JPH0528172A - 適正在庫量算出装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 発注点管理方式において、過剰在庫や品切れ
等の発生がなく、しかも在庫量を極小化する発注点在庫
量と補充点在庫量の設定が可能な適正在庫量算出装置を
提供する。 【構成】 品目別販売計画データ及び年間生産回数デー
タを入力とし、初期設定として全品目に生産回数１回を
割り当て、次に各品目毎に生産割り当て回数を１回増加
し、その１回増加した品目のランニング在庫量の変化に
基づき、最も在庫削減効果の高い品目に生産回数２回を
割り当てるといった操作を年間生産回数データで示され
る回数となるまで繰り返し行うことによって各品目毎の
年間生産回数を算出する年間生産回数算出部１１と、算
出された各品目毎の年間生産回数に基づいて、各品目毎
に、生産発注時の在庫量を示す発注点在庫量と、在庫量
の上限を示す補充点在庫量とを算出する在庫量算出部１
２とを備えた構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、見込み製品の在庫管理
方法の一つである発注点管理方法において、在庫量を極
小化するための適正在庫量算出装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】出荷変動の大きい製品を生産する場合、
突然に大量のオーダがあっても即納できるように、ある
程度の在庫を持つ必要がある。そのため、従来は発注点
管理方式によって製品を生産し、常に安全在庫（突然の
オーダがあっても品切れを起こさない在庫量）を持つよ
うにしていた。

【０００３】すなわち、発注点管理方式とは、在庫量が
発注点として予め設定された発注点在庫量を切ったと
き、予め設定された限界在庫量（補充点在庫量）を越え
ない範囲内の適当量を生産するといった方式のものであ
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ここで、発注点在庫量
及び補充点在庫量の設定は、各品目毎の販売計画量や全
品目の年間生産回数の合計等に基づいて、作業者が長年
の経験と勘とによって行っていた。

【０００５】そのため、設定された発注点在庫量と補充
点在庫量とは必ずしも最適な量とはいえず、ときとして
過剰在庫を抱えてしまったり、また品切れが発生したり
するといった不具合が発生していた。

【０００６】本発明はかかる実情に鑑みてなされたもの
で、その目的は、発注点管理方式において、過剰在庫や
品切れ等の発生がなく、しかも在庫量を極小化する発注
点在庫量と補充点在庫量の設定が可能な適正在庫量算出
装置を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の適正在庫量算出装置は、品目毎の前年度の
販売実績に基づく今年度の販売計画量を品目別販売計画
データとし、全品目の年間生産回数の合計を年間生産回
数データとするとき、前記品目別販売計画データ及び前
記年間生産回数データを入力とし、初期設定として全品
目に生産回数１回を割り当て、次に各品目毎に生産割り
当て回数を１回増加し、その１回増加した品目のランニ
ング在庫量の変化を前記品目別販売計画データに基づい
て算出し、最も在庫削減効果の高い品目に生産回数２回
を割り当てるといった操作を前記年間生産回数データで
示される回数となるまで繰り返し行うことによって各品
目毎の年間生産回数を算出する年間生産回数算出手段
と、この年間生産回数算出手段によって算出された各品
目毎の年間生産回数に基づいて、各品目毎に、生産発注
時の在庫量を示す発注点在庫量と、在庫量の上限を示す
補充点在庫量とを算出する在庫量算出手段とを備えた構
成とする。

【０００８】

【作用】品目毎の前年度の販売実績に基づく今年度の販
売計画量を品目別販売計画データとし、全品目の年間生
産回数の合計を年間生産回数データとすると、年間生産
回数算出手段では、この品目別販売計画データと年間生
産回数データとを入力とする。

【０００９】そして、初期設定として全品目に生産回数
１回を割り当て、次に各品目毎に生産割り当て回数を１
回増加し、その１回増加した品目のランニング在庫量の
変化を品目別販売計画データに基づいて算出する。

【００１０】ここで、ランニング在庫量は、在庫として
持つことが可能な最大量である上限在庫量と安全在庫量
との平均値であり、具体的には、各品目の生産割り当て
回数をｉとすると、その品目の販売計画量を（２×ｉ）
で割った値である。

【００１１】そして、このようにして各品目毎のランニ
ング在庫量の変化を算出し、最も在庫削減効果の大きい
品目（すなわち、前回のランニング在庫量と今回のラン
ニング在庫量との差が一番大きい品目）に生産回数２回
を割り当てる。

【００１２】年間生産回数算出手段では、上記した生産
回数の割り当て処理を年間生産回数データで示される回
数となるまで繰り返し行う。例えば、年間生産回数デー
タで示される回数が１０回であったとすると、各品目毎
の生産回数の合計が１０回となるまで、上記割り当て処
理を行う。これにより、各品目毎の年間生産回数が算出
される。

【００１３】在庫量算出手段では、この年間生産回数算
出手段によって算出された各品目毎の年間生産回数に基
づいて、各品目毎に、生産発注時の在庫量を示す発注点
在庫量と、在庫量の上限を示す補充点在庫量とを、ある
一定の式を用いて算出する。

【００１４】このようにして算出された発注点在庫量と
補充点在庫量とは、過剰在庫や品切れ等の発生がなく、
しかも各品目毎に在庫量が極小化された適正な値となっ
ている。

【００１５】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照して説
明する。

【００１６】図１は、本発明の適正在庫量算出装置の電
気的構成を示すブロック図である。

【００１７】同図において、品目毎の年間生産回数（す
なわち、年間段取り回数）の算出を行う年間生産回数算
出部１１には、品目毎の前年度の販売実績に基づいて作
成された今年度の販売計画量を示す品目別販売計画デー
タと、全品目の年間生産回数の合計を示す年間生産回数
データとが導かれており、年間生産回数算出部１１の出
力は、在庫量算出部１２に与えられている。

【００１８】在庫量算出部１２は、年間生産回数算出部
１１によって算出された各品目毎の年間生産回数に基づ
いて、各品目毎に、生産発注時の在庫量を示す発注点在
庫量と、在庫量の上限を示す補充点在庫量とを算出する
ブロックであって、その算出結果は出力部１３に導かれ
た構成となっている。

【００１９】上記構成において、年間生産回数算出部１
１及び在庫量算出部１２は、マイクロコンピュータ上で
動作するソフトウエアを含む構成となっている。また、
出力部１３にＣＲＴ等の表示装置が接続されている場合
には、在庫量算出部１２での算出結果が表やグラフとし
て画面表示され、プリンタ等の印字装置が接続されてい
る場合には、在庫量算出部１２での算出結果が記録紙上
に印字されるようになっている。

【００２０】次に、上記構成の適正在庫量算出装置の動
作を、図２に示すフローチャートを参照して説明する。
ただし、図２は年間生産回数算出部１１の動作を示すフ
ローチャートである。

【００２１】年間生産回数算出部１１は、品目別販売計
画データと年間生産回数データ（本実施例では、これを
１０回とする）とを入力として、まず全品目に生産回数
１回を割り当てる（ステップＳ１）。ここで、全品目を
Ａ〜Ｄの４品目とすると、この時点での生産割り当て回
数は４回となる。

【００２２】次に、各品目Ａ〜Ｄ毎に生産回数を１回増
加し（ステップＳ２）、その１回増加した品目のランニ
ング在庫量Ｒ（２）を品目別販売計画データに基づいて
算出する（ステップＳ３）。

【００２３】すなわち、年間生産回数算出部１１では、
図３に示す割り当て表のようにして各品目Ａ〜Ｄ毎に生
産回数２回を割り当てて行き、そのときの各品目Ａ〜Ｄ
のランニング在庫量Ｒ（２）を算出する。

【００２４】ここで、各品目Ａ〜Ｄのランニング在庫量
Ｒ（ｉ）は、

【００２５】

【数１】Ｒ（ｉ）＝各品目の販売計画量／（２×ｉ） によって求めることができる。

【００２６】この後、年間生産回数算出部１１では、上
記数１によって求めた各品目Ａ〜Ｄのランニング在庫量
Ｒ（２）から、ステップＳ１で設定した生産回数１回の
ときの各品目Ａ〜Ｄのランニング在庫量Ｒ（１）をそれ
ぞれ引くことによって、その差の最も大きな品目（すな
わち、在庫削減効果の最も大きな品目）を求める（ステ
ップＳ４）。そして、その求めた品目（例えば、品目
Ａ）の生産回数を２回とし、その他の品目Ｂ〜Ｄの生産
回数をそれぞれ１回とする（ステップＳ５）。

【００２７】また、年間生産回数算出部１１では、ステ
ップＳ１で初期設定した生産割り当て回数Ｎ（＝４）
に、今回品目Ａに割り当てた１回を加算して、新たな生
産割り当て回数Ｎ（＝５）とする（ステップＳ６）。そ
して、この新たな生産割り当て回数Ｎと、予め設定され
た年間生産回数データ（１０回）との比較を行い（ステ
ップＳ７）、Ｎ≠１０であれば再びステップＳ２に戻
り、ステップＳ２〜ステップＳ６の動作を繰り返す。

【００２８】すなわち、年間生産回数算出部１１では、
図４に示す割り当て表のようにして品目Ａに生産回数３
回、その他の品目Ｂ〜Ｄにそれぞれ生産回数２回を割り
当てて行き、そのときの品目Ａのランニング在庫量Ｒ
（３）及び各品目Ｂ〜Ｄのランニング在庫量Ｒ（２）を
上記数１によってそれぞれ算出する（ステップＳ３）。

【００２９】この後、求めた品目Ａのランニング在庫量
Ｒ（３）及び各品目Ｂ〜Ｄのランニング在庫量Ｒ（２）
から、前回の品目Ａのランニング在庫量Ｒ（２）及び各
品目Ｂ〜Ｄのランニング在庫量Ｒ（２）をそれぞれ引く
ことによって、その差の最も大きな品目を求める（ステ
ップＳ４）。そして、その求めた品目（例えば、品目
Ｂ）の生産回数を２回とし、その他の品目Ａの生産回数
を２回、各品目Ｃ，Ｄの生産回数をそれぞれ１回とする
（ステップＳ５）。

【００３０】また、前回更新した生産割り当て回数Ｎ
（＝５）に、今回品目Ｂに割り当てた１回を加算して、
新たな生産割り当て回数Ｎ（＝６）とし（ステップＳ
６）、この新たな生産割り当て回数Ｎと、予め設定され
た年間生産回数データ（１０回）との比較を行い（ステ
ップＳ７）、Ｎ≠１０であれば再びステップＳ２に戻
る。

【００３１】年間生産回数算出部１１では、このような
動作を、ステップＳ７においてＮ＝１０となるまで繰り
返し行うことによって、年間生産回数である１０回を、
全ての品目Ａ〜Ｄに適正に割り当てる。そして、年間生
産回数である１０回を全ての品目Ａ〜Ｄに割り当てる
と、各品目Ａ〜Ｄ毎の生産回数データを在庫量算出部１
２に出力する（ステップＳ８）。

【００３２】在庫量算出部１２では、生産回数算出部１
１によって決定された各品目Ａ〜Ｄの割り当て回数に基
づき、以下の処理によって発注点在庫量（ＭＡＸ）と補
充点在庫量（ＲＯＰ）とを算出する。

【００３３】各品目Ａ〜Ｄの在庫量の変化は、一般的に
図５に示すグラフのようになる。ここで、ＬＴは生産リ
ードタイムであって、在庫が発注点を下回った時点（す
なわち、生産要求が出力された時点）から実際に在庫が
補充されるまでの期間のことであり、この期間は生産設
備の能力等により予め決定されている。

【００３４】そのため、各品目Ａ〜Ｄの発注点在庫量
（ＭＡＸ）、補充点在庫量（ＲＯＰ）、生産リードタイ
ム（ＬＴ）、生産割り当て回数ｎの関係は、下式によっ
て表される。

【００３５】

【数２】ｎ＝１２／（ＭＡＸ−ＲＯＰ＋ＬＴ） ここで、分母の１２は１２カ月の意味であり、これは図
５に示すグラフの縦軸が在庫月数で表されているためで
ある。

【００３６】上式をＭＡＸ−ＲＯＰ＝の形に変形する
と、

【００３７】

【数３】ＭＡＸ−ＲＯＰ＝〔１２−（ＬＴ×ｎ）〕／ｎ となる。

【００３８】ここで、ＲＯＰは下式によって算出でき
る。

【００３９】

【数４】ＲＯＰ＝ＬＴ期間中の平均出荷量＋安全在庫量 また、安全在庫量は下式によって算出できる。

【００４０】

【数５】安全在庫＝安全係数×月間の出荷の標準偏差×
ＬＴ／月＋季節変動用在庫 上式にいう季節変動用在庫とは、生産能力を越える販売
のバラツキを緩衝するための在庫であり、例えば図６に
示すように、生産能力を年間平均販売量（／日）とする
と、各月の１日当たりの生産負荷（各月の販売高／操業
日数）のバラツキに対して年間を通じて在庫がマイナス
にならないために抱えておかなければならない在庫のこ
とをいう。図６において、実線は１日当たりの生産負
荷、破線は平均生産能力、一点鎖線は季節変動用在庫を
それぞれ示している。

【００４１】すなわち、在庫量算出部１２は、上記した
数４に示す式から各品目Ａ〜Ｄの発注点在庫量（ＲＯ
Ｐ）を算出し、その結果を上記した数３に示す式に代入
することによって各品目Ａ〜Ｄの補充点在庫量（ＭＡ
Ｘ）を算出する。

【００４２】そして、これらの算出結果を出力部１３に
送出し、出力部１３は、例えばＣＲＴ等の表示装置が接
続されている場合にはその画面上に図７に示すようなグ
ラフを表示する。

【００４３】図７は、横軸に品番を縦軸に在庫月数をと
っている。ただし、このグラフでは、品番は上記実施例
で使用したＡ〜Ｄではなく、１から連続する６５１まで
の数字で表されている。

【００４４】また、出力部１３では、年間生産回数算出
部１１によって算出された各品目の生産割り当て回数も
表示するようになっており、その一例を図８に示す。

【００４５】すなわち、年間生産回数算出部１１での算
出処理の結果、原則的には販売量の多いものほど生産回
数（すなわち、段取り回数）を多くすればよいことが分
かる。ただし、このグラフでも、品番は上記実施例で使
用したＡ〜Ｄではなく、１から連続する６５１までの数
字で表されている。

【００４６】

【発明の効果】本発明の適正在庫量算出装置は、生産割
り当て回数を１回増加することによるランニング在庫量
の変化に基づき、最も在庫削減効果の大きい品目に生産
回数を順次割り当てて各品目毎の年間生産回数を算出
し、この算出した各品目毎の年間生産回数に基づいて、
各品目毎に、生産発注時の在庫量を示す発注点在庫量
と、在庫量の上限を示す補充点在庫量とを算出するよう
に構成したので、過剰在庫や品切れ等の発生がなく、し
かも在庫量を極小化する発注点在庫量と補充点在庫量の
設定が作業者の経験や勘に頼ることなく正確に行えると
いった効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の適正在庫量算出装置の電気的構成を示
すブロック図である。

【図２】年間生産回数算出部の動作を説明するフローチ
ャートである。

【図３】生産回数の割り当て方法を説明する図である。

【図４】生産回数の割り当て方法を説明する図である。

【図５】各品目の一般的な在庫量の変化を示すグラフで
ある。

【図６】季節変動用在庫を説明するためのグラフであ
る。

【図７】在庫量算出部での算出結果の一例を示すグラフ
である。

【図８】年間生産回数算出部での生産割り当て回数の算
出結果の一例を示すグラフである。

【符号の説明】

１１ 年間生産回数算出部 １２ 在庫量算出部 １３ 出力部

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】 品目毎の前年度の販売実績に基づく今年
   度の販売計画量を品目別販売計画データとし、全品目の
   年間生産回数の合計を年間生産回数データとするとき、 前記品目別販売計画データ及び前記年間生産回数データ
   を入力とし、初期設定として全品目に生産回数１回を割
   り当て、次に各品目毎に生産割り当て回数を１回増加
   し、その１回増加した品目のランニング在庫量の変化を
   前記品目別販売計画データに基づいて算出し、最も在庫
   削減効果の大きい品目に生産回数２回を割り当てるとい
   った操作を前記年間生産回数データで示される回数とな
   るまで繰り返し行うことによって各品目毎の年間生産回
   数を算出する年間生産回数算出手段と、 この年間生産回数算出手段によって算出された各品目毎
   の年間生産回数に基づいて、各品目毎に、生産発注時の
   在庫量を示す発注点在庫量と、在庫量の上限を示す補充
   点在庫量とを算出する在庫量算出手段とを備えたことを
   特徴とする適正在庫量算出装置。