステツプ69,70)。 Te=(Tp×KBLRC+KATHOS×KBTLRC)
×LAMBDA …(4) ただし、 Tp:基本パルス幅 KATHOS:過渡補正量 LAMBDA:空燃比補正係数 KBLRC:定常時学習補正係数 KBTLRC:過渡時学習補正係数 である。ここには、基本パルス幅としてTpを用
いているが、その内容はL−ジエトロニツク方式
と相違して下式(5)にて演算される。 Tp=QAINJG×TFBYA×K …(5) ただし、 QAINJG:噴射弁部空気量(mg) TFBYA:目標空燃比 K:噴射弁特性に基づく定数(ms/mg) である。 まず、噴射弁部の空気量QAINJであるが、空気
量センサを持たない本実施例ではこれを直接に求
めることは困難であるので、QCYLに基づいて求め
られる。すなわち、QAINJはQCYLとその変化量
dQCYL/dtとから次式(3) QAINJ=QCYL+c・dQCYL/dt …(3) にて近似的に求められることを考慮して、次式群
(6A)〜(6F)にて求められる。 QAINJG=QAINJC×KTA …(6A) QAINJC=QCYL×VCYL+DCM …(6B) QCYL=QH×K2+QCYL−l×(1−K2)
…(6C) QH=QHO×KFLAT …(6D) DCM=(QCYL−QCYL−l)×KMANIO×Tref
…(6E) KTA=KTAO×KTAQCYL …(6F) ただし、 QAINJG:噴射弁部空気量/シリンダ(mg) QAINJC:噴射弁部空気量/シリンダ(c.c.) QCYL:シリンダへの空気量/シリンダ容積
(%) VCYL:シリンダ容積(c.c.) DCM:マニホールド空気変化量(c.c.) KTA:吸気温補正係数(mg/c.c.) QH:平衡空気量/シリンダ容積(%) K2:QCYLの変化割合/演算 QHO1:リニヤライズ空気量/シリンダ容積
(%) KFLAT:フラツト空燃比係数(%) KMANIO:マニホールド係数 Tref:Ref信号の周期(μs) KTAO:基本吸気温補正係数(mg/c.c.) KTAQCYL:吸気温補正の負荷補正率(%) である。 これらの式群(6A)〜(6F)は、各種の補正
や規格化(シリンダ当たり、シリンダ容積当たり
等に換算している。)のために複雑になつてはい
るが、基本的には、QAINJCは定常項(QCYL×VCYL
と過渡項(DCM)との和で求められる。ただし、
この値QAINJCは体積単位であるため、吸気温度変
化により変わり得るので、KTAを補正係数とし
て質量単位に変換している(ステツプ61〜63)。 また、QCYLはK2を平滑化の定数としてQH
QCYL−lを変数、K2を重みとする重み付け平均
値にて求められる(ステツプ54〜57)。 次に、QHO,KFLAT等の変数は吸気系の流路
面積と機関回転数から求められる。これは、吸気
系より空気量センサを廃してコスト低減、メンテ
ナンスの容易化を図るようにしたためである。し
たがつて、流路面積は次式(6C),(6H)にて求
められる(ステツプ41〜52)。 AADNV=AA×Tref/VCYL …(6G) AA=ATVO+AI×AAC …(6H) ただし、 AADNV:流路面積/(回転数×シリンダ容
積)(cm2/rpm・c.c.) AA:総流路面積(cm2) ATVO:絞り弁流路面積(cm2) AI:SV26の流路面積(cm2) AAC:SV27の流路面積(cm2) である。 すなわち、そのシステムは負荷信号として絞り
弁開度TVOに基づく流路面積ATVOを採用する
ものであるが、絞り弁21をバイパスする通路2
3がある場合には、これらの面積AI,AACをも
考慮する必要があり、したがつて総流路面積AA
は絞り弁開度に基づく流路面積ATVOとバイパ
ス通路の流路面積(AIあるいはAAC)との和で
与えられている(ステツプ41〜49)。なお、これ
らSV26,27は2位置弁である。これはデユ
ーテイ制御の電磁弁を使用する替わりに4段階制
御を行わせてコスト低減を図るためである。 また、実際の制御では総流路面積AAを回転数
Nで除した値AA/N(ステツプ52においてAA×
Trefの部分が相当する。)を採用している。これ
はAAそのままであると、Nの変化に対し急変す
る領域をもつので、これをパラメータとして使用
すると、この急変領域において精度が低下する。
しかしながら、精度を高めようとたとえばマツプ
の格子点を増すことはそれだけ演算時間を長くす
ることにもなる。そこで、AA/Nを採用するこ
とにより、こうした制御上の問題を解決したもの
である。 したがつて、このAADNV(=AA×Tref/
VCYL)を用いてリニヤライズ空気量QHOが求めら
れる(ステツプ53)。なお、フラツト空燃比係数
KFLATはQHO,Nをパラメータとしてマツプか
ら、絞り弁流路面積ATVOはTVOをパラメータ
としてテーブルから求められる(ステツプ54,
42)。 また、基本吸気温補正係数KTAOと吸気温の
負荷補正率KTAQCYLについても、それぞれ吸気
温TA,QCYLをパラメータとして検索され、これ
らの積にて吸気温補正係数KTAが求められてい
る(第7図のステツプ81〜83)。 以上の演算により噴射弁部の空気量QAINJが求
められたので、次には過渡時に生じる燃料遅れに
関する補正量を求めることである。この補正量が
ステツプ66にて使用されるKATHOSであり、具
体的には第4図に示すルーチンにて演算される。 この例では、吸気系燃料の平衡付着量MFHと
この平衡付着量に対し1次遅れで変化する付着量
の演算値との偏差に基づいて求める。これを数式
で表すと次式群(7A)〜(7E)にて与えられる。 KATHOS=VMF×GHF …(7A) VMF=(MFH−MF-1)×KMF …(7B) MF=MF-1+VMF …(7C) KMF=(KMFAT+KMFVMF)×KMFN×
KMFDBT …(7D) GHF=GHFQCYL×GHFFBYA …(7E) ただし、 KATHOS:過渡補正量(μs) VMF:付着速度(μs/噴射) MFH:平衡付着量(μs) MF:付着量(μs) KMF:分量割合(%) KMFAT:基本分量割合(%) KMFVMF:分量割合の付着速度補正率(%) KMFN:分量割合の回転補正率(%) KMFDBT:分量割合のブースト補正率(%) GHF:補正率(%) GHFQCYL:減速補正率(%) GHFFBYA:空燃比補正率(%) である。 すなわち、付着速度VMFは平衡付着量MFH
とこの平衡付着量に対し1次遅れで変化する付着
量(MF)との偏差(MFH−MF)にこの演算値
が単位周期当たりにどの程度の割合で接近させる
かを表す係数KMFを乗算することにより求めら
れる(ステツプ103)。 ここに、平衡付着量MFHは噴射弁部を通過す
る空気量QAINJ、機関回転数N、水冷水温Twに基
づき、3次元マツプの検索と直線近似の補間計算
との組み合わせにより演算される。すなわち、実
際に冷却水温Twが採りうる温度変化幅の範囲内
で予め設定された異なる6個の基準温度Tw0
Tw5(Tw0>…>Tw5)毎にQAINJとNをパラメータ
として基準温度Twn(n=0〜5)における平衡
付着量MFHTwnを付与する都合6個の平衡付着
量データを実測にて用意する。そして、実水温
Twの上下の基準温度Twn,Twn+lにおける
平衡付着量MFHTwn,MFHTwn+lを用い、
Tw,Twn,Twn+lによる補間計算にてMFH
を最終的に求めるのである(ステツプ101)。 なお、3次元マツプと補間計算による手法では
高い精度を得ることができるが、精度は程々にし
ても演算速度を高めたい場合には2つのテーブル
を用いて求める手法もあり、これを次式(7F)
に示す。 MFHTwn=MFHQn×MFHNn …(7F) ただし、MFHQn:QAINJに基づく係数 MFHNn:Nに基づく係数 であり、MFHQnはQAINJをMFHNnはNをパラ
メータとしてそれぞれテーブル検索により求めら
れる。 なお、Tw>Tw0のとき、およびTw<Twnの
ときは補間計算を行うことができないので、
MFH=MFHTw0とする。また、燃料カツト中
はMFH=FCMFH(一定値)とする。 一方、今回演算される付着量MFは前回演算さ
れた付着量MF−lに今回求めた付着速度VMF
を加算した値である(ステツプ104)。 次に、分量割合KMFは一定値でもよいが、こ
の例ではAADNV,Twをパラメータとしてマツ
プ検索により基本値KMFATを求め、さらに
VMF,N,ブースト圧変化量の積算値DBOST
に基づく補正を行つている。すなわち、基本値
KMFATに対する補正係数が3つの係数
KMFVMF,KMFN,KMFDBTであり、これ
らは過渡初期における空燃比がフラツトな特性と
なるように導入される(第8図、第9図)。 まず、KMFDBTは過渡程度の相違に基づくも
のである。たとえば、運転変化量が微少である場
合にはこれを検出することができないが、微少変
化であつても変化に代わりはなく、微少変化量も
積もればやがてはKMFに対する誤差を生じさせ
る。そこで、微少変化量でも積もる場合があるこ
とを考慮し、微少変化量の積算値に対する補正率
を導入している。 すなわち、ブースト圧BOOSTに基づきその変
化量を演算する(第8図のステツプ135)。 (i) DBOST=DBOST-l +(BOOST−BOOSTO) …(7G) ただし、 BOOST:今回演算時のブースト圧 BOOSTO:前回演算時のブースト圧 である。ここに、式(7G)の第2項が刻々の微
少変化量であり、これが順次加算されていくので
ある。このため、今回演算された積算値
(DBOST)を次回演算時のため前回演算された
積算値(DBOST−l)として格納する。 そして、この積算値DBOSTが基準値(判定レ
ベルLHDBT)以上に積もれば評価の対象とし
て、積算値DBOSTに基づきブースト補正率
KMFDBTを求める(ステツプ137,138)。具体
的な求め方としてはDBOSTをパラメータとする
テーブル検索によればよい。 なお、加速と減速とでKMFDBTの値を相違さ
せ、加速の場合の値を大きくすることにより加速
性を向上することができる。 これで、補正率KMFDBTが求まつたので、こ
の補正率KMFDBTに基づき基本分量割合
KMFATを補正する(ステツプ140)。 KMF=KMFAT(%)×KMFDBT(%)
…(7D−A) 次に、DBOSTは積算値となるので、そのまま
では制御毎に段々と大きくなるばかりで扱い辛く
なる。要は積算値を得ることが目的ではなく、基
準となる期間を設け、この間における積算値を基
準期間との関係で評価することである。したがつ
て、データとして古くなつた積算値は処分しなけ
ればならない。そこで、基準信号(Ref信号)に
同期してDBOSTを徐々に減衰させる(第9図の
ステツプ151〜153)。 (ii) 加速(DBOST≧0)の場合 DBOST=DBOST-1×TGEN …(7H) (iii) 減速(DBOST<0)の場合 DBOST=DBOST-1×TGENG …(7I) ただし、TGEN:加速時の減衰係数(定数) TGENG:減速時の減衰係数(定数) である。ここに、上式()〜()の相互の関
係は式()が初回に演算される値、式()、
()がその後に演算される値である。この結果
DBOSTは微少変化量が積算されつつ所定周期毎
に減衰される値となる。 なお、この例では実際にブースト圧を検出する
センサを持たないので、ブースト圧BOOSTは
AADNV(吸気系の総流路面積AAを機関回転数
Nで除した値に相当する量)をパラメータとする
テーブル検索にて求めるものである。この意味で
この例のBOOSTは厳密にはブースト圧相当量で
ある。 また、補正の対象とされる基本分量割合
KMFATは、運転状態の代表値としての
AADNVと冷却水温Twをパラメータとしてマツ
プ検索にて求められる(ステツプ131)。 このようにして演算されるKMFDBTを用いる
と、運転変化量が微少で無視し得る間はよいので
あるが、微少変化量でも現実には補正不足や過剰
を生じさせるので、微少変化であつても補正のパ
ラメータとして取り込むことにより、補正精度が
不良となることがないようにされる。したがつ
て、緩加速においても補正精度が向上するので、
急加速と緩加速の両立性を図ることができる。 また、KMFNの導入により、KMFを低回転域
においてマツチングを行つた場合に高回転域にお
いて時間が長くなると、KMFが要求よりも大き
くなり補正過多の傾向がみられる等の回転数の相
違に基づく誤差を無くすことができ、低回転と高
回転の両立をも図ることができる。 次に、この例ではさらに付着速度VMF、機関
回転数Nに基づいても基本分量割合KMFATを
補正する(ステツプ132,133,140)。 KMF=(KMFAT+KMFVMF)×KMFN×
KMFDBT …(7D) ただし、KMFVMF:付着速度補正率(%) KMFN:回転補正率(%) である。なお、KMFVMFはVMF−lをKMFN
はNをそれぞれパラメータとしてデーブル検索に
て求められる。 基本分量割合KMFATはもともと長周期成分
の補正分という意味合いを持つが、それでも回転
数Nに応じて誤差を生じてくる。これを解消する
ために導入されたのがNに基づく補正率KMFN
である。なお、KMFNも長周期成分の補正分で
ある。 また、低温時の過渡時においては付着量が不活
発であるため、過渡初期に補正不足となる傾向が
生じる。これを解消するのがVMFに基づく補正
率KMFVMFであり、過渡開始より数秒間の補正
不足を補うことができる。 そして、演算された分量割合KMFは、さらに
制限値KMFlimitを越えることがないように制限
される(ステツプ141〜143)。ここに制限手段を
設けた点がこの考案の要部であり、前述した処で
ある。したがつて、ステツプ142,143が第1図の
手段8の機能を構成するものである。 次に、補正率GHFは燃料性状の相違等の考慮
する値である。これは発揮性の高い燃料にあつて
は、減速時の吸入負圧の発達により急速に気化し
て機関シリンダへと吸入されてしまうため、揮発
性の低い燃料と比較してその分付着量が少なくな
る。このため、減速時にはそれだけ付着量を少な
く見積もる必要があり、逆に補正係数
(GHFQCYL)としては少ない値を付与すればよい
ことになる。すなわち、加速時(VMFが正の場
合)は補正を行わないが(GHFQCYL=1.0)、減速
時(VMFが負の場合)には1以下の数値を採用
するのである。なお、目標空燃比TFBYAに応じ
ても補正するようにしてあり、減速補正率
GHFQCYLはQCYLを、空燃比補正率GHFFBYAは
TFBYAをパラメータとしてテーブル検索にて求
められる。 このようにして求めたVMFとGHFを用いて最
終的に過渡補正量KATHOSが求められる(ステ
ツプ106)。 次に、第3図Cのステツプ68,64で使用される
空燃比補正係数LAMBDA、目標空燃比TFBYA
は従来例でも演算されているところであり、その
ルーチンがそれぞれ第5図、第6図である。 すなわち、LAMBDAは空燃比のフイードバツ
ク制御における補正係数である。第5図はPID制
御の例であり、実空燃比(具体的には酸素センサ
出力Ip)と空燃比の目標値(具体的には目標値の
センサ出力相当量TIP)との偏差ERに基づいて得
られる比例分(P)、積分分(I)、微分分(D)
を加算する次式(8A)〜(8D)にてLAMBDA
が求められる(ステツプ111〜118)。 LAMBDA=P+I+D …(8A) P=Kp・ER …(8B) I=I-1+kI・ER …(8C) D=KD・(ER−ER-1)…(8D) ただし、Kp:比例ゲイン KI:積分ゲイン KD:微分ゲイン である。 なお、偏差ERは下式(8E)で与えられる(ス
テツプ114)。 ER=Ip−TIP−(n+1) …(8E) ここに、同式(8E)の第2項は(n+1)回
前に(ただし、nは気筒数である。)Ref信号が
入力したときのセンサ出力Ipを示す。これは吸気
系にて設定した空燃比の結果が排気系に設けたセ
ンサ34に検出されるまでに時間的遅れがあり、
これを考慮したものである。 また、目標空燃比TFBYAはTw,QCYL,Nを
パラメータとして演算される(第6図のステツプ
91〜95)。なお、同図のステツプ95はTFBYAに
上限値と下限値とを設けたもので、フエイルセー
フとしての機能を付与したものである。 次に、第3図Cのステツプ65,67で使用される
学習補正係数KBLRC,KBTLRCであるが、こ
の例では、空気量(QAINJ)と燃料遅れ補正量
(KATHOS)とを分離して求めるようにしたの
に伴い、学習補正についてもそれぞれに分離して
独立に行うことにしている。すなわち、定常時の
学習補正係数KBLRCについては空燃比補正係数
LAMBDAの演算ルーチンにて、過渡時の学習補
正係数KBTLRCについては過渡補正量
KATHOSの演算ルーチンにて演算される(第5
図のステツプ119,120、第4図のステツプ107〜
110)。 学習補正は、基本的には目標値との偏差に基づ
く制御量を予め加えておくことにより次回の演算
時に偏差が生じないようにするものであり、
KBLRCはLAMBDAに、KBTLRCはこの
LAMBDAとさらに実空燃比AFBYAと目標空燃
比TFBYAの偏差Bとに基づいて演算される(ス
テツプ119,120,107〜110)。 なお、付着速度VMFと基準値L1との比較によ
り定常時(VMF<L1)であるのか過渡時
(VMF≧L1)であるのかを判別し、KBLRCにつ
いては定常時にのみ、KBTLRCについては過渡
時にのみ学習が行なわれるようにしている(ステ
ツプ119,107)。 (考案の効果) 以上説明したように、この考案では運転状態に
応じて演算される分量割合を制限するようにした
ので、マツチングに使用した以外の過渡状態にな
つても、分量割合に基づく過渡補正量が制限値を
越えてまで過多とならず、これにより過濃な空燃
比となることを防止して運転性や排気エミツシヨ
ンの不良を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの考案の概念構成図、第2図はSPI
装置に適用したこの考案の一実施例の機械的な構
成を表す概略図、第3図ないし第9図は第2図中
のコントロールユニツト内で実行される動作内容
を説明する流れ図、第10図はこの実施例の制限
値KMFlimitの内容を説明する線図である。 1……基本噴射量演算手段、2……平衡付着量
演算手段、3……偏差演算手段、4……分量割合
演算手段、5……付着速度演算手段、6……噴射
量補正演算手段、7……付着量演算手段、8……
制限手段、21……吸気絞り弁、22……吸気通
路、23……バイパス通路、24……燃料噴射
弁、25……絞り弁開度センサ、34……酸素セ
ンサ(空燃比センサ)、35……コントロールユ
ニツト。

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 運転状態に応じた基本的な燃料噴射量を演算す
    る手段と、吸気系燃料の平衡付着量を運転状態に
    応じて演算する手段と、この平衡付着量とこの平
    衡付着量に対して1次遅れで変化する付着量の演
    算値との偏差を演算する手段と、この偏差に対し
    て付着量が変化する分量の割合を運転状態に応じ
    て演算する手段と、前記偏差と分量割合から付着
    速度を演算する手段と、この付着速度にて前記基
    本噴射量を補正演算する手段と、前記付着速度を
    前回演算された付着量に加算して今回の付着量を
    演算する手段とを備える内燃機関の空燃比制御装
    置において、前記分量割合を制限する手段を設け
    たことを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
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