JPH05279332A - 新規保護トリプトファン誘導体、それらの調製方法、およびジペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質構造の調製へのそれらの利用 - Google Patents

新規保護トリプトファン誘導体、それらの調製方法、およびジペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質構造の調製へのそれらの利用

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JPH05279332A
JPH05279332A JP4139000A JP13900092A JPH05279332A JP H05279332 A JPH05279332 A JP H05279332A JP 4139000 A JP4139000 A JP 4139000A JP 13900092 A JP13900092 A JP 13900092A JP H05279332 A JPH05279332 A JP H05279332A
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Calbiochem Novabiochem AG
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    • C07D209/20Radicals substituted by carbon atoms having three bonds to hetero atoms with at the most one bond to halogen, e.g. ester or nitrile radicals substituted additionally by nitrogen atoms, e.g. tryptophane
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 トリプトファンのα−アミノ基がFmocでそし
てインドール核のNH基がBoc で保護されている新規保護
トリプトファン誘導体ならびにその製造方法。前記誘導
体のカルボン酸基は遊離COOH基として、保護形態でもし
くは活性化形態で存在するか又はアシル基として或る分
子の残りの部分、例えば高分子材料に又は他のアミノ酸
のアミノ基に結合しており、ここで他のアミノ酸は例え
ばジペプチド、ポリペプチド又はタンパク質のN末端ア
ミノ酸であることができる。 【効果】 前記誘導体は、インドール核のBoc 基が酸性
条件下で除去され、一方Fmoc保護基はアルカリ性条件下
で除去されるため有利であり、特に求電子試薬を必要と
する合成法の実施又は求電子性を有する物質が遊離され
る方法の実施に有利である。アミノ酸配列中にスルホニ
ル含有側鎖保護基を有するジペプチド、ポリペプチド又
はタンパク質を合成する場合、高収量の最終生成物が得
られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】アミ
ノ酸トリプトファンのインドール核のNH基は、未保護の
遊離NH基として存在する場合、幾つかの試薬の攻撃を受
けやすいことが当業界で公知である。アミノ酸配列中に
少なくとも1つのトリプトファン成分およびその上グア
ニジノ基が保護されている少なくとも1つのアルギニン
成分を有するジペプチド、ポリペプチドまたはタンパク
質の合成を行わなければならない場合、特にこの問題は
深刻である。非常に穏和な条件を使ってグアニジノ保護
基を除去しても、トリプトファンのインドール核のNH基
への攻撃によって対応するジペプチド、ポリペプチドま
たはタンパク質の収率が低下する。
【0002】従来、上記の難点を回避するために、トリ
プトファンのα−アミノ基の幾つかの保護基と組合せて
トリプトファンのインドール核のNHの保護基が使われて
いる。しかしながら、一方で必要な安定性を有する対応
する保護誘導体を生じ且つジペプチド、ポリペプチドお
よびタンパク質の合成に用いることができ、この合成で
アミノ酸配列の他のアミノ酸の側鎖保護基を除去する反
応段階において収率の大幅な低下が観察されないような
α−アミノ基の保護基とインドール核の保護基との組合
せは、今まで1つも発見されていない。
【0003】本発明の目的は、従来使われている保護誘
導体の欠点を持たない新規保護トリプトファン誘導体を
提供することである。
【0004】E. Atherton ら、Tetrahedron (Tetrahedr
on Reportsを含む) 、第44巻、第3号、1988年、843-85
7 頁の刊行物において、9−フルオレニルメチルオキシ
カルボニル基(以後Fmocと略記する)で保護されたα−
アミノ基を有するアミノ酸のペンタフルオロフェニルエ
ステルの使用が記載されている。前記刊行物においてヒ
スチジンのイミダゾール核のNH基がt−ブチルオキシカ
ルボニル基(以後Bocと略記する)で保護されているヒ
スチジン誘導体も記載されている。従って、前記刊行物
には保護ヒスチジン誘導体Fmoc-His(Boc)-ペンタフルオ
ロフェニルエステルが記載されている(前記刊行物の第
850 頁下から7行目を参照のこと)。前記刊行物に記載
された保護アミノ酸誘導体は固相ペプチド合成に用いら
れており、前記刊行物にはアミノ酸配列中にヒスチジン
成分および更にトリプトファン成分を含んで成るペプチ
ド鎖の合成の実施も言及されている。使用したトリプト
ファン誘導体はα−アミノ基がFmocで保護されている
が、インドール核のアミノ基は保護されておらず、そし
て第849 頁 3〜10行目において、合成を行った樹脂から
対応するペプチドを開裂させた時、対応するアミノ酸配
列中に存在するトリプトファン成分のインドール核への
中間体ベンジルカチオンの再付加のため、わずか37%の
収率の粗ペプチドが得られると説明されている。対応す
るトリプトファン成分のインドール核の遊離NH基への求
電子攻撃は前記刊行物の第850 頁の式(7) を通して更に
説明されている。
【0005】E. Sieber ら、Tetrahedron Letters 、第
28巻、第46号、6031-6034 頁、1987年の刊行物におい
て、ヒスチジンのα−アミノ基がFmocで保護されており
そしてヒスチジンのイミダゾール核のNH基がトリチル基
で保護されている保護ヒスチジン誘導体が記載されてい
る。前記刊行物では、イミダゾール核のNH基がBoc を含
む他の保護基で保護されている対応するヒスチジン誘導
体も試験され、前記保護ヒスチジン誘導体は特に求電子
試薬と接触すると不安定であることが観察された(6031
頁、第一段落の5,6および7行目を参照のこと)。
【0006】更にD. Yamashiroら、Journal of the Ame
rican Chemical Society、第94巻、第8号、1972年、28
55-2859 頁には、ヒスチジンのイミダゾール核がBoc で
保護されており、そしてヒスチジンのα−アミノ基がBo
c または(p−ビフェニリル)イソプロピルオキシカル
ボニル基のいずれかで保護されている保護ヒスチジン誘
導体が記載されている。対応する保護ヒスチジン誘導体
は、ペプチド鎖配列のアミノ酸の1つがアルギニンであ
って該アルギニンのグアニジノ基がニトロ基で保護され
ているものを含むペプチド鎖を調製するのに使われてい
る。しかしながら、イミダゾール核のNH基がBoc で保護
されているヒスチジン誘導体は充分に安定でない(上記
説明を参照のこと)。
【0007】H. Franzenら、J. Chem. Soc., Chem. Com
mun., 1984年、1699頁〜1700頁において、α−アミノ基
とインドール核のNH基がBoc で保護されているトリプト
ファンのメチルエステルが記載されている。前記刊行物
には保護トリプトファンメチルエステルからヒドラジド
への変換も記載されており、そしてトリフルオロ酢酸で
の短期処理により保護メチルエステルから2つのBoc 保
護基を除去することができ、一方前記メチルエステルの
エステル基は前記処理によって除去されないことが説明
されている。前記刊行物には更に、α−アミノ基とイン
ドール核のNH基がBoc で保護されている前記トリプトフ
ァンメチルエステルを室温においてジオキサン中の2.7
モルの塩酸で処理すると、α−アミノ保護基の選択的除
去が起こり、驚くべきことにインドール核のNH基がBoc
基で保護された形のまま残ることが記載されている。前
記α−アミノ保護基の選択的開裂方法の収率は60%であ
ったが、反応時間を長くしたりまたは高濃度の塩酸を使
った場合には、インドール核のBoc 保護基も除去され
た。
【0008】前記刊行物では、インドール核のNH基がBo
c で保護されており、α−アミノ基が遊離形態で存在す
る対応するトリプトファンメチルエステルを、活性エス
テル法に従ってジペプチドに変換することも記載されて
いる。特に1699頁に記載された反応スキームにおいて、
トリプトファン誘導体の遊離α−アミノ基に、Boc で保
護されたα−アミノ基を有するフェニルアラニンを結合
させる。最後に、ロイシンメチルエステルを前記ジペプ
チドのC末端、即ちトリプトファン成分のカルボン酸基
に結合させることにより、ジペプチドをトリペプチドに
変換する。次いで前記トリペプチドのフェニルアラニン
のα−アミノ基のBoc 保護基を選択的に除去し、そして
生じたフェニルアラニン成分の遊離アミノ基に、アジド
カップリング反応に従って、α−アミノ基とインドール
核がBoc で保護されているもう1つのトリプトファン成
分のヒドラジドをカップリングさせ、対応するテトラペ
プチドを得る。しかしながら、前記刊行物中には、前記
テトラペプチドの保護基の除去は記載されていない。
【0009】前記刊行物の1699頁の下の注釈において、
トリプトファンのインドール核とα−アミノ基がBoc で
保護されている対応するメチルエステル、即ち保護トリ
プトファン誘導体 Boc-Trp(Nin-Boc)-OMe がパラジウム
触媒上での接触水添により部分的に破壊されることを予
備実験が示したと書かれている。
【0010】本発明の目的は、ジペプチド、ポリペプチ
ドおよびタンパク質の固相合成において使用することが
でき、そして今までに既知の保護トリプトファン誘導体
の上記欠点を持たない新規保護トリプトファン誘導体を
提供することである。特に該新規トリプトファン誘導体
は水素化処理にかけた時に安定であり、更に、保護側鎖
を有する他のアミノ酸成分、特に保護グアニジノ基を有
するアルギニン成分、例えばスルホニル含有保護基で保
護されたグアニジノ基を有するアルギニン成分が存在す
るタンパク質鎖を合成する時にも安定であるべきであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】驚くべきことに、トリプ
トファンのインドール核がBoc で保護されそしてα−ア
ミノ基がFmocで保護されている新規誘導体が、水素化処
理にかけた時に安定であることが発見された。この性質
は、α−アミノ保護基もBoc である対応するトリプトフ
ァン誘導体が接触水添により部分的に破壊されると記憶
していたので、全く予想外であった。
【0012】類似構造のヒスチジン誘導体、即ちヒスチ
ジンのイミダゾール核がBoc で保護されておりそしてヒ
スチジンのα−アミノ基がFmocで保護されているヒスチ
ジン誘導体が求電子試薬に対する必要な安定性をもたな
いことと対照的に、本発明の新規トリプトファン誘導体
は前記の望ましい安定性を有する。
【0013】
【具体的記載】本発明の一目的は、トリプトファンのイ
ンドール核のNH基がtert−ブチルオキシカルボニル基(B
oc) で保護されておりそしてトリプトファンのα−アミ
ノ基が9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基(Fmo
c)で保護されており、トリプトファン誘導体のカルボン
酸基が遊離COOH基として、保護形態でもしくは活性化形
態で存在するか、または対応するアシル基として分子の
残りの部分に結合している、新規保護トリプトファン誘
導体である。
【0014】本発明の新規トリプトファン誘導体では、
インドール核のNH基のBoc 保護基が酸性条件下で除去さ
れる一方、トリプトファンのα−アミノ基のFmoc保護基
は塩基性反応条件下で除去されることが有利である。従
って、本発明の一態様によれば、本発明の保護トリプト
ファン誘導体中のカルボン酸基は遊離COOH基として存在
する。
【0015】本発明の更なる好ましい態様によれば、本
発明の保護トリプトファン誘導体のカルボン酸基はアシ
ル基として高分子材料に結合しており、そして/または
アシル基としてジペプチド構造、ポリペプチド構造もし
くはタンパク質構造の別のアミノ酸のアミノ基に結合し
ている。
【0016】本発明の特に好ましい態様によれば、本発
明の保護トリプトファン誘導体のカルボン酸基は直接樹
脂にまたはリンカーを介して樹脂に結合している。本発
明の別の好ましい態様によれば、本発明のトリプトファ
ン誘導体のカルボン酸基は、アシル基としてジペプチド
構造、ポリペプチド構造またはタンパク質構造の別のア
ミノ酸のα−アミノ基に結合しており、ここで前記ジペ
プチド、ポリペプチドまたはタンパク質のアミノ酸配列
中には場合によりアミノ酸アルギニンであるかまたはグ
アニジノ基が保護されているアルギニンである少なくと
も1アミノ酸成分が存在することがある。
【0017】本明細書中の「ポリペプチド」なる用語
は、3,4,5またはそれ以上のアミノ酸成分から構成
されるポリペプチドを含む。従って、「ジペプチド構
造、ポリペプチド構造またはタンパク質構造」という定
義は、少なくとも2つのアミノ酸成分を含んで成る任意
の所望のアミノ酸配列であって、該アミノ酸配列中の対
応するアミノ酸は場合によりそれらの側鎖において保護
されていることがあるアミノ酸配列を包含する。
【0018】本発明の保護トリプトファン誘導体のアシ
ル基が、アミノ酸配列中にグアニジノ基が保護されてい
る少なくとも1つのアルギニン成分を含むジペプチド構
造、ポリペプチド構造またはタンパク質構造に結合され
る場合、前記グアニジノ基の好ましい保護基は、その構
造中にスルホニル基を含む保護基である。アルギニン成
分のグアニジノ基のスルホニル含有保護基の好ましい例
は、メトキシトリメチルスルホニル保護基および2,
2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホニ
ル保護基である。
【0019】本発明の更なる態様によれば、本発明の保
護トリプトファン誘導体中のカルボン酸基は活性化形態
で存在する。活性化カルボン酸基の好ましい例は、ベン
ゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリスピロリジノホ
スホニウムヘキサフルオロホスフェートとして活性化さ
れているものである。
【0020】本発明の更なる目的は、トリプトファンの
インドール核のNH基がtert−ブチルオキシカルボニル基
(Boc) で保護されておりそしてトリプトファンのα−ア
ミノ基が9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基(F
moc)で保護されており、該保護トリプトファン誘導体の
カルボン酸基が遊離カルボン酸基としてまたは活性化カ
ルボン酸基として存在する、保護トリプトファン誘導体
の調製方法であって、第一反応段階において保護カルボ
ン酸基を有するトリプトファンまたはその塩のα−アミ
ノ基を保護し、第二反応段階においてBoc 保護基の導入
によりインドール核のNH基を保護し、第三反応段階にお
いてα−アミノ基を保護している基およびカルボン酸基
を保護している基を好ましくは同時に除去し、一方イン
ドール核上にBoc 保護基を残し、第四反応段階において
トリプトファンのα−アミノ基をFmoc保護基で保護し、
そして遊離のカルボン酸基を有するトリプトファン誘導
体を単離し、または前記保護トリプトファン誘導体のカ
ルボン酸基を活性化する、ことを特徴とする方法であ
る。
【0021】前記方法の好ましい態様によれば、第一反
応段階において、カルボン酸基がベンジルエステルの形
で保護されているトリプトファン誘導体または前記ベン
ジルエステルの塩が使われる。出発物質として使われる
好ましい塩は、前記トリプトファン誘導体のベンジルエ
ステルの塩酸塩である。
【0022】前記方法の第一反応段階において導入され
るα−アミノ基の好ましい保護基は、ベンジオキシカル
ボニル保護基である。前記の好ましい保護基は、有利に
は、ベンジルエステルまたはその塩をカルボベンジルオ
キシヒドロキシスクシンイミドエステルと反応させるこ
とにより導入される。
【0023】前記方法の第一反応段階は、好ましくは溶
媒中で行われ、そして更に好ましくは塩基の存在下で行
われる。前記第一反応段階に使われる好ましい溶媒はア
セトニトリルであり、存在する好ましい塩基はアミン、
特に好ましいのは第三アミンである。そのような第三ア
ミンの好ましい例はジイソプロピルエチルアミンであ
る。
【0024】第二反応段階において、インドール核のNH
基を保護するためにBoc 保護基が導入される。前記Boc
保護基の導入は、好ましくは第一反応段階の中間生成物
を式(Boc)2O に相当する無水物と反応させることによっ
て行われる。第一反応段階の中間生成物と、インドール
核中に保護基Boc を導入する試薬との前記反応は、好ま
しくは溶媒の存在下で、そして更に好ましくは塩基の存
在下で行われる。好ましい溶媒は有機溶媒であり、特に
好ましいのはアセトニトリルである。塩基としてはアミ
ンが好ましく、特に第三アミンが好ましい。第二反応段
階を行う時に存在し得る第三アミンの好ましい例は4−
ジメチルアミノピリジンである。
【0025】前記方法の第三反応段階において、第一反
応段階後に得られる中間生成物から、トリプトファンの
カルボン酸基を保護する基、好ましくはベンジルエステ
ル基、およびトリプトファンのα−アミノ基を保護する
基、好ましくはベンジルオキシカルボニル保護基が除去
され、特に好ましくは前記保護基の両方が同時に除去さ
れる。上記の好ましい保護基は、好ましくは、第二反応
段階の生成物を水素化処理にかけることにより、第三反
応段階において同時に除去される。前記水素化処理は、
好ましくは貴金属触媒の存在下で且つ溶媒の存在下で、
反応媒質を通して水素ガスをバブリングさせることによ
りまたは前記反応媒質にエチレン系不飽和化合物を添加
することにより行われる。前記水素化処理中に存在する
好ましい前記触媒の貴金属は、対応するパラジウム触媒
であり、特に好ましいのは炭素上の5%パラジウムであ
る。
【0026】既に上述したように、前記水素化処理は、
反応媒質に水素ガスをバブリングさせるかまたはエチレ
ン系不飽和化合物を添加するかのいずれかにより行うこ
とができる。添加される好ましいエチレン系不飽和化合
物は1,4−シクロヘキサジエンである。水素化処理中
に存在する好ましい溶媒は低級脂肪族アルコール、好ま
しくはメタノールまたはエタノールである。貴金属触媒
の存在下で水素ガスを反応媒質中にバブリングさせるこ
とによって水素化処理を行う場合には、溶媒として使わ
れる低級脂肪族アルコールは特に好ましくはメタノール
であり、一方貴金属触媒の存在下でエチレン系不飽和化
合物例えば1,4−シクロヘキサジエンを添加すること
によって水素化処理を行う場合は、好ましい低級脂肪族
アルコールはエタノールである。
【0027】本発明の新規保護トリプトファン誘導体が
調製される前に、インドールのNH基がBoc で保護されて
おり、その上トリプトファンのα−アミノ基がBoc で保
護されており、一方カルボン酸基がメチルエステルの形
で存在している保護トリプトファン誘導体が既に合成さ
れている。しかしながら、前記保護トリプトファン誘導
体は、パラジウム触媒の存在下での接触水添にかけると
相当量が分解された(前掲のFranzen の刊行物を参照の
こと)。従って、トリプトファンのインドール核のNH基
がBoc で保護されており、しかしα−アミノ基がベンジ
ルオキシカルボニルで保護されている本法の中間体を、
対応する保護トリプトファン誘導体の部分分解を伴わず
に、反応媒質に水素ガスをバブリングさせるかまたはエ
チレン系不飽和化合物を添加することによって行うパラ
ジウム触媒の存在下での水素化処理にかけることができ
ることは、全く意外であった。従って、第三反応段階
は、中間生成物として、遊離α−アミノ基と遊離カルボ
ン酸基を有するが該トリプトファンのインドール核がBo
c で保護されているトリプトファン誘導体を生成する。
水素化または還元処理中にやがて形成される前記中間生
成物は、貴金属触媒の存在下で一層安定である。
【0028】本発明の方法の第四反応段階において、α
−アミノ基とカルボン酸基が遊離形態で存在しそしてイ
ンドール核のNH基がBoc で保護されているトリプトファ
ン誘導体である第三反応段階の反応生成物が、遊離α−
アミノ基がFmocで保護された対応する反応生成物に変換
される。前記Fmoc保護基の導入は、好ましくは、第三反
応段階の生成物を9−フルオレニルメチルオキシカルボ
ニルヒドロキシスクシンイミドと反応させることによっ
て行われる。前記第四反応段階は、好ましくは溶媒の存
在下で、そして特に好ましくは更に塩基の存在下で行わ
れる。前記第四反応段階に使用される好ましい溶媒はア
セトニトリルまたはジオキサンであり、前記第四反応段
階中添加される好ましい塩基はアルカリ金属の炭酸塩の
水溶液、例えば炭酸ナトリウムの10%水溶液である。
【0029】本発明の更なる目的は、α−アミノ基がFm
ocで保護されており、インドール核のNH基がBoc で保護
されており、そしてカルボン酸基が遊離形態または活性
化形態で存在する保護トリプトファン誘導体の調製方法
である。前記方法は、遊離カルボン酸基と遊離α−アミ
ノ基を有するトリプトファン誘導体を出発物質として使
って、前記トリプトファン誘導体中の遊離α−アミノ基
およびその後で遊離カルボン酸基を保護し、次いで上記
方法の第二反応段階、第三反応段階および第四反応段階
を行うことによって実施される。前記方法では、トリプ
トファン誘導体の遊離α−アミノ基は好ましくはベンジ
ルオキシカルボニル保護基の導入を通して、例えば前記
出発物質をカルボベンジルオキシクロリドと反応させる
ことによって保護される。更に、前記中間生成物の遊離
カルボン酸基は好ましくはベンジルエステルとして保護
される。これは、例えば、中間生成物を臭化ベンジルと
反応させることによって達成され得る。次いで、ベンジ
ルオキシカルボニル保護基とベンジルエステル保護基の
導入後、上述した本発明の方法の第二反応段階、第三反
応段階および第四反応段階を行うことができる。
【0030】インドール核のNH基がBoc で保護されてお
りそしてα−アミノ基がFmocで保護されている本発明の
新規保護トリプトファン誘導体は、ジペプチドまたはポ
リペプチド合成中に非常に安定である中間生成物が形成
されるので、ジペプチドまたはポリペプチド合成を実施
するのに非常に有利である。本発明の新規保護トリプト
ファン誘導体の更なる利点は、α−アミノ基のFmoc保護
基が、インドール核のNH基のBoc 保護基が除去される反
応条件とは明らかに異なる反応条件下で除去されること
である。
【0031】従って、本発明の更なる目的は、インドー
ル核のNH基がBoc で保護されておりそしてトリプトファ
ンのα−アミノ基がFmocで保護されており、そしてトリ
プトファン誘導体のカルボン酸基が遊離形態、保護形
態、活性化形態で存在するかまたはアシル基として或る
分子の残りの部分に結合している本発明の新規保護トリ
プトファン誘導体の利用であって、構造中に少なくとも
1つのトリプトファン成分を有し該トリプトファンのイ
ンドール核がBoc で保護されているジペプチドまたはポ
リペプチドの合成への利用である。
【0032】今まで、ジペプチド、ポリペプチドまたは
タンパク質の合成にはトリプトファンのインドール核の
NH基を保護するのに、ホルミル保護基および2,2,2
−トリクロロエトキシカルボニル保護基が一般に使われ
ていた。しかしながら、上記保護基は、本発明のトリプ
トファン誘導体においてインドール核のNH基を保護する
のに使われるBoc 保護基と比べると、従来技術に従って
使われる上記保護基はアルカリ条件下で除去されるとい
う欠点を有し、一方本発明の保護トリプトファン誘導体
中に存在するBoc 保護基はアルカリ領域のpH値を有する
溶液と接触しても除去されない。ペプチドの合成の実施
中、しばしばアルカリ領域にpH値を調整することが必要
である。
【0033】従来技術によれば、トリプトファンのイン
ドール核のNH基を保護するためにベンジルオキシカルボ
ニル基も使われている。しかしながら、ジペプチド、ポ
リペプチドまたはタンパク質の合成を終える時、前記ベ
ンジルオキシカルボニル保護基を過酷な条件下で除去し
なければならず、従って感受性ペプチド構造は前記過酷
な条件下でしばしば破壊される。
【0034】これに対比して、本発明のトリプトファン
誘導体(更にトリプトファンのα−アミノ基はFmocで保
護されている)のインドール核のNH基を保護するのに使
われるBoc 保護基は、ジペプチド、ポリペプチドまたは
タンパク質合成を終える時、穏和な反応条件下で、例え
ばトリフルオロ酢酸を使って除去することができる。前
記穏和な反応条件下では、感受性ジペプチド、ポリペプ
チドおよびタンパク質構造の分解は全く観察されない。
【0035】本発明の新規保護トリプトファン誘導体の
更なる利点は、トリプトファンのインドール核のNH基を
保護しているBoc 保護基が、時としてジペプチド、ポリ
ペプチドまたはタンパク質の合成中に起こり得る求電子
攻撃に対して優れた保護を提供することである。対応す
る求電子攻撃は、一般に、ポリペプチドまたはタンパク
質のアミノ酸配列中に存在する他の保護基、例えば側鎖
保護基を該ペプチドまたはタンパク質の合成の過程で、
例えば前記合成の最後に、除去しなければならない場合
に観察され得る。
【0036】複素環イミダゾール環のNH保護基がBoc で
ありそしてヒスチジンのα−アミノ基を保護する基がFm
ocである対応するヒスチジン誘導体が特に求核試薬の攻
撃に対する必要な安定性を持たないと記憶していたの
で、本発明の新規保護トリプトファン誘導体が予想外の
有利な性質、特に求核試薬および求電子試薬に対する優
れた安定性を有することは、全く意外であった。
【0037】本発明の新規保護トリプトファン誘導体の
顕著な利点は、インドール核のNH基を保護するBoc 保護
基が、ポリペプチドまたはタンパク質の合成の過程で起
こり得る求電子攻撃に対する優れた保護を提供すること
である。そのような攻撃は、ポリペプチドまたはタンパ
ク質の合成の過程で、アミノ酸配列中に存在する他の保
護基、例えば側鎖保護基を除去しなければならない場合
にしばしば観察される。
【0038】最近では、アミノ酸成分アルギニンの側
鎖、即ちアルギニンのグアニジノ基は、しばしばその構
造中にスルホニル基を有する対応する保護基を使って保
護されている。そのようなスルホニル含有保護基が後で
除去される場合、前記ジペプチド構造、ポリペプチド構
造またはタンパク質構造中に存在する少なくとも1つの
トリプトファン成分のインドール核がアルギニン成分の
スルホニル含有保護基の除去の最中にスルホン化される
ため、回収されるポリペプチドまたはタンパク質の収率
が大きく低下する。ポリペプチド構造またはタンパク質
構造中に存在する1または複数のトリプトファン成分の
インドール核のスルホン化の問題は、トリプトファンの
インドール核が保護されていない場合、即ちインドール
核の遊離NH基が存在する場合に観察され得るだけでな
く、トリプトファン成分のインドール核を保護するのに
従来使われている上記保護基のうちの1つでトリプトフ
ァンのインドール核が保護されている場合にも観察され
得る。
【0039】本発明の利用法の好ましい態様によれば、
本発明の新規保護トリプトファン誘導体は、アミノ酸配
列中に少なくとも1つの保護アルギニン成分を有するジ
ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を調製するの
に使われる。好ましくは、アミノ酸配列中に存在する少
なくとも1つのアルギニン成分のグアニジノ基は、その
構造中にスルホニル基を有するような保護基で保護され
る。アルギニンのグアニジノ基の好ましいスルホニル含
有保護基は、メトキシトリメチルスルホニル基(通常Mt
r と省略される)または2,2,5,7,8−ペンタメ
チルクロマン−6−スルホニル保護基(通常Pmc 基と省
略される)である。
【0040】インドール核のNH基がBoc で保護されてお
りそしてトリプトファンのα−アミノ基がFmocで保護さ
れている本発明の新規保護トリプトファン誘導体を、ジ
ペプチド構造、ポリペプチド構造またはタンパク質構造
の調製に使う時、前記トリプトファン誘導体の遊離COOH
基または対応する活性化COOH基を、もう1つのアミノ酸
成分のα−アミノ基に結合せしめることができる。前記
アミノ酸成分は所望によりポリペプチドまたはタンパク
質のN末端である。その後、トリプトファン成分のα−
アミノ基を保護するFmoc基を除去し、インドール核をBo
c で保護したままトリプトファン成分の遊離α−アミノ
基を生ぜしめることができる。所望により、前記N末端
トリプトファン成分に、遊離COOH基または活性化COOH基
を有する更なるアミノ酸成分を結合せしめることができ
る。
【0041】完全なポリペプチド鎖またはタンパク質鎖
を合成する場合には、対応するポリペプチド鎖またはタ
ンパク質鎖中に存在する少なくとも1つのトリプトファ
ン成分のインドール核のNH基を保護しているBoc 保護基
を除去し、インドール核のNH基が遊離の未保護のNH基と
して存在する対応するトリプトファン成分を与えること
ができる。
【0042】本発明の利用法の好ましい実施によれば、
少なくとも1つのトリプトファン成分のインドール核の
NH基がBoc で保護されている少なくとも1つの保護トリ
プトファン誘導体成分を含んで成るジペプチド、ポリペ
プチドまたはタンパク質構造のアミノ酸配列の調製後、
前記保護基をインドール核から除去し、少なくとも1つ
のトリプトファン成分のインドール核のNH基が未保護の
遊離NH基として存在する対応するジペプチド、ポリペプ
チドまたはタンパク質鎖を生ぜしめることができる。
【0043】本発明の新規保護トリプトファン誘導体の
特別の利点は、インドール核のBoc保護基が酸性条件下
で、好ましくは前記Boc 基を開裂させるのにトリフルオ
ロ酢酸を使うことによって、容易に除去できることであ
る。従って、前記インドール保護基を除去する時、所望
の最終生成物の収率の重大な低下は全く観察されないだ
ろう。
【0044】対応する保護トリプトファン誘導体のイン
ドール核からBoc 保護基を除去する時、前記複素環NH基
の不安定なCOOH誘導体が形成されることが発見された。
その後に反応生成物を更に処理または単離して穏和な塩
基性反応媒質および低温を維持すると、前記不安定なCO
OH誘導体が破壊され、NH基を有するインドール核が遊離
される。
【0045】グアニジノ基が保護されている少なくとも
1つのアルギニン成分をアミノ酸配列中に含んで成るそ
のようなジペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質配
列からトリプトファン成分のインドール核のBoc 保護基
を除去する場合、トリプトファン成分のBoc 保護基とア
ルギニン保護基を一段階で除去することができる。好ま
しくは、上記保護基の同時除去はトリフルオロ酢酸を使
って行うことができる。
【0046】調製されたジペプチド、ポリペプチドまた
はタンパク質構造中に存在する少なくとも1つのアルギ
ニン成分のグアニジノ保護基が、スルホニル基を含有す
るグアニジノ保護基である場合、前記保護基は、調製さ
れたジペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質配列中
に更に存在する少なくとも1つのトリプトファン成分の
インドール核に全く危害を加えることなく、除去するこ
とができる。グアニジノ保護基とインドール核のBoc 保
護基との同時除去を行う場合、おそらくインドール核の
NH基の不安定なCOOH誘導体が中間体として生成し、この
中間体が対応する保護アルギニン成分から除去されるス
ルホニル含有保護基による攻撃からインドール基を保護
するのであろう。いずれの場合でも、インドール核のNH
基へのスルホニル含有保護基の求電子攻撃は全く観察さ
れなかった。
【0047】グアニジノ基がスルホニル含有保護基で保
護されている少なくとも1つのアルギニン成分をアミノ
酸配列中に含んで成るジペプチド、ポリペプチドまたは
タンパク質配列の調製に本発明の新規トリプトファン誘
導体を使用する時、前記2つの保護基をトリフルオロ酢
酸で除去するとトリプトファンのインドール核のスルホ
ン化を完全にまたは殆ど完全に回避することができる。
これに対して、インドール核のNH基が保護されていない
かまたは前記保護目的で従来使われている保護基のうち
の1つで保護されているトリプトファン成分を使った場
合には、アルギニン成分のグアニジノ保護基の除去中の
インドール核のスルホン化は40%までに達する。
【0048】未保護のインドール核または従来使われて
いる保護基で保護されたインドール核を有するトリプト
ファン成分は、アルギニン成分のグアニジノ基のスルホ
ニル含有保護基を除去する反応段階において大きな収率
の低下を引き起こすが、インドール核の保護基がBoc で
ある本発明の新規保護トリプトファン誘導体を使って合
成を実施すると、この場合の収率の低下は通常わずか5
%である。
【0049】本発明の生成物の好ましい利用によれば、
少なくとも1つのアミノ酸成分がトリプトファンであり
そして少なくとも1つのアミノ酸成分がアルギニンであ
って、前記少なくとも1つのトリプトファン成分のイン
ドール核のNH基がBoc で保護されており、そして前記少
なくとも1つのアルギニン成分のグアニジノ基が保護さ
れているジペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質鎖
が調製され、ここで、最初にアルギニンの保護基、次に
トリプトファン成分のBoc 保護基が除去されるか、また
はアルギニンのグアニジノ基の保護基とトリプトファン
のBoc 保護基が同時に除去される。
【0050】更にアルギニンのグアニジノ基を保護する
基が構造中にスルホニル基を含む場合、少なくとも1つ
のトリプトファン成分のBoc 保護基の除去と少なくとも
1つのアルギニン成分のスルホニル含有保護基の除去は
酸性条件下で行われる。好ましくは、少なくとも1つの
トリプトファン成分のBoc 保護基の除去と少なくとも1
つのアルギニン成分のスルホニル含有保護基の除去は、
トリフルオロ酢酸を使って行われる。
【0051】本発明を下記の非限定例によって更に説明
する。この実施例において、α−アミノ保護基がFmocで
あり、インドール核のNH保護基がBoc であり、そしてカ
ルボン酸基が遊離COOH基として存在する本発明の保護ト
リプトファン誘導体の調製を説明する(実施例1〜4を
参照のこと)。更に、ポリペプチドの調製への対応する
本発明の保護トリプトファン誘導体の利用を実施例5に
よって説明する。
【0052】
【実施例】実施例1 トリプトファンのα−アミノ基がカルボベンジルオキシ
保護基で保護されている中間生成物の調製 インドール核のNH基が未保護の遊離NH基として存在し、
そしてトリプトファンのカルボン酸基がベンジルエステ
ルとして保護されているトリプトファン誘導体1当量
を、ジイソプロピルエチルアミンとアセトニトリルに溶
解し、前記溶液にカルボベンジルオキシヒドロキシスク
シンイミド1当量を添加した。前記混合物を0℃で3時
間攪拌し、その後アセトニトリルを蒸発させた。
【0053】残った残渣を酢酸エチルに溶かし、有機相
を1M水性塩酸、1M水性炭酸水素ナトリウム溶液、
水、そして最後に飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。
有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、蒸発に
より濃縮した。トリプトファンのカルボン酸基がまだベ
ンジルエステルとして保護されており、そしてα−アミ
ノ基がカルボベンジルオキシカルボニル基で保護されて
おり、インドール核のNH基が未保護の遊離NH基として存
在する結晶質生成物が得られた。前記生成物を更に精製
することなく、実施例2の出発物質として使用した。
【0054】実施例2 インドール核のNH基を保護するためのBoc 保護基の導入 実施例1の方法に従って調製した中間生成物1当量をア
セトニトリルに溶解した。次の式:(Boc)2O を有する無
水物を使って、前記無水物 1.1当量と4−ジメチルアミ
ノピリジン 0.1当量を上記溶液に添加し、そして該混合
物を0℃の温度で1時間攪拌することによりtert−ブチ
ルオキシカルボニル保護基、即ちBoc 保護基を導入し
た。前記1時間の反応時間後、高圧液体クロマトグラフ
ィー(HPLC) を行うと反応が既に80%終了したことを示
した。その後、上記試験が反応が約98%終了したことを
示すまで、1時間毎に上記式の無水物 0.1当量を反応混
合物に添加した。反応中の上記式の無水物の大過剰の存
在を避けるように注意すべきである。何故なら、反応混
合物中の前記無水物の過剰が高すぎると、混合イミドが
形成され得るからである。
【0055】反応が約98%終了したらすぐに、溶媒を蒸
発させ、残った残渣をジエチルエーテルに溶解せしめ
た。次いで前記有機溶液を2M水性クエン酸溶液、次い
で1M水性炭酸水素ナトリウム溶液、飽和塩化ナトリウ
ム溶液、そして最後に水で洗浄した。有機相を硫酸マグ
ネシウム上で乾燥し、乾燥剤を除去した後蒸発させた。
94%の純度(HPLCによる前記試験による)を有する油状
生成物が残った。前記油状生成物では、インドール核の
NH基はBoc 保護基で保護され、そしてカルボン酸基とα
−アミノ基は実施例1のものと同じ保護基で保護されて
いた。更に精製することなく対応する生成物を次の実施
例3の出発物質として使った。
【0056】実施例3 α−アミノ基のベンジルオキシカルボニル保護基とカル
ボン酸基のベンジルエステル保護基の同時除去 前記2つの保護基の同時除去は、2つの別法に従って行
った。方法A 実施例2に従って得られた中間生成物1当量をメタノー
ルに溶解し、そして水素化触媒、即ち炭素上の5%パラ
ジウムを添加した。前記触媒は、出発物質100重量部当
たり1重量部の量で添加した。
【0057】室温において前記混合物に水素ガスを12時
間バブリングさせた。その後、Pd/C触媒を除去するため
に混合物を珪藻土(セライトの商標で市販されている商
品)を通して濾過し、そしてセライトをメタノールで2
回洗浄した。次いで溶媒を蒸発せしめると、インドール
核のNH基がBoc で保護されており、そしてトリプトファ
ンのα−アミノ基とカルボン酸基が遊離の未保護形態で
存在する対応する生成物が得られた。前記生成物を更に
精製することなく実施例4における出発物質として使っ
た。
【0058】方法B 実施例2に従って得られた生成物1当量をエタノールに
溶解し、そして炭素上の5%パラジウム触媒を出発物質
100 重量部当たり前記触媒1重量部の量で添加した。そ
の後、2当量の1,4−シクロヘキサジエンを添加し、
混合物を窒素ガス下で8時間攪拌した。
【0059】その後、Pd/C触媒を除去するために混合物
を珪藻土(商標セライト)を通して濾過し、そしてセラ
イトをまずエタノールで次に酢酸で洗浄した。対応する
試験は、エタノールが水素化開裂の過程において前記反
応中に起こるプロトン移動のための試験溶媒のうちの最
良の溶媒であることを示した。しかしながら、前記試験
はエタノールが最終生成物をあまり良く溶解しないこと
を示し、このためエタノールでの洗浄段階後にセライト
を酢酸で更に洗浄する段階を行った。こうして回収され
た溶液から溶媒を蒸発せしめると、インドール核のNH基
がBoc で保護されており、そしてトリプトファンのα−
アミノ基とカルボン酸基が遊離の未保護の形態で存在す
る対応する生成物が白色固形物として残った。前記生成
物を更に精製することなく実施例4の方法の実施に使用
した。
【0060】実施例4 Fmoc保護基によるα−アミノ基の保護 上記実施例3に従って得られた中間生成物(方法Aまた
は方法Bのいずれかによる)1当量をアセトニトリルに
溶かし、10%炭酸ナトリウム水溶液2当量を添加した。
前記溶液の添加時に、前記出発物質が混合溶液から沈澱
した。その後、1当量の9−フルオレニルメチルオキシ
カルボニルヒドロキシスクシンイミドを添加し、混合物
を0℃の温度で8時間攪拌し、Fmoc保護基を導入した。
前記反応時間の後、高圧液体クロマトグラフィー(HPL
C)の実施は、対応する反応混合物中にもはや出発物質
が存在しないことを証明した。しかし、それにもかかわ
らず対応する溶液はまだ濁っていた。
【0061】その後、混合物のpH値が約3に到達するま
で前記溶液に2Mクエン酸水溶液を添加し、次いで水相
をジエチルエーテルで抽出した。有機相を飽和塩化ナト
リウム水溶液で、次いで水で洗浄し、そして最後に硫酸
マグネシウム上で乾燥した。溶媒の蒸発後、所望の最終
生成物がオフホワイト色フォームの形で残った。高圧液
体クロマトグラフィー(HPLC)の実施を通して、前記生成
物が90%の純度を有することを証明することができた。
【0062】対応する合成を実施例3の方法Bに従って
実施すると、全反応段階を通した全収率は理論収量の75
%であった(実施例1において導入した出発物質に基づ
いて計算したもの)。対応する合成を実施例3の方法A
に従って実施すると、全反応段階を通した全収率は理論
収量の60%であった(実施例1において導入した出発物
質に基づいて計算したもの)。
【0063】実施例5 実施例4の本発明の保護トリプトファン誘導体を使った
ポリペプチドの調製 次の式を有するポリペプチドを調製した: Fmoc-Trp-Arg-Arg-Arg-Arg-Val-OH 。
【0064】前記ポリペプチドにおいて使用した略語は
次の意味を有する。 Fmoc-Trp : α−アミノ基がFmoc(9−フルオレニルメ
チルオキシカルボニル)で保護されているトリプトファ
ン; Arg : アルギニン; Val-OH : 遊離カルボン酸基を有するバリン(ポリペプ
チド配列のC末端)。
【0065】上記アミノ酸配列のポリペプチドは、固相
法に従ってKieselguhr(珪藻土)上のアクリルアミド残
基を有するポリスチレン樹脂上で調製した。リンカー
(ヒドロキシメチルフェノキシ酢酸)を介して最初のア
ミノ酸を前記ポリスチレン樹脂に結合させ、そして最初
のアミノ酸のα−アミノ基をFmoc、即ち9−フルオレニ
ルメチルオキシカルボニル基で保護した。α−アミノ基
がFmocで保護されているバリン成分が最初のアミノ酸と
して結合された対応するポリスチレン樹脂は、次の式に
よって表される: Fmoc-Val-NovaSyn-KA-樹脂。
【0066】樹脂に結合している上記構造のバリン成分
へのその他のアミノ酸のカップリングは、α−アミノ基
がFmocで保護されておりそしてカルボン酸基がベンゾト
リアゾール−1−イルオキシ−トリスピロリジノホスホ
ニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP と省略され
る)で活性化されている結合すべき対応するアミノ酸を
使うことによって行った。樹脂1グラム当たり、α−ア
ミノ基が保護されているバリン 0.1ミリモルを結合し、
そして前記式の樹脂1g を使って合成を始めた。該樹脂
にα−アミノ基がFmocで保護されておりそしてそのカル
ボン酸基がPyBOP で活性化されている対応する次のアミ
ノ酸 2.5倍過剰量を結合せしめた。
【0067】本実施例の冒頭に記載した構造のヘキサペ
プチドを製造するためにカップリングさせるアルギニン
残基は、それらのグアニジノ側鎖において2,2,5,
7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホニル(Pmc
と省略される)で更に保護された。該ポリペプチド、即
ち前記ヘキサペプチドの調製のため残りのアミノ酸配列
にカップリングされる最後のアミノ酸は、実施例4の方
法に従って調製した本発明の新規トリプトファン誘導体
であった。カップリング反応を行う前に、前記トリプト
ファン誘導体の遊離カルボン酸基をPyBOP で活性化し
た。
【0068】前記ヘキサペプチドのアミノ酸配列の合成
の終了後、前記ヘキサペプチド構造の合計4つのアルギ
ニン成分のスルホニル含有側鎖保護基の除去と、トリプ
トファン成分のインドール核のNH基のBoc 保護基の除去
と、更に樹脂からの生成ヘキサペプチドの開裂を一段階
で行った。しかしながら、前記除去反応を実施する段階
中に、トリプトファンのα−アミノ基の保護基、即ちFm
oc保護基は残るので、Fmocで保護されたN末端を有する
本実施例の冒頭に記載した構造のヘキサペプチドが回収
された。
【0069】75重量%のトリフルオロ酢酸と20重量%の
エタンジチオールと5重量%の水の混合物で樹脂を処理
することにより、4つのアルギニン成分の上記スルホニ
ル含有保護基、トリプトファン成分のインドール核のNH
保護基、および樹脂からのヘキサペプチドの同時除去を
行った。前記処理は2時間行った。高圧液体クロマトグ
ラフィー(HPLC)を使って行った試験は、前記一段階開
裂操作が95%以上の収率で行われたことを示した。従っ
て、前記ヘキサペプチドのトリプトファン成分のスルホ
ン化による収率の低下は5%未満であった。
【0070】比較例 実施例5に記載したヘキサペプチドの調製を同様にして
行った。ただし、トリプトファン成分を、α−アミノ基
がFmocで保護されているがインドール核のNH基が未保護
の遊離NH基として存在するトリプトファン誘導体として
導入した。前記トリプトファン誘導体のカルボン酸基の
活性化は、実施例5に記載の通りに、即ちPyBOP を使っ
て行った。アルギニン成分のスルホニル含有側鎖保護基
と樹脂からの調製されたヘキサペプチドの同時除去を実
施例5に記載したものと同様にして行い、そして得られ
た最終生成物を実施例5に記載した通りに、即ちHPLCの
実施により分析した。
【0071】前記比較例によれば、前記開裂反応中に40
%のトリプトファン成分がスルホン化によって破壊され
たため、開裂反応はわずか60%の収率の対応するヘキサ
ペプチドを与えた。従って、実施例5の結果と本比較例
の結果を比較すると、ペプチド合成を行うのに本発明の
新規保護トリプトファン誘導体を使うことによって意外
な利点が達成されることは明白である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年9月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項6
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項8
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項9
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項10
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項12
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項14
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項18
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項23
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項25
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項27
【補正方法】変更
【補正内容】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C07K 99:00

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インドール核のNH基がtert−ブチルオキ
    シカルボニル基(Boc) で保護されており、トリプトファ
    ンのα−アミノ基が9−フルオレニルメチルオキシカル
    ボニル基(Fmoc)で保護されており、そして前記トリプト
    ファンのカルボン酸基が遊離COOH基として、保護形態で
    もしくは活性化形態で存在するかまたは対応するアシル
    基として分子の残りの部分に結合している、新規保護ト
    リプトファン誘導体。
  2. 【請求項2】 トリプトファンのカルボン酸基がアシル
    基として高分子材料に結合しているかまたはアシル基と
    してジペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質の他
    のアミノ酸のアミノ基に結合している、請求項1に記載
    の保護トリプトファン誘導体。
  3. 【請求項3】 トリプトファンのカルボン酸基がベンゾ
    トリアゾール−1−イルオキシ−トリスピロリジノホス
    ホニウムヘキサフルオロホスフェートとして活性化され
    た形態で存在する、請求項2に記載の保護トリプトファ
    ン誘導体。
  4. 【請求項4】 前記トリプトファン誘導体のカルボン酸
    基が樹脂のリンカーに結合しているかまたはカルボン酸
    基がアシル基としてジペプチド構造、ポリペプチド構造
    もしくはタンパク質構造の他のアミノ酸のα−アミノ基
    に結合しており、ここで前記ジペプチド、ポリペプチド
    またはタンパク質のアミノ酸配列中にアミノ酸アルギニ
    ンであるかまたはグアニジノ基がスルホニル含有保護
    基、例えばメトキシトリメチルスルホニル保護基もしく
    は2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−ス
    ルホニル保護基で保護されているアルギニンである少な
    くとも1つのアミノ酸成分が存在する、請求項2に記載
    の保護トリプトファン誘導体。
  5. 【請求項5】 インドール核のNH基がtert−ブチルオキ
    シカルボニル基(Boc) で保護されており、トリプトファ
    ンのα−アミノ基が9−フルオレニルメチルオキシカル
    ボニル基(Fmoc)で保護されておりそして前記トリプトフ
    ァンのカルボン酸基が遊離COOH基としてまたは活性化カ
    ルボン酸基として存在する保護トリプトファン誘導体の
    調製方法であって、 第一反応段階において保護カルボン酸基またはその塩を
    有するトリプトファンのα−アミノ基を保護し、 第二反応段階においてBoc 保護基の導入によりインドー
    ル核のNH基を保護し、 第三反応段階においてα−アミノ基を保護している基お
    よびカルボン酸基を保護している基を同時に除去し、一
    方インドール核上にBoc 保護基を残し、 第四反応段階においてトリプトファンのα−アミノ基を
    Fmoc保護基で保護し、そして遊離のカルボン酸基を有す
    るトリプトファン誘導体を単離し、または前記保護トリ
    プトファン誘導体のカルボン酸基を活性化する、ことを
    特徴とする方法。
  6. 【請求項6】 前記第一反応段階において、カルボン酸
    基がエステルとして、例えばベンジルエステルとして保
    護されているトリプトファン誘導体または前記エステル
    の塩を使用し、そして前記第一反応段階においてα−ア
    ミノ基の保護基としてベンジルオキシカルボニル保護基
    を導入する、請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記第一反応段階において、カルボン酸
    基がベンジルエステルとして保護されているトリプトフ
    ァン誘導体の塩酸塩を使用し、トリプトファンのα−ア
    ミノ基をベンジルオキシカルボニル保護基で保護するた
    めに前記塩を溶媒中で且つ塩基の存在下でカルボベンジ
    ルオキシヒドロキシスクシンイミドエステルと反応せし
    める、請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記反応をアセトニトリル溶媒中で行
    い、そして前記反応中に存在する塩基がアミン、好まし
    くはジイソプロピルエチルアミンのような第三アミンで
    ある、請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記第二反応段階において、第一反応段
    階の中間生成物を式(Boc)2O に相当する無水物と反応さ
    せることによりそれにtert−ブチルオキシカルボニル
    基、即ちBoc 基を導入し、そしてインドール核のNH基を
    保護する前記Boc 保護基の導入が、第一反応段階の中間
    生成物を有機溶媒中で且つ塩基、好ましくはアミンの存
    在下で前記無水物と反応せしめることによって行われ
    る、請求項5〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記第二反応段階において、溶媒とし
    てアセトニトリルを使用し、そして塩基として4−ジメ
    チルアミノピリジンのような第三アミンを使用する、請
    求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記第二反応段階後に得られる中間生
    成物において、トリプトファンのカルボン酸基を保護し
    ている基がベンジルエステルであり、トリプトファンの
    α−アミノ基を保護している基がベンジルオキシカルボ
    ニル保護基であり、そして前記方法の第三反応段階にお
    いて、インドール核のNH基のBoc 保護基を残したままα
    −アミノ基の保護基とカルボン酸基の保護基を同時に除
    去し、そして前記第三反応段階が、第二反応段階の生成
    物を溶媒の存在下で且つ貴金属触媒の存在下で反応媒質
    中に水素ガスをバブリングさせることによるかまたはエ
    チレン系不飽和化合物を添加することによって行われる
    水素化処理にかけることにより行われる、請求項6〜1
    0のいずれか一項に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記第二反応段階の反応生成物の水素
    化処理の実施に使用される貴金属触媒がパラジウムを含
    み、好ましくは炭素上の5%パラジウムであり、前記溶
    媒がメタノールまたはエタノールであり、そして前記水
    素化処理が反応媒質中に水素ガスをバブリングさせるこ
    とによるかまたは1,4−シクロヘキサジエンであるエ
    チレン系不飽和化合物を添加することによって行われ
    る、請求項11に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記トリプトファン誘導体のインドー
    ル核のNH基がBoc 保護基で保護されておりそしてカルボ
    ン酸基とα−アミノ基が遊離形態で存在する第三反応段
    階の反応生成物を、9−フルオレニルメトキシカルボニ
    ルヒドロキシスクシンイミド(Fmoc-OSu)と反応させるこ
    とにより、前記第三反応段階の反応生成物の遊離α−ア
    ミノ基を9−フルオレニルメトキシカルボニル基、即ち
    Fmoc保護基で保護する、請求項5〜12のいずれか一項
    に記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記第三反応段階の生成物とFmoc-OSu
    との反応が、溶媒、例えばアセトニトリルまたはジオキ
    サン中で、そして塩基、例えばアルカリ金属の炭酸塩、
    例えば水性炭酸ナトリウム溶液の存在下で行われる、請
    求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】 α−アミノ基がFmocで保護されてお
    り、インドール核のNH基がBoc で保護されておりそして
    カルボン酸基が遊離形態でまたは活性化形態で存在する
    保護トリプトファン誘導体の調製方法であって、出発物
    質として遊離カルボン酸基と遊離α−アミノ基を有する
    トリプトファン誘導体を使用し、そして前記トリプトフ
    ァン誘導体中の遊離α−アミノ基およびその後遊離カル
    ボン酸基を保護し、そしてその後で請求項5〜13のい
    ずれか一項に記載の方法の第二反応段階、第三反応段階
    および第四反応段階を行うことを特徴とする方法。
  16. 【請求項16】 前記トリプトファン誘導体の遊離α−
    アミノ基をベンジルオキシカルボニル保護基の導入によ
    り、例えばカルボベンジルオキシクロリドとの反応によ
    り保護し、そしてその後前記中間生成物の遊離カルボン
    酸基を例えば臭化ベンジルとの反応により保護し、そし
    て次いで請求項5の方法の第二反応段階、第三反応段階
    および第四反応段階を行う、請求項15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 インドール核がBoc で保護されている
    少なくとも1つのトリプトファン成分を構造中に有する
    ジペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の調製方法
    であって、トリプトファンのインドール核のNH基がBoc
    で保護されており、トリプトファンのα−アミノ基がFm
    ocで保護されておりそしてトリプトファンのカルボン酸
    基が遊離形態、保護形態もしくは活性化形態で存在する
    かまたはアシル基として分子の残りの部分に結合してい
    る新規保護トリプトファン誘導体を使用することを特徴
    とする方法。
  18. 【請求項18】 カルボン酸基が遊離形態または活性化
    形態、好ましくはベンゾトリアゾール−1−イルオキシ
    −トリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフ
    ェートで活性化された形態で存在する対応する保護トリ
    プトファン誘導体が使われる、請求項17に記載の方
    法。
  19. 【請求項19】 カルボン酸基が遊離であるかまたは活
    性化されている保護トリプトファン誘導体を、ジペプチ
    ド、ポリペプチドまたはタンパク質構造のN末端アミノ
    酸であることがある他のアミノ酸のアミノ基に結合せし
    める、請求項17または18に記載の方法。
  20. 【請求項20】 アミノ酸配列中にトリプトファンから
    誘導される少なくとも1つのアミノ酸成分を有するジペ
    プチド、ポリペプチドまたはタンパク質構造の調製方法
    であって、トリプトファン誘導体のカルボン酸基がアシ
    ル基として分子の残りの部分に結合されている保護トリ
    プトファン誘導体が使用される、請求項17に記載の方
    法。
  21. 【請求項21】 前記保護トリプトファン誘導体のカル
    ボン酸基が、アシル基として直接またはリンカーを介し
    て樹脂にまたは他のアミノ酸のアミノ基に結合してお
    り、ここで前記他のアミノ酸はジペプチド、ポリペプチ
    ドまたはタンパク質のN末端であることができる、請求
    項20に記載の方法。
  22. 【請求項22】 保護グアニジノ基を有する少なくとも
    1つのアルギニン成分を配列中に有するジペプチド、ポ
    リペプチドまたはタンパク質が調製される、請求項17
    〜21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 【請求項23】 前記アルギニン成分のグアニジノ基の
    保護基がスルホニル基を含有する保護基であり、そして
    前記保護基が好ましくはメトキシトリメチルスルホニル
    基または2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−
    6−スルホニル基である、請求項22に記載の方法。
  24. 【請求項24】 少なくとも1つのトリプトファン成分
    のインドール核のNH基がBoc で保護されている少なくと
    も1つの保護トリプトファン誘導体成分を含んで成るジ
    ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質構造のアミノ
    酸配列の調製後に、前記保護基をインドール核から除去
    し、少なくとも1つのトリプトファン成分のインドール
    核のNH基が未保護の遊離NH基として存在する対応するジ
    ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質鎖を生ぜしめ
    る、請求項17〜23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 【請求項25】 少なくとも1つのトリプトファン成分
    のインドール核からのBoc 保護基の除去が、酸性条件下
    で、好ましくはトリフルオロ酢酸での処理により行われ
    る、請求項24に記載の方法。
  26. 【請求項26】 少なくとも1つのアミノ酸成分がトリ
    プトファンであり更に少なくとも1つのアミノ酸成分が
    アルギニンであるジペプチド、ポリペプチドまたはタン
    パク質の調製方法であって、前記少なくとも1つのトリ
    プトファン成分のインドール核のNH基をBoc で保護しそ
    して少なくとも1つのアルギニン成分のグアニジノ基を
    保護し、 まず最初にアルギニンの保護基そしてその後トリプトフ
    ァン成分のBoc 保護基を除去するか、またはアルギニン
    保護基とトリプトファンのBoc 保護基を同時に除去す
    る、請求項24または25に記載の方法。
  27. 【請求項27】 アルギニンのグアニジノ基の保護基が
    構造中にスルホニル基を含有する保護基であり、そして
    少なくとも1つのトリプトファン成分のBoc保護基の除
    去と少なくとも1つのアルギニン成分のスルホニル含有
    保護基の除去が、酸性条件下で、好ましくはトリフルオ
    ロ酢酸を使って行われる、請求項26に記載の方法。
JP4139000A 1991-05-31 1992-05-29 新規保護トリプトファン誘導体、それらの調製方法、およびジペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質構造の調製へのそれらの利用 Pending JPH05279332A (ja)

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