JPH05280551A - フレキシブルカップリング - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 入出力軸間の十分な磁気摩擦力が得られ、入
出力軸間に過負荷による滑りが生じた場合に、スムーズ
な相対回転を許して摩耗、破壊、過熱等の不都合を生じ
ないフレキシブルカップリングを提供する。 【構成】 鋼製の円盤２，４を相対向させて入力軸１と
出力軸３とを軸受けする。円盤２，４の対向面中央に、
球面凹所２ａ，４ａを形成する。円盤２の対向面側に、
永久磁石リング７を固定し、その中央のボール保持孔７
ａに、鋼ボール５を転動可能に挿入する。鋼ボール５の
一端側を円盤２の球面凹所２ａに、また他端側を円盤４
の球面凹所４ａに夫々受け入れる。円盤４と永久磁石リ
ング７との間に、小間隙Ｇを形成する。円盤２ − 鋼ボ
ール５ − 円盤４とつながる磁路を形成し、円盤２の回
転を円盤４に伝える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、過剰な負荷トルクが加
わると空転して駆動装置等の保護を図ることができる磁
気摩擦力を用いたフレキシブルカップリングに関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】従来、磁気摩擦力を用いたフレキシブル
カップリングとして、例えば特開平２−３５２２５号の
公報に記載されたものが知られている。このカップリン
グは、互いに端部の非磁性の円盤を相対向させて軸受さ
れた入力軸と出力軸の円盤の対向面側に、相対向して互
いに吸着しあうように複数の永久磁石を埋め込み、これ
ら永久磁石の磁気摩擦力により、入力軸の回転を出力軸
に伝えるようにしたものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来のフレキシブ
ルカップリングにおいては、単純に永久磁石を対向密着
させたものであって、十分な磁気吸着力が得られない
し、永久磁石が密着しているので、入力軸と出力軸との
間に過負荷による滑りが生じた場合に、永久磁石同士が
摩擦して摩耗、破壊しやすいし、不安定な相対回転が生
じたり、過熱のおそれもある。従って、本発明は、入出
力軸間の十分な磁気摩擦力が得られ、入出力軸間に過負
荷による滑りが生じた場合に、スムーズに相対回転して
摩耗、破壊、過熱等の不都合を生じるおそれのないフレ
キシブルカップリングを提供することを課題としてい
る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明においては、上記
課題を解決するため、互いに端部の鋼製の円盤２，４を
相対向させて軸受された入力軸１と出力軸３の何れか一
方の円盤２の対向面側に、中心に円孔７ａを有する永久
磁石リング７を固定すると共に、この永久磁石リング７
の円孔７ａ内に、鋼ボール５を転動自在に挿入し、この
鋼ボール５は、一端において一方の円盤２の球面凹所２
ａに接触させ、他端において他方の円盤４の球面凹所４
ａに接触させ、かつ他方の円盤４と永久磁石リング７と
の間に小間隙Ｇを形成し、一方の円盤２ − 鋼ボール５
− 他方の円盤４とつながる磁路を形成してフレキシブ
ルカップリングを構成した。

【０００５】

【作用】本発明のフレキシブルカップリングにおいて
は、永久磁石リング７が直接円盤４に接触しておらず、
一方の円盤２ − 鋼ボール５ − 他方の円盤４とつなが
る磁路を形成する。両円盤２，４は、永久磁石リング７
の磁力により互いに吸着されて強固に鋼ボール５を挟
む。一方の円盤２を軸１と共に回転させると、円盤２，
４と鋼ボール５との間の磁気摩擦力により、鋼ボール５
は回転せず、他方の円盤４は、鋼ボール５に吸着されて
軸３と共に回転する。円盤２，４と鋼ボール５との間の
所定の磁気摩擦力より大きなトルクが加わると、鋼ボー
ル５は回転してスムーズに両円盤２，４間の相対回転を
許容する。両円盤２，４間の相対回転による永久磁石リ
ング７等の部材の破損、摩耗はほとんどなく、発熱のお
それもない。

【０００６】

【実施例】図面を参照して本発明の一実施例を説明す
る。図１は本発明に係るフレキシブルカップリングの正
面図、図２は図１におけるII−II断面図である。

【０００７】図において、１は入力軸、３は出力軸であ
り、夫々ベアリング８，９によって、軸心を一致させ、
端部を対向させて支承されている。入力軸１と、出力軸
３は、互いに接近する方向に移動することができるよう
に、ベアリング８，９によって支持されている。入力軸
１の対向端部には、鋼製の駆動円盤２が、また出力軸３
の対向端部には、従動円盤４が夫々固着されている。円
盤２，４は互いに平行に相互間隔をおいて対向してお
り、夫々対向面の中央に、鋼ボール５を受け入れる球面
凹所２ａ，４ａを備えている。

【０００８】入力軸１の駆動円盤２の対向面側には、永
久磁石リング７が、その中心を入力軸１の中心に一致さ
せて固着されている。この永久磁石リング７は、中央に
鋼ボール５を転動可能に受け入れるボール保持孔７ａを
有し、軸線方向に磁極を有する。このボール保持孔７ａ
には、鋼ボール５が転動自在に挿入されている。この鋼
ボール５は、一端側において駆動円盤２の球面凹所２ａ
内に受け入れられ、他端側において従動円盤４の球面凹
所４ａ内に受け入れられており、かつ他端側が永久磁石
リング７からわずかに突出している。従って、従動円盤
４と永久磁石リング７との間に小間隙Ｇが形成される。
しかして、駆動円盤２ − 鋼ボール５− 従動円盤４と
つながる磁路が形成される。

【０００９】この実施例のフレキシブルカップリングに
おいては、永久磁石リング７が直接従動円盤４に接触し
ていないが、駆動円盤２ − 鋼ボール５ − 従動円盤４
とつながる磁路を形成し、円盤２，４間の強力な磁気吸
着力を生じる。従って、両円盤２，４は、強固に鋼ボー
ル５を挟む。入力軸１を回転させると、これと共に駆動
円盤２が回転し、円盤２，４と鋼ボール５との間の磁気
摩擦力により、鋼ボール５は回転せず、鋼ボール５に吸
着されて従動円盤４が、出力軸３と共に回転する。これ
によって入力軸１の回転を出力軸３に伝達することがで
きる。円盤２，４と鋼ボール５との間の所定の磁気摩擦
力より大きなトルクが加わると、鋼ボール５は回転して
スムーズに両円盤２，４間の相対回転を許容する。両円
盤２，４間の相対回転による永久磁石リング７等の部材
の破損、摩耗はほとんどなく、異音も生じないし、発熱
のおそれもない。なお、本発明は図示の実施例に限定さ
れるものではなく、例えば、永久磁石リング７は、出力
軸３側の従動円盤４に固着してもよい。また、軸１，３
を柔軟に支持すれば、一定角度内で両軸１，２の軸線が
屈折しても互いに回転を伝達することができ、自在継手
として機能させることができる。

【００１０】

【発明の効果】以上のように、本発明においては、円盤
２，４を相対向させて軸受された入力軸１と出力軸３の
何れか一方の円盤２の対向面側に、中心に円孔７ａを有
する永久磁石リング７を固定すると共に、この永久磁石
リング７の円孔７ａ内に、鋼ボール５を転動自在に挿入
し、この鋼ボール５は、一端において一方の円盤２の球
面凹所２ａに接触させ、他端において他方の円盤４の球
面凹所４ａに接触させ、かつ他方の円盤４と永久磁石リ
ング７との間に小間隙Ｇを形成し、一方の円盤２− 鋼
ボール５ − 他方の円盤４とつながる磁路を形成してフ
レキシブルカップリングを構成したため、入出力軸１，
３間の十分な磁気摩擦力が得られ、入出力軸１，３間に
過負荷による滑りが生じた場合に、スムーズな相対回転
を許容して摩耗、破壊、過熱等の不都合を生じるおそれ
のないフレキシブルカップリングを提供することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るフレキシブルカップリングの正面
図である。

【図２】図１におけるII−II断面図である。

【符号の説明】

１ 入力軸 ２ 駆動円盤 ２ａ 球面凹所 ３ 出力軸 ４ 従動円盤 ４ａ 球面凹所 ５ 鋼ボール ７ 永久磁石リング ７ａ ボール保持孔 ８ ベアリング ９ ベアリング Ｇ 小間隙

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 互いに端部の鋼製の円盤を相対向させて
   軸受された入力軸と出力軸の何れか一方の円盤の対向面
   側に、中心に円孔を有する永久磁石リングを固定すると
   共に、この永久磁石リングの円孔内に、鋼ボールを転動
   自在に挿入し、この鋼ボールは、一端において一方の円
   盤の球面凹所に接触させ、他端において他方の円盤の球
   面凹所に接触させ、かつ他方の円盤と永久磁石リングと
   の間に小間隙を形成し、一方の円盤 − 鋼ボール − 他
   方の円盤とつながる磁路を形成したことを特徴とするフ
   レキシブルカップリング。